JP4320847B2 - 殺虫エアゾール用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は殺虫エアゾール用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
1−メチル−2−ニトロ−3−[(3−テトラヒドロフリル)メチル]グアニジンは特開平7−179448号公報に記載の殺虫性化合物であり、該化合物のエアゾール用組成物については特開平8−217606号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−217606号公報に記載のエアゾール用組成物を用いた場合、1−メチル−2−ニトロ−3−[(3−テトラヒドロフリル)メチル]グアニジンの殺虫効果が十分に発揮されないとの問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況下に鋭意検討を重ねた結果、
(a)1−メチル−2−ニトロ−3−[(3−テトラヒドロフリル)メチル]グアニジン、
(b)ベンジルアルコール及び炭酸プロピレンからなる群より選ばれる1種の極性溶剤、
(c)飽和炭化水素系溶剤、及び
(d)噴射剤全重量の25重量%以上のジメチルエーテルを含有する噴射剤
を含有する殺虫エアゾール用組成物が、有害害虫に対して優れた駆除効果を発揮し得ることを見い出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(a)1−メチル−2−ニトロ−3−[(3−テトラヒドロフリル)メチル]グアニジン(以下、本化合物と記す。)、
(b)ベンジルアルコール及び炭酸プロピレンからなる群より選ばれる1種の極性溶剤、
(c)飽和炭化水素系溶剤、及び
(d)噴射剤全重量の25重量%以上のジメチルエーテルを含有する噴射剤
を含有する殺虫エアゾール用組成物(以下、本発明組成物と記す。)を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明組成物中の極性溶剤と飽和炭化水素系溶剤との重量比は、極性溶剤がベンジルアルコールの場合は、1:1〜1:200の範囲であり、極性溶剤が炭酸プロピレンの場合は、1:2〜1:100の範囲である。本化合物と極性溶剤との重量比は、極性溶剤がベンジルアルコールの場合は、1:4〜1:100の範囲であり、極性溶剤が炭酸プロピレンの場合は、1:9〜1:100の範囲である。また、本発明組成物において、本化合物、極性溶剤及び飽和炭化水素系溶剤からなる液体部と、噴射剤との重量比は通常、7:3〜1:9の範囲であり、全量噴射エアゾールとして用いる場合は、この比が3:7〜1:9の範囲であることが望ましい。
【0006】
本発明組成物において噴射剤は、噴射剤全重量の25重量%以上のジメチルエーテルを含有するものであり、ジメチルエーテル以外の成分としては、プロパン、n−ブタン、イソブタンがあげられる。
【0007】
本発明組成物における飽和炭化水素系溶剤としては、炭素数が7〜18の直鎖、分岐飽和炭化水素または脂環族飽和炭化水素及びこれらの混合物が好ましく、脱臭ケロセンや低臭ケロセンと呼ばれる臭気が少ない溶剤が特に好ましい。
【0008】
本発明組成物を含有するエアゾールまたは全量噴射型エアゾールは例えば、以下のようにして製造することができる。
本化合物を極性溶剤に溶解した後、該溶液と飽和炭化水素系溶剤とをエアゾール容器に充填する。該容器にエアゾールバルブを装着し、噴射剤をステムを通して充填し、振とうした後、アクチュエーターまたは全量噴射型アクチュエーターを装着する。
【0009】
本発明組成物は、更にピレスロイド系化合物やカーバメート系化合物などの他の殺虫活性化合物、忌避剤、共力剤等を加えることにより殺虫効力を高め、より優れたエアゾール用組成物を得ることができる。かかる他の殺虫活性成分としては、例えば、アレスリン、テトラメスリン、プラレトリン、フェノトリン、レスメトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、トラロメトリン、シフルトリン、フラメトリン、イミプロトリン、エトフェンプロックス、フェンバレレート、フェンプロパスリン、シラフルオフェン、トランスフルスリン、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−シクロペント−2−エニル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート等のピレスロイド化合物、ジクロルボス、フェニトロチオン、テトラクロロビンホス、フェンチオン、クロルピリホス、ダイアジノン等の有機燐化合物、プロポキサー、カルバリル、メトキサジアゾン、フェノブカルブ等のカーバメート化合物、ルフェヌロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、シロマジン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア等のキチン形成阻害物質、ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、フェノキシカルブ等の幼若ホルモン様物質、N−フェニルピラゾール系化合物等が挙げられ、忌避剤としては、例えば、N,N−ジエチル−m−トリアミド、リモネン、リナロール、シトロネラール、メントール、メントン、ヒノキチオール、ゲラニオール、ユーカリプトール、インドキサカルブ、カラン−3,4−ジオール等が挙げられ、共力剤としては、例えば、PBO、MGK264、S421、IBTA、サイネピリン500等が挙げられる。
【0010】
本発明組成物により駆除し得る害虫としては、例えば以下のものがあげられる。衛生害虫としては、イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のハエ類、アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)、ネッタイイエカ(Culex quinquefasciatus)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等のカ類、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)等のゴキブリ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、クワガタツメダニ(Cheyletus malaccensis)、ミナミツメダニ(Cheyletus moorei)等の屋内ダニ類、コロモジラミ(Pediculus humanus corporis)等のシラミ類が挙げられる。
木材害虫としては、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)等のシロアリ類、キクイムシ類等が挙げられる。不快害虫としては、ユスリカ類、チョウバエ類、アリ類、ハチ類等が挙げられる。
衣料害虫としては、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等が挙げられる。
動物害虫としては、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)等のノミ類、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、オウシマダニ(Boophilus microplus)等のマダニ類、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)等のシラミ類等が挙げられる。
農業害虫としては、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)等のカメムシ類、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)等のウンカ類、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類等が挙げられる。
本発明組成物は、特にハエ類、カ類、ゴキブリ類等の家屋内害虫の駆除に適している。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を実施例にてより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
製剤例1
1−メチル−2−ニトロ−3−[(3−テトラヒドロフリル)メチル]グアニジン(本化合物)1重量部を炭酸プロピレン9重量部に加温しながら溶解し、該溶液をエアゾール缶に入れ、飽和炭化水素系溶剤(アイソパーG、エクソン化学株式会社)を加え全体で50重量部とする。エアゾール缶にエアゾールバルブを装着した後、50重量部のジメチルエーテルを充填し、振とうを加えた後、トータルリリース用アクチュエーターを装着することにより本エアゾール製剤を得る。
【0013】
製剤例2
本化合物1重量部をベンジルアルコール4重量部に加温しながら溶解し、該溶液をエアゾール缶に入れ、飽和炭化水素系溶剤(アイソパーG、エクソン化学株式会社)を加え全体で50重量部とする。エアゾール缶にエアゾールバルブを装着した後、50重量部のジメチルエーテルを充填し、振とうを加えた後、トータルリリース用アクチュエーターを装着することにより本エアゾール製剤を得る。
【0014】
製剤例3
本化合物0.1重量部およびd・d−T−シフェノトリン0.15重量部とをベンジルアルコール2重量部に溶解し、該溶液をエアゾール缶に入れ、飽和炭化水素系溶剤(アイソパーG、エクソン化学株式会社)を加え全体で50重量部とする。エアゾール缶にエアゾールバルブを装着した後、ジメチルエーテル/液化石油ガス1/3混合物50重量部を充填し、振とうを加えた後、アクチュエーターを装着することにより本エアゾール製剤を得る。
【0015】
製造例1
本化合物5.8mgを炭酸プロピレン0.58gに溶解し、該溶液を50ml容エアゾール缶に入れ、飽和炭化水素系溶剤(アイソパーG、エクソン化学株式会社)を加え全体で5.00gとした。エアゾール缶にエアゾールバルブを装着した後、20.0gのジメチルエーテルを充填し、振とうを加えた後、トータルリリース用アクチュエーターを装着することにより本エアゾール製剤1を得た。
【0016】
製造例2
本化合物29.0mgをベンジルアルコール0.58g(和光純薬)に溶解し、該溶液を50ml容エアゾール缶に入れ、飽和炭化水素系溶剤(アイソパーG、エクソン化学株式会社)を加え全体で5.00gとした。エアゾール缶にエアゾールバルブを装着した後、20.0gのジメチルエーテルを充填し、振とうを加えた後、トータルリリース用アクチュエーターを装着することにより本エアゾール製剤2を得た。
【0017】
製造例3
製造例2において、ベンジルアルコール0.58gの代わりに炭酸プロピレン0.58gを用いる以外は同様の操作により本エアゾール製剤3を得た。
【0018】
参考製造例1
本化合物5.8mgを50ml容エアゾール缶に入れ、飽和炭化水素系溶剤(アイソパーG、エクソン化学)を加え全体で5.00gとした。エアゾール缶にエアゾールバルブを装着した後、20.0gのジメチルエーテルを充填し、振とうを加えた後、トータルリリース用アクチュエーターを装着することにより参考エアゾール製剤1を得た。
【0019】
参考製造例2
参考製造例1において本化合物を29.0mg用いる以外は同様の操作により参考エアゾール製剤2を得た。
【0020】
参考製造例3
本化合物29.0mgにベンジルアルコールを加え全体を5.00gとし、該溶液を50ml容エアゾール缶に入れた。エアゾールバルブを装着した後、20.0gのジメチルエーテルを充填し、振とうを加えた後、トータルリリース用アクチュエーターを装着することにより参考エアゾール製剤3を得た。
【0021】
参考製造例4
本化合物5.8mgに炭酸プロピレンを加え全体を5.00gとし、該溶液を50ml容エアゾール缶に入れた。エアゾールバルブを装着した後、20.0gのジメチルエーテルを充填し、振とうを加えた後、トータルリリース用アクチュエーターを装着することにより参考エアゾール製剤4を得た。
【0022】
参考製造例5
参考製造例4において本化合物を29.0mg用いる以外は同様の操作により参考エアゾール製剤5を得た。
【0023】
比較製造例1
本化合物29.0mgにキシロール1.75gに溶解し、飽和炭化水素系溶剤(アイソパーG、エクソン化学)を加え全体で3.75gとし、該溶液を50ml容エアゾール缶に入れた。エアゾールバルブを装着した後、21.25gの液化石油ガスを充填し、振とうを加えた後、トータルリリース用アクチュエーターを装着することにより比較エアゾール製剤1を得た。
【0024】
試験例1(チャバネゴキブリ効力試験)
5.8m3(縦1.8m、横1.8m、高さ1.8m)の試験室の床中央に、製造例1で得た本エアゾール製剤1を設置した。試験室の2隅にチャバネゴキブリ(Blattella germanica)10頭(雄5頭、雌5頭)を入れたプラスチック製容器(650ml)を設置した。該エアゾール製剤全量を噴霧し、供試虫を2時間薬剤に曝露させた後、全供試虫を清潔なプラスチック容器に移し、24時間後に致死率を調査した。同様の操作にて、参考製造例1および4にて得た参考エアゾール製剤1および4を噴霧処理した際の、チャバネゴキブリの致死率を調査した。試験は、本エアゾール製剤1及び参考エアゾール製剤1は各1反復、参考エアゾール製剤4は2反復実施した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004320847
【0026】
試験例2(クロゴキブリ効力試験)
5.8m3(縦1.8m、横1.8m、高さ1.8m)の試験室の床中央に、製造例2または3で得た本エアゾール製剤2または3を設置した。試験室の2隅にクロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)6頭(雄3頭、雌3頭)を入れたプラスチック製容器(860ml)を設置した。該エアゾール製剤全量を噴霧し、供試虫を2時間薬剤に曝露させた後、全供試虫を清潔なプラスチック容器に移し、24時間後に致死の有無を調査した。同様の操作にて、参考製造例2、3及び5で得た参考エアゾール製剤2、3及び5、および比較製造例1で得た比較エアゾール製剤1を噴霧処理した際の、クロゴキブリの致死率を調査した。試験は、本エアゾール製剤2、3、参考エアゾール製剤2及び参考エアゾール製剤3は各1反復、参考エアゾール製剤5及び比較エアゾール製剤1は各2反復実施した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0004320847
【0028】
【発明の効果】
本発明の殺虫エアゾール用組成物は、有害害虫に対して優れた駆除効果を発揮する。

Claims (3)

  1. (a)1−メチル−2−ニトロ−3−[(3−テトラヒドロフリル)メチル]グアニジン、
    (b)ベンジルアルコール及び炭酸プロピレンからなる群より選ばれる1種の極性溶剤、
    (c)炭素数7〜18の分岐飽和炭化水素溶剤、及び
    (d)噴射剤全重量の25重量%以上のジメチルエーテルを含有する噴射剤を含有することを特徴とする殺虫エアゾール用組成物。
  2. 極性溶剤がベンジルアルコールであり、1−メチル−2−ニトロ−3−[(3−テトラヒドロフリル)メチル]グアニジンとベンジルアルコールとの重量比が1:4〜1:100の範囲である請求項1に記載の殺虫エアゾール用組成物。
  3. 極性溶剤が炭酸プロピレンであり、1−メチル−2−ニトロ−3−[(3−テトラヒドロフリル)メチル]グアニジンと炭酸プロピレンとの重量比が1:9〜1:100の範囲である請求項1に記載の殺虫エアゾール用組成物。
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