JP4315578B2 - コーティング用ゴムの逃がし機構、押出機及び裁断トレーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリールから巻き出したスチールコードまたはテキスタイルコード等にゴムをコーティングしたゴムコーティング部材を順次裁断し順次接合してタイヤ構成部材を製造するクリール直結の裁断トレーンと、この裁断トレーンを構成する押出機と、この押出機に設けられたコーティング用ゴムの逃がし機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリール直結の裁断トレーンでは、押出機を構成する押出機ヘッド部においてゴムコーティングされたスチールコード(以下、「ゴムコーティング部材」という。)は、下流側に設けられたカッタにより所定の長さに裁断される。この裁断時にはカッタ側のラインを停止させる必要があるため、押出機側とカッタ側のゴムコーティング部材の搬送速度の速度差を調整するために押出機とカッタとの間にフェスツーンを設けている。
【0003】
ところで、例えばカッタの下流側に配置された裁断トレーンを構成する他の装置にトラブルが発生すると、カッタ側にあるゴムコーティングア部材の搬送を停止するとともに、押出機側にあるゴムコーティング部材の搬送速度を減速させていた。そして、短時間で装置のトラブルが解消すれば、押出機側にあるゴムコーティング部材の搬送速度を通常の速度に戻すことにより特に問題がなかったが、装置のトラブルが長時間解消しないと、フェスツーンにおけるゴムコーティング部材が過剰となり、押出機側のゴムコーティング部材の搬送を停止させる必要があった。
【0004】
ここで、通常のライン作動時において、押出機を構成する押出機本体部は、押出機ヘッド部に対してコードをゴムコーティングするためのコーティング用ゴムを供給しているが、上記のように押出機側のゴムコーティング部材の搬送を停止させると、押出機本体部から押出機ヘッド部へのコーティング用ゴムの供給を停止させる必要があった。
【0005】
一方、装置のトラブルが解消し、ゴムコーティング部材の搬送を開始させると、押出機本体部から押出機ヘッド部へのコーティング用ゴムの供給も開始するが、ゴムコーティング部材の搬送の停止時に押出機ヘッド部の内部に長時間残存しているコーティング用ゴムは押出機成形部の熱により加硫するため、ゴムコーティング部材の搬送を開始するまで、ヘッド内のゴムを外部へと微量でも逃がす必要があった。そこで、従来では、押出機成形部を分解し、押出機成形部の内部からコーティング用ゴムを取り除いていた。
【0006】
しかしながら、装置のトラブルによりゴムコーティング部材の搬送を停止させる度に、押出機成形部へのコーティング用ゴムの供給を停止し、次のゴムコーティング部材の搬送開始前に押出機ヘッド部内部のコーティング用ゴムをいちいち取り出していたのでは、円滑な作業を行うことができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記事実を考慮し、ゴムコーティング部材の搬送を停止した場合でも、押出機本体部から押出機ヘッド部へのコーティング用ゴムの供給を維持すると共に、押出機ヘッド部に供給したゴムコーティング部材を逃がし孔から押出機ヘッド部の外部に逃がすことにより、円滑な作業を行うことができるコーティング用ゴムの逃がし機構、このコーティング用ゴムの逃がし機構を備えた押出機、及びこの押出機を備えた裁断トレーンを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のコーティング用ゴムの逃がし機構では、コーティング部においてコードにコーティング用ゴムをコーティングしてゴムコーティング部材を成形し、このゴムコーティング部材が出口から外部に引き出される押出機に用いられるコーティング用ゴムの逃がし機構であって、前記出口とは別に該押出機内部の前記コーティング用ゴムを該コーティング部の外部に導く、前記コーティング部に設けられた逃がし孔と、前記逃がし孔の出口を開閉するシャッタと、を備え、前記ゴムコーティング部材の引出し時において前記シャッタは前記逃がし孔の出口を塞ぎ、前記ゴムコーティング部材の引出しが停止すると、前記シャッタが開き前記逃がし孔の出口が開放することを特徴とする。
【0009】
次に、請求項1に記載のコーティング用ゴムの逃がし機構の作用及び効果について説明する。
【0010】
押出機のコーティング部において、コードはコーティング用ゴムがコーティングされゴムコーティング部材が形成される。このゴムコーティング部材は、出口からコーティング部の外部に引き出される。
【0011】
ここで、例えば裁断機側に設けられた装置にトラブル等が発生すると、押出機から引き出されるゴムコーティング部材の引出し速度が減速するが、上記装置のトラブルが長時間解消しない場合には押出機からのゴムコーティング部材の引出しが停止される。
【0012】
このとき、コーティング用ゴムが押出機のコーティング部に供給され続けるが、コーティング部内部のコーティング用ゴムを逃がし孔をとおしてコーティング部外部に導くことができる。このため、コーティング部内部にコーティング用ゴムが滞溜することがない。
【0013】
一方、従来技術では、ゴムコーティング部材の引出しを停止させた場合には押出機のコーティング部へのコーティング用ゴムの供給を停止していたが、本発明では、コーティング部内部にコーティング用ゴムが滞溜し加硫することがない。このため、コーティング部内部から加硫したコーティング用ゴムを取り出す必要がなく、作業を円滑に進めることができる。
【0014】
また、ゴムコーティング部材の引出し時においてはゴムコーティング部材が次々に成形されていくが、逃がし孔を開放した状態にしておくと、コーティング部に供給されたコーティング用ゴムは圧力が高い押出口よりも圧力が低い逃がし孔の方へ移動しようとする。
【0015】
ここで、ゴムコーティング部材の引出し時においては、シャッタが逃がし孔の出口を塞いでいるので、コーティング部に供給されたコーティング用ゴムの逃がし孔への移動を防止できる。このため、押出機のコーティング部に供給されたコーティング用ゴムの全部をコーティングに用いることができる。
【0016】
一方、ゴムコーティング部材の引出しを停止させた場合には、このシャッタが開いて逃がし孔の出口を開放するため、押出機のコーティング部に供給されたコーティング用ゴムを外部に導くことができる。
【0017】
請求項2に記載の押出機では、請求項1に記載のコーティング用ゴムの逃がし機構を備えた押出機成形部と、押出機成形部のコーティング部にコーティング用ゴムを供給する押出機本体部と、で構成されたことを特徴とする。
【0018】
次に、請求項2に記載の押出機の作用及び効果について説明する。
【0019】
押出機は、請求項1に記載のコーティング用ゴムの逃がし機構を備えた押出機成形部と、押出機成形部のコーティング部にコーティング用ゴムを供給する押出機本体部とで構成されているため、請求項1に記載の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0020】
請求項3に記載の裁断トレーンでは、コーティング部においてコードにコーティング用ゴムをコーティングしてゴムコーティング部材を成形し、このゴムコーティング部材が出口から外部に引き出される押出機に用いられ、前記コーティング部には、前記出口とは別に該押出機内部の前記コーティング用ゴムを該コーティング部の外部に導く逃がし孔が設けられたコーティング用ゴムの逃がし機構、を備えた押出機成形部と、前記押出機成形部のコーティング部に前記コーティング用ゴムを供給する押出機本体部と、で構成された押出機と、押出機から引き出されたゴムコーティング部材を所定の長さに裁断する裁断手段と、押出機と前記裁断手段との間に設けられ、押出機から引き出されて搬送されるゴムコーティング部材の搬送速度と裁断手段における搬送速度との速度差を補正する補正手段と、補正手段において、ゴムコーティング部材が所定の長さに達したときに、押出機を構成する押出機成形部のシャッタを作動し逃がし孔の出口を解放する制御手段と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0021】
次に、請求項3に記載の裁断トレーンの作用及び効果について説明する。
【0022】
押出機成形部のコーティング部において形成されたゴムコーティング部材は、補正手段を介して裁断手段に搬送される。ゴムコーティング部材は、この裁断手段において所定の長さに裁断される。
【0023】
ここで、制御手段により、補正手段においてゴムコーティング部材が所定の長さに達すると、押出機を構成する押出機成形部のシャッタが自動的に移動し、逃がし孔の出口を解放する。このため、作業者が手動で行う必要がなく、作業を円滑に進めることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るゴムコーティング部材の除去機構について説明する。本発明の一実施形態に係るゴムコーティング部材の除去機構が適用される裁断トレーンの全体の概略平面図を図1に示し、図1におけるII矢視図を図2に示す。
図1及び図2に示すように、裁断トレーン10は、クリールスタンド12を備えている。このクリールスタンド12には、スチールコードSが巻回された複数のクリール14が配置されている。また、クリールスタンド12のスチールコード搬送方向下流側には、スチールコードSを配列させるためのコードガイド16が設けられている。
【0025】
また、コードガイド16のスチールコード搬送方向下流側には、押出機18が設けられている。ここで、本発明の特徴である押出機18の構成について詳細に説明する。
【0026】
図1に示すように、押出機18は、コーティング用ゴムが貯溜される押出機本体部18Aと、スチールコードSをゴムコーティングする押出機ヘッド部18B(押出機成形部)とで構成されている。
【0027】
図3乃至図5に示すように、押出機ヘッド部18B内部には、後壁W2に向かインサータ22が設けられており、このインサータ22内部をスチールコードSが貫通するようになっている。このインサータ22の先端部にはスチールコードSをゴムコーティングするダイ24(コーティング部)が形成されている。このダイ24には、スチールコードSにコーティング用ゴムがコーティングされたゴムコーティング部材26が通過する通過孔28が接続されており、この通過孔28の他端は押出機ヘッド部18Bの前壁W1に到っている。なお、押出機ヘッド部18Bには、図示しないヒータが設けられており、ダイ24に供給されたコーティング用ゴムの温度低下を防止している。
【0028】
一方、押出機成形部18Bの左側壁WLには、押出機本体部18と接続する第1の貫通孔30が形成されている。この第1の貫通孔30は、途中で2つの貫通孔に別れており、上側の貫通孔30A(上孔30A)が上記インサータ22の上方を横切り、下側の貫通孔30B(下孔30B)が上記インサータ22の下方を横切るように形成されている。
【0029】
上孔30Aと下孔30Bとは、1つの第2の貫通孔32となり、押出機ヘッド部18Bの右側壁WRまで貫通している。また、上孔30Aと下孔30Bには、ダイ24に到るゴム流孔34A、34Bがそれぞれ形成されており、押出機本体部18Aから供給されたコーティング用ゴムは、第1の貫通孔30、上孔30A、下孔30B及び各ゴム流孔34A、34Bを通過して、ダイ24に供給される。
【0030】
なお、押出機ヘッド部18Bには圧力センサ36が取り付けられており、この圧力センサ36の検出結果に基づいてダイ24内部の圧力が所定の圧力となるように制御されている。
【0031】
また、押出機18の右側壁WRには、第2の貫通孔32の開孔を開閉するシャッタ38が設けられている。このシャッタ38はロッド40の先端部に取り付けられており、ロッド40が油圧シリンダ42により押し出されることによりシャッタ38が開孔を塞ぎ、ロッド40が引き戻されることにより開孔が露出するように構成されている。なお、ゴムコーティング部材26の搬送時(通常時)においては、シャッタ38が開孔を塞いでいる状態となっている。
【0032】
また、図2に示すように、押出機18のゴムコーティング部材搬送方向下流側には、3個の冷却ドラム44及び1個の第1の搬送ロール46(以下、適宜「押出機18側の搬送ロール46」という。)が設けられている。ゴムコーティング部材26は、これらの冷却ドラム44にそれぞれ架け渡されて、第1の搬送ロール46により下流に搬送される。
【0033】
また、冷却ドラム44のゴムコーティング部材搬送方向下流側には、フェスツーン48が設けられている。ここで、フェスツーン48の下側(図2中矢印A方向)には、ゴムコーティング部材26を切断する後述のギロチン式カッタ50(以下、適宜「カッタ50」という。)を作動させる第1のセンサ52が設けられている。また、第1のセンサ52の下側には、押出機18側の第1の搬送ロール46の回転速度を減速させる第2のセンサ54が設けられている。さらに、第2のセンサ54の下側には、第1の搬送ロール46の回転を停止させ、上記押出機18のシャッタ38を閉状態から開状態にする第3のセンサ56が設けられている。この第3のセンサ56は制御部(図示省略)と接続されている。
【0034】
なお、上記第1のセンサ52として周知のセンサが用いられ、例えば、発光素子52Aと受光素子52Bとで構成され、発光素子52Aと受光素子52Bとの間にゴムコーティング部材26が位置し、受光素子52Bで受光される光Lが遮断されると、カッタ50が作動するように構成されている。
【0035】
また、第2のセンサ54及び第3のセンサ56も、第1のセンサ52と同様に構成され、第2のセンサ54の受光素子54Bで受光される光Lが遮断されると第1の搬送ロール46の回転速度を減速させ、さらに、第3のセンサ56の受光素子56Bで受光される光Lが遮断されると制御部により第1の搬送ロール46の回転が停止され、押出機ヘッド部18Bのシャッタ38を移動させて、第2の貫通孔32の出口を解放する。
【0036】
また、フェスツーン48のゴムコーティング部材搬送方向下流側には、第2の搬送ロール58(以下、適宜「カッタ50側の搬送ロール58」という。)及び長尺の搬送テーブル60が設けられている。これにより、フェスツーン48を通過したゴムコーティング部材26は、カッタ50側の搬送ロール58により搬送テーブル60上に搬送される。
【0037】
ここで、搬送テーブル60の上方(図2中矢印A方向と反対側)には、CCDカメラ62が設けられている。このCCDカメラ62によりゴムコーティング部材26の表面にスチールコードSが露出したゴムハゲが検出される。すなわち、ゴムコーティング部材26の表面を撮影した映像を画像処理して露出したスチールコードSが判定される。
【0038】
また、CCDカメラ62のゴムコーティング部材搬送方向下流側には、厚み計64が設けられている。この厚み計64は、支持棒66と、この支持棒66の先端に回転可能に設けられたロール68とで構成されている。この厚み計64では、ロール68がゴムコーティング部材26の表面上を回転し、そのときの支持棒66の揺動角を計測することによりゴムコーティング部材26のゴムゲージ(厚さ)変化が検出される。
【0039】
上記搬送テーブル60は、ベルトコンベア66に側方約30度の斜め方向から突き当たるようにして配設されており、搬送テーブル60の先端面はゴムコーティング部材26の進行方向に対して約30度の角度をなしてベルトコンベア66の上側ベルトの左側縁に幾らかの間隙を有して平行に対向している。
【0040】
また、搬送テーブル60の先端面とベルトコンベア66の上側のコンベアベルトの左側縁との間の間隙に上方からギロチン式カッタ50が降下してこの隙間に架け渡されたゴムコーティング部材26を斜め約30度の角度で裁断する。
【0041】
ベルトコンベア66は前後一対の回転ロール68、70にコンベアベルト72が架渡されて構成されており、一方の回転ロール70の回転軸に取り付けられたタイミングプーリ74とACサーボモータ76の駆動軸に取り付けられたタイミングプーリ78との間にはタイミングベルト80が架渡されている。これにより、ACサーボモータ76の駆動でタイミングベルト80を介してコンベアベルト72を回動させることにより、コンベアベルト72上の裁断されたゴムコーティング部材26を移動させることができる。
【0042】
搬送テーブル60とベルトコンベア66が交差する箇所には、搬送テーブル60からベルトコンベア66にゴムコーティング部材26を移す引出装置82(図2では図示省略)が上方に架設されている。
【0043】
この引出装置82は、長尺板状のバキュームパッド(図示省略)が搬送テーブル60の上方とその延長したコンベアベルト72の上方との間をゴムコーティング部材26の搬送方向に沿って往復自在に支持されるとともに、上下に昇降可能に吊設されている。
【0044】
次に、本発明のコーティング用ゴムの逃がし機構の作用及び効果について説明する。
【0045】
図1及び図3に示すように、クリールスタンド12の複数のクリール14からそれぞれ巻き出されるスチールコードSがコードガイド16により配列させられて押出機ヘッド部18Bに挿入される。押出機ヘッド部18Bに挿入されたスチールコードSは、インサータ22内部を通過し、インサータ22の先端部からダイ24に送り出される。
【0046】
一方、図1に示すように、押出機本体部18Aからはコーティング用ゴムが押出機ヘッド部18Bに供給される。図4及び図5に示すように、押出機ヘッド部18Bに供給されたコーティング用ゴムは第1の貫通孔30を通過し上孔30A及び下孔30Bを通過する。上孔30A及び下孔30Bに進んだコーティング用ゴムは、上孔30A及び下孔30Bからゴム流孔34A、34Bを通過しダイ24に供給される。このとき、第2の貫通孔32の出口はシャッタ38で塞がれており、コーティング用ゴムが外部に流出することを防止している。
【0047】
インサータ22の先端部からダイ24に送り出されたスチールコードSに、上孔30A及び下孔30Bを通って供給されたコーティング用ゴムがコーティングされていく。なお、このコーティングは、圧力センサ36の検出結果に基づいてヘッド圧制御により行われる。コーティングされたスチールコードSは、帯状のゴムコーティング部材26として、通過孔28を通過し、押出機ヘッド部18Bの前壁W1から下流に押し出される。
【0048】
次に、ゴムコーティング部材26は、冷却ドラム44で冷却されてフェスツーン48を介して長尺の搬送テーブル60上に掲置される。搬送テーブル60上に載置されたゴムコーティング部材26は、CCDカメラ62及び厚み計64により、ゴムハゲの有無及びゴムゲージ変化が検出される。
【0049】
次に、ゴムコーティング部材26が搬送テーブル60の先端部とベルトコンベア66の上側コンベアベルトの左側縁との間の間隙に架渡されると、カッタ側の搬送ロール58と押出機側の搬送ロール46との間に架渡されたゴムコーティング部材26が第1のセンサ52の発光素子52Aと受光素子52Bとの間に位置するため、受光素子52Bで受光される光Lを遮断する。これによりカッタ50が作動し、ゴムコーティング部材26が斜め30度の角度で裁断されていく。
【0050】
ここで、ゴムコーティング部材26をカッタ50で裁断しているときにはカッタ側の搬送ロール58は停止した状態である一方、押出機側の搬送ロール46は作動した状態となる。このため、2つの搬送ロール58、46に架け渡されたゴムコーティング部材26がさらに下側(図2中矢印A方向)に垂れ下がっていく。
【0051】
このとき、ゴムコーティング部材26が第2のセンサ54の発光素子54Aと受光素子54Bとの間に位置し受光素子54Bで受光する光Lを遮断すると、押出機側の搬送ロール46の回転速度が0.8m/minへと減速される。
【0052】
以上のように、カッタ50による裁断時において、カッタ側の搬送ロール58は停止するが、押出機側の搬送ロール46は作動しているため、押出機ヘッド部18Bからゴムコーティング部材26が次々に設定速度で押出されていく。
【0053】
ところで、裁断トレーン10を構成するカッタ50の下流側の装置にトラブル等が発生した場合には、このトラブルがすぐに解消できる場合にはゴムコーティング部材26の搬送速度を減速させるだけでよく特に問題はない。しかし、トラブルが長時間解消しない場合には、第1の搬送ロール46の回転速度を減速させた場合でも、2つの搬送ロール46、58に架け渡されたゴムコーティング部材26がさらに下側(図2中矢印A方向)に垂れ下がっていく。このとき、ゴムコーティング部材26が第3のセンサ56の発光素子56Aと受光素子56Bとの間に位置し、受光素子56Bで受光する光Lを遮断すると、第1の搬送ロール46の回転が停止する。
【0054】
このとき同時に、制御部により、押出機ヘッド部18Bの第2の貫通孔32の出口を塞いでいたシャッタ38が油圧シリンダ42によりロッド40が引き戻されて移動し、これにより第2の貫通孔32の出口が露出する。
【0055】
ここで、押出機側の搬送ロール46の回転が停止しても、押出機本体部18Aから押出機ヘッド部18Bへのコーティング用ゴムの供給が継続される。押出機ヘッド部18Bに供給されたコーティング用ゴムは、第1の貫通孔30を通過し、上孔30A及び下孔30Bを通過した後、第2の貫通孔32から外部に出ていく。なお、押出機ヘッド部18Bの外部へ出たコーティング用ゴムは、再度押出機本体部18Aに戻され、再利用されることが好ましい。
【0056】
このように、ゴムコーティング部材26の搬送を停止した場合でも、押出機本体部18Aから押出機ヘッド部18B内にコーティング用ゴムが供給され続け、このコーティング用ゴムが上孔30A、下孔30Bを経て第2の貫通孔32からそのまま外部に押出されていくので、押出機ヘッド部18Bの内部のコーティング用ゴムが熱により加硫することがない。このため、従来技術のように加硫したコーティング用ゴムを取り除く必要がないため、作業を円滑に行うことができる。
【0057】
なお、カッタ50により裁断された搬送テーブル60上のゴムコーティング部材26は、引出装置82によりコンベアベルト72上に載置される。すなわち、ゴムコーティング部材26の先端部にバキュームパッドを下して吸着し、吸着したまま上方へ引き上げてコンベアベルト72の方へ一定量引出し、定位置で下し、吸着を解除することで、ゴムコーティング部材26をコンベアベルト72上に移動することができる。
【0058】
このように、コンベアベルト72上で先行のゴムコーティング部材26が所定量移動した処へ後から載置される後行のゴムコーティング部材26が一部端縁が重なるように載置され、互いの端縁同士の重畳部が押圧接合される。このように、ゴムコーティング部材26が順次接合されてスチールコードSがバイアスに埋設されたタイヤ構成部材84が製造されていく。
【0059】
【発明の効果】
本発明のコーティング用ゴムの逃がし機構、押出機及び裁断トレーンによれば、ゴムコーティング部材の搬送を停止した場合でも、押出機本体部から押出機ヘッド部へのコーティング用ゴムの供給を維持すると共に、押出機ヘッド部に供給したゴムコーティング部材を逃がし孔から押出機ヘッド部の外部に逃がすことにより、円滑な作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るコーティング用ゴムの逃がし機構が適用された裁断トレーンの全体の概略平面図である。
【図2】 図1におけるII矢視図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係るコーティング用ゴムの逃がし機構が適用された押出機の斜視図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係るコーティング用ゴムの逃がし機構が適用された押出機の縦断面図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係るコーティング用ゴムの逃がし機構がシャッタにより塞がれた状態の押出機の平面図である。
【図6】 本発明の一実施形態に係るコーティング用ゴムの逃がし機構がシャッタにより解放された状態の押出機の平面図である。
【符号の説明】
10 裁断トレーン
18 押出機
18A 押出機本体部
18B 押出機ヘッド部(押出機成形部)
24 ダイ(コーティング部)
26 ゴムコーティング部材
28 通過孔(出口)
32 第2の貫通孔(逃がし孔)
38 シャッタ
48 フェスツーン(補正手段)
50 カッタ(裁断手段)
56 第3のセンサ(制御手段)
Claims (3)
- コーティング部においてコードにコーティング用ゴムをコーティングしてゴムコーティング部材を成形し、このゴムコーティング部材が出口から外部に引き出される押出機に用いられるコーティング用ゴムの逃がし機構であって、
前記出口とは別に該押出機内部の前記コーティング用ゴムを該コーティング部の外部に導く、前記コーティング部に設けられた逃がし孔と、
前記逃がし孔の出口を開閉するシャッタと、
を備え、
前記ゴムコーティング部材の引出し時において前記シャッタは前記逃がし孔の出口を塞ぎ、前記ゴムコーティング部材の引出しが停止すると、前記シャッタが開き前記逃がし孔の出口が開放することを特徴とするコーティング用ゴムの逃がし機構。 - 請求項1に記載のコーティング用ゴムの逃がし機構を備えた押出機成形部と、前記押出機成形部のコーティング部に前記コーティング用ゴムを供給する押出機本体部と、で構成されたことを特徴とする押出機。
- コーティング部においてコードにコーティング用ゴムをコーティングしてゴムコーティング部材を成形し、このゴムコーティング部材が出口から外部に引き出される押出機に用いられ、前記コーティング部には、前記出口とは別に該押出機内部の前記コーティング用ゴムを該コーティング部の外部に導く逃がし孔が設けられたコーティング用ゴムの逃がし機構、を備えた押出機成形部と、前記押出機成形部のコーティング部に前記コーティング用ゴムを供給する押出機本体部と、で構成された押出機と、
前記押出機から引き出されたゴムコーティング部材を所定の長さに裁断する裁断手段と、
前記押出機と前記裁断手段との間に設けられ、前記押出機から引き出されて搬送される前記ゴムコーティング部材の搬送速度と前記裁断手段における搬送速度との速度差を補正する補正手段と、
前記補正手段において、前記ゴムコーティング部材が所定の長さに達したときに、前記押出機を構成する押出機成形部のシャッタを作動し前記逃がし孔の出口を解放する制御手段と、
を含んで構成されたことを特徴とする裁断トレーン。
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