JP4321995B2 - 触媒温度推定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に用いて好適の触媒温度推定装置に関し、特に、エンジンの排気中の有害物質を浄化する排気浄化触媒の温度を推定する触媒温度推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気系に介装される排気浄化触媒(以下、単に触媒という)は、一般に高温且つ酸化雰囲気下(リーン空燃比)になるほどシンタリング(担体に保持された粒子が高温下で相互に凝集して粒子径が大きくなる現象)等により熱劣化しやすいという特性がある。したがって、触媒の耐熱温度は、一般に触媒が還元雰囲気下(リッチ空燃比)のときよりも酸化雰囲気下のときの方が低くなる。
【0003】
このため、触媒の熱劣化を抑制するためには、触媒が高温且つ酸化雰囲気下となるような事態を的確に回避する必要がある。
ところで、近年においては、CO2 低減(即ち、燃料消費量低減)を図ることを目的として減速時にエンジンへの燃料供給を全気筒又は一部気筒について一時的に停止(燃料カット)する減速燃料カット装置を搭載した車両が実用化されている。
【0004】
しかし、このような減速燃料カット時には、燃料カットした気筒から空気のみが排出されることになるため、結果的に排気空燃比がリーン空燃比となりやすい。したがって、このようなエンジンの場合、燃料カット時に、触媒コンバータが酸化雰囲気下且つ高温になる機会が多くなる。
そこで、触媒の温度を温度センサにより検出し、触媒温度が高温となるときには減速燃料カットを禁止するようにした技術が提案されている(例えば特開昭55−137339号公報)。また、上記以外にも、触媒床温を吸入空気量から推定し、触媒床温が高い時には減速燃料カットを禁止するようにしたり、或いはエンジン回転速度とエンジン負荷とに基づいて減速燃料カットを禁止したりする技術が提案されている(例えば特開平8−144814号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術のうち、温度センサを用いて触媒温度を直接検出しようとした場合、温度センサを触媒担体に取り付けることは困難であるため、直接的に触媒温度を正確に検出することはできない。このため、温度センサを触媒のいずれかの位置に取り付けることになるが、この場合には測定誤差が生じるという課題がある。また、温度センサを新たに追加する必要があるのでコスト増を招くという課題がある。
【0006】
また、触媒温度を吸入空気量から推定する手法では、排気温度に関して全く考慮されていないため、推測精度が低いという課題がある。
また、触媒は熱容量が大きいため応答遅れがあり、ある程度熱量を与えられてから温度が上昇する。これに対して、エンジン回転速度とエンジン負荷とに基づいて燃料カットを禁止する手法では、瞬時瞬時の運転条件から判断しているのみで触媒温度上昇の応答遅れは全く考慮されていないという課題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、簡素な構成で触媒の温度を精度良く推定できるようにした、触媒温度推定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の触媒温度推定装置は、エンジンの排気通路に設けられて排気中の有害物質を浄化する排気浄化触媒の温度を検出又は推定する触媒温度推定装置において、該エンジンの吸気管圧を検出する吸気管圧検出手段と、該排気通路における排気流量を検出する排気流量検出手段と、該吸気管圧検出手段で検出された吸気管圧と該排気流量検出手段で検出された排気流量とをパラメータとする一次式に基づき該触媒の温度を推定する触媒温度推定手段とを有し、該触媒温度推定手段は、触媒温度をt、排気流量をQ、該吸気管圧に応じて設定される値をaとしたとき、下式に基づいて触媒温度を推定することを特徴としている。
t=aQ+b
ただし、bは定数。
【0009】
したがって、温度センサ等の新たな部品を設けることなく触媒温度を推定できるため、コスト増を回避することができる。また、触媒の温度を推定する際に排気流量を用いることにより、排気流による触媒の冷却が考慮されることとなり、精度良く触媒温度を推定することができる。また、このように高い精度で触媒温度を推定できるので、触媒の熱劣化を確実に防止することができる。
【0010】
また、請求項2記載の本発明の触媒温度推定装置は、上記請求項1において、該触媒温度推定手段は、該吸気管圧と該排気流量とに基づき推定される該触媒温度にフィルタ処理を施すフィルタ処理手段を有するとともに、該フィルタ処理手段は、該触媒の温度変化状態に応じてフィルタ定数を変更するフィルタ定数変更手段を有することを特徴としている。
【0011】
したがって、触媒温度にフィルタ処理を施すことにより、推定された触媒温度の安定化を図ることができ、触媒温度の推定精度をさらに高めることができる。また、触媒の温度変化状態に応じてフィルタ定数を変更するので、より高い精度で触媒温度を推定することができる。つまり、触媒の温度が変化するとき(例えば上昇するときと下降するときとき)では温度変化のメカニズムも異なり、この温度変化状態に応じてそれぞれフィルタ定数を設定することで、より高精度に触媒温度を推定することができる。
【0012】
また、請求項3記載の本発明の触媒温度推定装置は、上記請求項1において、該エンジンの燃焼状態を判定する燃焼状態判定手段を有するとともに、該触媒温度推定手段は、該燃焼状態判定手段により該燃焼状態が空燃比の過濃状態であると判定されると、該触媒温度推定手段で推定された該触媒温度を低温側に補正する触媒温度補正手段を有することを特徴としている。
【0013】
したがって、燃料の気化潜熱を利用した燃料冷却による温度低下分についても考慮されることになり、やはり高い精度で触媒温度を推定することが可能となる。
また、請求項4記載の本発明の触媒温度推定装置は、上記請求項1において、該エンジンの運転状態が減速状態であるか否かを検出する減速状態検出手段をそなえ、該触媒温度推定手段は、該減速状態検出手段により減速状態が検出されると、該触媒温度を、該吸気管圧と該排気流量とに基づく推定手法とは異なる手法により設定される値に変更する触媒温度推定変更手段を有することを特徴としている。
【0014】
ここで、減速状態時には、排気温度や排気中の未燃成分が通常運転時と異なるほか、排気流量が少なく排気流による冷却(熱の持ち去り)も少ないため、触媒の反応熱が触媒温度に与える影響が大きい。このため、減速状態時には、吸気管圧と排気流量とに基づく推定手法とは異なる手法により設定される値に変更することにより、減速状態時にも高い精度で触媒温度を推定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態にかかる触媒温度推定装置について説明すると、図1はその全体構成を示す模式図、図2はその要部構成を示す模式的なブロック図である。
図1に示すエンジン1はシリンダ内に直接燃料を供給する、いわゆる筒内噴射型火花点火式エンジンであって、吸気行程での燃料噴射(吸気行程噴射)及び圧縮行程での燃料噴射(圧縮行程噴射)を切り換え可能に構成されている。
【0016】
この筒内噴射型エンジン1は、理論空燃比(ストイキオ)での運転や過濃空燃比(リッチA/F)での運転(リッチ空燃比運転)や希薄空燃比(リーンA/F)での運転(リーン空燃比運転)が可能であり、種々のパラメータから得れる条件に応じて上述の複数の運転モードが切り換えられるようになっている。
また、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ4及び燃料噴射弁6がそれぞれ配設されており、点火プラグ4には高電圧を出力する点火コイル8が接続されている。
【0017】
また、燃料噴射弁6には、燃料パイプ7を介して図示しない燃料供給装置が接続されている。この燃料供給装置は、低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプとを有しており、燃料タンク内の燃料を低圧或いは高圧に加圧した後、燃料を上記燃料パイプ7を介して燃料噴射弁6に供給するようになっている。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポート9が形成されており、各吸気ポート9の上端には吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。また、図示するように、吸気マニホールド10には、吸入空気量を調節するドライブバイワイヤ式のスロットル弁14、上記スロットル弁14の開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)16及び吸入空気量を計測する吸気量センサ(エアフローセンサ又はAFS)18(Lジェトロニック方式により燃料制御を行なう場合に主に使用)が設けられている。さらに、この吸気マニホールド10内の圧力(負圧)を検出するための圧力センサ44〔スピードデンシティ方式(Dジェトロニック方式)により燃料制御を行なう場合に主に使用〕も設けられている。
【0018】
また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に排気ポート11が形成され、この各排気ポート11に排気マニホールド12がそれぞれ接続されている。また、排気マニホールド12には排気管(排気通路)20が接続されており、この排気管20には、排気浄化触媒として三元触媒(触媒コンバータ、又は単に触媒という)30が介装されている。
【0019】
三元触媒30は、担体に活性貴金属として銅(Cu),コバルト(Co),銀(Ag),白金(Pt),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),イリジウム(Ir)のいずれかを有して構成され、排ガス中のHC,COを酸化するとともにNOxを還元,除去可能に構成されている。また、排気管20には、O2 センサ22が設けられている。
【0020】
ECU40は、入出力装置,記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等),演算装置(CPU),タイマカウンタ等を備えて構成されており、このECU40により、エンジン1の総合的な制御が実行されるようになっている。
また、ECU40の入力側には、上述したTPS16,吸気量センサ18,O2 センサ22,圧力センサ44及びエンジン1のクランク角度を検出するクランク角センサ42等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力されるようになっている。なお、クランク角センサ42により検出されるクランク角度に基づきエンジン回転速度Neが演算されるようになっている。
【0021】
また、ECU40には、エンジンの燃焼状態を制御する燃焼状態制御手段410(図2参照)が設けられており、この燃焼状態制御手段410によりエンジン1への吸入空気量又は燃料供給量の少なくとも一方が制御されてエンジン1の燃焼状態が制御されるようになっている。
一方、ECU40の出力側には、上述の燃料噴射弁6,点火コイル8,スロットル弁14等の各種の出力デバイスが接続されており、これら出力デバイスには、各種センサ類からの情報に基づいて、燃焼状態制御手段410で空燃比(A/F)が演算又は設定され、このA/Fとなるように燃料噴射量(燃料噴射弁6の駆動パルス幅),スロットル開度等が設定されるとともに、燃料噴射時期や点火時期等の各信号がそれぞれ出力されるようになっている。そして、これにより、燃料噴射弁6から適正なタイミングで適正量の燃料が噴射され、点火プラグ4により適正なタイミングで火花点火が実施され、適正なタイミングで適正な開度となるようスロットル弁14が開閉駆動されるようになっている。
【0022】
また、このエンジン1では、燃費を向上させる目的で、減速走行時において燃料供給を停止する、いわゆる減速燃料カット制御(又は単に燃料カットという)が実施可能に構成されている。
すなわち、図2に示すように、ECU40内にはエンジン1の運転状態を検出又は判定する運転状態検出手段450が設けられており、さらに、この運転状態検出手段450には、エンジン1の燃焼状態を判定する燃焼状態判定手段411及び減速走行状態であるか否かを検出(又は判定)する減速状態検出手段(又は減速状態判定手段)420が設けられている。
【0023】
このうち、減速状態検出手段420にはドライバのアクセル踏み込み開度やアクセル踏み込み状態を検出又は判定するアクセル開度センサ(図示省略)、車速を検出する車速センサ(図示省略)、エンジン回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ(クランク角センサ42)等が接続されている。
そして、減速状態検出手段420は、例えば車速が所定値以上で、且つドライバがアクセルペダルの踏み込みを中止(アクセルOFF)している状態を検出すると、減速走行状態(又は単に減速状態という)と判定する。また、この減速状態が判定されている場合に、エンジン回転速度Neが所定回転速度以上である状態が検出されると、燃焼状態制御手段410により、燃料噴射弁6からの燃料噴射が禁止されて減速燃料カット制御が実行されるようになっている。
【0024】
また、この燃焼状態制御手段410には、減速状態が判定され且つエンジン回転速度Neが所定回転速度以上である場合に、エンジン1ヘの燃料供給を停止させる信号を出力する燃料供給停止手段(図示省略)が設けられている。
なお、この実施形態では、減速燃料カット制御は全気筒について実施されるように構成されているが、一部気筒についてのみ実施するように構成してもよい。
【0025】
一方、触媒30が高温下にあると推定される場合には、減速状態が判定されても、触媒30を保護する目的でこの減速燃料カットが禁止されるようになっている。
以下、本発明の要部について説明すると、図2に示すように、ECU40には、エンジン負荷Lと排気流量Qとに基づき上記触媒30の温度を推定する触媒温度推定手段401を有しており、この触媒温度推定手段401により触媒30の温度(推定値)tが所定値(閾値)T以上であると、上述したように触媒30を保護するべく減速燃料カットが禁止されるようになっている。
【0026】
ここで、触媒温度推定手段401における触媒温度の推定手法について説明する。図3は試験走行等における触媒温度実測値のデータであるが、図示するように、排気流量と触媒温度との間には吸気管圧力(エンジン負荷)をパラメータとして線形の相関関係があることがわかる。そこで、本発明では、この特性を利用して触媒温度が推定されるようになっている。
【0027】
即ち、触媒温度をt、排気流量をQとすると、図3に示す実験結果から触媒温度tと排気流量Qとの間には、下式(1)のような線形の関係が成立する。
t=aQ+b・・・(1)
上式において、値a,bは、実車走行時の実測データより最小二乗法を用いて算出することができるものであり、値aは、図4に示すように吸気管圧に対するマップとして、触媒温度推定手段401内の定数記憶手段404に予め記憶されている。
【0028】
また、触媒温度推定手段401にはエンジン負荷Lとしての体積効率Evを求めるための体積効率マップ402が設けられており、このマップ(図示省略)に記憶された情報に基づき吸気管圧力Pとエンジン回転速度Neとから体積効率Evが求められるようになっている。
また、触媒温度推定手段401には排気流量Qを算出する排気流量演算手段403も設けられており、エンジン回転速度Ne及び体積効率Evを用いて下式(2)により排気流量Qが算出されるようになっている。
【0029】
Q=1/2×総排気量×(Ne/60)×Ev・・・(2)
ただし、エンジン回転速度Neの単位は〔rpm〕である。
ところで、上述では、エンジン負荷Lとして体積効率Evを適用し、この体積効率Evに基づき排気流量Qを算出しているが、スピードデンシティ方式(Dジェトロニック方式)では、体積効率Ev(エンジン負荷L)はエンジン回転速度Neと吸気管圧とから求めているので、クランク角センサ42及び圧力センサ44により、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段及び排気流量Qを検出する排気流量検出手段が構成されているということができる。なお、排気流量Qを吸気管内圧力とエンジン回転速度とから直接算出してもよいし、Lジェトロニック方式の場合は吸気量センサ18で検出される吸気流量との相関から求めてもよい。
【0030】
また、排気流量検出手段として、排気通路20に実際に排気流量Qを検出するセンサを設けてもよいし、排気流量と相関のあるマップ値から排気流量Qを求めてもよい。
また、エンジン負荷を表すパラメータとしては、体積効率Ev以外にも、吸気管圧,吸入空気量,スロットル開度及び目標Pe等、エンジン負荷に相関のあるものであれば、どのような値を用いてもよい。
【0031】
さて、再び図2に戻って触媒温度の推定手法について説明すると、図示すように、触媒温度推定手段401には、推定温度tを演算により求める推定温度演算手段405が設けられており、この推定温度演算手段405において、上式(1)により触媒温度tが算出されるようになっている。
また、触媒温度推定手段401には、上記触媒推定温度演算手段405により算出された触媒温度にフィルタ処理を施すフィルタ処理手段406をそなえている。そして、上述のように触媒温度tの推定値が算出されると、次に、フィルタ処理を実行し、これにより、推定された触媒温度の安定化を図るようになっている。
【0032】
具体的には、このフィルタ処理手段406では、下式(3)により触媒温度フィルタ値が算出されるようになっている。
触媒温度フィルタ値t0(n)=(1−k)触媒温度フィルタ値t0(n−1)+k・推定温度t・・・(3)
ただし、kはフィルタ定数である。そして、このフィルタ処理手段406により処理された触媒温度フィルタ値t0 があらためて触媒温度として出力されるようになっている。
【0033】
また、フィルタ処理手段406には、触媒30の温度変化状態に応じてフィルタ定数を変更するフィルタ定数変更手段407をそなえている。ここで、フィルタ定数変更手段407は、触媒30の温度が上昇しているのか温度が下降しているのかを判定する手段(図示せず)を有しており、この温度状態変化の判定結果に基づいてフィルタ定数kを変更するようになっている。
【0034】
具体的には触媒温度上昇時の方が下降時よりもフィルタ定数kが大きな値として設定されるようになっている。
これは、触媒30の温度が上昇するときと下降するときとでは、温度状態変化のメカニズムが大幅に異なるためである。すなわち、触媒30の温度が上昇するときには、触媒30は排気からの受熱及び触媒30の触媒上での反応熱(主にHC,CO2 ,H2 等の未燃物の燃焼熱)による受熱により温度状態が変化するのに対し、触媒30の温度が下降するときには、排気への放熱及び触媒30のケースから大気への放熱により温度状態が変化する。
【0035】
もちろん、上述したようにな「排気からの受熱及び触媒30の反応熱による受熱」や「排気への放熱及び触媒30のケースから大気への放熱」は、触媒温度上昇時にも下降時にも生じるが、触媒温度が上昇するということは、放熱量よりも受熱量のほうが多いはずであり、温度の上昇時と下降時とでは受熱量と放熱量との相対的なバランスが異なる。
【0036】
このため、触媒温度の上昇時と下降時とで同じフィルタ定数kを用いると、温度推定にずれが生じてしまい、正しい温度推定が困難となる。これは、実験的にすでに確認されている。そこで、本実施形態では、触媒30の温度上昇時と下降時とでフィルタ定数kを別設定して、極力正確に触媒温度を推定するようになっているのである。
【0037】
ここで、触媒温度が上昇中であるのか又は下降中であるのかの判定手法としては、上式(1)により得られる触媒温度tの今回の値と前回の値との差で判定するようにしてもよいし、上式(3)により得られるフィルタ処理後の触媒温度t0 の今回(n)の値と前回(n−1)の値との差に基づき判定するようにしてもよい。ただし、各回のフィルタ処理直前にフィルタ定数kを決定するほうがより正確に触媒温度を推定することができるので、触媒温度tの今回の値と前回の値との差で判定するほうがより好ましい。
【0038】
一方、ECU40には、エンジン1の燃焼状態を判定する燃焼状態判定手段411が設けられている。また、触媒温度推定手段401内には、触媒推定温度を補正する触媒温度補正手段408が設けられており、この燃焼状態判定手段411によりエンジン1の燃焼状態が空燃比の過濃状態(リッチ空燃比)であると判定されると、触媒温度補正手段408により触媒温度が低温側に補正されるようになっている。
【0039】
これは、リッチ運転時には燃料量が比較的多いため燃料が気化する際に吸気から奪う熱量が多く、したがってこの燃料冷却による吸気温度の低下度合いも大きくなって排気温度が低下するからである。
そして、このようなリッチ運転時には、触媒温度補正手段408では、例えば、フィルタ処理手段406でフィルタ処理された触媒推定温度に所定値(例えば0.85)をかけて触媒温度が補正されるようになっている。
【0040】
ところで、リッチ運転時に触媒温度補正手段408で用いる所定値は、固定値でなく、運転状態によって変化させるようにしてもよい。例えば、図6に示すように、リッチ度合いに応じて所定値を変化させるようにしてもよい。リッチ度合が大きいほど燃料噴射量が多く、燃料冷却による吸気温度の低下度合い、即ち排気温の低下度合いは大きくなる。そこで、リッチ度合が大きいほど、所定値を小さく設定するようにする。具体的には、例えば、リッチ度合いが大きい場合では0.65、リッチ度合いが小さい場合では0.89とする。そして、触媒推定温度にこの所定値をかけて触媒温度を補正する。
【0041】
ここで、リッチ度合いは、エンジン回転速度及びエンジン負荷に対するマップとして設定されたA/F補正係数の値から求めればよい。また、所定値を直接的にエンジン回転速度及びエンジン負荷に対するマップから求めるようにしてもよい。
なお、触媒温度補正手段408における補正は上述のような手法に限定されるものではなく、例えば、上式(1)により算出された値に所定値(例えば0.85)をかけて補正を行ってもよい。また、上式(1)における定数a,bを変更することで触媒温度を補正してもよい。この場合、例えば数a,bにそれぞれ1以下の係数をかけることで触媒温度を補正するようにすればよい。
【0042】
その他の例として、上式(1)における定数a,bを定数a′(<a),b′(>b)となるように変更した下式(4)により触媒温度t′を算出する。
t′=a′Q+b′・・・(4) (a′,b′はいずれも定数)
そして、上式(1)により得られる触媒温度tと上式(4)により得られる触媒温度t′とのうちの小さい値を選択して、この選択された小さい方の値が触媒温度tとなるように補正するようにしてもよい。なお、上式(4)の定数a′,b′の少なくとも一方が空燃比に対するマップ値となるように設定してもよい。例えば、空燃比が小さい程、aはより小さい値、bはより大きい値となるように設定すればよい。
【0043】
そして、このようにして推定(算出)された触媒温度が所定値以上であると判定されると、減速状態検出手段420で減速状態が判定され、且つエンジン回転速度Neが所定回転速度以上であると判定されたとしても、触媒30を保護するべく燃焼状態制御手段410により減速燃料カットが禁止されるようになっている。
【0044】
また、ECU40には触媒温度推定手段401で推定された触媒温度tの上限値及び下限値を制限する制限手段440が設けられており、この制限手段440により触媒温度の上下限値がクリップされるようになっている。
ここで、制限手段440は、例えば推定温度tと上限値tMAX とを比較して、小さいほうの値を出力する最小値選択手段と、推定温度tと下限値tMIN とを比較して、大きいほうの値を出力する最大値選択手段(ともに図示省略)とを有しており、これらの最小値選択手段及び最大値選択手段の作用により、温度推定値tの上下限値が制限されるようになっている。
【0045】
なお、このクリップ値(上限値tMAX ,下限値tMIN )は、空燃比がストイキオのときとリッチのときとでそれぞれ異なる設定にしてもよい。これは、上述したようにストイキオ時よりもリッチ時の方が燃料による冷却が期待でき、触媒30の温度が低くなるためである。この場合には、クリップ値は、ストイキオ時の方がリッチ時よりも高い値となる。
【0046】
ところで、ECU40には、触媒温度推定変更手段430が設けられており、減速状態検出手段420により減速状態が検出又は判定されると、上記触媒温度推定変更手段430により、触媒温度を上述したエンジン負荷と排気流量とに基づく推定手法(通常運転状態で推定する手法)に代えて、触媒温度t=所定値(例えば固定値650℃)に設定するようになっている。
【0047】
これは、減速状態のときには、以下の理由▲1▼〜▲3▼により上述の温度推定式(1)では温度推定誤差が大きくなるからである。
▲1▼減速時には吸入空気量及び燃料噴射量が少ないため、通常運転時に較べて燃焼状態がよくない。このため、排気温度や排気中の未燃成分(触媒30で反応する)が通常運転時と異なり、触媒温度も異なる。
▲2▼減速時には吸入空気量、即ち、排気流量が少なく、触媒30の排気流による冷却(熱の持ち去り)が通常運転時に較べて少ないので触媒温度も異なる。なお、排気流による触媒の冷却とは、触媒30の反応熱により排気温度よりも触媒温度の方が高いとき、排気流により触媒30から熱が持ちさられ、触媒30が冷却されることをいう。
▲3▼特に、燃料カット中は、燃料噴射及び燃焼が行なわれていないので、通常運転時(燃焼時)とは排気温度自体が異なり、触媒温度が全く異なる。
【0048】
また、上記▲1▼〜▲3▼以外にも、減速状態時においては、触媒反応熱の発生度合は触媒温度に対する依存度合が高い。具体的には、触媒温度が高いほど触媒30の活性度合が高く反応性も高いので、排ガス中の未燃成分(HC,CO,H2 等)の反応が活発になり、触媒温度はさらに高くなる。
また、燃料カット制御又は燃料カット禁止制御の開始時点における触媒30の担体(ウォッシュコートを含む)の持つ熱量は、燃料カット制御又は燃料カット禁止制御中に放出されて触媒温度が上昇するが、熱量は触媒温度(より正確には減速開始時の触媒温度)に相関する。
【0049】
このような理由により、減速状態判定時には触媒30での反応熱が触媒温度に与える影響が大きく、上述の推定温度算出式(1)では精度の高い温度推定が困難となる。
そこで、このよう減速状態のときには、本実施形態では、触媒推定温度=所定値t1 (例えば650℃)に設定されるようになっている。
【0050】
なお、上述は所定値t1 を固定値とした場合の一例であるが、この所定値t1 は、例えば減速状態判定時における触媒温度推定値t〔式(1)で算出された温度推定値〕に対するマップとして設定してもよい。また、所定値t1 を減速状態判定時における触媒温度,排気流量,空燃比,燃料噴射量及び触媒担体容量(ウォッシュコートを含む)のうち、いずれか1つに対応したマップとしてもよい。なお、上述のパラメータのうち触媒担体容量は一定値であり走行状態に応じて変動するような値ではない。したがって、この触媒担体容量を用いる場合には、他のパラメータと組み合わせて適用することになる。
【0051】
また、減速状態時であっても、燃料カット制御中と燃料カット禁止制御中とで所定値t1 を異なる設定とするのが好ましい。この場合には、減速燃料カット中における触媒温度推定値を燃料カット禁止制御中の触媒温度推定値とは別の値、具体的には、小さい値に設定するのが好ましい。これは、減速燃料カット中には燃料噴射が禁止されて燃焼が行なわれないため、燃料カット禁止時(燃焼時)とは排気温度が異なり、触媒温度が大きく異なるからである。
【0052】
また、減速燃料カット中と燃料カット禁止時で触媒温度推定手法を変更してもよい。例えば、燃料カット中は触媒温度推定値を固定値もしくはエンジン回転速度に対するマップ値とし、燃料カット禁止中は、エンジン回転速度、負荷、現時点の触媒温度のうち、少なくとも2つに対するマップとすればよい。
そして、上述したように、触媒30の温度推定値tが所定値(閾値)T以上であると、触媒30を保護するべく減速燃料カットが禁止されるようになっている。また、この場合には、リッチ空燃比又はストイキオ空燃比で運転が行なわれるようになっている。
【0053】
なお、この閾値Tは、触媒30がリーン雰囲気下で劣化し始める温度(リーン耐熱温度)に設定されている。この値は触媒により異なるが、略700〜900℃の値となる。
本発明の一実施形態に係る触媒温度推定装置は、上述のように構成されているので、以下のようにして触媒温度が推定される。
【0054】
まず、クランク角センサ42及び圧力センサ44により検出されたエンジン回転速度Ne及び吸気管圧Pに基づき、体積効率マップ402において体積効率Ev(エンジン負荷L)が求められる。また、排気流量演算手段403において、エンジン回転速度Ne及び体積効率Evから上式(2)により排気流量Qが算出される。
【0055】
一方、定数記憶手段404に予め記憶されたマップに基づき吸気管圧Pから定数a,bが設定される。そして、推定温度演算手段405において、定数a,b及び排気流量Qを用いて上式(1)により触媒温度tが算出される。
次に、フィルタ処理手段406において、上式(3)よりフィルタ処理が実行され、触媒温度tの安定化が図られる。そして、このフィルタ処理手段406により処理された触媒温度フィルタ値t0 があらためて触媒温度tとして出力される。
【0056】
また、式(3)で用いられるフィルタ定数kは、触媒30の温度変化状態に応じてフィルタ定数変更手段407により変更される。この場合、触媒30の温度が上昇しているのか下降しているのかでフィルタ定数kが異なる値に設定され、触媒温度上昇時の方が下降時よりもフィルタ定数kが大きな値として設定される。
【0057】
また、燃焼状態判定手段411によりエンジン1の空燃比が過濃状態(リッチ)であると判定されると、燃料による排気の温度低下(燃料冷却)を考慮して触媒温度補正手段408により触媒温度tが低温側に補正される。この場合、例えば、上式(1)により算出された値に所定値(例えば0.85)をかけて触媒温度が補正される。
【0058】
また、減速状態検出手段420により減速状態が検出又は判定された場合には、上述により推定された触媒温度tに代えて、触媒温度推定変更手段430により例えば触媒推定温度=所定値t1 (例えば650℃)と設定され、その後、制限手段440により触媒温度tが上限値及び下限値でクリップされる。
そして、このようにして推定された触媒温度tが所定値T以上であると、減速状態検出手段420で減速状態が判定されても、触媒30を保護するべく燃焼状態制御手段410により減速燃料カットが禁止される。
【0059】
図5は触媒30の温度の実測値と上式(1)により得られる触媒温度tとを比較して示す図であるが、図示するように、本発明によれば高い精度で触媒30の温度を推定することができた。なお、空燃比がリッチ領域でリッチ時補正を行なわない場合には触媒温度の推定値の方が実測値に比べて高めとなっているが、上述したように、リッチ領域では触媒温度補正手段408により触媒温度tが低温側に補正されるため(リッチ時補正)リッチ領域においても実測値により近い触媒温度を得ることができる。
【0060】
このように、本発明の一実施形態に係る触媒温度推定装置では、エンジン負荷としての体積効率Evと排気流量Qとに基づき触媒30の温度を推定するので、温度センサを設けることなく触媒温度を推定でき、コスト増を回避することができる。
また、本実施形態では、触媒30の温度を推定するパラメータとして排気流量Qを用いているので、排気流による触媒30の冷却も考慮されており、精度良く触媒温度を推定することができる利点もある。また、このように高い精度で触媒温度を推定できるので、触媒30の熱劣化を確実に防止することができる利点があるほか、必要なときだけ(触媒30が所定温度以上の高温の時だけ)精度良く燃料カット制御を実行できるという利点がある。
【0061】
また、触媒温度にフィルタ処理を施すことにより、推定された触媒温度の安定化を図ることができ、触媒温度の推定精度をさらに高めることができる。
また、触媒30の温度変化状態(温度上昇又は下降)に応じてフィルタ定数を変更するので、より高い精度で触媒温度を推定することができる。つまり、触媒30の温度が上昇するときと下降するときとでは温度変化のメカニズムが異なるため、この温度変化状態に応じてそれぞれフィルタ定数を設定することで、より高精度に触媒温度を推定することができるのである。
【0062】
また、燃焼状態がリッチ空燃比のときには、推定される触媒温度を低温側に補正するので、燃料冷却による温度低下分についても考慮されることになり、やはり高い精度で触媒温度を推定することが可能となる。
また、減速状態時には、触媒温度を、上式(1)とは異なる手法により設定される値(例えば所定値650℃)に設定することにより、減速時にも精度良く触媒の温度30を推定することができる利点がある。つまり、減速時には、排気温度や排気中の未燃成分が通常運転時と異なるほか、排気流による冷却(熱の持ち去り)も少なく、上式(1)により触媒温度を推定した場合には、温度推定誤差が大きくなる。
【0063】
これに対して、本発明では、減速状態時には、通常運転時で推定される触媒温度を他の値に変更することにより、減速状態時にも高い精度で触媒温度を推定することができるという利点がある。
なお、本発明の実施形態は上述に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、燃料カット制御が実施され得る状態(即ち、アクセルOFFで且つエンジン回転速度Neが所定回転速度以上である状態)を減速状態と判定し、この減速状態において触媒温度を他の値に変更するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、吸気管圧と排気流量とに応じて推定される触媒温度に対して触媒の温度変化状態に応じて異なる補正を行なう構成としたが、その他の方法により推定される触媒温度や直接検出される触媒温度に対しても同様に触媒の温度変化状態に応じて異なる補正を行なうようにしてもよい。また、本実施形態ではエンジン1として、いわゆる筒内噴射型火花点下式内燃機関を適用した場合を説明したが、本発明が適用されるエンジンはこのようなものに限定されるものではなくディーゼルエンジンに適用してもよい。また、本実施形態では触媒30として三元触媒を用いた場合を説明したが、触媒30はNOx触媒等、種々の触媒を適用することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の触媒温度推定装置によれば、温度センサ等の新たな部品を設けることなく触媒温度を推定でき、このためコスト増を回避することができる利点がある。また、触媒の温度を推定する際に排気流量を用いることにより、排気流による触媒の冷却が考慮されることとなり、精度良く触媒温度を推定することができる。また、このように高い精度で触媒温度を推定できるので、触媒の熱劣化を確実に防止することができる。さらに、触媒温度を簡単なロジックで算出することができる利点がある。
【0066】
また、請求項2記載の本発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1の利点に加えて、触媒温度にフィルタ処理を施すことにより、推定された触媒温度の安定化を図ることができ、触媒温度の推定精度をさらに高めることができる。また、触媒の温度変化状態に応じてフィルタ定数を変更するので、より高い精度で触媒温度を推定することができる。つまり、触媒の温度変化するとき(例えば上昇するときと下降するときとき)では温度変化のメカニズムも異なり、この温度変化状態に応じてそれぞれフィルタ定数を設定することで、より高精度に触媒温度を推定することができる。
【0067】
また、請求項3記載の本発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1の利点に加えて、燃焼状態が空燃比の過濃状態であると判定されると、触媒温度推定手段で検出又は推定された触媒温度を低温側に補正することにより、燃料冷却による温度低下分についても考慮されることとなり、さらに高い精度で触媒温度を推定することが可能となる。
【0068】
また、請求項4記載の本発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1の利点に加えて、減速状態が検出されると、触媒温度が、吸気管圧と排気流量とに基づく推定手法とは異なる手法により設定される値に変更されるので、さらに高い精度で触媒温度を推定することができる。ここで、減速状態時には、排気温度や排気中の未燃成分が通常運転時と異なるほか、排気流による冷却(熱の持ち去り)も少ないため、触媒の反応熱が触媒温度に与える影響が大きい。このため、減速状態時には、吸気管圧と排気流量とに基づく推定手法とは異なる手法により設定される値に変更することにより、減速状態時にも触媒温度を高い精度で推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる触媒温度推定装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる触媒温度推定装置の要部構成を示す模式的なブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる触媒温度推定装置を創案する過程で得られた触媒温度の実測データを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる触媒温度推定装置の定数記憶手段に記憶されるマップの一例である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる触媒温度推定装置の作用,効果を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる触媒温度推定装置における触媒温度補正手段に記憶されるマップの一例である。
【符号の説明】
1 エンジン
20 排気管(排気通路)
30 触媒(排気浄化触媒)
42 エンジン負荷検出手段及び排気流量検出手段としてのクランク角センサ
44 エンジン負荷検出手段及び排気流量検出手段としての圧力センサ
401 触媒温度推定手段
406 フィルタ処理手段
407 フィルタ定数変更手段
408 触媒温度補正手段
411 燃焼状態判定手段
420 減速状態検出手段
430 触媒温度推定変更手段
Claims (4)
- エンジンの排気通路に設けられて排気中の有害物質を浄化する排気浄化触媒の温度を推定する触媒温度推定装置において、
該エンジンの吸気管圧を検出する吸気管圧検出手段と、
該排気通路における排気流量を検出する排気流量検出手段と、
該吸気管圧検出手段で検出された吸気管圧と該排気流量検出手段で検出された排気流量とをパラメータとする一次式に基づき該触媒の温度を推定する触媒温度推定手段とを有し、
該触媒温度推定手段は、触媒温度をt、排気流量をQ、該吸気管圧に応じて設定される値をaとしたとき、下式に基づいて触媒温度を推定する
ことを特徴とする、触媒温度推定装置。
t=aQ+b,ただし、bは定数。 - 該触媒温度推定手段は、該吸気管圧と該排気流量とに基づき推定される該触媒温度にフィルタ処理を施すフィルタ処理手段を有するとともに、
該フィルタ処理手段は、該触媒の温度変化状態に応じてフィルタ定数を変更するフィルタ定数変更手段を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の触媒温度推定装置。 - 該エンジンの燃焼状態を判定する燃焼状態判定手段を有するとともに、
該触媒温度推定手段は、該燃焼状態判定手段により該燃焼状態が空燃比の過濃状態であると判定されると、該触媒温度推定手段で推定された該触媒温度を低温側に補正する触媒温度補正手段を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の触媒温度推定装置。 - 該エンジンの運転状態が減速状態であるか否かを検出する減速状態検出手段をそなえ、
該触媒温度推定手段は、該減速状態検出手段により減速状態が検出されると、該触媒温度を、該吸気管圧と該排気流量とに基づく推定手法とは異なる手法により設定される値に変更する触媒温度推定変更手段を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の触媒温度推定装置。
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