JP4323469B2 - タイバーの物理的変化量検出装置 - Google Patents

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本発明は、射出成形機に備えたタイバーの物理的変化量を検出するための検出装置に関するものである。
従来、射出成形機における型締力や射出圧力の検出を、タイバーに取付けたセンサからの検出値を利用するものがある。タイバーでは型締力や射出圧力が作用した際、その力や圧力に応じて歪み(伸縮)が起こるため、これを歪みセンサで検出することで、型締力や射出圧力を検出することができる。
特許文献1では、歪みセンサを弾性部材を介して半円状の分割フランジに設けた凹部に接着している。この歪みセンサによってタイバーの歪みを検出するようにしている。
また特許文献2では、タイバーを挟み込むコ字状のフレーム部材と、このフレーム部材を内側に付勢してタイバーに摩擦係着可能とするフレーム係着圧接手段と、歪みセンサを保持するとともに、センサを付勢してタイバーに加圧状態で密着可能とするセンサ圧接手段とを備えることにより、タイバー周辺の雰囲気温度が変化しても、センサを一定に保持できるようにしている。
米国特許第5616847号明細書 特開2003−112343号公報
しかし特許文献1では、タイバー周辺の雰囲気温度が変化することにより、タイバーの膨張(収縮)、分割フランジの膨張(収縮)が発生し、タイバーから分割フランジが脱落したり、またはタイバーから歪みセンサが離れてしまい、型締力が検出できないことがある。
また、特許文献2では、コ字状のフレーム部材の開口部をボルトとフレーム係着用弾性部材で係着しているため、このボルトの締付け具合によってセンサがタイバーの表面に対して偏った状態で圧接されるおそれがある上、このボルトのトルク調整と、センサを直接付勢するセンサ加圧用弾性部材の付勢力調整、これらをフレーム部材内に保持するカバーとカバー固定用ボルトのトルク調整を行う必要がある等、センサを正確に作動させるまでの調整が煩わしいという問題がある。
本発明の目的は、タイバー周辺の雰囲気温度の変化による膨張・収縮によって生ずる脱落又は歪みセンサの離れを防止し、センサのタイバーへの当接を容易に調整できるようにして、タイバーにおける物理的変化量をセンサにより精度良く検出できるタイバーの物理的変化量の検出装置を提供することにある。
射出成形機が備えるタイバーの物理的変化量を検出するための装置であって、前記タイバーに挿通する環状本体と、その環状本体の内径部に形成した凹所と、その凹所に収容してタイバーに臨ませたセンサと、環状本体の外側から凹所内に設けられたセンサをタイバーの側面に密着させる圧接手段とからなり、前記環状本体は継目のない厚肉の単一部材からなる、というものである。
また前記環状本体は、前記タイバーとの位置決めを行うための位置決め部材を備え、その環状本体の内径と前記タイバー径は、予め定めた公差分を除き同径である、というものである。
また本発明の前記凹所は、前記環状本体の内径の中心を挟んで対面する2個所に設けられ、その両方の凹所にセンサーを収容してなるというものであり、前記圧接手段は、前記センサを前記タイバーに押付ける弾圧部材を有するというものである。また前記物理的変化量はタイバーの歪みであり、前記センサは歪みセンサである、というものである。
(1)前記構成の本発明では、環状本体が継目のない厚肉の単一部材からなり、またセンサをタイバー側面に押付ける圧接手段を有することにより、温度変化による環状本体やタイバーの膨張(収縮)が起こっても、圧接手段により適度にセンサがタイバーに圧接されているため、センサがタイバーから離れることがない。
(2)継ぎ目のない厚肉の単一部材による環状本体ではタイバーに挿通する際、前記凹所に収容したセンサを、環状本体の外周側から圧接手段を操作するだけで固定するための準備が整うので煩わしい調整の必要がなく、また、センサの抜き差しが単体でできるため、環状本体の取外しを行うことなくセンサの交換を行うことができる。
(3)環状本体とタイバーとの位置決めを行うための位置決め部材を有することにより、環状本体の内径やタイバー径の加工精度が悪く同心状態でない場合でも、位置決めを容易に行うことができる。
(4)環状本体の内径とタイバー径は、予め定めた公差分を除き同径であることにより、タイバーを環状本体に挿通させるだけで同心状態をほぼ確保することができ、煩わしい位置決めのための調整時間を短縮することができ、位置決め精度も向上する。
(5)前記凹所を、環状本体の内径の中心を挟んで対面する2個所に設け、その両方の凹所にセンサを収容したことにより、センサのゲージ抵抗を2個所にすることができる。これによりセンサの検出値の精度を上げることができ、またタイバー対称位置に正確に装着できるため、タイバーの軸方向の歪みをより正確に検出することができる。
図1は、本発明の物理的変化量検出装置の取付け対象となる通常構造の型締装置の一例を示すものである。
図中1は固定盤、2は圧受盤で四隅のタイバー3、3により連結して機台4上に設置してある。5はタイバー3、3に挿通して固定盤1に対し進退自在に設けた可動盤で、その可動盤5と圧受盤2との間に、図示しないサーボモータにより屈伸作動するトグル機構6が設けてあり、そのトグル機構6の伸長作動により前記可動盤5が前進移動して、固定盤1と可動盤5に分割して取付けた金型7の開閉及び型締を行うものである。
本発明の物理的変化量検出装置Aは、型締動作や射出動作に際して生ずるタイバーの歪み(伸縮)を検出し、これを型締装置の型締力や射出圧力として測定する手段として、前記タイバー3の所定位置に配備される。
以下、本発明の物理的変化量検出装置の実施の形態を、図2から図6を参照しながら詳細に説明する。
図2及び図3は、本発明の一実施形態を示すものである。
図中10は型締装置のタイバー3に挿通する厚肉の環状本体で、アルミニウム合金等の適宜な金属製材料を用いて、継目なく一体形成した単一部材からなる。この環状本体10の内径dは、タイバー径Dとの公差寸法の範囲内で、内径部の対称位置にセンサ20を軸方向から収容することができる凹所11、11が形成してある。この両方の凹所11、11にはセンサ20を前記タイバー3の側面に当接させる圧接手段として、押付けボルト12、12が外側からねじ込んである。
押付けボルト12、12はタイバー3とセンサ20との接触状態を好適なものとするためにトルク管理による締付けがなされるものであり、緩み防止のためにロックナット等を介して配設することが好ましい。また前記凹所11に収容されるセンサ20をタイバー3の側面に適度な弾撥力をもって押付ける弾圧部材として、調整用バネ30がセンサ20と重ねて凹所内に設けてある。この調整用バネ30と単一部材の環状本体10とによって、タイバー周辺の雰囲気温度の変化などにより、タイバー3や環状本体10に膨張又は収縮が生ずることがあっても、柔軟に対応してタイバー側面とセンサ20との接触が保たれるようになる。
弾圧部材として用いる調整用バネ30にあっては、板バネ、コイルバネ等から適宜に採択するものであるが、その場合には押付けボルト12の締付け力を均等に受けられるように、押付けボルトの先端側に適宜な受け板31などを配備しておくことが好ましい。
また、前記環状本体10には、タイバー3の所定箇所にセンタリングさせて装着するための位置決めボルト40が、先端部をポリアセタール加工などを施して、少なくとも2個所に、好ましくは略等間隔をもって軸心方向に向けねじ込んである。
前記センサ20は、環状本体1の凹所11に嵌脱可能に形成した金属製のベース体21と、検出面側がタイバー3に臨むように、ゴム製材22を介してベース体21に重ねて設けられるストレーンゲージ23とからなり、ストレーンゲージ23には信号ケーブル24が接続してある。図示では省略してあるが、このセンサ20にはストレーンゲージ23の検出面を保護するためにアルミやステンレス等の金属箔などで被覆したものなどが用いられる。
なお、前記環状本体10に設ける凹所11の形状は特に限定されるものではなく、例えば図4に示すように、前記調整用バネ30を収容するように該凹所11を段付き形成して設けても良く、該検出装置Aの配置条件などに基づいて取付作業や部品交換の容易性などを考慮して決定される。
また、図では省略してあるが、前記信号ケーブル24の配線をサポートするためのガイド部材やフック部材等を前記位置決めボルトの周辺などに配設することも可能である。
図5及び図6は、本発明の別の実施形態を示すものである。
前記センサ20のベース体21には、前記押付けボルト12の軸径よりも幅広の凹陥部21aを形成し、この凹陥部21aを覆って押付けボルト先端と当接する調圧板21bが配設される。この調圧板21bは、金属製又は合成樹脂製で柔軟性のある薄板材で、前記押付けボルトの進退に応じて凹陥部上に位置する板面が湾曲変形するように設けてある。
前記押付けボルト12は調圧板21bに当接し、該押付けボルト12の締付け力を受ける調圧板21bが凹陥部21aの内奥側に圧される際の撓み作用によってセンサ20を押圧し、タイバー側面との接触を保持するようにしてある。
次に、前記構成の検出装置Aのタイバー3への取付けについて説明する。
先ず、環状本体10を射出成形機の組立時にタイバー3に挿通して、タイバー3の軸方向に沿って移動可能な状態に設けておく。この環状本体10を任意の検出位置にまで移動させて、2個所に設けてある位置決めボルト40でタイバー3の軸径にセンタリングするように調節して固定する。この時には、環状本体10の凹所11、11がタイバー3の上下(12時と6時の方向)に位置されるように配置することが好ましい。
ついで、前記凹所11内にセンサ20をタイバーの軸方向から挿入し、凹所の外側から前記押付けボルト12を締付けて、センサ20をタイバー3の側面に密に圧接する。この際、押付けボルト12はセンサ20がタイバー3に対して好適な圧力をもって接触するように、例えば78cN−mの指定トルクで締付けられる。また先にも説明したように調整用バネ30を介在させることによって、曲面のタイバー側面にセンサ20のストレーンゲージ22が均等に接触するようになる。
尚、これまでの説明においては、環状本体10にタイバー3とのセンタリングをなすための位置決めボルト40を採用した例で説明をしたが、タイバー径Dと環状本体の内径dの同径が保証されている場合には、前記位置決めボルト40を省略した構成とすることも当然に可能である。
本発明に係る物理的変化量検出装置を取付けた通常構造の型締装置の略示側面図である。 本発明の一実施形態の正面図である。 同上の半部縦断側面図である。 本発明に係る凹所の別の形態例からなる正面図である。 本発明の別の実施形態の正面図である。 同上の半部縦断側面図である。
符号の説明
3 タイバー
10 環状本体
11 凹所
12 押付けボルト
20 センサ
21 ベース体
21a 凹陥部
21b 調圧板
22 ゴム製材
23 ストレーンゲージ
24 信号ケーブル
30 調整用バネ
40 位置決めボルト

Claims (7)

  1. 射出成形機が備えるタイバーの物理的変化量を検出するための装置であって、前記タイバーに挿通する環状本体と、その環状本体の内径部に形成した凹所と、その凹所に収容してタイバーに臨ませたセンサと、環状本体の外側から凹所内に設けられたセンサをタイバーの側面に密着させる圧接手段とからなり、前記環状本体は継目のない厚肉の単一部材からなることを特徴とするタイバーの物理的変化量検出装置。
  2. 前記環状本体は、前記タイバーとの位置決めを行う位置決め部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の物理的変化量検出装置。
  3. 前記環状本体の内径と前記タイバー径は、予め定めた公差分を除き同径であることを特徴とする請求項1又は2に記載の物理的変化量検出装置。
  4. 前記凹所は、前記環状本体の内径の中心を挟んで対面する2個所に設けられ、その両方の凹所にセンサーを収容してなることを特徴とする請求項1に記載の物理的変化量検出装置。
  5. 前記圧接手段は、前記センサを前記タイバーに押付ける弾圧部材を有することを特徴とする請求項1に記載の物理的変化量検出装置。
  6. 前記センサは、前記圧接手段との当接面に凹陥部を設け、該凹陥部を覆ってタイバーへの押圧を調整する調圧板を有することを特徴とする請求項1に記載のタイバーの物理的変化量検出装置。
  7. 前記物理的変化量はタイバーの歪みであり、前記センサは歪みセンサであることを特徴とする請求項1に記載のタイバーの物理的変化量検出装置。
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