JP4323531B2 - 凝集加圧浮上分離水処理方法及び水処理装置 - Google Patents
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Description
沈殿分離や浮上分離においては、無機、有機高分子の凝集剤を被処理原水に添加した後、急速攪拌及び緩速攪拌を行って、汚濁物と無機凝集剤からなる会合物(凝集フロックと称する)の径を成長させてから分離するのが一般的である。この場合には、凝集沈殿分離、あるいは凝集浮上分離と称されている。
これらの方法は、汚濁物と凝集剤との会合物と水との見掛けの密度差を利用して分離する方法である。
凝集浮上分離においては、予め加圧下で空気を過剰に溶解させておいた加圧水を大気圧に急激に減圧させた際に発生する径が概ね100ミクロン以下の気泡を吹き込んで上記フロックに付着させ、フロックと気泡との会合物の見掛け密度を水より小さくして、沈殿とは逆方向の水面方向に会合物を上昇させて分離するのが一般的である。このような操作を行う場合には「凝集加圧浮上分離」と称されている。
一方、凝集加圧浮上分離においては、この水量負荷を概ね200〜400m3/m2・日の範囲にとれるので、凝集沈殿に比べて分離槽の面積が1/10とコンパクトとなる。
この方法は、被処理原水にマイクロサンドと呼ばれる微細な砂を粒状物として添加し、無機凝集剤を添加して急速攪拌を行った後、高分子凝集剤を添加して緩速攪拌を行うことにより、原水中の懸濁物質、粒状物、凝集剤からなるフロックを形成し、添加した粒状物を重しとして、急速に沈殿分離するというものである。
添加した粒状物は、凝集沈殿槽下部より引き抜かれた後、液体サイクロンにより被処理原水中の汚濁物と凝集剤とからなる汚泥と分離された後、再度被処理原水に添加され、循環再利用される。
この方法によれば、凝集沈殿槽への水量負荷を720m3/m2・日以上という高い値をとりうるとされているが、高分子凝集剤の添加が必須であることや、粒度を予め調整したマイクロサンドの逸失分を常時補給する必要があることから、維持管理費の増大を招くため、あまり普及するに至っていない。
また、この方法においては、沈殿槽内に傾斜板もしくは傾斜管を組み込んだ沈降装置の設置が不可欠である。
水道浄水処理においては、高分子凝集剤の使用は、法的には認められるようになったが、高分子凝集剤の組成物であり人体に有害なアクリルアミドのモノマーの残留が依然として懸念されており、この点もこの処理方法及び装置の普及をさまたげる一因となっている。
この装置においては、長期間使用すると、浮上分離槽内に設置した傾斜板などの表面に凝集フロックが付着するので、定期的に除去清掃する必要があり、維持管理の手間が増えることや、傾斜板などの設置に費用を要するなどの課題がある。
この凝集加圧浮上分離水処理方法は、懸濁物質、腐植質などの色度成分、細菌類、病原性微生物、藻類、鉄、マンガンなどの汚濁物質を含む被処理原水に、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、塩化第二鉄、ポリシリカ鉄などの無機凝集剤Eを添加した後、急速攪拌工程21と、緩速攪拌工程22とを経て、凝集フロックを形成させる工程と、予め加圧下で空気を溶解させた加圧水を減圧して微細な気泡を該被処理水に吹き込み、該凝集フロックに微細気泡を付着させることにより、凝集フロックと微細気泡の会合物の見掛け密度を水より小さくすることが可能な、凝集フロックを浮上分離する工程23とを実施するようにしたものである。
そして、この凝集加圧浮上分離水処理方法は、急速攪拌工程21において、該加圧水Fの一部を急激に減圧した際に発生する微細気泡を吹き込み、上記無機凝集剤Eとともに急速攪拌を行うようにしている。
この凝集加圧浮上分離水処理方法は、上記被処理原水に無機凝集剤Eを添加した後、急速攪拌工程21と、緩速攪拌工程22とを経て、凝集フロックを形成させる工程と、予め加圧下で空気を溶解させた加圧水を減圧して微細な気泡を該被処理原水に吹き込み、該凝集フロックに微細気泡を付着させることにより、凝集フロックと微細気泡の会合物の見掛け密度を水より小さくすることが可能な、凝集フロックを浮上分離する工程23とを実施するようにしたものである。
そして、この凝集加圧浮上分離水処理方法は、緩速攪拌工程22において、該加圧水Fの一部を急激に減圧した際に発生する微細気泡を吹き込み、上記無機凝集剤Eと被処理原水中の汚濁物と無機凝集剤とから形成される微小な凝集フロックを緩速攪拌において成長させる際に、その凝集フロックの内部に微細気泡を取り込ませるようにしている。
この水処理装置は、処理の流れの順に、急速攪拌槽1及び急速攪拌装置9、緩速攪拌槽2及び緩速攪拌装置10、加圧浮上分離槽3と該槽に付属して設置されている微細気泡発生装置13、浮上処理水管14、浮上汚泥掻寄機15、該槽流入部に設置されている垂直阻流板17、傾斜阻流板18、浮上処理水管14に接続している水位調整槽7、該槽内に設置されている水位調整堰19、及び該水位調整槽19の越流水が流入する処理水槽4から構成されている。
加圧浮上分離に必要な微細気泡を発生させるための手段として、吸引側が処理水槽4に接続された加圧水ポンプ11、その吐出側に接続された加圧水槽5、加圧水自動弁20を介して加圧水槽5と接続されている加圧水マニホールド16、及び浮上分離槽3の流入部の底部付近に設置され、加圧水を急激に減圧して過剰に溶解している空気を微細気泡として発生させるための微細気泡発生装置13が設けられている。
加圧水ポンプ11の吸引側ラインの途中には、溶解させる空気Cを吸い込むための手段が設けられている。
さらに、急速攪拌槽1に無機凝集剤を所定量添加するための手段として、無機凝集剤貯槽6と、無機凝集剤注入ポンプ12とを備えている。
そして、この凝集加圧浮上分離水処理装置は、加圧水マニホールド16より分岐したラインを介して、加圧水の一部を急速攪拌槽1に導き、該槽内に設置した微細気泡発生装置13により、加圧水を急激に減圧した際に発生する微細気泡を急速攪拌槽1に吹き込み、無機凝集剤とともに急速攪拌を行うようにしている。
この水処理装置の構成は、図4に示す第1実施例の装置と概略同様であるが、急速攪拌槽1を2分割し、第1の急速攪拌槽1aに無機凝集剤を、第2の急速攪拌槽1bに加圧水マニホールド16より分岐したラインを介して、加圧水の一部を該槽内に設置した微細気泡発生装置13により微細気泡を吹き込むようにしている。
この装置の構成は、図4に示す第1実施例の装置と概略同様であるが、急速攪拌槽1を2分割し、第1の急速攪拌槽1aに加圧水マニホールド16より分岐したラインを介して、加圧水の一部を該槽内に設置した微細気泡発生装置13により微細気泡を吹き込み、続いて第2の急速攪拌槽1bに無機凝集剤を添加するようにしている。
この水処理装置の構成は、図4に示す第1実施例の装置と概略同様であるが、加圧水マニホールド16より分岐して加圧水の一部を急速攪拌槽1に導くためのラインの途中に無機凝集剤を注入できるようになし、該槽内に設置した微細気泡発生装置13の出口において、微細気泡と無機凝集剤とを混合した状態で急速攪拌槽1に同時に添加・吹き込むようになしている。
この水処理装置の構成は、図4に示す第1実施例の装置と概略同様であるが、緩速攪拌槽2に加圧水マニホールド16より分岐したラインを介して、加圧水の一部を該槽内に設置した微細気泡発生装置13により微細気泡を吹き込み、緩速攪拌を行うようになしている。
2 緩速攪拌槽
3 加圧浮上分離槽
4 処理水槽
5 加圧水槽
6 無機凝集剤貯槽
7 水位調整槽
8 浮上汚泥槽
9 急速攪拌装置
10 緩速攪拌装置
11 加圧水ポンプ
12 無機凝集剤注入ポンプ
13 微細気泡発生装置
14 浮上処理水管
15 浮上汚泥掻寄機
16 加圧水マニホールド
17 垂直阻流板
18 傾斜阻流板
19 水位調整堰
20 加圧水自動弁
21 急速攪拌工程
22 緩速攪拌工程
23 加圧浮上分離工程
A 被処理原水
B 加圧浮上処理水
C 空気
D 浮上汚泥層
E 無機凝集剤
F 加圧水
Claims (6)
- 汚濁物を含む被処理原水に無機凝集剤を添加した後、急速攪拌工程と、緩速攪拌工程とを経て、凝集フロックを形成させる工程と、予め加圧下で空気を溶解させた加圧水を減圧して微細な気泡を、凝集させた被処理原水と混合接触させて凝集フロックに微細気泡を付着させることにより、凝集フロックと微細気泡の会合物の見掛け密度を水より小さくし、凝集させた汚濁物を浮上分離する工程とを実施するようにした水処理方法であって、急速攪拌工程において、空気を過剰に溶解させた加圧水の一部を急激に減圧した際に発生する微細気泡を吹き込み、上記無機凝集剤とともに急速攪拌を行うことを特徴とする凝集加圧浮上分離水処理方法。
- 急速攪拌工程に添加する加圧水に予め無機凝集剤を注入することを特徴とする請求項1記載の凝集加圧浮上分離水処理方法。
- 汚濁物を含む被処理原水に無機凝集剤を添加した後、急速攪拌工程と、緩速攪拌工程とを経て、凝集フロックを形成させる工程と、予め加圧下で空気を溶解させた加圧水を減圧して微細な気泡を、凝集させた被処理原水と混合接触させて凝集フロックに微細気泡を付着させることにより、凝集フロックと微細気泡の会合物の見掛け密度を水より小さくし、凝集させた汚濁物を浮上分離する工程とを実施するようにした水処理方法であって、緩速攪拌工程において、空気を過剰に溶解させた加圧水の一部を急激に減圧した際に発生する微細気泡を吹き込み、上記無機凝集剤とともに緩速攪拌を行うことを特徴とする凝集加圧浮上分離水処理方法。
- 無機凝集剤の添加手段、急速攪拌手段、緩速攪拌手段、加圧下で空気を溶解させた加圧水を減圧して微細な気泡を被処理原水に吹き込む手段と、凝集フロックと微細気泡の会合物を浮上分離する手段とからなる水処理装置であって、急速攪拌槽に、該加圧水の一部を減圧して微細気泡を吹き込む手段を設け、無機凝集剤とともに微細気泡を急速攪拌するようになしたことを特徴とする凝集加圧浮上分離水処理装置。
- 急速攪拌槽に添加する加圧水に予め無機凝集剤を注入するようになしたことを特徴とする請求項4記載の凝集加圧浮上分離水処理装置。
- 無機凝集剤の添加手段、急速攪拌手段、緩速攪拌手段、加圧下で空気を溶解させた加圧水を減圧して微細な気泡を被処理原水に吹き込む手段と、凝集フロックと微細気泡の会合物を浮上分離する手段とからなる水処理装置であって、緩速攪拌槽に、該加圧水の一部を減圧して微細気泡を吹き込む手段を設け、無機凝集剤の添加と急速攪拌により生成した微細な凝集フロックとともに微細気泡を緩速攪拌するようになしたことを特徴とする凝集加圧浮上分離水処理装置。
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