JP4323505B2 - スクリーン印刷用インキ、加飾印刷物及び加飾樹脂成形物 - Google Patents
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Description
このインキに含まれるアルミニウム箔として同文献の実施例に具体的に記載されているものは、0.15μmの厚みを有し、20〜2000μm2範囲の箔面積を有している。結合剤として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などのインキ用のものが使用される旨記載されている。これら結合剤と、溶剤とが相溶性が高く、さらに溶剤が乾燥しやすいものであるため、鏡面光沢感が低下することがない旨記載されている。
このインキに含まれるバインダーポリマーとしては、スクリーン印刷に用いられるもの、例えば塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが記載されている。
スクリーン印刷によって、アルミニウム箔による加飾印刷層が形成される。
以下、各成分について説明する。
また、本発明におけるアルミニウム箔の厚みは、0.09μm以下、より好ましくは、0.07μm以下とする。こうすることにより、金属光沢や鏡面光沢が高度なインキが得られる。
すなわち、例えば特公昭62−45905号公報の金属リーフィング顔料の製法に基づいて作製される。作製の際、超音波分散にて粒子径の計測を行いながら平均粒子径が2〜29μmになるよう調整することにより、薄層のアルミニウム箔を作製することができる。
また、本発明におけるアルミニウム箔の平均粒子径は、29μm以下、より好ましくは、15μm以下とする。こうすることにより、印刷版にアルミニウム箔が引っかからず、優れた金属光沢や鏡面光沢を有し、塗膜欠陥のない、細線の再現性と図柄の寸法の精度の良いインキが得られる。
(i)測定に用いられる試験片は、以下のようにして作製される。
まず、東芝セラミック株式会社製の製品スペック=200mm±0.2mm、厚さ=725μm±25μm、平坦度=SFQR0.4μm/22.5mm2であるシリコンウエハーを約15mm2にカットし、メタノールで表面を洗浄する。アルミニウム箔は、シリコンウエハー上に塗布した際に重ならないようにエタノール分散液中に十分希釈分散させておく。次に、このエタノール分散液を、上記シリコンウエハー上に薄く塗布し、常温で24時間乾燥することにより作製される。
(ii)(i)のように作製された試験片について、日本電子製JSPM−4210型走査型プローブ顕微鏡にて、日本電子データム株式会社の形式NSC35のカンチレバーをACモードで50μm視野をスキャンすることにより得られた像から、SPM装置付属の解析ソフトウェアWinSPMを用いて、アルミニウム箔の厚さおよび平均粒子径を測定することができる。
バインダーポリマーとして、エステル系熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性ポリウレタンであっても、本発明において使用される溶剤に溶解しないものは使用することはできない。また、本発明において使用される溶剤に溶解するエステル系熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性ポリウレタンであっても、単独で使用した場合、十分な密着性を得ることが困難となるため使用することはできない。そのため、バインダーポリマーとして、エステル系熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性ポリウレタンであるエーテル系熱可塑性ポリウレタン、ラクトン系熱可塑性ポリウレタン、カーボネート系熱可塑性ポリウレタンなどを単独で用いることはできない。
従来のインキにおいては、このような薄膜のアルミニウム箔を用いられた例が無かった。本発明ではこのような特定の厚みのアルミニウム箔を用いることにより、金属光沢、鏡面光沢に優れるインキを実現するものである。しかし、このような薄膜のアルミニウム箔を用いた場合、鏡面インキに含有するアルミニウム箔の単位重量当たりの表面積が増大し、密着性を付与させるバインダーポリマーの必要量が増加することとなる。この際、バインダーポリマーの量が増加することにより鏡面性が低下し、また一方で、バインダーポリマーの量を低減させると密着性が低下するという別の課題が発生する。そこで本発明は、エステル系熱可塑性ポリウレタンを必須成分とすることにより、かかる課題を解決している。
また、本発明におけるエステル系熱可塑性ポリウレタンは、ガラス転移点が70℃以下であることが好ましい。こうすることにより、耐衝撃性が低下して初期密着性が低下するのを防ぎ、密着性の高い加飾印刷物を得ることができる。また、インサート成形する前の時点での初期密着性の低下を防ぎ、さらに成形後の密着性の低下をも防ぎ、クラック等の発生を抑えることができる。
短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼンを挙げることができる。
また、ポリエステルポリオールとしては、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−へキサンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)を挙げることができる。
また、ジイソシアネートとしては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートを挙げることができる。
このようなエステル系熱可塑性ポリウレタンは、バインダーポリマーとしてインキ中に配合され、良好な細線の再現性と図柄の寸法の精度が実現できる。また、加飾印刷物の密着性を高めることができる。
具体的には、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;
シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;
ガンマーブチロラクトン、セロソルブアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、プロピレンカルボナートなどのエステル類;
ジアセトンアルコール、N−アミルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、n−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールなどのアルコール類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオールなどの多価アルコール;
グルタミン酸ジメチルとコハク酸ジメチルとアジピン酸ジメチルとの混合物などが挙げられる。
これらの溶剤を単独で用いても良いし、複数種を混合して使用しても良い。
本発明に係る加飾印刷物は、加飾印刷層を有する。この加飾印刷層は、高度の金属光沢や鏡面光沢を有して塗膜欠陥のない、細線の再現性と図柄の寸法の精度の良い、印刷物精度の高い、高度な密着性を有する印刷層である。
こうすることにより、高度の金属光沢や鏡面光沢を有して塗膜欠陥のない、細線の再現性と図柄の寸法の精度の良い、印刷物精度の高い、高度な密着性を有する加飾印刷物が得られる。
より好ましくは、オープニングが32〜60μmであるスクリーンメッシュを使用する。こうすることにより、細線の再現性と図柄の寸法の精度の良い、印刷物精度の高い加飾印刷物が得られる。
すなわち、本発明におけるインキを使用した印刷によって加飾印刷層が形成された透明又は半透明シートを金型に装着する。次に、この加飾印刷層の印刷面に合成樹脂を密着させ、成形時の圧力と合成樹脂と金型の熱によって、合成樹脂と加飾印刷層を有する加飾印刷物を完全に溶融一体化して作製される。
中間層を設けることにより、高度の金属光沢や鏡面光沢を有し、高度な密着性を有する加飾樹脂成形物が得られる。
上記素材の形状としては、例えば、巻物などのシート状や裁断された板状が好ましい。一般に印刷に使用される素材であれば、特に形状としては制限なく適用可能である。
(実施例1)
厚みが0.07μm、平均粒子径が10μm、箔面積が98μm2であるアルミニウム箔を100重量部に対して、エステル系熱可塑性ポリウレタンであるBF Goodrich社のESTAEN 5715(ガラス転移点20℃)を120重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1,200重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルを450重量部、シクロヘキサノンを100重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.07μm、平均粒子径が10μm、箔面積が98μm2であるアルミニウム箔を100重量部に対して、エステル系熱可塑性ポリウレタンであるBF Goodrich社のESTAEN 5799(ガラス転移点55℃)を120重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1,200重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルを450重量部、シクロヘキサノンを100重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.03μm、平均粒子径が10μm、箔面積が98μm2であるアルミニウム箔を100重量部に対して、エステル系熱可塑性ポリウレタンであるBF Goodrich社のESTAEN 5715(ガラス転移点20℃)を120重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1,200重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルを450重量部、シクロヘキサノンを100重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.07μm、平均粒子径が2μm、箔面積が3.8μm2であるアルミニウム箔を100重量部に対して、エステル系熱可塑性ポリウレタンであるBF Goodrich社のESTAEN 5715(ガラス転移点20℃)を120重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1,200重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルを450重量部、シクロヘキサノンを100重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.07μm、平均粒子径が36μm、箔面積が1,250μm2であるアルミニウム箔を100重量部に対して、エステル系熱可塑性ポリウレタンであるBF Goodrich社のESTAEN 5715(ガラス転移点20℃)を120重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1,200重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルを450重量部、シクロヘキサノンを100重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.25μm、箔面積が20〜2,000μm2であるアルミニウム箔を80%含有するアルミニウムを100重量部に対して、アクリル酸エステル系樹脂を30重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルを1,250重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.15μm、箔面積が20〜2,000μm2であるアルミニウム箔を90%含有するアルミニウムを100重量部に対して、ポリビニルブチラール樹脂を100重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1,800重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.25μm、平均粒子径が10μm、箔面積が98μm2であるアルミニウム箔を100重量部に対して、エステル系熱可塑性ポリウレタンであるBF Goodrich社のESTAEN 5715(ガラス転移点20℃)を120重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1,200重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルを450重量部、シクロヘキサノンを100重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.07μm、平均粒子径が10μm、箔面積が98μm2であるアルミニウム箔を100重量部に対して、酢酸ビニル樹脂を120重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを1,200重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルを450重量部、シクロヘキサノンを100重量部混合して鏡面インキを作製した。
厚みが0.07μm、平均粒子径が10μm、箔面積が98μm2であるアルミニウム箔を100重量部に対して、エステル系熱可塑性ポリウレタンであるBF Goodrich社のESTAEN 5715(ガラス転移点20℃)を120重量部、メチルエチルケトンを1,750重量部混合して鏡面インキを作製した。
Claims (7)
- 厚みが0.01μm以上0.09μm以下であるアルミニウム箔と、
短鎖グリコールとポリエステルポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるエステル系熱可塑性ポリウレタンと、
溶剤と、
を含み、
前記アルミニウム箔の平均粒子径が6μm以上29μm以下であって、かつ、前記エステル系熱可塑性ポリウレタンのガラス転移点が、10℃以上70℃以下であり、前記アルミニウム箔100重量部に対して、前記エステル系熱可塑性ポリウレタンの含有量が10〜300重量部であり、前記溶剤の含有量が600〜2000重量部であることを特徴とするスクリーン印刷用インキ。 - 請求項1に記載のスクリーン印刷用インキにおいて、
前記アルミニウム箔の厚みが0.04μm以上0.07μm以下であることを特徴とするスクリーン印刷用インキ。 - 請求項1又は2に記載のスクリーン印刷用インキにおいて、
前記溶剤が、グリコールエーテル類を含むことを特徴とするスクリーン印刷用インキ。 - 請求項1乃至3いずれかに記載のスクリーン印刷用インキを使用して、
透明又は半透明シートに対し、260〜360メッシュのスクリーンメッシュで加飾印刷を施してなる、ことを特徴とする加飾印刷物。 - 請求項4に記載の加飾印刷物の印刷面に合成樹脂を密着させたことを特徴とする加飾樹脂成形物。
- 請求項5に記載の加飾樹脂成形物において、
前記加飾印刷物の印刷面と、前記合成樹脂との間に、中間層を設けたことを特徴とする加飾樹脂成形物。 - 請求項5又は6に記載の加飾樹脂成形物において、
前記合成樹脂はインサート成形されたものである、ことを特徴とする加飾樹脂成形物。
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