JP2004043283A - 炭酸化硬化体及びその製造方法 - Google Patents

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大杉 高志
Yoshihiro Nakao
中尾 喜浩
Miyuki Miyazaki
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Abstract

【課題】石膏ボード廃棄物から得られる二水石膏を多量に使用することができる高強度な無機質硬化体、及び、その無機質硬化体を低温、短時間、低圧力で製造する方法を提供する。
【解決手段】二水石膏100重量部と珪酸カルシウム20〜230重量部を含む乾燥原料粉末100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加し、密度1.6〜1.9g/cmにプレス成形して得られる炭酸化硬化体。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸化硬化体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石膏ボードは、防火性・耐火性などの面で非常に優れており、内装建材として多くの建物に古くから使用されている。そのため住宅の建設や解体時には、石膏ボードの廃棄物が多量に発生する。この石膏ボード廃棄物は、石膏ボードを構成している二水石膏を焼成して半水石膏に再生した後、得られた再生半水石膏を、新しい石膏ボードの製造原料に添加する方法により再利用が図られている。しかし、上記再生半水石膏は、品質上の問題で石膏ボード製造に必要な半水石膏の全量の約10%しか添加できず、石膏ボード廃棄物のほとんどは産業廃棄物として処分されているのが現状である。
【0003】
そこで、環境負荷を低減するために、石膏ボード廃棄物である二水石膏の更なる再利用方法が望まれている。
【0004】
二水石膏をそのまま利用する方法として、カルシウムアルミネートモノサルフェートハイドレートと石膏とを反応させ、カルシウムアルミネートトリサルフェートハイドレートを生成することで一次固化させ、その後炭酸化処理を行い、建築用の軽量でポーラスな炭酸化硬化体を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開昭53−121020号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この方法では、それほど多くの二水石膏を使用しない上、カルシウムアルミネートモノサルフェートハイドレートと石膏とを反応させるのに40℃〜70℃の加圧下で2日間養生する必要があり、炭酸化処理では40℃〜80℃の加圧下で1週間必要である。このため非常に生産性が悪い。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、石膏ボード廃棄物から得られる二水石膏を多量に使用することができる高強度な炭酸化硬化体、及び、その炭酸化硬化体を低温、短時間、低圧力で製造する方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の炭酸化硬化体(発明1)は、二水石膏100重量部と珪酸カルシウム20〜230重量部を含む乾燥原料粉末100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加し、密度1.6〜1.9g/cmにプレス成形して得られたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2記載の炭酸化硬化体(発明2)は、二水石膏100重量部と、珪酸カルシウム20〜230重量部と、アタパルジャイト又はセピオライト15〜170重量部を含む乾燥原料粉末100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加し、密度1.6〜1.9g/cmにプレス成形して得られたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3記載の炭酸化硬化体(発明3)は、珪酸カルシウムが、アスペクト比が10〜25のワラストナイトであることを特徴とする発明1又は2の炭酸化硬化体である。
【0012】
本発明の請求項4記載の炭酸化硬化体(発明4)は、石膏30〜80重量%、炭酸カルシウムA重量%、非晶質シリカB重量%からなり、A又は1.67×Bの小さい方の数値が1〜45であることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5記載の炭酸化硬化体(発明5)は、比強度が200m以上であることを特徴とする発明4の炭酸化硬化体である。
【0014】
本発明の請求項6記載の炭酸化硬化体(発明6)は、多孔材を含むことを特徴をする発明4又は5の炭酸化硬化体である。
【0015】
本発明の請求項7記載の炭酸化硬化体(発明7)は、多孔材がアタパルジャイト又はセピオライトであることを特徴とする発明6の炭酸化硬化体である。
【0016】
本発明の請求項8記載の炭酸化硬化体の製造方法(発明8)は、珪酸カルシウムを含む乾燥原料粉体100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加して成形型に充填し、一秒以上加圧し、加圧後除圧し、除圧後再度一秒以上加圧し、これを複数回繰り返して賦形体を得ることを特徴とする。
【0017】
発明1においては、用いられる二水石膏としては、焼成して半水石膏を生成するものであれば良く、例えば、住宅の建設や解体時に廃棄物として発生する廃棄物石膏ボードの構成物である二水石膏等が挙げられる。
【0018】
珪酸カルシウムとしては、例えば各種セメント材料やその水和物、鉄鋼スラグ、ワラストナイト(珪灰石)のような珪酸カルシウムやバモライトのような珪酸カルシウム水和物が挙げられるが、得られる炭酸化硬化体の機械的強度が優れていることから、ワラストナイトを用いることが好ましい。ワラストナイトとは、CaSiO で示される珪酸塩鉱物であり、白色の繊維状又は塊状物として天然に産出される。一般にその繊維状の形状を利用して、アスベスト代替品等の補強部材として利用されている。
【0019】
乾燥原料粉末には、例えば、珪砂、石炭灰、炭酸カルシウム、珪藻土、石膏などの無機質材料等併用されても良く、本発明にいう賦形性をより向上させるという点では、石膏が好ましい。
【0020】
なお、上記乾燥原料粉末には、更に、ガラスなどの無機繊維、木片、パルプ等の天然繊維、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂繊維などが添加されても良い。
【0021】
二水石膏と珪酸カルシウムと水との配合割合は、二水石膏100重量部と珪酸カルシウム20〜230重量部を含む乾燥原料粉末100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加する。
【0022】
珪酸カルシウムは、二水石膏100重量部に対して20〜230重量部が好ましく、より好ましくは30〜100重量部である。20重量部より少ないと炭酸化硬化体の強度が小さくなり、230重量部より大きいと石膏成分の含有量が小さくなり、石膏のリサイクルとして非効率的である。
【0023】
本発明において用いる水は、成形性と炭酸化反応性に寄与しており、その添加量が、二水石膏と珪酸カルシウムと多孔材をその他の添加物とを混合した乾燥原料粉体100重量部に対して、3〜30重量部が好ましい。水添加量が30重量部を超えると成形性は向上するが炭酸化反応時に蒸発する水の割合が多くなり、得られる炭酸化硬化体中の空気量が増加して炭酸化硬化体の密度が減少したり、粒子間の水膜により炭酸化反応が阻害され多利して曲げ強度が低下する。水添加量が3重量部未満であると、プレス成型時にパッキング現象(剥離割れ現象)が起こり成形性が極端に低下する。また、反応時に必要な水量が減少するため炭酸化反応量が不足し、炭酸化硬化体の曲げ強度が低下する。
【0024】
なお、本発明でいう密度とは、炭酸化硬化体の嵩密度のことであり、アルキメデス法等、一般的な測定法で求められる。
【0025】
なお、乾燥原料粉末に、更に、木片、パルプ等の天然繊維、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂繊維などが添加されて使用される場合には、ワラストナイト配合重量比率は、十分な機械的強物性を得るために、乾燥原料粉末に対し20重量%以上が好ましい。
【0026】
二水石膏と珪酸カルシウムと水との配合物は、密度1.6〜1.9g/cmとなるようにプレス成形により賦形される。一般に、炭酸化反応量は、ワラストナイトと水との接触面積に依存しており、賦形体密度を増加させることで接触面積が増加し、反応量も増える。特に、賦形体密度が1.6〜1.9g/cmの範囲内で大幅に反応量が増加し、炭酸化硬化体の強度が増加する。すなわち、賦形体の密度が1.6g/cmより小さいと炭酸化反応率が大幅に低下してしまうため、炭酸化硬化体強度が低下してしまう。また、賦形体密度が1.9g/cmを超えると炭酸化反応率が増加し、炭酸化硬化体強度の増加も認められるが、高重量、高成形圧のため工業生産性の低下や設備の大型化に繋がり不適当である。
【0027】
発明2においては、二水石膏100重量部と、珪酸カルシウム20〜230重量部と、アタパルジャイト又はセピオライト15〜170重量部を含む乾燥原料粉末100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加し、密度1.6〜1.9g/cmにプレス成形して得られたことを特徴とする。
【0028】
二水石膏及び珪酸カルシウムは、発明1のものと同様である。アタパルジャイトとは、SiOMg(OH)(OH・HOの化学式で表される含水珪酸マグネシウム化合物である。アタパルジャイトの結晶構造は、1μm程度の針状ないし繊維状であり、細かい空隙からなる。セピオライトとは、MgSi1230(OH)(OH8HOの化学式で表される化合物である。アタパルジャイト又はセピオライトは、炭酸化硬化されてなる組織と組み合わせた際、吸放湿性能の発現性、成型性の点で好適である。
【0029】
乾燥原料粉末には、例えば、珪砂、石炭灰、炭酸カルシウム、珪藻土、石膏などの無機質材料等が併用されても良く、本発明にいう賦形性をより向上させるという点では、石膏が好ましい。更に、上記乾燥原料粉末には、更に、ガラス等の無機繊維、木片、パルプ等の天然繊維、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂繊維などが添加されても良い。
【0030】
二水石膏と、珪酸カルシウムと、アタパルジャイト又はセピオライトと水との配合割合は、二水石膏100重量部と、珪酸カルシウム20〜230重量部と、アタパルジャイト又はセピオライト15〜170重量部を含む乾燥原料粉末100重量部に対して、3〜30重量部の水が添加される。
【0031】
珪酸カルシウムは、二水石膏100重量部に対して20〜230重量部が好ましく、より好ましくは30〜100重量部である。20重量部より少ないと炭酸化硬化体の強度が小さくなり、230重量部より大きいと石膏成分の含有量が小さくなり、石膏のリサイクルとして非効率的である。
【0032】
アタパルジャイト又はセピオライトは、二水石膏100重量部に対して15〜170重量部が好ましい。アタパルジャイト又はセピオライトの配合割合が15重量部より少ないと、得られる効果値の微細孔の量が少なく充分な吸放湿性能が得られず、アタパルジャイト又はセピオライトの配合割合が170重量部を超えると、炭酸化硬化体全体のおける炭酸化硬化成分の量が不足し、充分な機械的が得られない。
【0033】
混合物の配合割合について、品質上は、上記限定範囲内で適宜選択されるが、コストと二水石膏のリサイクルの観点から、珪酸カルシウムとアタパルジャイト又はセピオライト混合物との配合割合は、乾燥原料粉末全体の50重量%以下とすることが更に好ましい。なお、アパタルジャイトとセピオライトは、組み合わせて用いられても良い。
【0034】
水の配合割合は、乾燥原料粉体100重量部に対して、3〜30重量部が好ましい。水添加量が30重量部を超えると成形性は向上するが炭酸化反応時に蒸発する水の割合が多くなり、得られる炭酸化硬化体中の空気量が増加して炭酸化硬化体の密度が減少したり、粒子間の水膜により炭酸化反応が阻害され多利して曲げ強度が低下する。水添加量が3重量%未満であると、成形性が極端に低下し、プレス成形のパッキンが剥離し、賦形体に付着するとともに、反応時に必要な水量が減少するため炭酸化反応量が不足し、炭酸化硬化体の曲げ強度が低下するためである。
【0035】
なお、乾燥原料粉末に、更に、木片、パルプ等の天然繊維、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂繊維などが添加されて使用される場合には、ワラストナイト配合重量比率は、十分な機械的強物性を得るために、乾燥原料粉末に対し20重量%以上が好ましい。
【0036】
二水石膏と珪酸カルシウムとアパタルジャイト又はセピオライトと水との配合物は、密度1.6〜1.9g/cmとなるようにプレス成形により賦形される。一般に、炭酸化反応量は、ワラストナイトと水との接触面積に依存しており、賦形体密度を増加させることで接触面積が増加し、反応量も増える。特に、賦形体密度が1.6〜1.9g/cmの範囲内で大幅に反応量が増加し、炭酸化硬化体の強度が増加する。すなわち、賦形体の密度が1.6g/cmより小さいと炭酸化反応率が大幅に低下してしまうため、炭酸化硬化体強度が低下してしまう。また、賦形体密度が1.9g/cmを超えると炭酸化反応率が増加し、炭酸化硬化体強度の増加も認められるが、高重量、高成形圧のため工業生産性の低下や設備の大型化に繋がり不適当である。
【0037】
発明3では、珪酸カルシウムとして、アスペクト比が10〜25、より好ましくは15から23のワラストナイトが用いられる。これは高強度の無機質硬化体を得るためであり、そのためには、高アスペクト比のワラストナイトや、ワラストナイトを高度に粉砕処理した高反応性ワラストナイトが好適に適用されるものである。例えば、アスペクト比が10〜25の高アスペクト比のワラストナイトを使用すると、繊維補強効果に加え、炭酸化処理を行う前の賦形体の密度を高度に上げることが可能で、機械的物性に優れた成形体を得ることができる。
【0038】
ワラストナイトとしては、微粉砕処理を行った、特開2001−302295、特開2001−278616、特開2001−278679に示されるような、比表面積を増加させたワラストナイトが好ましい。また、前記以外のワラストナイト以外では、アスペクト比が10〜25のものを用いることが好ましく、15〜23のものを用いることがより好ましい。
【0039】
前述の微粉砕処理を行わないワラストナイトにおいて、アスペクト比が10未満であると炭酸化処理前の賦形工程で、ワラストナイトの配向が効率的に起こらず、賦形体の緻密化が不十分で炭酸化処理による反応速度が遅くなる恐れがあり、アスペクト比が25を超えるとワラストナイト繊維同士の絡み合いが大きく、嵩密度が大きくなり、賦形に高圧かつ長時間のプレス成形が必要となる恐れがある。なお、上記のようなアスペクト比を有するワラストナイトは、特に限定されないが、たとえば、ジェットミルなどによる粉砕と分級処理により得ることができる。
【0040】
また、高度に粉砕され、結晶構造が乱れた珪酸カルシウムを用いると、珪酸カルシウムの化学反応性が向上し、炭酸化処理時における炭酸化処理率が向上し、常温かつ短時間の処理で機械的物性に優れた無機質硬化体を得ることができる。
【0041】
発明4においては、用いられる石膏は、二水、半水、無水のいずれの状態の石膏が含まれていても良い。炭酸化硬化体の製造原料としては、いずれの状態の石膏を使用しても良いが、一般的に、廃石膏は二水石膏の状態で排出されるため、二水石膏の状態で活用することが好ましい。
【0042】
炭酸化による硬化においては、石膏は炭酸化に関与せず、充填剤として多量に使用されるため、その物性や純度は特に限定されない。例えば、石膏ボード端材や経年使用した石膏ボード端材の粉砕品など、少量の紙やビニールクロスなどの不純物が混入しても使用することができる。
【0043】
石膏成分の含有量は、炭酸化硬化体の30〜80重量%であり、より好ましくは50〜70重量%である。石膏成分が多すぎると炭酸化硬化体の強度が小さくなり、少なすぎると石膏のリサイクルとして比効率的である。
【0044】
炭酸化硬化体中の炭酸カルシウムの含有量をA重量%、非晶質シリカの含有量をB重量%とした際に、A、若しくは1.67×Bの、小さい方の数値が10〜45の範囲であり、より好ましくは15〜35の範囲である。この数値が小さすぎると炭酸化硬化体の強度が小さくなり、大きすぎると石膏成分の含有量が小さいものとなり、石膏のリサイクルとして非効率的である。
【0045】
炭酸化硬化体中の炭酸カルシウム及び非晶質シリカは、原料粉末中の珪酸カルシウムが炭酸化されて得られる。珪酸カルシウムとしては、セメント水和物やトバモライトのような珪酸カルシウム水和物や、セメントやワラストナイト(珪石灰)のような珪酸カルシウムが挙げられる。炭酸化硬化体の強度発現性の点から珪酸カルシウムを使用すること好ましく、中でも反応速度の観点からワラストナイトを用いることが好ましい。
【0046】
炭酸化硬化体に含まれる炭酸カルシウム及び非晶質シリカは、上述のように炭酸化により硬化する際に生成するものの他、充填材として添加されてなるものが含まれる。炭酸化により生成する炭酸カルシウム及び非晶質シリカの量が把握できる場合は、炭酸化により生成する炭酸カルシウム及び非晶質シリカ含有量から産出される数値が、上述の範囲であることが好ましい。
【0047】
石膏、炭酸カルシウム、及び非晶質シリカの含有量の分析、算出方法については、特に限定されるものではないが、例えば、酸、アルカリを使用して算出することができる(後述)。
【0048】
発明5の炭酸化硬化体は、比強度が200m以上を発現する。ここで言う比強度とは、曲げ強度(kg/m)/炭酸化硬化体の嵩密度(kg/m)で示される値である。比強度が200m以下の場合、板材としての実用強度が不十分である。
【0049】
発明6の炭酸化硬化体では、発明4又は5の炭酸化硬化体に多孔材を含んでいる。本発明の炭酸化硬化体は、硬化反応に寄与しない石膏を充填剤として大量に含む。そのために、構造中に大量の微細空隙が存在し、内部に多孔材を保持した場合、多孔材の空隙が有効に利用され、高い吸放湿性能が発現可能である。また、硬化温度も低温であるため、多孔材の細孔が熱により消失することがない。
【0050】
発明7の炭酸化硬化体では、発明6の多孔材がアタパルジャイト又はセピオライトとされている。これらアパタルジャイト又はセピオライトは前述と同じものであるが、100℃〜500℃で焼成したもの(メタアタパルジャイト又はメタセピオライト)を用いることが、吸放湿性能が向上し好ましい。
【0051】
炭酸化硬化体中のアタパルジャイト又はセピオライトの存在は、例えば、X線回折測定により確認することができる。即ち、炭酸化硬化体中にアタパルジャイト又はセピオライトを含む場合、銅を管球として測定したX線回折測定において、2θ=8.4〜8.6、19.8〜19.95に回折ピークが存在していることから、確認できる。更には、上記に加えて、27度から28度付近に、複数のピークからなるブロードなピークが存在することから確認できる。
【0052】
発明8は、上記炭酸化硬化体の炭酸化処理前の賦形体をプレス成形により得る製造方法である。混合物を型に充填し、一秒以上加圧し、加圧後除圧し、除圧後再度一秒以上加圧し、これを複数回繰り返して賦形体とする方法である。得られる賦形体は所定の方法で炭酸化により硬化され、炭酸化硬化体とされる。
【0053】
発明8においては、珪酸カルシウムを含む乾燥原料粉末は、発明1〜7に記載されているものがそのまま適用される。添加される水量も同様である。
【0054】
一般に、本発明のように比較的粉体に近い原料をプレス方法で圧縮成形すると、原料と型内壁面との間に摩擦力が発生するため圧縮効率が落ちる。このため賦形体の密度を1.6g/cm以上とするためには加圧時間や加圧力を増加させる必要がある。
【0055】
一方、型内壁面で発生する摩擦力は、加圧時間や加圧力とともに増加し、摩擦力が大きくなるとパッキングなどの剥離現象が発生してしまう。従って、安易に加圧時間や加圧力を増加させることができない。逆に加圧時間の短縮や加圧力を低減すると、原料同士が接着することができず、層間剥離などの現象が賦形体に発生してしまう。
【0056】
しかし、上記の製造方法を用いることで、混合物と型枠内に発生する摩擦力を低減することができ、加圧圧力を増加させることなく圧縮効率が高められるため、パッキングなどの剥離現象を発生させずに1.6g/cm以上の高密度賦形体を作製することができる。また、圧縮効率が高まるため、所望賦形体密度を得るためのプレス時間の短縮も可能である。
【0057】
加圧回数と一回当たりの加圧時間の関係は、混合物の種類やプレス装置の構造や種類により適宜決定され、特に限定されないが、パッキングなどの剥離現象抑制のためには、4回以上の加圧回数とすることが好ましい。一回当たりの加圧時間も1秒以上であれば特に限定されないが、生産効率の観点から15秒以内が好ましい。
【0058】
なお、加圧時間が1秒以上に限定される理由は、1回の加圧時間が1秒未満であると、混合物の微視的移動に充分な時間が与えられず、高充填化が望めないためである。除圧時の圧力は、特に限定されないが、圧縮効率向上の観点から、加圧時の50%以下にすることが好ましい。
【0059】
成形型の形状は、特に限定されないが、圧縮効率向上と反り抑制の観点から、型枠の両側から混合物を圧縮する中子が存在する形状が好ましい。型の材質も特に限定されないが耐久性と軽量性の面からアルミニウムが好ましい。また、型枠内に離型材を塗布することで粉体と型枠に発生する摩擦力が低減されるため、圧縮効率を高めることができる。
【0060】
本発明における混合物の混合方法は、特に限定されないが、少量の水が添加されるので、粉体の凝集発生をできるだけ抑制できる混合方法が好ましい。
【0061】
本発明における炭酸化による硬化とは、賦形体を二酸化炭素に晒す炭酸化処理により、賦形体を硬化する処理である。また、炭酸化処理とは、珪酸カルシウム化合物が炭酸化されうる処理のことを意味する。このような炭酸化処理としては、例えば、気体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を利用する方法が挙げられる。炭酸ガス濃度は任意の濃度を利用して良いが、100%に近い濃度で処理することが炭酸化の効率という点で好ましい。
【0062】
炭酸化処理温度は特に限定されないが、反応量と工業生産性の観点から、室温〜200℃の範囲が好ましく、40℃〜120℃がより好ましい。すなわち、処理温度が低すぎると、炭酸化反応量が減少するため炭酸化硬化体の強度が低下し、処理温度が高すぎると、二水石膏が半水石膏に分解して、炭酸化硬化体密度の低下や炭酸化硬化体中の欠陥を増加させるため、強度の大幅な低下に繋がる恐れがあるとともに、炭酸化反応量が少なからず増加するものの、大きなエネルギーが必要となるため工業生産性の観点からも好ましくない。
【0063】
炭酸化処理圧力は特に限定されないが、反応量と工業生産性の観点から、0.2MPa〜20MPaの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、0.5MPa〜1MPaである。すなわち、0.2MPaより低い場合、炭酸化反応量が低下し、強度が低下する恐れがあり、20MPaより高い場合、炭酸化反応量はほとんど変化せず、大きなエネルギーが必要となるため工業生産性の観点から好ましくない。
【0064】
炭酸化処理時間は、特に限定されないが、反応量と工業生産性の観点から、5〜120分の範囲内であることが好ましい。すなわち、5分より短い場合、炭酸化反応量が低下し、強度が低下する恐れがあり、120分より長い場合、炭酸化反応量はほとんど変化しないが、生産性の観点から効率的でない。
【0065】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる炭酸化硬化体の製造方法の第1の実施の形態を、その工程順に説明する説明図である。
【0066】
本発明による炭酸化硬化体を得るために、まず、図1(a)に示すように、二水石膏100重量部と、アスペクト比が10〜25の珪酸カルシウム化合物としてのワラストナイト20重量部〜100重量部とを含む乾燥原料粉体1aと水2とを、上記乾燥原料粉体100重量部に対し水3〜30重量部の割合となるように撹拌装置3に投入し、撹拌混合して混合物4aを得る。次いで、得られた混合物4aを、図1(b)に示すように、成形型5内に投入し、1回あたり1秒以上のプレス板51による加圧と除圧とを複数回繰り返し、密度が1.6〜1.9g/cmである所望の形状の賦形体6aを得る。このようにして得られる賦形体6aを、図1(c)に示すように、気密容器7中に入れ、気密容器7内を40℃〜120℃の炭酸ガス雰囲気にして、ワラストナイトの炭酸化処理を行い、炭酸化硬化体を得るようになっている。
【0067】
この炭酸化硬化体の製造方法は、以上のように構成されているので、以下のような優れた効果を備えている。
【0068】
石膏ボード廃棄物から得られる二水石膏を多量に使用することができ、低温、短時間、低圧力で製造可能な高強度な炭酸化硬化体を安価に得ることができる。また、石膏ボード廃棄物の廃棄量を少なくでき、環境保全にも役立つ。
【0069】
アスペクト比が、10〜25のワラストナイトを用いるようにしたので、配向・充填効果により低圧での炭酸化反応速度を向上させることができる。すなわち、ワラストナイトはそれ自体、常圧での炭酸化速度が非常に小さく、水和も殆ど見られないため、通常のセメント材料における残存未水和物と異なり、炭酸化硬化体中で炭酸化せずに残存した場合でも、長期の耐久性に悪影響を与えない。したがって、通常、このように反応性の低いワラストナイトを硬化させるためには長時間の反応が必要であるが、賦形時にアスペクト比の高いワラストナイトを利用することにより、低圧での炭酸化反応速度を向上させることができる。
【0070】
賦形体の密度を1.6〜1.9g/cmとしたので、炭酸化反応が効果的に進むとともに、組織が緻密化された高強度の炭酸化硬化体を得ることができる。
【0071】
40℃〜120℃の炭酸ガス雰囲気にしてワラストナイトの炭酸化処理を行うようにしたので、二水石膏の分解が起こらず高強度の炭酸化硬化体を得ることができる。
【0072】
1回あたり1秒以上のプレス板51による加圧と除圧とを複数回繰り返して所望形状に成形するようにしたので、混合物の微視的移動に充分な時間を与えて高充填化を図ることができる。すなわち、パッキングなどの剥離現象の無い緻密で高強度の炭酸化硬化体を得ることができる。
【0073】
図2は、本発明にかかる炭酸化硬化体の製造方法の第2の実施の形態をあらわしている。
【0074】
この製造方法は、図2(a)に示すように、二水石膏100重量部と、アスペクト比が10〜25のワラストナイト20重量部〜80重量部と、アタパルジャイト又はセピオライト20重量部〜80重量部とを含む無機材料1bと水2とを、無機材料1b100重量部に対して水2が3〜30重量部の割合となるように撹拌装置3に投入し撹拌混合して混合物4bを得る。次いで、得られた混合物4bを、図2(b)に示すように、成形型5内に投入し、1回あたり、1秒以上のプレス板51による加圧と除圧とを複数回繰り返し、密度が1.6〜1.9g/cmである所望の形状の賦形体6bを得る。このようにして得られる賦形体6bを、図2(c)に示すように、気密容器7中に入れ、気密容器7内を40℃〜120℃の炭酸ガス雰囲気にしてワラストナイトの炭酸化処理を行い、炭酸化硬化体を得るようになっている。
【0075】
この製造方法によれば、上記の第1の実施の形態と同様の効果を備えているとともに、ワラストナイトに加えてアタパルジャイト又はセピオライトを配合するようにしたので、炭酸化処理が行なわれることにより、珪酸カルシウム化合物から生成するシリカゲルとアタパルジャイト又はセピオライトの共存により数十nmレベルの微細孔を多く吸湿性に優れた緻密炭酸化硬化体とすることができる。したがって、壁材等として有効に利用することができる。なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されない。
【0076】
(実施例)
次に、本発明の具体的な実施例を、その比較例と対比させつつ説明する。
なお、原料のワラストナイトに関する各種測定は下記により行った。
アスペクト比:走査型顕微鏡にて観察した物の平均値。
粒径:レーザー回折式粒度分析計(セイシン企業社製、SK−LMS PRO−7000S)を使用して測定した。
比表面積:窒素ガス吸着法にて測定し(島津製作所社製 ASAP2000)、BET吸着比表面積を求めた。
【0077】
(実施例1)
原料としてのワラストナイト鉱物(ワラストナイト1)(自社粉砕品、比表面積4.9m/g、平均粒径2.6μm)500g(50重量部)、二水石膏(石膏ボード粉砕品、平均粒径12.5μm)1000g(100重量部)、水70g(7重量部)を秤量後、これら原料を高速回転式混合機(三井鉱山社製ヘンシェルミキサー、FM20−C1型、容量20リットル)で混合し、混合物を調整した。この混合物を150g秤量し、内寸150mm×80mmの平板作製用アルミニウム合金製型枠内に均一に展開し、中子をはめ込み、50トンプレス装置内に装填した。そして、面圧39MPaで1秒加圧し、その後除圧し、同圧力、同時間で再度加圧し、これを50回繰り返した後、得られた平板上の賦形体を取り出し、外観を確認後、賦形体の重量と寸法(長さ、幅、厚み)を測り、賦形体密度を求めた。その後、90℃、1.0MPa、30分の条件で炭酸化処理を行い、炭酸化硬化体を得た。
【0078】
(実施例2)
賦形体作製時において、加圧除圧の繰り返し数を30回にしたこと以外は、実施例1と同様にして炭酸化硬化体を得た。
(実施例3)
炭酸化処理時の温度を65℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0079】
(実施例4)
ワラストナイトとして、アスペクト比20のワラストナイト鉱物(ワラストナイト2)(清水工業社製、品番H1250F、比表面積0.87m/g)を用いた以外は実施例1と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0080】
(実施例5)
炭酸化処理温度を25℃とした以外は、実施例1と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0081】
(比較例1)
賦形体作製時において、面圧31MPaの60秒加圧を1回にしたこと以外は、実施例1と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0082】
(比較例2)
ワラストナイト1を150g(15重量部)、二水石膏(石膏ボード粉砕品、平均粒径12.5μm)1000g(100重量部)、水70g(7重量部)を秤量したこと以外は、実施例1と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0083】
(比較例3)
ワラストナイト1を500g(50重量部)、二水石膏(石膏ボード粉砕品、平均粒径12.5μm)1000g(100重量部)、水20g(2重量部)を秤量したこと以外は、実施例1と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0084】
上記実施例1〜6および比較例1〜3で得られた賦形体の密度、外観および得られた炭酸化硬化体の破壊強度、JIS内装タイル規格の合否、曲げ強度、密度、比強度をそれぞれ調べその結果を、混合物の原料配合割合、プレス成形条件、炭酸化処理条件とともに合わせて表1に示した。
【0085】
炭酸化硬化体の密度は、水中浸漬法(アルキメデス法)により求めた。測定の際には炭酸化硬化体に含まれる二水石膏の脱水ができるだけ生じないように、乾燥重量の測定のための資料の乾燥は、40℃の乾燥ボックスで行った。又、得られた炭酸化硬化体の成分分析に際しては、炭酸化硬化体を粉砕して分析試料とし、炭酸カルシウムは、試料を6Nの塩酸で溶解した際に発生する二酸化炭素量から算出した。又、二水石膏は、6N塩酸に溶解した硫酸イオンをイオンクロマトグラフィーにより定量した。非晶質シリカに関しては、2Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶解するものを測定し算出した。
【0086】
なお、破壊強度は、各炭酸化硬化体を120mm×50mmの大きさに切断し、市販のオートグラフを使用し、圧縮速度0.5mm/分、スパン90mmで測定した。 JIS内装タイル規格の合否は、破壊強度0.125MPa以上のものを合格、破壊強度0.125MPa未満のものを不合格とした。曲げ強度は、JIS A 5209(陶磁器質タイル)記載の3点曲げ強度試験法に準じて測定した。
【0087】
【表1】
Figure 2004043283
【0088】
上記表1から、本発明の炭酸化硬化体の場合、十分な強度を備えたものになるのに対し、比較例1のように賦形体密度が1.6g/cmを下回ると層間剥離が発生するとともに、得られる炭酸化硬化体の強度が不十分になり、プレス時間が長くても、回数が1回ではパッキング等の剥離現象が発生することがわかる。また、比較例2のようにワラストナイトが20重量部を下回ると、強度が低下することがわかり、比較例3から水の添加量が少なくなると、混合物の流動性の低下により成形性が悪くなり、層間剥離が発生することがわかる。さらに、実施例5のように炭酸化処理時の温度を低くすると、得られる炭酸化硬化体は、JIS内装タイル規格には合格するもののその強度が低下することがわかる。
【0089】
(実施例6)
ワラストナイト2を30重量部、二水石膏(市販の石膏ボード端材粉砕品、平均粒径12.5μm)100重量部、アタパルジャイト(昭和化学社製、品番#2)60重量部、水18重量部の割合で原料を高速回転式混合機(三井鉱山社製ヘンシェルミキサー、FM20−C1型、容量20リットル)に投入し、撹拌混合して混合物を調整した。この混合物を150g秤量し、内寸150mm×80mmの平板作製用アルミニウム型枠内に均一に展開し、中子をはめ込み、50トンプレス装置内に装填し、面圧39MPaで5秒間加圧し、一度除圧した後、再度同圧力同時間で加圧し、これを24回繰り返した後、平板状の賦形体を型枠から取り出した。つぎに、得られた賦形体を、二酸化炭素1.0MPa、90℃環境下で30分間放置し、炭酸化硬化体を得た。
【0090】
(実施例7)
ワラストナイト2を43重量部、二水石膏(建築解体現場にて発生した現場回収品、平均粒径12.5μm)100重量部、アタパルジャイト(昭和化学社製、品番#2)49重量部、水8.5重量部の割合で原料を高速回転式混合機(三井鉱山社製ヘンシェルミキサー、FM20−C1型、容量20リットル)に投入し、撹拌混合して混合物を調整した。この混合物を150g秤量し、内寸150mm×80mmの平板作製用アルミニウム型枠内に均一に展開し、中子をはめ込み、50トンプレス装置内に装填し、面圧39MPaで1秒間加圧し、一度除圧した後、再度同圧力同時間で加圧し、これを48回繰り返した後、平板状の賦形体を型枠から取り出した。つぎに、得られた賦形体を二酸化炭素1.0MPa、60℃環境下で30分間放置し、炭酸化硬化体を得た。
【0091】
(実施例8)
混合物中の、ワラストナイトが61重量部、アタパルジャイトが30重量部である以外実施例7と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0092】
(実施例9)
使用するワラストナイトとしてワラストナイト1を用いた以外は、実施例6と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0093】
(実施例10)
使用するワラストナイトとしてワラストナイト1を用いたこと、及び石膏を市販の石膏ボード端材粉砕品としたこと以外は、実施例7と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0094】
(実施例11)
使用するワラストナイトとしてワラストナイト1を用いたこと、及び石膏を市販の石膏ボード端材粉砕品としたこと以外は、実施例8と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0095】
(実施例12)
ワラストナイト1を55重量部、二水石膏(市販の石膏ボード端材粉砕品、平均粒径12.5μm)100重量部、アタパルジャイト(昭和化学社製、品番#2)37重量部、水20重量部の割合で原料を高速回転式混合機(三井鉱山社製ヘンシェルミキサー、FM20−C1型、容量20リットル)に投入し、撹拌混合して混合物を調整した。この混合物を150g秤量し、内寸150mm×80mmの平板作製用アルミニウム型枠内に均一に展開し、中子をはめ込み、50トンプレス装置内に装填し、面圧20MPaで5秒間加圧し、一度除圧した後、再度同圧力同時間で加圧し、これ36回繰り返し、得られた平板状の賦形体を型枠から取り出した。つぎに、得られた賦形体を二酸化炭素0.9MPa、110℃環境下で20分間放置し、炭酸化硬化体を得た。
【0096】
(実施例13)
実施例12において、プレス圧力を面圧39MPaとし、炭酸処理時間を80分とした以外は実施例8と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0097】
(実施例14)
アタパルジャイトの代わりにセピオライト(昭和鉱業社製、ミルコンMS−2)を用いた他は、実施例6と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0098】
(比較例4)
混合物中の、ワラストナイトを12重量部、アタパルジャイトを80重量部とした以外は、実施例10と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0099】
(比較例5)
混合物中の、水を2重量部とした以外は、実施例11と同様にして炭酸化硬化体を得た。
【0100】
(比較例6)
ワラストナイト1を61重量部、二水石膏(市販の石膏ボード端材粉砕品、平均粒径12.5μm)100重量部、アタパルジャイト(昭和化学社製、品番#2)30重量部、水18重量部の割合で原料を高速回転式混合機(三井鉱山社製ヘンシェルミキサー、FM20−C1型、容量20リットル)に投入し、撹拌混合して混合物を調整した。この混合物を150g秤量し、内寸150mm×80mmの平板作製用アルミニウム型枠内に均一に展開し、中子をはめ込み、50トンプレス装置内に装填し、面圧41MPaで60秒間加圧を一回だけ行い、得られた平板状の賦形体を型枠から取り出した。つぎに、得られた賦形体を二酸化炭素1.0MPa、60℃環境下で30分間放置し、炭酸化硬化体を得た。
【0101】
上記実施例6〜14および比較例4〜6で得られた賦形体の密度、得られた炭酸化硬化体の破壊強度、吸湿性をそれぞれ調べその結果を、混合物の原料配合割合、プレス成形条件、炭酸化処理条件とともに合わせて表2に示した。なお、吸湿性については、得られた炭酸化硬化体を25℃、相対湿度50%環境下で重量が平衡になるまで保持した後、25℃、90%の環境下に移し、24時間経過した時の重量変化を測定し、単位表面積あたりの吸湿量を測定した。
【0102】
【表2】
Figure 2004043283
【0103】
上記表2から、ワラストナイトとアタパルジャイト又はセピオライトを併用することによって吸湿性に優れた炭酸化硬化体を得られること、ワラストナイトよりアタパルジャイト又はセピオライトの配合割合を多くすることによってより吸湿性が上がること、ワラストナイトとしてアスペクト比10〜25のものを用いることによってより強度的に優れた炭酸化硬化体をえられることがわかる。また、比較例4からワラストナイトの配合割合を30重量部未満とすると強度的に問題がでること、比較例5から水の配合割合を3重量部未満にすると、混合物の流動性の低下により成形性が悪くなり、層間剥離が発生すること、比較例6からトータル的にプレス時間が長くても、回数が1回ではパッキング現象等の剥離現象が発生することがわかる。
【0104】
【発明の効果】
以上のように構成されているので、発明1の炭酸化硬化体は、石膏ボード廃棄物を構成する二水石膏を50重量%以上混入させても、なおかつ低温、短時間、低圧力で製造できる。すなわち、石膏ボード廃棄物から得られる二水石膏を多量に使用することができ、低温、短時間、低圧力で製造可能な高強度な炭酸化硬化体を安価に得ることができる。また、石膏ボード廃棄物の廃棄量を少なくでき、環境保全にも役立つ。
【0105】
一方、発明2の炭酸化硬化体は、珪酸カルシウム化合物に加えアタパルジャイト又はセピオライトを配合するようにしたので、炭酸化処理が行なわれることにより、珪酸カルシウム化合物から生成するシリカゲルとアタパルジャイト又はセピオライトの共存により、数十nmレベルの微細孔が多く存在し、吸湿性に優れた緻密炭酸化硬化体とすることができる。したがって、壁材等として有効に利用することができる。
【0106】
また、発明3の炭酸化硬化体のように、珪酸カルシウム化合物として、アスペクト比10〜25の珪酸カルシウム化合物を用いるようにすれば、配向・充填効果により低圧での炭酸化反応速度を向上させることができる。
【0107】
発明4の炭酸化硬化体は、炭酸カルシウムの含有量をA重量%、非晶質シリカの含有量をB重量%とした際に、A、若しくは1.67×Bの、小さい方の数値が10〜45の範囲であり、より好ましくは15〜35の範囲とされているので、石膏の含有量が多くてしかも炭酸化硬化体の強度が大きく、石膏のリサイクルとして効率的である。
【0108】
発明5の炭酸化硬化体は、比強度が200m以上であるので、板材としての実用強度が十分である。
【0109】
発明6の炭酸化硬化体は、炭酸化硬化体中に多孔材を含む。そのために、構造中に大量の微細空隙が存在し、内部に多孔材を保持した場合、多孔材の空隙が有効に利用され、高い吸放湿性能が発現可能である。また、硬化温度も低温であるため、多孔材の細孔が熱により消失することがない。
【0110】
発明7の炭酸化硬化体は、上記多孔質材がアタパルジャイト又はセピオライトであるため、炭酸化硬化されてなる組織と組み合わせた際、吸放湿性能の発現性、成型性の点で好適である。
【0111】
発明8の炭酸化硬化体の製造方法は、混合物をプレス成型して賦形体を得るに際し、一秒以上加圧し、加圧後除圧し、除圧後再度一秒以上加圧し、これを複数回繰り返して賦形体を得るので、低圧でパッキングなどの剥離現象を抑制し、緻密な炭酸化硬化体を得られるとともに、トータル的なプレス時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる炭酸化硬化体の製造方法の第1の実施の形態をその工程順に説明する説明図である。
【図2】本発明にかかる炭酸化硬化体の製造方法の第2の実施の形態をその工程順に説明する説明図である。
【符号の説明】
1a、1b 無機材料
2 水
3 混合機
4a、4b 混合物
5 成形型
6a、6b 賦形体
7 密閉容器

Claims (8)

  1. 二水石膏100重量部と珪酸カルシウム20〜230重量部を含む乾燥原料粉末100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加し、密度1.6〜1.9g/cmにプレス成形して得られたことを特徴とする炭酸化硬化体。
  2. 二水石膏100重量部と、珪酸カルシウム20〜230重量部と、アタパルジャイト又はセピオライト15〜170重量部を含む乾燥原料粉末100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加し、密度1.6〜1.9g/cmにプレス成形して得られたことを特徴とする炭酸化硬化体。
  3. 珪酸カルシウムが、アスペクト比が10〜25のワラストナイトであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炭酸化硬化体。
  4. 石膏30〜80重量%、炭酸カルシウムA重量%、非晶質シリカB重量%からなり、A又は1.67×Bの小さい方の数値が1〜45であることを特徴とする炭酸化硬化体。
  5. 比強度が200m以上であることを特徴とする請求項4記載の炭酸化硬化体。
  6. 多孔材を含むことを特徴をする請求項4又は5記載の炭酸化硬化体。
  7. 多孔材がアタパルジャイト又はセピオライトであることを特徴とする請求項6記載の炭酸化硬化体。
  8. 珪酸カルシウムを含む乾燥原料粉体100重量部に対して、3〜30重量部の水を添加して成形型に充填し、一秒以上加圧し、加圧後除圧し、除圧後再度一秒以上加圧し、これを複数回繰り返して賦形体とし、これを炭酸化して硬化することを特徴とする炭酸化硬化体の製造方法。
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Cited By (3)

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JP2022522931A (ja) * 2018-12-20 2022-04-21 クナウフ ギプス カーゲー 石膏系建築材料

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