JP4323160B2 - 板金加工の複合加工システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばパンチング加工セルおよびこれに続くベンディング加工セルを備えた板金加工ラインに適用される板金加工の複合加工システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シート材をパンチング加工セルでブランク加工し、得られたパーツをその後ベンディング加工セルで曲げ加工するような、ブランク加工→曲げ加工による板金製品の生産方法がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−33541号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のものは、パンチング加工セルでブランク加工したのち、▲1▼ジョイントバラシ作業を行い、▲2▼パーツ仕分け作業を行い、▲3▼仕分けられた中間在庫(仕掛品)の中から部品探しを行い、▲4▼曲げ段取り(必要な金型交換、材料セット、データ呼び出し)を行ってはじめて、ベンディング加工セルで曲げ加工を実行できるものである。そのため、これらのジョイントバラシ作業、パーツ仕分け作業、部品探しおよび曲げ段取りに手間と時間がかかることが避けられず、大量ロットの場合ならまだしも、さまざまに異なるパーツを少ロットで扱うような変種変量生産の場合は、手間と時間のかかり方が甚だしく、生産性を大幅に低下させてしまうという問題があった。
【0005】
この発明の課題は、上記従来のもののもつ問題点を排除して、例えばパンチング加工セルとベンディング加工セルによるブランク加工→曲げ加工のような、前工程加工セルおよびこれに続く後工程加工セルを備えた板金加工ラインに適用して、変種変量少ロット生産の場合の生産性を大幅に向上させることのできる板金加工の複合加工システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、NCTを備えた穴明け/切断工程作業設備(110)と、ベンディングロボットを備えた曲げ工程作業設備(150)との複合加工ラインに適用され、前記曲げ工程作業設備(150)の加工スケジュールを決定したのち、この曲げ工程作業設備(150)の加工スケジュールに基づいて、前記穴明け/切断工程作業設備(110)の加工スケジュールを決定し、前記決定した加工スケジュールにしたがって、前記穴明け/切断工程作業設備(110)および前記曲げ工程作業設備(150)の運転を実行させる板金加工の複合加工システムであって、各ワークの穴明け/切断工程〜曲げ/組立工程に亘る加工情報を作成する設備加工情報作成装置(30)と、各ワークの穴明け/切断工程〜曲げ/組立工程〜出荷工程に亘る全工程の工程進捗管理を行う工程進捗管理装置(50)とを備え、前記設備加工情報作成装置(30)は、パーツプログラムを作成するワーク用加工情報作成機能(31)と、ワーク供給および集積装置への搬送・集積を指示し集積荷姿情報を編集するワーク集積荷姿情報編集機能(33)と、板取配置処理機能(32)とを含み、前記板取配置処理機能(32)は、前記工程進捗管理装置(50)の加工スケジューラ機能(51)からのPULL方式で生成された板取作業指示情報と、パレット上の前記集積荷姿情報とを併せて生成したネスティング指示情報により、板取配置処理を実行し、穴明け工程用シートプログラム、作業指示、曲げ工程作業指示、部品を1枚ずつ切り離しながら仕分け集積装置(112)により集積パレット上に仕分け集積するためのシートプログラム、および後工程間との部品の受け渡し情報、を作成する板金加工の複合加工システムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明による板金加工の複合加工システムの一実施の形態を示すシステム構成図、図2はネットワーク構成図、図3はシステム運用図である。この板金加工の複合加工システム1は、変種変量少ロットおよびアセンブリセット加工用の製造を実現するシステムであって、以下に説明する各情報系装置と作業設備群との連携運用により、製品組立/出荷工程の作業指示(加工スケジュール)から、部品供給の曲げ工程の作業指示(加工スケジュール)が作成され、この曲げ工程の作業指示(加工スケジュール)が、前工程にあたる穴明け/切断工程の作業指示(加工スケジュール)に反映されるという、PULL(引き込み)方式のスケジュール生産実行システムである。そのため、この板金加工の複合加工システム1は、生産管理システム10、設備加工情報作成装置(板金CAD/CAM)30、工程進捗管理装置50、設備統括管理装置70、および、作業設備群100で構成される。
【0009】
生産管理システム10は、システム全体の生産管理に関する製作手配、進捗情報、在庫情報を管理するものであり、それらの情報を工程進捗管理装置50との間でやりとりする。
【0010】
設備加工情報作成装置(板金CAD/CAM)30は、各ワーク(パーツ)の穴明け/切断工程〜曲げ/組立工程に亘る加工情報を作成するものであり、ワーク(パーツ)用加工情報作成機能31、板取配置処理(ネスティング)機能32、および、ワーク集積荷姿情報編集機能33を備えている。
【0011】
このうち、ワーク(パーツ)用加工情報作成機能31は、各工程における作業設備用の加工情報、および、パーツプログラムを作成するものであり、加工情報には、CAD展開図、立体図、使用工具情報、その他の情報が含まれる。そして、穴明け/切断工程〜曲げ工程間での各種データの共有化と一元管理を実現する。
【0012】
また、板取配置処理(ネスティング)機能32は、各作業設備で加工すべきワーク(パーツ)群を指定分類条件で素材上に板取配置することで、シートプログラム、シート情報、および、加工スケジュールを作成するものであり、指定分類条件の項目には、素材情報、板厚、材質、素材寸法、使用工具情報、納期、製造オーダ番号、後工程先、などの情報が含まれる。
【0013】
板取配置処理(ネスティング)機能32は、後述する工程進捗管理装置50の加工スケジューラ機能51からのPULL方式で生成された板取作業指示情報と、後工程先を考慮したパレット上の集積荷姿情報を併せて、ネスティング指示情報を生成し、板取配置処理(ネスティング)を実行し、穴明け工程用シートプログラムと作業指示(加工スケジュール)を作成し、曲げ工程作業指示も作成する。ここでの板取処理では、穴明け加工後、ミクロジョイントレス加工を行い、部品を1枚ずつ切り離しながら仕分け集積装置112により集積パレット上に仕分け集積するためのシートプログラム、および、後工程間との部品の受け渡し情報も作成する。作業指示は自動的に工程進捗管理装置50の加工スケジューラ機能51に報告され、最終的に確定した作業指示を設備統括管理装置70へ渡し、各工程の自動加工を行う。但し、システム運用時に工程進捗管理装置50との連携がない場合は、作成された作業指示を直接設備統括管理装置70へ渡すことも可能である。
【0014】
また、ワーク集積荷姿情報編集機能33は、各ワーク(パーツ)を加工する際に、作業設備でのワーク供給、および、集積装置への搬送・集積指示を指定させるものである。すなわち、該当部品の後工程先を考慮した集積分類指示を行い、板取配置処理を実行させる。この機能は、現場側の設備統括管理装置70でも指示することが可能である。これにより、現場での素材/仕掛品(ワーク)の集積、搬送時の荷姿を考慮した穴明け加工指示をすることが可能となる。
【0015】
工程進捗管理装置50は、各ワーク(パーツ)の穴明け/切断工程〜曲げ/組立工程〜出荷工程に亘る全工程の工程進捗管理を行うものであり、加工スケジューラ機能51、および、工程進捗管理機能52を備えている。
【0016】
このうち、加工スケジューラ機能51は、PULL生産管理方式による負荷計画(山積、山崩、作業設備の号機割付)処理を行い、これは、製品出荷および組立工程の作業指示(加工スケジュール)からの部品供給スケジュールが曲げ工程作業指示となり、また、穴明け工程作業指示を作成する。これにより、各工程間での中間仕掛品在庫レスと工程リードタイムの短縮が図れる。また、各工程の作業設備の稼動率アップと作業段取り工数低減のための、作業指示(加工スケジュール)と同期させ、その作業設備に対する前後工程間での素材/仕掛品(ワーク)の検索、搬送、設定作業のための段取り指示スケジュールを作成する。また、該当作業設備について、素材上に複数部品を板取配置処理させながら加工する場合の板取作業指示情報と、設備加工情報作成装置(板金CAD/CAM)30での板取配置処理(ネスティング)機能32への指示と処理結果情報が受け渡される仕組みを備えている。さらに、該当作業設備での該当ワークの生産運用形態に合わせた作業指示、例えば、スケッチ材加工(1素材:1パーツ)、多数個取り加工(1素材:同一複数パーツ)、板取配置シート加工(1素材:複数種類/複数パーツ)、アセンブリセット加工(P1〜Pn)×M枚、などを行う。
【0017】
また、工程進捗管理機能52は、各部品に対する各工程の作業設備での作業指示(加工スケジュール)に基づき、各作業設備の加工終了時の作業実績を収集し、工程間の工程進捗管理を行う。また、各工程間(保管/搬送装置、平置き場)および作業設備での素材/仕掛品(ワーク)等の在庫管理を行う。
【0018】
設備統括管理装置70は、日程管理・運転管理機能71、作業設備制御機能72、保管/搬送装置制御機能73、素材/仕掛品(ワーク)在庫管理機能74、および、ワーク集積荷姿情報編集機能75を備えている。
【0019】
このうち、日程管理・運転管理機能71は、自動運転中に該当設備を停止させずに、工程進捗管理装置、板取配置処理から指示された作業指示(加工スケジュール)や、日程管理で作成された作業指示の編集を行う。また、タレットパンチングセル(NCT)110+ベンディングロボットセル150ラインのオンラインスケジュール運転管理、例えば、起動/停止指示、運転状況監視、アラーム復帰処理の他、単独セル運転モード、複合セル運転モード、複合ストレートライン運転モード、などの管理を行う。
【0020】
また、作業設備制御機能72は、各作業設備の作業指示(加工スケジュール)に基づき、該当素材/仕掛品(ワーク)の搬送指示、および、加工を行うものであり、NCT工程の作業指示(加工スケジュール)を基に、該当作業設備での加工と仕分け集積装置112の高速仕分け集積制御、素材パレットの引き当て、仕掛品積載パレット集積処理を行う。集積された仕掛品情報には、板取配置処理で作成された後工程引き渡し情報(ワークID、後工程ID、集積位置情報、集積/一枚取り指示情報、など)が含まれる。また、曲げ工程の作業指示を行う。すなわち、工程進捗管理装置50の加工スケジューラ機能51、または日程管理で作成された作業指示にしたがって、ベンディングロボットへのロット運転を基本とした一枚取りスケジュールのオンライン運転を実行する。
【0021】
また、保管/搬送装置制御機能73は、該当保管と作業設備間の自動搬送制御を行う。
【0022】
また、素材/仕掛品(ワーク)在庫管理機能74は、集積された仕掛品(ワーク)についてはビジュアル表示(鳥瞰図、平面図)形式での集積の在庫管理(部品番号、製造ロット番号、在庫情報、次工程、など)を行う。また、該当保管と作業設備間の入出庫指示を行う。
【0023】
また、ワーク集積荷姿情報編集機能75は、集積分類指示を行い、板取配置処理に実行を移す。この機能は、事務所側の設備加工情報作成装置(板金CAD/CAM)30でも指示することが可能である。これにより、現場での素材/仕掛品(ワーク)の集積、搬送時の荷姿を考慮した穴明け加工指示をすることが可能となる。
【0024】
作業設備群100は、穴明け/切断工程作業設備(タレットパンチングセル)110、素材/仕掛品(ワーク)の保管/搬送装置130、曲げ工程作業設備(ベンディングロボットセル)150、および、これらの各作業設備用の設備制御装置170を備えている。
【0025】
図4、図5に示すように、このうち、穴明け/切断工程作業設備(タレットパンチングセル)110は、穴明け自動化のネックとなる金型交換を自動化した自動金型交換装置(ATC)を備えたタレットパンチプレス(NCT)111と、穴明け加工後、ミクロジョイントレス加工を行って素材(ワーク/シート材)から部品(パーツ/ブランク材)を1枚ずつ切り離しながら集積パレット上に仕分け集積を行う仕分け集積装置112とを備えている。また、ミクロジョイントレス加工だけでなく、ミクロジョイント加工やスケッチ材加工も、クランプ搬出により実行可能である。
【0026】
また、素材/仕掛品(ワーク)の保管/搬送装置130は、複数段(例えば6段)の棚を有するフロントオープン式で、各棚で素材/仕掛品(ワーク)を複数のパレットにセットできる素材/仕掛品(ワーク)集積ストッカ131を備えている。これにより、NCTとベンディングロボットの長時間稼動に対応する。また、フロントオープン式であるため、手差しオフライン加工が可能で、飛び込み作業への対応が簡単にできる。
【0027】
また、曲げ工程作業設備(ベンディングロボットセル)150は、自動金型交換装置(ATC)および自動グリッパ交換装置を備えたプレスブレーキ(ベンディングロボット)151、ハンドリングロボット152、前工程の仕分け集積装置112でパレット上に仕分け集積された部品の山ごとに曲げ加工部品を1枚ずつ供給する一枚取り装置153、一枚取り装置153により1枚ずつ供給された部品をベンディングロボットのピッキング位置まで搬送・位置決めするローラーコンベア154、および、単体NCT等からの飛び込み曲げ工程に対応できるセル単独運転用部品供給ステーション155を備えている。
【0028】
また、各設備制御装置170は、設備統括管理装置70からの作業指示(加工スケジュール)に基づいて、穴明け/切断工程作業設備(タレットパンチングセル)110、素材/仕掛品(ワーク)の保管/搬送装置130、曲げ工程作業設備(ベンディングロボットセル)150の作動をそれぞれ制御するものである。
【0029】
このような作業設備群100を備えているため、この板金加工の複合加工システム1は、つぎのような特徴がある。すなわち、ミクロジョイントレス加工により、ジョイントバラシ時間が不要で、後工程の段取りがいらない。また、パーツに傷がつきにくいため、品質向上、不良の軽減につながる。部品の集積により、パーツの仕分けが不要で、後工程の段取りがいらない。部品の一枚取り装置により、パーツを探す必要がなく、材料の段取り時間がいらない。また、複数種類の材料を一括して段取りすることができるため、材料パレットの有効利用ができる。また、複数積載でも同一パーツの連続運転ができるため、曲げ加工機の稼動率が向上する。また、後工程の曲げ加工機を問わず、自動化が可能である。ブランク加工→曲げ加工の自動化により、曲げの材料段取りが不要であるため、曲げ加工機の稼動率が向上する。また、曲げ加工までの無人運転ができるため、生産性が向上する。部品データの一元管理により、ブランク加工→曲げ加工までのパーツを管理するため、現場帳票が不要になる。また、パーツ単位での実績管理ができるため、加工スケジュールの段取りがいらない。また、後工程優先の加工スケジュール作成ができるため、変種変量生産に適応する。その結果、曲げ加工機の生産性が大幅に向上することが明白である。
【0030】
次に、上記の実施の形態の作用について、図6に示すフローチャートを参照しながら、図7〜図17を用いて説明する。
【0031】
まず、上記の板金加工の複合加工システム1の運用にあたっては、各部品の加工スケジュールのグループ化処理を行う必要があり、その目的について説明する。
【0032】
第1に、各工程(穴明け/曲げ)および工程間の総加工時間(リードタイム)を短縮し、経費(コスト)の削減を図るためである。すなわち、各種段取り作業の工数(コスト)と時間(リードタイム)を低減することが、各加工機の加工スケジュールの実行効率を向上させ、全体の稼働率、生産性を上げることになる。
【0033】
第2に、次工程の生産形態を守るためである。すなわち、次工程の作業納期を守り、最終的な製品出荷納期を厳守することが、全工程リードタイムの短縮につながる。また、アセンブリセット加工のために加工順を守ることも同様である。
【0034】
第3に、各工程(穴明け/曲げ)および工程間での中間在庫(仕掛品)を減少させるためである。これにより、在庫品や保管スペースの経費(コスト)の削減を図る。
【0035】
第4に、各工程(穴明け/曲げ)および工程間での各部品の加工上の制約条件(部品のサイズ、形状、材質、加工品質など)を満たした加工を行うためには、必要な加工機、材料、金型、工具等が限定されるからである。
【0036】
このような目的を効果的に実現するため、該当部品に対してのグループ化処理が必要になる。この加工スケジュールのグループ化処理は、全制作手配に対し、各種加工スケジュール拘束要件から、各部品の加工スケジュールのグループ化拘束条件と優先度付けを変更させながら、各種段取り作業発生回数(総段取り時間)の最少なグループ化条件を決定させ、各工程(穴明け工程から曲げ工程まで)での全部品の総加工時間(リードタイム)の短縮を図るものである。
【0037】
このとき用いるグループ化拘束条件としての要素には、つぎのようなものがある。すなわち、▲1▼納期(同一納期単位での部品分類)、▲2▼素材別(同一使用素材別単位での部品分類)、▲3▼素材段取時間別(素材段取時間での部品分類)、▲4▼金型別(同一使用金型別単位での部品分類)、▲5▼金型段取時間別(金型段取時間での部品分類)、▲6▼金型以外の段取別(金型以外の同一段取単位での部品分類)、▲7▼金型以外の段取時間別(金型以外の同一段取単位の段取時間での部品分類)、▲8▼加工時間(各部品の加工時間での分類)、▲9▼加工順(指定加工順・優先順での部品分類)、その他ユーザ指定などである。
【0038】
図6に示すように、曲げ用制作手配200に基づいて、部品マスタ群210の部品情報マスタ211、部品工程マスタ212およびグループ化情報213の内容等を参照しながら、曲げ工程用加工スケジューラ処理220を実行し、その結果として穴明け用制作手配230が作成される。
【0039】
つぎに、この穴明け用制作手配230に基づいて、部品マスタ群210の部品情報マスタ211、部品工程マスタ212およびグループ化情報213の内容等を参照しながら、穴明け工程用加工スケジューラ処理240を実行する。
【0040】
図7は部品マスタ群210の部品情報マスタ211の内容の一例を示す。部品情報マスタ211は、各部品の各作業設備での各種加工情報を一元管理するものである。「部品番号」は、各部品の立体図(曲げ属性付き)および展開図形データを管理する。「NCT1」(穴明け作業設備)用として、図8(a)に示すような各種情報を管理する。「ARB1」(自動ロボットベンダ作業設備)用として、図8(b)に示すような各種情報を管理する。「MPB1」(汎用手動ベンダ作業設備)用として、図8(c)に示すような各種情報を管理する。
【0041】
図9は部品マスタ群210の部品工程マスタ212の内容の一例を示す。部品工程マスタ212は、各部品の加工可能な加工工程順序を管理するものであり、主に工程進捗管理機能で使用する。「工程」には、「穴明」「曲げ」「切断」「溶接」「組立」等が含まれる。「許可グループ化拘束条件」は、該当する部品に許可されている、納期、素材別、素材段取時間、金型別、金型段取時間、加工時間、加工順等の拘束条件を表し、複数指定可能である。但し、何も指定されないときは全て対象とする。
【0042】
図10は部品マスタ群210のグループ化情報213の内容の一例を示す。グループ化情報213は、各部品の対象加工設備での加工、および、搬送荷姿をグループ拘束させるときの拘束条件設定で使用するものであり、主に、加工スケジューラ処理機能、工程進捗管理機能、ワーク集積荷姿情報編集で使用する。「グループ化コード」は、各グループのための拘束指示に基づき分類化されたコードであり、加工スケジューラ処理機能、工程進捗管理機能のワーク集積荷姿情報や板取配置処理等で使用する。「優先順」は、同一工程/作業設備のグループ化コード参照優先度を示す。
【0043】
図11は各部品の製作手配における各種段取り発生の一例を示す。このような同一作業設備の同一納期(10/10)分だけの製作手配に対し、スケジュールグループ化拘束条件(素材別、金型別だけ適合させた場合)のグループ化処理から発生する各種段取り作業の例を説明すると、図12〜図15に示すようになる。
【0044】
すなわち、図12は、一般的な生産管理/工程進捗システムから各種段取りを考慮せずに製作手配がなされた場合を示し、図10のグループ化情報で「グループ化コード」G11の場合を示す。この場合は、素材別にグループ化されていないため加工ごとに素材段取りが必要で、素材段取り(三角形で図示)回数が6回、また、金型別にグループ化されていないため加工ごとに金型段取りが必要で、金型段取り(三角形で図示)回数が6回、合計12回の段取りが発生する。
【0045】
これに対し、図13は、素材/金型別(スケッチ材)加工がされた場合を示し、図10のグループ化情報で「グループ化コード」G12の場合を示す。この場合は、素材別にグループ化されるため素材段取り(三角形で図示)回数が4回、これに加えて、金型別にグループ化されることで金型段取り(三角形で図示)回数が4回、合計8回の段取りが発生する。
【0046】
また、図14は、金型/素材別(スケッチ材)加工がされた場合を示し、図10のグループ化情報で「グループ化コード」G13の場合を示す。この場合は、金型別にグループ化されるため金型段取り(三角形で図示)回数が3回、これに加えて、素材別にグループ化されることで素材段取り(三角形で図示)回数が5回、合計8回の段取りが発生する。
【0047】
さらに、図15は、素材/金型別を考慮した板取配置処理加工がされた場合を示し、図10のグループ化情報で「グループ化コード」G14の場合を示す。この場合は、素材別にグループ化されるため素材段取り(三角形で図示)回数が2回、これに加えて、金型別にグループ化されることで金型段取り(三角形で図示)回数が3回、合計5回の段取りが発生する。
【0048】
このように、グループ化しない場合に比べて、グループ化した場合のほうが、段取り回数が減ることが明らかであり、しかも、スケジュールグループ化拘束条件として素材別、金型別だけ適合させた場合でも、グループ化拘束条件の設定の仕方によって、素材段取り回数および金型段取り回数が異なることがわかる。実際には、スケジュールグループ化拘束条件として、素材別、金型別以外に加工時間や指定加工順(優先順)等の要素を考慮しなければならず、これに加えて、スケジュールグループ化拘束条件以外にも、集積搬送および仕掛品パレット交換、他の段取作業、アセンブリセット加工等の各種の要件が組み合わされた場合、各種要件の組み合わせ優先度によって、より多くの段取りが発生し、加工時間を短縮するうえでそれらが複雑に絡み合ってさまざまな結果をもたらすこととなる。
【0049】
たとえば、穴明け/曲げ自動化システムにおいて、総加工時間(タクトタイム)の算出処理は図16、図17に示す項目で構成される。
【0050】
すなわち、穴明け工程では、図16に示すように、▲1▼素材パレットの搬送、交換、▲2▼素材パレットから素材の1枚取り、穴明け加工機へ搬入、▲3▼穴明け加工データの呼び出し、▲4▼穴明け加工機で金型交換、部品保持、▲5▼穴明け加工した仕掛品の仕掛品パレットへの仕分け、集積、▲6▼仕掛品パレットの搬送、交換、の各種の段取りが発生し、これらの段取り工程の処理時間を短縮することが、穴明け工程時間の短縮につながる。
【0051】
また、曲げ工程では、図17に示すように、▲1▼仕掛品パレットの搬送、交換、▲2▼仕掛品パレットから仕掛品の1枚取り、曲げ加工機へ搬入、▲3▼曲げ加工データの呼び出し、▲4▼曲げ加工機で金型交換、仕掛品保持、▲5▼曲げ加工した製品の製品パレットへの仕分け、集積、▲6▼製品パレットの搬送、交換、の各種の段取りが発生し、これらの段取り工程の処理時間を短縮することが、曲げ工程時間の短縮につながる。
【0052】
上記のように、この板金加工の複合加工システム1は、工程進捗管理と連動した後工程(曲げ工程)の生産/搬送段取り運用形態に合わせた加工スケジューリングに基づき、前工程(穴明け/切断工程)の加工スケジューリングと加工情報の自動作成処理を実行することで、変種変量少ロット生産を実現して、工程間段取り工数の低減を図ることができる。そのため、後工程の加工順序と工程間の搬送荷姿を考慮した前工程のスケジューリングと加工情報(板取配置処理とワーク集積荷姿情報編集機能)の作成を実現できる。また、前工程の加工実績、在庫情報、シート情報、ワーク集積荷姿情報(後工程指示も含む)を後工程へ引き継ぐ仕組みを実現できる。さらに、仕分け集積装置と一枚取り装置と保管/搬送装置により各部品の工程間(穴明け/切断工程〜曲げ工程)の自動での搬送/供給(仕分け、集積、搬送、一枚取りの自動化による人手による段取りレス)を実現できる。そして、各種情報の一元管理によるデータ参照の作業効率向上も実現できる。
【0053】
また、ATC装置の装備により、スケジュール運転にて連続自動加工できる対象部品点数が飛躍的に拡大する。また、ベンディングロボットにより、加工可能に曲げ形状の種類が格段に増えて対象ワークの枠が広がる。また、単独セル運転、複合セル運転、ストレート複合加工運転の各運転モードにより、フレキシブルなライン運転が可能となり、汎用性が向上する。単独セル運転では、穴明け/曲げ加工それぞれ別々のセル運転が可能であり、複合セル運転では、穴明け/曲げ加工のタクトバランス差を吸収した複合(穴明け→曲げ加工)セル運転が可能であり、ストレート複合加工運転では、穴明け/曲げ加工での同等タクトの同期化生産が実現する。また、穴明け加工での仕分け集積装置により、ミクロジョイントレス加工と仕分け集積が可能となり、作業者がミクロジョイントバラシ作業と仕分け作業から開放される。また、一枚取り装置により、各セル運転とストレート複合加工運転の運用が可能になっただけでなく、各セルのタクトバランス整合が可能になって生産性が向上する。また、一枚取り装置と集積パレットの自動交換機能により、作業者が部品の検索、搬送、一枚取りセット作業から開放され、ベンディングロボットセルの稼動率が大幅に向上する。また、ミクロジョイントレス加工だけでなく、ミクロジョイント加工も可能であることによっても稼動率が大幅に向上する。さらに、仕分け機能により、汎用プレスブレーキにも部品を自動で仕分け整頓して受け渡しができる。
【0054】
【発明の効果】
この発明は以上のように、NCTを備えた穴明け/切断工程作業設備と、ベンディングロボットを備えた曲げ工程作業設備との複合加工ラインに適用され、前記曲げ工程作業設備の加工スケジュールを決定したのち、この曲げ工程作業設備の加工スケジュールに基づいて、前記穴明け/切断工程作業設備の加工スケジュールを決定し、前記決定した加工スケジュールにしたがって、前記穴明け/切断工程作業設備および前記曲げ工程作業設備の運転を実行させる板金加工の複合加工システムであって、各ワークの穴明け/切断工程〜曲げ/組立工程に亘る加工情報を作成する設備加工情報作成装置と、各ワークの穴明け/切断工程〜曲げ/組立工程〜出荷工程に亘る全工程の工程進捗管理を行う工程進捗管理装置とを備え、前記設備加工情報作成装置は、パーツプログラムを作成するワーク用加工情報作成機能と、ワーク供給および集積装置への搬送・集積を指示し集積荷姿情報を編集するワーク集積荷姿情報編集機能と、板取配置処理機能とを含み、前記板取配置処理機能は、前記工程進捗管理装置の加工スケジューラ機能からのPULL方式で生成された板取作業指示情報と、パレット上の前記集積荷姿情報とを併せて生成したネスティング指示情報により、板取配置処理を実行し、穴明け工程用シートプログラム、作業指示、曲げ工程作業指示、部品を1枚ずつ切り離しながら仕分け集積装置により集積パレット上に仕分け集積するためのシートプログラム、および後工程間との部品の受け渡し情報、を作成するように構成したので、パンチング加工セルとベンディング加工セルによるブランク加工→曲げ加工のような板金加工ラインに適用して、変種変量少ロット生産の場合の生産性を大幅に向上させることができ、また、変種変量少ロット生産の場合だけでなく、アセンブリセット加工の場合も同様にして生産性を大幅に向上させることができ、さらに、ベンディングロボットへのロット運転を基本とした一枚取りスケジュールのオンライン運転を確実に実行することができ、生産性の大幅な向上を実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による板金加工の複合加工システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】板金加工の複合加工システムのネットワーク構成図である。
【図3】板金加工の複合加工システムのシステム運用図である。
【図4】板金加工の複合加工システムの作業設備群を示す斜視図である。
【図5】板金加工の複合加工システムの作業設備群を示す平面図である。
【図6】板金加工の複合加工システムのフローチャートである。
【図7】部品マスタ群の部品情報マスタの内容の一例を示す説明図である。
【図8】部品情報マスタが各作業設備用に管理する各種情報を示す説明図である。
【図9】部品マスタ群の部品工程マスタの内容の一例を示す説明図である。
【図10】部品マスタ群のグループ化情報の内容の一例を示す説明図である。
【図11】各部品の製作手配における各種段取り発生の一例を示す説明図である。
【図12】図10でグループ化コードG11の場合の段取り発生回数を示す説明図である。
【図13】図10でグループ化コードG12の場合の段取り発生回数を示す説明図である。
【図14】図10でグループ化コードG13の場合の段取り発生回数を示す説明図である。
【図15】図10でグループ化コードG14の場合の段取り発生回数を示す説明図である。
【図16】穴明け/曲げ自動化システムの穴明け工程で発生する各種段取りを示す説明図である。
【図17】穴明け/曲げ自動化システムの曲げ工程で発生する各種段取りを示す説明図である。
【符号の説明】
1 板金加工の複合加工システム
10 生産管理システム
30 設備加工情報作成装置(板金CAD/CAM)
50 工程進捗管理装置
70 設備統括管理装置
100 作業設備群
110 穴明け/切断工程作業設備(タレットパンチングセル)
130 素材/仕掛品(ワーク)の保管/搬送装置
150 曲げ工程作業設備(ベンディングロボットセル)
170 設備制御装置
Claims (1)
- NCTを備えた穴明け/切断工程作業設備(110)と、ベンディングロボットを備えた曲げ工程作業設備(150)との複合加工ラインに適用され、
前記曲げ工程作業設備(150)の加工スケジュールを決定したのち、この曲げ工程作業設備(150)の加工スケジュールに基づいて、前記穴明け/切断工程作業設備(110)の加工スケジュールを決定し、
前記決定した加工スケジュールにしたがって、前記穴明け/切断工程作業設備(110)および前記曲げ工程作業設備(150)の運転を実行させる板金加工の複合加工システムであって、
各ワークの穴明け/切断工程〜曲げ/組立工程に亘る加工情報を作成する設備加工情報作成装置(30)と、
各ワークの穴明け/切断工程〜曲げ/組立工程〜出荷工程に亘る全工程の工程進捗管理を行う工程進捗管理装置(50)とを備え、
前記設備加工情報作成装置(30)は、
パーツプログラムを作成するワーク用加工情報作成機能(31)と、
ワーク供給および集積装置への搬送・集積を指示し集積荷姿情報を編集するワーク集積荷姿情報編集機能(33)と、
板取配置処理機能(32)とを含み、
前記板取配置処理機能(32)は、
前記工程進捗管理装置(50)の加工スケジューラ機能(51)からのPULL方式で生成された板取作業指示情報と、パレット上の前記集積荷姿情報とを併せて生成したネスティング指示情報により、
板取配置処理を実行し、
穴明け工程用シートプログラム、作業指示、曲げ工程作業指示、部品を1枚ずつ切り離しながら仕分け集積装置(112)により集積パレット上に仕分け集積するためのシートプログラム、および後工程間との部品の受け渡し情報、を作成することを特徴とする板金加工の複合加工システム。
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