JP4321133B2 - 検査システムおよび検査方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載する車載装置の検査システムおよび検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ユーザの携帯電話と、自動車に搭載される車載装置とをケーブルを介して接続する技術が提案されている。この技術により、ハンズフリー電話機能、各種インターネットコンテンツの閲覧、電子メールの送受信、通信ナビゲーションシステムなどの各種機能を車載装置で実現できる。
【0003】
このような車載装置は、出荷前に正常に機能するか否かを検査する必要がある。検査では、携帯電話の機能を擬似的に実現する検査装置を用いる。検査装置と車載装置とをケーブルで有線接続し、音声やコマンドの入出力が行えるかを検査する。
【0004】
検査結果は、結果表示機のランプの点灯により作業者に示される。検査装置および結果表示機は、検査ラインごとに設けられている。ある検査ラインで行われた検査結果は、該検査ラインに設けられる結果表示機に表示される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−146766号公報(段落「0014」、「0021」等参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年さらに一歩進んで、携帯電話と、車載装置とをブルートゥース(Bluetooth:登録商標)を用いて無線接続する技術が提案されている。無線接続に対応する車載装置を検査するためには、携帯電話の機能を擬似的に実現する検査装置と無線接続する必要がある。
【0007】
ここで、上記有線の場合と同様に複数の検査ラインに複数の検査装置を用意して、複数の検査を同時に行うと、次の問題がある。接続が有線ではないので、検査する車載装置は、自分が進む検査ライン上の検査装置とブルートゥース無線接続するとは限らない。通常検査ラインは5m程度の間隔に配置されているので、自分の検査ライン以外の検査装置と無線接続する可能性は充分ある。
【0008】
検査装置は、どの検査ラインの車載装置と無線通信しているかは特定できない。検査装置が検査結果を自分の検査ラインの結果表示機に表示するとすれば、作業者は、どの検査ラインの結果表示機を見ればよいのかわからない。
【0009】
このような問題は、上記ブルートゥースを用いた無線接続の例に限らずに起こりうる。例えば、携帯電話を組み込んだ車載装置を検査する際にも、擬似的な基地局として検査装置を設けるので、検査装置がどの車載装置と無線接続されているのかは分からない。これは、出荷前では組み込まれた携帯電話に仮番号しか与えられておらず、仮番号はどの装置も同じだからである。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、無線方式を用いる車載装置の検査結果を適当に作業者に示すことができる検査システムおよび検査方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、複数の検査ラインと、無線通信により検索した検査可能な前記検査ライン上の被検査物と無線接続して、該被検査物を検査する複数の検査装置と、前記被検査物に設けられ、該被検査物が搬送される前記検査ラインを示す識別情報の入力を受け付けて、前記検査装置に無線送信する識別情報送信手段と、前記検査ラインごとに設けられ、前記被検査物の検査結果を表示する結果表示機と、を有し、前記検査装置は、受信した前記識別情報から一の前記検査ラインを識別し、該検査ラインに設けられた前記結果表示機に検査結果を出力する検査システムである。
【0012】
本発明の第2は、複数の検査ラインと、無線通信により検索した検査可能な前記検査ライン上の被検査物と無線接続して、該被検査物を検査する複数の検査装置と、前記被検査物に設けられ、該被検査物の検査結果を表示する表示手段と、を有し、前記検査装置は、検査可能な前記被検査物を検索する際に、他の検査装置が検索中か判断し、他の検査装置が検索中の場合には待機し、他の検査装置が検索していない場合には検索を開始し、前記検査装置は、無線接続された前記被検査物の前記表示手段に検査結果を出力する検査システムである
【0013】
本発明の第3は、検査装置によって、被検査物を検査する検査システムによる検査方法であって、前記検査装置によって、検査可能な前記被検査物を無線通信により検索する工程と、前記検査装置によって、前記検索した被検査物を検査する工程と、前記検査装置に搭載されたマイクによって、複数の検査ラインのうち前記被検査物が搬送される検査ラインを示す識別情報の入力を受け付ける工程と、受け付けた識別情報が示す検査ラインに設けられた結果表示機に、検査結果を表示する工程と、を含む検査方法である
【0014】
【発明の効果】
本発明の第1によれば、検査装置が受信した前記識別情報から一の前記検査ラインを識別し、該検査ラインに設けられた前記結果表示機に検査結果を出力する。したがって、検査結果が作業者がいる検査ラインの結果表示機に表示されるので、作業者が容易に検査結果を確認できる。
【0015】
本発明の第2によれば、検査結果が検査装置に設けられた表示手段に出力されるので、検査装置側からどの被検査物を検査しているのか判らなくても、適当に作業者に検査結果を示すことができる。
【0016】
本発明の第3によれば、入力された前記識別情報から一の前記検査ラインを識別し、該検査ラインに設けられた前記結果表示機に検査結果を出力する。したがって、検査結果が作業者がいる検査ラインの結果表示機に表示されるので、作業者が容易に検査結果を確認できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1は、複数の検査ラインと、前記検査ライン上の被検査物と無線接続して、該被検査物を検査する複数の検査装置と、前記被検査物に設けられ、該被検査物が配置される前記検査ラインを示す識別情報を受け付けて、前記検査装置に無線送信する識別情報送信手段と、前記検査ラインごとに設けられ、前記被検査物の検査結果を表示する結果表示機と、を有し、前記検査装置は、受信した前記識別情報から一の前記検査ラインを識別し、該検査ラインに設けられた前記結果表示機に検査結果を出力する検査システムである。
【0019】
また、本発明の第2は、検査可能な被検査物を無線通信により検索する工程と、前記検索した被検査物を検査する工程と、複数の検査ラインのうち前記被検査物が配置される検査ラインを示す識別情報を受け付ける工程と、受け付けた識別情報が示す検査ラインに設けられた結果表示機に、検査結果を表示する工程と、を含む検査方法である。
【0020】
本発明では、車両に搭載される車載装置を被検査物として、検査装置により検査し、作業者に適当に検査結果を示すことを目的とする。最初に、車載装置の構成および検査装置の機能について説明する。
【0021】
図1は、第1実施形態における車載装置の概略構成および検査装置の機能概要を示す図である。
【0022】
車載装置10は、携帯電話と通信を行い、携帯電話の各種機能を車両1内で実現するものである。車載装置10と携帯電話とは有線で接続されず、無線通信によりデータを送受信する。ユーザが車両1に乗り込んだだけで、自動的に携帯電話の機能を車両1で利用できるようにするためである。この無線通信には、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)のような短距離向けの無線通信規格を用いる。
【0023】
車載装置10は、各構成を制御する制御部11(識別情報送信手段)と、該制御部11に接続されるマイク12、スピーカ13、ステアリングスイッチ(SW)14およびディスプレイ15を有する。
【0024】
制御部11は、携帯電話と通信するための通信部を含み、携帯電話との相互通信を可能とする。また、制御部11は、上記マイク12、スピーカ13、ステアリングスイッチおよびディスプレイ15を制御し、また、それら各構成とのデータの送受信を行う。
【0025】
マイク12は、ユーザが音声を入力するために設けられている。スピーカ13は、音声を出力するために設けられている。マイク12による音声入力と、スピーカ13による音声出力により、ユーザは、携帯電話を手に持たずに通話相手と会話できる。いわゆるハンズフリー通話機能が実現される。なお、電話以外にも、マイク12は所定の命令等の音声入力等にも使用され、また、スピーカ13は音楽やテレビの音声の発生にも使用される。
【0026】
ステアリングSW14は、自動車のハンドルに設けられているスイッチである。具体的には、例えば、通話ボタン、音量調節ボタンなどである。これらのボタンの操作に基づいて、制御部11は携帯電話に信号を送信し、携帯電話を操作する。運転中に電話がかかってきた場合、ユーザはハンドルにあるステアリングSW14を押して、呼び出しに応答できる。後は、マイク12とスピーカ13を用いて会話ができる。
【0027】
ディスプレイ15は、例えば、携帯電話に受信された電子メールを、制御部11を介して携帯電話から受信し、表示する。他にも、例えば、携帯電話から接続したインターネットサイトのコンテンツを表示できる。
【0028】
検査装置2は、車両1量産時の完成検査に用いられる。検査装置2は、ユーザが持つブルートゥース無線接続可能な携帯電話の代わりに車両1(車載装置10)と無線接続する。そして、検査装置2は、あたかも車載装置10が携帯電話と通信しているように、(1)通話動作、(2)コンテンツ閲覧動作、(3)電子メール受信動作、(4)通信ナビゲーション動作を擬似的に実現する。
【0029】
(1)通話動作は、ユーザが携帯電話で他人の携帯電話や固定電話と通話している動作である。(2)コンテンツ閲覧動作は、ユーザの携帯電話でインターネット上のあるコンテンツを閲覧する動作である。(3)電子メール動作は、ユーザの携帯電話で電子メールを受信する動作である。(4)通信ナビゲーション動作は、ユーザの携帯電話で通信ナビゲーション用のサーバにアクセスし、カーナビゲーションシステムを利用する動作である。
【0030】
これら動作の擬似的な実現のため、検査装置2は、一台でユーザの携帯電話、通話相手先の電話、各種サーバ、およびこれらを接続する公衆回線網の役割を果たす。そして、検査装置2は、あたかも車載装置10がユーザの携帯電話を介して通話相手と電話し、各種サーバにアクセスしているように見せる。検査装置2は、車載装置10と文字、画像、および音声データの送受信を行い、これに対応して車載装置10が適当に動作するかどうかを検査する。
【0031】
ここで行う検査は、具体的には、次の検査1〜4である。
【0032】
(検査1)
検査装置2は、携帯電話に着信があったかのように呼び出し信号を発生し、車載装置10に送信する。ここで、車載装置10のスピーカ13から呼び出し音が発生すれば、車載装置10が携帯電話の着信に対応して動作していることを確認できる。また、マイク12に作業者が音声を入力する。該音声が制御部11を介して検査装置2に送信されれば、通話中のユーザの声が相手の電話に届くことが確認できる。
【0033】
(検査2)
また、検査装置2は、所定のコンテンツのデータを車載装置10に送信する。これがディスプレイ15に表示されれば、携帯電話を介してインターネット上の情報をディスプレイ15で表示できることを確認できる。
【0034】
(検査3)
検査装置2は、所定のメッセージの電子メールを車載装置10に送信する。これがディスプレイ15に表示されれば、携帯電話を介して電子メールの内容をディスプレイ15に表示できることを確認できる。
【0035】
(検査4)
検査装置2は、カーナビゲーション用のデータを車載装置10に送信する。これがディスプレイ15に表示されれば、携帯電話を介してカーナビゲーション用のデータを得て、活用できることを確認できる。
【0036】
なお、上記検査1において、検査装置2は実際には、他人の電話に接続されていない。その代わりに、検査装置2は、電話があったように着信データを車載装置10に送信する機能を有する。また、上記検査2〜4において、検査装置2は実際には、インターネットに接続されていない。その代わりに、検査装置2は、車載装置10への送信用に、コンテンツのデータ、電子メールのデータ、カーナビゲーション用のデータを予め記憶している。
【0037】
このように、検査装置2が擬似的に他人の電話やインターネットに接続されているように振舞えれば、実際に検査装置2をインターネット等に接続する必要がない。これにより、コストを低減できる。
【0038】
次に、実際に、検査装置2により車両1の完成検査を行う様子を、図2を参照して説明する。
【0039】
図2は、複数の車両を同時に完成検査する検査システムを示す概略図である。なお、図2では、車載装置10の検査工程以外の検査工程は省略している。
【0040】
検査システムは、複数の検査ライン3と、該検査ライン3ごとに設けられた複数の結果表示機4と、検査ライン3の数だけ設けられた複数の検査装置2とを有する。各検査装置2と各結果表示機4とは、それぞれ相互に有線または無線接続されている。
【0041】
車両1は量産されているため、複数の検査ライン3に分けて搬送され、複数の検査装置2によりそれぞれ同じ検査が行われている。検査装置2は、上述の通り、車載装置10と無線接続して検査を行う。
【0042】
検査システムの動作について説明する。
【0043】
図3は検査システムの動作の流れを示すフローチャート、図4は検査ラインを示す識別情報を入力する様子を示す図、図5は結果表示機を示す図である。
【0044】
以下では、検査ライン番号#1の検査ライン3において、車両1が車載装置10の検査工程に導入された場合について例示する。
【0045】
各検査装置2は、検査開始の合図であるトリガーが入力されるまで(ステップS1:NO)、待機する。ここで、トリガーは、搬送されてきた車両1による光電管の光の遮光に従って自動的に入力されてもよいし、また、作業者が所定のボタンを押下することに基づいて入力されてもよい。
【0046】
トリガーが入力されると(ステップS1:YES)、検査を行っていない(空いている)検査装置2の一つが選択される(ステップS2)。ここでは、例えば、トリガーが最初に入力された検査装置2、車載装置10からの電波を最も強く受信できる検査装置2、または、予め定められた優先順位が最も高い検査装置2が選択される。
【0047】
選択された検査装置2は、他の検査装置2が検査するための車両1を検索中かどうかを判断する(ステップS3)。
【0048】
他の検査装置2が検索中である場合(ステップS3:YES)、該他の検査装置2の検索が終わるまで待機する。他の検査装置2が検索中でない場合(ステップS3:NO)、検査装置2は、検査可能となっている車両1を検索・特定し(ステップS4)、通信を確立する(ステップS5)。検査可能となっている車両1とは、車載装置10の検査工程に入っている車両1である。検査車両1を検索・特定するまでは、検査装置2は、車載装置10と非同期通信方式で通信を行う。
【0049】
検査装置2は、特定した車両1の車載装置10と同期通信方式による音声通話を開始する(ステップS6)。そして、上述の(1)通話動作、(2)コンテンツ閲覧動作、(3)電子メール受信動作、(4)通信ナビゲーション動作を実現し、一連の検査1〜4を実施する(ステップS7)。
【0050】
検査1〜4が完了すると、図4に示すように、作業者は、車載装置10のマイク12に向かって、作業者がいる検査ライン3のライン番号#1を発生し、音声入力する(ステップS8)。マイク12に入力された音声は、制御部11から検査装置2に送信され、音声解析されて、入力されたライン番号#1が識別される(ステップS9)。
【0051】
検査装置2は、識別したライン番号#1に基づいて、該当する検査ライン3に配置される結果表示機4に検査結果を送信する(ステップS10)。検査結果を受信した結果表示機4は、図5に示すように、ランプを点灯させて、検査結果の良否を作業者にわかりやすく表示する(ステップS11)。
【0052】
なお、図5に示す接続テスト、通信テスト、マイクテストとは、それぞれ、ステップS4、ステップS5、ステップS7で行われるテストである。接続テストは、ステップS4において、検査するための車両1を検索・特定できるかどうかにより判断されるテストである。通信テストは、検査装置2および車両1間の通信が確立するかどうかにより判断されるテストである。マイクテストは、上記検査1〜4を通じて正常に車載装置10が応答するかどうかにより判断されるテストである。
【0053】
図5に示す例では、ステップS4で車両1を検索・特定されたので、接続テストが良好と判断され、接続OKのランプが点灯される。また、ステップS5で検査装置2および車両1間の通信が確立されたので、通信テストが良好と判断され、通信OKのランプが点灯される。ステップS7で音声通話を含む各検査1〜4において車載装置10から適当に応答があったので、マイクテストが良好と判断され、マイクOKのランプが点灯される。逆に、検査装置2および車両1間を接続できない場合には、接続OKランプは点灯されず、通信できない場合には、通信NGランプが点灯され、検査結果が不良である場合には、マイクNGが点灯される。
【0054】
以上のように、本第1実施形態では、作業者がマイク12に向かって発声した自分の検査ライン3を示すライン番号(識別情報)を、検査装置2が解析して、該当する検査ライン3の結果表示機4に出力し、検査結果を表示させている。したがって、検査装置2から見て、どの車載装置10を検査しているかが判らなくても、適当な結果表示機4に検査結果を表示できる。作業者は、自分のいる検査ライン3で検査結果を確認できる。
【0055】
なお、上記第1実施形態では、検査ラインを示す識別情報として検査ライン番号を音声入力しているが、これに限定されない。車載装置10のディスプレイから検査ライン番号を入力しても良い。また、検査ライン番号ではなく、他の識別情報を入力してもよい。
【0056】
なお、ブルートゥース(登録商標)のような短距離向けの無線通信規格を用いる場合、離れている車両1と検査装置2とが無線通信できないことがある。これを解決するために、図6に示すようなアンテナを別途設けることができる。
【0057】
図6は、離れている車両1および検査装置2間にアンテナを設けた様子を示す図である。
【0058】
図6下側に示すように、離れている検査装置2から延びた先にアンテナを設け、このアンテナで離れた車両1の車載装置10と通信可能とする。この他にも、ライン間に中継アンテナを複数設けて、遠距離の車両1および検査装置2を無線接続することもできる。
【0059】
(第2の実施の形態)
本発明の第3は、複数の検査ライン3と、前記検査ライン3上の被検査物と無線接続して、該被検査物を検査する複数の検査装置2と、前記被検査物に設けられ、該被検査物の検査結果を表示する結果表示機4と、を有し、前記検査装置2は、無線接続された前記被検査物に検査結果を出力する検査システムである。
【0060】
第1実施形態では、作業者が検査ライン3を示す識別情報を音声入力することによって、作業者がいる検査ライン3に検査結果を表示している。これに対し、第2実施形態では、作業者が検査ライン3を示す識別情報を音声入力しなくても、適当に検査結果が得られる。以下、第2実施形態における検査システムの動作の流れを説明する。
【0061】
なお、車載装置10および検査装置2は、上記第1実施形態で図1および図2を参照して説明したものと同様である。したがって、その説明は省略する。
【0062】
図7は第2実施形態における検査システムの動作の流れを示すフローチャート図8は検査結果が作業者に示される様子を示す図である。なお、図7に示すステップS21〜27は、図3に示すステップ1〜7と同様であるので、ステップS28について主に説明する。
【0063】
検査装置2は、ステップS21〜27において、一の車載装置10について、接続テスト、通信テスト、マイクテストを実行する。ここで、検査装置2は、車載装置10と無線接続されている。これを利用して、検査装置2は、図8に示すように、検査結果を車載装置10に無線送信し、車載装置10のスピーカ13から音声出力させる。つまり、車載装置10のスピーカ13から音声により検査結果を作業者に伝える。
【0064】
このように、第2実施形態では、検査結果を車載装置10側で音声出力させる。したがって、作業者から見て、車載装置10がどの検査装置2と通信しているかが判らなくても、車両1のスピーカ13から検査結果を聞き、間違うことなく検査結果を知ることができる。
【0065】
なお、検査結果を音声でスピーカ13から出力する他に、ディスプレイ15に表示させることもできる。この場合、例えば、検査結果を含む電子メールを検査装置2で作成し、これを車載装置10に送信する。電子メールを開くと、検査結果がディスプレイ15に表示される。
【0066】
(第3の実施の形態)
第1実施形態では、検査装置2がユーザの携帯電話の機能を擬似的に再現して、車載装置10を検査している。検査対象となる車載装置10は、携帯電話と無線通信する機能を有する。一方で、携帯電話自体を組み込んだ車載装置も、現在製造されている。
【0067】
第3実施形態では、携帯電話を組み込んだ車載装置を検査する検査システムについて説明する。
【0068】
図9は第3実施形態における車載装置の概略構成および検査装置7の機能概要を示す図である。
【0069】
本実施形態では、車載装置は、携帯電話の機能により携帯電話基地局(以下、単に基地局という)と通信を行い、携帯電話の各種機能を車両6内で実現する。車載装置と基地局とは無線通信によりデータを送受信する。車載装置の電源がONにされると、車載装置と基地局との通信が開始する。この通信は、通常の携帯電話と同様の仕組みで達成される。
【0070】
車載装置は、第1実施形態と同様に、各構成を制御する制御部61と、該制御部61に接続されるマイク12、スピーカ13、ステアリングスイッチ(SW)およびディスプレイ15を有する。マイク12、スピーカ13、ステアリングSW14、ディスプレイ15の機能は、第1実施形態と略同じなので、説明を省略する。
【0071】
第1実施形態と異なる点は、制御部61が携帯電話の機能を有していることである。したがって、出荷後の車載装置は、直接基地局と無線接続して、通信を行う。これにより、ユーザが携帯電話を持っていなくても、車内で他人の電話との通話や、インターネット接続を実現できる。出荷前の検査では、車載装置が基地局と無線通信して、各種動作を実現できるかを調べる。
【0072】
検査装置7は、車両6量産時の完成検査に用いられる。検査装置7は、基地局の代わりに車載装置と無線接続する。そして、検査装置7は、(1)通話動作、(2)コンテンツ閲覧動作、(3)電子メール受信動作、(4)通信ナビゲーション動作を擬似的に実現する。
【0073】
これら動作の擬似的な実現のため、検査装置7は、一台で基地局、通話相手先の電話、各種サーバ、およびこれらを接続する公衆回線網の役割を果たす。そして、検査装置7は、あたかも車載装置が基地局を介して通話相手と電話し、各種サーバにアクセスしているように見せる。検査装置7は、車載装置と文字、画像、および音声データの送受信を行い、これに対応して車載装置が適当に動作するかどうかを検査する。具体的な検査は、第1実施形態の検査1〜4と同じである。
【0074】
なお、車載装置は、出荷後には通常の携帯電話と同様に唯一の電話番号が与えられる。しかし、出荷前には、唯一の電話番号は与えられておらず、仮番号としていずれの車載装置にも同じ電話番号が与えられている。車載装置は、この番号により検査装置7と接続され、検査が受けられる。
【0075】
ここで、図2に示すように、複数の検査ライン3で、複数の車載装置を検査する場合を考える。この場合、車載装置に与えられる電話番号が同じなので、検査装置7から見てどの検査ライン3の車載装置と通信しているかは判らない。従って、検査結果をどの検査ライン3の結果表示機4に表示するか判断できないという問題がある。本第3実施形態では、この問題を解決する。以下、検査システムの動作を説明する。
【0076】
図10は第3実施形態における検査システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【0077】
以下では、検査ライン番号#1の検査ライン3において、車両6が車載装置の検査工程に導入された場合について例示する。
【0078】
まず、車両6の車載装置は、検査を実行する検査装置7を検索する(ステップS41)。この検索は、搬送されてきた車両6による光電管の光の遮光をきっかけに自動的に開始されてもよいし、また、作業者が所定のボタンを押下することによって開始されてもよい。
【0079】
そして、検査装置7のうち、現在検査を行っていない(空いている)検査装置7の一つが選択される(ステップS42)。ここでは、例えば、最初に車載装置と接続された検査装置7、車載装置からの電波を最も強く受信できる検査装置7、または、予め定められた優先順位が最も高い検査装置7が選択される。
【0080】
検査装置7は、無線接続が確立すると(ステップS43)、音声通話を開始し(ステップS44)、各種検査を実施する(ステップS45)。
【0081】
検査が終了すると、図4に示すように、作業者は、マイク12に向かって、自分がいる検査ライン3のライン番号#1(識別情報)を発声し、音声入力する(ステップS46)。マイク12に入力された音声は、制御部61から検査装置7に送信され、音声解析される。そして、音声入力されたライン番号が識別される(ステップS47)。
【0082】
検査装置7は、識別したライン番号に基づいて、該当する検査ライン3に配置される結果表示機4に検査結果を送信する(ステップS48)。検査結果を受信した結果表示機4は、図5に示すように、ランプを点灯させて、検査結果の良否を作業者にわかりやすく表示する(ステップS49)。
【0083】
以上のように、本第3実施形態によれば、車載装置が携帯電話を組み込んだものであっても容易に検査でき、検査結果を作業者に判りやすく表示できる。
【0084】
なお、第3実施形態では、自分がいる検査ライン3を示す識別情報を音声により入力する。そして、検査装置7は、入力された音声に基づいて適当な検査ライン3の結果表示機4に検査結果を表示させている。しかし、検査結果の出力は、これに限定されない。例えば、検査装置7は、検査結果を、電子メールにより車載装置に送信し、これを車載装置のディスプレイ15に表示させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態における車載装置の概略構成および検査装置の機能概要を示す図である。
【図2】 複数の車両を同時に完成検査する検査システムを示す概略図である。
【図3】 検査システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】 検査ラインを示す識別情報を入力する様子を示す図である。
【図5】 結果表示機を示す図である。
【図6】 離れている車両および検査装置間にアンテナを設けた様子を示す図である。
【図7】 第2実施形態における検査システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】 検査結果が作業者に示される様子を示す図である。
【図9】 第3実施形態における車載装置の概略構成および検査装置の機能概要を示す図である。
【図10】 第3実施形態における検査システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1、6…車両、
2、7…検査装置、
3…前記検査ライン、
4…前記結果表示機、
10…車載装置、
11、61…制御部、
12…マイク、
13…スピーカ、
14…ステアリングSW、
15…ディスプレイ。

Claims (6)

  1. 複数の検査ラインと、
    無線通信により検索した検査可能な前記検査ライン上の被検査物と無線接続して、該被検査物を検査する複数の検査装置と、
    前記被検査物に設けられ、該被検査物が搬送される前記検査ラインを示す識別情報の入力を受け付けて、前記検査装置に無線送信する識別情報送信手段と、
    前記検査ラインごとに設けられ、前記被検査物の検査結果を表示する結果表示機と、
    を有し、
    前記検査装置は、受信した前記識別情報から一の前記検査ラインを識別し、該検査ラインに設けられた前記結果表示機に検査結果を出力する検査システム。
  2. 前記識別情報は、音声により入力が受け付けられる請求項1に記載の検査システム。
  3. 前記被検査物は、携帯電話と無線通信可能な車載装置であり、
    前記検査装置は、携帯電話の機能を擬似的に再現するものである請求項1または2に記載の検査システム。
  4. 前記被検査物は、携帯電話の機能を有する車載装置であり、
    前記検査装置は、携帯電話基地局の機能を擬似的に再現するものである請求項1または2に記載の検査システム。
  5. 複数の検査ラインと、
    無線通信により検索した検査可能な前記検査ライン上の被検査物と無線接続して、該被検査物を検査する複数の検査装置と、
    前記被検査物に設けられ、該被検査物の検査結果を表示する表示手段と、
    を有し、
    前記検査装置は、検査可能な前記被検査物を検索する際に、他の検査装置が検索中か判断し、他の検査装置が検索中の場合には待機し、他の検査装置が検索していない場合には検索を開始し、
    前記検査装置は、無線接続された前記被検査物の前記表示手段に検査結果を出力する検査システム。
  6. 検査装置によって、被検査物を検査する検査システムによる検査方法であって、
    前記検査装置によって、検査可能な前記被検査物を無線通信により検索する工程と、
    前記検査装置によって、前記検索した被検査物を検査する工程と、
    前記検査装置に搭載されたマイクによって、複数の検査ラインのうち前記被検査物が搬送される検査ラインを示す識別情報の入力を受け付ける工程と、
    受け付けた識別情報が示す検査ラインに設けられた結果表示機に、検査結果を表示する工程と、
    を含む検査方法。
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