JP4323313B2 - チャネル推定装置及びその方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Divisional Multiplexing)−CDMA(Code Divisional Multiple Access)システムにおけるチャネル推定装置及びその方法に関する。
背景技術
近年において、通信技術の発達はめざましく、大容量のデータを高速で通信するシステムが実現されつつある。これは、有線通信のみのことではなく、無線通信においても同様である。すなわち、携帯電話などの移動端末の普及に伴い、無線でも大容量のデータを高速で通信し、動画や音声などのマルチメディアデータを移動端末でも利用可能とする方向で多くの開発、研究が行われてきた。
そして、最近では、第3世代と呼ばれるCDMAシステムを基本とした高速無線通信が開発され、実用段階にさしかかっている。これを受けて、無線通信の研究、開発部門では、更に高速大容量の無線通信を目指す第4世代の無線通信システムの研究開発が始められている。
第4世代の無線通信システムの基本システムとしては、OFDM−CDMAシステムと呼ばれるシステムが有力候補として挙げられている。このシステムでは、互いに直交する周波数を持つ複数のサブキャリアを用いて、情報を並列に送信するOFDM技術と、複数のユーザのデータを多重する場合に、ユーザデータに乗算する拡散符号の直交性を利用するCDMA技術とを融合させ、より品質の良い通信を高速かつ大容量で行うものである。
しかし、OFDM−CDMAシステムは、現在提案及び研究段階でのシステムの評価などが行われているに過ぎず、実際のシステムとして必要な個々の技術は、これから開発されるべきものである。
特に、第3世代のW−CDMAシステムなどにおいて行われているチャネル推定は、OFDM−CDMAシステムにおいても行う必要がある。この場合、チャネル推定値は、空中を伝搬することによって信号が受けた振幅変調や位相回転を元に戻し、正確な信号検出を行うために必要不可欠である。しかし、通常、チャネル推定値を算出する場合に、W−CDMAシステムでは、時間方向に平均したチャネル推定値を使用することとしている。
信号は、空中を伝搬することによってノイズの影響を受けるので、ノイズの影響を排除し、正しいチャネル推定値を得るために、W−CDMAシステムにおいては、時間方向に複数のパイロット信号を用いたチャネル推定値を平均化することとしているのである。
これに対し、OFDM−CDMAシステムでは、時間方向の平均はもちろん、複数のサブキャリアを有するので、チャネル推定値をサブキャリア毎に算出する場合に、サブキャリア方向にも平均して、より正確なチャネル推定値を得ることが考えられている。
しかしながら、上記OFDM−CDMAシステムのチャネル推定値の算出方法の具体的内容は依然確定されていない。
発明の開示
本発明の課題は、OFDM−CDMAシステムにおけるチャネル推定装置及びその方法を提供することである。
本発明のチャネル推定装置は、複数のサブキャリアを用いたCDMAシステムにおけるチャネル推定装置であって、受信信号からパイロット信号を抽出し、セル間分離用拡散符号による拡散を逆拡散により除去して出力する抽出・逆拡散手段と、該抽出・逆拡散手段によって得られた出力の複数シンボル、隣接した複数サブキャリアから構成されるブロックに、チャネリング用拡散符号による拡散を除去する逆拡散を施し出力を得るブロック逆拡散手段と、該ブロック逆拡散手段によって得られた出力の信号値を当該ブロックに渡って加算することによりチャネル推定値を得るチャネル推定手段とを備えることを特徴とする。
本発明のチャネル推定方法は、複数のサブキャリアを用いたCDMAシステムにおけるチャネル推定方法であって、受信信号からパイロット信号を抽出し、セル間分離用拡散符号による拡散を逆拡散により除去して出力する抽出・逆拡散ステップと、該抽出・逆拡散ステップによって得られた出力の複数シンボル、隣接した複数サブキャリアから構成されるブロックに、チャネリング用拡散符号による拡散を除去する逆拡散を施し出力を得るブロック逆拡散ステップと、該ブロック逆拡散ステップによって得られた出力の信号値を当該ブロックに渡って加算することによりチャネル推定値を得るチャネル推定ステップとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数のサブキャリアを有するCDMAシステムにおけるチャネル推定において、従来行われていた時間方向の加算平均のみならず、サブキャリア方向の加算平均を行い、ノイズの影響を低減した精度の良いチャネル推定値を容易に得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
図1は、OFDM−CDMAシステムの送信機の概略構成を示したブロック図である。
入力されたユーザデータは、例えば、QPSK変調マッピング部1によって、QPSK変調される。この変調方法は、一例であって、必ずしもQPSK変調に限定されるものではない。変調されたユーザデータは、シリアル/パラレル変換器2によって、シリアルデータからパラレルデータに変換される。例えば、シリアル/パラレル変換器2の出力a1には、1タイムスロットに変調されたユーザデータの1シンボルが出力される。同様に、シリアル/パラレル変換器2の出力a2〜anにも、同じタイミングで変調されたユーザデータの1シンボルが出力される。
このようにして、シリアル/パラレル変換器2から出力された変調信号シンボルは、各出力に設けられたコピー部3によって、sn個にコピーされる。そして、このsn個の同じ変調信号シンボルに、チャネルを特定する拡散コード(今の場合、ウォルシュ符号)の1チップづつがそれぞれ乗算器4において乗算される。ここで、ウォルシュ符号の長さは、snチップである。従って、コピーされたsn個の変調信号シンボルのそれぞれに、ウォルシュ符号のsnチップ内、異なるチップがそれぞれ乗算される。
次には、これらウォルシュ符号が乗算された変調信号シンボルに、各基地局のセルを特定する拡散コード(今の場合、ゴールド系列符号)が乗算器5によって乗算される。その後、他ユーザ用の変調部7から送られてくる、他ユーザのデータを変調し、同様に処理した信号がそれぞれ加算器6において加算され、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部8に入力される。
IFFT部8に入力された各信号は、それぞれが、各周波数成分であると見なされて、逆フーリエ変換を受け、1つの変調波として出力される。すなわち、IFFT部8への入力が1024個あったとすると、周波数成分が1024個あることになり、従って、1024個のサブキャリアに各周波数成分が載せられたものが合波されて、IFFT部8から出力される。
IFFT部8では、直流成分の他、基本周波数のサブキャリアとこの基本周波数の逓倍の周波数のサブキャリアとを使って、逆フーリエ変換を行う。各サブキャリアの周波数が互いに逓倍になっている場合には、逓倍の周波数のサブキャリアと基本周波数のサブキャリアの積の1周期に渡る積分が0となり、同じ周波数のサブキャリア同士の積の1周期に渡る積分のみが有限の値となる。すなわち、ある周波数のサブキャリアは他の逓倍の周波数のサブキャリアと直交しているということになる。OFDMシステムのOrthogonalという語は、この事実から付けられたものである。
このようにして、IFFT部8から出力された信号波には、ガードインターバル付加部(+GI部)9において、後述するガードインターバルが付加されて送出される。ここまでは、デジタルで処理されてきたので、D/A変換器10において、デジタル信号がアナログ信号に変換され、送信側に送られる。
図2は、サブキャリア方向を縦軸に、時間方向(タイムスロット方向)を横軸に取って、各変調信号シンボルがどのように配列されるかを示した図である。
変調信号は、フレームとして構成されるが、フレームは少なくともデータ部とパイロット部とから構成される。ここでは、サブキャリアの数を1024個としている。また、ウォルシュ符号は、32チップであるとする。この場合、データ部がタイムスロット1〜4からなっているとすると、データ部では、タイムスロット1には、サブキャリア1〜32に1つのシンボル、サブキャリア33〜64に1つのシンボルというように配列され、1タイムスロットに1024/32=32シンボルが収容される。
また、次のタイムスロット2には、同様に、シンボルが収容されるが、ウォルシュ符号及びゴールド系列符号の乗算の仕方を変えている。すなわち、ウォルシュ符号とゴールド系列符号の組み合わせで、1024チップの符号を生成するようにし、これを、例えば、図2に示すように、タイムスロット2では、8チップずらして乗算するようにする。タイムスロット3では、更に8チップ、タイムスロット4では、更に、8チップずらすというように拡散符号の乗算タイミングをずらす。
以上は、データ部のシンボルの配列と拡散符号との関係であったが、パイロット部の場合には、データ部と異なった構成となる。例えば、タイムスロットnにパイロット部の1シンボルが含まれている場合、このパイロットシンボルは、1024個のサブキャリア全部に共通に含まれる。パイロットシンボルは、後述するように、1フレームに例えば4シンボル含まれるが、各シンボルとも同様である。また、ウォルシュ符号の乗算の仕方は、データ部とは異なる。ウォルシュ符号の乗算の仕方については、後述する。
図3は、OFDM−CDMAシステムにおける受信機側の概略構成を示すブロック図である。
受信データは、まず、A/D変換器15によってデジタル信号に変換される。次に、ガードインターバル除去部(−GI部)16において、ガードインターバルが取り除かれ、FFT(Fast Fourier Transform)部17に入力される。FFT部17では、時間領域の信号波をフーリエ変換により各周波数成分に分ける処理をする。すなわち、送信機では、ユーザデータの変調信号のシンボルは、周波数成分と見なされ、逆フーリエ変換によって時間領域の信号波に変換されたが、FFT部17では、逆フーリエ変換の逆変換であるフーリエ変換によって、時間領域の信号波から周波数成分を取り出し、従って、ユーザデータの変調信号のシンボルを取り出す処理を行っている。
FFT部17によって、処理された結果得られた各周波数成分f1〜fnの内、パイロット部の変調信号のシンボルは、チャネル推定部18において、チャネル推定に使用される。各周波数成分f1〜fnは、チャネル補償部19において、チャネル補正され、乗算器20において、送信側で使用されたゴールド系列符号の複素共役符号が乗算される。そして、乗算器21において、ウォルシュ符号が乗算される。ここの段において、ユーザデータの変調信号のシンボルが復調され、同じシンボルが含まれている信号が加算器22においてそれぞれ加算され、シンボル判定器23においてシンボルの値が判定される。そして、判定されたシンボル値は、パラレル/シリアル変換器24において、パラレル信号からシリアル信号に変換され、復調デマッピング部25に入力される。復調デマッピング25では、送信機側で変調されたユーザデータを復調し、ユーザデータを取り出す。そして、後段の受信部へ送信する。
以上説明したように、送信データの1シンボルは、複数のサブキャリアに渡って送信されるので、周波数依存性のあるフェージングを受けても、特定の周波数のサブキャリアは大きな影響を受けることがあっても、他の周波数のサブキャリアは影響をほとんど受けない場合が生じ、従って、送信信号を復号した場合に、周波数依存フェージングの影響を小さく抑えることができる。
図4は、ガードインターバルを説明する図である。
送信機から送信されるデータには、所定の長さのデータの前方部分のコピーが後方にガードインターバル(GI)として付加される。ガードインターバルは、マルチパスなどによって遅れて受信機に到達する遅延波の遅延分がこのガードインターバルの範囲に入るような長さに設定される。
このようなガードインターバルを設ける理由は以下の通りである。
すなわち、データ及びガードインターバルは、複数のサブキャリアに載せられて送信されるが、1つのサブキャリアに注目すると、1回のフーリエ変換の対象であるデータの部分は、基本周波数のサブキャリアの1周期あるいは、逓倍の周波数のサブキャリアの整数倍周期に納められる。フーリエ変換において、各周波数成分を取り出す場合には、各サブキャリアが、基本周波数の1周期について見ると、互いに直交していることを利用する。従って、正しく周波数成分を取り出すことができるためには、受信した信号のフーリエ変換の対象であるデータがサブキャリアの整数倍周期にきっちりと載っている必要がある。さもないと、サブキャリア同士の直交性が崩れ、フーリエ変換をしても正しい値を得られない。
特に、マルチパスによって、遅延波が受信される場合には、図4に示すように、遅延波のデータが時間的に直接波のデータよりも遅れて到着するので、次のデータがすぐ後に続いている場合などは、図4の斜線部分についてフーリエ変換を行うと、符号間干渉(Inter Symbol Interference:ISI)を生じてしまう。
そこで、図4のように、ガードインターバルを付加すると、ガードインターバルは、データの先頭部分の所定の長さの分のコピーであるので、ガードインターバルを載せるサブキャリアは、データの後方部分と連続的につながり、ガードインターバルの分延びることになる。遅延波がガードインターバルの長さの範囲で許される遅延時間内に受信機に到着すれば、図4の斜線部分についてフーリエ変換しても、直接波も遅延波も基本周波数の1周期についてフーリエ変換することになるので、正しく値を得ることができる。また、データのすぐ後に、他のデータが続かないので、符号間干渉も生じない。なお、遅延波を含むデータのフーリエ変換の結果には、振幅の変化や位相の回転が含まれるが、これは、チャネル推定及びチャネル補償の対象である。
以上のように、ガードインターバルを設けることによって、遅延波が生じてもフーリエ変換の結果の正しさを補償し、かつ、符号間干渉を防ぐ効果を得ることができる。
図5は、基地局とセル及び、基地局から送信される指向性のある電波の関係を示した図である。
基地局30には、自分が受け持つ領域があり、当該領域に移動端末が入ってきた場合に、当該移動端末から電波を受け、あるいは、当該移動端末に電波を送信する。この領域を通常セル32と呼ぶ。基地局30は、電波をセル32に全体に渡って送信することも可能であるが、送信される電波の指向性を利用して、セル32を幾つかの領域31−1〜31−5に分けて管理することができる。
基地局30は、当該領域31−1〜31−5に送信する電波に、それぞれ異なるウォルシュ符号1〜5を使って異なるチャネルを割当てて区別する。従って、基地局30からの電波を受信する移動端末では、どのウォルシュ符号が使われているかを検出することにより受信しているチャネルを特定し、自分がどの領域31−1〜31−5にいて、どの電波を受信しているかを知ることができる。
図6は、チャネル推定に使用されるパイロット信号について説明する図である。
図6(a)に示すように、1フレームの中に、パイロット信号が4シンボル含まれているとする。どのような場所にパイロット信号のシンボルを配置するかは任意であり、本実施形態においては、図6(a)を仮定するが、本実施形態の実質的な内容には本質的ではない。
前述したように、パイロット信号の場合には、他のデータ部とは異なり、1つのタイムスロットにおいて、全てのサブキャリアに同じシンボルが載せられる。パイロット信号のシンボルが載せられているタイムスロットは決められており、データ部とは別となっているので、チャネル推定部は、パイロット信号のシンボルが含まれているタイムスロットのみを取り出し、メモリに格納するようにする。
図6(b)は、チャネル推定部のメモリに格納されたパイロット信号の様子を示す図である。
図6(b)に示されるように、1024個のサブキャリアに載せられたパイロット信号のシンボルが4シンボル分メモリに格納される。また、パイロット信号に乗算されるウォルシュ符号(チャネルを特定する(チャネリング)ための拡散符号)の配列もデータ部とは異なり、図6(b)の番号で示されているように、32チップ長のウォルシュ符号の場合、シンボル方向(タイムスロット方向)に順次1チップずつ配列され、8サブキャリア分が集まって、1つのウォルシュ符号を構成するように使用される。このような、ウォルシュ符号の乗算は、送信機において制御されるべきである。
そして、図6(b)に示されるように、4シンボル×8サブキャリアのウォルシュ符号の同じブロックが互いに重なることなく、1024サブキャリア分に渡って、繰り返し、パイロット信号に乗算されている。
なお、図6(b)では、1つのウォルシュ符号のみが乗算されているように記載しているが、図5の領域31−1〜31−5をカバーする指向性のある電波の内、複数の電波が受信される可能性があるので、実際には、図6(b)には、複数のウォルシュ符号が重畳された状態で受信され、チャネル推定部のメモリに格納される。
図7は、本発明の実施形態の基本動作を説明する図である。
本実施形態によれば、1つのサブキャリアのチャネル推定値を求める場合に、周辺の8サブキャリアについての平均を取る。この8サブキャリアという数は特に限定されないものであるが、チャネル推定値を求めるサブキャリアの十分隣接したサブキャリアである必要がある。すなわち、チャネル推定値を求めるサブキャリアとあまり離れた周波数のサブキャリアでは、受けるチャネル変動が大きく異なると考えられ、これらについても平均をしてしまうと、求めるべきサブキャリアのチャネル推定値が悪い値になってしまう。
本実施形態では、目的のサブキャリアに隣接した8サブキャリア程度で有れば、目的のサブキャリアのチャネル推定値とほぼ同じチャネル推定値を有しており、平均することによるノイズ除去の効果が有効になると考えるものである。
また、特定のチャネルのパイロット信号の4シンボル×8チャネルに渡る平均のチャネル推定値を抽出するために、互いに直交したウォルシュ符号として、32チップ長のものを用い、4シンボル×8チャネルに収まるようにしたものである。
本発明の実施形態においては、まず、最初のチャネル推定値を得るために、チャネル推定部のメモリに格納されたパイロット信号の1番目のサブキャリアから8番目のサブキャリアまでの4シンボル分の値を図6(b)に示したようにウォルシュ符号を乗算して求め、4チャネル×8サブキャリアについて加算する。
そして、次のサブチャネルのチャネル推定値を求める場合には、図7に示されるように、1段下にずらしたブロックについて、同様に、ウォルシュ符号を乗算し、4シンボル×8チャネルについて加算する。
このように、換算するブロックを順次ずらしながらチャネル推定値を求めるようにする。
通常、チャネル推定部のメモリに格納されるパイロット信号は、複数のチャネルに対応して複数のウォルシュ符号が乗算されたものが、複数重畳されている状態であるが、特定のウォルシュ符号を乗算することによって、特定のチャネルのみを抽出することができる。ここで、ブロックを1つずらした場合、図6(b)から明らかなように、ウォルシュ符号の1〜4番目のチップが最下段に来るという、行の入れ替えが起きるのみであり、ブロックに含まれるウォルシュ符号自身のパターンは、読み出す位置を変えれば、全く同じとなっていることが分かる。従って、ブロックを1つずらしても、目的のチャネルを抽出することは可能である。以下、順次ブロックをずらしても同様のことが言える。
本実施形態は、この事実を利用して、各サブチャネルのチャネル推定値を求める場合に、加算平均する信号の範囲を示すブロックを順次ずらして行くことにより求めることとしたものである。このようにすれば、チャネル推定の対象であるサブキャリアを中心とする前後のサブキャリアを8キャリア分加算することが可能となり、より精度のよいチャネル推定値が求められる。
図8は、本実施形態のパイロット信号の流れとチャネル推定値の演算処理を説明する図である。
なお、図8においては、4シンボル×8サブキャリア分のデータの図示のみをしている場合においても、実際には、より多くの(例えば、1024個の)サブキャリアがあるものとして考える。
また、信号の送受信においては、実際は、図1〜図4において説明したような処理が施されるが、図8においては、本発明のチャネル推定方法の実施形態に直接関係のない処理は省略する。
まず、送信側において、異なるチャネルを区別するため、(1)に示すように、2つのウォルシュ符号1、2を用意する。パイロット信号のシンボルパターンが、iを虚数単位として仮に(1+i)であるとすると、これに、ウォルシュ符号1、2をそれぞれ乗算したものを、(2)に示すように用意する。そして、送信に当たっては、(2)で得られた、2つのパイロット信号のシンボルパターンとウォルシュ符号1、2との乗算結果を合わせたもの(図8(3)参照)が送信される。
この送信信号は、空中を伝搬中にチャネル変動を受け、個々の信号値が変動を受ける。受信機は、このようにチャネル変動を受けた信号を受け取る。受信側では、この信号に、図6(b)に示したようにウォルシュ符号をブロック単位で乗算し、パイロット信号の4シンボル分について、全サブキャリアの信号値を得る(図8の(5)参照)。図7においては、ウォルシュ符号をブロック単位でずらしながらパイロット信号のシンボルに乗算し、乗算した部分について加算するように説明したが、図8のように、チャネル推定に使用すべきパイロット信号の全シンボル数×全サブキャリア数分の信号値をメモリなどに格納してから、ウォルシュ符号をブロック単位で乗算する方法を採用しても良い。
次に、図8の(5)に示されているように、ウォルシュ符号を乗算した結果から、4シンボル×8サブキャリアのブロックを選択し、このブロックに含まれる信号値を加算することによって、チャネル推定値α1を求める。
そして、その他のチャネル推定値を求める場合には、図7の本発明のチャネル推定値算出方法の実施形態に従って、上記ブロックを1サブキャリア分ずつずらしながら、当該ブロック内の信号値について加算してチャネル推定値α2を求める。以下同様に、チャネル推定値α3、・・・を求める。
このようにして求められたチャネル推定値は、各サブキャリアのチャネル推定値として用いられる。特に、チャネル推定値を求めるべきサブキャリアは、サブキャリア方向の加算平均のほぼ中心にあるほうが、チャネル推定値の精度が良くなるので、当該サブキャリアは、例えば、加算平均する8サブキャリアの内、4番目のサブキャリアに当たるようにする。
すなわち、図8の(5)に示されるように、最初のサブキャリア1〜3は、上述したような設定が不可能であるので、チャネル推定値α1をチャネル推定値として用いる。サブキャリア4は、チャネル推定値α1の算出の場合の4番目のサブキャリアに当たるので、チャネル推定値α1をチャネル推定値として用いる。サブキャリア5については、加算平均を行うブロックを1つずらして得られたチャネル推定値α2をチャネル推定値として用いる。以下同様に、サブキャリア6については、チャネル推定値α3、・・・というようにチャネル推定値を割り当てる。サブキャリアの最後の方になると、サブキャリア1〜3と同様なことが起こるが、この場合も、得られたチャネル推定値の最後のものをこれら最後の数サブキャリアのチャネル推定値として用いる。
図9は、本発明の実施形態に用いるチャネル推定部のブロック構成図である。
チャネル推定部は、パイロット信号のデータを受信すると、セル間を分離するため、Long Code(図3との対応で述べれば、ゴールド系列符号の複素共役)を乗算して、目的のセルのパイロット信号のデータを取り出す。次に、セル間分離されたパイロット信号のデータに、テーブルから読み出した、パイロット用ショートコード(図3との対応で言えば、ウォルシュ符号であり、乗算の仕方は、図6〜図8で説明したとおりとする)を乗算する。乗算結果は、パイロットバッファ40に格納される。
図9の構成の場合には、全シンボル×全サブキャリア(上記実施形態の例では、4シンボル×1024サブキャリア)分のデータを格納する。従って、ウォルシュ符号も、チャネル推定値を求める前に、予め使用する信号値全てに乗算しておく方法となる。
このようにしてパイロットバッファ40に格納された信号値は、パイロット移動平均部41に、チャネル推定値を求める単位ブロックずつ読み出される。そして、読み出されたブロックの分の信号値は、加算され、チャネル推定値バッファ42に格納された後、チャネル推定値としてチャネル推定部から出力される。
図10は、図9のパイロット移動平均部41の動作を示すフローチャートと図9のパイロットバッファ内のデータの様子を示す図である。
図10(a)に示すように、パイロットバッファ内のデータは、4タイムスロット(パイロット信号の4シンボルに対応する)のデータが縦に、1024サブキャリア分格納されたものとなっている。なお、データは、図9に示されるように、既に、ウォルシュ符号が乗算されたものとなっている。
図10(b)のフローチャートによれば、パイロット移動平均部41は、n番目のサブキャリアのチャネル推定値を求める場合、まず、ステップS1において、n>4であるか否かを判断する。ステップS1の判断がNOである場合には、ステップS3において、パイロットバッファ中の1〜32のデータの足し算を行い、この値をチャネル推定値として、処理を終了する。
ステップS1の判断がYESである場合には、ステップS2において、n<1022であるか否かを判断する。ステップS2の判断がNOの場合には、ステップS4において、パイロットバッファ中の4065〜4096のデータの足し算を行い、この値をチャネル推定値とし、処理を終了する。
ステップS2における判断がYESの場合には、パイロットバッファ中の4n−15〜4n+16のデータの足し算を行い、この値をチャネル推定値とし、処理を終了する。
以上によって、n番目のサブキャリアのチャネル推定値が求まるので、nを1〜1024までについて計算を繰り返せば、全てのサブキャリアについてチャネル推定値が求まる。
図11は、チャネル推定値の算出方法の別の形態を説明する図である。
この構成では、まず、パイロットデータを入力し、ロングコード(セル間分離を行うものであって、前述のゴールド系列符号の複素共役となっている)を乗算し、データを1番目のサブキャリア、9番目のサブキャリア、17番目のサブキャリア、・・・というように1番目から8個ずつ離れた信号と、2番目のサブキャリアと、これから8個ずつ離れた信号と、・・・というように、n+8j(j=0、1、2、・・・)番目の信号を組にして信号を仕分ける。
そして、それぞれに、ウォルシュ符号を乗算する。ウォルシュ符号の乗算の仕方は、n=1の時、ウォルシュ符号をそのまま乗算し、n=2のときは、4チップ分サイクリックに遅延させたウォルシュ符号を乗算する。従って、n=m(mは正数)の場合、データには、4mサンプル分サイクリックに遅延させたウォルシュ符号を乗算させる。そして、加算部では、ウォルシュ符号が順次乗算され、シリアルに出力される信号を4×8=32シンボル分加算したものをチャネル推定値として出力する。
なお、上記実施形態においては、セル間を分離する拡散符号として、ゴールド系列符号、チャネリング用拡散符号として、ウォルシュ符号を前提にして説明したが、これらは、必ずしも上記実施形態に示したものに限定されるものではない。
また、パイロット信号は、1フレームに4シンボル含まれていることとしたが、これも上記実施形態に限定されるものではない。
更に、サブキャリアの数は、全部で1024個としたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、半分の512個などであっても良い。
また、ウォルシュ符号の長さは、32チップ長としたが、これも限定されるものではなく、当業者によって適切に選択されるべきものである。
産業上の利用可能性
本発明によれば、時間方向とサブキャリア方向に平均した精度の良いチャネル推定値を各サブキャリアについて効率的に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、OFDM−CDMAシステムの送信機の概略構成を示したブロック図である。
図2は、サブキャリア方向を縦軸に、時間方向(タイムスロット方向)を横軸に取って、各変調信号シンボルがどのように配列されるかを示した図である。
図3は、OFDM−CDMAシステムにおける受信機側の概略構成を示すブロック図である。
図4は、ガードインターバルを説明する図である。
図5は、基地局とセル及び、基地局から送信される指向性のある電波の関係を示した図である。
図6は、チャネル推定に使用されるパイロット信号について説明する図である。
図7は、本発明の実施形態の基本動作を説明する図である。
図8は、本実施形態のパイロット信号の流れとチャネル推定値の演算処理を説明する図である。
図9は、本発明の実施形態に用いるチャネル推定部のブロック構成図である。
図10は、図9のパイロット移動平均部41の動作を示すフローチャートと図9のパイロットバッファ内のデータの様子を示す図である。
図11は、チャネル推定値の算出方法の別の形態を説明する図である。

Claims (18)

  1. 複数のサブキャリアを用いたCDMAシステムにおけるチャネル推定装置であって、
    受信信号からパイロット信号を抽出し、セル間分離用拡散符号による拡散を逆拡散により除去して出力する抽出・逆拡散手段と、
    該抽出・逆拡散手段によって得られた出力の複数シンボル、隣接した複数サブキャリアから構成されるブロックに、チャネリング用拡散符号による拡散を除去する逆拡散を施し出力を得るブロック逆拡散手段と、
    該ブロック逆拡散手段によって得られた出力の信号値を当該ブロックに渡って加算することによりチャネル推定値を得るチャネル推定手段と、
    を備えることを特徴とするチャネル推定装置。
  2. 前記チャネル推定値は、各サブキャリア毎に得られることを特徴とする請求項1に記載のチャネル推定装置。
  3. 前記チャネル推定値を求めるサブキャリアが、前記ブロックの複数サブキャリア方向の配置において、略中心にくるように、ブロックの前記抽出・逆拡散手段によって得られた出力に対する位置を設定することを特徴とする請求項2に記載のチャネル推定装置。
  4. 前記チャネル推定値は、予めチャネル推定に必要な分の前記抽出・逆拡散手段の出力を信号値として格納した後に、前記チャネリング用拡散符号の拡散を逆拡散により除去し、チャネル推定値を求めるべきサブキャリアが前記ブロックの複数サブキャリア方向の配置において、略中心に来る位置の該ブロック内の信号値について加算することによってチャネル推定値を得ることを特徴とする請求項2に記載のチャネル推定装置。
  5. 前記チャネリング用拡散符号は、ウォルシュ符号であることを特徴とする請求項1に記載のチャネル推定装置。
  6. 前記ウォルシュ符号は、32チップ長であることを特徴とする請求項5に記載のチャネル推定装置。
  7. 前記セル間分離用拡散符号は、ゴールド系列符号であることを特徴とする請求項1に記載のチャネル推定装置。
  8. 前記パイロット信号は、データフレームに4シンボルずつ含まれていることを特徴とする請求項1に記載のチャネル推定装置。
  9. 前記ブロックは、4シンボル×8サブキャリア分の大きさであることを特徴とする請求項1に記載のチャネル推定装置。
  10. 複数のサブキャリアを用いたCDMAシステムにおけるチャネル推定方法であって、
    受信信号からパイロット信号を抽出し、セル間分離用拡散符号による拡散を逆拡散により除去して出力する抽出・逆拡散ステップと、
    該抽出・逆拡散ステップによって得られた出力の複数シンボル、隣接した複数サブキャリアから構成されるブロックに、チャネリング用拡散符号による拡散を除去する逆拡散を施し出力を得るブロック逆拡散ステップと、
    該ブロック逆拡散ステップによって得られた出力の信号値を当該ブロックに渡って加算することによりチャネル推定値を得るチャネル推定ステップと、
    を備えることを特徴とするチャネル推定方法。
  11. 前記チャネル推定値は、各サブキャリア毎に得られることを特徴とする請求項10に記載のチャネル推定方法。
  12. 前記チャネル推定値を求めるサブキャリアが、前記ブロックの複数サブキャリア方向の配置において、略中心にくるように、ブロックの前記抽出・逆拡散ステップによって得られた出力に対する位置を設定することを特徴とする請求項11に記載のチャネル推定方法。
  13. 前記チャネル推定値は、予めチャネル推定に必要な分の前記抽出・逆拡散ステップの出力を信号値として格納した後に、前記チャネリング用拡散符号の拡散を逆拡散により除去し、チャネル推定値を求めるべきサブキャリアが前記ブロックの複数サブキャリア方向の配置において、略中心に来る位置の該ブロック内の信号値について加算することによってチャネル推定値を得ることを特徴とする請求項11に記載のチャネル推定方法。
  14. 前記チャネリング用拡散符号は、ウォルシュ符号であることを特徴とする請求項10に記載のチャネル推定方法。
  15. 前記ウォルシュ符号は、32チップ長であることを特徴とする請求項14に記載のチャネル推定方法。
  16. 前記セル間分離用拡散符号は、ゴールド系列符号であることを特徴とする請求項10に記載のチャネル推定方法。
  17. 前記パイロット信号は、データフレームに4シンボルずつ含まれていることを特徴とする請求項10に記載のチャネル推定方法。
  18. 前記ブロックは、4シンボル×8サブキャリア分の大きさであることを特徴とする請求項10に記載のチャネル推定方法。
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