JP4315477B2 - 個々に調節可能な工具を備えた順送り鍛造機 - Google Patents

個々に調節可能な工具を備えた順送り鍛造機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、順送り鍛造機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるフォーマーを含む順送り鍛造機は、作動状態が変化する。この作動状態の変化は、鍛造機が製造する部品の品質及び均等性に悪影響を及ぼすことがある。例えば、機械の温度が使用中に上昇するにつれて、「シャット高さ」、即ち前死点でのスライドとダイブレストとの間の間隔が徐々に変化し、均等でない部品を製造する結果となる。機械自体が熱的に変化する場合の他に、機械に送られる線材の状態が変化し、シャット高さ位置を変化させることを必要とする場合がある。
【0003】
スライド全体の前死点位置を調節することによって、又は全ての工具を支持するプレートを、代表的にはスライド上で一方向に又はスライドの移動方向と平行な他の方向に移動することによって変化を補償するための試みがなされてきた。本明細書中以下に使用するように、軸線方向移動というのは、スライドの移動方向と平行な方向での移動又は調節を意味し、こうした用法は、代表的には、工具の移動又は調節に関して使用される。工具の軸線方向位置を個々に調節するための実際の及び従来の方法には、変化した状態を各ワークステーションで別々に考慮できるようにする必要が存在する。特に大型の機械では、手動で調節を行うのは極めて困難である。これは、構成要素の大きさのためであり、調節を行うのに必要なレンチの大きさのためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
本発明は、順送り鍛造機の複数のワークステーションの各々で工具のシャット高さを個々に調節するための装置を提供する。好ましい実施例では、調節装置はスライド上に配置されており、ワークステーションの各々に別々の楔プレートが設けられている。これらの楔プレートは、楔状副カムによって各々作動される。楔状副カムは、関連したモータ−ねじアッセンブリによって動力駆動される。楔調節システムの開示の構造は、繰り返し鍛造動作に耐えるのに十分頑丈であり、スライドの限られた空間に便利に装着するのに十分コンパクトである。
【0005】
楔プレートとともに作動する工具支持カセットは、動力作動式アクチュエータによってスライド上にクランプされる。工具カセットは精密に位置決めされ、横方向即ち半径方向では、向き合ったダイブレスト上のワークステーションの中心と整合している。工具支持カセットについての位置決め機能は、工具カセットの軸線方向移動を吸収する楔調節システムが提供する表面によって、夫々のカセットの向き合ったダイ中心との精密な横方向調節に悪影響を及ぼさずに行われる。
【0006】
本発明により、ワークステーションの各々の工具の調節を、他のステーションの工具とは別個に容易に行うことができる。その結果、特定の部品を製造する場合、各ステーションでの工具の相対位置を調節することによって部品の品質及び均等性を改善するために鍛造プロセスを容易に変えることができる。この調節プロセスは、部品を元々開発し製造する場合、及び鍛造機の温度状態が始動時と温度安定点との間で変化する場合の続く定期的な製造中に一般的な方法で使用できる。更に、線材の変化する条件又は他の要因について、調節を「オンザフライ式(on the fly)」に、即ち機械の作動中に有利に行うことができる。このような調節には、種々のワークステーションでの工具間の設定の任意の組み合わせが含まれる。調節が動力作動式要素によって行われるため、機械のオペレータには、身体的な強さやスタミナが求められない。
【0007】
【発明の実施の形態】
順送り鍛造機即ちフォーマー10は、固定ダイブレスト即ちボルスター12と、このダイブレストに向かって及びダイブレストから遠ざかる方向に水平に往復動するスライド13を含む。機械の全体構成は、米国特許第4,898,017号に示されているのと同様である。
【0008】
参照符号16a−fを附したスライド13の各ワークステーションには、当該技術分野で周知の工具キャリヤ17が取り付けられるようになっている。代表的には、工具キャリヤ17は、工具支持体即ちカセット18にボルト止めされている。カセット18は、垂直プレート20と、このプレートにボルトによって組み立てられた機械加工が施された水平方向に延びるブロック21とから形成される。カセット18は、側方から見ると逆L字形状をなしており、正面から見ると、中央垂直スロット22を備えた凸状の即ち丸味が付いた下端19を除き、全体に矩形をなしている。カセットアッセンブリの上端28を形成するブロック21の下側に別の中央スロット23が設けられている。このスロット23には内部肩部24が形成されている。図2及び図3は、特定のワークステーションに応じた様々な部品を示す。幾つかの部品は断面で示してあり、又は構造上の詳細を示すために取り外してある。ステーション16dでは、ブロック21がプレート20を取り外した状態で示してある。
【0009】
スライド13へのカセット18の取り付けは、カセットの下端19を凹状のサドル26の上に下ろし、参照番号28を附したカセット上端を一対の向き合ったブロック27の間に置くことによって行われる。サドル即ちクレードル26を支持するブロック29及び向き合ったブロック27は、カセット18が、クレードル26の支持面31及び向き合ったブロックの支持面32によって、向き合ったダイブレスト12上のダイワークステーションの真の中心と整合した状態に置かれる予め精密に定められた位置に配置されるように、精密に機械加工してある。表面31及び32は、工具の軸線方向と平行である、即ち、スライドの移動方向と平行である。
【0010】
カセット18は、一対のクランプバー37によって、楔ブロック36に対して取り外し自在に且つ弾性的に保持されている。これらのバー37の各々は、スロット22、23の夫々に受け入れられる環状溝38、及びカセット18の隣接した表面に当接してこれを楔ブロック36に押し付けるヘッド39を有する。楔ブロック36は、工具がその関連したカセット18に加える圧縮鍛造荷重を受け、この荷重を当接した楔プレート46に伝達する。楔プレート46は、プレート54を通して荷重をスライド13に適切に伝達する。
【0011】
楔ブロック36及びこれと関連した楔プレート46は、大きなケージプレート48に機械加工によって形成した関連したポケット即ちキャビティ47に受け入れられる。ケージプレート48は、適当なボルトでスライド13の主本体にしっかりと固定されている。楔ブロック36の面50は、カセット18と接触し、ワークステーションの軸線と垂直な垂直平面内を延びる。楔プレート46の楔ブロック36から遠い方の側部即ち面51は、同様に、ワークステーションの軸線と垂直な垂直平面内を延びる。楔ブロック36及び楔プレート46の接触面52、53は、垂直方向から比較的小さな角度、例えば10°ずれているがワークステーションに対して横方向の平面内に配置されている。楔プレートの後面51は、スライド13の主本体に直接的に固定された支持プレート54に当接している。
【0012】
楔プレートの下端には、傾斜した平らなカム面61が設けられている。スライド13に固定された下プレート63に載った副楔62にはカム面64が設けられており、このカム面が楔カム面61と係合する。副楔62は、スライド13に固定された回転モータ66の形態の油圧アクチュエータによって、ケージプレート48に向かって又はケージプレートから遠ざかる方向に水平方向に選択的に駆動される。モータの出力シャフトに設けられた雄スプライン67は、雌ねじを備えた回転「ナット」69の相補的スプライン68と係合する。ナット69は、雄ねじを備えたジャッキねじ71と螺合している。ナット69に作用する軸線方向スラストは、支持アッセンブリ72によって支持される。ジャッキねじ71の前端は、副楔62に固定されている。ナット69に固定されたギヤ76及びこのギヤ76と噛み合ったピニオン77が、ナット69の回転と比例してシャフト78を回転駆動する。シャフト78は、円以外、例えば正方形の外側断面を有し、そのため、シャフト78はギヤ79を駆動できる。シャフトは、ギヤの相補的形状のボアを通って摺動する。シャフト78がスライド13とともに往復動するとき、シャフトは、フレーム11に軸線方向に固定されたギヤ79を通って摺動する。ギヤ即ちピニオン79は、回転レゾルバー82に設けられた別のギヤ81と噛み合う。レゾルバーは、基準角度からのナット69の総角度回転によって計測されたジャッキねじ71及び副楔62の位置を記録するために電気信号を発生する。
【0013】
支持プレート54に取り付けられた油圧ピストン−シリンダアクチュエータ86は、垂直方向に垂下したピストンロッド即ちラム87を有する。このピストンロッドは、楔プレート46の上端に当接し、アクチュエータの賦勢時にこのプレートを垂直方向下方に駆動するようになっている。クランプバー37は、ナット及びワッシャによってバーの後端に保持されたばねパック88によって、図4で見て左方に即ち後方にカセットクランプ位置に弾性的に押圧される。各バー37のピストン89は、油圧チャンバ91に入っている。適当な制御装置によってチャンバに選択的に導入される加圧油圧流体は、ばねの力に打ち勝ってバー37を右方に移動し、カセット18及び/又はこのような位置にある合わせを外し(図4の右側に示してある)、新たなカセットを受け入れる。
【0014】
以上説明した楔要素36、46、及び62、及びアクチュエータ66及び86は、代表的には、各ワークステーション16a−fに同じものが設けられている。
【0015】
作動に当たっては、工具ホルダ即ち支持体17及びこのホルダ内の工具を支持する工具カセット18は、チャンバ91内の油圧によってクランプバー37を延ばしたとき、クレードル26内にあり且つブロック27間にあるゾーン内に受け入れられる。カセット18はロボットアームによって取扱うことができる。その後、チャンバ91を排出し、ばね88でカセット18を楔ブロック36に対して固定的にクランプする。
【0016】
ダイブレスト12に設けられた相補的工具と向き合った、スライド13上に設けられた各ワークステーション16a−fは、呼称シャット高さ即ちダイブレストとスライドとの間の最小間隔について設計されている。開示の装置により、各ワークステーションの向き合った工具の実際の最小間隔は、他のワークステーションでのこのような間隔とは別個に、軸線方向で調節できる。カム楔すなわち副楔62をダイブレスト12に向かって前方に駆動する所定方向にアクチュエータ66を作動することによって、カセット18及び関連した工具ホルダ17をスライド13上でダイブレスト12に向かって移動する。この移動は、表面61及び64でのカム作用によって、楔プレート46を持ち上げ、表面52、53間の楔作用即ちカム作用によって楔ブロック36をダイブレスト12に向かって延ばす。アクチュエータ66を作動して楔ブロック36及びカセット18を延ばとき、ピストン89及びチャンバ91によって形成されクランプ解放アクチュエータが賦勢され、ばね88が発生するクランプ力の全て又は一部を取り除き、ラムアクチュエータ86を賦勢してラム87を引っ込める。油圧モータ66の方向を逆転させて副楔即ちカム62を引っ込めることによって、カセット18及び工具キャリヤ17をスライド上でダイブレストから引っ込める。摩擦抵抗に確実に打ち勝つため、及び楔プレート表面61をカム面64に確実に従動させるため、油圧ピストン−シリンダ86を賦勢してラム87を延ばし、楔プレート46を下方に押圧する。向き合ったブロック27及びクレードル26が提供するカセットの横方向位置決め表面或は半径方向横位置決め表面は、上述のように、ワークステーション16の軸線に対して平行であり、そのため、これらの表面は、副楔62による調節移動を受け入れ、これらの部材が提供する工具ホルダ17の正確な横方向位置決めを妨げない。レゾルバー82は、ジャッキねじナット69の回転を監視することによって、楔ブロック36及びカセット18の軸線方向位置を機械10の制御装置に示し、工具の所望の調節位置が得られたとき、モータ66の回転を止める。ばね88は、楔ブロック36の任意の調節位置で適当なクランプ力を提供するように調節される。
【0017】
開示の装置は、ワークステーション16にある工具の向き合った組の実際の最小間隔を軸線方向で調節することができる。この調節は、元々の工具設計における不正確さの補正に使用でき、例えば、暖機時の熱による機械の寸法の変化及び線材の状態変化を考慮に入れることができる。本発明によれば、開示の装置は、機械が作動しており、部品の鍛造を行っているときに個々の工具の軸線方向調節を「オンザフライ式」に行うことができるということは理解されよう。開示の機械は、任意の所与のワークステーション16a−fにある工具対のシャット高さの調節を、別のワークステーションで行われる調節とは別個に、完全な柔軟性をもって行うことができるということは理解されよう。その結果、機械は、更に均等な部品を製造でき、工具の使用寿命を改善することができる。
【0018】
本開示は例であって、細部の付加、変更、又は削除によって、本開示に含まれる教示の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができるということは明らかである。従って、本発明は、特許請求の範囲が必然的に限定する程度を除き、本開示の特定の詳細には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した順送り鍛造機の概略側面図である。
【図2】図3とともに、ダイブレストからの方向で見たスライドを示す概略立面図である。
【図3】図2とともに、ダイブレストからの方向で見たスライドを示す概略立面図である。
【図4】スライドの領域を通る垂直平面内での機械の概略断面図である。
【図5】油圧式回転アクチュエータ及び電子式レゾルバーの拡大断面図である。
【図6】工具カセットの斜視図である。
【図7】スライドの前側の概略部分斜視図である。
【符号の説明】
10 鍛造機 12 ダイブレスト
13 スライド 16 ワークステーション
17 工具キャリヤ 18 カセット
20 垂直プレート 21 ブロック
22 中央垂直スロット 23 中央スロット
26 サドル 27 ブロック
36 楔ブロック 37 クランプバー
46 楔プレート 48 ケージプレート
54 支持プレート 62 副楔
69 ナット 71 ジャッキねじ
88 ばね

Claims (9)

  1. 順送り鍛造機において、ダイブレストと、このダイブレストに向かって及び前記ダイブレストから遠ざかる方向に往復動するスライドとを有し、前記ダイブレスト及び前記スライドは、協働する工具を支持するための複数の向き合った整合したワークステーションを有し、各工具を前記スライド上で、他の工具の軸線方向位置とは無関係に、かつ関連した向き合った工具に関して軸線方向に調節されつつある工具の横方向整合を維持しながら、前記スライドの移動方向と平行な方向で軸線方向に調節するための動力作動式機構が設けられている鍛造機であって、前記スライド上の前記各ワークステーションに工具支持体を有し、各工具支持体は、精密な位置決め面によって位置決めされ、これらの面は、前記ワークステーションの軸線方向と平行な平面内にあり、前記工具支持体は、工具ホルダカセットの形態であり、前記スライドは、前記工具カセットをその上にクランプするための動力作動式クランプを含み、前記機械は、前記スライド上の前記各ワークステーションの工具カセットと関連した別体の楔ブロックを有し、前記クランプはそのクランプ力を関連した楔ブロックに工具カセットを介して作用するように構成されており、前記動力作動式機構は、関連する前記工具カセットを支持する楔ブロックと、該楔ブロックと楔面を介し係合した楔プレートと、該楔プレートを楔ブロックに対し横方向に移動させることにより楔ブロックとこれに支持された工具カセットとを軸線方向に前進及び後退させるアクチュエーターとを含んでおり、前記クランプは、軸線方向に移動可能で関連する前記工具カセットに係合可能なクランプバーと、該クランプバーを工具カセットのクランプ位置に弾性的に押圧するばねと、該クランプバーに設けられたピストン及び該ピストンを収容する液圧チャンバとを含むクランプ解放アクチュエータとを含んでいる、ことを特徴とする鍛造機。
  2. 前記楔ブロックの軸線方向移動をつくりだすため、前記軸線方向の横方向の移動に応答する楔面を有する、請求項1に記載の鍛造機。
  3. 前記横方向移動をつくりだすための副楔を有する、請求項2に記載の鍛造機。
  4. 前記楔面を駆動するための動力作動式ねじを含む、請求項2に記載の鍛造機。
  5. 前記楔面を両横方向に駆動するための動力アクチュエータ部材を有する、請求項3に記載の鍛造機。
  6. 前記楔面を一方向に移動するための油圧式ピストン−シリンダアクチュエータを有する、請求項5に記載の鍛造機。
  7. 前記動力作動式ねじは、前記鍛造機の製造作業中に前記楔面をオンザフライ式に駆動できる回転油圧モータを含む、請求項4に記載の鍛造機。
  8. 前記動力作動式ねじは、副楔を強制的に移動するように構成されており、前記副楔は、前記横方向移動をつくりだすように構成されている、請求項4に記載の鍛造機。
  9. 順送り鍛造機において、ダイブレストと、このダイブレストに向かって及び前記ダイブレストから遠ざかる方向に往復動するスライドと、前記スライド及び前記ダイブレスト上に設けられた複数の向き合ったワークステーションと、前記スライド上に設けられた、前記各ワークステーションと関連した別体の楔ブロックと、前記各スライドの前記ワークステーションに、前記ダイブレストに設けられた向き合ったダイワークステーションに関して、前記スライドの移動方向と平行な軸線方向に関して横方向に整合した状態で軸線方向に配置された工具ホルダカセットの形態である工具支持体と、前記楔ブロックの各々及び関連した工具支持カセットの軸線方向位置を別々に調節するための動力作動式手段と、前記各ワークステーションの前記工具支持カセットを前記ダイブレスト上の向き合ったワークステーションと整合するように精密に位置決めするための位置決め面とを有し、該位置決め面は、前記工具支持カセットをその向き合ったダイブレストワークステーションに対して整合した状態に維持しながら関連した楔ブロック及び工具支持カセットの軸線方向調節を行うことができるように構成されており、各楔ブロックおよび関連した工具支持カセットとを調節された位置に自動的にクランプするクランプ装置を含み前記動力作動式手段は、関連する前記工具支持カセットを支持する楔ブロックと、該楔ブロックと楔面を介し係合した楔プレートと、該楔プレートを楔ブロックに対し横方向に移動させることにより楔ブロックとこれに支持された工具支持カセットとを軸線方向に前進及び後退させるアクチュエーターとを含んでおり、前記クランプ装置は、軸線方向に移動可能で関連する前記工具支持カセットに係合可能なクランプバーと、該クランプバーを工具支持カセットのクランプ位置に弾性的に押圧するばねと、該クランプバーに設けられたピストン及び該ピストンを収容する液圧チャンバとを含むクランプ解放アクチュエータとを含んでいることを特徴とする鍛造機。
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