JP4317279B2 - 排風管に旋回空気流入装置を備えた噴霧乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は粉体製造のために乾燥塔出口からサイクロンまでの排風ダクトの構造に工夫を凝らした噴霧乾燥装置及びその噴霧乾燥装置の運転方法に関する。
さらに詳しくは、溶解性が良好でブロッキングの少ない高品質な食品粉体の製造と、噴霧乾燥装置の連続長時間安定製造によって、ランニングコストを低減する新しいタイプの噴霧乾燥装置及びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在の噴霧乾燥装置の種類は熱風の流入方法によって並流型、向流型又は混流型の3種類に大別される。このうちの並流型のなかに含まれる下降並流型において、流動層と組み合わせて多段乾燥装置としているものが、食品粉体、特に乳原料粉体の乾燥では主流であり、その排風ダクトは乾燥塔下部につなぐのが一般的である。
通常、乾燥塔を出た排風は含塵濃度が高く、そのまま排気すると損耗が大きく、また、プラント周辺に公害を及ぼすため、サイクロン等の固気分離機器に導き、低含塵濃度の排風にしてから排出する。乾燥塔を出た排風をサイクロン等に導くために、排風ダクトは乾燥塔の下部で曲折部を持ち、さらに一度上向きに曲がってからサイクロン等に接続される構造を持つのが普通である。
この排風ダクトの曲折によって、高脂肪粉や乳糖の多い粉等の付着性の高い食品粉体は、慣性と配管中の風速分布によって排風ダクト内壁に衝突し、徐々に付着が厚くなり、やがて堆積する結果となる。
【0003】
従来、これを防止する手段として、排風ダクト底部に多孔板を設けてその裏面より空気を供給する機構を設けたり、排風空気と同じ流れ方向に2次空気を流す機構等を設ける工夫がなされた例があるが、メンテナンスの問題や付着防止効果の不足等の問題があった。また、付着してしまった粉体を剥がすためにはノッカー等で衝撃を与えて剥離させる方法があるが、付着性の高い粉体の場合には効果が薄く、また、塊の伏態で剥がれ落ちるため、その塊を破砕しなければ利用できず、そのまま製品とすることはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、糖分や脂肪分等の成分を多く含有しているために付着性が高い食品粉体は製造設備、特に乾燥塔の排風ダクト内壁面で付着を生じ、乾燥装置の長時間の連続運転を困難にする。この付着はエアノッカー等の衝撃で一時的に剥がすことも可能であるが、成長し始めると剥がれ落ち難くなり、剥がれた場合は塊の状態で剥がれ落ち、この剥がれ落ちた粉塊は製品としての利用が困難である。
一方、多孔板や排風管主流の流れ方向に沿って空気を流すスリットでは、配管の曲折部分の空気がぶつかる個所に設置することとなり、粉の衝突による目詰まりを起こしやすく、付着を十分に防止できないため、メンテナンスの上で問題があった。
【0005】
特に減率乾燥期の乾燥を流動層で行なわせる多段乾燥装置において、流動層を乾燥塔に内蔵しているタイプの多段乾燥装置の場合は、流動層への落下水分が製品水分より高い。したがって、その流動層に落下せずに排風管に流れ込む排風も、比較的高水分の粉、すなわちより付着しやすい粉を含んでいる。そこで、この微粉を乾燥すれば付着防止に効果が得られるとともに、最終的な粉体製品の水分の徴調整にも利用が可能となる。
一方、粉体製品の性状からは、速やかな冷却が必要なものがある。例えば全粉乳は遊離脂肪を含み、温度が高い状態で壁面に衝突すると、容易に壁面上に張り付いて堆積し始める。また、他の熱で融解する物質は速やかに冷却しなければ固化せず壁面に付着してしまう。さらに、品質に悪影響を与える場合もある。したがって、この部分に冷却機構を取り付けることで粉体製品の性伏を安定化させ、付着が軽減でき、品質の向上に寄与できる。
【0006】
【問題を解決するための手段】
本発明の噴霧乾燥装置は、主として下降式並流型噴霧乾燥装置においては乾燥塔下部に接続された円筒形排風ダクト内壁面に沿って空気を吹き出し、旋回流を生じさせるように、送風スリット、エアノズル又は細管列を設けることを特徴とする。
本発明の噴霧乾燥装置では、旋回流を生じさせるのに、設置位置を選ばず、排風ダクトならばどこに設置しても効果が得られるので、粉が衝突して目詰まりを起こしにくい位置に取り付けが可能であり、安定的に噴霧乾燥装置を運転することができる。
【0007】
また、配管の長手方向に旋回流を生じさせる機構を複数個設けることで、ある程度の長い区問において付着防止効果を持たせることができる。さらに、配管内に旋回流を発生させることで、遠心力により固気分離が生じると同時に、粉体が螺旋状に流れることにより移動距離が伸び、滞留時間が延長される。その結果、排風中に含まれる粉体を選択的かつ効果的に乾燥又は冷却することが可能となる。これは、多段型の乾燥装置において特に有効である。多段型の乾燥装置では、乾燥1段目の熱風との混合によって最終水分まで粉を乾燥せずに、乾燥2段目の流動層で最終水分とするため、高水分を有する微粉を含んだ排風が、排風ダクト内に流入する。また、付着性の高い粉体である場合は特に、配管の曲折がある部分等で付着を生じ、さらに運転を続けると、付着が成長して堆積状態となってしまう。これは不要なメンテナンス作業を増やす原因となる。
【0008】
図に基づいて、本発明の噴霧乾燥装置及びその運転方法を説明すると、図1は本発明の多段乾燥システムの全体図、図2は本発明の排風ダクトの旋回空気発生機構の概念図、図3は本発明の旋回空気発生ボックスの構造の斜視図を示す。また、図4は製品水分の経時変化を、図5はサイクロンで回収した微粉を搬送するための空気圧の経時変化を示し、特に冷却前後の効果を示す。
図1の全体図においては、乾燥搭1頂部のノズル2から噴霧された液滴は熱風と混合しながら乾燥され、乾燥搭1下部に取り付けられた内部流動層3に落下する。一方、微粉は内部流動層3の中央にあるダクト4aを通り、排風ダクト4bを経てサイクロン5で微粉を分離する。排風ダクト4bに流れ込む空気に含まれる微粉は、内部流動層3で滞留せずに直接流れ込むものが大部分で、水分が高めのものが多く、排風ダクトの曲折部で粉体の付着を生じ、付着性の高い粉体の場合には堆積する。本発明では、排風ダクト4bに旋回流発生機構を設け、付着防止、微粉冷却、及び乾燥を行えるようにしている。
【0009】
本発明では、内部流動層3から排風ダクト4bを経てサイクロン5に至る部分の構造に特徴を有するものであって、更に詳細に説明する。
1は噴霧乾燥装置の乾燥塔で、頂部に噴霧のためのノズル2があり、乾燥用一次熱風とともに濃縮乳等が乾燥塔内に噴霧される。乾燥塔1の底部には二重円筒構造の内部流動層3がある。4a及び4bは内部流動層に連通する排風ダクトでサイクロン5につながっており、その排風はパイプ7を通じて排風ブロア6から排出される。
サイクロン5で回収された微粉は、ブロア8でパイプ9を通じて切替バルブ10に導かれ、切替バルブ10からパイプ11を通じて外部流動層12の入口13に、パイプ14を通して外部流動層の出口15にそれぞれ導かれる。また、切替バルブ10からパイプ16を通じて内部流動層3に導くこともできる。
【0010】
内部流動層3には、ブロア17からヒーター18を通じてパイプ19で粉体流動乾燥用温風が送られる。内部流動層3にたまった粉体は、パイプ20入口に設けられた堰からあふれ出てロータリーバルブ21を経て外部流動層12内に流入し、ブロア22からヒーター23を通じてパイプ24で温風が外部流動層12に送られ、前半部で粉体を乾燥し、ブロア25からクーラー26を通じてパイプ27で冷風が外部流動層12に送られ、後半部で粉体を冷却する。
ブロア28からはヒータ一29を通じて環体30に温風が送られ、乾燥塔1の中間部に設けられた旋回空気発生用のノズルから温風が乾燥塔l内の内壁面に沿って吹き出される。
【0011】
また、本発明では、以上のような噴霧乾燥装置において、ブロア31からヒーター又はクーラー32を通じて発生させた熱風又は冷風をパイプ33を通じて排風ダクト4bの長手方向に並ベて設置したスリット34に供給し、周方向に旋回空気を発生させることを特徴とするものである。
具体的には、図2に示すようにスリットの付いたボックス36a〜36cを排風ダクト35に並べて設置しており、一つ一つのボックスは図3に示すようになっている。ブロアから送られた空気は空気入口39よりボックス38内に入り、排風ダクト(内壁面)37に沿って旋回空気吹出しスリット40より、旋回空気を吹き出し、一定方向の旋回空気を作る仕組みとなっている。
【0012】
乾燥塔1に噴霧された濃縮乳(水分45〜60%)は、一次熱風により瞬間的に脱水乾燥(水分5〜8%)され、一部は内部流動層3に直接落下し、一部は排風に伴って排風ダクト4bからサイクロン5に導かれる。この排風に伴って排風ダクト4bに流入した粉体は、その物理的性質によって特に付着性が高い場合、排風ダクト4bの曲折部分でダクト内壁に衝突して付着し始め、堆積するものがある。
例えば脂質28%、糖質49%の調製食品粉体の噴霧乾燥を行った場合では、噴霧乾燥開始後4時間で回収製品量に対し約5%の粉体が堆積したが、本発明の噴霧乾燥装置で同様の粉体食品を製造した場合においては、粉体の堆積はほぼ皆無となり、10時間以上の連続運転が可能であった。
また、本発明の噴霧乾燥装置で、脱脂粉乳の噴霧乾燥を行うに際して、排風ダクト4bにヒーター32を通じてスリット34に、乾燥塔に供給した空気量の3%の空気量(重量比)で、95℃の熱風を通した場合には、熱風を通さない場合と比較して、僅かであるが、図4に示すように、平均で0.07%の水分低下が認められた(図4中の最初の3点は運転開始時の不安定な値であると見なされる)。したがって、この運転方法により、最終的な水分微調整ができ、より安定した効果が得られる。
【0013】
また、本発明の噴霧乾燥装置で、脂質28%、糖質49%の調製食品粉体の噴霧乾燥を行うに際して、排風ダクト4bにクーラー32を通じてスリット34に、乾燥塔に供給した空気量の3%の空気量(重量比)で30℃の空気を通して冷却した場合には、図5に示すように、サイクロンでの微粉の搬送圧力の減少が認められた。つまり、この運転方法により、微粉の冷却による性状の安定化と付着軽減の効果が現れている。
【0014】
【発明の結果】
多段噴霧乾燥装置は、2段階ないしは3段階で乾燥を行うことにより、製品への熱による悪影響を軽減し、エネルギー的にメリットが得られるということで、普及してきた噴霧乾燥装置である。脱脂粉乳等のように性状が良好な食品粉体を大量生産する場合は、ほとんど問題が生じなかったが、様々な組成や物理的性状を有する食品粉体等を製造する場合には、1段目の乾燥で完全に乾燥しないが故に問題が生ずる場合がある。
上述したように、本発明は、特に付着性の高い粉体を製造する場合に問題となる排風ダクト内壁面での粉体の付着を軽減し、必要に応じて冷却、乾燥を効率的に行う噴霧乾燥装置を提供するものである。そして、結果として、本発明を利用することで設備のメンテナンスが容易になり、製品の歩留が向上し、品質の良好な食品粉体を製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における多段乾燥システムの全体図
【図2】 本発明の排風ダクトの旋回空気発生機構の概念図
【図3】 本発明の旋回空気発生ボックスの構造の斜視図
【図4】 製品水分の経時変化を示す図
【図5】 サイクロンで回収した微粉の搬送するための空気圧の経時変化を示し、特に冷却前後の効果を示す図
【符号の説明】
1 ;噴霧乾燥装置の乾燥搭
2 ;ノズル
3 ;内部流動層
4a及び4b;排風ダクト
5 ;サイクロン
6 ;排風ブロア
7 ;パイプ
8 ;ブロア
9 ;パイプ
10;切替えバルブ
11;パイプ
12;外部流動層
13;外部流動層入口
14;パイプ
15;外部流動層出口
16;パイプ
17;ブロア
18;ヒ−タ−
19;パイプ
20;パイプ
21;ロ−タリ−バルブ
22;ブロア
23;ヒ−タ−
24;パイプ
25;ブロア
26;クーラー
27;パイプ
28;ブロア
29;ヒ−タ−
30;環体
31;ブロア
32;ク−ラ−又はヒーター
33;パイプ
34;スリット
35;排風ダクト
36a〜36c;ボックス
37;排風ダクト(内壁面)
38;ボックス(36a〜36c)
39;空気入口
40;旋回空気吹出しスリット
Claims (2)
- 乾燥塔出口からサイクロンまでの排風ダクトにおいて、円筒形状の排風ダクト内壁面に沿ってスリット、エアノズル又は細管列によって空気を吹き込み、旋回流を与える構造を有し、供給した空気によって粉体の冷却又は粉体の乾燥、及び搬送を行う噴霧乾燥装置。
- 請求項1の噴霧乾燥装置において、排風ダクト内壁面に沿って供給した空気によって、排風ダクト内壁での粉の付着を防止する噴霧乾燥装置の運転方法。
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JP31048398A JP4317279B2 (ja) | 1998-10-30 | 1998-10-30 | 排風管に旋回空気流入装置を備えた噴霧乾燥装置 |
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ID=18005786
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JP31048398A Expired - Lifetime JP4317279B2 (ja) | 1998-10-30 | 1998-10-30 | 排風管に旋回空気流入装置を備えた噴霧乾燥装置 |
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