JP4316750B2 - 平型蛍光表示管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は蛍光表示管に関し、特に厚みが薄く表示面積を広くした平型蛍光表示管に関する。
【0002】
【従来の技術】
蛍光表示管は、一方が透明な真空容器の中でカソードから放出される電子を蛍光膜に衝突発光させて所望のパターンを表示する電子管であり、蛍光膜は表示すべきパターンの形状で陽極上に塗布された蛍光体で構成されている。従来の一般的な平型蛍光表示管は、図12に示すように、ガラス基板201と、ガラス基板201上に設けられ陽極204やグリッド206をリード211と接続する配線層202と、配線層202上に配置されスルーホール203aを有する絶縁層203と、絶縁層203上に配置されスルーホール203aを介して配線層202と接続された陽極204と、陽極204上に所定のパターンで配置された蛍光膜205と、蛍光膜205と対向して配置されたカソード207と、蛍光膜205とカソード207の間に設けられたグリッド206と、透明なフロントガラス209と前述したガラス基板201及びそれらに挟まれた枠状の側壁208から構成され気密封着された外囲器とで構成されており、外囲器内が10-3〜10-5Paの真空度に保たれている。そして、側壁208とガラス基板201との接触部を貫通して複数のリード211が設けられ、これらのリード211により上述したカソード207、グリッド206及び陽極204へ外部から電気信号が与えられている。蛍光表示管では表示に蛍光体の発光を用いるため、表示パターンは陽極上に配置された蛍光膜のパターンで決まり、表示色は蛍光体の種類によって決まる。
【0003】
従来、前述した平型蛍光表示管には電子放出源として、主に、直径7〜20μmのタングステンの細線に、電子放射性物質を塗布して形成したフィラメント(フィラメントカソード)が使用されている。この場合、フィラメントは、電極リードを兼ねた1対のフィラメントサポートと呼ばれる金属薄板に溶接固定されたアンカーと呼ばれる弾性を有する金属薄板に取り付けられており、パターン表示は、フィラメントサポート間に電圧を印加してフィラメントに電流を流すことにより、加熱されたフィラメントから放出された熱電子が陽極に向かって加速され、所定のパターンに形成された蛍光膜に衝突して蛍光膜を発光させることで行う。パターン表示をON/OFFする場合は、カソードと蛍光膜の間に設けたグリッドに印加する電圧の正負を切り替えて行う。このように、通常は電子の動きを制御するためのグリッドをカソードと蛍光膜の間に設けた3極管構造のものが最も多く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の平型蛍光表示管では、電子放出源として上述したようなフィラメントを用いているため、次に示すような問題点があった。
まず、非常に細くぜい弱なフィラメントを架張して取り付け組み立てなければならないため、フィラメントを長くすることができず、表示面積を広くしようとすると表示面にフィラメントサポートとアンカーを設けてフィラメントを配置する必要があり、画面の表示密度を犠牲にすることなく表示面積を広くすることができなかった。また、大気圧によって外囲器がたわむため、表示面積の拡大に限界があった。
この発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、薄型で、かつ表示面積の広い平型蛍光表示管を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、この発明の平型蛍光表示管は、少なくとも一部が透光性を有する表示面を構成するフロントガラスおよびこのフロントガラスに対向配置された基板を含みかつ内部が真空排気された外囲器と、表示面側の外囲器内壁に所定の表示パターンで配置された陽極およびこの陽極上に配置される蛍光体とからなる発光部と、この発光部と対向した外囲器内の基板面上に配置されて所定の電位が印加される表示パターンに対応したパターン形状を有する電子放出部と、この電子放出部と発光部との間に所定の間隔を設けて配置された電子放出部から電子を引き出すための電子引き出し電極と、フロントガラスと基板との間に複数配置されフロントガラスと基板とを所定の間隔に離間させて支持する支持部材と、フロントガラスの発光部を囲む位置から基板側に垂下されたリブ状壁と、このリブ状壁の下端部に形成されて、発光部と電子引き出し電極との間に配置され電子の動きを制御する制御電極と備え、各支持部材は、基板面からフロントガラス側に垂設された基板側支持部材と、フロントガラスから基板側に垂下された表示面側支持部材とから構成され、基板側支持部材と表示面側支持部材とは、電子引き出し電極が配置されている箇所では各々の端部が電子引き出し電極を介して接しており、電子引き出し電極が配置されていない箇所では各々の端部が直接接していることによってを特徴づけられる。
【0006】
この場合、電子放出部の一構成例は、円筒状のグラファイトの層からなるカーボンナノチューブから構成されている。電子引き出し電極の一構成例は、メッシュ状の金属板によって構成されており、かつ基板側支持部材で支持されている。前述した平型蛍光表示管の別の構成例は、電子放出部と発光部が1対1で対応するように構成され、かつ外囲器内に複数設けられている。前述した平型蛍光表示管のさらに別の構成例は、1つの電子放出部と複数の発光部とを備えている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に図を用いてこの発明の実施の形態を説明する。はじめに、この発明の平型蛍光表示管の参考例について説明する。図1は、この発明の平型蛍光表示管の参考例を示し、そのII−II線断面を図2に、III−III線断面を図3に示す。また、この平型蛍光表示管の表示するパターンを図4に示す。この平型蛍光表示管は、表示面となる透明なフロントガラス109上に所定の表示パターンで形成された複数の発光部140と、これらの発光部140と対向してガラス基板101上に表示パターンと対応したパターンに形成された電子放出部120とを備えており、発光部140と電子放出部120は1対1で対応している。この電子放出部120は、ガラス基板101上に形成された基板電極121上に形成されている。
【0008】
基板電極121は、ガラス基板101上に設けられたパターン配線135を介して電極パッド136に接続されており、電極パッド136には、ガラス基板101とスペーサガラス108の間のフリットガラス110を貫通して設けられた陰極用リード127がフリットガラスを含んだ導電ペースト137で固着されている。この基板電極121は、電子放出部120と1対1で対応するように個別に陰極用リード127と接続するようにしてもよいし、1つの陰極用リード127にすべての基板電極121を接続したり、基板電極121を複数のブロックにまとめてブロックごとに陰極用リード127へ接続するようにしてもよい。この参考例では、図2に示すように、2つの電子放出部120に1つの基板電極121を対応させたブロックと、1つの電子放出部120に1つの基板電極121を対応させたブロックとを設けている。ブロックに分ける場合、ブロックによってエミッション電流が大きく異なることがないように、電子放出部120の面積をブロック間でできるだけ均一にすることが望ましい。
【0009】
電子放出部120の周囲には、電子放出部120を挟んでガラス基板101上から所定の高さで基板側支持部材130が垂設されており、電子放出部120の上方に配置された電子引き出し電極125を支持している。なお、基板側支持部材130には、大気圧によるフロントガラス109とガラス基板101のたわみを防ぐ支持部材の一部を構成しているものもあり、表示面と基板とを所定の間隔に離間するため必要に応じて電子放出部120の内側や電子放出部120から離れた領域にも島状やリブ状の基板側支持部材130が垂設されている。
【0010】
電子引き出し電極125は、電子放出部120に面する部分に引き出した電子を通過させる開口部125aが多数設けられた金属板によって構成されており、電子放出部120と1対1に対応するように設けられている。また、電子引き出し電極125は脚部を有し、この脚部は、フリットガラス138でガラス基板101に固着されるとともに、一部がガラス基板101とスペーサガラス108の間のフリットガラス110を貫通して外部に突出しており、突出部は電子引き出し電極用リード128として使用される。
【0011】
また、ガラス基板101に対向して透明なフロントガラス109が配置されており、このガラス基板101とフロントガラス109は、端部に配置された枠状のスペーサガラス108により所定の間隔で離間されている。ガラス基板101とスペーサガラス108、及びスペーサガラス108とフロントガラス109は、それぞれ低融点のフリットガラス110により接着固定されて外囲器を構成しており、外囲器内が10-3〜10-5Paの真空度に保たれている。
【0012】
この外囲器内において、フロントガラス109の内面には所定のパターンで複数の発光部140が形成されており、この発光部140は、フロントガラス109内面に所定の表示パターンで配置された陽極となる透明電極141と、この透明電極141上に配置された蛍光体膜142とから構成されている。透明電極141は、フロントガラス109表面に形成されたパターン配線145及び電極パッド146を介して対応する陽極用リード129に接続されている。陽極用リード129は、電極パッド146にフリットガラスを含んだ導電ペースト147で固着されるとともに、スペーサガラス108とガラス基板101の間のフリットガラス110を貫通して外部に突出している。
【0013】
発光部140の周囲の基板側支持部材130と対向する位置には、フロントガラス109内面から所定の長さで表示面側支持部材131が垂下されており、基板側支持部材130と電子引き出し電極125を介して接することにより大気圧によるフロントガラス109とガラス基板101のたわみを防ぐ支持部材を構成している。この表示面側支持部材131は、表示面と基板とを所定の間隔に離間するため必要に応じて発光部140の内側や発光部140から離れた領域の基板側支持部材130と対向する位置にも垂下される。この場合、電子引き出し電極125が載置されていない基板側支持部材130に対向する表示面側支持部材131は、電子引き出し電極125の厚さ分だけ長く形成しておくことは、言うまでもないことである。なお、基板側支持部材130と表示面側支持部材131の平面形状は同じである必要はなく、大気圧を支える断面積が得られればよいのであって、例えば一方が他方より小さくともよく、両者が交差するようにしてもよい。
【0014】
ここで、外囲器を構成するガラス基板101、フロントガラス109及びスペーサガラス108は、ソーダライムガラスを用いており、ガラス基板101とフロントガラス109は厚さ1〜2mmの板ガラスを使用する。基板電極121は、10μm程度の厚さとなるように銀あるいはカーボンを導電材料として含んだ導電性ペーストを所定のパターンでガラス基板101にスクリーン印刷した後、焼成して形成している。この場合、基板電極121は、前述した印刷で形成するものに限られるものではなく、例えば、周知のスパッタリング法とエッチング法を用いて形成された厚さ1μm程度のアルミニウム薄膜で構成してもよい。
【0015】
電子放出部120は、導電性を有する粘性溶液に複数のカーボンナノチューブが集合して構成されたバンドルを分散させたバンドルペーストを所定のパターンで基板電極121上にスクリーン印刷した後、焼成し、その後に表面をレーザ照射して表面の導電性粒子、バインダー及びバンドル中の炭素の多面体粒子を蒸発させて除去し、形成している。この電子放出部120は厚さ20〜100μmで、図5(a)に示すように、導電膜122から露出したバンドル123表面に多数のカーボンナノチューブが均一に分布しており、それぞれのカーボンナノチューブが電子放出源として動作する。
【0016】
カーボンナノチューブは、図5(b)で模式的に示すように、グラファイトの単層が円筒状に閉じ、かつ円筒の先端部に五員環が形成された構造をしており、その直径は4〜50nmと微小のため、低速電子線励起蛍光体を発光させる100V程度の電界を印加することにより電子を電界放出させることができる。なお、カーボンナノチューブには、図5(b)に示した単層のものと、複数のグラファイトの層が入れ子構造的に積層し、それぞれのグラファイト層が円筒状に閉じた同軸多層構造となっているものとがあるが、どちらを用いてもよい。また、カーボンナノチューブを露出させる方法は、レーザ照射に限られるものではなく、例えばプラズマを用いた選択的なドライエッチングを用いてもよい。
【0017】
基板側支持部材130は、電子放出部120を挟むように低融点のフリットガラスを含む絶縁ペーストを所定の高さになるまでガラス基板101上に繰り返しスクリーン印刷した後、焼成して形成した絶縁体で構成されている。基板側支持部材130の高さは、電子放出部120と電子引き出し電極125の間で放電が発生しない範囲で低くすることが望ましく、この場合、電子放出部120の厚さ20〜100μmに対応して100〜200μm程度とした。なお、基板側支持部材130を形成する方法は、これに限られるものではなく、例えばガラス基板101を研削あるいはエッチングして形成してもよい。電子引き出し電極125は、厚さ50μmのステンレス板で構成されており、エッチングにより口径20〜100μmの多数の開口部125aが形成されている。また、この電子引き出し電極125は一部が折り曲げられており、基板側支持部材130と同じ高さの脚部と、電子引き出し電極用リード128が形成されている。
【0018】
透明電極141は、透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)膜から構成されており、周知のスパッタリング法とリフトオフ法を用いてフロントガラス109の内面に所定のパターンで形成されている。なお、透明導電膜の代わりに、周知のスパッタリング法とエッチング法を用いて開口部を有するアルミニウム薄膜を形成し、透明電極141としてもよい。蛍光体膜142は、所定の発光色を有する低速電子線励起蛍光体で構成されており、蛍光体ペーストを所定のパターンで透明電極141にスクリーン印刷した後、焼成して形成したものである。この低速電子線励起蛍光体には、蛍光表示管で一般的に使用されている周知の酸化物蛍光体や硫化物蛍光体が使用できる。なお、表示パターンごとに蛍光体の種類を変えて発光色を異なるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0019】
表示面側支持部材131は、低融点のフリットガラスを含む絶縁ペーストを所定の高さになるまでフロントガラス109内面の所定位置に繰り返しスクリーン印刷した後、焼成して形成した絶縁体で構成されている。この場合、表示面側支持部材131の幅を30〜150μm、高さを500μm程度とした。なお、表示面側支持部材131を形成する方法は、これに限られるものではなく、例えばフロントガラス109を研削あるいはエッチングして形成してもよい。
【0020】
この参考例の平型蛍光表示管は、このように構成したので、電子引き出し電極125に正の電位が印加された状態で、基板電極121の所定の配線に負の電位を印加することで、その配線に接続されている電子放出部120のカーボンナノチューブに電界が集中し、高電界となったカーボンナノチューブの先端から電子が放出される。このため、透明電極141に電子引き出し電極125に対して例えば+60V程度の正電圧(加速電圧)が印加されていると、電子放出部120から放出された電子が透明電極141に向かって加速され、蛍光体膜142に衝突して蛍光体膜142が発光させられるが、透明電極141に電子引き出し電極125に対して数十V程度の負のバイアス電圧(カットオフバイアス)が印加されていると、電子が蛍光体膜142に到達せず蛍光体膜142は発光しない。したがって、電子放出部120より電子が放出された状態で、蛍光体膜142のうちの所望のものに対応した透明電極141に正電圧が印加されると、この蛍光体膜142のパターンで発光表示が行われる。
【0021】
このように、この参考例の平型蛍光表示管によれば、電子放出部120を印刷法で形成したカーボンナノチューブを含む導電膜122で構成し、これを電界放出型冷陰極電子源として用いるようにしたので、フィラメントやフィラメント取付部品が不要となり、構成要素の大部分が印刷技術により形成可能であるため、非常に安価に作製することが可能となる。また、電子放出部120は、カーボンナノチューブが多数配置された状態となっているので、単位面積当たりの電子放出源の数が非常に多くなり、より多くの電子を放出させることが可能となるので、高輝度を得ることができる。また、従来は放出ガスによってフィラメントに塗布した電子放射性物質が劣化し、輝度が低下する問題があったが、カーボンナノチューブは化学的に安定なのでこのような問題も生じない。また、基板側支持部材130と対面する位置に表示面側支持部材131を設けて、直接又は電子引き出し電極125を介して基板側支持部材130と接するようにして支持部材を構成するようにしたので、大気圧による外囲器の変形が抑えられ、各電極間の距離が所定の値に保持されて発光むらが抑止できる。
【0022】
次に、この発明の平型蛍光表示管の第1の実施の形態について説明する。図6は、この発明の平型蛍光表示管の第1の実施の形態を示し、そのVII−VII線断面を図7に、VIII−VIII線断面を図8に示す。また、この平型蛍光表示管の表示するパターンを図9に示す。図6〜図8において、図1〜図3と同一符号は同一部分を示す。この平型蛍光表示管が参考例に示したものと異なる点は、電子引き出し電極125と発光部140の間に電子の動きを制御する制御電極151を設けたことである。
【0023】
この場合、制御電極151は、発光部140を囲むようにフロントガラス109内面から所定の長さで垂下されたリブ状壁132の下端部に設けられており、電子の動きを制御できるように、所定の厚さを有する導電膜で形成されている。この制御電極151は、リブ状壁132の側端部に配置された導電ペースト157でフロントガラス109内面に設けられた電極パッド156と接続されている。この電極パッド156には、スペーサガラス108とガラス基板101の間のフリットガラス110を貫通して設けられたグリッド用リード152がフリットガラスを含んだ導電ペースト157で固着されている。なお、表示パターンが大きい場合は、リブ状壁132が発光部140を囲むとともに発光部140内を制御電極151を設けたリブ状壁132でくし歯状に区切って制御電極151の効果が及ぶようにしている。この制御電極151は、銀あるいはカーボンを導電材料として含んだ導電性ペーストをリブ状壁132下端部に所定の厚さとなるようにスクリーン印刷した後、焼成して形成したものであり、この実施の形態では制御電極151の厚さを10〜50μmとしている。
【0024】
また、この実施の形態では、ガラス基板101上の基板側支持部材130と対面する位置のリブ状壁132に制御電極151を挟んで絶縁支持部材153が一体で形成されており、電子引き出し電極125を介して基板側支持部材130と接することで大気圧によるフロントガラス109とガラス基板101のたわみを防ぐ支持部材を構成している。リブ状壁132と絶縁支持部材153は、表示面側支持部材131と同様に、低融点のフリットガラスを含む絶縁ペーストを所定の高さになるまで繰り返しスクリーン印刷した後、焼成して形成している。制御電極151と電子引き出し電極125の間が600μm以上離れると電子の回り込みが発生するので、絶縁支持部材153の高さは600μm未満が望ましい。この場合、リブ状壁132と絶縁支持部材153の幅は、表示面側支持部材131と同様に30〜150μmとし、リブ状壁132の高さを200〜300μm、絶縁支持部材153の高さを400〜500μmとした。なお、リブ状壁132を形成する方法は、これに限られるものではなく、例えばフロントガラス109を研削あるいはエッチングして形成してもよい。
【0025】
この実施の形態の平型蛍光表示管は、このように構成したので、電子引き出し電極125に正の電位が印加された状態で、基板電極121の所定の配線に負の電位を印加することで、その配線に接続されている電子放出部120のカーボンナノチューブに電界が集中し、高電界となったカーボンナノチューブの先端から電子が放出される。このため、電子放出部120から放出された電子は、電子引き出し電極125に対して例えば+60V程度の正電圧(加速電圧)が印加された制御電極151により加速されるので、その制御電極151により囲まれた蛍光体膜142に対応した透明電極141に正電圧が印加されていると、電子がその蛍光体膜142に衝突して蛍光体膜142が発光させられるが、透明電極141に正電圧が印加されていても、それを囲む制御電極151に電子引き出し電極125に対して数十V程度の負のバイアス電圧(カットオフバイアス)が印加されていると、電子が蛍光体膜142に到達せず蛍光体膜142は発光しない。したがって、電子放出部120より電子が放出された状態で、制御電極151に正電圧が印加されることに同期して、所望のパターンに対応した透明電極141に正電圧が印加されると、このパターンの蛍光体膜142で発光表示が行われる。
【0026】
また、この実施の形態の平型蛍光表示管によれば、基板側支持部材130と対面するリブ状壁132に、基板側支持部材130上の電子引き出し電極125と接するように、制御電極151を挟んでリブ状壁132と一体に形成された絶縁支持部材153を設けて支持部材を構成したので、大気圧による外囲器の変形が抑えられ、各電極間の距離が所定の値に保持されて発光むらが抑止できる。また、このように支持部材を構成したので、別に支持部材を設ける場合のように、画面の表示密度が低下することがない。また、リブ状壁132の下端部に制御電極151を設けるようにしたので、場所をとらずに所望の範囲に電子を拡散させることができるので、スペーサガラス108の近くまで表示領域を広げることが可能である。
【0027】
次に、この発明の平型蛍光表示管の第2の実施の形態について説明する。図10は、この発明の平型蛍光表示管の第2の実施の形態を示し、そのXI−XI線断面を図11に示す。図10及び図11において、図6及び図7と同一符号は同一部分を示す。なお、この平型蛍光表示管のフロントガラス側の構成と表示するパターンは、図8と図9に示すものと同じであるので説明を省略する。図10と図11において、この平型蛍光表示管が図6と図7に示したものと異なる点は、電子放出部120がガラス基板101上にべたで形成されて1つの面状電子源を構成しており、基板側支持部材130が電子放出部120内にも配置されて多数の開口部125aを有する1つの金属板からなる電子引き出し電極125を支持するようにしたことである。
【0028】
この実施の形態の平型蛍光表示管は、このように構成したので、電子引き出し電極125に正の電位が印加された状態で、基板電極121に負の電位を印加することで、電子放出部120のカーボンナノチューブに電界が集中し、高電界となったカーボンナノチューブの先端から電子が放出される。このため、電子放出部120から放出された電子は、電子引き出し電極125に対して例えば+60V程度の正電圧(加速電圧)が印加された制御電極151により加速されるので、その制御電極151により囲まれた蛍光体膜142に対応した透明電極141に正電圧が印加されていると、電子がその蛍光体膜142に衝突して蛍光体膜142が発光させられるが、透明電極141に正電圧が印加されていても、それを囲む制御電極151に電子引き出し電極125に対して数十V程度の負のバイアス電圧(カットオフバイアス)が印加されていると、電子が蛍光体膜142に到達せず蛍光体膜142は発光しない。したがって、電子放出部120より電子が放出された状態で、制御電極151に正電圧が印加されることに同期して、所望のパターンに対応した透明電極141に正電圧が印加されると、このパターンの蛍光体膜142で発光表示が行われる。この場合、ガラス基板101面の大部分を電子放出部120とすることが可能であり、パターンをより高輝度で表示することができる。また、従来と同程度の輝度とした場合、陽極電圧を下げることができるので蛍光体の寿命を延ばすことが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の平型蛍光表示管は、少なくとも一部が透光性を有する表示面およびこの表示面に対向配置された基板を含みかつ内部が真空排気された外囲器と、表示面側の外囲器内壁に所定の表示パターンで配置された陽極およびこの陽極上に配置される蛍光体とからなる発光部と、この発光部と対向した外囲器内の基板面上に配置されて所定の電位が印加される表示パターンに対応したパターン形状を有する電子放出部と、この電子放出部と発光部との間に所定の間隔を設けて配置された電子放出部から電子を引き出すための電子引き出し電極と、大気圧による外囲器のたわみを防ぎ表示面と基板とを所定の間隔に離間するために表示面と基板との間に複数配置された支持部材とを備え、各支持部材は、基板面から表示面側に垂設された基板側支持部材と、表示面から基板側に垂下された表示面側支持部材とから構成され、基板側支持部材と表示面側支持部材とは、各々の端部が直接または電子引き出し電極を介して接するようにしたので、薄型で、かつ表示面積を広くできるという効果を有する。
【0030】
また、電子放出部を円筒状のグラファイトの層からなるカーボンナノチューブで構成し、多数の電界放出型電子源を基板面に設けるようにしたので、表示面積が広い場合であっても従来のようにフィラメントサポートとアンカーを表示面に設けてフィラメントを配置する必要がないので、画面の表示密度を犠牲にすることなく表示面積を広くすることができるという効果を有する。
また、発光部と電子引き出し電極との間に電子の動きを制御するための制御電極を配置したので、発光部ごとに表示の点灯や消灯の制御が可能であり、電子放出部と電子引き出し電極の構成を単純にできるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例を示す断面図である。
【図2】 図1のII−II線断面を示す説明図である。
【図3】 図1のIII−III線断面を示す説明図である。
【図4】 図1の表示パターンを示す説明図である。
【図5】 図1の電子放出部の詳細を説明する図である。
【図6】 第1の実施の形態を示す断面図である。
【図7】 図6のVII−VII線断面を示す説明図である。
【図8】 図6のVIII−VIII線断面を示す説明図である。
【図9】 図6の表示パターンを示す説明図である。
【図10】 第2の実施の形態を示す断面図である。
【図11】 図10のXI−XI線断面を示す説明図である。
【図12】 従来の平型蛍光表示管の断面図である。
【符号の説明】
101…ガラス基板、108…スペーサガラス、109…フロントガラス、110,138…フリットガラス、120…電子放出部、121…基板電極、122…導電膜、123…バンドル、125…電子引き出し電極、125a…開口部、127…陰極用リード、128…電子引き出し電極用リード、129…陽極用リード、130…基板側支持部材、131…表示面側支持部材、132…リブ状壁、135,145,155…パターン配線、136,146,156…電極パッド、137,147,157…導電ペースト、140…発光部、141…透明電極、142…蛍光体膜、151…制御電極、152…グリッド用リード、153…絶縁支持部材。
Claims (6)
- 少なくとも一部が透光性を有する表示面を構成するフロントガラスおよびこのフロントガラスに対向配置された基板を含みかつ内部が真空排気された外囲器と、
前記表示面側の前記外囲器内壁に所定の表示パターンで配置された陽極およびこの陽極上に配置される蛍光体とからなる発光部と、
この発光部と対向した前記外囲器内の前記基板面上に配置されて所定の電位が印加される前記表示パターンに対応したパターン形状を有する電子放出部と、
この電子放出部と前記発光部との間に所定の間隔を設けて配置された前記電子放出部から電子を引き出すための電子引き出し電極と、
前記フロントガラスと前記基板との間に複数配置され前記フロントガラスと前記基板とを所定の間隔に離間させて支持する支持部材と、
前記フロントガラスの前記発光部を囲む位置から前記基板側に垂下されたリブ状壁と、
このリブ状壁の下端部に形成されて、前記発光部と前記電子引き出し電極との間に配置され電子の動きを制御する制御電極と
を備え、
前記各支持部材は、
前記基板面から前記フロントガラス側に垂設された基板側支持部材と、
前記フロントガラスから前記基板側に垂下された表示面側支持部材と
から構成され、
前記基板側支持部材と前記表示面側支持部材とは、前記電子引き出し電極が配置されている箇所では各々の端部が前記電子引き出し電極を介して接しており、前記電子引き出し電極が配置されていない箇所では各々の端部が直接接している
ことを特徴とする平型蛍光表示管。 - 前記発光部を囲む位置に設けられた表示面側支持部材は、
前記リブ状壁と、
このリブ状壁の下端部に配置された前記制御電極と、
この制御電極の下端部に配置され当該リブ状壁と一体に形成されている絶縁支持部材と
から構成されていることを特徴とする請求項1記載の平型蛍光表示管。 - 前記電子放出部は、円筒状のグラファイトの層からなるカーボンナノチューブから構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の平型蛍光表示管。
- 前記電子引き出し電極は、メッシュ状の金属板によって構成されており、かつ前記基板側支持部材で支持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の平型蛍光表示管。
- 前記電子放出部と前記発光部は、1対1で対応するように構成され、かつ前記外囲器内に複数設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の平型蛍光表示管。
- 1つの前記電子放出部と複数の前記発光部とから構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の平型蛍光表示管。
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