JP4319738B2 - 繊維潜り角算出方法およびシステム - Google Patents

繊維潜り角算出方法およびシステム Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、天然木材の表面における繊維の潜り角を算出する方法及び繊維潜り角を算出するためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
壁紙や床材等の建材の表面装飾や、家具の表面装飾のために用いる化粧シートにおいては、「照り」と称される光沢を表現するために、万線パターンを直接化粧シートにエンボス加工したり、あるいは透明なシートに万線パターンをエンボス加工してエンボスシートを作成し、そのエンボスシートを木目柄等の模様を印刷した化粧シートに貼り付けて積層構造とすることが広く行われている。
【0003】
万線パターンをエンボス加工することにより「照り」が表現できる原理について以下に説明する。
図8は万線パターンをエンボス加工することにより万線条溝Gが形成されたシートEの斜視図である。シートEには幅W1の万線条溝GがW2の間隔で多数形成されている。シートEの全体の厚みD1に対して、万線条溝Gは深さD2の溝を形成しており、多数の万線条溝Gが平行に配置されている。このような万線条溝Gからなるパターンは、幅W1の凹部と幅W2の凸部との二段階の段差構造を有している。
【0004】
このような万線条溝Gが形成されたシートEは、その表面から得られる反射光の強度が位置によって異なることが知られている。これが異方性反射である。このようなシートEを見る視線を連続的に変化させると、強く反射する箇所、すなわち輝度が高く、明るく光る箇所が変化していく。これが「照りの移動」と称されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した「照り」および「照りの移動」を表現する万線パターンとしては、エンボス加工を行った場合に、天然の木材が発現するような自然な「照り」および「照りの移動」を発現できるものが望ましい。そこで、天然の木材が「照り」および「照りの移動」を発現できる原理を考えてみると、木材表面における繊維潜り角に起因していることが知られている。この原理について、以下に説明する。
【0006】
図9は、視点を真上に固定した状態での材木板表面の繊維質の配向性と鏡面反射率との関係を示す図である。材木板100の表面(切断面J)に、図に繊維方向ベクトルFとして示すような配向性をもって繊維Fが配置されているものとする。このとき、切断面Jと繊維Fがなす角ξは繊維潜り角と呼ばれている。
【0007】
そして、材木板100の上方に仮想光源200(面光源)を仮定し、この仮想光源200から材木板100の表面に対して垂直な光線が照射され、この表面からの拡散反射光および鏡面反射光を観察することを考える。この場合、観察される拡散反射光の強度は、材木板100の表面の木目模様の色成分によって左右され、この拡散反射光による画像は、いわゆる着色された模様として認識されることになる。一方、観察される鏡面反射光の強度W(光沢度)は、繊維潜り角ξによって左右され、視線方向を木材の法線方向に一致させた場合、通常、図10のグラフに示すような関係となる。より正確には、各部における鏡面反射光強度は、光の照射方向と繊維潜り角ξとの双方によって決定される。すなわち図9に示すように、切断面J上の点Pにおいて、光線方向ベクトルLと繊維方向ベクトルFとを図のように定義すれば、両ベクトルの交錯角φによって点Pにおける鏡面反射光強度が決定されることになる。上述の例のように、光線方向ベクトルLが切断面Jに対して垂直であるモデルの場合、ベクトル交錯角φ=90°−ξとなり、図10のグラフに示すように、φ=90°のときに鏡面反射光強度が最高になり、φ=0°のときに最低となる。
【0008】
実際の天然木から切り出した材木板の表面に照り模様が見られるのは、切断面上の各部分ごとに異なる繊維潜り角ξが得られるからであり、この部分毎に異なる繊維潜り角ξに基づいて照り模様が現れることになるのである。また、以上のことから、例えば図9において観察位置を変えずに仮想光源200を移動させた場合、あるいは仮想光源200の位置を固定して観察位置を変えた場合には、材木板100の照りが発現する位置が変化することになることは明らかであろう。これが照りの移動である。
【0009】
そこで、近年では、適宜な手法を用いてコンピュータにより繊維潜り角の2次元分布を求め、その求めた繊維潜り角の2次元分布に基づいて万線パターンを作成し、その万線パターンを用いてエンボス加工することが行われているが、天然の木材の表面が発現するような照り、および照りの移動を表現することができる繊維潜り角の2次元分布を求めることは非常に難しいのが現実である。
【0010】
これに対して、本出願人は、木材を異なる角度から照明して撮影し、得られた輝度値に基づいて、輝度値が最大となる光源の角度を求め、その角度に基づいて各画素位置における繊維潜り角を求める方法を、特願平10-220238において提案している。
【0011】
しかしながら、前記出願における発明により求めた繊維潜り角の分布に基づいて作成した万線パターンを用いて、輪転機でエンボス加工を行う場合、撮影の基である天然の木材の対向する辺に連続性がないため、できあがったエンボスシートには、継ぎ目ができてしまう。エンボス原版となる万線パターンを手作業で継ぎ目無くすることは、万線の総数が膨大で現実的でないことや、仮に手作業で継ぎ目を無くしても万線の方向ベクトルが連続的にならないと「照り」として見えたときに、「照りの移動」が不連続になってしまうため、事実上不可能である。そこで、本発明は、天然木材を撮影することにより得られるデータを基に算出した繊維潜り角の分布を、対向する一組の辺で繊維潜り角が連続して変化するように補正することが可能な繊維潜り角算出方法およびシステムを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、天然木材を複数の異なる角度から照明して撮影し、撮影した画像の各画素行について、光源の各画素行に対する照明角度を求め、光源と各画素との距離に基づいて撮影して得られた輝度値を補正して補正輝度値を求め、補正輝度値のうち、最大輝度を与える光源の照明角度を求め、その光源の照明角度に基づいて各画素位置における繊維潜り角を定め、各画素行位置による照明との角度の違いにより生じる繊維潜り角の各画素行位置における分布の偏りを除去し、最上位から所定数行の画素行位置における繊維潜り角と最下位から所定数行の画素行位置における繊維潜り角が、互いに対応する位置の画素において同一値になるように整合処理することを特徴とする。本発明では、特に、照明角度を撮影した画像の各画素行ごとに求めると共に、輝度値を各画素と光源との距離に基づいて補正し、求められた照明角度、補正輝度値に基づいて、繊維潜り角を求めた後、2次元スカラー場上の繊維潜り角の分布の偏りを除去し、2次元スカラー場の上端と下端の繊維潜り角が同一になるようにシームレス化するようにしたので、繊維潜り角の分布を、対向する一組の辺で繊維潜り角が連続して変化するように補正することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明による繊維潜り角算出システムの実施形態の構成を示すブロック図である。図1は、本座標系をx軸負の方向から見た状態であり、図中、1は天然木材(以下、単に木材という)、2は光源、3はカメラ、4は処理装置を示す。
【0014】
木材1は繊維潜り角を測定する対象物となるものであり、天然の木材であればどのようなものでもよい。この木材1は固定して配置される。木材1に正対してカメラ3が配置されている。このカメラ3も固定して配置される。カメラ3は、製版カメラ、TVカメラ、デジタルスチルカメラ等の画像を撮影することができるものであればよい。ここでは理解を容易にするためにデジタルスチルカメラを用いるものとする。なお、ここでは、図に示すようなxyzの直交座標系を定める。また、角度については図1のz軸を0°として、反時計回りを正とし、時計回りを負とする。
【0015】
光源2は、できるだけ平行光線を放射するものが望ましい。光線の色は白色光でよい。光源2は複数個(例えば11個)、y軸に平行でz軸を通る線上に配置されている。各光源2a〜2k(図示せず)の当該座標系における座標値は処理装置4に登録されており、各光源の点灯、消灯の制御も処理装置4で可能になっている。
【0016】
処理装置4は、パーソナルコンピュータで実現可能であり、光源2、カメラ3を制御する機能の他、照明角度算出部5、補正輝度値算出部6、補間輝度値算出部7、繊維潜り角決定部8、バイアス整合部9、繊維潜り角整合部10を有する。これらの各部は現実には、処理装置4に搭載した専用のプログラムにより機能する。
【0017】
以下、図1に示すシステムの動作について、繊維潜り角算出方法と共に説明する。まず、処理装置4により光源2aを点灯させ、他の光源2b〜2kは消灯しておく。この状態でカメラ3により木材1を撮影する。このカメラ3で撮影された画像のデジタルデータは、光源2aの当該座標系における座標値と共に処理装置4に登録される。なお、カメラ3として製版カメラを用いる場合には、撮影したフィルムを現像し、スキャナ入力してデジタル化して処理装置4に渡すようにすれば良く、またTVカメラを用いる場合には、TVカメラからの画像信号をデジタル化して処理装置4に渡せば良い。
【0018】
また、本実施形態では、後述するところから明らかなように、処理装置4において繊維潜り角測定のために用いられるのは輝度のデータのみであるから、例えばカメラ3がR、G、Bの3色の画像データを出力するものである場合には、処理装置4はGの画像データのみを取り込むようにしても良く、あるいはR、G、Bから輝度を表すデータを生成して、その輝度のデータのみを用いるようにしても良い。
【0019】
そして、処理装置4は、当該画像データを光源2aにおける画像データであることを登録する。これによって、光源2aが点灯された場合の画像データが処理装置4に取り込まれることになる。次に、光源2aを消灯し、光源2bを点灯して、カメラ3により木材1を撮影し、そのときの画像データを処理装置4に渡す。以下、同様にして、光源2c〜2kを1つずつ点灯させて木材1を撮影して、そのときの画像データを処理装置4に渡す動作を繰り返す。処理装置4は、この11枚の画像の輝度データを取り込み、それぞれの画像がどの光源に対して撮影されたかを対応させて登録する。
【0020】
ここで、各光源2をどの位置にどの位の間隔で配置するかは、任意に定めることができる。多く配置すればする程、カメラ3で撮影した木材1の画像の各画素位置における繊維潜り角を精度良く求めることができる。例えば、z軸を中心として±50°の範囲に1°間隔で配置しようとしたとする。この場合、配置する光源が101個必要となり、それに伴って撮影回数も増えるため、費用がかかると共に、作業者の負担も大きくなる。
そこで、このシステムでは、作業者の負担軽減のために、配置する間隔を比較的大きく取るようにする。例えば、配置する光源を10個程度として適当な間隔に並べれば良い。本実施形態のように11個の光源を用いた場合、11枚の画像が撮影されることになる。
【0021】
全光源に対しての撮影が終わったら、次に、撮影された各画素と各光源との照明角度をx軸に平行な各画素行ごとに求める。ここで、画素行とは画素の並びのことを言う。これは、使用する光源が点光源であるため、同一光源により撮影されたものであっても、画素位置により照明角度が異なるためである。このとき本実施形態では、x軸方向の照明角度の差は考慮しない。なぜなら、木材には木目方向と木目に垂直な方向があり、木目に垂直な方向に照明角度を変化させても、鏡面反射方向の変化が少ないため、繊維潜り角を求めるに当たって影響が少ないからである。そのため、木材を撮影する際には、木目方向が、y軸方向になるように置く必要がある。さて、照明角度は、照明角度算出部5により、各x軸に平行な各画素行ごとに以下の(数式1)により計算される。
【0022】
(数式1)
θ=atan(dy/dz)
【0023】
ここで、dy、dzはそれぞれ、着目画素行と光源とのy座標、z座標の差である。例えば、y=0の画素行と光源2の角度θを求める場合のdy、dzは、図1に示すようになる。光源は、木材を表面から照明可能な位置に配置されているため、θは−90°<θ<90°となる。
【0024】
そして、次に撮影された11枚の画像の各画素の輝度値を光源からの距離に基づいて補正する。撮影された画像における画素の輝度値は、木材1における当該画素の対応する位置の照明強度に影響され、この照明強度は光源からの距離によって定まる。そのため、撮影して得られた輝度値を、光源からの距離に基づいて補正するのである。この補正は補正輝度値算出部6により以下の(数式2)を用いて行われる。
【0025】
(数式2)
Ls=(d/ds)2×L
【0026】
ここで、Lsは補正された輝度値、Lは撮影された画像における輝度値、dは光源と補正対象画素位置の距離、dsは補正のための標準距離である。また、距離dは角度の場合と異なり、x軸方向も考慮するため、以下の(数式3)により計算される。
【0027】
(数式3)
d=√(dx2+dy2+dz2
【0028】
dx、dy、dzはそれぞれ、図2に示すように、着目画素に対応する木材1上の位置Cと光源2とのx座標、y座標、z座標の差である。補正輝度値Lsは、相対的な値が求まれば十分であるため、標準距離dsは、どんな値でも良い。ただし、標準距離dsは、全撮影画像の全画素に対して同じ値が用いられる。全ての画素に対する補正輝度値が算出されたら、処理装置4は、撮影された木材1の画像のそれぞれの画素位置における繊維潜り角を求める処理を行う。
【0029】
いま、ある画素位置に着目すると、当該画素位置については11個の補正輝度値のデータがある。これらの11個の輝度値が図3(a)の黒点で示すようであったとする。図2は横軸が照明角度、縦軸が輝度値を示している。照明角度θは式(1)で求めたものである。本実施形態では、光源を適当な位置に配置して、各画素行ごとに照明角度を算出するので、実際には、図3に示すように照明角度がちょうど10°間隔になることは滅多にないが、説明の便宜上、10°単位とした。次に、補間輝度値算出部7は、図3(a)に示す輝度値の間を滑らかに補間する。補間の手法としては、例えばスプライン関数を用いれば良い。スプライン関数によって図3(a)の黒点で示すような離散的に分布する輝度値を補間すれば、図3(b)に示すように、図中黒点で示す輝度値を通る曲線で補間できるので望ましいものである。
【0030】
そして、補間輝度値算出部7は、上記の補間を行う際に、所定の角度刻みで輝度値を求める。このときの刻み角度は小さい方が望ましい。例えば、1°刻みで輝度値を求めるものとすると、この場合には補正輝度値11個と補間輝度値90個の輝度値の計101個が得られる。そして、繊維潜り角決定部8は、これらの輝度値の中で最大輝度値をとる照明角度を求め、その照明角度の半分の角度を当該画素位置における繊維潜り角ξとし、当該繊維潜り角ξを当該画素位置に登録する。例えば図3(b)においては、最大輝度LMAXとなる照明角度はθLMAXであるので、当該画素位置における繊維潜り角ξはθLMAX/2となる。
【0031】
繊維潜り角ξをこのように定めることの妥当性は明らかである。すなわち、例えば、図4に示すように木材1の繊維イの一部が図のAに示す位置で表面に現れているとし、Aの位置における繊維イに対する垂線がロで示すようであるとすると、繊維イの繊維潜り角ξと、光源2からの照明の角度と、カメラ3で撮影される方向が図4に示す関係になるときにAで示す位置の輝度は最大になり、このとき、Aの位置における繊維潜り角ξをθとするのである。
【0032】
そして、このシステムにおいては、現在着目している画素位置について、照明角度と補正輝度値との関係から、補間によって、例えば、1°刻みの照明角度における輝度値を求め、最大輝度となる照明角度の1/2を当該画素位置における繊維潜り角とするのである。つまり、図4のAの位置の画素に着目した場合、図4に示すような位置関係で画像が撮影されることは必ずしも無いが、照明角度と補正輝度値との関係から、補間によって図4に示すような照明角度を求め、その照明角度を1/2にして当該Aの位置における繊維潜り角を求めるのである。
【0033】
そして、処理装置4は、以上の処理を、撮影した画像の全ての画素位置について行う。これによって、カメラ3で撮影された画像の全ての画素位置について繊維潜り角ξを求めることができ、各画素位置に対して繊維潜り角が登録された2次元のスカラー場を生成することができる。
【0034】
図5は、図1、図2に示すy軸方向と繊維潜り角の分布の関係を示す図である。上記のようにして、得られた2次元スカラー場は、図5(a)に示すように、この2次元スカラー場における繊維潜り角の分布がy軸方向に偏向している場合がある。図5(a)の例では、巨視的に見て、yの値に比例して繊維潜り角も大きくなる傾向にある。これは、例えば、図1の天然木材におけるy=0の位置における各光源による照明角度が図3に示すように、−50°〜50°であった場合、図1の天然木材におけるy軸方向最大の位置における各光源による照明角度は、例えば、−70°〜0°のように偏ることになり、画素行位置によってバラツキが出るためである。
【0035】
そのため、繊維潜り角決定部8の処理により、繊維潜り角が登録された2次元スカラー場が算出された後、バイアス整合部9では、繊維潜り角の分布の偏りを除去する処理を行う。図6は、繊維潜り角が登録された2次元スカラー場を示す図である。図6において、横方向がx軸、縦方向がy軸であり、図1、図2に示すx軸、y軸と対応しており、yは0≦y≦Hの値に正規化してある。ここで、この2次元スカラー場の内、y軸方向最小からB行の範囲を領域P、y軸方向最大からB行の範囲を領域Q、領域Pと領域Qに挟まれた領域を領域Rとする。この内、領域P、領域Qは、後の繊維潜り角の整合処理で重なりとする部分である。次に、バイアス整合部9は、領域Pにおける繊維潜り角の平均値vP、領域Qにおける繊維潜り角の平均値vQを算出する。続いて、領域Q内の各点の繊維潜り角には、vP−vQを加算する処理を行う。これにより、領域Qにおいて、偏りによる領域Pとの差が除去される。次に、yがB≦y≦H−Bの値をとる領域R内の各点の繊維潜り角には、r×(vP−vQ)を加算する処理を行う。ただし、r=(y−B)/(H−2B)である。これにより、領域R内では、線形的に偏りが除去される。バイアス整合部9により、分布の偏りを除去した結果、図5(a)に示した繊維潜り角の分布は、図5(b)に示すように変更される。図5(a)、(b)を比較すると、波形は同一であるが、図5(b)では、右上がりの線形成分が除去されていることがわかる。
【0036】
次に、繊維潜り角整合部10が、バイアス整合部9により処理された2次元スカラー場に対して、繊維潜り角の整合処理を行う。繊維潜り角の整合処理により、シームレス化が行われる。これは、後にこの2次元スカラー場を基に作成した万線パターンを複数つなぎ合わせた時に、つなぎ目において、万線が連続するようにするために行う。
【0037】
このシームレス化処理を概念的に説明するために、図7に示すように、2つの同一の2次元スカラー場を用意し、領域P、領域Qにより長さBだけ重ね合わせる場合を考えてみる。このとき、領域P、領域Qにおける繊維潜り角の値が領域全体にわたって同一になり、なおかつ領域Rにおける繊維潜り角の値と滑らかに変化するようにすれば、複数の2次元スカラー場を長さBでつなぎ合わせたときに、継ぎ目が目立たないことになる。
【0038】
このために、2次元スカラー場における領域P、領域Qを合成して新たな領域Sを作成する。合成のため、領域P、領域Qの座標を同一座標になるようにし、y座標値は0≦y≦Bの範囲とする。ここで、領域P内の座標(x,y)における繊維潜り角をp(x,y)、領域Q内の座標(x,y)における繊維潜り角をq(x,y)とすると、領域S内の座標(x,y)における繊維潜り角s(x,y)は、以下の(数式4)により算出される。
【0039】
(数式4)
s(x,y)=y/B×p(x,y)+(B−y)/B×q(x,y)
【0040】
これを領域P、Q内の全ての点について行うことにより、領域Sが作成される。この領域Sを領域P、Qに割り当て、図7(b)に示すような2次元スカラー場が作成される。以上の処理は、実際には、1つの2次元スカラー場の領域P、領域Qの値を書換えることにより行われる。そのため、図7(b)における領域S、Sは、領域P,Qと同一の領域を示しているが、ここでは、繊維潜り角の値が書換えられ、また、2つの領域の値が同一になったことを示すために、領域名を変更している。
【0041】
このようにして得られた、各画素位置に対して繊維潜り角が登録された2次元スカラー場を用いて万線パターンを作成し、その万線パターンを用いてエンボス加工を行えば、天然の木材の表面が発現するような照り、および照りの移動を表現することができる。このとき、繊維潜り角が登録された2次元スカラー場がシームレス化されているため、この2次元スカラー場を基に作成された万線パターンを接続しても継ぎ目が目立たないものになる。なお、各画素位置に対して繊維潜り角が登録された2次元スカラー場から万線パターンを作成する手法については周知であるので説明は省略する。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、スプライン関数を用いて補間を行ったが、ベジェ関数等の他の関数を用いて補間を行っても良い。また、光源の配置位置も木材を表面から照明可能な位置であれば、すなわち、図1におけるθが−90°<θ<90°を満たせば、どこでも良い。
【0043】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、照明角度を撮影した画像の各画素行ごとに求めると共に、輝度値を各画素と光源との距離に基づいて補正し、求められた照明角度、補正輝度値に基づいて、繊維潜り角を求めた後、2次元スカラー場上の繊維潜り角の分布の偏りを除去し、2次元スカラー場の上端と下端の繊維潜り角が同一になるようにシームレス化するようにしたので、繊維潜り角の分布を、対向する一組の辺で繊維潜り角が連続して変化するように補正することが可能になる。このため、得られる繊維潜り角が登録された2次元スカラー場を用いて、万線パターンを作成し、さらに、この万線パターンを用いて輪転機でエンボス加工を行うと、継ぎ目の目立たない製品が作成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維潜り角算出システムの一実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明の繊維潜り角算出システムの一実施形態を角度を変えて示した図である。
【図3】繊維潜り角を求めるための輝度値の補間に関する説明図である。
【図4】図3の手法により繊維潜り角を決定することの妥当性を説明するための図である。
【図5】繊維潜り角の分布を示す図である。
【図6】繊維潜り角が登録された2次元スカラー場を示す図である。
【図7】繊維潜り角整合処理を説明するための図である。
【図8】万線パターンがエンドレス加工されたシートの表面に形成された万線条溝Gの構造を示す斜視図である。
【図9】一般的な材木版における繊維方向ベクトルFと光線ベクトルLとの関係を示す側断面図である。
【図10】一般的な材木板におけるベクトル交錯角φ(繊維潜り角ξ)と鏡面反射光強度Wとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・天然木材
2・・・光源
3・・・カメラ
4・・・処理装置
5・・・照明角度算出部
6・・・補正輝度値算出部
7・・・補間輝度値算出部
8・・・繊維潜り角決定部
9・・・バイアス整合部
10・・繊維潜り角整合部

Claims (2)

  1. 天然木材を複数の異なる角度から照明して撮影する工程と、撮影した各画像の各画素行位置について、光源の各画素行位置に対する照明角度を求める工程と、光源と各画素位置との距離に基づいて撮影して得られた輝度値を補正して補正輝度値を求める工程と、この補正輝度値のうち、最大輝度を与える光源の照明角度を求める工程と、得られた最大輝度を与える光源の照明角度に基づいて各画素位置における繊維潜り角を定める工程と、各画素行位置による照明との角度の違いにより生じる繊維潜り角の各画素行位置における分布の偏りを除去する工程と、最上位から所定数行の画素行位置における繊維潜り角と最下位から所定数行の画素行位置における繊維潜り角が、互いに対応する位置の画素において同一値になるように整合処理する工程と、を有することを特徴とする繊維潜り角算出方法。
  2. 天然木材を照明する光源と、天然木材を撮影するカメラと、複数の異なる角度から照明して撮影することにより得られた各画像の各画素行位置について、光源の各画素行位置に対する照明角度を求める照明角度算出部と、光源と各画素位置との距離に基づいて前記各画像の各画素における輝度値を補正して補正輝度値を求める補正輝度値算出部と、この補正輝度値のうち、最大輝度を与える光源の照明角度を求め、得られた最大輝度を与える光源の照明角度に基づいて各画素位置における繊維潜り角を定める繊維潜り角決定部と、各画素行位置による照明との角度の違いにより生じる繊維潜り角の各画素行位置における分布の偏りを除去するバイアス整合部と、最上位から所定数行の画素行位置における繊維潜り角と最下位から所定数行の画素行位置における繊維潜り角が、互いに対応する位置の画素において同一値になるように整合処理する繊維潜り角整合部と、を有することを特徴とする繊維潜り角算出システム。
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