JP4322654B2 - コンバータ - Google Patents

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Description

本発明は、コンバータに関する。
スイッチングコンバータは、トランスの一次巻線に印加される直流電力を周期的にスイッチングし、トランスの二次巻線に現れる交流電力を整流した後、平滑して出力する。交流電力を整流する回路には、一般的にダイオード整流素子が用いられる。
しかしながら、ダイオード整流素子の順方向電圧降下は比較的大きいので、特に出力電圧が低いスイッチングコンバータにおいてはダイオード整流素子における電力損失が無視できない。したがって、ダイオード整流素子として順方向の電圧降下が小さいショットキーバリアダイオード(SBD)が用いられる場合が多い。
また、近年の高集積化技術により、オン抵抗が非常に小さい電界効果型トランジスタ(FET)が開発されている。そこで、オン抵抗の小さい電界効果型トランジスタを整流素子として用い、トランスの励磁タイミングに同期して電界効果型トランジスタをスイッチング制御することにより、低損失の整流機能を実現した同期整流回路が提案されている(特許文献1参照)。
図5は、同期整流回路を備えたフォワード型のスイッチングコンバータの構成例である。このスイッチングコンバータには、直流電源10、電界効果型トランジスタ11、トランス12、電界効果型トランジスタ13,14、リアクトル15、コンデンサ16によって構成されている。
電界効果型トランジスタ11は、外部から供給される信号によって周期的にオン、オフの状態を繰り返す。その結果、トランス12の一次巻線Npには励磁電流が断続的に流れ、トランス12の二次巻線Nsに交流電力が現れる。
電界効果型トランジスタ13,14は整流素子として利用される。この例では、電界効果型トランジスタ13,14の制御にセルフドリブン方式を用いている。すなわち、トランス12の二次巻線Nsに現れる電圧を利用して電界効果型トランジスタ13,14のオン、オフの状態を制御する。トランス12の二次巻線Nsに現れた交流電力は、電界効果型トランジスタ13,14で構成される整流回路で整流された後、リアクトル15およびコンデンサ16によって構成される平滑回路で平滑され、直流電圧Voとして出力端子17,18から出力される。
つぎに、図5に示すスイッチングコンバータの動作について以下に説明する。トランス12の一次巻線Npに接続された電界効果型トランジスタ11がオンの状態になり、一次巻線Npに励磁電流が流れると、二次巻線Nsに現れる正極性の電圧により電界効果型トランジスタ13がオンの状態になるので、二次巻線Nsに現れた電力が電界効果型トランジスタ13を介して出力側に供給される。このとき、電界効果型トランジスタ14はオフの状態になる。
一方、トランス12の一次巻線Npに接続された電界効果型トランジスタ11がオフの状態になると、一次巻線Npの励磁電流が遮断され、二次巻線Nsに現れる電圧の極性が反転する。その結果、電界効果型トランジスタ13がオンからオフの状態に切り替わり、電界効果型トランジスタ14はオフからオンの状態に切り替わる。
このとき、リアクトル15に流れている電流の保存により、転流電流が電界効果型トランジスタ14を介して流れ、負荷に電力が供給される。このように、同期整流回路を構成する電界効果型トランジスタ13,14がオン、オフするタイミングは二次巻線Nsに現れる電圧に依存する。
特開2003−116273号公報(請求の範囲、要約書)
ところで、図5に示すようなコンバータの出力側に、可飽和リアクトル(マグアンプ)を接続し、この可飽和リアクトルのリセット電流を調整することでPWM(Pulse Width Modulation)制御を実現し、出力電圧を制御する方法が考えられる。しかし、可飽和リアクトルにリセット電流を流すタイミングは、図5に示す電界効果型トランジスタ13がオフの状態になった場合(回路が開放状態になった場合)であるため、マグアンプと同期整流回路を単純に組み合わせた場合、そのような状態においてリセット電流を流すことが困難であるという問題点もある。
また、電子機器では、複数の異なる電圧が必要になる場合が多いが、図5に示すコンバータでは、1種類の電圧しか得られないという問題点もある。
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、マグアンプと同期整流回路を組み合わせ、出力電圧制御を行いつつ、効率がよく、複数の電圧を出力可能なコンバータを提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明は、トランスの第1から第N(N≧1)までの二次巻線に現れる交流電圧をそれぞれ整流して出力する第1から第Nまでの出力回路を有するコンバータにおいて、第1から第Nまでの各出力回路は、同期整流回路としての整流用スイッチング素子および転流用スイッチング素子と、マグアンプ用の可飽和リアクトルと、可飽和リアクトルに流れる電流を制御する電流制御回路と、をそれぞれ有し、トランスは、補助巻線を有し、第1から第Nまでの各出力回路の整流用スイッチング素子は、補助巻線に現れる交流電力を整流して得られた電圧によって駆動されている。
このため、マグアンプと同期整流回路を組み合わせた、出力電圧制御を行いつつ、効率がよく、複数の電圧を出力可能なスイッチングコンバータを提供することが可能になる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて、整流用スイッチング素子と、転流用スイッチング素子とを有する第(N+1)の出力回路と、トランスの一次巻線に接続された一次側スイッチング素子と、第(N+1)の出力回路の出力電圧に応じて一次側スイッチング素子をスイッチング制御する制御回路をさらに有し、第(N+1)の出力回路の転流用スイッチング素子への制御信号が、第1から第Nまでの出力回路の転流用スイッチング素子へも制御信号として供給されている。このため、第(N+1)の出力回路の制御信号を第1から第Nまでの出力回路に利用するため、部品点数を減らして、製造コストを削減することができる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて、第1から第(N+1)までの複数の出力回路がそれぞれ有する転流用スイッチング素子の入力容量に蓄積された電荷を一括して放電するための放電回路をさらに有するようにしている。このため、転流用スイッチング素子の入力容量に蓄積された電荷によって回路の動作が遅延することを防止するとともに、放電回路を共用することにより部品点数を減らして、製造コストを削減することができる。
本発明によれば、マグアンプと同期整流回路を組み合わせることができ、効率よく、複数の電圧を出力することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の構成例を示す回路図である。この図に示すように、本発明の第1の実施の形態は、直流電源50、電界効果型トランジスタ51、トランス52、ダイオード53、抵抗54〜56、電界効果型トランジスタ57,58、ダイオード59、リアクトル60、コンデンサ61、出力端子62,63、ダイオード64、抵抗65、可飽和リアクトル66、電界効果型トランジスタ67、制御回路68、放電回路70、電界効果型トランジスタ71、ダイオード72、リアクトル73、電流制御回路74、コンデンサ75、および出力端子76,77によって構成されている。
なお、ダイオード53、抵抗54〜56、電界効果型トランジスタ57,58、ダイオード59、リアクトル60、コンデンサ61、出力端子62,63は、第(N+1)の出力回路であるマスター回路100を構成し、可飽和リアクトル66、電界効果型トランジスタ67,71、ダイオード72、リアクトル73、電流制御回路74、コンデンサ75、および出力端子76,77は第1〜第Nの出力回路であるスレーブ回路101を構成している。
ここで、直流電源50は、例えば、スイッチング電源またはバッテリであり商用電力を直流電力に変換して出力する。一次側スイッチング素子である電界効果型トランジスタ51は、トランス52の一次巻線Npに接続され、制御回路68からの制御信号に応じて周期的にオンまたはオフの状態を繰り返し、トランス52の一次巻線Npに対して励磁電流を流す。
トランス52は、一次巻線Npおよびマスター用二次巻線Nm、第1の二次巻線N1、および補助巻線Naを有し、電界効果型トランジスタ51のオンまたはオフの状態変化によって一次巻線Npに印加される電圧を巻数比に応じた交流電圧に変換し、マスター用二次巻線Nm、第1の二次巻線N1、および補助巻線Naからそれぞれ出力する。
制御回路68は、電界効果型トランジスタ51が周期的にオンまたはオフの状態になるように制御信号(パルス信号)を出力するとともに、電界効果型トランジスタ51がオンになる直前に、放電回路70を制御して、電界効果型トランジスタ58,71のゲートとドレイン間に存在する入力容量(浮遊容量)に蓄積されている電荷を放電させる。
ダイオード53は、トランス52のマスター用二次巻線Nmに現れる交流電圧を整流する。この整流後の電圧により、電界効果型トランジスタ58,71が駆動される。
抵抗54,55は、分圧用の抵抗であり、電界効果型トランジスタ51がオンの状態のとき、すなわち、マスター用二次巻線Nmの出力電圧Vmが正である場合(図1に示すマスター用二次巻線Nmの上側の端子の電圧が下側の端子の電圧より高い場合)には、マスター用二次巻線Nmの出力電圧Vmを分圧して電界効果型トランジスタ57を駆動する。
整流用スイッチング素子である電界効果型トランジスタ57は、マスター用二次巻線Nmの出力電圧Vmが正である場合にオン状態となる。これにより、電界効果型トランジスタ57が、オン状態のときには、マスター用二次巻線Nmに現れる電圧が出力端子62,63に出力される。また、出力電圧Vmが負である場合には電界効果型トランジスタ57は、オフ状態となる。
転流用スイッチング素子である電界効果型トランジスタ58は、マスター用二次巻線Nmの出力電圧Vmが負である場合(図1に示すマスター用二次巻線Nmの上側の端子の電圧が下側の端子の電圧より低い場合)には、ダイオード53を介して入力される電圧によってオン状態になる。これにより、電界効果型トランジスタ58がオン状態のときには、リアクトル60に流れている電流のエネルギーによって発生する転流電流が出力端子62,63を介して図示せぬ負荷に出力される。また、出力電圧Vmが正である場合には、電界効果型トランジスタ58は、オフ状態となる。
ダイオード59は、アノードが電界効果型トランジスタ58のソース端子に、カソードがドレイン端子に接続されており、出力電圧Voの直流平均電圧の低下を抑制するための環流ダイオード(フリーホイリングダイオード)である。
リアクトル60は、コンデンサ61とともに平滑回路を構成し、脈流を平滑化して出力するとともに、電界効果型トランジスタ57がオフの状態になった場合には、転流電流を発生する。コンデンサ61は、リアクトル60とともに平滑回路を構成する。出力端子62,63は、直流電圧を取り出すための端子である。
補助巻線Naは、電界効果型トランジスタ67を制御するための制御信号を取り出すための巻線である。ダイオード64は、補助巻線Naに現れる交流電圧を整流する。整流後の電圧により、電界効果型トランジスタ67が制御される。抵抗65は、電界効果型トランジスタ67に過電圧が印加されることを防止するために、電界効果型トランジスタ64と電界効果型トランジスタ67のゲートとの間に設けられる。
第1の二次巻線N1は、スレーブ回路101用の電力を得るための巻線である。可飽和リアクトル66は、いわゆるマグアンプであり、電界効果型トランジスタ51がオフの状態である場合に電流制御回路74から流入する電流によってリセットされる(すなわち、一周期前の始期の状態に戻される)。このリセットによる磁束量に等しい磁束変化が発生するまでは、可飽和リアクトル66は、ハイインピーダンス状態を保つので、電界効果型トランジスタ51がオンしても出力側には電流が流れない。
整流用スイッチング素子である電界効果型トランジスタ67は、電界効果型トランジスタ51がオン状態になったとき、すなわち、第1の二次巻線の出力電圧V1が正である場合には、オン状態となって出力端子76,77に電圧を出力する。また、出力電圧V1が負である場合には電界効果型トランジスタ67は、オフ状態となる。
放電回路70は、電界効果型トランジスタ51がオン状態になる直前において、電界効果型トランジスタ58,71のゲートに存在する入力容量に蓄積されている電荷を放電し、電界効果型トランジスタ58,71が適切なタイミングでオフの状態になるように制御する。なお、放電回路70は、半導体スイッチによって構成されており、制御回路68が電界効果型トランジスタ51をオン状態にする直前にオンの状態となるように制御される。
転流用スイッチング素子である電界効果型トランジスタ71は、第1の二次巻線N1の出力電圧V1が負である場合(すなわち、マスター用二次巻線Nmの出力電圧Vmが負である場合)には、ダイオード53を介して入力される電圧によってオン状態になり、リアクトル73に流れている電流のエネルギーによって発生する転流電流を出力端子76,77に出力する。また、出力電圧V1が正である場合(すなわち、マスター用二次巻線Nmの出力電圧Vmが正である場合)には、電界効果型トランジスタ71は、オフ状態となる。
ダイオード72は、アノードが電界効果型トランジスタ71のソース端子に、カソードがドレイン端子に接続されており、出力電圧Vo1の直流平均電圧の低下を抑制するための環流ダイオードである。
リアクトル73は、コンデンサ75とともに平滑回路を構成し、脈流を平滑化して出力するとともに、電界効果型トランジスタ67がオフ状態になった場合には、転流電流を発生する。コンデンサ75は、リアクトル73とともに平滑回路を構成する。出力端子76,77は、直流電圧を取り出すための端子である。
電流制御回路74は、出力端子76,77に現れる出力電圧Vo1に応じて、可飽和リアクトル66に対してリセット電流を流し、出力電圧Vo1が所望の値になるように制御する。
図2は、電流制御回路74の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、電流制御回路74は、ダイオード74a、PNP型トランジスタ74b、NPN型トランジスタ74c、コンパレータ74d、基準電源74e、および抵抗74f,74gによって構成されている。
ここで、ダイオード74aは、逆流防止用のダイオードであり、PNP型トランジスタ74bのコレクタ端子から流出する電流を可飽和リアクトル66に流入させる。
PNP型トランジスタ74bは、そのベースに接続されているNPN型トランジスタ74cがオンの状態になった場合には、オン状態になってダイオード74aを介して可飽和リアクトル66に電流を流入させる。
NPN型トランジスタ74cは、コンパレータ74dの出力が正である場合にはオンの状態となって、PNP型トランジスタ74bをオン状態に制御する。
コンパレータ74dは、基準電源74eと、抵抗74gに印加されている電圧(出力電圧Vo1を抵抗74f,74gで分圧した電圧)を比較し、抵抗74gに印加されている電圧の方が高い場合には正の電圧を出力し、それ以外の場合には負の電圧を出力する。
基準電源74eは、例えば、ツェナーダイオード等によって構成されている。抵抗74f,74gは、分圧抵抗であり、出力電圧Vo1を分圧して出力する。なお、分圧抵抗74f,74gのそれぞれの素子値は、出力電圧Vo1が所望の値である場合に、抵抗74gに現れる電圧と、基準電源74eの電圧とが等しくなるように設定されている。
つぎに、本発明の第1の実施の形態の動作について図3を参照しつつ説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態の動作を説明するためのタイミングチャートである。ここで、図3において、Vmは、トランス52のマスター用二次巻線Nmの出力電圧を示し、第1の二次巻線N1の出力電圧V1は、このVmと同様の波形を有するが、巻線の巻き数に応じた振幅を有する。図3のVg1は、電界効果型トランジスタ57のゲートとソース間の電圧の時間的な変化を示す。図3のVaは、補助巻線Naの出力電圧の時間的変化を示す。図3のVg3は、電界効果型トランジスタ67のゲートとソース間の電圧の時間的な変化を示す。図3のVg2は、電界効果型トランジスタ58のゲートとソース間の電圧の時間的な変化を示す。電界効果型トランジスタ71のゲートとソース間の電圧Vg4は、このVg2と同様の波形を有するが、NmとN1の巻数比に応じた振幅を有する。
時刻t1において、制御回路68の制御に応じて、電界効果型トランジスタ51がオン状態になると、直流電源50からトランス52の一次巻線Npに電圧が印加され、マスター用二次巻線Nmおよび第1の二次巻線N1には図3に示すような起電力(Vm,V1)が生じる。この結果、図3に示すように、電界効果型トランジスタ57のゲートとソース間の電圧Vg1はハイの状態になるので、電界効果型トランジスタ57はオン状態になる。
このとき、補助巻線Naの出力電圧Vaは、図3に示すように正となるので、電界効果型トランジスタ67のゲートとソース間の電圧Vg3はハイの状態になる。この結果、電界効果型トランジスタ67はオン状態になる。
また、このとき、図3に示すように、電界効果型トランジスタ58,71のゲートとソース間の電圧Vg2,Vg4は、ともにローの状態になるので、電界効果型トランジスタ58,71はともにオフ状態になる。
この結果、時刻t1において、マスター回路100では、電界効果型トランジスタ57がオン状態になり、電界効果型トランジスタ58がオフ状態になるので、マスター用二次巻線Nmの出力が、リアクトル60を経由して出力端子62,63に出力される。一方、スレーブ回路101では、電界効果型トランジスタ67がオン状態になり、電界効果型トランジスタ71がオフ状態になるので、第1の二次巻線N1の出力が、可飽和リアクトル66およびリアクトル73を経由して出力端子76,77に出力される。
なお、可飽和リアクトル66は、時刻t1の直前において、電流制御回路74から流入した電流によって生じた磁束量を相殺し、かつ、磁心が飽和する電流が流れるまではハイインピーダンスの状態を保つので実質的にはオフ状態となり、その後はオン状態になる。このため、スレーブ回路101では、時刻t1の直前において可飽和リアクトル66に流入した電流に応じた時間だけオフの状態が継続した後、第1の二次巻線N1の出力電圧V1が出力端子76,77に出力される。
つぎに、時刻t2において、電界効果型トランジスタ51がオフ状態になると、一次巻線Npの励磁電流が遮断され、図3に示すように、マスター用二次巻線Nmに現れる出力電圧Vmおよび第1の二次巻線N1に現れる出力電圧V1の極性が反転し、負となる。その結果、電界効果型トランジスタ57のゲートとソース間の電圧Vg1は、図3に示すようにローの状態になるので、電界効果型トランジスタ57はオフ状態になる。また、補助巻線Naに現れる出力電圧Vaの極性も反転するため、ダイオード64が逆バイアス状態となって、Vg3は、図3に示すようにローの状態になるので、電界効果型トランジスタ67はオフ状態になる。
一方、マスター用二次巻線Nmの出力電圧Vmの極性が反転すると、ダイオード53は順バイアスとなるので、電界効果型トランジスタ58,71のそれぞれのゲートとソース間の電圧Vg2,Vg4はともにハイの状態になるので、電界効果型トランジスタ58,71はともにオン状態になる。
電界効果型トランジスタ57がオフの状態になるとリアクトル60を流れる励磁電流が遮断されるため、リアクトル60に転流電流が発生する。この転流電流は、オン状態となっている電界効果型トランジスタ58、出力端子62,63および図示せぬ負荷に流れる。
また、電界効果型トランジスタ67がオフ状態になるとリアクトル73を流れる励磁電流が遮断されるため、リアクトル73に転流電流が発生する。この転流電流は、オン状態となっている電界効果型トランジスタ71、出力端子76,77および図示せぬ負荷に流れる。
つづいて、時刻t3において、トランス52のマスター用二次巻線Nmおよび第1の二次巻線N1に現れる電圧が“0”になると、ダイオード53のアノード端子の電圧も“0”となる。しかし、電界効果型トランジスタ58,71のゲートに存在する入力容量に蓄積されている電荷の影響によりダイオード53が逆バイアス状態になるため、図3に実線で示すように、電界効果型トランジスタ58,71のゲートとソース間の電圧Vg2,Vg4はハイの状態を保持する。なお、図3に示す破線は、ダイオード53を設けない場合におけるVg2,Vg4の変化を示している。このようにダイオード53を設けることにより、電界効果型トランジスタ58,71がオン状態になっている時間を長くすることができるので、後述するように、電力損失を抑えることができる。
すなわち、電界効果型トランジスタ58,71の内部には寄生ダイオード(ボディダイオード:図示せず)が存在するので、電界効果型トランジスタ58,71がオフになったときでも、これらの寄生ダイオードを通って転流電流が流れ続ける。転流電流が流れている間(一次巻線Npの励磁電流が遮断されている間)は電界効果型トランジスタ58,71がオン状態であるのが望ましい。しかし、前述のように転流電流が流れている間に電界効果型トランジスタ58,71がオフ状態に切り替わると、その後の転流電流は電界効果型トランジスタ58,71内部の寄生ダイオードを通って流れる。このため、寄生ダイオードにおける電圧降下の影響により電力損失が増大する。
しかし、本実施の形態の場合では、ダイオード53の存在により、電界効果型トランジスタ58,71はオンの状態を保つので、寄生ダイオードによる電圧損失を防止できる。
つづいて、時刻t4になると、制御回路68の制御によって放電回路70が動作し、電界効果型トランジスタ58,71のゲートに存在する入力容量に蓄積されている電荷が放電される。その結果、図3に示すように、電界効果型トランジスタ58,71のゲートとソース間の電圧が減少し、ローの状態になるため、電界効果型トランジスタ58,71はともにオフ状態になる。
ところで、時刻t2〜t4の期間においては、電流制御回路74が、出力端子76,77に現れている出力電圧Vo1に応じて、可飽和リアクトル66に対してリセット電流を流し、これをリセットする。
すなわち、電流制御回路74を構成するコンパレータ74dは、抵抗74gの端子電圧が、基準電源74eの電圧よりも高い場合(出力電圧Vo1が所望の電圧よりも高い場合)には、その出力をハイの状態にする。その結果、NPN型トランジスタ74cがオン状態になるので、PNP型トランジスタ74bもオン状態になり、ダイオード74aを介してリセット電流が可飽和リアクトル66に対して流入する。
その結果、可飽和リアクトル66の磁気コアは、電界効果型トランジスタ67がオンの状態である場合とは逆方向に磁化され、また、それにより減少した残留磁束量は、出力電圧Vo1が所望の電圧より高い分に応じて大きくなる。
つぎに、時刻t5になると、制御回路68の制御に応じて、電界効果型トランジスタ51がオンの状態になるので、マスター用二次巻線Nmの出力電圧Vmは、正となる。その結果、図3に示すように、電界効果型トランジスタ57のゲートとソース間の電圧Vg1がハイの状態になるので、電界効果型トランジスタ57がオン状態になり、リアクトル60を介して出力端子62,63に電圧が出力される。
ところで、出力端子62,63に出力される出力電圧Voの値は、制御回路68により検出されており、制御回路68は、出力電圧Voに応じて、電界効果型トランジスタ51のオンとオフの時間比であるディーティー比を変更する。これにより、出力電圧Voは、常に一定になるように制御される。
一方、スレーブ回路101では、時刻t5において、電界効果型トランジスタ51がオン状態になると、補助巻線Naの出力電圧Vaは正となる。その結果、図3に示すように、電界効果型トランジスタ67のゲートとソース間の電圧Vg3がハイの状態になるので、電界効果型トランジスタ67がオン状態になる。
電界効果型トランジスタ67がオン状態になると、可飽和リアクトル66、リアクトル73、および図示せぬ負荷を含む閉回路が形成される。しかし、前述のように、可飽和リアクトル66は、前回の出力電圧Vo1の値に応じて逆方向に磁化されているので、この磁束量を相殺するとともに、正方向に磁芯が飽和する電流が流れるまではハイインピーダンス状態を保持する。このため、電界効果型トランジスタ67がオン状態となった後の一定時間、電界効果型トランジスタ66は、オフ状態となる。そして、一定時間が経過すると電界効果型トランジスタ66は、オン状態になって、出力端子76,77に出力電圧Vo1が出力される。
したがって、電流制御回路74と可飽和リアクトル66は、出力電圧Vo1に応じて、出力されるパルスの幅を制御することにより、出力電圧Vo1が所望の値になるようにPWM制御を行う。その結果、出力電圧Vo1は負荷の変動に拘わらず、常に一定の値を保持することになる。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、マスター回路100については制御回路68によって、出力電圧Voに応じて電界効果型トランジスタ51のスイッチングのデューティー比を変更し、また、スレーブ回路101については、電流制御回路74によって可飽和リアクトル66のリセット電流を出力電圧Vo1に応じて変更するようにしたので、出力電圧Vo,Vo1を負荷の変動等に拘わらず一定に保つことができる。
また、放電回路70については、マスター回路100とスレーブ回路101とで共用することができるので、部品点数を削減し、製造コストを削減することが可能になる。
なお、以上に説明した第1の実施の形態では、電界効果型トランジスタ58,71にのみ放電回路70を設けるようにしたが、電界効果型トランジスタ57,67のゲートとソース間に放電回路をそれぞれ設けるようにしてもよい。そのような構成によれば、電界効果型トランジスタ57,67がオフになるタイミングが適切になるように制御することが可能になる。
つぎに、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本発明の第1の実施の形態では、スレーブ回路101が1つだけの場合について説明したが、スレーブ回路を複数設けることも可能である。図4は、スレーブ回路を複数設けた場合における実施の形態を示す図である。この図の例では、マスター回路100と、n個のスレーブ回路101−1〜101−nを有する。なお、この図では、図を簡略化するために、各回路はブロック化して記載している。
図4の例では、トランス52Aは、一次巻線Np、マスター用二次巻線Nm、補助巻線Na、第1〜第nの二次巻線N1〜Nnを有している。マスター回路100は、図1に示すものと同様の構成となっている。スレーブ回路101−1〜101−nも図1に示すスレーブ回路101と同様の構成となっている。駆動回路80は、スレーブ回路101−1〜101−nのそれぞれが有する整流用の電界効果型トランジスタを駆動する。放電回路70は、スレーブ回路101−1〜101−nのそれぞれが有する転流用の電界効果型トランジスタの入力容量に蓄積された電荷を放電する。制御回路68は、マスター回路100の出力電圧Voに応じて、電界効果型トランジスタ51のスイッチングのデューティー比を調整し、出力電圧Voが一定になるように制御する。
この駆動回路80は、図1におけるダイオード64および抵抗65による駆動回路と同様とされる。ただし、この場合には、複数のスレーブ回路101−1〜101−nを分離するためにダイオード201−1〜201−nが設けられる。なお、ダイオード201−1〜201−nの代わりに、回路を分離するためのフォトカプラ等を使用するようにしてもよい。
このような第2の実施の形態では、マスター回路100およびスレーブ回路101−1〜101−nのそれぞれから異なる電圧の出力を得ることが可能になるので、複数の電圧が必要な電子機器に使用することが可能になる。
また、スレーブ回路101−1〜101−nは、図1の場合と同様に、可飽和リアクトルと電流制御回路とをそれぞれ有しているので、これらの協働によって、負荷等の変動に拘わらず一定の電圧を得ることが可能になる。
また、放電回路70をスレーブ回路101−1〜101−nによって共用するようにしたので、部品点数を減らすことにより、製造コストを削減することが可能になる。
なお、以上の各実施の形態では、スイッチング素子としては電界効果型トランジスタを用いるようにしたが、他のスイッチング素子(例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))を用いるようにしてもよい。
また、以上の各実施の形態では、マスター用二次巻線Nmと抵抗56との間にはダイオード53を接続するようにしたが、このダイオード53は省略することも可能である。また、放電回路70についても省略することができる。
また、図2に示す電流制御回路74の回路構成は一例であって、これ以外の構成であってもよい。
また、電界効果型トランジスタ67のゲートとドレイン間には、放電回路70と同様の放電回路を設けるようにしてもよい。
本発明のコンバータは、例えば、パーソナルコンピュータ等といった、複数の電圧の電源を使用する電子機器に利用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングコンバータの構成例を示す回路図である。 図1に示すスイッチングコンバータの電流制御回路の詳細な構成例を示す回路図である。 図1に示すスイッチングコンバータの動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係るスイッチングインバータの構成例を示す回路図である。 従来のスイッチングコンバータの構成例を示す回路図である。
符号の説明
51 電界効果型トランジスタ(一次側スイッチング素子)
57,67 電界効果型トランジスタ(整流用スイッチング素子)
58,71 電界効果型トランジスタ(転流用スイッチング素子)
66 可飽和リアクトル
68 制御回路
70 放電回路
74 電流制御回路
100 マスター回路(第(N+1)の出力回路)
101−1〜101−n スレーブ回路(第1〜第Nの出力回路)
N1〜Nn 第1〜第Nの二次巻線

Claims (3)

  1. トランスの第1から第N(N≧1)までの二次巻線に現れる交流電圧をそれぞれ整流して出力する第1から第Nまでの出力回路を有するコンバータにおいて、
    上記第1から第Nまでの各出力回路は、
    同期整流回路としての整流用スイッチング素子および転流用スイッチング素子と、
    マグアンプ用の可飽和リアクトルと、
    上記可飽和リアクトルに流れる電流を制御する電流制御回路と、をそれぞれ有し、
    上記トランスは、補助巻線を有し、
    上記第1から第Nまでの各出力回路の上記整流用スイッチング素子は、上記補助巻線に現れる交流電力を整流して得られた電圧によって駆動されることを特徴とするコンバータ。
  2. 整流用スイッチング素子と、転流用スイッチング素子とを有する第(N+1)の出力回路と、
    前記トランスの一次巻線に接続された一次側スイッチング素子と、
    上記第(N+1)の出力回路の出力電圧に応じて上記一次側スイッチング素子をスイッチング制御する制御回路をさらに有し、
    上記第(N+1)の出力回路の転流用スイッチング素子への制御信号が、前記第1から第Nまでの出力回路の転流用スイッチング素子へも制御信号として供給されていることを特徴とする請求項1記載のコンバータ。
  3. 前記第1から第(N+1)までの複数の出力回路がそれぞれ有する前記転流用スイッチング素子の入力容量に蓄積された電荷を一括して放電するための放電回路をさらに有することを特徴とする請求項2記載のコンバータ。
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