JP4315358B2 - 甘蔗からの原糖製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、甘蔗からの原糖製造方法に関する。さらに詳しくは、甘蔗生産地で刈り取った甘蔗より、十分に不純物を除去し、原糖(粗糖)を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
甘蔗より蔗糖を得る伝統的方法は、熱帯あるいは亜熱帯で甘蔗を栽培し、これを砕き圧搾して得られた混合汁を簡単な物理処理及び化学処理(石灰添加)し、連続沈降槽により不純物を除き、得られた清澄液を濃縮缶にて濃縮を行い、濃縮したシラップを結晶缶にかけ蔗糖結晶(粗糖)を段階的に蒸発晶析して(煎糖法)、蔗糖結晶を生産するものである。
【0003】
かくして得られた原糖(粗糖)結晶は純度が低いので、これを消費地まで運び洗浄後溶解し、メルト液を物理・化学処理して精製し白糖(純度の高い製品)を得てこれを販売している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
原糖の製造過程における清浄工程において、混合汁に対して石灰乳を添加して清浄する目的は、混合汁の不溶性懸濁物質及び溶解性不純物を除去することにあるが、重力沈降による固液分離のみであるため、微細な不溶性懸濁物質は完全に除去することができず、溶解性不純物については除去率が低く、また溶解性高分子(たとえば増粘性ガム質、デキストラン)などは除去できない。このため、後工程である煎糖結晶化工程において、不純物濃度及び粘度の増大が律速となり、蔗糖の回収率を上げることができない。
【0005】
また、石灰を添加することにより、清浄工程後の清澄汁には、甘蔗由来のCa濃度以上のCa濃度となり、後工程での濃縮工程における濃縮缶において著しいスケーリングが発生する。このために、スケーリングを薬品洗浄により除去する作業が必要となり(たとえば1週間に1回の頻度)、薬品使用量、排液処分費用等ランニングコストを増加させ、濃縮缶の稼働率の低下を招く。
【0006】
さらに、沈降槽にて、良好なる固液分離を行うため、2〜3時間の滞留時間を必要とし、沈降槽自体大きな設備となってしまう。
【0007】
しかし、従来の清浄工程を経て得た清澄液は、濃縮することにより残存する不純物も同時に濃縮されるため粘度上昇がきわめて大きく、このために本来熱交換効率の高いプレート型熱交換器または流下液薄膜式熱交換器を使用することが困難であり、通常は、やむなくカランドリアタイプの熱交換器を使用していた。しかし、カランドリアタイプの熱交換器では滞留時間が長いために、その間において、蔗糖から還元糖への分解(たとえば蔗糖量に対して0.05%の分解量)や糖液の着色問題を生じ、良質原糖製造の困難及び蔗糖回収率の低減の要因となっていた。
【0008】
したがって、本発明の第1の課題は、微細な不溶性懸濁物質も完全に除去するとともに、溶解性不純物の除去率を高め、また溶解性高分子(たとえば増粘性ガム質、デキストラン)なども除去するようにすることにより、良質な原糖を製造するとともに蔗糖の回収率を高めることにある。
【0009】
第2の課題は、限外ろ過処理工程において、石灰の添加を行わないことにより、濃縮工程における濃縮缶でのスケーリングの発生を少なくし、もってその洗浄作業回数を低減し、薬品使用量、排液処分費用等ランニングコストを減少し、濃縮缶の稼働率の向上を図ることにある。
【0010】
第3の課題は、清浄を図った清澄液を濃縮するときにおける粘度上昇を抑制することにより、本来熱交換効率の高いプレート型熱交換器または流下液薄膜式熱交換器を使用することができようにし、もって蔗糖から還元糖への分解を抑制し、蔗糖回収率の低減を防止することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
限外ろ過処理工程において、次記の工程を含んで処理することを特徴とする甘蔗からの原糖製造方法。
(1)甘蔗の圧搾により得た圧搾汁、甘蔗の抽出により得た抽出汁、または圧搾汁と抽出汁とを混合した混合汁からなる粗汁を得る粗汁生成工程。
(2)粗汁中の不溶物質の除去をろ過により行う不溶物質除去工程。
(3)不溶物質を除去した粗汁を限外ろ過処理して清澄汁を得る限外ろ過処理工程。
(4)前記清澄汁を濃縮し晶析して原糖を得る濃縮・晶析工程。
(5)限外ろ過濃縮液に対して、石灰、凝集剤、及びろ過助剤としての不溶物質除去工程でのスラッジを添加して、ろ過処理により糖液を回収し、回収糖液を前記濃縮工程に返送する糖液回収返送工程。
【0012】
(作用効果)
A.限外ろ過処理により清浄工程を構成することにより、微細な不溶性懸濁物質も完全に除去するとともに、溶解性不純物の除去率が高められ、特に従来の石灰添加では除去しきれなかった溶解性高分子物質(特に増粘性を示すガム質、デキストラン等)をも除去することができ、煎糖工程における濃縮倍率を上げることができ、蔗糖回収率を高めることができる。
B.また、限外ろ過処理工程において石灰の添加を行わないことにより、濃縮工程における濃縮缶でのスケーリングの発生が少なくなり、もってその洗浄作業回数が低減し、薬品使用量、排液処分費用等ランニングコストを減少することができ、濃縮缶の稼働率の向上を図ることができる。
C.限外ろ過膜処理設備自体コンパクトであるため、従来の方式に比べて、多大な設置スペースを必要としない。
D.限外ろ過処理工程により清澄汁と分離した濃縮液から糖液を回収し、回収糖液を前記濃縮工程に返送する糖液回収返送工程を含むので、蔗糖回収率を高めることができる。
E.糖液を回収するに際しては、石灰及び凝集剤を添加してろ過処理により回収するものの、先に限外ろ過処理工程を経ているので、石灰の添加量は従来の石灰添加量に比較して約1/2程度でよく、ランニングコストが低減する。
F.ろ過処理において、不溶物質除去工程でのスラッジをろ過助剤とすることにより、ろ過効率が高まる。
【0015】
<請求項2記載の発明>
限外ろ過処理工程前に粗汁のpHを6.2〜7.2に調整する請求項1または2記載の甘蔗からの原糖製造方法。
【0016】
(作用効果)
G.たとえば苛性ソーダや炭酸ソーダによりpH調整を行うことにより、清浄工程から結晶化工程までを通し、蔗糖から還元糖への分解を抑制し、蔗糖の回収率を高めることができる。
【0021】
<請求項3記載の発明>
限外ろ過処理工程において、濃縮倍率を順次高める複数段の膜処理に分割し、少なくとも1つの段における膜処理に供する液に対して注水する請求項1記載の甘蔗からの原糖製造方法。
【0022】
(作用効果)
H.限外ろ過処理工程により、最高で30倍程度濃縮を行うことができることを知見しているが、濃縮倍率を高めるほど処理能力は低下するとともに、膜面積の増大に繋がる。これに対して、濃縮倍率を順次高める複数段の膜処理に分割すると、膜面積の増大を抑制しながら、目的の高い濃縮倍率まで濃縮できる。
I.少なくとも1つの段における膜処理に供する液に対して注水することにより、見かけ上、不溶性懸濁物質濃度を低下させることになるので、糖液の回収率を高めることができる。
【0023】
<請求項4記載の発明>
プレート型熱交換器または流下液薄膜式熱交換器を備えた濃縮設備により濃縮を行う請求項1記載の甘蔗からの原糖製造方法。
【0024】
(作用効果)
J.限外ろ過処理工程により得られる清澄液は、濃縮するときにおける粘度上昇は小さく、もって本来熱交換効率の高いプレート型熱交換器または流下液薄膜式熱交換器を使用することができ、その結果、蔗糖から還元糖への分解を抑制し、蔗糖回収率の低減を防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
甘蔗を出発物質とし、公知の圧搾方法により得た圧搾汁、甘蔗の抽出により得た抽出汁、または圧搾汁と抽出汁とを混合した混合汁からなる粗汁をスチーム加熱源として、たとえば、105℃まで加熱を行う。加熱を行う機器としては、シェルアンドチューブタイプもしくは、プレート型の熱交換器などが挙げられる。通常粗汁のpHは、5〜6付近であり、この状況下においては、粗汁中の蔗糖分が還元糖へ変換されやすくなるが、プロセス全体の滞留時間を従来技術と比較した場合、大幅に短縮しており、還元糖精製比率は、従来技術とほぼ変わらない。したがって、本発明においては、粗汁pH調整することなく、処理を行うことができるが、必要ならば、苛性ソーダや炭酸ソーダにより、限外ろ過処理工程前に粗汁のpHを6.2〜7.2に調整することができる。
【0026】
粗汁中には、甘蔗由来の細かい繊維状物質や砂土砂その他異物(以下「不溶性懸濁物質」または「不溶物質」と言う。)が混入している。たとえば、約0.7重量%の細かい繊維状物質(「ピス」)が混入している。これらの不溶性懸濁物質を除去するため、たとえば傾斜型スクリーンを用いる。この傾斜型スクリーンは50μm以上の不溶性物質を除去することが可能であり、かつ連続運転が可能である。またろ過糖汁および不溶性物質(スラッジ)についても連続排出が可能であり、可動部がないため、操作が容易である。傾斜型スクリーンとしては、ウェジワイヤータイプ、運転圧力が1kgf/cm2G以上のものが好ましい。また後工程の膜処理負荷を下げるため傾斜型スクリーンを2段とし、1段目では50μmカット、2段目にて10μmカットすることもできる。チェックろ過を加えることもできる。
【0027】
いずれにしても、限外ろ過膜の構造から不溶物質の除去を行う必要があり、限外ろ過膜がスパイラル構造の場合、スリット間への閉塞を考慮すると50μm以上のピスを除去することが適当であり、チューブラータイプのものであれば、ピスの閉塞はあまり考えられないため、濃縮倍率を考慮してピスの除去率を考えればよい。
【0028】
本発明に係る限外ろ過処理工程では、粗汁中の細かい不溶性懸濁物質および溶解性高分子物質の除去を行う。これらの除去を行うろ過としては、クロスフロータイプの連続膜ろ過が適当である。この膜の除去対象粒径(分画サイズ)としては、限外ろ過(通常UF膜)が最適である。また高温度(80℃以上)仕様の膜が、ろ過能力や、雑菌による汚染等を考慮すると適している。膜構造や膜材質については、様々なタイプのものが存在するが、上記の条件を満たしているものであれば、どのようなものでも問わない。
【0029】
本発明者らは、粗汁中の不溶性懸濁物質及び溶解性高分子を除去するため、限外ろ過膜及び精密ろ過膜による処理の比較を行った。その結果、精密ろ過膜は以下の理由により、糖液の処理には適していないことが判明した。
・粗汁中の不溶性懸濁物質が、膜面口径に目詰まりを起こし、安定した膜処理能力が得られない。
・限外ろ過膜より溶解性不純物の除去率が低い。
【0030】
膜処理運転での濃縮倍率については、濃縮倍率が高ければ高いほど、膜処理での糖液回収率を上げることができるが、膜面積の増大となり経済的でない。また、濃縮倍率を低く設定すると、糖液回収工程設備が大きくなり、これについても経済的でなくなる。このことから適切な濃縮倍率を設定することが必要である。特に、粗汁中の不溶性懸濁物質量によって濃縮倍率を決定する。
【0031】
この限外ろ過処理工程において、図2に示すように、濃縮倍率を順次高める複数段(図示の形態では3段)の膜処理に分割し、適宜の段において、少なくとも1つの段における膜処理に供する液に対して注水する方法を採ることができる。限外ろ過処理工程の濃縮に際して、濃縮倍率により膜のろ過能力が異なることから、1段にて全濃縮を行うのではなく、数段に分割して濃縮を行った方が膜面積を少なくすることができる。膜処理を数段に分ける決定因子としては、各濃縮倍率での膜処理能力によって決定する。また、注水することにより、見かけ上、不溶性懸濁物質濃度を低下させることになるので、糖液の回収率を高めることができる。
【0032】
次いで、限外ろ過処理工程から発生する濃縮液から糖液を回収する。回収方法としては、凝集効果のある石灰乳、高分子凝集剤およびろ過助剤としての不溶物質除去工程で分離したピス(甘蔗由来の細かい繊維)を添加し、ろ過によりこれら凝集した固形物を除去する。このろ過機としては、水平ベルトフィルター、ドラムフィルター等連続タイプのものが好ましい。糖液回収工程での清澄液は、本プロセスの濃縮工程に移送し、マッドケーキは系外に排出する。
【0033】
この糖液回収工程は、限外ろ過処理工程から発生する濃縮液を他で有効利用(たとえば、家畜等の飼料、農地への肥科等)が可能であれば、省略することができる。
【0034】
限外ろ過処理工程からの清澄液(汁)は、目的のBx(ブリックス)濃度まで濃縮する。この濃縮工程では、熱効率向上のため、5〜6重効用缶が有利である。通常濃縮工程での効用缶数は、5缶が最高といわれているが、本発明では、限外ろ過処理を行っていることから、増粘性の物質の除去が行われており、熱交換の効率が向上している。このことから、一般的な効用缶数よりも多い効用缶にて濃縮が可能となる。濃縮装置としては、カランドリアタイプのものを用いることができるものの、限外ろ過処理により増粘性の物質の除去を行っているので、本来熱交換効率の高いプレート型熱交換器または流下液薄膜式熱交換器を使用することができる。その結果、蔗糖から還元糖への分解を抑制し、蔗糖回収率の低減を防止することができる。
【0035】
濃縮工程にて濃縮された蔗糖溶液は、晶析工程により、製品蔗糖結晶を得る。晶析工程から発生する廃糖蜜(モラセス)は、他の用途に供するか、これから蔗糖分をさらに回収することができる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
パイロットプラントにより本発明の内容を実証実験した。
圧搾によるBx13,pH5.3の混合汁(粗汁)を約85℃まで加熱を行い、0.3m2のバグフィルターにて、50μm以上の繊維状のピスを0.7wt%から0.4wt%まで除去を行った。前記混合汁をpH調整することなく圧力0.3MPaに昇圧し、限外ろ過スパイラル膜:7.2m2の膜(分画分子量:2〜3万分画分子量)に供給を行い、不溶性懸濁物質及び溶解性高分子物質の除去を行った。
限外ろ過スパイラル膜では、供給液に対し、不溶性懸濁物質については100%の除去率であり、溶解性高分子であるタンパク質については35%の除去率を、ガム質については45%の除去率を示し、濁度に関しては99%の除去率となった。不純物濃度は、従来の石灰添加した清澄液と比較し半分の量となった。
回収率を決める濃縮倍率と透過液量については、濃縮倍率10倍時には、透過液量100(L/Hr/m2)、30倍濃縮時では、65(L/Hr/m2)の数値が得られた。濃縮液の回収としては、50φリーフテストによる石灰添加処理を行い、石灰添加量を調べたところ、既設石灰添加量の半分量となった。
【0037】
(実施例2)
上記パイロットテストにより得られた結果に基づいて、1000TCD工場に本発明を適用した場合の実施例について以下に記す。
圧搾工程からのBx13、pH5.3の混合汁42m3/Hrを温度85℃まで昇温し、傾斜型スクリーンろ過機(ろ過幅合計:2m)によりに、連続的に50μm以上の繊維状ピスを0.7wt%から0.4wt%まで除去した。
得られた混合汁を0.8Mpaの圧力まで昇圧し、670m2のスパイラル型限外ろ過膜(分画分子量:2〜3万分画分子量)により、透過液:40.6m3/Hr、濃縮液;1.4m3/Hrが得られた。透過液中の不純物は、0.4wt%であり、従来の石灰清浄工程からの清澄液中の不純物濃度0.8wt%と比較し、低い数値であった。
膜処理方法は、2段膜処理とし、希釈法は用いず、1段目の濃縮倍率は、10倍、膜面積は、580m2であり、2段目膜処理での濃縮倍率は、30倍、膜面積は、90m2となった。
【0038】
濃縮液回収方法については、石灰添加によるものとし、石灰添加量は、濃縮液中の不溶性懸濁物質に対し、5wt%量、凝集剤については、不溶性懸濁物質に対し0.01%となり、従来の石灰添加方式に比べ、半分の使用量となった。回収に際しては、連続式水平ベルトフィルター(15m2)により、糖液を回収し、膜清浄工程での糖ロス分は、0.3wt%となった。
また、膜処理されたBx13の透過液40.6m3/Hrを4重効用缶によりBx60まで濃縮した。濃度が薄い第1缶〜第3缶ではプレート型熱交換器を、濃度が濃い最終の第4缶では流下液薄膜式熱交換器を用い、8.8m3/Hrの割合で濃縮液を得ることができた。従来では、必要な伝熱面積は1200m2であるのに対して、実施の形態では800m2で足りた。
スケーリング除去に必要なインターバル期間は2〜3週間となり、従来例の2〜3倍となり、薬品使用量、排水処理コスト、人件費などを考えると、1/2〜1/3のコスト低減を図ることができた。
濃縮工程での滞留時間は、4缶合計で12〜20分であり、従来は50〜60分の滞留時間となっていたことに対して、蔗糖分解率が1/5〜1/3に低減した。また結晶工程では、膜処理された糖液の濃縮倍率をあげることができ、従来の回収率と比較した場合、濃縮晶析工程での原糖回収率は1.5%向上した結果が得られた。
【0039】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、微細な不溶性懸濁物質も完全に除去するとともに、溶解性不純物の除去率を高めるとともに、溶解性高分子(たとえば増粘性ガム質、デキストラン)なども除去するようにすることにより、蔗糖の回収率を高めることができる。
【0040】
また、洗浄工程において、石灰の添加を行わないことにより、濃縮工程における濃縮缶でのスケーリングの発生を少なくし、もってその洗浄作業回数を低減し、薬品使用量、排液処分費用等ランニングコストを減少し、濃縮缶の稼働率の向上を図ることができる。
【0041】
さらに、清浄を図った清澄液を濃縮するときにおける粘度上昇を抑制することにより、本来熱交換効率の高いプレート型熱交換器または流下液薄膜式熱交換器を使用することができるようにし、もって蔗糖から還元糖への分解や糖液の着色を抑制し、蔗糖回収率の低減を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示すフローチャートである。
【図2】 限外ろ過処理工程の実施の形態例を示すフローチャートである。

Claims (4)

  1. 限外ろ過処理工程において、次記の工程を含んで処理することを特徴とする甘蔗からの原糖製造方法。
    (1)甘蔗の圧搾により得た圧搾汁、甘蔗の抽出により得た抽出汁、または圧搾汁と抽出汁とを混合した混合汁からなる粗汁を得る粗汁生成工程。
    (2)粗汁中の不溶物質の除去をろ過により行う不溶物質除去工程。
    (3)不溶物質を除去した粗汁を限外ろ過処理して清澄汁を得る限外ろ過処理工程。
    (4)前記清澄汁を濃縮し晶析して原糖を得る濃縮・晶析工程。
    (5)限外ろ過濃縮液に対して、石灰、凝集剤、及びろ過助剤としての不溶物質除去工程でのスラッジを添加して、ろ過処理により糖液を回収し、回収糖液を前記濃縮工程に返送する糖液回収返送工程。
  2. 限外ろ過処理工程前に粗汁のpHを6.2〜7.2に調整する請求項1記載の甘蔗からの原糖製造方法。
  3. 限外ろ過処理工程において、濃縮倍率を順次高める複数段の膜処理に分割し、少なくとも1つの段における膜処理に供する液に対して注水する請求項1記載の甘蔗からの原糖製造方法。
  4. プレート型熱交換器または流下液薄膜式熱交換器を備えた濃縮設備により濃縮を行う請求項1記載の甘蔗からの原糖製造方法。
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