以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本楽器は、ドラム型に構成され、複数(4個)のパッド体P1〜P4(被打撃部)、液晶表示器等のディスプレイ12(表示部)、リズム音源割り当てスイッチ17、リズム選択スイッチ18、リズムスタート/ストップスイッチ19及びステレオスピーカ4を備える。
各パッド体P1〜P4には、スイッチ17により、打撃楽器の種類(例えば、バスドラム、ハイハットシンバル、スネアドラム、ボンゴ等)を任意に割り当てることができる。各パッド体P1〜P4には、発音チャネルとしてチャネルCH1〜CH4が割り当てられており、各パッド体Pを打撃することで、チャネルCH1〜CH4にて各パッド体Pに応じた音色のドラム音が電子的に発生するようになっている。一方、ドラムリズムシーケンスに基づく各パッド体Pに対応する発音チャネルは、チャネル番号5〜8に割り当てられている。従って、本実施の形態では、必要チャネル数はパッド体Pの数の2倍である「8」で足りるが、これ以上のチャネル数を設けるようにしてもよい。その場合、余ったチャネルはドラム以外の音色用に用いてもよいし、一律に発音させないようにしてもよい。また、パッド体Pを5以上設ける場合は、それに対応してドラム用に用いるチャネル数を2倍の数だけ確保すればよい。
スイッチ18は複数存在し、所望のリズムを選択するのに用いられる。スイッチ19は、自動リズム演奏等の実行/非実行を指示するのに用いられる。
図2は、本電子楽器の全体構成を示すブロック図である。
本電子楽器は、パッドセンサ3、パネルスイッチ2、ROM6、RAM7、タイマ8、表示制御回路9(表示制御手段の一部)、RSPリズムメモリ10、記憶装置11、通信インターフェイス(通信I/F)14、楽音形成部15(楽音発生手段の一部)、サウンドシステム16(楽音発生手段の一部)及び光源部30が、バス13を介してCPU5(表示制御手段の一部)に接続されて構成される。CPU5にはタイマ8が接続され、表示制御回路9には上記ディスプレイ12が接続されている。通信I/F14は通信ネットワーク101を接続する。
パネルスイッチ2は、上記スイッチ17、18、19のほか、各種情報を入力するための複数のスイッチ(不図示)を備える。パッドセンサ3は、各パッド体P1〜P4毎に打撃の有無及び打撃強さ(タッチ)を検出する。CPU5は、本楽器全体の制御を司る。ROM6は、CPU5が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶する。RAM7は、演奏データ、テキストデータ等の各種入力情報、各種フラグやバッファデータ及び演算結果等を一時的に記憶する。タイマ8は、タイマ割り込み処理における割り込み時間や各種時間を計時する。表示制御回路9は、ディスプレイ12に楽譜等の各種情報を表示させる。
RSPリズムメモリ10には、後述するリズムデータRHDが格納されている。楽音形成部15は、不図示の効果回路を含み、リズムデータRHDや自動演奏データ等の楽曲データを楽音信号に変換する。サウンドシステム16は、上記スピーカ4を含み、楽音形成部15から入力される楽音信号等を音響に変換する。記憶装置11には、各種データの他、CPU5が実行する制御プログラムを記憶することができる。
各パッド体P1〜P4は、例えば、本出願人により既に出願された特願2001―263453号で開示したものと同様に構成される。各パッド体P1〜P4は大きさは異なるがいずれも同様に構成されるので、パッド体P2の構成を例にとって説明する。パッド体P2は、図1に示すように、発光ユニットFU(発光部、表示部)及び打撃されるパッド板31がケース20上に配設されて成る。
図3は、パッド体P2の構成を分解斜視図で表した図である。
パッド体P2は、ケース20上に一体的に設けられたパッド支持部36に取り付けられる。発光ユニットFUは、光源部30と導光体32とから構成される。導光体32は、光源部30が配設されるスペースだけ外周の一部を切り欠いた略円環状に形成される。光源部30は、互いに背向する2個のLED(バイポールLEDである双頭発光ダイオード)(図示せず)を備え、各LEDが光源部30L、30Rにそれぞれ内装され、ケース20に設けられた設置孔30Hに裏面から取り付けられる。なお、光源部30は、双頭発光ダイオードの代わりに独立した市販の2個のLEDを用いて構成してもよい。
パッド支持部36には、穴37、38が各4つ設けられる。また、パッド板31には、剛性を有する板状部材で円盤状に形成されたセンサ支持体(図示せず)が設けられ、このセンサ支持体に、上記パッドセンサ3が取り付けられている。パッド板31にはまた、4つの突起部33が下方に突設されている。
導光体32の下縁には、テープ材発泡材からなり光を反射しやすい色で構成されるテープ材(図示せず)が貼着され、導光体32に光源部30が取り付けられて、発光ユニットFUが製作される。そして、発光ユニットFUの下縁をパッド支持部36の凹部36aに嵌合、圧入させて、発光ユニットFUがパッド支持部36により圧入保持されるようにする。次に、ネジ35にて導光体32のステイ34をパッド支持部36の穴37にネジ止めすることで、発光ユニットFUがパッド支持部36に固定される。その後、パッド体FUの突起部33を、パッド支持部36の穴38を貫通させることで、パッド板31がパッド支持部36に固定される。このようにして、発光ユニットFUがパッド支持部36に組み付けられる。
光源部30と導光体32とが組み付けられた状態では、光源部30L/Rが発光すると、それらの光はL側、R側端面32aL、32aRから導光体32に入射される。それらの入射光は、いわゆる光ファイバの光伝搬原理で導光体32の軸方向に沿って効率良く導光される。また、導光体32の上面は、ビーズブラスト法等により面粗度を少し粗く(すりガラスのように)した放光面32cとして形成されている。放光面32cを粗面処理したことで、導光体32の内部から放光面32cに向かう光は乱反射しやすくなり、放光面32cに対する入射角が大きい光でも一部が全反射することなく外部に漏れ、奏者からみると、放光面32cが光っているように見える。
なお、後述するように、光源部30は、光源部30Lまたは30Rを独立して発光させることができ、いずれか一方を発光させた場合は、導光体32のそれに近い側がより明るく光って見える。例えば、光源部30Lだけが発光すれば導光体左半分32Lが、光源部30Rだけが発光すれば導光体右半分32R(図1参照)が、それぞれより明るく光って見える。このような左右分割発光は、後述するように、対応するパッド体P1〜P4を左右いずれの手で打撃すべきかを指示するのに用いられる。
図4は、RSPリズムメモリ10に格納されるリズムデータRHDのデータ構造を示す図である。
リズムデータRHDとしては複数曲分格納可能であり、第1のリズムデータRHD1、第2のリズムデータRHD2…RHDnというように、各々が1つの曲に対応している。ヘッダHEDには、各リズムデータRHDの先頭アドレスが格納される。各リズムデータRHDには、次のオンイベント発生までの間隔を示す符長データ、リズムデータRHDに基づく発音チャネル番号(以下、「チャネルCH(RHD)」と称する)を示すチャネルデータCH(本実施の形態ではCH=5〜8のいずれか)(所定チャネル)、打撃楽器の音源を指定して発音を指示するリズム音源データ、打撃強さを示すタッチデータ、パッド体Pをいずれの手で打撃すべきかを指示するパッド指定L/Rデータ、及び1曲分の終わりを示すENDデータが含まれる。Prはアドレスポインタである。
図5は、ディスプレイ12の表示の一例を示す図である。
詳細は後述するが、図6のメイン処理のステップS604、及び図7のタイマ割り込み処理のステップS706、S709により、ディスプレイ12には、図5に示すようなリズム譜が曲の進行に従って1小節毎に表示される。ここで、「リズム譜」の語は、「URL:http://www001.upp.so-net.ne.jp/howtobass/basslesson/4-03.htm」、「URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/nintei/010102/shogakko/primary/kyokaI/ongaku1.htm」等にも示されるように、慣用されている。ディスプレイ12内には、その裏面にLEDを埋め込み配設して成るタイミングランプTL1〜TL4が設けられており、各タイミングランプTLは1拍毎に順次点灯して拍の進行を表示する。
同図に示すように、各音符M1〜M4の五線譜上の上下方向における位置が打撃すべきパッド体P(打撃楽器の種類)を表す。例えば、下から音高F、A、C、Eにはパッド体P4、P1、P3、P2(に割り当てられた打撃楽器の種類)が対応している。また、各音符M1〜M4の五線譜上の左右方向における位置が打撃楽器の打撃タイミングを表す。さらに、各音符M1〜M4の近傍には、肢指示表示H1〜H4(例えば、「・」のようなマーク)がLED(LCDでもよい)によって表示される。各肢指示表示Hは、各音符M1に関し打撃に用いるべき手(左手か右手か)に対応して各音符Mの左側または右側いずれかに表示される。
なお、肢指示表示のマークは例示したものに限られず、また、「L」、「R」等の文字表示としてもよい。また、肢指示表示と併せて、打撃すべきパッド体Pを文字表示等で表示するように構成してもよい。
図6は、本実施の形態におけるメイン処理のフローチャートを示す図である。
まず、RAM7等の各種レジスタやフラグをクリアして初期設定を行う(ステップS601)。次に、複数のスイッチ18のいずれかがオンされた(オンイベントがあった)か否かを判別し(ステップS602)、いずれかがオンされた場合は、続くステップS603、S604で、リズム音の発音準備及びリズム表示の処理を行う。すなわち、オンされたスイッチ18で定まるリズムデータRHD(SEL)の先頭アドレスをRSPリズムメモリ10内のヘッダHEDから読み出し、該先頭アドレスにアドレスポインタPr(図4参照)をセットする(ステップS603)。次に、リズムデータRHD(SEL)の第1小節部分(肢指示表示H1〜H4も含まれる)をディスプレイ12に表示させて(ステップS604)(図5参照)、本処理を終了する。
前記ステップS602の判別の結果、いずれのスイッチ18についてもオンされていない場合は、スイッチ19がオンされた(オンイベントがあった)か否かを判別する(ステップS605)。その判別の結果、スイッチ19がオンされた場合は、後述する「自動リズム及び運手指示処理」の実行許可を「1」で示すRUNフラグを反転し(ステップS606)、RUN=1であるか否かを判別する(ステップS607)。その判別の結果、RUN=1である場合は、「自動リズム及び運手指示処理」の実行が今回許可された場合であるので、直ちに本処理を終了する一方、RUN=0である場合は、「自動リズム及び運手指示処理」の実行が今回禁止された場合であるので、ステップS608に進む。
ステップS608では、RUNフラグを「0」に設定すると共に、アドレスポインタPrを、選択中のリズムデータRHD(SEL)の先頭アドレスに戻し、次に、ステップS609で、ディスプレイ12の表示をクリアすると共に、リズムデータRHD(SEL)の第1小節部分を表示させて、本処理を終了する。
前記ステップS605の判別の結果、スイッチ19がオンされていない場合は、いずれかのパッド体P1〜P4が打撃(パッドオン)されたか(オンイベントがあった)否かを判別する(ステップS610)。この判別は、上述したように、パッドセンサ3による、各パッド体P1〜P4毎の打撃の有無及び打撃強さの検出結果に基づきなされる。その判別の結果、いずれのパッド体Pも打撃されていない場合は、その他処理(例えば、後述するオートプレイ(AP)の実行指示の設定をはじめとする各種設定等)を実行して(ステップS613)、本処理を終了する。
一方、いずれかのパッド体P1〜P4が打撃された場合は、続くステップS611、S612で、リアルタイムパッド処理を行う。すなわち、打撃されたパッド体Pに対応するチャネルCH(CH1〜4のいずれかであり、以下、「チャネルCH(PN)」と記す)と、そのパッド体Pに関して検出された打撃強さ(以下、「タッチデータTD」と称する)とをチャネルバッファCHBUFに設定する(ステップS611)。次に、チャネルバッファCHBUF内のデータを読み出し、チャネルCH(PN)に予め割り当てられている音源(例えば、パッド体P1が打撃された場合は、PN=1となってバスドラム)をチャネルCH(PN)にて発音させる(ステップS612)。その際、チャネルCH(PN)と共にタッチデータTDも楽音形成部15に送られ、タッチ付きの楽音としてスピーカ4から発音される。その後、本処理を終了する。
図7は、本実施の形態におけるタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、タイマ8がCPU5に対して発生する割り込み信号に応じて実行される。
まず、RUNフラグが「1」に設定されているか否かを判別し(ステップS701)、その判別の結果、RUN=0である場合は本処理を終了する一方、RUN=1である場合は、自動演奏処理の実行を行うことを「1」で示すオートプレイ(AP)が「1」に設定されているか否かを判別する(ステップS702)、その判別の結果、AP=1である場合は、上記自動演奏データに基づく自動演奏(伴奏等)の処理を実行し(ステップS703)、ステップS704に進む一方、AP=0である場合は直ちに前記ステップS704に進む。
ここで、上記自動演奏データは、例えばMIDIコードによって構成され、図示はしないが、曲全体のテンポを示すテンポデータ等の初期設定データと、楽音の発音、消音を指示するためのキーオン、キーオフイベントデータと、これらイベントデータの発生タイミングを示すタイミングデータと、当該曲の終わりを示すエンドデータとにより主として構成される。自動演奏データは、例えば記憶装置11に記憶されており、自動演奏処理時にRAM7に読み出される。なお、ピアノ等、ドラム音以外の音色の発音を伴う自動演奏処理を行う場合は、チャネル1〜8以外のチャネルを用いて、上記ドラム以外の楽器の音を発音させるようにする。その場合は、チャネル数の設定は9以上(例えば16)であることが前提となる。
前記ステップS704では、後述する図8の自動リズム及び運手指示処理を実行し、次に、TCL(テンポクロック)ポインタの値を「1」だけインクリメントして(ステップS705)、TCL値に応じてディスプレイ12におけるタイミングランプTL(図5参照)を点灯させる(ステップS706)。ここで、本実施の形態では1小節を96拍としており、4拍子では、24拍毎に、それぞれ0≦TCL≦23、24≦TCL≦47、48≦TCL≦71、72≦TCL≦95の場合に対応して、タイミングランプTL1、TL2、TL3、TL4が順次点灯される。これにより、拍の進行を認識させることができる。
次に、TCLポインタが「96」に達したか否かを判別し(ステップS707)、その判別の結果、TCL=96でない場合は本処理を終了する一方、TCL=96である場合は、TCLポインタを「0」にリセットし(ステップS708)、ディスプレイ12上の表示内容を、現在処理中のリズムデータRHD(SEL)における次の1小節部分の表示(肢指示表示H1〜H4も含まれる)に更新する(ステップS709)。これにより、曲の進行に従って、打撃すべきパッド体P、その打撃タイミング及び打撃に用いるべき手(左または右であり、以下、「打撃肢」と称する)が視覚的に認識される。特に、肢指示表示は各音符の近傍に表示されるので、視認性が高い。その後、本処理を終了する。
なお、ディスプレイ12上の表示は1小節部表示に限らず、複数小節を同時に表示するようにしてもよい。
図8は、図7のステップS704で実行される自動リズム及び運手指示処理のフローチャートを示す図である。
まず、現在処理中のリズムデータRHD(SEL)において、アドレスポインタPrが示すデータが符長データであるか否かを判別し(ステップS801)、符長データでない場合は本処理を終了する一方、符長データである場合は、その符長データの値がTCL値に等しいか否かを判別する(ステップS802)。その判別の結果、符長データの値がTCL値に等しくない場合は本処理を終了する一方、符長データの値がTCL値に等しい場合は、アドレスポインタPrを「1」だけインクリメントし(ステップS803)、ステップS804に進む。
ステップS804では、アドレスポインタPrが示すチャネルデータCH、リズム音源データ及びタッチデータを、楽音形成部15に送る。これにより、曲の進行に従って、サウンドシステム16を介して、リズム音源データで規定される打撃楽器の音色が、チャネルデータCHで規定されるチャネルCH(RHD)(5〜8のいずれか)にて、タッチデータで規定されるベロシティにて発音される。
次に、ステップS805では、アドレスポインタPrが示すチャネルデータCH、パッド指定L/Rデータ及びタッチデータに基づいて光源部30を発光させる。すなわち、チャネルデータCHで規定されるチャネルCH(RHD)(5〜8のいずれか)に応じて、チャネル番号「CH(RHD)−4」に対応するパッド体P(例えば、CH(RHD)=5ならばパッド体P1、CH(RHD)=6ならばパッド体P2)の各光源部30のうち、パッド指定L/Rデータで規定される手と同じ側の光源部30(30Lまたは30R)を、タッチデータで規定される発光強度で発光させる。光源部30の発光により対応する導光体32(LまたはR)が光って見えるので、それを見ることで、曲の進行に従って、打撃すべきパッド体P、その打撃タイミング及び打撃肢(左または右)が視覚的に認識される。特に、パッド体P近傍での発光は打撃操作を行いつつ視覚認識するのが容易であり、演奏ガイドに好適である。
次に、アドレスポインタPrを「1」だけインクリメントし(ステップS806)、アドレスポインタPrが示すデータがENDデータであるか否かを判別して(ステップS807)、アドレスポインタPrが示すデータがENDデータでない場合は本処理を終了する一方、ENDデータである場合は、RUNフラグを「0」に設定して(ステップS808)、本処理を終了する。
このように、図7、図8の処理では、アドレスポインタPrのインクリメントを繰り返して1曲分のリズムデータRHDからドラムリズムシーケンスを生成し、このドラムリズムシーケンスに従って自動演奏をすると共にディスプレイ12及び光源部30により運手指示を行う。
本楽器でリズムデータRHDによるリズムガイド演奏をする場合、奏者は、ディスプレイ12または各パッド体Pの導光体32の発光を手掛かりに運手指示情報、すなわち、打撃すべきパッド体、打撃タイミング及び打撃に用いるべき打撃肢を認識しつつ打撃を行う。その際、導光体32の明るさによって打撃強さも認識する。そして、リズムデータRHDによる楽音がタッチ付きで発音されると共に、奏者が打撃すれば、図6のステップS610〜S612の処理により、それに応じた打撃音もタッチ付きで発音される。
これらのことを図5を用いてさらに具体的に説明する。
リズム音源割り当てスイッチ17(図1参照)がオンされる毎に、打撃楽器の種類、すなわち、リズム音源の割り当て候補がディスプレイ12に表示されるので、パッド体P1〜P4のいずれかに割り当てたい音源が表示されたとき、パッド体P1〜P4のいずれかを打撃(パッドオン)すると、図6のステップS613の「その他処理」内で実行される不図示のサブルーチン内にある割り当て処理により、上記打撃されたパッド体Pに、現在表示中の音源が割り当てられる。これをパッド体Pの数、すなわち4回繰り返すと、奏者が任意に音源割り当てを行ったいわゆるユーザーズドラムスとなる。
例えば、パッド体P1にバスドラム、パッド体P2にハイハットシンバル、パッド体P3にタムタム、パッド体P4にボンゴを割り当ててもよいし、スイッチ18でリズムデータRHDが選択されたとき、自動的にそれに対応する割り当て設定がなされるようにしてもよい。
いずれにせよ、上記割り当てが設定されている場合において、図5に示すリズム譜上の音符M1の肢指示表示H1を、タイミング指示用のタイミングランプTL1の発光タイミングに同期させて表示させることで、「ハイハットシンバル(ここではパッド体P2)を右手で打撃せよ」という指示が促される。このとき、同時にパッド体P2の光源部30Rも発光する。
そして、1拍分の時間が経過すると、タイミングランプTL2の発光指示を受けて、「ハイハットシンバル(ここではパッド体P2)を左手で打撃せよ」という指示が促される。このとき、同時にパッド体P2の光源部30Lも発光する。さらに1拍分の時間が経過すると、タイミングランプTL3の発光指示を受けて、「タムタム(ここではパッド体P3)を右手で打撃せよ」という指示が促される。このとき、同時にパッド体P3の光源部30Rも発光する。同様に4拍目では、前記1拍目と同様の態様で表示及び発光指示がなされる。
奏者は、これら一連の指示通りに手動操作にてパッド体P2、P3を打撃して練習を繰り返す。1小節分が終了すれば、次の小節分の指示が同様になされる。同一のリズムパターンが続く場合は同一の指示態様が繰り返されることになる。奏者は、この指示に追従して打撃練習を繰り返せば、微妙な「のり」を体得することができる。上記説明では、たまたま拍に一致した指示を例示したが、音符M1及び肢指示表示H1が拍タイミングからわずかにずれたタイミングで指示されることもあり、その場合は、そのずれ通りに打撃練習を繰り返すことで、「のり」を体得していくことになる。
本実施の形態によれば、リズムデータRHDに基づき生成したドラムリズムシーケンスに基づいて、対応するパッド体Pの光源部30L/Rのいずれかが発光するようにしたので、光って見える導光体32に対応するパッド体Pが打撃すべきパッド体であり、その発光タイミングが打撃タイミングであると容易に認識され、また、導光体左右各半分32L/32Rのうち光って見える側と同じ側の手が打撃肢であると認識される。よって、運手指示情報、すなわち、打撃すべきパッド体、打撃タイミング及び打撃肢を視覚的に認識させて、ドラムスの演奏練習に役立てることができる。特に、パッド体P近傍での発光は打撃操作を行いつつ視覚認識するのが容易であり、演奏ガイドに好適である。また、リズムデータRHD中のタッチデータに応じて光源部30の発光強度を変えるようにしたので、導光体32の明るさから打撃すべき強さも視覚的に認識することができ、演奏練習に一層役立つ。
また、上記に加えて、ドラムリズムシーケンスに基づいて、ディスプレイ12にリズム譜を表示し、リズム譜における各音符の近傍に肢指示表示を表示するようにしたので、音符の上下方向及び左右方向の位置から打撃すべきパッド体P及び打撃タイミングが認識され、肢指示表示が音符の左右いずれに表示されているかによって打撃肢が認識される。よって、リズム譜表示によっても上記運手指示情報を視覚的に認識でき、演奏練習の態様が一層拡大する。特に、肢指示表示が、演奏に必須の楽譜における各音符の近傍に表示されるので、視認性が高い。しかも、導光体32による運手指示情報の表示と併せてなされるので、視認効果が一層高まり、習熟段階に応じた演奏練習が容易になる。
さらに、上記ドラムリズムシーケンスに基づく発音チャネル(CH5〜8)と、パッド体Pに対する実際の打撃に基づく発音チャネル(CH1〜4)とを異ならせたので、リズムデータRHDによる楽音とリアルタイム演奏による楽音とが独立して発音され各々聞こえる。すなわち、奏者の実際の打撃による発音チャネルとは異なるチャネルで発音させて、区別して認識可能になっている。従って、運手指示情報の認識が視覚的に考慮されることでその認識効果が高まることに加えて、リズムデータRHDによる楽音と実際の打撃による楽音とが区別して認識されるので、打撃のタイミング及び/またはパッド体P(ドラム種類の情報)の一致を目指して練習することで、練習者には、聴覚的な演奏補助のフィードバックがかかり、視聴覚的な観点からの教習効果が期待できる。すなわち、リズムガイドに合わせようと何度も練習することで、タイミングやタッチが徐々に合うようになり、リズム及びタッチを収得し、微妙な「のり」を体得することができる。よって、リズムデータRHDによる楽音と実際の打撃による楽音とを区別して聞けるようにして、ドラムスの演奏練習に役立てることができる。
なお、導光体32の配置や構成は、左右の手との対応関係が認識容易であれば、例示したものに限られず、左右に独立分離配置等してもよい。例えば、パッド体P(形状は円でなく四角でもよい)の奏者からみて後方の左右両側に導光体をそれぞれ配設してもよい。また、発光ユニットFUの構成は例示したものに限られず、視覚により認識できればよく、光源部30及び導光体32の組み合わせに代えて、各肢毎のLEDや蛍光管等で構成してもよいし、その形態も円形に限られない。
なお、本実施の形態において、光源部30による運手指示情報表示では、左右いずれの手で打撃するかを指示するようにしたが、これを足に応用してもよいことはいうまでもない。その場合は、導光体32L/Rに加えて足用の導光体及び光源部をパッド体Pの近傍等に設けてもよい。例えば、奏者からみて、左手用の導光体及び光源部をパッド板31の左後方に、右手用の導光体及び光源部をパッド板31の右後方にそれぞれ近接配置すると共に、パッド板31の前方(奏者側)に足用の導光体及び光源部を配設すればよい。また、ディスプレイ12についても、足用の肢指示表示を音符の下方に表示させるようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、光源部30L/Rのうちいずれを発光させるかで打撃肢を指示するようにしたが、これに限るものでなく、例えば、光源部を各パッド体P毎に1つとし、且つその発光色及び発光態様を可変に構成し、打撃すべきパッド体の光源部を、打撃肢に対応する発光色や発光態様で発光させるように構成してもよい。これにより、簡単な構成で運手指示情報を認識させることができる。
なお、ディスプレイ12上のリズム譜においても打撃強さの表示を行うようにしてもよい。その場合、リズム譜上に例えば所定のメータ表示(針または数値等による)を設け、打撃強さ毎にメータ表示の表示態様を変えることで打撃強さを指示するように構成してもよい。または、数字による段階的な表示としてもよい。これにより、リズム譜だけでも運手指示情報に加えて打撃強さをも視覚認識することができる。
なお、リズムデータRHDは、通信I/F14を介して通信ネットワーク101から取得するようにしてもよい。その場合、RAM7に一旦リズムデータRHDを記憶することなく、リズムデータRHDを通信I/F14を通じて受信しつつリアルタイムで処理するようにしてもよい。また、リズムデータRHDは、別途、可搬型記憶媒体から取得するようにしてもよい。
なお、本発明は、パッド体Pに相当するパッド体を有した鍵盤楽器にも適用可能である。また、パッド体のない鍵盤楽器であっても、各鍵にドラム楽器の音色を割り当てられている(あるいは割り当て可能な)鍵盤楽器にも適用可能である。その場合、音色の割り当て態様は鍵1個に対して音色1個という構成に限定されず、複数鍵に対して一音色が割り当てられた鍵盤楽器であってもよい。この場合は、各鍵の近傍または同一音色が割り当てられている複数鍵うちの左右端の鍵用に設けられた演奏ガイドLED(例えば、パネル面においてその鍵の支点部に配設されたLED)を発光させることで、該LEDに運手指示の役割を果たさせるようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、運手指示情報の表示を、ディスプレイ12の表示及び光源部30の発光の双方により行うようにしたが、いずれか一方だけで行うようにしてもよい。また、ディスプレイ12による表示だけを行うようにする場合、打撃すべきパッド体Pの光源部30L及び30Rの双方を発光させるようにしてもよい。
なお、自動演奏データに基づく自動演奏(伴奏等)を行いつつ、リズムデータRHDによる光源部30の発光を行って、且つリズムデータRHDによるドラム音の発音はさせないような処理を可能に構成してもよい。その場合、奏者は、自動伴奏を聞きながら、導光体32の発光によるガイドをたよりに打撃練習ができる。なおこの場合は、ディスプレイ12による運手指示情報の表示を行わないようにしてもよい。
なお、本発明を達成するためのソフトウェアによって表される制御プログラムを記憶した記憶媒体を、本楽器に読み出すことによって同様の効果を奏するようにしてもよく、その場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、プログラムコードを電送媒体(例えば、通信I/F14)等を介して供給してもよく、その場合は、プログラムコード自体が本発明を構成することになる。なお、これらの場合の記憶媒体としては、ROMのほか、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。
3 パッドセンサ、 5 CPU(表示制御手段の一部)、 7 RAM、 9 表示制御回路(表示制御手段の一部)、 10 RSPリズムメモリ、 12 ディスプレイ(表示部)、 15 楽音形成部(楽音発生手段の一部)、 16 サウンドシステム(楽音発生手段の一部)、 P1〜P4 パッド体(被打撃部)、 FU 発光ユニット(発光部、表示部)、 30 光源部、 31 パッド板、 32 導光体