JP4324042B2 - 床暖房構造 - Google Patents

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Description

本発明は床暖房構造に関し、例えば、ビル、オフィス等の鉄骨構造のコンクリート建築物はもとより、木造建築を主体とする一般家庭にも広範に適用でき、暖房効率が良く、蓄熱効率も高く、安全で快適な床暖房が行え、また、組付工事および発熱体の配索工事が専門の知識を有しない一般の施工業者にも迅速かつ確実に行え、作業性が良く、また、構造が堅牢で、保守・点検も容易に行えるものである。
従来、例えば、ビル、オフィス等の鉄骨構造のコンクリート建築物において、床仕上げ材とコンクリートスラブとの間に、発熱源として例えばPTC(Positive temperature Coefficient;正の温度係数)特性を利用した半導体よりなる面状発熱体を用いて、その発熱を利用して暖房を行う床暖房構造のものがある(例えば特許文献1参照)。
また、コンクリートスラブ等の床基盤から所定高さに設置される床仕上げ材の下面に敷設されて暖房を行う床暖房として、パーティクルボード等の木質系材料により形成した床下地パネルに設けた溝に加熱媒体として温水を通すための温水パイプを埋め込み、その上に捨張材、床仕上材を設けたものがある(例えば特許文献2参照)。
特開2000−213153号公報 特開2001−115639号公報
しかしながら、例えば発熱源として半導体よりなる面状発熱体の発熱を利用した特許文献1に記載の床暖房構造のものは、未だ高価な面状発熱体を何枚も床仕上げ材の下面に敷設しなければならないので、資材費、設備費が高価になる。しかも、面状発熱体を電気的に接続したり、配索工事を行うのには、専門施工者により行われ、施工には多くの時間と労作を必要とし、工事費および設備費は高価になっていた。また、必要な暖房時には低価格の深夜電力を使用して暖房を行うことがないので、電力料金も高価になっていた。
また、特許文献2に記載のように加熱媒体として温水を温水パイプ内に通す上記従来の床暖房は、コンクリートスラブ等の床基盤から所定高さに床下地パネルを設置して床仕上げ材の下面に床下地パネルを設け、この床下地パネルに設けた溝内に加熱媒体として温水を通すための温水パイプを埋め込んだ構造である。そして、パーティクルボードのような木質系材料よりなる床下地パネルを断熱層とするとともに、コンクリートスラブと温水パイプが埋設される床下地パネルとの間には大きな空間部が設けられたままの構造であるため、暖房時に温水パイプ内に温水を通して加熱した場合に、床下地パネルに熱伝導して失われる熱損失量が大きく、しかも、前記空間部への放熱が大きく、熱損失が甚だしくなり、暖房効率が悪いものであった。
また、特許文献2に記載の上記従来の床暖房は、暖房を行うための熱媒体として、温水を温水パイプ内に通すものであるので、暖房開始から所望の設定温度の床暖房を行うまでの立ち上がり時間が遅く応答性が悪いのと、暖房時の設定温度を所望温度に設定して温度制御を行うのが容易ではなかった。
しかも、特許文献2に記載の上記従来の床暖房は、熱媒体として温水を用いるので、ボイラー等の加熱設備、弁、計器類等、さらには温水管相互の接続個所における漏水対策を万全にしなければならなかった。また、加熱設備、弁類等が故障したり、破損したりした場合に新たなものと交換したり、漏水した場合には止水手段を施す等の保守・点検が容易ではなかった。
また、特許文献2に記載の上記従来の床暖房は、前述のように、コンクリートスラブ等の床基盤から所定高さに床下地パネルを設置する工程と、この床下地パネルに設けた溝内に加熱媒体として温水を通すための温水パイプを配管し、温水パイプ相互を接続する工程と、さらには、温水パイプを配管し、埋め込んだ床下地材の上面を床仕上げ材にて覆う構造であるので、施工工数が多く煩雑になり、施工には多くの労作と時間を要した。しかも、床下地パネルに温水パイプを配管するための溝加工を行ったり、また、溝内に温水パイプを配管し、温水パイプ相互を接続するのには、特殊な技能を有する熟練者により行わなければならず、配管には多くの手間と時間を必要とし、施工性が悪かった。
本発明は上記従来の欠点を解決し、暖房時の熱損失が少なく蓄熱性が良好であることにより、暖房効率に優れ、また暖房が必要な時に、既に所望の温度になっているという暖房の立ち上がり応答性が非常に良好であるとともに、暖房時の温度制御も迅速かつ確実に行え、また、保守・点検が容易であり、しかも、専門の知識を有しない一般の施工業者にも容易かつ確実に行え、施工性が良く、さらには設備費、施工費、製作コストが安価な床暖房構造を提供することを目的とする。
本発明は上記課題に鑑みなされ、請求項1に記載の発明は、(イ)鉄骨構造の建物の骨組み材の上面に敷設したデッキ鋼板と、フローリング、タイルカーペット等の床材と、前記デッキ鋼板上に、該床材との間に所望厚みに打設して形成されるコンクリートよりなる支持層と、該支持層の上面に設けられ、ウレタンフォーム等の断熱層を介して表面に形成した配索方向設定突出部群間の通路に可撓性を有する層状線熱体を所望列、所望段に配列するコンクリートよりなる発熱体配索パネルと、前記通路内に配索した層状線熱体を覆うメッシュ材と、該メッシュ材の上面から所望厚みに打設することにより前記通路内に層状線熱体を埋設、固化するセメントモルタルと、を備えた床暖房構造において、
(ロ)前記層状線熱体が、極低温から高温領域まで広温度範囲にわたり耐温度特性、機械的特性、電気的特性、もしくは耐化学薬品性等に優れたポリイミド系樹脂よりなり、かつ、防水性を有する電気絶縁材と、前記電気絶縁材を介してラミネートされて、合成樹脂分散媒に黒鉛、並びに、カーボンブラックよりなる導電性材料が分散、混入された複数層の層状発熱体とにより構成され、
(ハ)前記層状発熱体および前記電気絶縁材が、可撓性を有する断面略円筒形の合成樹脂容器内に同心円的に、かつ層状に収容されている
(ニ)ことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、(イ′)根太材間に断熱材を介して取付けられる支持金具と、該支持金具内に敷設され、表面には多数の配索方向設定突出部群が縦横に整列化して突設され、該配索方向設定突出部群間には通路が形成され、コンクリートにより形成された発熱体配索パネルと、前記通路内に所望列、所望段に配索され、可撓性を有する層状線熱体と、前記通路内に充填することにより前記層状線熱体を前記通路内に埋設、固化するセメントモルタル等の接着剤と、を備えた床暖房構造において、
(ロ′)前記層状線熱体が、極低温から高温領域まで広温度範囲にわたり耐温度特性、機械的特性、電気的特性、もしくは耐化学薬品性等に優れたポリイミド系樹脂よりなり、かつ、防水性を有する電気絶縁材と、前記電気絶縁材を介してラミネートされて、合成樹脂分散媒に黒鉛、並びに、カーボンブラックよりなる導電性材料が分散、混入された複数層の層状発熱体とにより構成され、
(ハ′)前記層状発熱体および前記電気絶縁材が、可撓性を有する断面略円筒形の合成樹脂容器内に同心円的に、かつ層状に収容されている
ことを特徴とする。
本発明は、暖房時の熱損失が少なく、暖房効率が良く蓄熱性が優れ、また暖房が必要な時に、所望温度になっているという暖房の立ち上がり応答性が非常に良好であるとともに暖房時の温度制御も迅速かつ確実に行え、また、保守・点検が容易であり、しかも、専門の知識を有しない一般の施工業者にも容易かつ確実に行え、施工性が良く、さらには設備費、施工費、製作コストが安価になる。
以下図面に従い、本発明を実施するための最良の形態につき詳細を説明する。
図1は本発明の床暖房構造の実施形態1を示す拡大断面図、図2は同じく床材を省略した状態の施工例の一例を示す平面図、図3は同じく断面図、図4は本実施形態1で使用する発熱体配索パネルの一例を示す拡大平面図、図5は同じく発熱体配索パネルの拡大側面図、図6は同じく本実施形態1で使用する層状線熱体を示す長手方向の拡大断面図、図7は同じく拡大断面図、図8は同じく本実施形態1で使用する発熱体配索パネルの他例を示す拡大平面図、図9は同じく拡大側面図である。
鉄骨構造の建物の骨組み材Hの上面に敷設したデッキ鋼板2と、フローリング、タイルカーペット等の床材3と、前記デッキ鋼板2上に、該床材3との間に所望厚みt1に打設して形成されるコンクリートC1よりなる支持層4と、この支持層4の上面に設けられ、ウレタンフォーム等の断熱層5を介して表面に形成した配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間の通路7に可撓性を有する層状線熱体8を所望列、所望段を配列するコンクリートC2よりなる発熱体配索パネル1と、前記通路7内に配索した層状線発熱体8を覆うメッシュ材9と、該メッシュ材9の上面から所望厚みt2に打設することにより前記通路7内に層状線熱体8を埋設、固化するセメントモルタル10とにより形成される。
なお、前記骨組み材Hとしては、図示ではH型鋼が使用されるが、図示するものには限れず、I形鋼やロ形鋼でもよい。
前記支持層4は、例えばコンクリートをデッキ鋼板2上に打設することにより形成され、この支持層4はデッキ鋼板2と一体に形成されることにより、後記断熱層5、本実施形態1の発熱配索パネル1、メッシュ材9、セメントモルタル10、床材3を構造堅牢に支持するためのものである。
前記断熱層5としては、例えばウレタンフォーム、グラスファイバー等が使用される。
前記配索方向設定突出部群6,6,6・・・・は、本実施形態1では図示するように、平面略円柱形ないしは略円錐台形に形成される。そして、この多数の配索方向設定突出部群6,6,6・・・・の表面には、当該配索方向設定突出部群6,6,6・・・・の設置位置を表示する表示部11が設けられている(図4参照)。
この表示部11は、例えば数字、アルファベットのほか、記号、符号等があげられるが、識別性を発揮するものならば如何なるものであってもよい。
このように、表示部11を配索方向設定突出部群6,6,6・・・・に表示したのは、配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間に縦横に形成される通路7を施工図面に表示された層状線熱体8の配索図が示す表示と施工現場での発熱体配索パネル1の敷設状況に対応して確認することにより、この通路7に層状線熱体8を所望段、所望列に縦横に配索する場合に迅速かつ確実にするためである。
また、前記層状線熱体8は、図6、および図7に示すように、極低温から高温領域まで広温度範囲にわたり耐温度特性、機械的特性、電気的特性、耐化学薬品性等に優れたポリイミド系樹脂よりなる防水性の電気絶縁材12を介してラミネートされ、合成樹脂分散媒に黒鉛と、カーボンブラックとよりなる導電性材料13が分散、混入された複数層の層状発熱体14と、該層状発熱体14および前記電気絶縁材12を層状に収容する可撓性を有する合成樹脂容器15とにより形成される。
また、前記層状発熱体14および電気絶縁材12は、複数個が同心円的にかつ断面略円筒形の合成樹脂容器15内に配列されている。このように、本実施形態1に用いる層状線熱体8は、層状発熱体14および電気絶縁材12が、複数個が同心円的にかつ断面略円筒形の合成樹脂容器15内に配列されているので、外容積はコンパクトでありながら、複数層の層状発熱体14は中心から外周に向かって放射状に均一に放熱し、熱伝導されるとともに中心から外周に複数層の各層状発熱体14から放熱される熱は重畳的に放熱が行われ、全体的には大きな熱量が得られる。
本実施形態1の発熱体配索パネルは以上の構成からなり、以下施工例の一例を工程順に説明する。
本発明の実施形態1は、基本的には、コンクリートC2により形成され、表面には多数の配索方向設定突出部群6,6,6・・・・が縦横に整列化して突設され、該配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間には通路7が形成された発熱体配索パネル1を敷設し、可撓性を有する層状線熱体8を前記通路7内に所望列、所望段に配索する。
この詳細を、鉄骨構造の建物に層状線熱体8を敷設する場合につき説明すると、
先ず、第1工程として、鉄骨構造の建物の骨組み材Hの上面にデッキ鋼板2を敷設する。
次いで、第2工程として、該デッキ鋼板2上に所望厚みt1のコンクリートC1を打設して支持層4を形成する。
このように、デッキ鋼板2上に例えばコンクリートC1を所望厚みt1に打設して支持層4を形成することにより、支持層4はデッキ鋼板2と一体に形成され、後述の上部構造物を構造堅牢に支持する。
この際、用いるコンクリートC1は、骨材として所望粒径の砂利、砂を用いるほか、骨材として蓄熱カプセルを用いて蓄熱作用を発揮するようにしてもよい。
その後、第3工程として、該コンクリートC1の上面にウレタンフォーム等の断熱層5を積層する。
それから、第4工程として、コンクリートC2により形成され、表面には多数の配索方向設定突出部群6,6,6・・・・が縦横に整列化して突設され、該配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間には通路7が形成された本実施形態1の発熱体配索パネル1を前記断熱層5を介して敷設する。この断熱層5および発熱体配索パネル1は、床暖房を行うべき床面積の広さに対応して敷設するが、発熱体配索パネル1は縦横の寸法が異なる大きさのものを何種類か用意して現場状況に合わせて適当に選択して使用する。
そして、第5工程として、可撓性を有する層状線熱体8を前記通路7,7,7・・・内に所望列、所望段に配索する(図2参照)。
この際、本実施形態1の発熱体配索パネル1は、発熱体配索パネル1の表面に縦横に整列化して形成された平面略円柱形ないしは平面略円錐台形の多数の配索方向設定突出部群6,6,6・・・・の表面には、図4に示すように当該配索方向設定突出部群6,6,6・・・・の設置位置を表示する表示部11が設けられているので、配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間に縦横に形成される通路7,7,7・・・に層状線熱体8を配索する場合に、専門的な知識を有しない一般施工業者等は表示部11を手掛かりとして配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間に形成される通路7,7,7・・・のうち、配索すべき層状線熱体8に適う通路7を施工図面に表示される内容と施工現場での敷設状況、例えば暖房等の空気調和機の吹出口に近い個所であるとか、もしくは遠い個所であるとか、または日差しが入り易い窓に近い個所であるとか、もしくは遠い個所であるとかに対応して敷設個所を確認することにより、専門的な知識を有しない一般施工業者でも容易かつ確実に配索することができる。
そして、直線状に縦横に設けられた配索方向設定突出部群6,6,6・・・・;6,6,6・・・・間に形成された直線状の通路7,7,7・・・には層状線熱体8を直線状に配索する。また、配索方向設定突出部群6は、平面略円柱形ないしは平面略円錐台形に形成されているので、層状線熱体8の配索方向を変更する場合には、方向変更箇所に位置する配索方向設定突出部群6の曲率に沿って層状線熱体8を如何なる位置でも屈曲することにより層状線熱体8を所望方向に容易かつ迅速に配索方向を変更して層状線熱体8を配索することができる。
そして、一般施工業者でもこの通路7に層状線熱体8を迅速かつ確実に所望段、所望列に縦横に配索することができ、便利であるとともに施工効率は向上される。
その後、第6工程として、前記通路7内に配索した層状線発熱体8をメッシュ材9により覆う。
それから、第7工程として、該メッシュ材9の上面からセメントモルタル10を所望厚みt2に打設することにより前記通路7内に層状線熱体8をセメントモルタル10により埋設、固化する。この際、セメントモルタル10の厚みt2の調整は、床材3の設置高さに合わせて自由に設定することができる。また、メッシュ材9は、セメントモルタル10が、固化後は補強機能を発揮し、セメントモルタル10に強度を与え、ひび割れ、亀裂が生ずるのを防止する。
さらに、第8工程として、上面にフローリング、タイルカーペット等の床材3を敷設することにより、床暖房における層状線熱体8の配索作業を終える。
本発明の床暖房の発熱体の配索方法の実施形態1は以上のように、鉄骨構造の建物の骨組み材Hの上面に敷設したデッキ鋼板2と、フローリング、タイルカーペット等の床材3との間において、前記デッキ鋼板2の上には、所望厚みt1に打設したコンクリートC1よりなる支持層4を形成する。
そして、この支持層4の下方には、本実施形態1では、上面にウレタンフォーム等の断熱層5を介して表面に形成した配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間の通路7に層状線熱体8を所望列、所望段を配列したコンクリートC2よりなる発熱体配索パネル1を設ける。
さらに通路7内に配索した層状線熱体8をメッシュ材9により覆い、このメッシュ材9の上面からさらにセメントモルタル10を所望厚みt2に打設することにより前記通路7内に層状線熱体8をセメントモルタル10により埋設、固化したので、施工工数が割合少なく、簡素化されて未熟練者でも容易かつ迅速に施工効率が良く施工が行えるとともに構造が堅牢な床暖房を形成することができる。
また、本実施形態1の層状線熱体8は、例えば図6、図7に示すように、極低温から高温領域まで広温度範囲にわたり耐温度特性、機械的特性、電気的特性、耐化学薬品性等に優れたポリイミド系樹脂よりなる防水性の電気絶縁材12を介してラミネートされ、合成樹脂分散媒に黒鉛と、カーボンブラックとよりなる導電性材料13が分散、混入された複数層の層状発熱体14と、該層状発熱体14および前記電気絶縁材12を層状に収容する可撓性を有する合成樹脂容器15とにより形成されるので、層状線熱体8は可撓性を発揮され、コンクリートC2により形成された発熱体配索パネル1の表面に縦横に整列化して形成した多数の配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間に形成する通路7,7,7・・・に迅速かつ確実に所望段、所望列に縦横に配索することができ、便利である。
この際、直線状に縦横に設けられた配索方向設定突出部群6,6,6・・・・;6,6,6・・・・間に形成された直線状の通路7,7,7・・・に層状線熱体8を配索する場合には直線状に配索する。また、配索方向設定突出部群6は、平面略円柱形ないしは平面略円錐台形に形成されているので、層状線熱体8の配索方向を変更する場合には、配索方向設定突出部群6の曲率に沿って如何なる位置においても層状線熱体8を屈曲することにより所望方向に容易かつ迅速に配索方向を変更して層状線熱体8を配索することができる。
そして、層状線発熱体8の配索作業は効率化され、施工効率は向上される。
また、本実施形態1は、前述のように、極低温から高温領域まで広温度範囲にわたり耐温度特性、機械的特性、電気的特性、耐化学薬品性等に優れたポリイミド系樹脂よりなる防水性の電気絶縁材12を介してラミネートされ、合成樹脂分散媒に黒鉛と、カーボンブラックとよりなる導電性材料13が分散、混入された複数層の層状発熱体14と、該層状発熱体14および前記電気絶縁材12を層状に収容する可撓性を有する合成樹脂容器15とにより形成されるので、特許文献2に記載の従来の床暖房のように、暖房を行うための熱媒体として、温水パイプ内に通す温水が、暖房開始から所望の設定温度の床暖房を行うまでの立ち上がり時間が遅くて応答性が悪く、しかも暖房時の設定温度の制御を行うのに容易ではなかったのとは異なり、電力を層状線熱体8に供給することにより、層状線熱体8の立ち上がり時間が早く、応答性が良くなり、暖房時の設定温度を容易に所望温度に設定して温度制御が容易に行える。
そして、本実施形態1に用いる層状線熱体8は、層状発熱体14および電気絶縁材12が、複数個が同心円的にかつ断面略円筒形の合成樹脂容器15内に配列されているので、外容積はコンパクトでありながら、複数層の層状発熱体14は中心から外周に向かって放射状に均一に放熱し、熱伝導されるとともに中心から外周に複数層の各層状発熱体14から放熱される熱は重畳的に放熱が行われ、全体的には大きな熱量が得られ、効率良く、床暖房を行うことができる。
また、本実施形態1では、熱媒体として層状線熱体8を用いるものであり、温水を用いることにより、ボイラー等の加熱設備、弁、計器類等、さらには温水管相互の接続個所における漏水対策を必要とする特許文献2に記載の従来の床暖房設備とは異なり、加熱設備、弁、計器類、温水管等の部品を用いないので、これらの部品が破損したり、故障した場合に新たなものと交換するという手間と時間を要しないで済み、保守・点検は容易になる。
また、地震等における、配管類の亀裂や切断、液漏れ事故の心配がなく、安心して使用することができる。
しかも、本実施形態1の層状線熱体8は、支持層4となるコンクリートC1と、発熱体配索パネル1のコンクリートC2と、メッシュ材9の上面から打設されるセメントモルタル10とにより上面および下面、左右の側面の周囲が囲まれて蓄熱作用を発揮するので、熱損失は少なく、効率良く、床暖房を行うことができ、クリーンで安全な床暖房が行えるるとともに構造堅牢になり、強度を発揮する。
そして、上記のように、支持層4となるコンクリートC1と、発熱体配索パネル1のコンクリートC2と、セメントパネル10とが層状線熱体8に対して蓄熱作用を発揮するため、電力コストが低い深夜電力を用いて層状線熱体8を発熱させてコンクリートを暖め、その蓄熱作用を利用して床暖房を行うことにより、電力コストを低く、抑えることができ、鉄骨構造を骨組み材とする、例えばビル、マンション、工場等の建物の床暖房に実施するのに好適であるほか、例えばパソコン用の電源配線やランケーブルを床の下面に配索したいわゆるOAフロアを有するオフィスビルの床暖房としても好適である。
また、高齢化社会に適合した床暖房と言え、また、ホテルや学校、病院、老人ホーム等の施設の床暖房として好適である。
図10ないし図15は、本発明の床暖房の発熱体配索パネルを木造建築に適用した場合の実施形態2を示す。
この実施形態2は、根太材20,20間に断熱材21を介して取付けられる支持金具22と、該支持金具22内に敷設され、表面には多数の配索方向設定突出部群6,6,6・・・・が縦横に整列化して突設され、該配索方向設定突出部群6,6,6・・・・間には通路7が形成され、コンクリートC2により形成された発熱体配索パネル1と、前記通路7内に所望列、所望段に配索され、可撓性を有する層状線熱体8と、前記通路7内に充填することにより前記層状線熱体8を前記通路7内に埋設、固化するセメントモルタル等の接着剤10′とにより構成される。なお、23は大引材である。
なお、前記支持金具22が、図10に示すように断面略コ字形に形成されるか、または図13に示すように、断面略L字形の金具構成材22A,22Aを対向して形成するようにしてもよい。
そして、本実施形態2において床暖房の発熱体の配索方法を述べると、先ず、根太材20,20間に断熱材21を介して支持金具22を取付ける。
次いで、該支持金具22内に、コンクリートC2により形成され、表面には多数の配索方向設定突出部群6,6,6・・・・が縦横に整列化して突設され、該配索方向設定突出部群間6,6,6・・・・には通路7が形成された発熱体配索パネル1を敷設する。
そして、可撓性を有する層状線熱体8を前記通路7内に所望列、所望段に配索する。
さらに、セメントモルタル等の接着剤10′を前記通路7内に充填することにより前記層状線熱体8を前記通路7内に埋設、固化するほかは前記実施形態1の床暖房の発熱体配索パネル、および床暖房の発熱体の配索方法と同様の構成、作用、施工方法である。
本発明は暖房時の熱損失が少なく、暖房効率が良く、蓄熱性に優れ、また既に所望な温度になっているという暖房の立ち上がり応答性が非常に良好であるとともに暖房時の温度制御も迅速かつ確実に行え、また、保守・点検が容易であり、しかも、専門の知識を有しない一般の施工業者にも容易かつ確実に行え、施工性が良く、さらには設備費、施工費、製作コストが安価な用途・分野に適する。
そして、また本発明は、施工者の希望に合わせ、暖房の必要なエリア、不必要なエリアを簡単に指定することができ、施工が容易である。
さらに、省エネルギー時代にマッチした全館暖房における必要個所のみの暖房の有無も簡単に設定可能な床暖房方式を提供できる。
図1は本発明の床暖房構造の実施形態1を示す拡大断面図である。 図2は同じく床材を省略した状態の施工例の一例を示す平面図である。 図3は同じく断面図である。 図4は本実施形態1で使用する発熱体配索パネルの一例を示す拡大平面図である。 図5は同じく発熱体配索パネルの拡大側面図である。 図6は同じく本実施形態1で使用する層状線熱体を示す長手方向の拡大断面図である。 図7は同じく拡大断面図である。 図8は同じく本実施形態1で使用する発熱体配索パネルの他例を示す拡大平面図である。 図9は同じく拡大側面図である。 図10は本発明の床暖房構造の実施形態2を示す拡大断面図である。 図11は同じく施工例の一例を示す平面図である。 図12は同じく断面図である。 図13は同じく本実施形態2で使用する支持金具の一例を示す拡大正面図である。 図14は同じく拡大平面図である。 図15は同じく拡大側面図である。
符号の説明
1 発熱体配索パネル
2 デッキ鋼板
3 床材
4 支持層
5 断熱層
6 配索方向設定突出部群
7 通路
層状線熱体
9 メッシュ材
10 セメントモルタル
10′ セメントモルタル
11 表示部
20 根太材
21 断熱材
22 支持金具

Claims (2)

  1. (イ)鉄骨構造の建物の骨組み材の上面に敷設したデッキ鋼板と、フローリング、タイルカーペット等の床材と、前記デッキ鋼板上に、該床材との間に所望厚みに打設して形成されるコンクリートよりなる支持層と、該支持層の上面に設けられ、ウレタンフォーム等の断熱層を介して表面に形成した配索方向設定突出部群間の通路に可撓性を有する層状線熱体を所望列、所望段に配列するコンクリートよりなる発熱体配索パネルと、前記通路内に配索した層状線熱体を覆うメッシュ材と、該メッシュ材の上面から所望厚みに打設することにより前記通路内に層状線熱体を埋設、固化するセメントモルタルと、を備えた床暖房構造において、
    (ロ)前記層状線熱体が、極低温から高温領域まで広温度範囲にわたり耐温度特性、機械的特性、電気的特性、もしくは耐化学薬品性等に優れたポリイミド系樹脂よりなり、かつ、防水性を有する電気絶縁材と、前記電気絶縁材を介してラミネートされて、合成樹脂分散媒に黒鉛、並びに、カーボンブラックよりなる導電性材料が分散、混入された複数層の層状発熱体とにより構成され、
    (ハ)前記層状発熱体および前記電気絶縁材が、可撓性を有する断面略円筒形の合成樹脂容器内に同心円的に、かつ層状に収容されている
    (ニ)ことを特徴とする床暖房構造。
  2. (イ′)根太材間に断熱材を介して取付けられる支持金具と、該支持金具内に敷設され、表面には多数の配索方向設定突出部群が縦横に整列化して突設され、該配索方向設定突出部群間には通路が形成され、コンクリートにより形成された発熱体配索パネルと、前記通路内に所望列、所望段に配索され、可撓性を有する層状線熱体と、前記通路内に充填することにより前記層状線熱体を前記通路内に埋設、固化するセメントモルタル等の接着剤と、を備えた床暖房構造において、
    (ロ′)前記層状線熱体が、極低温から高温領域まで広温度範囲にわたり耐温度特性、機械的特性、電気的特性、もしくは耐化学薬品性等に優れたポリイミド系樹脂よりなり、かつ、防水性を有する電気絶縁材と、前記電気絶縁材を介してラミネートされて、合成樹脂分散媒に黒鉛、並びに、カーボンブラックよりなる導電性材料が分散、混入された複数層の層状発熱体とにより構成され、
    (ハ′)前記層状発熱体および前記電気絶縁材が、可撓性を有する断面略円筒形の合成樹脂容器内に同心円的に、かつ層状に収容されている
    (ニ′)ことを特徴とする床暖房構造。
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