JP4323828B2 - ブレーキディスク組立体におけるディスク摺動面の研削方法および研削装置 - Google Patents

ブレーキディスク組立体におけるディスク摺動面の研削方法および研削装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキディスク組立体におけるディスク摺動面の研削方法と、その研削方法の実施に用いられるディスク摺動面の研削装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌用ディスクブレーキにおいて制動時にブレーキディスクが振動する原因として、ブレーキディスク組立体を車軸に装着し回転させたときのディスク摺動面の面振れが指摘されている。それ故、ディスクロータ、ハブ及びベアリングを含むブレーキディスク組立体を車輌に実装した状態を加工機上に再現し、ディスクロータを回転させながら切削バイト等によりディスク摺動面に対し旋削(旋回切削)を施してディスク摺動面の面振れ精度を高める(つまり面振れを極力取り除く)ことにより、車輌への実装時におけるディスク摺動面の面振れを防止又は抑制する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−356233号公報(要約)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、旋削加工では旋削条件の設定を誤ると、切削バイト等の切削具の微振動に起因して被加工面(ディスク摺動面)に魚鱗状の切削痕(いわゆるビビリ)が現われ易く、旋削装置の管理が難しいという欠点がある。また、旋削加工で仕上げられたディスク摺動面にあっては、その摩擦係数が車輌制動回数に応じて変化し易く、シューとの摩擦回数が相当数に達し摩擦係数が安定化するまでの間、ブレーキ特性が安定しないという欠点もある。
【0005】
旋削加工には上記のような欠点があるため、本件では、ブレーキディスク組立体のディスク摺動面の加工に際し、旋削加工ではなく、一対の回転砥石による二摺動面の同時研削加工を採用することを提唱する。ただし後述するように、一対の回転砥石でディスクロータを挟圧しながら二つの摺動面を同時研削する場合、いくつかの解決すべき課題が存在する。
【0006】
本発明の目的は、ブレーキディスク組立体におけるディスク摺動面の面振れの防止又は抑制のために研削加工を採用することで、従来の旋削加工にありがちな欠点を克服すると共に、研削加工を採用することに伴う問題点を解消することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(発明の背景)
ディスクロータの二つの摺動面をそれぞれ対応する二つの回転砥石を用いて両面同時に研削する場合に、二つの回転砥石の同期制御が適切でないと、両砥石間でディスク(被加工物)に歪みが生じ、歪んだ状態のディスクに対して両面同時研削を施すことになってしまう。ディスクの歪みを放置したまま両面同時研削を強行したとしても、ディスクが二つの回転砥石間に挟まれている間はディスク摺動面の面振れは顕在化しないが、研削終了後にディスクから両回転砥石を離したときに、ディスクの歪みが戻ることでディスクに反りが生じ、これが新たな面振れの原因となり面振れ精度の向上につながらない。この点につき本件発明者らが鋭意研究したところ、両面同時研削においてディスクが歪む要因として少なくとも次の二つがあることが判明した。
【0008】
第1の要因は、各回転砥石の研削開始位置の設定が不適正なことによる偏荷重の発生である。研削対象たるディスクロータの各摺動面には、回転時において回転軸線方向への周期的な振れ(又は変位)があり、ディスク周方向の回転位相に応じて振れの大きい部位と小さい部位とが存在する。このため、ディスクの各摺動面に対してそれぞれの外側から直角にアプローチする各回転砥石が、周期的な振れを含む摺動面に対していかなる研削開始位置に初期配置されるかによって、研削開始当初から各砥石がそれぞれの摺動面を押す力(面圧)に差が生じ得る。例えば、第1の回転砥石が第1摺動面の外への振れの最大点に相当する位置を研削開始位置とする一方で、第2の回転砥石が第2摺動面の外への振れの最大点以外の位置を研削開始位置とするような場合には、研削開始の当初から、第1摺動面に対する第1回転砥石の面圧に比して、第2摺動面に対する第2回転砥石の面圧の方が大きくなる。それ故、両回転砥石に挟まれた部位において双方の面圧差に応じた偏荷重がディスクに作用してディスクが歪む。かかる状態のまま各回転砥石を同じ切込み速度で被加工面(摺動面)に向けて研削送りした場合には、研削終了時における両砥石の最終到達位置(研削終了位置)間の中点は、理想的な研削が施された場合のディスクの板厚中心からずれる結果となり、研削開始から終了までの全過程を通じてディスクを歪ませたまま研削を行うことになる。
【0009】
第2の要因は、双方の回転砥石間で研削抵抗の差が顕著なことによる偏荷重の発生である。一般に、強制回転させている被加工物の両面(二つの被加工面)を一対の回転砥石で挟みながら同時研削する場合、被加工物の回転抵抗又は回転動力を低減する等の目的で、第1の回転砥石の回転方向と第2の回転砥石の回転方向とが逆向きに設定される。即ち、二つの被加工面のうち一方をアッパーカットとし、他方をダウンカットとするのが通例となっている。第1及び第2の回転砥石を用いてディスクロータの二つの摺動面を同時研削する際に、上述のような回転砥石の回転方向設定を踏襲しつつ、二つの回転砥石の研削条件(砥石の回転速度や研削送りのための切込み速度)を同じにした場合には、第1回転砥石による第1摺動面の研削抵抗と、第2回転砥石による第2摺動面の研削抵抗とが大きく異なってしまう。その結果、各回転砥石がそれぞれの摺動面を削り取る量に格差が生じると共に、各回転砥石がそれぞれの摺動面を押す力(面圧)が不均衡となり、両回転砥石に挟まれた部位において双方の面圧差に応じた偏荷重がディスクに作用してディスクが歪む。こうして、ディスクを歪ませながら両摺動面の同時研削が行われることになる。
【0010】
本発明は、上述のような技術的知見に基づいてなされたものである。
【0011】
第1の発明(請求項1)は、
ハブベアリングを含むハブユニット及びディスクロータから構成されるブレーキディスク組立体を支持するワーク支持部、
そのワーク支持部に支持されたブレーキディスク組立体のディスクロータをハブベアリングを回転基準として強制回転させるワーク駆動部、
ディスクロータの回転軸線と平行な回転軸線を有すると共にディスクロータの第1及び第2摺動面に対してそれぞれ接近離間可能に設けられた第1及び第2回転砥石、
回転時におけるディスクロータの回転位相を検知する回転位相検知手段、並びに、
回転時におけるディスクロータの第1及び第2摺動面の回転軸線方向への振れ値をそれぞれ検知する第1及び第2の振れ検知器
を備えた研削装置を用いて、ディスクロータの第1及び第2摺動面を同時研削するブレーキディスク組立体におけるディスク摺動面の研削方法であって、
前記第1及び第2回転砥石による同時研削を開始する前の準備工程として、
前記回転位相検知手段並びに第1及び第2の振れ検知器を用いて、ディスクロータの第1及び第2摺動面の各々について、ディスクロータが1回転する間の回転位相と、回転軸線方向への摺動面の振れ値との関係を把握する摺動面振れ位相測定工程と、
第1及び第2回転砥石の各々について、各回転砥石を待機位置からディスク摺動面に向けて接近させ、その回転砥石がディスク摺動面に接触したときの回転位相及び待機位置からの移動距離を把握する摺動面位置測定工程と、
第1及び第2回転砥石の各々について、前記摺動面振れ位相測定工程で得られた回転位相と振れ値との関係を参照して、前記摺動面位置測定工程で得られた回転砥石がディスク摺動面に接触したときの回転位相から回転砥石接触時における摺動面の振れ値を割り出すと共に、その割り出した回転砥石接触時における摺動面の振れ値及び前記待機位置からの移動距離に基づいて、各摺動面の外への振れの最大値に相当する位置が各回転砥石の研削開始位置となるように各回転砥石の研削開始位置を算出し、それぞれの研削開始位置に第1及び第2回転砥石を初期配置する回転砥石初期配置工程と
を備えることを特徴とするディスク摺動面の研削方法である。
【0012】
この研削方法によれば、第1及び第2回転砥石による同時研削の開始前に、摺動面振れ位相測定及び摺動面位置測定を行い、そこから得られた各種測定データに基づき、各摺動面の外への振れの最大値に相当する位置が各回転砥石の実質的な研削開始位置となるように、第1及び第2回転砥石の各々の研削開始位置を算出することができる。第1回転砥石を第1摺動面の外への振れの最大値に相当する研削開始位置に、第2回転砥石を第2摺動面の外への振れの最大値に相当する研削開始位置にそれぞれ初期配置することで、両回転砥石の被加工面に対するアプローチ条件が研削開始時点で等しくなる。換言すれば、二つの回転砥石のスタートラインが揃い、両回転砥石がほぼ同時にほぼ同じ面圧でそれぞれの被加工面に接触する条件が整う。故に、少なくとも研削開始時には、第1摺動面に対する第1回転砥石の面圧と第2摺動面に対する第2回転砥石の面圧とが均衡し、両回転砥石に挟まれた部位において偏荷重(即ちディスクの一部をいずれか一方の回転砥石側に押し込もうとする応力)が発生せず、ディスクの歪みが回避される。このように、第1及び第2回転砥石の研削開始位置の設定を適正化することで、二つの回転砥石間にディスクロータを挟圧しながら二摺動面の同時研削を行っても、これによって得られるディスクロータの各摺動面の加工精度を向上させることができる。
【0013】
また、上記第1発明の研削方法にあっては、前記回転位相検知手段並びに第1及び第2の振れ検知器を併用することにより、第1及び第2摺動面の各々について、回転位相と関連付けた振れ値の変化を連続的に把握することが容易になる。
【0014】
上記第1発明の研削方法にあって、前記研削装置は更に、第1及び第2回転砥石の回転駆動力の変化をそれぞれ検知する第1及び第2の動力変化検知手段を備えており、前記摺動面位置測定工程では、各回転砥石を待機位置からディスク摺動面に向けて接近させる過程でその回転砥石の回転駆動力の大きさが所定の判定値に達したときに当該回転砥石がディスク摺動面に接触したものと判定し、そのときに前記回転位相検知手段が検知している回転位相と、当該回転砥石の待機位置からの移動距離とを記録すること(請求項2)は好ましい。このような第1及び第2の動力変化検知手段を用いることにより、比較的簡単且つ確実に回転砥石がディスク摺動面に接触するタイミングを検出することができる。
【0015】
上記第1発明の研削方法にあって、前記回転砥石初期配置工程における各回転砥石の研削開始位置の算出に際しては、回転砥石接触時における摺動面の振れ値及び前記待機位置からの移動距離の他に、前記第1及び第2振れ検知器間の距離、第1振れ検知器から第1摺動面の外振れ最大値に相当する位置までの距離、並びに、第2振れ検知器から第2摺動面の外振れ最大値に相当する位置までの距離に関するデータを用いること(請求項3)は好ましい。ここに列挙したデータを利用すれば、第1及び第2回転砥石の各々について、各摺動面の外振れ最大値に相当する位置が各回転砥石の研削開始位置となるように各回転砥石の研削開始位置を正確且つ確実に算出することが可能となる(算出方法の詳細は「発明の実施の形態」の欄を参照されたし)。
【0016】
上記第1発明の研削方法にあって、前記一連の準備工程を完了した後の研削工程では、第1及び第2回転砥石のうちの一方を前記ワーク駆動部によるディスクロータの回転方向と同方向に回転させると共に、他方を前記ワーク駆動部によるディスクロータの回転方向と逆方向に回転させ、且つ、第1回転砥石による第1摺動面の研削抵抗と第2回転砥石による第2摺動面の研削抵抗とが等しくなるように、各回転砥石の各摺動面に対する切込み速度を制御してディスクロータの第1及び第2摺動面を同時研削すること(請求項4)は好ましい。この請求項4の技術的意義については、以下の説明を参照されたし。
【0017】
(削除)
【0018】
この研削方法によれば、第1回転砥石による第1摺動面の研削抵抗と第2回転砥石による第2摺動面の研削抵抗とが均等化するように、各回転砥石の各摺動面に対する切込み速度が制御されるので、研削作業時には、第1摺動面に対する第1回転砥石の面圧と第2摺動面に対する第2回転砥石の面圧とが均衡し、両回転砥石に挟まれた部位において偏荷重(即ちディスクの一部をいずれか一方の回転砥石側に押し込もうとする応力)が発生しない。このため、二つの回転砥石間における研削抵抗のアンバランスに起因して研削作業中にディスクロータが次第に歪むということがなく、歪みがない状態のディスクの各摺動面に対して正確に同時研削を施すことが可能となる。それ故、研削完了後にブレーキディスク組立体を研削装置から取り外した後も、各摺動面の面振れ精度は研削完了時と同様に優れた精度を保持し続ける。
【0019】
また、この研削方法にあって、前記第1及び第2回転砥石のうちの一方を前記ワーク駆動部によるディスクロータの回転方向と同方向に回転させると共に、他方を前記ワーク駆動部によるディスクロータの回転方向と逆方向に回転させることは好ましい。このように二つの回転砥石の回転方向が逆向きの場合に、各回転砥石の各摺動面に対する切込み速度を同じにすると、第1回転砥石による第1摺動面の研削抵抗と第2回転砥石による第2摺動面の研削抵抗とが大きく異なる結果となることから、各回転砥石の各摺動面に対する切込み速度を個別に制御して両回転砥石の研削抵抗を均等化することの意義は大きい。
【0020】
第2の発明(請求項5)は、
ハブベアリングを含むハブユニット及びディスクロータから構成されるブレーキディスク組立体を支持するワーク支持部と、
前記ワーク支持部に支持されたブレーキディスク組立体のディスクロータをハブベアリングを回転基準として強制回転させるワーク駆動部と、
ディスクロータの回転軸線と平行な回転軸線を有すると共にディスクロータの第1及び第2摺動面に対してそれぞれ接近離間可能に設けられた第1及び第2回転砥石と、
回転時におけるディスクロータの回転位相を検知する回転位相検知手段と、
回転時におけるディスクロータの第1及び第2摺動面の回転軸線方向への振れ値をそれぞれ検知する第1及び第2の振れ検知器と、
第1及び第2回転砥石の回転駆動力の変化をそれぞれ検知する第1及び第2の動力変化検知手段と、
前記回転位相検知手段、前記第1及び第2の振れ検知器並びに前記第1及び第2の動力変化検知手段から提供される検知データに基づいて前記第1及び第2回転砥石を制御する回転砥石制御手段とを備え、
前記回転砥石制御手段は、
前記ディスクロータの第1及び第2摺動面の外への振れの最大値に相当する位置が前記第1及び第2回転砥石の研削開始位置となるように各回転砥石の研削開始位置を算出し、それぞれの研削開始位置に第1及び第2回転砥石を初期配置すると共に、
第1回転砥石による第1摺動面の研削抵抗と第2回転砥石による第2摺動面の研削抵抗とが等しくなるように各回転砥石の各摺動面に対する切込み速度を制御することにより、第1及び第2回転砥石間にディスクロータを挟圧することによるディスクロータの歪みを回避しながらディスクロータの第1及び第2摺動面を同時研削する、
ことを特徴とするディスク摺動面の研削装置である。
【0021】
この研削装置は、上記ディスク摺動面の研削方法を実施するのに適した装置であり、その技術的意義は上記研削方法に準ずるものである。
【0022】
付記(好ましい追加的構成要件):請求項4において、「前記ディスク摺動面の研削工程は、粗研削工程と、それに続く精研削工程とからなり、粗研削工程では、第1及び第2回転砥石の切込み速度を同一速度(V)に設定すると共に、そのことに起因して粗研削開始から終了までの間にブレーキディスク組立体の非研削部位が回転軸線方向へ変位した量(X)を測定し、その非研削部位の変位量(X)、粗研削工程での第1回転砥石による研削量及び第2回転砥石による研削量に基づいて、粗研削終了時すなわち精研削開始時における第1及び第2回転砥石のそれぞれの研削抵抗を把握すると共に、精研削工程においては、第1回転砥石による第1摺動面の研削抵抗と第2回転砥石による第2摺動面の研削抵抗とが等しくなるように、各回転砥石の各摺動面に対する切込み速度を制御してディスクロータの第1及び第2摺動面を同時研削すること」は、非常に好ましい。このように粗研削工程で得られた情報を元に精研削工程での各回転砥石の切込み速度を最適設定することで、各摺動面の加工精度を高めることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。図1は本実施形態の研削装置の全体を示し、図2はその研削装置のワーク支持部及びそれに支持されたワークとしてのブレーキディスク組立体を拡大して示す。
【0024】
(ブレーキディスク組立体)
図2に示すように、ブレーキディスク組立体10は、ディスクロータ11、ハブユニット並びに締結具(ボルト12及びナット13)を少なくとも具備する。図示されたディスクロータ11はベンチレーテッドタイプのディスクであり、第1摺動面(アウター側摺動面)11a及び第2摺動面(インナー側摺動面)11bを有する。ハブユニットは、ディスクロータ11に連結される内側部材14と、外側部材15と、内側及び外側部材14,15間に介在されるハブベアリング16とを備え、ハブベアリング16により内側及び外側部材14,15は相対回転可能となっている。本実施形態では、ホイールに見立てた円盤状の面板17を更に付加し、面板17とハブユニット内側部材14との間にディスクロータ11を挟みつつこれらを前記締結具12,13で締め付けることにより、面板17、ディスクロータ11及びハブユニットからなるブレーキディスク組立体10を組み立てている。
【0025】
なお、円盤状の面板17は、その上面側において半径方向に延びるように形成された係合溝17aと、外周部に形成された水平フランジ面17bとを有している。この面板17は、研削加工の便宜のための仮の付加物であり、最終製品としてのブレーキディスク組立体10に必須の要素ではない。
【0026】
(研削装置)
図1及び図2に示す研削装置は、ワークとしてのブレーキディスク組立体10を支持するワーク支持部20と、ブレーキディスク組立体のディスクロータ11をハブベアリング16を回転基準として強制回転させるワーク駆動部30と、ワークを研削する回転砥石を駆動するための砥石駆動部40とを備えている。
【0027】
特に図2に示すように、ワーク支持部20におけるベース21上には、基準金22及びセンサブラケット23が設けられている。基準金22は、ハブユニット外側部材15と係合してブレーキディスク組立体10を安定支持するための基台である。基準金22上には、ハブユニット外側部材15を基準金に固定するためのクランプ24と、カバー材25とが設けられている。カバー材25は略円筒形状をなし、基準金22に固定されたハブユニットの周囲を取り囲むように設けられている。また、カバー材25の外周部中程には鍔状の補助カバー部25aが設けられている。更に基準金22の内部には、カバー材25に囲まれた内側領域と外部とを連通するエア供給通路26が形成されており、このエア供給通路26を介して外部のエアポンプ(図示略)からカバー材25の内側領域に加圧空気が供給可能となっている。
【0028】
前記センサブラケット23には、3つの振れ検知器51〜53が支持されている。第1及び第2の振れ検知器51,52はディスクロータの第1及び第2摺動面11a,11bにそれぞれ対向して設けられ、ディスクロータ回転時における各摺動面の回転軸線方向への振れ値を検知する。第3の振れ検知器53は、面板の水平フランジ面17bに対向して設けられ、面板回転時における水平フランジ面17bの回転軸線方向への振れ値を検知する。なお、これら振れ検知器51〜53として渦電流式変位センサを用いることは好ましい。渦電流式変位センサでは、検知対象物に渦電流を発生させそれに起因した磁界の変化に基づき当該検知器と検知対象物との間の距離を測定する。
【0029】
ワーク支持部20の上方にはワーク駆動部30が設けられている。このワーク駆動部におけるモータブラケット31にはワーク駆動モータ32が支持されている。ワーク駆動モータ32の出力軸は、ジョイント33及びカップリング34を介して円盤状シャフト35に連結されている。円盤状シャフト35の下面には、回転係合ピン36が設けられている。ワーク駆動部30は、図示しない垂直スライド機構によってその全体が上下動可能に構築されており、ワーク支持部の基準金22上にブレーキディスク組立体10を支持した状態において、ワーク駆動部30を上方待機位置から作用位置に下動させたとき、回転係合ピン36が前記面板の係合溝17a内に進入可能となっている。回転係合ピン36を面板の係合溝17a内に進入させた状態でワーク駆動モータ32を作動させると、その回転駆動力が回転係合ピン36を介して面板17に伝達され、面板17、ディスクロータ11及びハブユニット内側部材14が、ハブベアリング16を回転基準として一体的に回転される。
【0030】
なお、ワーク駆動モータ32には、回転位相検知手段としての回転角度センサ54が取り付けられている。この回転角度センサ54は、ワーク駆動モータ32の出力軸ひいては面板17及びディスクロータ11の1回転内における回転位相角(0°〜360°)を検知する。
【0031】
ワーク支持部20及びワーク駆動部30の側方には砥石駆動部40が設けられている。この砥石駆動部40は、上及び下砥石切込み駆動モータ46A,46B(図3参照)により垂直方向にスライド動作する数値制御式の上及び下砥石スライド機構41A,41Bを備えている。図1に示すように、上砥石スライド機構41Aには、上砥石回転駆動モータ42A、上砥石軸43A及び上砥石ホルダー44Aが支持され、下砥石スライド機構41Bには、下砥石回転駆動モータ42B、下砥石軸43B及び下砥石ホルダー44Bが支持されている。尚、それぞれ対応する砥石モータ及び砥石ホルダーを連結する上及び下砥石軸43A,43Bは、ディスクロータ11の回転軸線と平行な回転軸線に沿って延びている。
【0032】
上及び下砥石ホルダー44A,44Bの各々は円盤状をなしており、その外周部には等(角度)間隔に複数の砥石セグメント45が配列固定されている。上砥石ホルダー44Aに装着された各砥石セグメント45の下端面と、下砥石ホルダー44Bに装着された各砥石セグメント45の上端面とは対向関係にある。研削作業時には、ディスクロータ11の一部が上下砥石ホルダー間に進入するように配置され、各砥石セグメント45の端面により、ディスクロータの対応する摺動面11a,11bが研削される。尚、上砥石ホルダー44A及びそれに装着された複数の砥石セグメント45によって第1回転砥石が構成され、下砥石ホルダー44B及びそれに装着された複数の砥石セグメント45によって第2回転砥石が構成される。前記上及び下砥石スライド機構41A,41Bは、ディスクロータ11の回転軸線と平行な回転軸線を有する第1及び第2回転砥石を前記第1及び第2摺動面11a,11bに対してそれぞれ接近離間可能とするための機構である。
【0033】
なお、上及び下砥石回転駆動モータ42A,42Bは、第1及び第2の動力変化検知手段としての上及び下砥石動力計55,56にそれぞれ接続されている。これら上及び下砥石動力計55,56は、対応する回転駆動モータに流れる電流値の変化を検知する。各回転駆動モータを流れる電流値の大きさはモータ負荷トルクの大きさを反映するため、各動力計が検知した電流値の変化から各回転砥石の回転駆動力の変化を把握することができる。
【0034】
図3は、本実施形態の研削装置における電気制御系(電気的構成)の概要を示す。図3に示すように、研削装置の電気制御系は主制御装置61及び数値制御装置(NC装置)62を中心として構築されている。
【0035】
主制御装置61は、マイクロプロセッサ(いわゆるCPU)、ROM及びRAMを内蔵したコンピュータ類似の演算処理ユニットであり、予め保持している所定の制御プログラム及び参照用データに従い研削装置全体の制御を司る。この主制御装置61は、前記振れ検知器51〜53、回転角度センサ54及び砥石動力計55,56と接続され、これらセンサ群51〜56から提供される各種の検知データに基づきワークの面振れ状況等を測定演算すると共にその演算結果に基づいて各種の制御指令を出力する。主制御装置61はインバータ回路64に制御信号を出力し、当該インバータ回路64を介して上及び下砥石回転駆動モータ42A,42Bを駆動制御する。
【0036】
数値制御装置62は、主制御装置61に接続されると共に、サーボコントローラ63を介してワーク駆動モータ32並びに上及び下砥石切込み駆動モータ46A,46Bに接続されている。数値制御装置62は、主制御装置61からの制御指令等に基づいて前記各駆動モータ32,46A,46Bの数値制御を行う。ちなみに、この数値制御装置62は、主制御装置61からの制御指令に基づく他に、手動入力によって各駆動モータ32,46A,46Bの駆動条件を直接的に設定可能となっている。尚、主制御装置61及び数値制御装置62は、回転砥石制御手段を構成する。
【0037】
(研削方法)
次に、本実施形態の研削装置を用いたブレーキディスク組立体10におけるディスク摺動面の研削方法を説明する。
【0038】
最初に図2に示すように、ディスクロータ11、ハブユニット14〜16及び面板17を締結具12,13で共締めしてなるブレーキディスク組立体10をワーク支持部20の基準金22上に配置しクランプ24で固定する。このとき、略円筒状のカバー材25の上端部がディスクロータ11の円筒部内周面に近接配置された状態でハブユニット14〜16の周囲がカバー材25によって包囲され、当該カバー材25によりハブユニット14〜16が回転砥石の研削作業領域から遮断される。また、鍔状の補助カバー部25aが、ディスクロータ11の円筒部内周面とカバー材25の外周面との隙間を下から塞ぐようにディスクロータ11本体の下面側に近接配置される。こうしてカバー材25及び補助カバー部25aにより、研削作業時に生ずる研削屑やクーラント液等の飛散物がハブユニットの特にハブベアリング16に進入することが防止される。また、研削作業時には、エア供給通路26を介して加圧空気をカバー材25の内側領域に供給し当該内側領域を加圧状態とすることにより、研削屑やクーラント液等の飛散物の進入が更に効果的に阻止される。
【0039】
ワーク支持部20へのブレーキディスク組立体10の支持固定が完了したら、ワーク駆動部30を上方待機位置から作用位置に下動させ、図1に示すように、回転係合ピン36を面板17の係合溝17a内に進入させる。ワーク駆動モータ32によって、面板17、ディスクロータ11及びハブユニット内側部材14をハブベアリング16を回転基準として一体回転可能とすることにより、研削のための機械的準備が整う。
【0040】
図4は研削手順の概要を示すフローチャートである。図4中のS1(ステップ1の意味、他ステップも以下同様に記す)からS11までは、第1及び第2回転砥石による同時研削を開始する前の一連の準備工程である。S12からS18までは、研削(粗研削及び精研削)の本工程である。
【0041】
研削開始に先だち、ワーク駆動モータ32を始動して、面板17、ディスクロータ11及びハブユニット内側部材14を回転させる(S1)。続いて、第1及び第2の振れ検知器51,52及び回転角度センサ54により、回転時におけるディスクロータの第1及び第2摺動面11a,11bの回転軸線方向への振れ値をディスクロータ11が1回転する間の回転位相角θと関連付けて測定する(S2)。具体的には、第1及び第2摺動面11a,11bの各々について、回転位相角θが0°から359°までの範囲において1°刻みで360個の振れ値、つまり面振れを起こしている各摺動面上の測定点から対応する振れ検知器51又は52までの距離を取得する。こうして取得した合計720個の振れ値を配列変数として主制御装置61に記憶する。なお、第1又は第2振れ検知器を基準とした振れ値は、後ほど説明する工作物研削面センター(図5参照)を基準とした振れ値、即ちA2(0)〜A2(359)及びB2(0)〜B2(359)に換算することができる。主制御装置61に記憶される振れ値データの形態は、換算前又は換算後のいずれの形態であってもよい。
【0042】
次に、上砥石の回転駆動モータ42A及び切込み駆動モータ46Aを作動させて第1回転砥石(44A等)をディスクロータ11の回転方向と同方向に回転させながら上砥石基点(待機位置)から第1摺動面11aに向けて接近させる(S3)。そして、第1回転砥石が第1摺動面11aに接触することで上砥石動力計55の電流値が所定の判定値に達したときに(S4判定がYes)、そのときの回転位相角θ1と上砥石基点からの移動距離A1とを記憶し(S5)、第1回転砥石を上砥石基点に退避させる(S6)。その後も同様に、下砥石の回転駆動モータ42B及び切込み駆動モータ46Bを作動させて第2回転砥石(44B等)をディスクロータ11の回転方向と逆方向に回転させながら下砥石基点(待機位置)から第2摺動面11bに向けて接近させる(S7)。そして、第2回転砥石が第2摺動面11bに接触することで下砥石動力計56の電流値が所定の判定値に達したときに(S8判定がYes)、そのときの回転位相角θ2と下砥石基点からの移動距離B1とを記憶し(S9)、第2回転砥石を下砥石基点に退避させる(S10)。
【0043】
なお、S4及びS8でのそれぞれの判定値は、事前の確認実験において、各回転砥石が対応する摺動面に接触するのを目視で確認したときに示した電流値である。又、上記移動距離A1及びB1については、各回転砥石の垂直移動速度及び移動開始から接触までの所要時間に基づいて計算で求めることができる。もちろん、上下の砥石スライド機構41A,41Bに移動距離測定用のセンサを設け、そのセンサで移動距離を実測してもよい。
【0044】
上記S2,S5及びS9で得られたデータを元に、主制御装置61は、第1及び第2回転砥石の研削開始位置を決定すると共に、研削時における研削パターンを決定する(S11)。
【0045】
S11における回転砥石の研削開始位置の演算手法は、以下の通りである(図5参照)。先ず、S2の摺動面振れ位相測定で得た振れ値データを解析して、第1振れ検知器51から第1摺動面11aの外振れの頂点(外への振れの最大値に相当する位置)までの距離A0と、第2振れ検知器52から第2摺動面11bの外振れの頂点(外への振れの最大値に相当する位置)までの距離B0とを解明する。対向関係にある第1及び第2振れ検知器51,52間の距離Cは、固定値として既知である。第1摺動面11aの外振れ頂点と第2摺動面11bの外振れ頂点との中間に工作物研削面センターを設定すると、その工作物研削面センターから第1摺動面11aの外振れ頂点までの距離A5と、工作物研削面センターから第2摺動面11bの外振れの頂点までの距離B5については、次のように計算される。
【0046】
A5=B5=(C−A0−B0)/2
【0047】
第1回転砥石の研削開始位置が第1摺動面11aの外振れの最大値A5に相当する位置となるように、第1回転砥石を上砥石基点から下動させる距離をA7とし、又、第2回転砥石の研削開始位置が第2摺動面11bの外振れの最大値B5に相当する位置となるように、第2回転砥石を下砥石基点から上動させる距離をB7とする。すると、A7=A1−A6及びB7=B1−B6という関係が成り立つ。ここでA6,B6とは、各摺動面の外振れ最大値A5又はB5と、上記S5又はS9において記憶した位相角θ1又はθ2に対応する振れ値A2(θ1)又はB2(θ2)との差である。即ち、第1及び第2回転砥石の各々について上又は下砥石基点(待機位置)から研削開始位置までの距離A7,B7は次のように計算される。
【0048】
A7=A1−A6=A1−(A5−A2(θ1))
B7=B1−B6=B1−(B5−B2(θ2))
【0049】
このようにして求めた距離A7,B7の位置を研削開始位置として各回転砥石を初期配置することにより、両回転砥石が、対応する摺動面11a又は11bの外振れ頂点位置から同時に削り進むこととなる。このため、少なくとも研削開始時において、第1摺動面11aに対する第1回転砥石の面圧と、第2摺動面11bに対する第2回転砥石の面圧とが均衡し、両面圧の不均衡に起因するディスクロータ11の歪みが回避される。なお、各回転砥石の研削開始位置の決定にあたっては、各摺動面の外振れ頂点位置から所定のエアカット量ΔACだけ離した位置を研削開始位置としてもよい(即ち、A7=A1−A6−ΔACおよびB7=B1−B6−ΔACで計算してもよい)。
【0050】
また、S11における研削時の研削パターン決定では、粗研削によって削り取る量とその後の精研削によって削り取る量との配分を決定する。例えば、各摺動面における取り代が1mm厚の場合、粗研削による研削量を0.8mm、精研削による研削量を0.2mmと割り振るが如しである。又、S11の研削パターン決定では、粗研削における第1及び第2回転砥石の切込み速度V(垂直方向への研削送り速度)や精研削後のスパークアウト時間等も決定する。
【0051】
主制御装置61によって研削パターンが決定されると、制御に必要なデータ及び制御指令が数値制御装置62に提供され、粗研削が開始される(S12)。粗研削開始にあたっては、ディスクロータ11の回転方向と同方向に回転する第1回転砥石がその待機位置(上砥石基点)から距離A7の研削開始位置に初期配置されると共に、ディスクロータ11の回転方向と逆方向に回転する第2回転砥石がその待機位置(下砥石基点)から距離B7の研削開始位置に初期配置される。そして、第1及び第2回転砥石の各々が、所定の切込み速度V(この切込み速度Vは粗研削終了まで一定のまま)で垂直方向に同時に研削送りされる。
【0052】
粗研削開始(S12)から粗研削終了(S14)までの間、各摺動面11a,11bに対し粗研削を施すことに起因する面板17の回転軸線方向への変位量を、面板の水平フランジ面17bと対向する第3の振れ検知器53を用いて測定する(S13)。ここで面板17は、ワークとしてのブレーキディスク組立体10における非研削部位の代表として選択されている。
【0053】
図6は、粗研削に起因する面板変位量Xの具体的な測定方法を示す。先ず、粗研削開始直後の面板17の最初の1回転における水平フランジ面17bの振れの極大及び極小値x1,x2を測定しておく。その後、粗研削終了直前の面板17の最後の1回転における水平フランジ面17bの振れの極大及び極小値x4,x5を測定する。すると、面板17の最初の1回転における面振れ振幅の中点x3は、x3=(x1+x2)/2で計算され、面板17の最後の1回転における面振れ振幅の中点x6は、x6=(x4+x5)/2で計算される。粗研削に起因する面板17の回転軸線方向への変位量Xは、X=x3−x6という単純な計算式で表すことができるため、x1,x2,x4及びx5の測定値から変位量Xを求めることができる。この変位量Xは、後記精研削条件の演算(S15)で使用される。
【0054】
上記S11で決定した研削パターンに従い、第1及び第2回転砥石が所定の粗研削終了位置に到達した時点で粗研削を終了する(S14)。それと同時に、主制御装置61は精研削条件の演算を行う(S15)。
【0055】
S15における精研削条件演算の主たるテーマは、粗研削時には同じ切込み速度Vであった第1及び第2回転砥石の切込み速度を、精研削用の切込み速度に個別に補正することにある。つまり、第1及び第2回転砥石の回転方向が逆であるにもかかわらず、粗研削では両回転砥石の切込み速度を同じ速度Vに設定したため、第1回転砥石による第1摺動面11aの研削抵抗P1と、第2回転砥石による第2摺動面11bの研削抵抗P2とに顕著な違いが生じ、各摺動面の研削量が不均衡化してディスロータ11に偏荷重が作用し、ディスロータ11を歪ませている虞れがある。これを是正するために、精研削では、各回転砥石の切込み速度を個別に補正し、それぞれの回転砥石の研削抵抗をバランスさせてディスロータ11の歪みを未然防止又は解消する。
【0056】
各回転砥石の切込み速度補正の基本的な考え方は次の通りである。先ずS13で求めた面板17の変位量Xから、第1及び第2回転砥石間でディスクロータ11に作用する偏荷重Yの大きさを推定する。変位量Xと偏荷重Yとの間には、一次関数的な近似式(例えばY=aX−b,a及びbは定数)が成り立つことがわかっており、この近似式に基づいて変位量Xから偏荷重Yを推定できる。なお、この近似式については、ワーク毎に測定実験を行うことで個々のワークに特有の関係式として予め求めておくことができる。
【0057】
また一般に、回転砥石の研削抵抗Pxについては、回転砥石による被加工面の研削量Δkxと、回転砥石の回転速度Vsと、被加工物の回転速度Vwとの間に所定の関数関係(例えばPx=ΔkxαVs- βVw- γ,ここでα,β及びγは被削材の種類毎に設定される指数)があることが知られている。本実施形態では、粗研削時に第1及び第2回転砥石が対応する第1及び第2摺動面11a,11bをそれぞれ研削したときの研削量を、図7に示した面積Δk1及びΔk2で代表させている。なぜなら、面積Δk1は粗研削の開始から終了までの間に第1回転砥石が第1摺動面11aにおける取り代を削り取った量を反映し、面積Δk2は粗研削の開始から終了までの間に第2回転砥石が第2摺動面11bにおける取り代を削り取った量を反映するからである。これら面積Δk1及びΔk2は、第1及び第2の振れ検知器51,52が粗研削中に測定した個々の振れ値D1,E1と、各振れ検知器51,52から粗研削終了位置までの距離D2,E2との差、即ち(D2−D1)及び(E2−E1)を粗研削開始から終了までの時間範囲で積算することにより求められる。こうして求めた面積Δk1及びΔk2を指標として、各回転砥石による粗研削時の研削量を把握することができる。
【0058】
S15の精研削条件演算では、上記Δk1及びΔk2と、上記変位量Xから算出される偏荷重Yとを勘案して、粗研削終了時(即ち精研削開始時)における第1回転砥石の研削抵抗P1及び第2回転砥石の研削抵抗P2を推定する。P1及びP2の推定に際しては、多数の研削事例で蓄積されたデータに基づき作成した相関チャート又は相関表が参照される。そして、精研削時における第1回転砥石の研削抵抗P1と第2回転砥石の研削抵抗P2とがほぼ等しくなるように、第1及び第2回転砥石の切込み速度補正量ΔV1及びΔV2を求める。こうして、精研削時における第1回転砥石の切込み速度を(V−ΔV1)に補正する共に、精研削時における第2回転砥石の切込み速度を(V−ΔV2)に補正する(Vは粗研削時の切込み速度)。
【0059】
各回転砥石の補正後の切込み速度が決定されると、精研削制御に必要なデータ及び制御指令が数値制御装置62に提供され、精研削が行われる(S16)。なお、補正後の切込み速度等の精研削条件については、主制御装置61での自動演算で得られたものを数値制御装置62に受け渡してもよいし、あるいは、事前の粗研削実験で得られた各種データを元に切込み速度の補正値を計算しておき、その補正値を数値制御装置62に予め設定しておいてもよい。
【0060】
その後、第1及び第2の回転砥石が所定の研削終了位置に到達した時点で、数秒間スパークアウト(S17)させた後、第1及び第2回転砥石をそれぞれの待機位置(上砥石基点及び下砥石基点)に戻して(S18)、一連の研削作業を終了する。なお、スパークアウトとは、回転砥石の切削送りを停止したまま所定時間だけ砥石の回転を維持することをいう。
【0061】
(効果)本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
粗研削の開始時に、第1回転砥石の研削開始位置が第1摺動面11aの外振れの最大値A5に相当する位置に、又、第2回転砥石の研削開始位置が第2摺動面11bの外振れの最大値B5に相当する位置になるように、各回転砥石を初期配置した。このため、第1及び第2回転砥石が、対応する摺動面11a又は11bの外振れ頂点位置から同時に削り進むこととなり、第1摺動面11aに対する第1回転砥石の面圧と第2摺動面11bに対する第2回転砥石の面圧とが均衡し、両面圧の不均衡に起因するディスクロータ11の歪みが回避される。それ故、ディスクロータの各摺動面11a,11bの加工精度が向上する。
【0062】
また、粗研削後の精研削時には、第1回転砥石による第1摺動面11aの研削抵抗P1と第2回転砥石による第2摺動面11bの研削抵抗P2とが均等化するように、第1及び第2回転砥石の切込み速度を個別に設定している。このため、第1回転砥石が第1摺動面11aを押す力と、第2回転砥石が第2摺動面11bを押す力とが均衡し、二つの回転砥石間でそれらの間に挟まれたブレーキディスク11をいずれか一方の回転砥石側に押し込もうとする偏荷重(又は曲げ応力)が発生せず、二つの回転砥石間における研削抵抗のアンバランスに起因してブレーキディスク11が歪むということがない。それ故、ディスクロータの各摺動面11a,11bの加工精度が向上する。
【0063】
このように、第1及び第2回転砥石の研削開始位置を適正化することと、少なくとも研削の最終段階である精研削工程において第1及び第2回転砥石の研削抵抗を均等化することとの相乗効果により、ディスクロータ11が二つの回転砥石に挟圧されることによる歪みを回避しつつ各摺動面11a,11bに対し高精度の研削加工を施すことができる。従って、ディスク回転時における面振れ精度を従来以上に高めることができる。
【0064】
なお、研削加工によれば、従来の旋削加工におけるようなビビリやディスク摺動面の摩擦係数の不安定化といった欠点がなく、加工機械としての研削装置の管理は、旋削装置の場合よりも容易である。
【0065】
(変更例)本発明の実施形態を以下のように変更してもよい。
上記実施形態では、研削加工の便宜のために、ホイールに見立てた面板17を含めてブレーキディスク組立体10(ワーク)を組み立てたが、この面板17は省略されてもよい。その場合には、ディスクロータ11の一部に対してワーク駆動部30の回転係合ピン36を直接係合させることになる。また、ディスクロータの各摺動面11a,11bに対して粗研削を施すことに起因するワークの回転軸線方向への変位量Xを測定する際に、面板17をワークの非研削部位の代表として選択したが、面板17を使用しない場合には、例えばディスクロータ11の頭頂部端面をワークの非研削部位として選択してもよい。但し、本件発明者らが行った試作実験により、面板17を使用する場合の方が使用しない場合よりもディスクロータ11の各摺動面の研削加工精度が高くなることを確認している。
【0066】
【発明の効果】
本発明のディスク摺動面の研削方法によれば、強制回転させているディスクロータの摺動面に対し回転砥石を接触させて各摺動面を研削するため、従来の旋削加工におけるようなビビリが発生せず、又、ディスク摺動面の摩擦係数も研削加工の完了直後から安定している。つまり、従来の旋削加工にありがちな欠点を伴わずにディスク摺動面の加工精度を高めることができ、ブレーキディスク組立体の車輌への実装時における面振れを効果的に防止又は抑制することができる。それに加えて本発明の研削方法によれば、回転砥石の研削開始位置の設定を適正化することにより、及び/又は、二つの摺動面の同時研削中に両回転砥石間で研削抵抗の差を解消することにより、二つの回転砥石間にディスクロータを挟圧しながら二摺動面の同時研削を遂行することに起因するディスクの歪みを未然に回避して、各摺動面の加工精度を高めることができる。また、本発明のディスク摺動面の研削装置によれば、上記研削方法を効果的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の研削装置の概要を示す一部断面化された正面図。
【図2】図1に示す研削装置のワーク支持部及びワークの拡大断面図。
【図3】図1に示す研削装置の電気制御系の概要を示す電気構成図。
【図4】研削手順の概要を示すフローチャート。
【図5】回転砥石の研削開始位置の決定原理を示す振れ位相チャート。
【図6】粗研削時における面板の変位量の測定原理を示すチャート。
【図7】粗研削時における各回転砥石の研削量を示すチャート。
【符号の説明】
10…ブレーキディスク組立体、
11…ディスクロータ、
11a…第1摺動面(アウター側摺動面)、
11b…第2摺動面(インナー側摺動面)、
14…ハブの内側部材、
15…ハブの外側部材、
16…ハブベアリング(14〜16はハブユニットを構成する)、
20…ワーク支持部、
30…ワーク駆動部、
40…砥石駆動部、
44A…上砥石ホルダー、
44B…下砥石ホルダー、
45…砥石セグメント(44A及び45は第1回転砥石を、44B及び45は第2回転砥石をそれぞれ構成する)、
51…第1の振れ検知器、
52…第2の振れ検知器、
54…回転角度センサ(回転位相検知手段)、
55…上砥石動力計(第1の動力変化検知手段)、
56…下砥石動力計(第2の動力変化検知手段)、
61…主制御装置、
62…数値制御装置(61及び62は回転砥石制御手段を構成する)。

Claims (5)

  1. ハブベアリングを含むハブユニット及びディスクロータから構成されるブレーキディスク組立体を支持するワーク支持部
    そのワーク支持部に支持されたブレーキディスク組立体のディスクロータをハブベアリングを回転基準として強制回転させるワーク駆動部
    ディスクロータの回転軸線と平行な回転軸線を有すると共にディスクロータの第1及び第2摺動面に対してそれぞれ接近離間可能に設けられた第1及び第2回転砥石
    回転時におけるディスクロータの回転位相を検知する回転位相検知手段、並びに、
    回転時におけるディスクロータの第1及び第2摺動面の回転軸線方向への振れ値をそれぞれ検知する第1及び第2の振れ検知器
    を備えた研削装置を用いて、ディスクロータの第1及び第2摺動面を同時研削するブレーキディスク組立体におけるディスク摺動面の研削方法であって、
    前記第1及び第2回転砥石による同時研削を開始する前の準備工程として、
    前記回転位相検知手段並びに第1及び第2の振れ検知器を用いて、ディスクロータの第1及び第2摺動面の各々について、ディスクロータが1回転する間の回転位相と、回転軸線方向への摺動面の振れ値との関係を把握する摺動面振れ位相測定工程と、
    第1及び第2回転砥石の各々について、各回転砥石を待機位置からディスク摺動面に向けて接近させ、その回転砥石がディスク摺動面に接触したときの回転位相及び待機位置からの移動距離を把握する摺動面位置測定工程と、
    第1及び第2回転砥石の各々について、前記摺動面振れ位相測定工程で得られた回転位相と振れ値との関係を参照して、前記摺動面位置測定工程で得られた回転砥石がディスク摺動面に接触したときの回転位相から回転砥石接触時における摺動面の振れ値を割り出すと共に、その割り出した回転砥石接触時における摺動面の振れ値及び前記待機位置からの移動距離に基づいて、各摺動面の外への振れの最大値に相当する位置が各回転砥石の研削開始位置となるように各回転砥石の研削開始位置を算出し、それぞれの研削開始位置に第1及び第2回転砥石を初期配置する回転砥石初期配置工程と
    を備えることを特徴とするディスク摺動面の研削方法。
  2. 前記研削装置は更に、第1及び第2回転砥石の回転駆動力の変化をそれぞれ検知する第1及び第2の動力変化検知手段を備えており、
    前記摺動面位置測定工程では、各回転砥石を待機位置からディスク摺動面に向けて接近させる過程でその回転砥石の回転駆動力の大きさが所定の判定値に達したときに当該回転砥石がディスク摺動面に接触したものと判定し、そのときに前記回転位相検知手段が検知している回転位相と、当該回転砥石の待機位置からの移動距離とを記録することを特徴とする請求項1に記載のディスク摺動面の研削方法。
  3. 前記回転砥石初期配置工程における各回転砥石の研削開始位置の算出に際しては、回転砥石接触時における摺動面の振れ値及び前記待機位置からの移動距離の他に、前記第1及び第2振れ検知器間の距離、第1振れ検知器から第1摺動面の外振れ最大値に相当する位置までの距離、並びに、第2振れ検知器から第2摺動面の外振れ最大値に相当する位置までの距離に関するデータを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスク摺動面の研削方法。
  4. 前記一連の準備工程を完了した後の研削工程では、第1及び第2回転砥石のうちの一方を前記ワーク駆動部によるディスクロータの回転方向と同方向に回転させると共に、他方を前記ワーク駆動部によるディスクロータの回転方向と逆方向に回転させ、且つ、第1回転砥石による第1摺動面の研削抵抗と第2回転砥石による第2摺動面の研削抵抗とが等しくなるように、各回転砥石の各摺動面に対する切込み速度を制御してディスクロータの第1及び第2摺動面を同時研削することを特徴とする請求項1〜3に記載のディスク摺動面の研削方法。
  5. ハブベアリングを含むハブユニット及びディスクロータから構成されるブレーキディスク組立体を支持するワーク支持部と、
    前記ワーク支持部に支持されたブレーキディスク組立体のディスクロータをハブベアリングを回転基準として強制回転させるワーク駆動部と、
    ディスクロータの回転軸線と平行な回転軸線を有すると共にディスクロータの第1及び第2摺動面に対してそれぞれ接近離間可能に設けられた第1及び第2回転砥石と、
    回転時におけるディスクロータの回転位相を検知する回転位相検知手段と、
    回転時におけるディスクロータの第1及び第2摺動面の回転軸線方向への振れ値をそれぞれ検知する第1及び第2の振れ検知器と、
    第1及び第2回転砥石の回転駆動力の変化をそれぞれ検知する第1及び第2の動力変化検知手段と、
    前記回転位相検知手段、前記第1及び第2の振れ検知器並びに前記第1及び第2の動力変化検知手段から提供される検知データに基づいて前記第1及び第2回転砥石を制御する回転砥石制御手段とを備え、
    前記回転砥石制御手段は、
    前記ディスクロータの第1及び第2摺動面の外への振れの最大値に相当する位置が前記第1及び第2回転砥石の研削開始位置となるように各回転砥石の研削開始位置を算出し、それぞれの研削開始位置に第1及び第2回転砥石を初期配置すると共に、
    第1回転砥石による第1摺動面の研削抵抗と第2回転砥石による第2摺動面の研削抵抗とが等しくなるように各回転砥石の各摺動面に対する切込み速度を制御することにより、第1及び第2回転砥石間にディスクロータを挟圧することによるディスクロータの歪みを回避しながらディスクロータの第1及び第2摺動面を同時研削する、
    ことを特徴とするディスク摺動面の研削装置。
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