JP4317505B2 - ベル式高炉の原料装入方法 - Google Patents
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Description
この方法では、大ベルホッパー内の粒度分布を変えることが可能であるが、粒度別に上下2層を形成するにとどまり、大ベルホッパーから装入物を炉内へ排出する際の排出順序を考慮すると、炉内に堆積した状態で炉径方向の粒度偏析を緩和する顕著な効果は期待できない。
また、小ベルホッパー内に可動式の仕切る板を設置するため、構造、装入操作が複雑である。さらに、設備費、保守費など費用負担が増大するという問題もある。
(1)小ベルを昇降して開閉する小ベルホッパーと、大ベルを昇降して開閉する大ベルホッパーとを有する原料装入装置であって、前記小ベルを下降して小ベルホッパーを開とし、小ベルと小ベルホッパー間の装入物を排出して、前記大ベルが上昇して閉となっている大ベルホッパー内に堆積させ、その後、大ベルを下降して前記大ベルホッパーを開として、該大ベルホッパー内の原料を炉内に装入するベル式高炉への原料の装入方法において、前記小ベルホッパーから排出した原料の落下位置を、前記大ベルホッパー最下部の内径をDaとすると、Daの0.70〜0.85の径領域の大ベル上面にすることにより、大ベルホッパー内に堆積する原料の粒度偏析を防止することを特徴とするベル式高炉の原料装入方法。
この条件は、(1)で、小ベルホッパーからの原料を落下させる大ベル上領域を、大ベルホッパー最下部の内径Daの0.70〜0.85の径領域に安定的に落下させるために簡易で有効な条件である。
なお、この条件は、小ベルと大ベルの上面のコーン角度、開状態の小ベルと閉状態の大ベル間の距離によって多少異なるが、このコーン角度、距離は基本的には従来レベルで変更しないものである。
基本的には、小ベルホッパー3から原料8の大ベル4上の落下位置xを、大ベルホッパー5最下部の径(内径)Daの0.70〜0.85の径領域(Dx領域)にすることにより、大ベル4上の原料8の滑走距離を短くして滑走による粒度偏析を緩和し、大ベルホッパー5内に粉・細粒を、排出中期に多く排出できる領域に堆積させ、大ベルホッパー5から炉内1iに分配装入して、炉中心領域−中間部領域で粉・細粒比率が1.0〜2.5%程度になる粒度分布のすり鉢状の原料8の堆積層(装入物層)8fを形成する。
この装入方法は、例えば、大ベルホッパー5最下部の内径Daと小ベル2最下部の外径Dbを、大ベルホッパー5最下部の内径Da/小ベル最下部の外径Dbが1.8〜2.0の範囲内になるように設定することによって容易に実現できる。
a.炉内通気性を良好に維持するためには、粉・細粒を偏積させないことが必要である 。
b.一般的に、ベル式高炉では粉・細粒が炉壁近傍に集積しやすい。
c.この炉内粒度偏析を緩和するには、大ベルホッパー内の粒度偏析状態を適正にする ことが有効である。
d.この方法としては、大ベルから炉内への落下順序を考慮し大ベルホッパー内の粉・ 細粒の集積ポイントを調整することが有効である。
e.粉・細粒の集積ポイントは、小ベルから大ベルへの落下位置に依存する。これは粒 度の自然分級上の落下点直下に粉・細粒が集積するためである。
f.一方、大ベルから炉内への装入物は、
排出初期:大ベルが下がっている途中であり、大ベル下端は高レベルにあるため、原 料落下位置は高く、落下する原料は炉壁近傍に放物線を描く軌跡で落下す る。
排出中期:大ベルは下限位置に下がって全開状態となって、該大ベルの下端位置は低 いレベルにあり、かつ、主に大ベルホッパー内の上部に堆積した原料が炉 内に落下するため、落下開始時の垂直方向の初速度が大きく、炉内への落 下位置が炉壁近傍から炉中間部側に離れた位置となり、さらに、その後、 連続的に落下してくる原料に押し流され、炉内ですり鉢状に堆積した装入 物の上面に沿って炉内中心部まで流し込まれる。
排出末期:大ベル本体側上部に堆積している原料が、大ベルの傾斜した上面を滑走し て炉内に落下することから、落下時の半径方向の初速度が大きい。このた め、落下する原料の落下放物線は炉壁側にシフトして、炉壁近傍に落下し て堆積する。
g.以上のことから、炉壁近傍での粉・細粒の偏積を緩和するためには、大ベルホッパ ーからの粉・細粒の排出順序を排出中期に多くすることが有効である。
なお、ここでは、大ベルホッパー5最下部の径Daを一定にし、小ベル2の外径Dbを変化させDa/Dbを変化させることにより、大ベル4上面の原料落下位置x領域を変化させた。
ここで、粉・細粒8sが大ベル本体側に堆積するのは、大ベル上への落下初期は大ベルホッパー5内が空であるため、装入物(原料)が大ベル上で滑走し大ベル最下部に堆積する。このとき、粒径に起因した密度差により、粉・細粒8sが大ベル本体側に多くなり、塊は大ベルホッパーの上部に多く堆積する。さらに、中期以降も落下点が、大ベルホッパー5の中心部に近いため、排出初期と同様の状態が継続し、大ベル本体側に粉・細粒の堆積が多くなることによる。
ここでは、粉・細粒8sは、排出順(1),(5),(6)に相当する位置に堆積しているため、炉内への排出初期と末期に集中し、排出中期には粉・細粒の排出が少ない。
排出初期については、図2(a)と同様であり、最下部には粉が堆積し、排出中期以降は粉・細粒8sは落下点およびその近傍に多く堆積する。その結果、大ベルホッパー5内での粉・細粒8sの堆積位置は炉内への排出順序(1)−(4)に相当する位置に多く堆積し、炉内への排出初期と中期に多く粉・細粒8sが排出され、炉壁近傍への粉・細粒の堆積を緩和することができる。
その結果は、図3に示す通りで、この結果から、炉中心領域−中間部領域での粉・細粒比率を、目標とする1.0%以上で安定確保してガス利用率50%以上を得るためには、小ベルホッパー3から大ベル4上面への原料8の落下位置xを大ベルホッパー5最下部の径Daの0.70〜0.85の径領域(Dx領域)にすればよいことが確認できた。
(高炉頂部条件)
対象高炉:2ベル式高炉
小ベルと大ベルの間隔:6400mm
小ベル上面のコーン角度:50度
大ベル上面のコーン角度:45度
大ベルからストックライン間距離:3050mm
大ベル開放平均速度:60(mm/秒)
焼結鉱と塊鉱石の混合鉱石(混合比 80:20)
装入量:70t/バッチ
粒径分布:表1に示す。
操業条件:表2に示す。
操業結果:表2に示す。
実施例:表3に示す。
比較例:表4に示す。
(1)炉径方向の粉・細粒比率(%)
炉内に装入して混合鉱石層8について、炉内を半径方向に5分割し、それぞれの分割領域毎に粉・細粒(−5mm)比率(%)を測定(算出)した。実施例では、表3の通りで、炉中心部と炉壁周辺部の粉・細粒比率の差は2.1(%)で満足できるものであった。 これに対して、比較例では、表4の通りで、炉中心部と炉壁周辺部の粉・細粒比率の差は4.7(%)と大きく、不満足なものであった。
実施例では、51%と良好であり、微粉炭吹き込み量を120kg/t−pig増やし燃料比を475kg/t−pを実現できた。
これに対して比較例では49%と不十分であり、微粉炭吹き込み量を110kg/t−pig燃料比が480kg/t−pig、また、コークス比については365kg/t−pでいずれも5kg/t−pig程度大きく不満足なものであった。
実施例では、シャフト部の通気抵抗(K)値が、1.6でガス流が安定した。この効果で、荷下がりが安定し、シャフト圧力変動が減少して炉況が安定し、出銑量11200t/日を安定的に実現できた。
これに対して比較例では、シャフト部の通気抵抗(K)値が1.65で、炉況が不安定で、出銑量は10000t/日と、実施例に比較すると10%程度少なく、不満足なものになった。
1i 炉内
2 小ベル
3 小ベルホッパー
4 大ベル
5 大ベルホッパー
6 炉壁部
8 原料
8c 原料落下流の中心線
9 原料装入装置
8s 粉・細粒
Claims (2)
- 小ベルを昇降して開閉する小ベルホッパーと、大ベルを昇降して開閉する大ベルホッパーとを有する原料装入装置であって、前記小ベルを下降して小ベルホッパーを開とし、小ベルと小ベルホッパー間の装入物を排出して、前記大ベルが上昇して閉となっている大ベルホッパー内に堆積させ、その後、大ベルを下降して前記大ベルホッパーを開として、該大ベルホッパー内の原料を炉内に装入するベル式高炉への原料の装入方法において、前記小ベルホッパーから排出した原料の落下位置を、前記大ベルホッパー最下部の内径をDaとすると、Daの0.70〜0.85の径領域の大ベル上面にすることにより、大ベルホッパー内に堆積する原料の粒度偏析を防止することを特徴とするベル式高炉の原料装入方法。
- 前記大ベルホッパー最下部の内径と前記小ベル最下部の外径の比が1.8〜2.0であることを特徴とする請求項1に記載のベル式高炉の原料装入方法。
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