JP4323374B2 - 金型クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法 - Google Patents
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ノンリードパッケージの樹脂封止は以下のように実施されている。型開きしている金型間に基板が挿入され、平版の金型に設けられた吸引孔により吸引して基板を所定位置に固定する。基板を位置固定した後金型を型締めし、通常のエポキシ樹脂等の樹脂封止用樹脂が金型に充填される。熱硬化させた後型開きされ、樹脂封止された基板を取り出し、操作が終了する。
このため、加熱金型面のクリーニングと云う作業上の危険性を解消することができず、また、全体的な生産性が低下すると共に、成形品の品質性及び信頼性が低下し、更に、上記した専用部材には砥粒が含有されているので、却って金型面を損傷する等の問題があった。
(1) 3層構造からなり、中層部にクリーニング樹脂溶液非透過性材料があり、その両外層部に再生セルロース混不織布からなるクリーニング樹脂溶液透過性材料が一体化されてなる構造であることを特徴とする金型クリーニングシートである。
(2) クリーニング樹脂溶液透過性材料が再生セルロース連続長繊維不織布である(1)に記載の樹脂成形用金型面クリーニング用のクリーニングシートである。
(3) 金型片面Aに吸引孔を有し、もう一方の金型片面Bにキャビティ部等の成形用凹部を有する樹脂成形用金型を、クリーニング用樹脂を用いてクリーニングする方法において、樹脂成形用金型面間に(1)または(2)に記載の金型クリーニングシートをセットすることを特徴とする樹脂成形用金型面のクリーニング方法である。
本発明の金型クリーニングシートは、3層構造で、中層部にクリーニング樹脂溶液非透過性材料があり、その両外層部にクリーニング樹脂溶液透過性材料が一体化されてなる構造である。
本発明の金型クリーニングシートはカール度θが好ましくは−90°<θ<90°、より好ましくは−60°≦θ≦60°、更に好ましくは−45°≦θ≦45°である。ここでいうカール度とは以下の方法で測定されたものをいう。
カール度θが±90°を超えると第1金型と第2金型を型締めする際に折れ曲がり一部が2枚重ね以上の状態で型締めされるのでクリーニング樹脂の洩れやクリーニングしたい部分への樹脂の未充填等が発生したり、圧力分布が不均一となり金型が変形する恐れがある。また、これらの修正や後処理等に時間がかかり作業効率が低下することがある。
本発明の金型クリーニングシートの厚みは0.10〜1.0mmが好ましく、より好ましくは0.20〜0.90mm、更に好ましくは0.30〜0.80mmである。本発明はBGA等の金型クリーニングを目的としているが、BGA等の基板は薄膜化が進んでおり、厚みが1.0mmを超えるクリーニングシートを用いると金型の型締めによりクリーニング樹脂溶液透過性材料が浮き、キャビティ等の凹部壁面や底面に接触してクリーニング樹脂の未充填現象が発生することがある。また、0.10mm未満であるとクリーニング樹脂溶液の保持性が低下して固化後にキャビティ内に固化樹脂が残留する、いわゆる剥離不良が発生することがある。
d=d2−d3
これと同様の方法で剥ぎ取られた残りのシートにおけるクリーニング樹脂溶液透過性材料の厚みが求められる。
100%繊維充填時の1m2当たりの重量 s =10000×d×(素材の比重)
繊維充填率(%)=w/s×100
尚、素材の比重は化繊協会刊行の繊維ハンドブック等に掲載の数値を用いる。例えば、ビスコース法レーヨンは1.51、銅アンモニア法レーヨンは1.50の数値を用いる。
本発明のクリーニング用樹脂非透過性材料の厚みは10〜150μmが好ましく、より好ましくは15〜130μm、更に好ましくは20〜100μmである。10μm未満であると擦れや異物との接触により破れが生じやすく、また、クリーニング樹脂の圧力により破れを生じ樹脂洩れが発生しやすくなる。また、150μmを超えるとクリーニング樹脂非透過性材料の強度にもよるが、金型に設置された凸部、例えば基板端面寄せピン、エジェクタ−ピン、位置決めピン等を痛めることがある。
本発明の金型クリーニングシートの目付けは、10〜150g/m2であることが好ましい。クリーニングシートの目付けはシートの保形性や厚みとも関連しており、10g/m2未満であると保形性が低く、シートをセットしにくくなり作業性が低下する傾向がある。また、150g/m2を超えると保形性は向上するものの厚みも増すことがあり金型型締めによりキャビティ等の凹部壁面や底面に接触してクリーニング樹脂の未充填現象が発生することがある。
本発明の金型クリーニングシートにはクリーニングシートを金型へセットする際の作業効率を更に向上させるために位置決め穴が開いていても問題はない。また、樹脂ポット、すなわちクリーニング樹脂の供給孔が吸引孔を有する金型面にある場合には樹脂ポット部に孔を設ける必要がある。樹脂を供給するための孔の径は、樹脂供給孔の直径の50%以上、90%以下が好ましい。50%未満であると圧損の関係からクリーニングしたい金型の凹部に樹脂が行き渡らない、いわゆる未充填を生じることがある。また、90%を超えると樹脂供給孔周辺で樹脂洩れが生じ、作業性が低下することがある。
本発明の金型クリーニングシートは連続した長尺状に形成されていてもよい。通常のクリーニング作業では数回以上のクリーニング操作を実施する。連続した長尺状、例えばロール状に巻かれたもので供給することで作業効率が向上する。ここでいう連続した長尺状とは、少なくともクリーニング操作を連続5回以上できる長さのことをいい、金型の形状やクリーニング用樹脂非透過性材料の投入方向にもよるが、1m以上であることをいう。
この方法によればクリーニング用樹脂非透過性材料が吸引孔側に配置されているので、吸引孔へクリーニング用樹脂を流入させることなく、金型をクリーニングすることができる。
(1)汚れた金型の準備
上金型に深さ0.25mmのキャビティ部とランナー部等の凹部が設けられ、下金型に吸引孔の細孔が設けられたBGAタイプのパッケージ用金型を用いて、下金型に吸引孔及び樹脂供給孔があり、上金型にキャビティ部等の樹脂封止用の凹部が設けられたノンリードパッケージ用のトランスファーモールド装置で、エポキシ系の樹脂を用いて通常のノンリードパッケージの樹脂封止生産を1500ショット行い、キャビティ部等が汚れた金型を準備した。
実施例及び比較例で得られたクリーニングシートを金型のサイズとほぼ同等の大きさにカットし、樹脂供給部にあたる部分に樹脂供給孔の直径の80%の孔を開けた。
(3)吸引孔の孔詰まり状態の評価
前述のクリーニングシートを用いて、クリーニング用樹脂による10回のクリーニング操作が終了した後、吸引孔を確認し、クリーニング樹脂等による孔詰まり数Pを計測する。孔総数Qに対する穴詰まり数Pの割合を穴詰まり率R(%)として算出した。
孔詰まり率R(%)=(P/Q)×100
クリーニング用樹脂による10回のクリーニング操作が終了した後、熟練した作業員5名がクリーニング後のキャビティ部表面及びクリーニング樹脂のキャビティ部に対応する固化物の状態からクリーニング性を判断して以下の等級で評価し、5名の評価結果の平均を求めた。
5:非常にクリーニング状態が良好である
4:ややクリーニング状態が良好である
3:クリーニング状態が良好である
2:ややクリーニング状態が悪い
1:非常にクリーニング状態が悪い
クリーニング用樹脂による10回のクリーニング操作が終了した後、熟練した作業員5名がクリーニング後のキャビティ部以外の部分のクリーニング性を判断して以下の等級で評価し、5名の評価結果の平均を求めた。
5:非常にクリーニング状態が良好である
4:ややクリーニング状態が良好である
3:クリーニング状態が良好である
2:ややクリーニング状態が悪い
1:非常にクリーニング状態が悪い
クリーニング用樹脂による10回のクリーニング操作が終了した後、熟練した作業員5名がクリーニング後のキャビティ部以外の部分のクリーニング性を判断して以下の等級で評価し、5名の評価結果の平均を求めた。
5:非常にクリーニング状態が良好である
4:ややクリーニング状態が良好である
3:クリーニング状態が良好である
2:ややクリーニング状態が悪い
1:非常にクリーニング状態が悪い
熟練した作業員5名が作業を行い、一体性の尺度としてクリーニング樹脂固化後、取り出し時の樹脂の剥離性を以下の等級で評価し、5名の評価結果の平均を求めた。
5:非常に剥離性が良い
4:やや剥離性が良い
3:剥離性が良い
2:やや剥離性が悪い
1:非常に剥離性が悪い
熟練した作業員5名が作業を行い、一連の作業の作業性を以下の等級で評価し、5名の評価結果の平均を求めた。
5:非常に作業性が良い
4:やや作業性が良い
3:作業性が良い
2:やや作業性が悪い
1:非常に作業性が悪い
前述の方法で測定した。
(10)カール度
前述の方法で測定した。
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、流下緊張下で連続して紡糸し、シート形成させ、平均単繊度2.1dtex、目付38.5g/m2、厚み0.29mmの再生セルロース連続長繊維不織布を得た。
両面にコロナ処理を行った厚み16μm、目付22.4g/m2のポリエステルフィルムの片面にポリエステル系接着剤(不揮発分30重量%)を乾燥重量で5g/m2均一塗布し、80℃で1分間乾燥させた後、上記再生セルロース連続長繊維不織布と重ね、ゴムロールと80℃の金属ロールで圧縮して通常のドライラミネーション法により貼り合せた。更にフィルムの反対面にも上記再生セルロース連続長繊維不織布を同様の方法で貼り合せた後、40℃の恒温室に100時間保管して、中層がポリエステルフィルム、両外層が再生セルロース連続長繊維不織布からなる金型クリーニングシートを得た。得られた金型クリーニングシートは、目付110g/m2、厚み0.576mmであった。
金型クリーニングシートの組成を表1に、得られた金型クリーニングシートによるクリーニング作業を行った結果を表2に示す。結果からもわかるとおり、得られた金型クリーニングシートは金型クリーニング性及び作業性に極めて優れたものであった。
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、流下緊張下で連続して紡糸し、シート形成させ、平均単繊度2.1dtex、目付55g/m2、厚み0.54mmの再生セルロース連続長繊維不織布を得た。
実施例1で用いた再生セルロース連続長繊維不織布と両面にコロナ処理を行った厚み25μm、目付35g/m2のポリエステルフィルムを実施例1と同様の方法で貼り合わせた後、もう片面に上記の再生セルロース連続長繊維不職布を実施例1と同様の方法で張り合わせ金型クリーニングシートを得た。得られた金型クリーニングシートは、目付140g/m2、厚み0.815mmであった。
金型クリーニングシートの組成を表1に、得られた金型クリーニングシートによるクリーニング作業を行った結果を表2に示す。結果からもわかるとおり、得られた金型クリーニングシートは金型クリーニング性及び作業性に極めて優れたものであった。
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、流下緊張下で連続して紡糸し、シート形成させ、平均単繊度2.1dtex、目付27.5g/m2、厚み0.45mmの再生セルロース連続長繊維不織布を得た。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布と両面にコロナ処理を行った厚み12μm、目付16.8g/m2のポリエステルフィルムを実施例1と同様の方法で貼り合わせた後、もう片面にビスコース法レーヨン短繊維100重量%で構成された不織布で、目付40g/m2、厚み0.51mmの再生セルロース不織布を実施例1と同様の方法で張り合わせ金型クリーニングシートを得た。得られた金型クリーニングシートは、目付95g/m2、厚み0.722mmであった。
金型クリーニングシートの組成を表1に、得られた金型クリーニングシートによるクリーニング作業を行った結果を表2に示す。結果からもわかるとおり、若干の脱落繊維は見られたものの得られた金型クリーニングシートは金型クリーニング性及び作業性に極めて優れたものであった。
ビスコース法レーヨン短繊維70重量%、ポリエステル30重量%で構成された不織布で、目付40g/m2、厚み0.48mmの再生セルロース混不織布を用いた以外は実施例1と同様の方法で金型クリーニングシートを得た。得られた金型クリーニングシートは、目付115g/m2、厚み0.926mmであった。
金型クリーニングシートの組成を表1に、得られた金型クリーニングシートによるクリーニング作業を行った結果を表2に示す。結果からもわかるとおり、若干の脱落繊維は見られたものの得られた金型クリーニングシートは金型クリーニング性及び作業性に極めて優れたものであった。
実施例1においてポリエステルフィルムの片面に再生セルロース連続長繊維不織布を貼り合わせた状態で40℃の恒温室に100時間保管して金型クリーニングシートを得た。得られた金型クリーニングシートは、目付66g/m2、厚み0.292mmであった。
金型クリーニングシートの組成を表1に、得られた金型クリーニングシートによるクリーニング作業を行った結果を表2に示す。結果からもわかるとおり、金型へのセット時にカールが発生したり、フィルムが接触する下金型のクリーニング効果が低下したり、ポット部周辺で若干のクリーニング樹脂が洩れて剥離時に下金型に残留したりして、金型クリーニング性及び作業性が悪いものであった。
実施例1で得られた再生セルロース連続長繊維不織布をそのまま金型クリーニングシートとした。得られた金型クリーニングシートは、目付38.5g/m2、厚み0.29mmであった。
金型クリーニングシートの組成を表1に、得られた金型クリーニングシートによるクリーニング作業を行った結果を表2に示す。結果からもわかるとおり、クリーニング樹脂が下金型へ大量に洩れて吸引孔に詰まったり、この樹脂洩れによりキャビティ部でのクリーニング樹脂の未充填が発生したり、上下金型ともクリーニング樹脂の硬化したものが金型に残留したり、シートを取り出す際に破れたりして金型クリーニング性及び作業性が悪いものであった。
Claims (3)
- 3層構造からなり、中層部にクリーニング樹脂溶液非透過性材料があり、その両外層部に再生セルロース混不織布からなるクリーニング樹脂溶液透過性材料が一体化されてなる構造であることを特徴とする金型クリーニングシート。
- クリーニング樹脂溶液透過性材料が再生セルロース連続長繊維不織布である請求項1に記載の樹脂成形用金型面クリーニング用のクリーニングシート。
- 金型片面Aに吸引孔を有し、もう一方の金型片面Bにキャビティ部等の成形用凹部を有する樹脂成形用金型を、クリーニング用樹脂を用いてクリーニングする方法において、樹脂成形用金型面間に請求項1または2に記載の金型クリーニングシートをセットすることを特徴とする樹脂成形用金型面のクリーニング方法。
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