JP4318809B2 - コラーゲンのα鎖の分離方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコラーゲンまたはゼラチンの構成成分鎖を分離する方法に関し、また、コラーゲンまたはゼラチンの単一種類の構成成分鎖からなる分離物の製造技術に関する。さらに、本発明は、コラーゲンまたはゼラチンの単一構成成分分離物のみまたは殆ど単一構成成分を含む変性コラーゲンまたはゼラチン分離物に関する。
【0002】
【従来の技術】
コラーゲンまたはゼラチンのポリペプチド鎖は3本鎖(α1鎖が2本、α2鎖が1本)からなり、これらの分別は、従来、液体クロマトグラフ法やアルコールと硫安による沈殿法が知られているが、これらは主として分子量による分別である。これらはポリペプチド鎖を分離する方法であるが、分子量差による分離であり、α1鎖成分とα2鎖成分の分離は出来ない。
【0003】
コラーゲンまたはゼラチンのα1鎖成分とα2鎖成分は基本的に殆ど同じGly−Pro−Xのアミノ酸シーケンスを持つポリペプチドで、アミノ酸組成の差も小さいため、分子量や等電点などの基本特性の違いは極僅かであり、分離は非常に困難となっている。蛋白質の分離方法として、ポリエチレングリコール(PEGと略すことがある)−デキストラン系の様な高分子の二相分離を利用した分配法が用いられるが、コラーゲンの鎖分離には成功していない。
【0004】
α1鎖成分とα2鎖成分との分離は通常は電気泳動、特にドデシル硫酸ナトリウム(SDSと略することがある)を用いた、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により行われるが、これらの方法は分析用であり、分離した物を分取できない。又、分離能を低くした調製用のゲル電気泳動装置を用いても、処理量は多くてmgのオーダーであり、実用的分取法として使用することはできない。このため、従来はコラーゲンまたはゼラチンのポリペプチド鎖のα1鎖成分とα2鎖成分を分取し、これらの成分を含む何らかの製品を作る考えは存在せず、分取の試みもなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、コラーゲン、ゼラチン及びそれらの加水分解物に含まれる、α1鎖成分とα2鎖成分またはそのフラグメントを分離し、実用的に分取する方法を提供することにある。
【0006】
さらに本発明の課題は、α2鎖成分を含まないか、極めて少ししか含まないα1鎖成分を実用的に得る方法を提供すること、およびα1鎖成分のフラグメントを得る方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の課題は、これらのα1鎖等に分離した変性コラーゲン、ゼラチンまたはポリぺプチドの分離物を実用的必要量を充分満たす程度の量で得る方法を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の課題は、これらの有用物質を安価に製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、SDSのような陰イオン界面活性剤とPEGような非イオン性高分子または尿素のような蛋白質変性剤を共存させて、変性コラーゲンまたはゼラチンを処理することにより、コラーゲンまたはゼラチンのα1鎖成分とα2鎖成分を分離し、実用的量を分取することに成功し、本発明を完成した。さらに、この分離方法は、変性コラーゲンまたはゼラチンの加水分解物であって、α鎖成分を有することが認められるものにも応用できることも見いだした。
【0010】
したがって、本発明は、変性コラーゲンまたはゼラチンを非イオン性高分子または蛋白質変性剤および陰イオン界面活性剤を用いて処理することを特徴とするコラーゲンまたはゼラチンのα1鎖とα2鎖との分離方法にある。
【0011】
さらに、本発明は変性コラーゲンまたはゼラチンの加水分解物を非イオン性高分子または蛋白質変性剤および陰イオン界面活性剤を用いて処理することを特徴とするコラーゲンまたはゼラチン加水分解物由来のα1鎖フラグメントとα2鎖フラグメントとの分離方法にある。
【0012】
以下に本発明の内容を説明するが、本発明はここに例示したものに限定されない。
コラーゲンまたはゼラチンのα鎖の分離はポリアクリルアミドゲル電気泳動と同様にSDS溶液を添加することにより可能となるが、α2鎖の沈殿の中にα1鎖成分が含まれ、α1鎖の上澄みの中にα2鎖成分が含まれるために完全な分離には至らない。
【0013】
本発明者らは非イオン性高分子または蛋白質変性剤を添加しておくことにより、この分離が完全になることを見出した。また、本発明者らは電気泳動による分離はゲル中でのみ行われるが、非イオン性高分子または蛋白質変性剤を添加すると液中での相分離に於いてもこの分離が可能であることを見出した。電気泳動ではゲル中から目的物を含む部分を切り取り、抽出する必要があるため操作が非常に煩雑となり、殆ど実施されていなく、さらに、得られる量もμgのオーダーであり実用的でない。これに対し、本発明は簡便で、大量に処理可能で、電気泳動のような分析的方法と全く異なる実用的な分離方法である。
【0014】
本発明の方法は、原料の変性コラーゲンまたはゼラチン溶液に、非イオン性高分子または蛋白質変性剤の存在下に陰イオン界面活性剤を作用させてα2鎖を沈殿させる、または陰イオン界面活性剤と非イオン性高分子または蛋白質変性剤とを同時に作用させてα2鎖を沈殿させるのいずれの方法でも良い。現在のところ、非イオン性高分子または蛋白質変性剤の存在下に陰イオン界面活性剤を作用させてα2鎖を沈殿させる方法が、分離の程度と回収率が最も良い。上記の作用は、α2鎖の沈殿反応が完全に終了するが、ゼラチン全体が沈殿しないような量で行う。
【0015】
原理に拘束されるものではないが、本発明は負荷電を持つ陰イオン界面活性剤がα2鎖と優先的に結合し、非イオン性高分子または蛋白質変性剤を予めまたは同時に添加することにより、ゼラチン鎖の選択性を促進させるものと思われる。
【0016】
本発明の原料となる変性コラーゲンは、コラーゲンを熱、酵素及び変性剤その他の薬剤により変性乃至分別して得た変性コラーゲンを使用することが出来る。また、コラーゲンを変性して得た物で、商用ゼラチン以外のものを変性コラーゲンと称する。
【0017】
本発明の原料となるゼラチンは、コラーゲンからゼラチン製造工程を経て得られた全てのゼラチンを使用することができ、アルカリ法ゼラチン、酸性法ゼラチン等の工程によるゼラチンの種類を問わない。又、骨原料、皮原料等の原料依存性も持たない。
【0018】
変性コラーゲンまたはゼラチンの原料となるコラーゲンは、生体の硬組織の主成分となる蛋白質で、3本のα鎖がヘリックスをなす構造を持っている。本発明においては、コラーゲンには生体原料からの製造に当たり、酵素、アルカリ、酸、または塩で可溶化した全ての種類のコラーゲンを使用することができる。原料には各種生物の骨または皮等の硬組織が利用可能であり、使用するコラーゲンは原料及び組織依存性を持たない。
【0019】
本発明においては、コラーゲンまたはゼラチン加水分解物にはコラーゲンまたはゼラチンを酸、アルカリ及び酵素等により加水分解したものを使用することができる。ただし、この加水分解物はα鎖の分離が必要な程度までα鎖構成成分を残存するものである。また加水分解物は、その構成成分について言及する場合は「ポリペプチド」と、分解状態について言及する場合は「フラグメント」と称するが、これらは全てコラーゲンを構成するα鎖の加水分解物であり、基本的には同義である。
【0020】
本発明においては、原料となるコラーゲン、ゼラチン及び変性コラーゲンをα鎖のみからなるように、またはα鎖を非常に多く含むように前処理をすることが好ましい。前処理はコラーゲン、ゼラチン及び変性コラーゲンの製造工程の適当な工程において可能であり、処理方法は当業界で公知の処理方法の全てを採用できる。例えば、コラーゲンの可溶化に酵素、アルカリ、酸、または塩を使用できるが、アルカリ処理により分子鎖末端のテロペプチド部分にある架橋を切断することが好ましい。又、ゼラチン及び変性コラーゲンは限外濾過、分別沈殿等によりα鎖のダイマー及びオリゴマーを除去することができるが、精製法はこれらの例に限定されるものではない。
【0021】
本発明においては、非イオン性高分子は、非イオン界面活性剤、ビニル化合物、セルロース誘導体、多糖類等が使用可能であるが、非イオン性水溶性高分子が好ましい。非イオン性高分子には、例えば、PEG、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、CMC、デキストラン等があり、最も好ましくはPEGが選ばれる。非イオン性高分子の分子量はα鎖を分離できればどのようなものでもよいが、例えば、200〜50000程度である。非イオン性高分子の使用量は、α鎖を分離できればどのような量でもよいが、分離液全体を基準にして重量%で0.01%〜10%程度の含有量である。例えば、PEGの場合、分子量は低分子量の物でも効果があるが、分子量が大きい程効果も大きくなる。しかし、PEGは分子量が大きくなると粘度が高くなって固化するため、PEGの分子量は実用的には200〜10000程度、好ましくは400〜4000程度、最も好ましくは1000〜2000程度が選ばれる。分離液中のPEGの濃度に制限はないが、濃過ぎるとゼラチンが沈殿するため、実用的には重量%で0.01〜10%程度、好ましくは0.05〜2%程度、最も好ましくは0.1〜0.5%が選ばれる。使用できるPEGは市販の非イオン界面活性剤のグレードで良いが、分取する製品の用途により、精製品または低級品の何れでも使用可能である。
【0022】
本発明において蛋白質変性剤には尿素、グアニジン塩酸塩等が使用可能であるが、好ましくは尿素が選ばれる。蛋白質変性剤の使用量は、α鎖を分離できればどのような量でもよいが、分離液全体での濃度で0.001モル濃度〜12モル濃度が好ましい。例えば、尿素の場合、その濃度に制限はないが、高濃度過ぎるとゼラチン全体が沈殿するため0.001モル濃度〜8モル濃度、好ましくは0.05モル濃度〜2モル濃度、最も好ましくは0.01モル濃度〜1モル濃度が選ばれる。
【0023】
本発明においては、陰イオン界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、リン酸塩及び他の陰イオン界面活性剤が使用可能であるが、好ましくはSDS、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等、最も好ましくはSDSが選ばれる。陰イオン界面活性剤の使用量は、分離して得る目的のα1鎖またはα2鎖の純度に依存して決定される。α1鎖の純度を上げる目的の場合は、α2鎖の沈殿反応が完全に終了するまで添加される。例えば、SDSを使用する場合、添加するSDSの溶液濃度に制限はないが、重量%で1〜20%程度、好ましくは5〜10%溶液が選ばれる。SDSは、分取する製品の用途により、市販の陰イオン界面活性剤及び工業薬品グレードで使用可能である。
【0024】
本発明に用いる変性コラーゲンまたはゼラチン原料溶液の濃度に制限はないが、重量を基準に0.5〜15%、好ましくは1〜5%が選ばれる。これらの溶液のpHはゼラチンの等電点以下であれば良いが、pH2〜8.5、アルカリ処理コラーゲン及びゼラチンでは好ましくはpH3〜6、最も好ましくはH3.5〜4.5が選ばれる。溶液の温度に制限はなく、常温で良いが、コラーゲンの場合は可溶化し、予め変性温度以上で変性させる必要がある。
【0025】
変性コラーゲンまたはゼラチンを加水分解して得たα1鎖またはα2鎖由来のフラグメントからなるポリペプチドは、変性コラーゲンまたはゼラチンを本発明の方法を使用してα1鎖成分とα2鎖成分を分離した後、通常の方法で分解して得ることが望ましい。この場合、分解方法は蛋白質分解酵素、酸及びアルカリにより常法に従って分解し、分子量を目的とする値に制御する。酵素、酸及びアルカリは通常使用されている物全てが適用可能であり、特別な仕様を必要としない。一方、α鎖構成成分が残存している分子量が1万以上である比較的高分子の変性コラーゲンまたはゼラチンの加水分解物については、市販の加水分解物または目的の分子量に分解した加水分解物を原料にしてα1鎖由来成分とα2鎖由来成分を分離することにより得ることも可能である。この場合の分解方法も、蛋白質分解酵素、酸及びアルカリによる常法に従って実施することが出来る。
【0026】
本発明の分離法は純粋な変性コラーゲン、ゼラチンまたはその加水分解物水溶液に対して実施されるが、必要に応じて添加物を加えた状態及び溶媒を変更した場合においても、添加物の組み合わせにより同様の分離効果を得ることができる場合には適用される。
【0027】
本発明により得られた分離物はゼラチンの有用特性であるゼリー強度が大幅に改善されたゼラチンを供給する。この物性改善により、本ゼラチンはハードカプセル用ゼラチン及び写真用ゼラチンとしての利用が期待できる。
【0028】
【実施例】
(実施例1)
(1)40℃の1%アルカリ法牛皮ゼラチン溶液20mlをビーカーにとり、0.2%ポリエチレングリコール溶液(平均分子量1540:和光純薬)20mlと混合した後、この液を1N塩酸でpH3.8に調整した。この液に10%SDS(分析溶試薬を使用)溶液を少量ずつ添加し、液が白濁した後、この第一段目の白濁が一定になったところで添加を終えた。このまま添加を続けると、ゼラチン全体が沈殿し、分離が不可能となる。使用したSDS溶液の量は約0.16mlであった。白濁した溶液を遠心分離器にセットし、温度25℃、回転数19000rpmで30分間遠心分離した後、上澄みと沈殿を分離した。約40mlの上澄み液にエタノール8mlを加え、ロータリーエバポレータで約20mlにまで濃縮した。濃縮液に40mlのアセトンを加え、沈殿を生じさせた。この懸濁液を前と同一条件で遠心分離器にかけ、ゼラチンの沈殿を得た。沈殿を40℃の蒸留水20mlに再溶解し、室温に冷却した後、40mlのアセトンで再沈殿させ、遠心分離により精製したゼラチン得た。ゼラチンは再度40℃の蒸留水20mlに溶解した後、凍結乾燥して保存し、分析した。この製品の回収率は23%であった。
【0029】
図1にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)による分析結果を示した。
この分析は「コラーゲン実験法」永井裕・藤本大三郎編講談社サイエンティフィック(1986)に従って実施した。比較例として無処理の市販アルカリ法ゼラチンを同時に泳動した。図1より、分離した上澄みは殆どα1鎖成分から成っていることが分かる。
(2)SDS溶液の使用量を0.10mlとした以外は、実施例1(1)と同様にして分離し、SDSで沈殿したゼラチンを凍結保存し、分析した。図2にその分析結果を示した。沈殿は殆どα2鎖成分から成っている事が確認できる。
(実施例2)
平均分子量4000のポリエチレングリコール(和光純薬)を用いて、実施例1と同様に分離を行った。図3にSDS−PAGEによる分析結果を示した。この図から分かるように、上澄みは殆どα1鎖成分から成っていた。
(実施例3)
特公昭46−15033号公報に記載されている方法により製造したアルカリ可溶化コラーゲン10gを60℃の蒸留水lリットルに溶解した。変性を確実にするために60℃で更に30分保持した。この溶液から5mlを分取し、パギイ法(写真用ゼラチン試験法)に従って分子量分布を測定し、α鎖成分が80%以上あることを確認した。別に、前記変性コラーゲン溶液から200mlをビーカーに分取し、0.2%ポリエチレングリコール溶液(平均分子量1540)200mlと混合した。以後の処理を実施例1と同様に操作し、5回の分離を併せて5.5gの上澄みの乾燥α1成分を得た。図4から分かるように、本製品は殆どα1鎖成分から成っている。
(実施例4)
市販のアルカリ法骨ゼラチン200gを5リットルのビーカーにとり、4リットルの水を加えて膨潤後、60℃で溶解して、5%のゼラチン溶液を得た。この溶液を5%塩酸でpH3に調整した後、85℃で5時間加水分解した。この加水分解物から少量のサンプルを採り、パギイ法(写真用ゼラチン試験法)に従って分子量分布を測定し、重量平均分子量3万の値を得た。この溶液を陽イオン交換樹脂SK1B(日本錬水製)、陰イオン交換樹脂SA10A(日本錬水製)の各50mlに通液した後、蒸留水で2倍に希釈した。
【0030】
本溶液から200mlを分取し、1N塩酸でpH3.5に調整後、実施例1と同様にして処理した。但し、PEGは0.5%溶液のもの80mlを使用した。図4に分離した上澄みから得た変性コラーゲンのSDS−PAGEによる分析結果を示した。図4より、本製品は殆どα1鎖成分から成っていることが分かる。
(実施例5)
40℃の4%アルカリ法牛皮ゼラチン溶液100mlをビーカーにとり、10%ポリプロピレングリコールトリオール700(和光純薬)の溶液を2ml加えた。この液を1N塩酸でpH3.8に調整した。この液に10%SDS溶液を液が白濁するまで少量ずつ添加した。白濁した溶液を実施例1に従って処理した。この製品の回収率は18%であった。図4に分離した上澄みから得た変性コラーゲンのSDS−PAGEによる分析結果を示した。図4より、本製品は殆どα1鎖成分から成っていることが分かる。
(実施例6)
40℃の1%アルカリ法牛皮ゼラチン溶液100mlをビーカーにとり、10%ポリプロピレングリコールトリオール3000(和光純薬)の溶液を1ml加えた。この液を1N塩酸でpH3.8に調整した。この液に10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液を液が白濁するまで少量ずつ添加した。白濁した溶液を実施例1に従って処理した。図4に分離した上澄みから得た変性コラーゲンのSDS−PAGEによる分析結果を示した。図4より、本製品は殆どα1鎖成分から成っていることが分かる。
(実施例7)
実施例3に従い、アルカリ可溶化コラーゲンから1%の変性コラーゲン溶液を1リットル作った。この溶液から各200mlを4個のビーカーに分取し、各液が尿素の1モル、0.5モル、0.1モル及び0.01モル溶液になるように尿素を添加した。この各液に10%SDS溶液を少量ずつ添加し、液が白濁した後、この第一段の白濁が完全に終了するところまで添加を続けた。以後の処理を実施例1と同様に操作し、4個の上澄みの乾燥品を得た。図5から、これらの製品は殆どα1鎖成分から成っていることが分かる。
(実施例8)
40℃の1%アルカリ法牛皮ゼラチン溶液100mlをビーカーにとり、10%ポリビールアルコール1000(和光純薬)の溶液を2ml加えた。この液を1N塩酸でpH3.8に調整した。この液に10%SDS溶液を液が白濁するまで少量ずつ添加した。白濁した溶液を実施例1に従って処理した。この製品の回収率は15%であった。図4に分離した上澄みから得た変性コラーゲンのSDS−PAGEによる分析結果を示した。図4より、本製品は殆どα1鎖成分から成っていることが分かる。
(実施例9)
40℃の1%アルカリ法牛皮ゼラチン溶液100mlをビーカーにとり、15%デキストラン(和光純薬)の溶液を1ml加えた。この液を2N塩酸でpH3.8に調整した。この液に10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液を液が白濁するまで少量ずつ添加した。白濁した溶液を実施例1に従って処理した。図4に分離した上澄みから得た変性コラーゲンのSDS−PAGEによる分析結果を示した。図4から、本製品は殆どα1鎖成分から成っていることが分かる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の方法により、コラーゲン、ゼラチンおよびそれらの加水分解物に含まれるα鎖構成成分のα1鎖成分とα2鎖成分またはそのフラグメントを実用的規模で分離でき、純度の高いα1鎖またはα2鎖またはそれらのフラグメントを大量に得ることができる。これにより、これらの分離物を大量に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゼラチンを本発明の方法により分離した上澄み分離物の分析結果を示すSDS−PAGE電気泳動写真である。
【図2】ゼラチンを本発明の方法により分離したSDS沈殿分離物の分析結果を示すSDS−PAGE電気泳動写真である。
【図3】ゼラチンを平均分子量4000のPEGを使用した本発明の方法により分離した上澄み分離物の分析結果を示すSDS−PAGE電気泳動写真である。
【図4】種々の変性コラーゲンまたはゼラチンまたは加水分解物を種々の非イオン性高分子および種々の陰イオン界面活性剤を用いて本発明の方法により分離した上澄み分離物の分析結果を示すSDS−PAGE電気泳動写真である。
【図5】変性コラーゲンを種々の濃度の尿素を用いて本発明の方法により分離した上澄み分離物の分析結果を示すSDS−PAGE電気泳動写真である。

Claims (11)

  1. 変性コラーゲンまたはゼラチンを非イオン性高分子または蛋白質変性剤および陰イオン界面活性剤を用いて処理することを特徴とするコラーゲンまたはゼラチンのα1鎖とα2鎖との分離方法。
  2. 変性コラーゲンまたはゼラチンの加水分解物を非イオン性高分子または蛋白質変性剤および陰イオン界面活性剤を用いて処理することを特徴とするコラーゲンまたはゼラチン加水分解物由来のα1鎖フラグメントとα2鎖フラグメントとの分離方法。
  3. 前記非イオン性高分子がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、デキストランまたはそれらの混合物から選択され、蛋白質変性剤が尿素または塩酸グアニジンから選択され、陰イオン界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムまたはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムから選択される請求項1または2に記載の分離方法。
  4. 前記非イオン性高分子がポリエチレングリコールであり、蛋白質変性剤が尿素であり、陰イオン界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである請求項3に記載の方法。
  5. 前記ポリエチレングリコールの分子量が200〜10000である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 一方の分離物の構成成分が主としてコラーゲンまたはゼラチンのα1鎖を含む請求項1、3、4または5のいずれかに記載の分離方法。
  7. 他方の分離物の構成成分が主としてコラーゲンまたはゼラチンのα2鎖を含む請求項1、3、4または5のいずれかに記載の分離方法。
  8. 一方の分離物の構成成分が主として変性コラーゲンまたはゼラチン加水分解物由来のα1鎖フラグメントを含む請求項2、3、4または5のいずれかに記載の分離方法。
  9. 他方の分離物の構成成分が主として変性コラーゲンまたはゼラチン加水分解物由来のα2鎖フラグメントを含む請求項2、3、4または5のいずれかに記載の分離方法。
  10. 請求項6記載の分離物をさらに加水分解して変性コラーゲンまたはゼラチンのα1鎖由来のフラグメントを得る方法。
  11. 請求項7記載の分離物をさらに加水分解して変性コラーゲンまたはゼラチン由来のα2鎖フラグメントを得る方法。
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