JP4322028B2 - タンパク質・細胞非付着性眼内レンズの製造方法 - Google Patents

タンパク質・細胞非付着性眼内レンズの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、眼内レンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に白内障用眼内レンズとしてはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)、シリコーン樹脂、柔軟性を持たせたアクリル系樹脂等が使用され、人工角膜としてはサファイアー、PMMA、PHEMA、シリコーン樹脂等が使われている。これらの材料は、生体との親和性、活性・不活性、無毒性、組織適合性、血液適合性など生体適合性に優れ、かつ、物理的・化学的・生物学的安定性、強度、耐久性に富む材料から選ばれたものである。
【0003】
ところで、これら眼内移植レンズを使い易さの観点からみると、患者側からは装着時の違和感がないこと、医師側からは手術が容易なことなどの要求を満たすため、アクリル樹脂やシリコーンなどの柔軟性の眼内移植レンズ部材が開発されている。さらに、光学部中心厚が薄く、挿入も容易にするために、ジフェニルシロキサンを共重合させた高屈折シリコーンレンズも開発されている。さらに水晶体嚢と強く接着させるために疎水性アクリル樹脂が開発されている。ところがこの強い接着性は、手術時にこのレンズを角膜に折り畳んだ後の開き難さを生じさせる。これを解消するために、レンズ表面をプラズマ処理したり、フッ素系ポリマーを共重合させ、粘着性を軽減させることが行われている。さらにHEMAにヒドロキシルメタクリレートを共重合させて親水性を呈するハイドロジェル素材も開発されている。この素材は滑らないので折り畳み易く、粘着性もないのでシリコーンに比べて迅速に形状回復し、挿入後の安定も良好である。ところが後発白内障に見られるように、長期間使用していると、前嚢切開縁から水晶体上皮細胞がレンズ表面に拡がり増殖膜を形成したり、光学部に蛋白質やカルシウムの付着などにより、曇りが生じ視力低下の原因になっている。
【0004】
一方、柔軟性に富む素材は表面の研磨が難しいため、冷凍して硬い状態で研磨するという工夫も行われている。さらに米国では、毛様体筋の収縮に伴って、光学部が前後方向に動いて屈折率変化を起こす素材(accommodating IOL)がカミング(Cumming)らによって報告されている。ところがこれらの素材も機能性を引き出そうとするため、従来の母材に所望の性質を引き出すための薬剤を入れて共重合したり、化合したりした製品が発売されている。
【0005】
なお、コンタクトレンズであるが、その表面全体を改質するために、コンタクトレンズを所定の薬剤と接触させた状態でレーザーを照射する技術が特許文献1〜3に開示されている。
【0006】
【特許文献1】
国際公開WO 94/21715
【0007】
【特許文献2】
米国特許第6117497号明細書
【0008】
【特許文献3】
特許第3329341
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、眼内移植レンズ部材として多くの材料開発が行われている。しかしながら、眼内で偏位しにくく、脱落を起こさせないために親水性を示すにもかかわらず、前嚢切開縁から水晶体上皮細胞がレンズ表面に拡がり増殖膜を形成したり、光学部に蛋白質やカルシウムの付着などにより、曇りが生じ視力低下したりすることを防止し得る適切なレンズ部材は未だ開発されていない。
【0010】
したがって、本発明は親水性を示すと同時に、タンパク質や細胞の付着を防止し得る眼内移植用レンズ部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、薬剤雰囲気下で紫外光を投影露光するだけで通常使用されている眼内移植用レンズ部材の中央部に疎水性を持たせるとともに、周縁部に親水性製を持たせるようにするか、眼内移植用レンズ部材の表面に微小な親水性領域と疎水性領域のパターンを持たせることにより、所期の目的を達成できることを見いだした。その際、上記特許文献1〜3に開示された表面改質方法を利用する。
【0012】
すなわち、本発明によれば、眼内移植用レンズ部材表面に薬剤雰囲気下で紫外光を照射して紫外光照射部に該薬剤からの官能基を光化学的に置換させることによって、該レンズ部材の中心部に疎水性を持たせるとともに、周縁部に親水性を持たせ、または前記レンズ部材の表面に親水性領域と疎水性領域からなるパターンを持たせることを特徴とするタンパク質・細胞非付着性眼内レンズの製造方法が提供される。
【0013】
本発明において、レンズ部材とは、ある曲率を有する透明部材の総称であり、白内障患者移植用眼内レンズまたは人工角膜であり得、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、軟質アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびフッ素系プラスチックからなる群の中から選ばれる光学レンズ部材であり得る。
【0014】
また、本発明において、前記薬剤は、フッ素系オイル、水、アンモニア水、アルコール、ハロゲン化カーボンガス、またはアンモニアガスであり得る。
【0015】
さらに、前記紫外光は150nmから350nmの波長域のF2、ArCl、ArF、KrF、KrCl、XeClもしくはXeFエキシマレーザー、非線形結晶による倍波レーザー、Xe、KrClもしくはXeClエキシマランプ光、またはHg、Hg−XeもしくはD2ランプ光であり得る。
【0016】
本発明において、前記親水性領域と疎水性領域が、ミクロドメイン構造を形成することが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
これまで本願発明者らは、毛細現象を利用して合成石英窓とプラスチック表面との間隙に溶液を挟み、そこに10〜25mJ/cm2のArFレーザー光を照射して、親水基:−OH、−NH2、親油基:−CH3を置換させ、あるいはコンタクトレンズの両面に夫々の曲率に対応する石英製平凸レンズや平凹レンズを密着させ、それらの間隙に水を挿入し、石英レンズの平面部分からArFレーザー光を照射してレンズ全面を親水性にする方法(上記特許文献1、2参照)、さらには、コンタクトレンズ表面にガス吸着反応を利用してアンモニア錯塩を吸着させ、そこにArFレーザー光を照射することにより表面にアミノ基を置換して親水性にし、コンタクトレンズの目からの脱落を防止する方法を提案している(上記特許文献3参照)。
【0018】
本発明において、上記表面改質法における表面改質の原理および条件を利用することができる。本発明では、上記表面改質法における表面改質の原理および条件を利用して、後発白内障を起こさない眼内レンズや恒久的な人工角膜を提供するために、単一材料表面に局所的に光化学的に親水基と撥水基を置換することができる。すなわち、本発明によれば、材料をバルクから作り直すことなく眼内移植素子として完成している形状のまま、薬剤雰囲気でパターン状紫外光を照射して露光パターン通りの改質を行うことができる。このように単一材料や従来から生体適合性があるとされている材料を一切変質させずに表面のみ性質を変えることができ、経済的に恒久的な表面改質面を提供することができる。
【0019】
こうして、本発明では、白内障患者移植用眼内レンズまたは人工角膜として提供される眼内移植用レンズ部材をそのまま用いることができる。これらレンズ部材は、通常ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、軟質アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびフッ素系プラスチック(FEP、PFA等)からなる群の中から選ばれる光学レンズ部材である。本発明では、これらレンズ部材の表面を改質して眼内移植用レンズを製造する。
【0020】
本発明により、眼内移植用レンズ部材の表面に官能基を置換するためには、レンズ部材を所望の官能基(親水性基、疎水性(親油性)基)を有する薬剤雰囲気中に置き、その薬剤と眼内移植用レンズ部材表面の所望の場所に紫外光を照射し、両者の光化学反応により紫外光照射部(露光部)に官能基を置換する。この場合、薬剤が液体の場合とガスの場合とは異なる。薬剤が液体の場合には、眼内移植用レンズ部材が一般にはメニスカス構造であるために、レンズ部材の凸面に対してはその凸面と同じ曲率の石英製平凹レンズを、凹面に対してはその凹面と同じ曲率の石英製平凸レンズを用いレンズ部材を両レンズで挟み込むようにして密着させ、それらの間隙に毛細管現象により薬剤を導入し、その状態で薬剤とレンズ部材面に対しレンズ部材の両側から紫外光を入射し、それぞれの光化学反応に対応した官能基を置換することができる。液体状薬剤には、水、アンモニア水等の親水性付与薬剤と、パーフルオロポリエーテルのようなフッ素系オイル、ノルマルヘプタンのような炭化水素等の親油性付与薬剤が含まれる。
【0021】
他方、薬剤がガスの場合には、眼内移植用レンズ部材を反応ガス雰囲気に置き、レンズ部材の両面に紫外光を入射する。ガス状薬剤には、アンモニアガスのような親水性付与薬剤と、CBrF3ガス、CClF3ガスのようなハロゲン化カーボンガス等の疎水性付与薬剤が含まれる。
【0022】
なお、メタノール等のアルコールは、紫外光の照射密度により親水性付与性となるか、疎水性付与性となる。
【0023】
眼内移植用レンズ部材の中心(中央)部を疎水性にしてタンパク質・細胞の付着を防止し、周縁部を親水性にするためには、疎水性のレンズ部材と親水性付与薬剤を用い、レンズ部材の周縁部のみに紫外光(ドーナツ状紫外ビーム)を照射して該周縁部を親水性に改質することができる。未処理の中央部は、疎水性レンズ部材の疎水性がそのまま発現される。あるいは、親水性のレンズ部材と疎水性付与薬剤を用い、レンズの中央部のみに紫外光(断面円形紫外ビーム)を照射して、該中央部を疎水性に改質することができる。さらには、疎水性付与薬剤を用い、レンズ部材の中央部のみに紫外光(断面円形紫外ビーム)を照射して該中央部を疎水性に改質した後、親水性付与薬剤を用い、レンズ部材の周縁部のみに紫外光(ドーナツ状紫外ビーム)を照射して該周縁部を親水性に改質することもできる。断面円形紫外ビームとしては、断面直径4.5mmのものを用いることができ、ドーナツ状紫外ビームとしては、外径8mm、内径4.5mmのものを用いることができる。
【0024】
これらの表面処理によりレンズ中央部は撥水性を呈し、蛋白質の付着は抑えられるが、レンズと硝子体や角膜との親和性が低下するきらいがある。そこで、レンズ全体が親水性でありながら、蛋白質や細胞が付着しない表面を作るために、微細な親水性部と疎水性部を交互に配置したミクロドメイン構造を移植用レンズ部材の両側に形成することができる。その手法としては、それぞれの官能基を持つ薬剤の雰囲気下で各パターン状紫外光を眼内移植用レンズ部材に投影露光し、親水基と疎水基を交互に配置するものである。あるいは微小な官能基群(親水性基と疎水性基)を交互に配列するには、レンズ部材をそれぞれの官能基を有する薬剤雰囲気に置き、レーザーの干渉を利用してグレーティングやスペックルパターンをレンズ部材表面に形成し、それらの露光面に対応した官能基を置換する。それらのパターンを形成するには、紫外レーザー光を複数本に分け、それぞれのビームをミラーでレンズ部材面に集合させたり、一本の紫外レーザービームをその光路中で4本のビームを分けることを容易にするために、ピラミッド型プリズムを用い、それらのビームが互いにレンズ部材面で干渉し、それにより碁盤の目状に官能基を配列させることができる。また、予め紫外レーザー光のホログラフィー干渉によって作製したホログラムもしくはコンピューターで作製したホログラムに紫外レーザー光を照射して、それらの結像面にレンズ部材を置くこともできる。あるいは粗面ミラーを反射したレーザー光を素子面に投影してスペックルパターン状の官能基配列を形成させることもできる。ミクロドメイン構造を光化学的に形成するには、本来疎水性であるか、本発明により疎水性化されたレンズ部材の全表面に、親水性付与薬剤を接触させ、上記手法を用いて多数の微細な径の紫外光を照射して、照射部を親水性に変換させ、それにより微細な親水性領域を疎水性表面に離散して存在させることによって得ることができる。微細な親水性領域は、0.01〜15μmの径を有することができ、その密度は、レンズ部材表面1cm2当たり、2.25×106個〜108個であり得る。
【0025】
本発明において、紫外光としては、150nm〜350nmの波長域のF2、ArCl、ArF、KrF、KrCl、XeClもしくはXeFエキシマレーザー、非線形結晶による倍波レーザー、Xe、KrClもしくはXeClエキシマランプ光、またはHg、Hg−XeもしくはD2ランプ光を用いることができる。
【0026】
なお、眼内移植用レンズ部材に薬剤の官能基が置換される原理は、前記特許文献1〜3に記載された通りであり、それらの紫外光照射条件を用いることができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0028】
実施例1
PMMA製眼内レンズ部材(径8mm)のそれぞれの曲率に対応した石英製平凸レンズと平凹レンズの間に眼内レンズ部材を密着させ、それらの間隙に水を導入し、各石英製レンズの平面部から内径4.5mm、外径8mmのドーナツ状Xe2エキシマランプ光を照射して露光部のみ親水性にした。その結果、下記表1に示すように、水との接触角が未処理で83度であったものが、5分間のランプ照射で43度、10分照射で14度と親水性が強くなった。
【0029】
実施例2
PMMA製眼内レンズ部材のそれぞれの曲率に対応した石英製平凸レンズと平凹レンズの間に5分間イオン照射エッチング処理を行った眼内レンズ部材を挟み、それらの間隙に水を導入し、各石英製レンズの平面部から内径4.5mm、外径8mmのドーナツ状Xe2エキシマランプ光を照射して露光部のみ親水性にした。その結果、両面の接触角は、水との接触角が未処理で83度であったものが、ランプ照射を5分行った試料は接触角が10度と親水性が非常に強くなった。
【0030】
実施例3
アクリル系眼内レンズ(Acryford)部材のそれぞれの曲率に対応した石英製平凸レンズと平凹レンズの間に眼内レンズ部材を密着させ、それらの間隙に水を導入し、各石英製レンズの平面部から内径4.5mm、外径8mmのドーナツ状Xe2エキシマランプ光を照射して露光部のみ親水性にした。その結果、水との接触角が未処理で88度であったものが、ランプ照射3分で38度と親水性が強くなった。
【0031】
実施例4
PMMA製眼内レンズ部材を40TorrのNH3雰囲気中に置き、内径4.5mm、外径8mmのドーナツ状ArFレーザー光(15mJ/cm2)を照射すると、下記表2に示すようにレーザーパルス1800ショットで16度の親水性が得られた。
【0032】
実施例5
PMMA製眼内レンズ部材を40TorrのNH3雰囲気中に置き、内径4.5mm、外径8mmのドーナツ状Xe2エキシマランプ光を照射したところ、下記表3に示すように15分照射で30度の親水性が得られた。
【0033】
実施例6
PMMA製眼内レンズ部材のそれぞれの曲率に対応した石英製平凸レンズと平凹レンズの間に眼内レンズ部材を密着させ、それらの間隙にパーフルオロポリエーテルを導入し、各石英製レンズの平面部からレンズ部材の中心部に4.5mm径のXe2エキシマランプ光を照射して露光部のみ親水性にした。その結果、未処理で水との接触角が83度に対し、ランプ光5分照射で109度と強い撥水性を呈した。
【0034】
実施例7
PMMA製眼内レンズ部材のそれぞれの曲率に対応した石英製平凸レンズと平凹レンズの間に眼内レンズ部材を密着させ、それらの間隙にパーフルオロポリエーテルを導入し、各石英製レンズの平面部からレンズ部材の中心部に4.5mm径のArFレーザー光を照射して露光部のみ疎水性にした。その結果、下記表4に示すように、レーザーエネルギー密度5mJ/cm2、パルス照射数2000ショットで水との接触角は100度、レーザーエネルギー密度20mJ/cm2、パルス照射数2500ショットで水との接触角は116.5度と強い撥水性を呈した。
【0035】
実施例8
PMMA製眼内レンズ部材のそれぞれの曲率に対応した石英製平凸レンズと平凹レンズの間に眼内レンズ部材を密着させ、それらの間隙にノルマルへプタンを注入し、各石英製レンズの平面部から眼内レンズ部材の中心部に4.5mm径のArFレーザー光を照射して露光部のみ疎水性にした。その結果、下記表5に示すように、レーザーエネルギー密度15mJ/cm2、パルス照射数2000ショットで水との接触角は96度の撥水性を呈した。
【0036】
実施例9
PMMA製眼内レンズ部材を100TorrのCBrF3ガス雰囲気中に置き、4.5mm径のArFレーザー光を照射して露光部のみ疎水性にした。その結果、レーザーエネルギー密度20mJ/cm2、パルス照射数5ショットで水との接触角は91度の撥水性を呈した。
【0037】
実施例10
PMMA眼内レンズ部材を100TorrのCClF3ガス雰囲気中に置き、4.5mm径のArFレーザー光を照射して露光部のみ疎水性にした。その結果、レーザーエネルギー密度20mJ/cm2、パルス照射数5ショットで水との接触角は91度の撥水性を呈した。
【0038】
実施例11
アクリル系眼内レンズ(Acryford)部材のそれぞれの曲率に対応した石英製平凸レンズと平凹レンズの間に眼内レンズを密着させ、それらの間隙にパーフルオロポリエーテルを導入し、各石英製レンズの平面部からレンズ部材の中心部に4.5mm径のXe2エキシマランプ光を照射して露光部のみ疎水性にした。その結果、未処理で水との接触角が83度に対し、ランプ光10分照射で105度と強い撥水性を呈した。
【0039】
実施例12
FEPやPFAなどの透明フッ素樹脂素材に石英ガラス窓を被せその間隙にメチルアルコールを注入し、その窓側から4.5mm径のArFレーザー光5J/cm2、パルス照射4000ショット照射すると、レンズ部材表面にCH3基が置換され、水との接触角は115度と撥水性を維持しているが、ベンゼンとの接触角は未処理で60度であったものが5度まで低くなり強い親油性を呈した。次にこれと同じ系でレーザーのエネルギー密度のみ変えて、内径4.5mm、外径8mmのドーナツ状のArFレーザー光13mJ/cm2、パルス照射4000ショットで水との接触角は30度の親水性を呈した。この様に同じ系でレーザーのエネルギー密度を部分的に変えることにより眼内レンズの中心部を撥水性に周縁部を親水性に改質することができた。
【0040】
実施例13
シリコーンゴムに石英ガラス板を被せ、その間隙に水を挟み、石英ガラス側からドット径10μmの水玉模様状に投影されるように縮小投影された12.5mJ/cm2のArFレーザー光を3000ショット照射した。これにより碁盤の目の一区画毎に−OH基が置換され、親水性区画とシリコーンゴム本来の撥水性区画が交互に並んだミクロドメイン構造ができた。区画の寸法は、8μm径の親水性区画が水玉模様に並んでいた。未処理の試料の水との接触角は100度であったのに対し、処理後の試料全体の水との接触角は20度を呈した。これにアルブミンの付着を試みたが全く付着しなかった。これにより親水性でありながら、タンパク質非付着性を発現させることができた。
【0041】
実施例14
PMMAに石英ガラス板を被せ、その間隙にパーフルオロポリエーテルを挟み、5mJ/cm2のArFレーザー光を2000ショット照射した。これによりPMMAの水との接触角が未処理で80度であったものが100度になり、撥水性を呈した。この処理面を水で洗浄した後、パーフルオロポリエーテルの代わりに28%アンモニア水溶液を挟み、石英ガラス側からドット径10μmの水玉模様状のArFレーザー光を2000ショット縮小投影露光した。これにより−OH基が置換された親水性区画と撥水性区画が交互に並んだミクロドメイン構造ができた。区画の寸法は、径8μmの親水性区画が水玉模様に並んでいた。処理後の試料全体の水との接触角は20度を呈した。これにアルブミンの付着を試みたが全く付着しなかった。これにより親水性でありながら、タンパク質非付着性を発現させることができた。
【0042】
実施例15
FEPやPFAなどの透明フッ素樹脂素材に石英ガラス製ピラミッド型プリズムの底面側を被せ、その間隙に水を挟み、プリズムの頂点側から30mJ/cm2のArFレーザー光を3000ショット照射した。これにより碁盤の目の一区画毎に−OH基が置換され、親水性区画とフッ素樹脂本来の撥水性区画が交互に並んだミクロドメイン構造ができた。区画の寸法は、8μm径の親水性区画が約12μの間隔で並んでいた。未処理の試料の水との接触角は110度であったのに対し、処理後の試料全体の水との接触角は30度を呈した。これにアルブミンの付着を試みたが全く付着しなかった。これにより親水性でありながら、タンパク質嫌気性を発現させることができた。
【0043】
実施例16
PHEMA製人工角膜のそれぞれの曲率に対応した石英製平凸レンズと平凹レンズの間に人工角膜を密着させ、それらの間隙にパーフルオロポリエーテルを注入し、各石英製レンズの平面部から人工角膜の中心部に4.5mm径のXe2エキシマランプ光を照射して露光部のみ疎水性にした。その結果、未処理で水との接触角が83度に対し、ランプ光10分照射で105度と強い撥水性を呈した。さらに同じ系でパーフルオロポリエーテルに替えて水を注入し、そこに内径4.5mm、外径8mmのドーナツ状Xe2エキシマランプ光を照射して露光部のみ親水性にした。その結果、水との接触角が未処理で85度であったものが、5分間のランプ照射で43度、10分照射で14度と親水性が強くなった。このように単一の素材で反応溶液を換えるだけで人工角膜の中心部を撥水性に、周縁部を親水性にすることができた。
【0044】
【表1】
Figure 0004322028
【0045】
【表2】
Figure 0004322028
【0046】
【表3】
Figure 0004322028
【0047】
【表4】
Figure 0004322028
【0048】
【表5】
Figure 0004322028
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、親水性を示すと同時に、タンパク質や細胞の付着を防止し得る眼内移植用レンズ部材を容易に製造することができる。

Claims (1)

  1. タンパク質や細胞やカルシウムなどの付着により、曇りが生じ視力低下を防止し得る眼内移植用レンズや人工角膜などを製造するために、親水性材料から成る該眼内移植用レンズや人工角膜などの部材表面に薬剤雰囲気下で紫外光を照射して紫外光照射部に該薬剤からの官能基を光化学的に置換させることによって、該眼内移植用レンズや人工角膜などの部材の中心部に疎水性を持たせるとともに、周縁部に親水性を持たせ、または該眼内移植用レンズや人工角膜などの部材の表面に微細な親水性領域と疎水性領域を交互に配置したパターンを持たせることを特徴とするタンパク質・細胞非付着性眼内レンズおよび人工角膜の製造方法。
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