JP4320182B2 - 炭酸化硬化体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸化硬化体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭酸化硬化体として、すでに、セメント硬化体あるいは硬化前の賦形物を炭酸ガス雰囲気に曝すことで、セメントの水和により生成した水酸化カルシウムを炭酸カルシウムに変化させ、セメント硬化体の細孔を埋めてセメント硬化体の耐久性や強度を増進させる方法、具体的には、セメントの水和反応が活発化しだした以降で炭酸ガス雰囲気中に賦形物を曝して養生を行なうことにより、より炭酸化を進行させ緻密化させる方法がすでに提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−263562号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記方法では、炭酸ガス雰囲気の炭酸ガス圧が低いと養生に長時間を必要とし、生産性を上げるためには炭酸ガス圧を高くしなければならないが、炭酸ガス圧を高くすると設備コストがかかるという問題がある。また、水分の存在が炭酸ガスの拡散を阻害するため、材料に含有される水分量によっては内部まで炭酸化が進行しないといった問題が残されている。詳しく説明すると、セメント硬化体の内部に未反応の材料、すなわち炭酸化されていない部分が残存した場合、機械的物性の低下や長期における材料変質の要因となることが予想される。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、機械的物性及び組織安定性に優れた炭酸化硬化体、及び、短時間かつ従来の方法と比べて比較的低圧炭酸化環境下で機械的物性及び組織安定性に優れた炭酸化硬化体を製造する方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の炭酸化硬化体(発明1)は、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、及び非晶質シリカとからなり、対比重破壊強度が15〜30N/cmである炭酸化硬化体であって、珪酸カルシウムの少なくとも一部が炭酸カルシウムと非晶質シリカとにより被覆され、珪酸カルシウム及び炭酸カルシウムと非晶質シリカとにより被覆された珪酸カルシウムのアスペクト比が10〜25であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の炭酸化硬化体の製造方法(発明2)は、アスペクト比が10〜25の珪酸カルシウムを含む無機材料と水とを混合する工程と、この混合物を比重1.6〜1.9の賦形物とする工程と、その賦形物を40℃〜120℃の雰囲気中で炭酸化硬化処理する工程とからなることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の炭酸化硬化体の製造方法(発明3)は、発明2の賦形物とする工程において、混合物を成形型に充填し、充填された混合物を一秒以上加圧し、その後除圧し、再度一秒以上加圧し、複数回加除圧を繰り返して賦形体を得ることを特徴とする。
【0010】
珪酸カルシウムは、水存在下で炭酸ガスと反応(以降、炭酸化反応という。)して炭酸カルシウムと非晶質シリカとを生成する。炭酸化反応は珪酸カルシウム結晶の表面から行われるので、反応中の珪酸カルシウムは、生成された炭酸カルシウムと非晶質シリカとに被覆された状態となっている。本発明においては、炭酸カルシウムと非晶質シリカとに被覆された状態となっている珪酸カルシウムを「被覆された珪酸カルシウム」といい、まだ結晶の表面が炭酸化反応を起こしていない珪酸カルシウムを「未反応珪酸カルシウム」といい、被覆された珪酸カルシウム又は未反応珪酸カルシウムを「珪酸カルシウム」という。
【0011】
本発明における珪酸カルシウム(珪灰石)は、CaSiO3で示される珪酸塩鉱物であり、白色の繊維状又は塊状物として天然に産出され、一般にその形状を利用して、アスベスト代替等の補強部材として利用されているものである。
【0012】
本発明では、珪酸カルシウムの種類としては特に限定されないが、天然鉱物であって繊維形状を有するワラストナイトが好適に用いられる。珪酸カルシウムのアスペクト比が10より小さいと、充分な機械的強度の硬化体が得られず、25より大きいと、そのアスペクト比の珪酸カルシウムの製造において粉砕・分級工程に高度な処理を要し、価格、収率共に実用的でなくなる。このようなアスペクト比を有する珪酸カルシウムの製造方法は特に限定されないが、ジェットミルなどによる粉砕操作と分級処理により得ることができる。
【0013】
本発明では、他の無機材料として、従来の炭酸化硬化体に添加されるものが使用可能であり、例えば、石膏、セメント、珪砂、石炭灰、炭酸カルシウム、珪藻土などの無機材料が挙げられる。なかでも賦形性をより向上させるという点で、石膏又はセメントが好適に使用される。
【0014】
更に、本発明においては、炭酸化硬化体の構成材料として、上記無機材料以外に、木片、パルプ等の天然繊維、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成樹脂繊維等が併用されても良い。
【0015】
また、上記セメントは、水和に伴い水酸化カルシウムを生成し賦形体の炭酸化処理時に反応を起こすことが可能であるセメントであるもの、例えば、普通ポルトランドセメント、特殊ポルトランドセメント、アルミナセメント等が挙げられる。これらのセメント類を使用する場合は、珪酸カルシウムは、充分な機械的強度を有する硬化体を得るために、全構成材料中20重量%以上配合されることが好ましい。
【0016】
発明1の炭酸化硬化体における珪酸カルシウムのアスペクト比は、通常使用される珪酸カルシウムと比べておおきいものである。珪酸カルシウムのアスペクト比が大きいと、炭酸化硬化処理を行う前の賦形時に容易に賦形体密度を上げることができる。また、被覆された珪酸カルシウムのアスペクト比が大きいと、炭酸化により得られた硬化体において、珪酸カルシウム自体の繊維補強効果が寄与し、高強度な成形体を得ることができる。これは、例えば、珪酸カルシウムの炭酸化率が小さい場合においても、機械的物性に優れた炭酸化硬化体が得られる。なお、被覆された珪酸カルシウムのアスペクト比は、未反応珪酸カルシウムのアスペクト比が大きければ大きくなり、小さくなれば小さくなる。
【0017】
発明1における珪酸カルシウム及び炭酸カルシウムと非晶質シリカとにより被覆された珪酸カルシウムは、そのアスペクト比が10〜25であり、好ましくは15〜23である。珪酸カルシウムのアスペクト比が10未満であると、炭酸化処理前の賦形時に、珪酸カルシウムの配向が効果的に起こらず賦形物の緻密化が不十分であり、炭酸化処理による反応速度が遅くなる。アスペクト比が25より大であると、珪酸カルシウム繊維同士の絡み合いが大きく、嵩比重が大きくなり、賦形物成形時に高圧かつ長時間のプレス成形が必要となる。
【0018】
上述の通り、珪酸カルシウム、即ち被覆された珪酸カルシウムと未反応珪酸カルシウムのいずれもが、そのアスペクト比が10〜25であるので、機械的物性及び組織安定性に優れた炭酸化硬化体が得られる。
【0019】
発明1は、対比重破壊強度が15〜30N/cmである炭酸化硬化体である。ここで、対比重破壊強度とは、硬化体の破壊強度を比重で除した値をいい、破壊強度とは曲げ強度測定により得られる最大荷重を荷重長さ(試験片の幅に相当)で除した値をいう。
【0020】
対比重破壊強度が15N/cmより小であれば、この炭酸化硬化体を構造材として適用する場合に必要な強度が不足する可能性があり、対比重破壊強度が30N/cmより大であれば、硬化体としての強度は充分であっても、有機繊維などを大量に混入させる特殊な成形プロセスが必要となるなど、生産効率上実用的でなくなる恐れがある。
【0021】
発明2における、アスペクト比が10〜25の珪酸カルシウムを含む無機材料と水とを混合する工程では、その混合方法は特に限定されず、粉末状無機材料と水とを混合する一般的な混合装置を用いた方法とすることができる。
【0022】
本発明における珪酸カルシウム、その他の無機材料や構成材料については、前述のものが使用され、それら構成材料類を混合する方法も前述と同様に特に限定されない。
【0023】
本発明において用いる水は、成形性と炭酸化反応性に寄与している。
上記無機材料と水との混合比率は、
無機材料100重量部に対して、3〜30重量部が好ましい。水添加量が30重量部を超えると成形性は向上するが炭酸化反応時に蒸発する水の割合が多くなり、得られる炭酸化硬化体中の空気量が増加して炭酸化硬化体の密度が減少したり、粒子間の水膜により炭酸化反応が阻害されたりして曲げ強度が低下する。水添加量が3重量部未満であると、プレス成型時にパッキング現象(剥離割れ現象)が起こり成形性が極端に低下する。また、反応時に必要な水量が減少するため炭酸化反応量が不足し、炭酸化硬化体の曲げ強度が低下する。
【0024】
上記混合物を比重1.6〜1.9の賦形物とする工程において、混合物の賦形方法は、賦形物の比重が1.6〜1.9になる方法であれば特に限定されず、例えば、圧縮成形型法、押出成形型法などを選択できる。賦形物の比重が1.6より小さいと粒子間の空隙が大きく、炭酸化硬化反応が効果的に進まず、組織が緻密化され難い。また、比重が1.9より大きいものを得るためには、賦形に高圧かつ長時間のプレス成形が必要となり生産効率上好ましくない。
【0025】
上記賦形物を40℃〜120℃の雰囲気中で炭酸化硬化処理する工程における炭酸化硬化処理とは、珪酸カルシウム成分が炭酸化されうる処理のことを意味する。このような炭酸化硬化処理としては、例えば、気体、超臨界状態の二酸化炭素を利用する方法等が挙げられる。炭酸化硬化処理時の炭酸ガス濃度は、任意の濃度を利用してよいが、100%に近い濃度で処理することが、炭酸化の効率という点で好ましい。
【0026】
炭酸化硬化処理時の雰囲気温度は、40℃〜120℃の範囲が好ましい。雰囲気温度が40℃未満であると充分な炭酸化硬化処理が進むまでに長時間を要し、120℃を超えると炭酸化硬化処理時に賦形物内部から水が蒸発し、炭酸化硬化速度に影響を及ぼすだけでなく、得られる炭酸化硬化体に微孔が発生し、機械的強度が低下するためである。
【0027】
炭酸化硬化処理時の加圧圧力は特に限定されないが、0.5〜20MPaの範囲が好ましい。加圧圧力が0.5MPaより低いと賦形物への二酸化炭素の浸透性が低下して炭酸化硬化処理が不十分になったり、もしくは充分な炭酸化硬化処理を起こすのに長時間を要する恐れがある。加圧圧力を20MPaより高くしても炭酸化硬化速度は大きく変らず、逆に大きなエネルギーを要するために、設備の大型化が必要となったり工業生産性が低下する可能性があり好ましくない。
【0028】
炭酸化硬化処理の時間としては特に限定されないが、5分〜120分の範囲であることが好ましい。処理時間が5分より短いと炭酸化硬化処理が充分に起こらず、得られる硬化体の機械的強度が得られにくくなり、処理時間が120分より長くしても炭酸化硬化処理に大きな向上は見られず、生産性上好ましくない。
【0029】
発明3では、賦形物とする工程において、該混合物を成形型に充填し、型内に充填された混合物を1秒以上加圧し、その後除圧し、再度1秒以上加圧し、複数回加除圧を繰り返して賦形体を得る。
【0030】
一般に、本発明における混合物などのように、比較的粉体に近い無機材料をプレス方法で圧縮成形すると、粉体と成形型枠内面との間に摩擦力が発生するため、圧縮効率が落ちる。このため、賦形物の比重を1.6以上とするためには、加圧時間や加圧圧力を増加させる必要がある。一方、成形型枠内面で発生する摩擦力は、加圧時間や加圧圧力とともに増加し、摩擦力が大きくなると、プレス成形型のパッキングが賦形物に付着して剥れる剥離現象が発生してしまう。従って、安易に加圧時間や加圧力を増加させることができない。逆に、加圧時間の短縮や加圧圧力を低減すると、粉体同士が接着することができず、層間剥離などの現象が賦形物に発生してしまう。
【0031】
しかし、発明3の製造方法を用いることで、混合物と成形型枠内面との間に発生する摩擦力を低減することができ、加圧圧力を増加させることなく圧縮効率が高められる。それ故、パッキング等の剥離現象を発生させずに、1.6以上の高比重賦形物を作成することができる。また、圧縮効率が高まるため、所望賦形物密度を得るためのプレス時間の短縮も可能である。
【0032】
加圧回数と一回当たりの加圧時間の関係は、混合物の種類やプレス装置の構造や種類により適宜決定され選択される。加圧回数は特に限定されないが、パッキング等の剥離現象抑制のためには、4回以上の加圧回数とすることが好ましい。一回当たりの加圧時間も1秒以上であれば特に限定されないが、生産効率の観点から15秒以内が好ましい。1回の加圧時間が1秒未満であると、混合物の微視的移動に充分な時間が与えられず、高充填化が望めない。除圧時の圧力は特に限定されないが、圧縮効率向上の観点から、加圧圧力の50%以下まで除圧することが好ましい。
【0033】
成形型の形状は、特に限定されないが、圧縮効率向上と反り抑制の観点から、成形型枠の両側から混合された粉体を圧縮する中子が存在する形状が好ましい。成形型の材質も特に限定されないが、耐久性と軽量性の面からアルミニウム合金が好ましい。また、成形型枠内に離型剤を塗布することで、粉体と成形型枠に発生する摩擦力が低減されるため、圧縮効率を高めることができる。
【0034】
(作用)
発明1の硬化体は、対比重破壊強度が15〜30N/cmである炭酸化硬化体であって、硬化体中の珪酸カルシウムのアスペクト比が10〜25の範囲であるので、硬化体の機械的強度が優れている。また、珪酸カルシウムとしてワラストナイトを使用した場合、ワラストナイトはそれ自体、常圧での炭酸化反応速度が非常に小さく水和も殆ど見られないため、硬化体中に炭酸化せずに残存した場合でも、通常のセメント材料における残存未水和物と異なり、硬化体の長期耐久性に悪影響を及ぼさず、従って硬化体の組織安定性が良い。
【0035】
発明2の炭酸化硬化体の製造方法は、原材料として、アスペクト比が10〜25の珪酸カルシウム、例えばワラストナイト等を用いるようにしたので、配向・充填効果により低圧での炭酸化反応速度を向上させることができる。
例えば、珪酸カルシウムはそれ自体、硬化体中で炭酸化せずに残存した場合でも常圧での炭酸化速度が非常に小さく、水和も殆ど見られない。したがって、賦形時にアスペクト比の高い珪酸カルシウムを利用することにより、低圧かつ短時間で炭酸化硬化処理を進めることができる。
【0036】
賦形物の比重を1.6〜1.9とするので、炭酸化反応が効果的に進むとともに、組織が緻密化された高強度の硬化体を得ることができる。
【0037】
更に、40℃〜120℃の炭酸ガス雰囲気にして珪酸カルシウムの炭酸化処理を行うようにするので、短時間で炭酸化処理することができる。
【0038】
発明3においては、成形型内に充填された混合物を加圧してその圧力を一秒以上保持し、加圧後減圧し、減圧後再度加圧してその圧力を一秒以上保持し、これを複数回繰り返して所望形状の賦形体を成形するようにするので、混合物の微視的移動に充分な時間を与えて高充填化を図ることができる。すなわち、緻密で高強度の硬化体を得ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。 図1は、本発明にかかる炭酸化硬化体の製造方法の一例の実施の形態をあらわしている。
【0040】
図1(a)に示すように、アスペクト比が10〜25の珪酸カルシウム(本例の場合では、ワラストナイト)を含む無機材料1と水2と必要があれば合成樹脂繊維等とを撹拌装置3に投入し撹拌混合して得た混合物4を、図1(b)に示すように、成形型枠5内に充填し、プレス板51により成形型枠5内に充填された混合物4を加圧してその圧力を一秒以上保持し、加圧後減圧し、減圧後再度加圧してその圧力を一秒以上保持し、これを複数回繰り返して所望形状の賦形体を成形し、図1(c)に示すように、成形型枠5に対応する形状の比重1.6〜1.9の賦形物6を得た後、この賦形物6を気密容器7中に入れ、気密容器7内を40℃〜120℃の炭酸ガス雰囲気にしてワラストナイトの炭酸化処理を行い、炭酸化硬化体を得るようになっている。
【0041】
なお、成形型として、図2に示すようにプレス板51に中子52を取り付けて用いることができる。中子52は、成形型枠5内に挿入されて、賦形物6の圧縮効率を向上すると共に、得られる炭酸化硬化体の反りを抑制する作用を有する。中子52としては、上記目的を達成する形状と材質とであれば特に限定されないが、成形型枠5の内側面に摺動しつつ混合された粉体を上下方向から圧縮する形状が好ましい。
【0042】
(実施例1〜4)
以下に、本発明の具体的な実施例を、比較例と対比させながら詳しく説明する。 無機材料の配合、賦形方法、炭酸化処理条件を表1に示す。ワラストナイト単体、またはワラストナイトと普通ポルトランドセメントを、さら円筒型混合機(三井鉱山社製ヘンシェルミキサー、モデルFM20−C1型 容量20リットル)にて、線速度10m/秒で30秒混合したのち、更に水を添加し、同じく混合機にて線速度10m/秒で30秒混合し、混合物を得た。得られた混合物150gを150mm×80mmの水平アルミニウム製型枠に展開し、プレス成形により厚さ約7mmの賦形物を作成した。得られた賦形物を所定の条件で二酸化炭素雰囲気に30分間放置し、硬化体を得た。
【0043】
(比較例1)
使用するワラストナイトのアスペクト比を8とした以外は、実施例1と同様にして硬化体を得た。
【0044】
(比較例2)
賦形方法を表2に記載する条件とした以外は実施例3と同様にして硬化体を得た。
【0045】
(比較例3)
炭酸化処理温度を表2に記載の条件にした以外は実施例2と同様にして硬化体を得た。
【0046】
また、各実施例および比較例で作成された賦形物および硬化体の比重と、硬化体の破壊強度を測定し、その結果を合わせて表1あるいは表2に示した。
【0047】
比重の測定方法および破壊強度の測定は、以下に示す方法で行った。
賦形物の比重:賦形物の重量と体積を測定し算出した。
硬化体の比重:アルキメデス法にて、硬化体の絶乾比重を算出した。
硬化体の破壊強度:市販のオートグラフを使用し、圧縮速度0.5mm/分、スパン90mmで測定した。
硬化体の対比重破壊強度:破壊強度を比重で除して算出した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
以上の通りであるので、本発明1の炭酸化硬化体は、機械的強度及び組織安定性に優れた炭酸化硬化体となる。
【0051】
さらに、発明2にかかる炭酸化硬化体の製造方法では、短時間、かつ従来の方法と比べて比較的低圧炭酸化環境下で、機械的物性及び組織安定性に優れた炭酸化硬化体を製造できる。加えて、発明3の製造方法のようにすれば、混合物の微視的移動に充分な時間を与えて高充填化を図ることができる。したがって、緻密でより高強度の硬化体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる炭酸化硬化体の製造方法の1つの実施の形態をその工程順に説明する説明図である。
【図2】プレス板に中子を取り付けた成形型の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 無機材料
2 水
3 撹拌装置
4 混合物
5 成形型
51 プレス板
52 中子
6 賦形物
7 気密容器
Claims (3)
- 珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、及び非晶質シリカとからなり、対比重破壊強度が15〜30N/cmである炭酸化硬化体であって、珪酸カルシウムの少なくとも一部が炭酸カルシウムと非晶質シリカとにより被覆され、珪酸カルシウム及び炭酸カルシウムと非晶質シリカとにより被覆された珪酸カルシウムのアスペクト比が10〜25であることを特徴とする炭酸化硬化体。
- アスペクト比が10〜25の珪酸カルシウムを含む無機材料と水とを混合する工程と、この混合物を比重1.6〜1.9の賦形物とする工程と、その賦形物を40℃〜120℃の雰囲気中で炭酸化硬化処理する工程とからなることを特徴とする炭酸化硬化体の製造方法。
- 上記賦形物とする工程において、混合物を成形型に充填し、充填された混合物を一秒以上加圧し、その後除圧し、再度一秒以上加圧し、複数回加除圧を繰り返して賦形体を得ることを特徴とする請求項2記載の炭酸化硬化体の製造方法。
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