本発明に係るアンテナ装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るアンテナ装置10を前面側から視た斜視図であり、図2は、前記アンテナ装置10を背面側から視た斜視図であり、図3は、前記アンテナ装置10を収容するレーダドーム12を示す斜視図である。また、図4は、前記レーダドーム12の台座14の図示を省略した状態における前記アンテナ装置10の正面図であり、図5は、図4に示す前記アンテナ装置10を側面図であり、図6は、前記アンテナ装置10の底面図であり、さらに、図7は、図1及び図2のVII−VII線に沿った断面図である。
図1、図2及び図4〜図7に示す本実施形態に係るアンテナ装置10は、衛星通信用のアンテナ装置であり、耐候性を確保するために、図3に示すドーム状のレーダドーム12内に収容されている。前記レーダドーム12は、前記アンテナ装置10(図1及び図2参照)を載置する円盤状の台座14と、前記台座14に載置された前記アンテナ装置10を上方から覆う釣鐘状のカバー16と、前記台座14の底面に連結する脚部18とから構成されている。前記脚部18は、ねじ20によって図示しない船舶のマストに締結固定されており、従って、前記レーダドーム12は前記マスト上に固定されている。
この場合、前記アンテナ装置10は、ケーブル22(図4〜図7参照)を介して前記船舶内に配置された電話機やファクシミリ等の各種通信機器に接続されており、前記各通信機器から前記ケーブル22を介して伝送された信号を電波として図示しない静止衛星に送信したり、あるいは前記静止衛星から受信した電波を信号に変換し、変換した前記信号を前記ケーブル22を介して前記各通信機器に出力する。
また、台座14の縁部には、複数の孔が矢印A方向に形成され、前記カバー16は、前記各孔を挿通するねじ24によって前記台座14と締結されている。この場合、前記縁部の内側寄りには、図1及び図2に示すように、突出部26が、前記カバー16(図3参照)の図示しない内周面に沿うように、上方(矢印A1方向)に向って突出形成されている。また、前記突出部26と前記台座14の前記各孔との間には溝が形成され、前記溝にパッキン28が配置されている。
これにより、アンテナ装置10を台座14の上面に載置して、上方から突出部26に沿って前記カバー16(図3参照)を下降すれば、該カバー16の底部が前記台座14の縁部、前記突出部26及び前記パッキン28に接触する。この状態で前記台座14及び前記カバー16をねじ24で締結すれば、前記アンテナ装置10がレーダドーム12内に収容される。
そして、前述したアンテナ装置10は、図1、図2及び図4〜図7に示すように、台座14の上面のうち突出部26の内側に配置された第1回転機構30と、前記第1回転機構30の上面に基端部が配置された支持機構32と、前記支持機構32の先端部に片持ち支持された第2回転機構34と、前記第2回転機構34によって前記第1回転機構30の上方で支持されたアンテナ部36とから基本的に構成されている。なお、図4〜図7では、前述したように、台座14の図示を省略している。
前記第1回転機構30は、図7に示すように、台座14(図3参照)の上面に配置された略円環状の水平回転軸部(AZ軸部)38と、前記AZ軸部38の側部に配置されたプーリ40及びベアリング42と、前記ベアリング42の上面に配置された第1ベアリング押え板44及び第2ベアリング押え板46と、前記ベアリング42の底面に配置された保持板48と、前記ベアリング42の外周面を囲繞して配置されたベースプレート50と、前記ベースプレート50の上面に配置されるモータ(第1モータ)56とから基本的に構成される。そして、前記ベースプレート50の底面には、平坦形状の高周波回路ユニット(RFU)54が、RFU用基板52を介して配置されている。
前記AZ軸部38の底部58は、前記台座14(図1及び図2参照)に支持されている。前記AZ軸部38は、図7から諒解されるように、円形状の底部58の略中央部に略円筒状の突出部60が上方に膨出形成され、該突出部60の内壁にフランジ部62が形成される。前記フランジ部62の中央には孔66が形成される。前記突出部60の上端部外側には、環状の段部64が形成され、この段部64にベアリング42が嵌合する。一方、前記突出部60が立ち上がる部位、すなわち、底部58の肩部にはプーリ40が嵌合し、適宜の固着手段、例えば、ねじ70で固着される。なお、前記孔66の中心軸は、前記AZ軸部38に直交する水平回転軸(AZ軸)68である。
ここで、前記プーリ40の外側部72には、第1モータ56の回転軸74(図5及び図6参照)に取り付けられたプーリ76との間で、タイミングベルト78が懸架されている。
図7に示すように、ベアリング42の上面と突出部60の上面とは略同一の高さであり、前記突出部60の上面と、前記ベアリング42の上面におけるAZ軸68寄りの部分とを覆うように、略円環状の第1ベアリング押え板44(図1、図2及び図7参照)が固着されている。また、ベアリング42の上面には、略矩形状の第2ベアリング押え板46が、第1ベアリング押え板44を囲繞するように所定距離離間して載置されている。
さらに、ベースプレート50の上面の高さは、前記ベアリング42の上面及び突出部60の上面と略同一の高さである。前記第2ベアリング押え板46は、前記ベアリング42の上面における前記ベースプレート50寄りの部分と、前記ベースプレート50の上面における前記ベアリング42寄りの部分とを覆うようにして載置され、前記ベースプレート50は、前記第2ベアリング押え板46と一体化される。
さらにまた、突出部60の段部64近傍には、保持板48が配置され、この保持板48は、前記ベースプレート50に固定される。
従って、第1回転機構30内におけるベアリング42は、AZ軸部38及びベースプレート50によって矢印B方向において規制され、第1ベアリング押え板44、第2ベアリング押え板46及び保持板48によって矢印A方向(AZ軸68方向)において規制されている。一方、前記ベースプレート50は、前記第1ベアリング押え板44及び前記第2ベアリング押え板46を介してAZ軸部38に支持されている。これにより、ベアリング42は、AZ軸部38、第1ベアリング押え板44、第2ベアリング押え板46、保持板48及びベースプレート50によって構成されるベアリング収容部51に収容される。
ここで、前記RFU54は、前述した船舶内の各通信機器からケーブル22を介して入力された信号を増幅し、増幅した前記信号をアンテナ部36から電波として図示しない静止衛星に送信するための電気部品であると共に、内臓された図示しないパワートランジスタ等から発生する熱を放熱する発熱体でもある。
この場合、RFU用基板52は、図2及び図6に示すように、前記ベースプレート50の底面において、アンテナ装置10の前面側から背面側、すなわち、矢印C方向に延在して配置されている。そして、RFU54は、RFU用基板52の底面全体を略覆い、且つ、平面視で、支持機構32を構成するフレーム90の一部と重なり合い、さらに、側面視で、アンテナ部36の回動範囲と干渉しないような厚みを有して、該RFU用基板52の底面に平面的に配置されている(図4及び図6参照)。さらにまた、アルミニウム製の前記ベースプレート50は、前記RFU54の前記アンテナ部36に対するシールド部として機能する。
ここで、アンテナ装置10の前記前面側とは、図2及び図5に示すように、支持機構32について、第2回転機構34を片持ち支持する該支持機構32の先端部側(矢印C1方向側)を称するものであって、前記背面側とは、前記支持機構32が第1回転機構30に固定される基端部側(矢印C2方向側)をいう。
さらに、前記ベースプレート50(図6参照)の底面には、該ベースプレート50が回転した際のプーリ40に対する該ベースプレート50の回転角度を計測する角度センサ96が配置されている。
さらに、図1、図2及び図4〜図7に示すベースプレート50の上面のうち矢印C2方向の箇所であって、支持機構32を構成するフレーム90の基端部近傍には、第1モータ56が取付板92(図1、図2及び図7参照)を介して配置されている。
第1モータ56の回転軸74(図5及び図6参照)は、前記ベースプレート50及び前記保持板48(図6及び図7参照)を貫通し、且つ該第1モータ56から矢印A2方向に延在して設けられており、その先端部分にはプーリ76が取り付けられている。前記プーリ76とプーリ40との間には、図6に示すように、タイミングベルト78が懸架されている。
さらに、ベースプレート50の矢印C1方向の縁部には、図1、図5及び図6に示すように、アンテナ装置10全体の重量バランスを調整するためのウェイト100が、前記ベースプレート50に締結固定されている。
保持板48には、アンテナ装置10の制御回路としてのアンテナ制御ユニット(ACU)104が配置されている(図1及び図2参照)。この場合、前記ACU104は、AZ軸68と軸対称にRFU54の反対側に配置されている(図4及び図7参照)。また、前記ACU104の上面には、図2、図4、図5及び図7に示すように、GPSユニット106が配置され、該GPSユニット106は、ケーブル108及びコネクタ110を介して前記ACU104と電気的に接続されている。
また、ACU104は、ケーブル112を介してRFU54と電気的に接続され(図1参照)、一方で、前記RFU54は、ケーブル114を介して第2回転機構34と電気的に接続され、且つケーブル116を介してアンテナ部36と電気的に接続されている(図1及び図4参照)。
なお、AZ軸部38の孔66(図7参照)には、ケーブル22のコネクタ118と、ACU104から延在するケーブル120のコネクタ122とを電気的に接続するロータリージョイント124が配置されている。
支持機構32は、図1、図2及び図5に示すように、アルミニウム製のフレーム90を含み、前記フレーム90の基端部は、ベースプレート50の上面における矢印C2方向に配置された第1モータ56(図2及び図5参照)の近傍に固定され、該フレーム90の先端部は、図2、図5、図8及び図9に示す第2回転機構34の一端を片持ち支持している。前述したように、前記フレーム90は、平面視で、RFU54と一部重なり合うように配置されている(図6参照)。これにより、前記RFU54で発生し、RFU用基板52及びベースプレート50を介して伝えられた熱を該フレーム90から外部に放熱することができる。
また、フレーム90のうち基端部近傍には、第2モータ134(図1参照)が固定され、該第2モータ134の回転軸140は、図2及び図5に示すように、前記フレーム90を貫通し、その先端部にはプーリ142が取り付けられている。
第2回転機構34は、図2、図5、図8及び図9に示すように、フレーム90の先端部によって一端が片持ち支持された保持部150と、第3モータ152と、前記保持部150の上面及び前記第3モータ152の上面に設けられた取付板154と、前記保持部150から矢印A2方向に延在する取付板156を介して該保持部150に支持される角度センサ158と、前記取付板156を介して前記保持部150に支持される角度センサ用基板160とから構成される。
保持部150及び第3モータ152は、前記取付板154に締結固定され、前記第3モータ152の回転軸164には、プーリ166が取り付けられている。
前記保持部150には、図9に示されるように、大径な凹部170と、この凹部170と反対側にそれと同径な凹部174とが形成され、前記凹部170及び前記凹部174は、小径な孔172により連通している。この場合、前記凹部170、前記孔172及び前記凹部174の中心軸は、矢印B方向に沿ったEL軸176である。
そして、保持部150をフレーム90に固定支持する第1固定手段180が、凹部170、孔172及び凹部174を挿通して配置されている。
具体的には、前記第1固定手段180は、EL軸176に沿って孔172に配置される略円筒状の間座182と、前記EL軸176と同軸に凹部170に配置されたベアリング184と、前記EL軸176と同軸に凹部174に配置されたベアリング186と、前記フレーム90の先端部に形成された孔188を貫通し、且つ前記ベアリング184と前記間座182と前記ベアリング186とに挿通するねじ190と、前記ねじ190に係合するナット192とを有する。
さらに、前記第1固定手段180は、前記ベアリング186と前記フレーム90との間に配置され、且つ前記ねじ190が挿通する略円環状のスペーサ194と、前記フレーム90と前記ねじ190の頭部との間に配置され、且つ前記ねじ190が挿通する略円環状のスペーサ196とを有する。
さらにまた、前記ベアリング184と凹部170の矢印B1方向の底面198との間には、第1与圧手段である略円環状のベルビルスプリング200が介挿されている。
また、凹部174が形成される保持部150は、段差部202を有し、プーリ204が前記段差部202と嵌合するように配置されている。前記プーリ204は、ねじ208(図8及び図9参照)によって前記保持部150に固定されている。さらに、前記プーリ204と、図1に示す第2モータ134の回転軸140(図2及び図5参照)に取り付けられたプーリ142との間にはタイミングベルト206が懸架されている(図2、図5及び図8参照)。
この場合、フレーム90のうちプーリ204寄りの箇所には、前記プーリ142と平行にアイドラプーリ209(図5、図8及び図9参照)が配置されている。このアイドラプーリ209は、タイミングベルト206にテンションを付与するためのプーリである。
一方、前記保持部150には、図10に示されるように、取付板154に対向して大径な凹部212が形成され、この凹部212と反対側にそれと同径な凹部214が形成され、前記凹部212及び前記凹部214は、小径な孔216により連通している。この場合、前記凹部212、前記孔216及び前記凹部214の中心軸は、矢印A方向に沿ったクロスEL軸(XEL軸)218である。
そして、取付板154には、XEL軸218と同軸に孔220が形成され、前記孔220、前記凹部212、前記孔216及び前記凹部214を挿通してアンテナ部36を保持部150に固定支持する第2固定手段222が配置されている。
具体的には、前記第2固定手段222は、XEL軸218に沿って孔216に配置される略円筒状の間座224と、前記XEL軸218と同軸に凹部212に配置されたベアリング226と、前記XEL軸218と同軸に凹部214に配置されたベアリング228と、前記孔220に貫通し、且つ前記ベアリング226と前記間座224と前記ベアリング228とに挿通するねじ230と、前記ねじ230に係合するナット232とを有する。
さらに、前記第2固定手段222は、前記ベアリング226よりも矢印A1方向においてねじ230が貫通する略円筒状のプーリ取付部234と、前記プーリ取付部234に嵌合するプーリ236とを有する。この場合、前記プーリ236は、ねじ242(図8参照)によって、前記プーリ取付部234に締結固定されている。
さらにまた、前記ベアリング228と凹部214の矢印A1方向の底面238との間には、第2与圧手段である略円環状のベルビルスプリング240が介挿されている。
一方、図1、図2、図4、図5及び図8に示すアンテナ部36を構成する地導体板250の背面252(図2、図5及び図8)の中央部分には、該地導体板250を保持部150に固定支持するためのアンテナ取付部254が設けられ、該アンテナ取付部254は、矢印C2方向に向って突出する略台形状の突出部256、258(図2、図5及び図8〜図10参照)を含む。
ここで、前記突出部256は、ねじ260によって前記プーリ取付部234に締結固定されている。一方、ねじ261は、突出部258を介して前記ナット232と締結固定する。
また、図2、図5及び図8に示すように、プーリ236の外周面と、第3モータ152の回転軸164に取り付けられたプーリ166とには、タイミングベルト262が懸架されている。
さらに、図2及び図5に示す角度センサ158は、EL軸176(図9参照)を中心にアンテナ部36が仰角方向に回転した際の回転角度と、XEL軸218(図5及び図10参照)を中心に前記アンテナ部36が偏波角方向に回転した際の回転角度とを各々検出し、検出結果を角度センサ用基板160に配置された電子回路に出力する。前記電子回路は、検出結果を示す信号をケーブル114(図1及び図4参照)を介してRFU54に出力する。
図1、図2、図4、図5及び図8に示すアンテナ部36は、前述した地導体板250と、該地導体板250の前面270の中央部分に配置されたシールドケース272と、前記前面270上で前記シールドケース272の周囲に配置された複数のアンテナ274と、前記地導体板250の背面252に配置されたアンテナ取付部254とを有する。
地導体板250は、その中央部分が開口された略円盤状のアース板であり、矢印A1方向の外周部分と、矢印A2方向の外周部分とは矢印C2方向に折り曲げられている。また、シールドケース272は地導体板250と共にシールドされており、該シールドケース272の内部には、図示しない受信回路(低雑音増幅器)やアンテナ共用器が内蔵されている。この場合、前記受信回路や前記アンテナ共用器は、ケーブル116(図1及び図4参照)によってRFU54(図4、図6及び図7参照)と電気的に接続されている。
また、各アンテナ274は、図1、図4及び図5に示すように、アンテナ部36の前面270に固定された電気絶縁物276表面に配置された給電用アンテナ素子278と、前記給電用アンテナ素子278上に固定された電気絶縁物280と、前記電気絶縁物280上に固定された無給電用アンテナ素子282とから構成されている。この場合、各アンテナ274は、地導体板250の前面270において、対角線上に配置され、前記各無給電用アンテナ素子282は、ねじ284によって、前記地導体板250に締結固定されている。
さらに、各給電用アンテナ素子278は、シールドケース272内の前記アンテナ共用器と電気的に接続され、該給電用アンテナ素子278の両端部は、前面270側からアンテナ部36を視た場合、図1及び図4に示すように、電気絶縁物280及び無給電用アンテナ素子282からはみ出している。ここで、RFU54(図4、図6及び図7参照)からケーブル116(図1及び図4参照)及び前記アンテナ共用器を介して各給電用アンテナ素子278に信号が出力されると、前記各給電用アンテナ素子278において前記信号が電波に変換され、変換された前記電波が前記各給電用アンテナ素子278から外部の静止衛星等に向けて放射される。一方、前記各給電用アンテナ素子278が外部の静止衛星等から電波を受信すると、受信した前記電波を信号に変換し、前記アンテナ共用器から前記受信回路に出力する。前記受信回路は、入力された前記信号を増幅し、増幅された前記信号を前記ケーブル116を介して前記RFU54に出力する。
本実施形態に係るアンテナ装置10は以上のように構成されるものであり、次に、その動作について図1〜図10を参照しながら説明する。
先ず、フレーム90によって第2回転機構34をベースプレート50の上方で片持ち支持し、且つ前記第2回転機構34によってアンテナ部36を固定支持するための作用について説明する。
図9に示すように、ねじ190がフレーム90の孔188を貫通し、該ねじ190とナット192とが係合した状態において、図示しない工具を用いて該ナット192を矢印B1方向に進行させると、前記ベルビルスプリング200からベアリング184の矢印B1方向側の表面に押圧力が作用し、前記ベアリング184が与圧される。これにより、寸法誤差によって発生するベアリング184のいわゆるガタツキが前記ベルビルスプリング200で補償される。従って、保持部150を前記第1固定手段180によってフレーム90に確実に固定支持することができる。
一方、図10に示すように、ねじ230がプーリ取付部234を貫通し、該ねじ230と前記ナット232とが係合した状態において、図示しない工具を用いて該ナット232を矢印A1方向に進行させると、前記ベルビルスプリング240からベアリング228の矢印A2方向側の表面に押圧力が作用し、前記ベアリング228が与圧される。これにより、寸法誤差によって発生するベアリング228のいわゆるガタツキが前記ベルビルスプリング240で補償される。従って、アンテナ部36に関し、突出部256及びねじ260を介してプーリ取付部234に固定し、突出部258を介してねじ261をナット232と締結固定して、該アンテナ部36を前記保持部150に確実に固定支持することが可能となる。
次に、アンテナ装置10について、アンテナ部36をAZ軸68を中心にして方位角方向に回転し、EL軸176を中心にして仰角方向に回転し、さらに、XEL軸218を中心にして偏波角方向に回転させる動作について、図1、図2及び図3〜図10を参照しながら説明する。
先ず、第1モータ56を駆動して回転軸74を回転させると、プーリ76が回転し、これに懸架されるタイミングベルト78によりプーリ40が回転する。この場合、前記プーリ40はAZ軸部38に固定され、前記AZ軸部38は台座14に固定されているので、第1モータ56による回転力では前記プーリ40は回転しない。そのため、この回転力は、前記第1モータ56に対し取付板92を介して締結固定されたベースプレート50及び保持板48の回転力となる。
従って、第1モータ56は、回転軸74を回転させることによって、AZ軸68を中心にしてベースプレート50及び保持板48を、無負荷状態における前記回転軸74の回転速度と比較して、極めてゆっくりとした回転速度で、該回転軸74の回転方向、すなわち方位角方向に回転させる。
前述したように、ベースプレート50の上面には、取付板92を介して第1モータ56と、フレーム90の基端部とが固定され、前記フレーム90は第2回転機構34の一端を片持ち支持し、前記第2回転機構34はアンテナ部36を支持している。一方、ベースプレート50の底面にはRFU用基板52を介してRFU54が固定されている。そのため、前記ベースプレート50の回転に伴い、前記第1モータ56、前記フレーム90、前記第2回転機構34、前記アンテナ部36及び及び前記RFU54は、AZ軸68を中心にして所望の方位角方向に回転する。
この場合、前記ベースプレート50の内側にベアリング42が配置されているので、前記ベースプレート50及び前記保持板48を回転させる際に、前記回転軸74に作用する摩擦が軽減され、上述した前記ベースプレート50及び保持板48を円滑に回転させることができる。
なお、ベースプレート50の底面には角度センサ96が配置されており、前記角度センサ96は、前記ベースプレート50が回転した際のプーリ40に対する該ベースプレート50の回転角度を計測する。
従って、第2回転機構34を介して前記フレーム90に支持されているアンテナ部36も、前記フレーム90の回転に伴い、前記AZ軸68を中心にして回転するので、第1モータ56の駆動による回転軸74の回転によって、該アンテナ部36は所望の方位角方向に回転自在となる。
ここで、第1モータ56の駆動により回転軸74が回転し、これに伴ってベースプレート50及び保持板48がAZ軸68を中心に回転すれば、ACU104に接続されたケーブル120も前記AZ軸68を中心に回転するが、前記ロータリージョイント124におけるコネクタ122のジョイント部分も前記AZ軸68を中心に回転するので、ケーブル22とケーブル120との間に電気的支障は生じない。
次に、第2モータ134が駆動して回転軸140が回転すると、プーリ142も回転し、前記プーリ142の回転力がタイミングベルト206を介してプーリ204に伝達される。ここで、前記プーリ204が保持部150に固定され、保持部150を含む第2回転機構34は、アンテナ部36を固定支持しているので、前記タイミングベルト206により前記プーリ204が回転し、この回転によって前記保持部150及びアンテナ部36は、EL軸176を中心にして所望の仰角方向に回転自在となる。
さらに、第3モータ152が駆動して回転軸164が回転すると、プーリ166も回転し、前記プーリ166の回転力がタイミングベルト262を介してプーリ236に伝達される。ここで、前記プーリ236がプーリ取付部234に固定され、前記プーリ取付部234が、ねじ260を介して突出部256を固定されている。一方、前記プーリ取付部234にはねじ230が挿通し、前記ねじ230とナット232とが係合している。さらに、ねじ261は、突出部258を介してナット232と締結固定している。そのため、前記タイミングベルト262により前記プーリ204が回転し、この回転によって前記各突出部256、258に接続された地導体板250を含むアンテナ部36は、XEL軸218を中心に所望の仰角方向に回転自在となる。
このように、本実施形態に係るアンテナ装置10では、アンテナ部36に接続される第2回転機構34の一端を支持機構32で支持する、いわゆる片持ち支持構造を採用しているので、両端支持構造の従来技術に係るアンテナ装置と比較して、装置全体に占めるアンテナ支持部分としてのフレーム90のスペースが削減され、装置全体の小型化を容易に達成することができ、しかも、短時間で容易に組み立てられると共に、耐振性が一層向上する効果が得られる。
また、第1与圧手段としてのベルビルスプリング200が第1固定手段180のベアリング184を与圧し、且つ第2与圧手段としてのベルビルスプリング240が第2固定手段222のベアリング228を与圧するだけで、アンテナ部36が第2回転機構34及び支持機構32を介して第1回転機構30に支持されるので、製造工程においてアンテナ装置10を短時間で組立てることが可能となる。また、間座の寸法調整のような精密な機械加工が不要となるので、前記間座の寸法精度によって振動を抑制することができないという問題が解消され、より耐振性の高いアンテナ装置10を実現することができる。
また、本実施形態に係るアンテナ装置10では、RFU54から発生する熱がRFU用基板52及びベースプレート50を介して支持機構32を構成するフレーム90に伝達されるが、この熱は前記フレーム90から外部に放熱されるので、従来技術に係るアンテナ装置と比較してヒートシンク等の配置が不要となり、前記アンテナ装置10全体を小型化しても前記RFU54から発生する熱を効率よく放熱することができる。また、前記ヒートシンクが不要となるので、製造工程における前記アンテナ装置10の組立時間の短縮や製造コストの削減が可能となる。
また、ベースプレート50の底面に配置されたRFU用基板52を介してRFU54が配置されているので、アンテナ部36を所望の方位角方向、仰角方向及び偏波角方向に回転しても、前記アンテナ部36と前記RFU54との干渉を回避できる。さらに、前記ベースプレート50及び前記RFU用基板52を介して支持機構32の直下に前記RFU54が配置されているので、前記RFU54で発生する熱を前記RFU用基板52及び前記ベースプレート50を介して前記フレーム90に伝達されるが、この熱を前記フレーム90から外部に効率よく放熱することが可能となる。また、前記RFU54の内部には実装された図示しないパワートランジスタ等からの熱を効率よく放熱することが可能となる。
さらに、本実施形態に係るアンテナ装置10によれば、RFU54が、第1回転機構30におけるアンテナ部36の前面270側から背面252側にかけて平面的に配置されているので、船舶等の揺動により発生する振動や、前記第1回転機構30を回転させた際に発生する振動を前記RFU54によって抑制することができる。また、前記RFU54が前記アンテナ部36よりも低位置に配置されているので、前記アンテナ部36を所望の方位角方向、仰角方向及び偏波角方向に回転させても、前記RFU54が前記アンテナ部36からのアンテナパターンを干渉することはない。従って、該アンテナ装置10を小型化しても、前記アンテナパターンに対する干渉を回避し、且つ各種の振動を抑制することが可能となる。
また、ベースプレート50の上方に支持機構32及び第2回転機構34を介してアンテナ部36が配置される一方で、前記ベースプレート50の底面に配置されたRFU用基板52を介してRFU54が配置されているので、前記アンテナ部36を所望の方位角方向、仰角方向及び偏波角方向に回転させても、前記RFU54が前記アンテナ部36からの前記アンテナパターンを干渉することはない。
さらに、第1モータ56が、第1回転機構30におけるアンテナ部36の背面252側、すなわち、フレーム90の基端部分の近傍に配置されているので、アンテナ装置10を小型化しても該第1モータ56が前記アンテナパターンに干渉することはない。
さらにまた、本実施形態に係るアンテナ装置10では、ベアリング収容部51を構成するベースプレート50の上面に、第1モータ56とフレーム90とが配置され、該ベースプレート50の底面にRFU用基板52を介してRFU54が配置されているので、従来技術に係るアンテナ装置と比較して、これらの各構成要素を配置するためのスペースを削減することができ、装置全体の小型化を容易に達成することができる。また、前記ベースプレート50がRFU54のシールド部として機能するので、前記RFU54のシールドを容易に実現することができる。
なお、本発明に係るアンテナ装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。