JP4322052B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、装着感に優れ、且つズレ落ちにくい使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の使い捨ておむつとして、着用時に着用者の胴回りに配される胴回り部に、複数の弾性部材を周方向に配設して胴回りギャザーを形成したパンツ型おむつが知られている(特許文献1参照)。
この使い捨ておむつは、胴回り部に配した弾性部材により、着用者の胴回りとの間に隙間が生じることが防止され、また、着用中における、おむつのズレ落ちが防止されるが、他方において、着用者の胴回りを強く締め付け過ぎる場合が起こり易いという問題がある。
胴回りの締め付け力を低下させるためには、胴回り部の収縮力(伸張応力)を低減させることが考えられるが、その場合には、おむつのズレ落ちが生じやすくなってしまう。
【0003】
【特許文献1】
特開2001―478号公報
【0004】
従って、本発明の目的は、装着感に優れ、且つズレ落ちにくい使い捨ておむつを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を備え、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型の使い捨ておむつにおいて、ウエスト回り領域及び胴回り領域がそれぞれ周方向に弾性伸縮性を有しており、前記ウエスト回り領域を、おむつの幅方向に荷重10Nとなるまで伸張させた後、荷重10N時の長さと自然長との中間の長さまで収縮させた時点の荷重(a)が3.0〜5.0Nであり、前記胴回り領域を、おむつの幅方向に荷重10Nとなるまで伸張させた後、荷重10N時の長さと自然長との中間の長さまで収縮させた時点の荷重(b)が0.5〜2.0Nであり、前記ウエスト回り領域の前記荷重(a)に対する前記胴回り領域の前記荷重(b)の比(b/a)が0.50以下であり、おむつ下端部を境にして区分される前身頃と後身頃のうちの該前身頃における、一対の前記レッグ開口部間に位置する領域の面積が150〜700cm2である使い捨ておむつを提供することにより前記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
第1実施形態の使い捨ておむつは、成人用のパンツ型おむつであり、図1〜3に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート(図示せず)及び液保持性の吸収体4を備え、着用時に着用者の腹側に配される腹側部A’及び背側に配される背側部B’を有し、腹側部A’の両側縁部A1,A1と背側部B’の両側縁部B1,B1とがヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により接合されて、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6が形成されている。
【0007】
本使い捨ておむつ1は、図3に示すように、吸収性本体10と、該吸収性本体10の外面(着用者とは反対側に向けられる面)側に位置して該吸収性本体10を固定している外装体20とからなる。吸収性本体10は、縦長矩形状をなしており、表面シート2、前記裏面シート(図示せず)及びこれら両シート間に挟持固定された吸収体4を具備してなる。吸収性本体10は、その長手方向を、展開状態(図3に示す状態)におけるおむつ長手方向(図3の上下方向)に一致させ、外装体20の中央部に公知の接合手段により接合されている。吸収性本体10の長手方向の両側部には、一対の立体ガード7が形成されている。
【0008】
第1実施形態における外装体20は、非ギャザー型の伸縮性シートを用いて形成されており、図3に示すように、おむつ長手方向の中央領域の両側部にレッグ開口部形成用の一対の凹欠部60,60を有している。外装体20の長手方向の両端部には、ウエスト部弾性部材51が配されており、ウエスト部弾性部材51は、前記伸縮性シートを折り返した部分に挟持固定されている。
【0009】
本実施形態のおむつ1は、ウエスト回り領域D及び胴回り領域Eがそれぞれ周方向に弾性伸縮性を有している。
成人用のおむつにおいて、ウエスト回り領域Dとは、図2に示すように、ウエスト開口部5の開口周縁端50から下方に50mmまでの領域であり、胴回り領域Eとは、ウエスト回り領域Dよりも下方に位置し且つレッグ開口部6の上端部62の位置よりも上方に位置する領域である。
本実施形態のおむつ1におけるウエスト回り領域Dは、外装体20を構成する前記伸縮性シート及び該シートに固定された前記ウエスト部弾性部材51により、実質的にその全周にわたって周方向の弾性伸縮性を発現し、胴回り領域Eは、外装体20を構成する前記伸縮性シートにより、少なくとも腹側部A’及び背側部B’それぞれの両側部に位置する部分が周方向の弾性伸縮性を発現する。
本発明において、ウエスト回り領域D及び胴回り領域Eは、それぞれ、前身頃及び後身頃の双方において弾性伸縮性を有することが好ましい。前身頃又は後身頃の何れかにおいて全幅に亘って弾性を有していない場合は、活動時にシワが発生し易く着用時の肌に擦れて不快の原因になり易いので好ましくない。
【0010】
本実施形態のおむつ1における胴回り領域Eは、おむつの幅方向に荷重10Nとなるまで伸張させた後、荷重10N時の長さと自然長との中間の長さまで収縮させた時点の荷重(以下、胴回り荷重ともいう)が0.5〜2.0Nである。胴回り荷重は、胴回り領域Eが着用者に与える締め付け力の指標として用いている。
胴回り荷重が0.5N未満であると、着用時にお腹回りにシワが発生し、そのシワが、活動時にズボン等の重ねて着用される衣類により着用者の肌に擦れて不快の原因となることがあり、2.0N超であると、お腹回りの締め付け力の低減効果が不充分で、着用者(特に高齢者)にゆったりとした快適な装着感を与えることができない。ズレ落ちの発生やシワによる不快感の発生を防止しつつ、装着感を一層向上させる観点から、胴回り荷重は0.5〜1.3Nであることがより好ましい。
【0011】
本実施形態のおむつ1におけるウエスト回り領域Dは、おむつの幅方向に荷重10Nとなるまで伸張させた後、荷重10N時の長さと自然長との中間の長さまで収縮させた時点の荷重(以下、ウエスト回り荷重ともいう)が3.0〜5.0Nである。ウエスト回り荷重は、ウエスト回り領域Dが着用者に与える締め付け力の指標として用いている。
また、ウエスト回り荷重(a)に対する前記胴回り荷重(b)の比(b/a)が0.50以下である。
【0012】
本実施形態のおむつ1によれば、ウエスト回り荷重を上記特定の範囲とすると共に、前記ウエスト回り荷重と前記胴回り荷重との比を上記特定の範囲とし、更に後述するように着用者の前側に位置する一対のレッグ開口部6,6間に位置する領域の面積を特定の範囲とすることにより、胴回り荷重を上記のように低めに設定しても、おむつのズレ落ちを防止することができ、しかも単に胴回り荷重を低めに設定する以上のゆったり感を胴回りから下腹部にかけての範囲に持たせることができることができ、それにより、快適な装着感を与えることと、ズレ落ちを生じさせないという、相反する要請を同時に達成することができる。
【0013】
ウエスト回り荷重が3.0N未満又は前記荷重比(b/a)が0.5超であると、胴回り荷重を低減させることによるズレ落ち防止力の低下をウエスト回り荷重の締め付け力で充分に補うことができなくなり、活動時におむつのズレ落ちが生じやすくなる。他方、ウエスト回り荷重が5.0N超であると、必要以上に着用者のウエスト回りを締め付けることになり、過度の締め付けにより苦しさを感じたり、血行が妨げられる等の不都合が生じやすくなる。
ズレ落ちの発生を防止しつつ、良好な装着感を得る観点から、ウエスト回り荷重は3.5〜4.5Nであることがより好ましい。
【0014】
〔胴回り荷重の測定方法〕
おむつから胴回り領域Eを、腹側部側の部分と背側部側の部分とが連結されたリング状の状態のまま切り取り、これをサンプルとする。このサンプルを、水平な面上に、背側部側の部分の外面が、該水平な面に当接するように載置し、自然に収縮した状態における該サンプルの両端部間(左右のサイド接合部23同士間)の長さを測定して自然長とする。自然長は、サンプルの上縁部と下縁部との間を2等分する中央線に沿って測定する。
そして、そのサンプルをたるませて、テンシロン引っ張り試験機〔(株)オリエンテック社製、「RTC−1150A」〕のチャック間に固定し、その時の荷重をゼロとする。その後速度300mm/minで、おむつ幅方向と同じ方向に荷重が10Nとなるまで伸張させ、次いで、チャックの移動方向を逆にして同じ速度で荷重ゼロとなるまで収縮させる。
そして、荷重10Nとなるまで伸張させたときのサンプル長を強伸張時長とし、収縮(戻り)過程における、該強伸張時長と前記自然長との中間の長さ〔(強伸張時長−自然長)/2〕となった時点の荷重を、胴回り荷重とする。
【0015】
〔ウエスト回り荷重の測定方法〕
おむつからウエスト回り領域Dを、腹側部側の部分と背側部側の部分とが連結されたリング状の状態のまま切り取り、これをサンプルとする以外は、上述した胴回り荷重の測定方法と同様にして測定する。
【0016】
本実施形態のおむつ1は、図2に示すように、おむつ下端部(展開状態においては、おむつ長手方向の全長を2等分する中央線CL上に位置する部位)12を境にして腹側部A’側に位置する前身頃Aと背側部B’側に位置する後身頃Bとに区分したときの前記前身頃Aにおける、一対のレッグ開口部6,6間に位置する領域P2の面積が150〜300cm2である。前記領域Pの面積は、本実施形態のように、非ギャザー型の伸縮性シートにより弾性伸縮性が付与されている場合(以下、非ギャザー型の場合ともいう)、150〜300cm2、特に200〜300cm2であることが好ましく、後述する第2実施形態のおむつのように、不織布等のシート材に弾性部材を伸張状態で固定してギャザーを形成させることにより弾性伸縮性を付与した場合(以下、ギャザー型の場合ともいう)、300〜700cm2、特に400〜600cm2であることが好ましい。
前記領域P2の面積を上記特定の範囲とすることにより、上述したように、更に胴回り荷重を上記の範囲に設定する以上に着用者の胴回りから下腹部にかけての範囲にゆったり感を持たせることができる。この効果は、加齢に伴って腹部が著しく増大した高齢者、特に高齢女性について顕著である。
本実施形態のおむつ1においては、胴回り荷重を低めに設定することに加えて、前記領域P2の面積を上記特定の範囲とすることにより、快適な装着感とズレ落ち防止を両立させている。
【0017】
前記領域P2の面積が非ギャザー型の場合300cm2 超、ギャザー型の場合700cm2 超であると、下腹部のはき心地の低下は避けられない。前記領域P2の面積が非ギャザー型の場合150cm2未満、ギャザー型の場合300cm2 未満であると、吸収体の配置面積が不充分となることによる吸収性能の低下や、下腹部が過度に露出して高齢者の嗜好に合わなくなる恐れがある。
【0018】
本実施形態のおむつ1は、図2に示すように、おむつ下端部12により区分される前記前身頃Aと前記後身頃Bとを、前記表面シート2側の面同士を面接させて重ね合わせた平面状態(以下、単に平面状態ともいう)において、各レッグ開口部6の開口縁部6A,6Bに囲まれた各領域P1の面積(c)と、前身頃Aにおける、一対のレッグ開口部6,6間に位置する領域P2の面積(d)との比(c/d)が0.30〜0.75、特に0.35〜0.50であることが好ましい。尚、前記面積(c)は、各レッグ開口部について測定する。
【0019】
平面状態における前記各領域P1,P2の面積(後述するその他の寸法等も同様)を測定する際には、後述する第2実施形態のおむつのように、前身頃A又は後身頃Bにおけるレッグ開口部間にギャザーにより弾性伸縮性が付与されている場合には、該ギャザーを設計寸法まで引き延ばした状態として測定するが、本実施形態のおむつ1のように、非ギャザー型の伸縮性シートにより、前身頃A又は後身頃Bのレッグ開口部間に弾性伸縮性が付与されている場合には、伸縮性シートに外力を作用させない状態(引き延ばさない状態,自然状態)において測定する。
但し、非ギャザー型の伸縮性シートにより弾性伸縮性が付与されている場合においても、伸縮性シート以外に、測定値に影響を与える弾性部材が存在する場合には、その弾性部材の収縮力の影響を排除した状態で測定する。例えば、前記ウエスト部弾性部材51は、該ウエスト部弾性部材を除去したり切断したりして収縮力を発現しないようにするか、又は該ウエスト部弾性部材が存在しない場合と同じ寸法まで拡げて固定した状態(緊張状態)にして測定する。
【0020】
前記比(c/d)を0.30以上とすることにより、装着感が一層確実に向上し、前記比(c/d)を0.75以下とすることにより、吸収体の配置面積が不充分となることによる吸収性能の低下等の不都合を防止することができ、また、高齢者の嗜好に適合しない、下腹部の過度の露出を防ぐこともできる。更に、0.30〜0.75の範囲内とすることで、レッグ開口部に対する脚の挿通性を向上させることもできる。
【0021】
装着感を一層確実に向上させ、また、吸収性能の低下や高齢者の嗜好への不適合といった不都合を一層確実に防止する観点から、前記平面状態において、各レッグ開口部6の開口縁部6A,6Bに囲まれた各領域P1の面積(c)は、非ギャザー型の場合45〜100cm2、特に60〜100cm2であることが好ましく、ギャザー型の場合90〜250cm2、特に120〜200cm2であることが好ましい。
【0022】
また、同様の観点から、前記平面状態において、両レッグ開口部6,6間の幅W1の最小値は100〜200mm、特に120〜180mmであることが好ましい。
【0023】
また、本実施形態のおむつ1は、一対のレッグ開口部6,6間の幅W1(図2参照)が最小となる部位が、おむつ下端部12から腹側に35〜140mm離間した位置に存在している。即ち、本実施形態のおむつ1は、図3に示すように、レッグ開口部6形成用の凹欠部60の形状を、おむつ下端部12を境にして背側部B’側の後身頃Bよりも腹側部A側の前身頃Aを大きく切り欠いた形状としてあり、一対のレッグ開口部6,6間の幅W1が最小となる部位が、前身頃Aに位置しており、おむつ下端部12から前記幅W1が最小値を示す部位までの距離L1(図2参照)が35〜140mmである。
斯かる構成により、装着感を一層確実に向上させることができる。一対のレッグ開口部間の幅W1及び該幅が最小となる部位のおむつ下端部12からの離間距離は、前記平面状態において測定する。尚、前記幅W1が最小値を示す部位が、おむつ長手方向に幅を有し領域として存在する場合、その幅を2等分する線(おむつ幅方向に延びる線)までの距離を、おむつ下端部からの離間距離L1とする。
【0024】
また、本実施形態のおむつ1は、胴回り領域Eの自然周長に対するウエスト回り領域Dの自然周長の比(前者/後者)が0.70〜1.00である。ウエスト回り領域Dの自然周長と胴回り領域Eの自然周長とを比較的近い値に設定することによりウエスト回り領域Dに不自然なシワが発生することを防止できる。即ち、視力の低下した高齢者は、不自然なシワが多く生じていると、視覚の混乱によりウエスト開口部を認識しにくくなる場合があるが、周長差を抑えて不自然なシワの発生を防止することで、このような問題の発生を防止することができる。
尚、胴回り領域E及びウエスト回り領域Dそれぞれの自然周長は、おむつから上述した胴回り荷重又はウエスト回り荷重の測定方法と同様にして各領域をそれぞれ切り出し、各サンプルについて、その上縁部と下縁部との間を2等分する中央線に沿って周長を測定する。
【0025】
尚、本明細書において、非ギャザー型の伸縮性シートとは、少なくともおむつ幅方向(前身頃又は後身頃の幅方向)に弾性伸縮性を示すシートであって、シート材(不織布等)に弾性部材を伸張状態で接着固定して形成されたギャザーを有しないものであるか、又はそのようなギャザーを有するものであっても襞が微細で下記方法により測定したシートの厚みが2.0mm以下のものをいう。
【0026】
(厚みの測定方法)
KEYENCE社製の非接触型CCDレーザー変位センサLK−080を用いて、50mm×50mmのアクリル板(荷重0.6g/cm2)をのせた時の厚みを測定する。
【0027】
非ギャザー型の伸縮性シートとしては、例えば、不織布の内部に弾性糸を固定したものを用いることができ、前記不織布としては、ポリエステル、ポリポロピレン、ポリエチレン、アクリル、レーヨン等の繊維を単一又は複合して用いた湿式法、乾式法、スパンレース法、メルトブローン法、スパンボンド成形法によって形成される不織布等が挙げられ、前記弾性糸としては、伸縮性を有するゴム糸やポリウレタン弾性糸等が挙げられ、不織布内部への弾性糸の固定方法としては、不織布繊維層に伸縮性繊維を編み糸によってステッチ縫合する方法等が挙げられる。
【0028】
非ギャザー型の伸縮性シートとしては、また、エラストマー材料からなるシートの片面又は両面に伸縮性を有する繊維集合体を積層して一体化してなるシートを用いることができる。
エラストマー材料としては、天然ゴム、ブタジエン、イソプレン等の合成ゴム等が好ましく用いられる。エラストマー材料からなるシートとしては、エラストマー材料をフィルム化して得られる弾性フィルム、エラストマー材料からなる弾性繊維を、ネット状に成形したり不織布化したシート等が好ましく用いられる。前記繊維集合体としては、熱可塑性ポリウレタン繊維、高捲縮性のポリエチレン繊維、高捲縮性のポリエステル繊維等を用いることができる。エラストマー材料からなるシートに繊維集合体を固定する方法としては、シートに繊維集合体を熱融着により固定する方法等が挙げられる。
【0029】
非ギャザー型の伸縮性シートとしては、各種公知のものを用いることができ、例えば特開2000−160460、特開2002−187228の各公報記載のもの等を用いることもできる。
【0030】
次に、第2実施形態の使い捨ておむつ1’について説明する。第2実施形態のおむつ1’は、外装体の構成が上述したおむつ1と異なる以外は、上述したおむつ1と同様であるため、同様の構成要素には同一の符号を付し、以下においては、主として上述したおむつ1と異なる点について説明する。特に説明しない点は、上述した使い捨ておむつ1についての説明が適用される。
【0031】
第2実施形態のおむつ1’における外装体20’は、図4に示すように、おむつの外表面(着用者とは反対側に向けられる面)を形成する外層シート21と、該外層シート21に隣接してその内側に積層接着された内層シート22とを具備し、これら両シート間に、後述する各種の弾性部材51、61、71が、ホットメルト型接着剤等の接着剤を用いて固定されている。
【0032】
第2実施形態のおむつ1’においては、ウエスト開口部の開口周縁部に周方向に沿ってウエストギャザー形成用のウエスト弾性部材51が配設されており、一対のレッグ開口部それぞれの開口周縁部にもその周方向に沿ってレッグ弾性部材61が配設されている。更に、ウエスト開口縁端50から股下方向に50mm離間した位置から、レッグ開口部6の上端縁62の位置までの範囲である胴回り領域Eにも、胴回り方向に沿って複数本の胴回りギャザー形成用の胴回り部弾性部材71が配設されている。
【0033】
第2実施形態のおむつ1’においては、弾性部材61により形成されたギャザーにより、前身頃A及び後身頃Bそれぞれのレッグ開口部同士間に弾性伸縮性が付与されており、また、胴回り部弾性部材71及びウエスト弾性部材51の存在の有無がレッグ部同士間の寸法に影響を与えるため、これらの弾性部材51,61,71の収縮力の影響を排除した状態で、平面状態における前記各領域P1,P2の面積(おむつ1に関して説明した平面状態における各部の寸法等も同様)を測定する。具体的には、弾性部材51,61,71は、各弾性部材を除去したり切断したりして収縮力を発現しないようにするか、又は各弾性部材が存在しない場合と同じ寸法まで拡げて固定した状態(緊張状態)で測定する。
【0034】
本実施形態のおむつ1’においても、ウエスト回り荷重が3.0〜5.0N、胴回り荷重が0.5〜2.0Nであり、ウエスト回り荷重に対する胴回り荷重の比が0.5以下であり、おむつ下端部(展開状態においては中央線CL上に位置する部位)を堺にして腹側部A’側に位置する部分である前身頃Aにおける、一対のレッグ開口部6,6間に位置する領域P2(図2参照)の面積が300〜700cm2である。そのため、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0035】
第2実施形態のおむつ1’においては、弾性部材61、71が、左右に分割配置されており、何れの弾性部材61,71も、吸収体4の少なくとも幅方向中央部においては弾性伸縮性を発現していない。本発明のおむつは、第2実施形態のおむつ1’のように、吸収体4の幅方向中央部には、該吸収体4の長手方向の全長にわたって弾性部材が配されていないことが好ましい。
本発明のおむつにおいては、吸収体の幅が従来のものに比して狭くなる傾向にあるため、吸収体の幅が弾性部材の収縮力により更に狭くなると、歩行時の活動によって、吸収体の位置が着用者の排泄部の位置からずれて漏れを発生させる恐れが生じる。吸収体4の幅方向中央部に弾性部材を配さないことで、吸収体の幅を広く維持してこのような不都合を防止することができる。
【0036】
上述した各実施形態の使い捨ておむつにおける各部の形成材料について説明する。表面シート2、前記裏面シート、吸収体4、立体ガード7、外層シート21及び内層シート22等の形成材料としては、従来の使い捨ておむつ等において用いられている各種の材料を用いることができる。前記弾性部材51、61、71の形成材料としては、使い捨ておむつ等に用いられる各種公知の弾性材料を用いることができ、例えば素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ウレタン等の伸縮性の素材を広く用いることができ、例えば形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状、マルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いられる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されない。
本発明の使い捨ておむつは、成人用、特に高齢者用に適しているが、幼児用に適用することもできる。幼児用のおむつの場合には、ウエスト回り領域Dは、ウエスト開口部の開口周縁端から30mm下方までの領域とし、胴回り領域Eは、そのウエスト回り領域Dよりも下方に位置し且つレッグ開口部6の上端部62の位置よりも上方に位置する領域とする。
【0038】
【実施例】
<実施例1>
外装体形成用の伸縮性シート(非ギャザー型のシート)として東レ・デュポン社製の「MEXLAR」を用い、第1実施形態のおむつと同様の構成を有するおむつを製造した。
【0039】
<実施例2>
外装体形成用の外層及び内層シートとして何れも不織布を用いて、第2実施形態のおむつと同様の構成を有するおむつを製造した。
製造した実施例の各おむつについて、ウエスト回り荷重、胴回り荷重、一対のレッグ開口部間の幅W1の最小値、該最小値を示す部位のおむつ下端部からの離間距離(腹側方向への離間距離)L1、前記領域P1の面積c(左右の平均値,左右各別の値もほぼ同じ)、前記領域P2の面積d、前記比(c/d)等を測定して表1に示した。
【0040】
<比較例1〜5>
ウエスト回り荷重、胴回り荷重及び前記領域P2の面積が表1に示す値を示す以外は、実施例2と同様の構成を有する使い捨ておむつを製造した。
【0041】
尚、実施例2及び比較例1〜5は、外装体にギャザーにより弾性伸縮性を付与したタイプであり、各部の弾性部材を設計寸法まで伸張させた状態で平面状態における各部の面積等を測定した。
【0042】
<性能評価>
実施例及び比較例の使い捨ておむつについて、装着感及びズレ落ち防止性をそれぞれ下記の方法で評価した。結果を表1に示した。
【0043】
1)装着感(胴回りから下腹部にかけてのゆったり感)
成人20名に、実施例及び比較例の各おむつを装着してもらい、以下の基準で装着感を評価してもらった。表1には、「お腹まわりが圧迫感がなく快適」と回答した人数を示した。
(評価基準)
○;お腹まわりが圧迫感がなく快適
△;どちらともいえない
×;圧迫感があり不快
【0044】
2)ズレ落ち防止性(歩行時)
実施例及び比較例の各おむつを、立位で両脚を前後させる歩行運動が可能であり、形態的に成人女性の腰部を模してある可動式の腰部モデルに、ウエスト開口周縁端(上端縁)の位置がウエスト(胴の最も細い位置での周長線上)に位置するように装着した。その状態で100歩/分の歩行速度で5分間歩行運動をさせ、
運動後に150ccの人口尿を注入して更に5分間歩行させ、その後更に150ccの人口尿を注入して5分間歩行させ、その歩行運動後に、ウエスト開口周縁端(上端縁)の位置が元の位置からズレた距離(ズレ落ち量)を測定した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示す評価結果から、実施例のおむつは、装着感及びズレ落ち防止性の何れにも優れていることが判る。これに対して、ウエスト回り荷重、胴回り荷重、又は領域P2の面積が本発明の範囲から外れるものは装着感及びずれ落ち防止性の少なくとも一方が劣ることがわかる。つまり優れた装着感及びずれ落ち防止性を両立するためには本発明が有効であることが判る。
【0047】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつは、装着感に優れ、且つズレ落ちにくいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態としての使い捨ておむつを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の使い捨ておむつを、おむつ下端部を境にして区分される前身頃と後身頃とを、前記表面シート側の面同士を面接させて重ね合わせた平面状態を、前身頃側から見た図であり、前身頃の一部を破断してある。
【図3】図3は、図1の使い捨ておむつを展開した状態を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態としての使い捨ておむつを展開した状態を一部破断して示す平面図である。
【符号の説明】
1,1’ 使い捨ておむつ
2 表面シート
4 吸収体
5 ウエスト開口部
6 レッグ開口部
6A レッグ開口部の前身頃に位置する開口縁部
6B レッグ開口部の後身頃に位置する開口縁部
10 吸収性本体
12 おむつ下端部
20,20’ 外装体
P1 各レッグ開口部の開口周縁に囲まれた領域
P2 両レッグ開口部間に位置する領域
A 前身頃
B 後身頃
Claims (5)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を備えた吸収性本体と、該吸収性本体を固定している外装体とからなり、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されている成人用のパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
前記外装体は、非ギャザー型の伸縮性シートを用いて形成されており、
ウエスト回り領域及び胴回り領域がそれぞれ周方向に弾性伸縮性を有しており、
前記ウエスト回り領域を、おむつの幅方向に荷重10Nとなるまで伸張させた後、荷重10N時の長さと自然長との中間の長さまで収縮させた時点の荷重(a)が3.0〜5.0Nであり、
前記胴回り領域を、おむつの幅方向に荷重10Nとなるまで伸張させた後、荷重10N時の長さと自然長との中間の長さまで収縮させた時点の荷重(b)が0.5〜2.0Nであり、
前記ウエスト回り領域の前記荷重(a)に対する前記胴回り領域の前記荷重(b)の比(b/a)が0.50以下であり、
おむつ下端部を境にして区分される前身頃と後身頃のうちの該前身頃における、一対の前記レッグ開口部間に位置する領域の面積が150〜300cm2であり、
前記前身頃と前記後身頃とを、前記表面シート側の面同士を面接させて重ね合わせた平面状態において、前記各レッグ開口部の開口縁部に囲まれた各領域の面積(c)と、前記前身頃における、一対の前記レッグ開口部間に位置する領域の面積(d)との比(c/d)が0.30〜0.75である使い捨ておむつ。 - 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び液保持性の吸収体を備えた吸収性本体と、該吸収性本体を固定している外装体とからなり、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されている成人用のパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
前記外装体は、外層シート及び該外層シートに隣接してその内側に積層接着された内層シートを具備し、ウエスト回り領域における外層及び内層シート間にウエスト弾性部材が伸長状態で配されてウエストギャザーが形成され、胴回り領域における外層及び内層シート間に胴回り部弾性部材が伸長状態で配されて胴回りギャザーが形成されており、
ウエスト回り領域及び胴回り領域がそれぞれ周方向に弾性伸縮性を有しており、
前記ウエスト回り領域を、おむつの幅方向に荷重10Nとなるまで伸張させた後、荷重10N時の長さと自然長との中間の長さまで収縮させた時点の荷重(a)が3.0〜5.0Nであり、
前記胴回り領域を、おむつの幅方向に荷重10Nとなるまで伸張させた後、荷重10N時の長さと自然長との中間の長さまで収縮させた時点の荷重(b)が0.5〜2.0Nであり、
前記ウエスト回り領域の前記荷重(a)に対する前記胴回り領域の前記荷重(b)の比(b/a)が0.50以下であり、
おむつ下端部を境にして区分される前身頃と後身頃のうちの該前身頃における、一対の前記レッグ開口部間に位置する領域の面積が300〜700cm2であり、
前記前身頃と前記後身頃とを、前記表面シート側の面同士を面接させて重ね合わせた平面状態において、前記各レッグ開口部の開口縁部に囲まれた各領域の面積(c)と、前記前身頃における、一対の前記レッグ開口部間に位置する領域の面積(d)との比(c/d)が0.30〜0.75である使い捨ておむつ。 - 一対の前記レッグ開口部間の幅の最小値が100〜200mmである請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
- 前記胴回り領域の自然周長に対する前記ウエスト回り領域の自然周長の比が0.70〜1.00である請求項1〜3の何れか記載の使い捨ておむつ。
- 前記吸収体の幅方向中央部には、該吸収体の長手方向の全長にわたって弾性部材が配されていない請求項1〜4の何れか記載の使い捨ておむつ。
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