JP4323909B2 - 摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置 - Google Patents
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Description
また、ツールの押圧力が2個以上のローラに分散することになり、ローラに過剰な負荷をかけずに摩擦撹拌接合することができる。
参照する図面において、図1は、本実施形態に係る摩擦撹拌接合装置の全体斜視図であり、図2は同側断面図である。図3は、本実施形態に係る中子治具の全体斜視図であり、図4は同中子治具の上部を拡大した側断面図である。
図1、図2に示すように、本実施形態に係る摩擦撹拌接合装置Sは、断面略コ字形を呈する2個の被接合部材1、1の被突き合わせ部1a、1aを突き合わせて構成された、中空部5aを有する筒状被接合部材5の突き合わせ部5bを接合する装置である。
ここで、本実施形態では、中子治具30とツール50の相対位置関係を保持して移動させず、筒状被接合部材5が配置されたテーブル10を矢印A2の方向に移動することで、筒状被接合部部材5を長手方向の矢印A3の向きに移動させ、筒状被接合部材5に対しツール50が接合方向の矢印A4の向きに移動して摩擦撹拌接合する場合について説明する。
テーブル10は、筒状被接合部材5が配置されるテーブル本体11と、筒状被接合部材5を長手方向において所定位置で保持する4つのストッパ12と、幅方向において保持する4つのストッパ13と、高さ方向において保持する4つのストッパ14を備えて構成されている。
テーブル本体11には、長手方向にネジ孔が穿設されており、このネジ孔に後記ネジ棒62が螺合されている。
また、ストッパ12、13、14により、筒状被接合部材5を、適宜、保持・開放可能となっている。なお、ストッパ12、13、14は、筒状被接合部材5の大きさ、形状等に応じて変更自由である。
裏あて部材20は、本実施形態では細長の板体であるが、この形状に限定されず筒状被接合部材5の形状に応じて変更してよい。この裏あて部材20は、摩擦撹拌接合時には、筒状被接合部材5の突き合わせ部5bの内側(中空部5a側)を覆うように当接されており、両端部がしゃこ万力21、21により、筒状被接合部材5に着脱自在に固定されている。すなわち、裏あて部材20は、筒状被接合部材5に一体的に固定されている。
さらに、後記するように、裏あて部材20には、ツール50の押圧力F1が荷重するため、硬度の高い材料から形成されることが好ましい。
このような材料としては、例えば、鋼が挙げられる。
次に、中子治具30について、図1、図2に加え、図3、図4を併せて参照して説明する。
図3に示すように、中子治具30は、架台31と、当座33と、架台31と当座33の間に介在した油圧ジャッキ35を備えて構成されている。油圧ジャッキ35は、配管(図示しない)を介して、バルブ、ポンプ等からなる油圧調整手段(図示しない)に接続しており、油圧を変化させることで、当座33を4本のガイド棒36で案内しつつ、鉛直方向に昇降自在となっている。
架台31は、いわゆる台車であり、6個の下ローラ31aを有しており、中空部5aを走行可能となっている。また、架台31は、後記連結棒41を介して支柱43(図1参照)に連結している。
また、当座33は、裏あて部材20に当接される2つの上ローラ33aを有している。この上ローラ33a、33aは、筒状被接合部材5の長手方向に並んで配置されている。
中子治具位置保持手段40は、図2に示すように、中子治具30の架台31に接続した連結棒41と、この連結棒41の一端部に接続したターンバックル42(微調整機構)と、このターンバックル42に接続した支柱43を備えて構成されている。支柱43は、床G等の所定位置に据え付けられており、この支柱43に対する中子治具30の位置を、ターンバックル42で微調整した上で、所望に保持可能となっている。
ツール50は、本実施形態では、テーブル10を跨ぐように、床の所定位置に据え付けられた門型の工作機械(例えば、NCマシニングセンタ)の先端部である。そして、この工作機械(図示しない)により、ツール50の姿勢、水平方向及び鉛直方向位置、回転速度等は制御自在となっている。
ツール50は、摩擦撹拌接合時に、突き合わせ部5bに挿入されるピン51(図4参照)と、摩擦接合撹拌の際に突き合わせ部5bを押圧する肩面52(図4参照)を有している。
テーブル移動手段60は、図1に示すように、テーブル10を長手方向にガイドするガイドレール61、61と、周面にネジ溝が刻まれたネジ棒62と備えて構成されている。
ガイドレール61、61は、例えば、床Gに適宜な手段で固定されている。ネジ棒62は、テーブル本体11を長手方向に貫通しており、図示しない軸受で回転自在に支持されている。さらに、ネジ棒62は、適宜な歯車機構(図示しない)を介して油圧モータ等の駆動装置(図示しない)に接続している。そして、この駆動装置(図示しない)でネジ棒62を矢印A1の向きに回転させることにより、テーブル本体11を矢印A2の方向に、すなわち筒状被接合部材5を矢印A3の方向に移動可能となっている。
エアホース71は、図2に示すように、連結棒41に沿うようにインシュロック(図示しない)等で配設されており、その一端側は、図3に示すように上ローラ33aに向けられている。一方、エアホース71の他端側は、空気圧縮機(図示しない)に接続しており、この空気圧縮機を適宜稼動させることで、上ローラ33aに向けてエアを吐出可能となっている。
続いて、摩擦撹拌接合装置Sの動作と共に、本実施形態に係る摩擦撹拌接合方法について説明する。
本実施形態に係る摩擦撹拌接合方法は、筒状被接合部材5の突き合わせ部5bを接合する摩擦撹拌接合方法であって、突き合わせ部5bの内側に裏あて部材20を当接し、裏あて部材20に転動可能に当接される上ローラ33a、33aを有する中子治具30を中空部5aに配置し、中子治具30で裏あて部材20を内側から支持し、筒状被接合部材5の外側から、中子治具30と相対位置関係を保持可能であって、所定速度で回転するツール50を、突き合わせ部5bのうち裏あて部材20を介して中子治具30で支持された部分に配置する第1工程と、中子治具30とツール50との相対位置関係を保持しながら、筒状被接合部材5(筒状被接合部材及びツールの少なくとも一方)を矢印A3の方向(長手方向)に移動させることにより、突き合わせ部5bを摩擦撹拌接合する第2工程を有している。
以下、各工程について詳細に説明する。
まず、図1に示すように、2個の断面略コ字形を呈する被接合部材1、1の被突き合わせ部1a、1aを突き合わせて、筒状被接合部材5を構成する。そして、筒状被接合部材5を、テーブル本体11の所定位置に配置する。次いで、筒状被接合部材5を、ストッパ12、13、14により、長手方向、幅方向、高さ方向において保持し、テーブル本体11に筒状被接合部材5を固定する。
次いで、中子治具位置保持手段40で、中子治具30の長手方向において、中子治具30を所定位置に固定する。
すなわち、ツール50の押圧力F1は、突き合わせ部5bを介し、一旦、裏あて部材20が突き合わせ部5bに当接する面(以下、当接面という)で支持され、この裏あて部材20が、2個の上ローラ33a、33aに支持されることになる。
なお、突き合わせ部5bに裏あて部材20を当接し、この裏あて部材20を中子治具30で支持し、ツール50を配置する順序は、これに限定されず適宜変更自由である。
前記相対位置関係を保持したまま、駆動装置(図示しない)を稼動させて、ネジ棒62を矢印A1方向に回転させ、テーブル10を矢印A2の方向に移動させる。そうすると、筒状被接合部材5が、矢印A3の方向に移動する。その結果、ツール50が、筒状被接合部材5に対して矢印A4の方向(長手方向)に進むことになり、ツール50により、筒状被接合部材5の突き合わせ部5bが摩擦撹拌接合される。そして、ツール50の後方側に、接合された摩擦撹拌接合部分5dが形成される。
このとき、上ローラ33aは、筒状被接合部材5と一体的に移動する裏あて部材20との摩擦により、矢印A6(図4参照)の方向に転動せしめられつつ、裏あて部材20を支持すると共に、下ローラ31aも回転する(図3参照)。結果として、中子治具30が、中空部5aを走行することになる。
上ローラ33aが1個の場合、突き合わせ部5bは、裏あて部材20、1個の上ローラ33aを介して中子治具30に支持されることになるが、ツール50の回転軸a1と、1個の上ローラ33aの回転軸が長手方向にずれても、ツール50の押圧力F1は、裏あて部材20の当接面を介して、1個のローラ33aに支持される。したがって、メタル漏れ等が発生しにくくなる。
さらに、ツール50による押圧力F1は、さらに分散されるため、上ローラ33bに掛かる負担は減少する。
また、筒状被接合部材の開口断面は、前記した矩形に限らず、その他の多角形、円形等であってもよい。
1 被接合部材
1a 被突き合わせ部
5 筒状被接合部材
5a 中空部
5b 突き合わせ部
10 テーブル
11 テーブル本体
20 裏あて部材
30 中子治具
33 当座
33a 上ローラ
40 中子治具位置保持機構
50 ツール
60 テーブル移動機構
71 エアホース
Claims (4)
- 被接合部材の被突き合わせ部を突き合わせて構成された、中空部を有する筒状被接合部材の突き合わせ部を接合する摩擦撹拌接合方法であって、
前記突き合わせ部の内側に裏あて部材を当接し、当該裏あて部材に転動可能に当接されるローラを有する中子治具を前記中空部に配置し前記裏あて部材を内側から支持し、前記筒状被接合部材の外側から前記中子治具と相対位置関係を保持可能であって、所定速度で回転するツールを、前記突き合わせ部のうち前記裏あて部材を介して前記中子治具で支持された部分に配置する第1工程と、
前記中子治具と前記ツールの相対位置関係を保持しながら、前記筒状被接合部材及び前記ツールの少なくとも一方を、前記筒状被接合部材の長手方向に移動させることにより、前記突き合わせ部を摩擦撹拌接合する第2工程と、
を有し、
前記第1工程及び前記第2工程において、前記ローラは、前記ツールの略真下に配置され、
前記第2工程において、エアホースの一端側から前記ローラの外周面に向かってエアを吐出することによって、前記ローラを冷却する
ことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。 - 前記中子治具は、前記ローラを前記長手方向に2個以上並んで有し、
前記ツールは、前記2個以上のローラの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦撹拌接合方法。 - 前記ツールを移動させず、前記筒状被接合部材を前記長手方向に移動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の摩擦撹拌接合方法。
- 被接合部材の被突き合わせ部を突き合わせて構成された、中空部を有する筒状被接合部材の突き合わせ部分を摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合システムであって、
前記筒状被接合部材が配置される筒状被接合部材台と、
前記突き合わせ部の内側に当接される裏あて部材と、
当該裏あて部材に転動可能に当接されるローラを有し、前記裏あて部材を内側から支持する中子治具と、
前記筒状被接合部材の外側から、前記中子治具と相対位置関係を保持され、前記突き合わせ部のうち前記裏あて部材を介して前記中子治具で支持された部分を摩擦撹拌接合するツールと、
前記筒状被接合部材台及び前記ツールの少なくとも一方を、前記被筒状接合部材の長手方向に移動させる移動機構と、
一端側から前記ローラの外周面に向かってエアを吐出することによって、前記ローラを冷却するエアホースと、
を備え、
前記ローラは、前記ツールの略真下に配置される
ことを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
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