JP4315241B2 - 接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯牙その他の型取りに使用される印象材において、印象を採得するために用いられる金属トレーとアルジネート印象材との接着に使用される接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯牙の修復のための歯牙の型取りには、一般にアルジネート印象材が使用されている。アルジネート印象材は、基材であるアルギン酸塩と硬化材である硫酸カルシウムを水と混練するとゲル状硬化体が得られることを利用したものである。歯牙の型取りには、一般に歯列を模したトレーに硬化前の基材と硬化材を混練したものを盛り付け、口腔内の歯牙を包み込むようにトレーを歯牙に押付け、硬化後に、トレーと硬化体とを一体として歯牙から外して口腔外に撤去することにより行われている。
【0003】
トレーは、主に真鍮、真鍮にニッケルメッキ等を施したもの、ステンレス鋼などの金属製のものが広く用いられ、その形状としては、網状、プレート状、パンチ穴を有するものがある。ところが、プレート状の金属製トレーを用いて印象採得を行う場合に、トレーと硬化体を一体として歯牙から外そうとすると、トレーと硬化体との間で剥がれてしまい、硬化体に大きな変形が生じ、その結果、精度の高い印象が採得できなくなるという問題が生じた。そこで、我々は、トレーと硬化体とが剥がれないようにトレーと硬化体とを接着するための接着剤として金属の水酸化物または金属塩を水、有機溶剤等に溶解或いは懸濁させた接着剤を提案した(特開平10-175812)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記金属の水酸化物または金属塩を水、有機溶剤に溶解或いは懸濁させた接着剤を用いた場合、金属トレーの種類や表面状態の違いによって、塗布後に表面で液凝集による不均一化が生じ、その結果、安定した接着性が得られないという問題が生じた。そこで、トレー表面での不均一化等の生じる事のない、安定した接着力を有する金属トレ一とアルジネート印象材との接着剤の開発を行った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題点を解決すべく鋭意研究した結果、アルカリ土類金属化合物を水や有機溶剤に溶解或いは懸濁させた組成物の中に微粒子を分散させた液組成物を、金属トレー表面に塗布或いは噴霧したところ、液凝集を生じず均一性を維持でき、しかも金属トレーとアルジネート印象材との安定した接着力が得られることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)水または有機溶剤100重量部に対して、(B)アルカリ土類金属化合物0.1〜30重量部、並びに(C)平均粒子径が1μm以下の微粒子0.05〜5重量部を含んでなることを特徴とする金属トレーとアルジネート印象材との接着材である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において水または有機溶剤(以下総称して溶剤という)は公知のものが何ら制限されることなく使用できる。水は通常蒸留水が使用される。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ペンタン、ブタン等の脂肪族炭化水素類があげられる。特にエタノール、イソプロピルアルコール等のような揮発性が高く、毒性の低い低級アルコールが、後述する乾燥が容易に行えるので好適である。これら溶剤は、後述するアルカリ土類金属化合物を必ずしも溶解させる必要はなく、これらを分散させるものであってもよい。
【0008】
本発明に用いられるアルカリ土類金属化合物は、アルカリ土類金属水酸化物やアルカリ土類金属塩等の公知のアルカリ土類金属化合物が制限なく使用される。好ましくは、アルカリ土類金属イオンを形成しやすい化合物が好適に使用される。 アルカリ土類金属化合物を具体的に例示すると、アルカリ土類金属水酸化物としては水酸化力ルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、塩化力ルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、臭化力ルシウム、臭化マグネシウム、臭化バリウム等の塩化物、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸バリウム等のリン酸塩、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸バリウム等のクエン酸塩、アクリル酸カルシウム、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸バリウム等のアクリル酸塩、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸バリウム等のメタクリル酸塩等が挙げられる。これらは単独あるいは併用して使用される。特にカルシウム、マグネシウムの水酸化物または塩化物は、イオンとなりやすく接着力が極めて高いので好ましい。
【0009】
これらアルカリ土類金属化合物の量は、前記溶剤100重量部に対して0.1〜30重量部である必要がある。アルカリ土類金属化合物の量が0.1童量部よりも少ない場合は十分な接着効果が得られず、30重量部よりも多い場合は接着剤の不均一化や分散性の低下が生じるために好ましくない。特に、接着剤の粘性およびそれに伴う塗布あるいは噴霧作業の操作性を勘案すると1〜25重量部の範囲が好ましい。
【0010】
アルカリ土類金属化合物が溶剤に溶解しにくい場合には溶剤中に分散させればよい。この場合、アルカリ土類金属化合物の沈殿または凝集を防止するために、アルカリ土類金属化合物の粒径は100μm以下の小さい方が好ましく、更にその粒径は10μm以下である方がより好ましい。
【0011】
また、上記アルカリ土類金属化合物を溶剤に分散させた後の沈降又は凝集を防止するために界面活性剤を加えても良い。これらの界面活性剤は、公知のものが何ら制限なく使用が可能であり、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤の何れも使用できる。
【0012】
界面活性剤を具体的に例示すると、陰イオン界面活性剤として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられ、陽イオン界面活性剤として、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩等が、また両性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖酸エステル、ポリオキシジエチレンアミン、ポリシロキサン類とポリオキシエチレン類とのブロックボリマー等が挙げられる。
【0013】
上記界面活性剤を使用する場合は、アルカリ土類金属化合物100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましい。
【0014】
本発明に用いられる微粒子としては、平均粒子径が1μm以下の微粒子であれば公知のものが何ら制限なく使用可能である。また、粒子の形状についても球形状の粒子をはじめ不定形状の粒子も使用可能である。平均粒子径が1μmを越えると剤中で沈降分離してしまい好ましくない。
【0015】
特に好適に使用される微粒子を具体的に例示すると、乾式超微粉末シリカ、乾式超微粉末アルミナ、乾式超微粉末ジルコニア、乾式超微粉末チタニア、湿式非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、コロイダルジルコニア、石英微粉等の無機酸化物、及びポリメチルメタクリレート等の有機微粉体が、単独あるいは2種類以上併用して使用される。また、これらの微粉体は有機溶媒への分散性を高める為に、粒子表面をメチルクロロシラン類等で疎水化させた表面処理物を使用してもよい。
【0016】
これら微粒子の量は、溶剤100重量部に対して0.05〜5重量部が望ましい。微粒子の量が0.05重量部よりも少ない場合は十分な分散担体としての効果が得られず、5重量部よりも多い場合は接着性の低下が生じるために好ましくない。
【0017】
該微粒子は接着剤としての性能を出すために溶媒に適度な分散をさせる必要がある。微粒子を分散させる方法としては、公知の方法が何ら制限なく使用できる。具体的に例を挙げれば、超音波分散、ディスパーザー分散、湿式ボールミル分散等の各方法がある。
【0018】
本発明の接着剤の使用方法は特に制限されない。一般には、金属製トレーにハケ、ヘラ、筆などで塗布するか、または噴霧して用いられる。塗布後または噴霧後は、空気中に放置して自然乾燥させるか、熱風をかけて乾燥させても良い。
【0019】
本発明の接着剤が適用されるアルジネート印象材としては、公知のものが何ら制限されることなく使用できる。具体的に述べると、アルギン酸塩を主成分とする基材ペーストと硫酸カルシウムを主成分とする硬化材ペーストとを混合して用いるペースト/ペーストタイプのもの、或いは、アルギン酸塩と硫酸カルシウムを主成分とする粉体を水とを混合して用いるもの等がある。更に詳しく述べると、アルギン酸カリウム、シリカ粉末、水酸化カリウム、ポリアクリル酸、水等の組成の基材ペーストと、粒状シリカ、流動パラフィン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、リン酸三ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、超微粒子シリカ、硫酸カルシウム等の組成の硬化材ペーストからなり、基材ペーストと硬化材ペーストを混合練和して用いるもの、あるいは、アルギン酸カリウム、シリカ粉末、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、リン酸三ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、硫酸カルシウム等の組成の粉体と水を混合練和して用いるもの等がある。
【0020】
本発明は、特にカルシウム、マグネシウムの水酸化物または塩化物1〜25重量部、低級アルコール100重量部、並びに平均粒子径が1μm以下の超微粉末シリカまたは超微粉末アルミナ0.05〜2重量部からなる接着剤が、乾燥が容易で、取扱い易く、しかも接着性が極めて高いので好ましい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を其体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0022】
実施例1
塩化マグネシウム無水物3重量部をエタノール70重量部に溶解し、これに超微粉末シリカ0.1重量部をエタノール30重量部に超音波分散(平均粒子径、0.3μm)させた液を加えた後、スプレー容器に入れ、ステンレス鋼プレート状トレーに300μl程度噴霧した。エアーブローで強制乾燥したところ、液凝集することなく均一に乾燥した。このトレーに市販のペースト状アルジネート印象材「トクソーAP−1」(商品名:株式会社トクヤマ製)を盛付け印象採得を行い、アルジネート印象材硬化後にトレーと硬化体とを一体として歯牙から外し、口腔外に撤去した。このトレーとアルジネート印象材の硬化体は強固に接着しており、引き剥がそうとするとアルジネート印象材の硬化体が凝集破壊することを確認した。
【0023】
実施例2
塩化マグネシウム六水和物14重量部をエタノール100重量部に溶解し、これに平均粒径0.2μmの微粉ポリメチルメタクリレート0.1重量部を添加し超音波分散させた後蓋付きガラス容器に入れた。これをよく振った後、ステンレス鋼プレート状トレーに筆で適当量塗布し、エアーブローで強制乾燥したところ、液凝集することなく均一に乾燥した。この後、市販のアルジネート印象材「トクソーA−lα」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて印象採得を行った。アルジネート印象材硬化後、口腔外にトレーを撤去した。このトレーとアルジネート印象材の硬化体は強固に接着しており、引き剥がそうとするとアルジネート印象材の硬化体が凝集破壊することを確認した。
【0024】
実施例3
水酸化カルシウム10重量部(平均粒径32μm)と乾式超微粉末アルミナ0.2重量部(平均粒子径、0.8μm)をエタノール100重量部に加えて超音波分散させた後蓋付きガラス容器に入れた。これをよく振った後、ヘラでニッケルメッキを施した真鍮製プレート状トレーに適当量塗布し、エアーブローで強制乾燥したところ、液凝集することなく均一に乾燥した。このトレーと市販のペースト状アルジネート印象材「トクソーAP−1」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて通常の印象採得を行い、アルジネート印象材硬化後口腔外にトレーを撤去した。このトレーとアルジネート印象材の硬化体は強固に接着しており、引き剥がそうとするとアルジネート印象材の硬化体が凝集破壊することを確認した。
【0025】
実施例4
モノメチルトリクロロシランで表面処理された乾式超微粉末シリカ0.1重量部をイソプロピルアルコール100重量部にディスパーザーで分散させ(平均粒子径、0.3μm)、次いで塩化マグネシウム無水物5重量部を加えて分散させた後蓋付きガラス容器にいれた。これをよく振った後、筆でアルミニウム製のプレート状トレ一に適当量塗布し、エアーブローで強制乾燥したところ、液凝集することなく均一に乾燥した。このトレーに市販のアルジネート印象材「トクソーA−lα」(商品名:株式会社トクヤマ製)を盛付け通常の印象採得を行った。アルジネート印象材硬化後口腔外にトレーを撤去して、このトレーとアルジネート印象材の硬化体は強固に接着しており、引き剥がそうとするとアルジネート印象材の硬化体が凝集破壊することを確認した。
【0026】
実施例5
水酸化カルシウム(平均粒径32μm)5重量部と乾式超微粉末ジルコニア0.4重量部(平均粒子径、0.9μm)および界面活性剤である2一工チルヘキサン酸カルシウム0.5重量部をエタノール100重量部に加えて超音波分散させた後蓋付きガラス容器に入れた。これをよく振った後、ハケでスズメッキを施した真鍮製プレート状トレーに適当量塗布し乾燥させた。このトレーとアルジネート印象材「トクソーA−1α」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて通常の印象採得を行い、アルジネート印象材硬化後口腔外にトレ一を撤去した。このトレーとアルジネート印象材の硬化体は接着しており、引き剥がそうとするとアルジネート印象材の硬化体が部分的に凝集破壊することを確認した。
【0027】
実施例6
塩化マグネシウム六水和物14重量部を水100重量部に溶解し、次いで湿式超微粉末シリカ0.1重量部(平均粒子径、0.8μm)を加えて超音波分散させた後蓋付きガラス容器に入れた。これをよく振った後、ステンレス鋼プレート状トレーに筆で適当量塗布し、直ちに市販のペースト状アルジネート印象材「トクソーAP−1」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて印象採得を行った。アルジネート印象材硬化後口腔外にトレーを撤去した。このトレーとアルジネート印象材の硬化体は強固に接着しており、引き剥がそうとするとアルジネート印象材の硬化体が凝集破壊することを確認した。
【0028】
実施例7
塩化マグネシウム六水和物20重量部を水100重量部に溶解し、これに40%濃度コロイダルシリカ0.5重量部(コロイド平均粒子径0.04μm)を添加した後蓋付きガラス容器に入れた。これをよく振った後、ステンレス鋼プレート状トレーに筆で適当量塗布し、直ちに市販のペースト状アルジネート印象材「トクソーAP−1」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて印象採得を行った。アルジネート印象材硬化後口腔外にトレーを撤去した。このトレーとアルジネート印象材の硬化体は強固に接着しており、引き剥がそうとするとアルジネート印象材の硬化体が凝集破壊することを確認した。
【0029】
実施例8〜11
塩化マグネシウム無水物3重量部をエタノール70重量部に溶解し、これにジメチルジクロロシランで表面処理された乾式超微粉末シリカを表1に示す量をエタノール30重量部に超音波分散(平均粒子径、0.2〜0.4μm)させた液を加えた後スプレー容器に入れ、ニッケルメッキされた真鍮製プレート状トレーに300μl程度噴霧した。エアーブローで乾燥後、このトレーと市販のペースト状アルジネート印象材「トクソーAP−1」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて通常の印象採得を行い、アルジネート印象材硬化後にトレーと硬化体とを一体として歯牙から外し、口腔外に撤去した。トレーとアルジネート印象材の硬化体を引き剥がしたときの接着状態を確認した。結果を表1に示す。何れもアルジネート印象材の硬化体が凝集破壊していた。
【0030】
比較例1
塩化マグネシウム無水物3重量部をエタノール100重量部に溶解したものをスプレー容器に入れ、ニッケルメッキされた真鍮製プレート状トレーに300μl程度噴霧した。エアーブローで乾燥させたところ、金属トレー表面で不均一に液凝集をおこした。このトレーと市販のペースト状アルジネート印象材「トクソーAP−1」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて通常の印象採得を行い、アルジネート印象材硬化後にトレーと硬化体とを一体として歯牙から外し、口腔外に撤去した。この時のトレーとアルジネート印象材の硬化体を引き剥がそうとしたときの接着状態を確認した。結果を表1に示す。
【0031】
乾式超微粉末シリカ無添加の場合(比較例1)、トレーとアルジネート印象材の硬化体は物理的には接合しているが、引き剥がしてみるとアルジネート印象材の硬化体に一部凝集破壊が見られたのみで、大部分は界面破壊することを確認した。この不均一な接着は、成分中に微粉体を含まないために、乾燥時において液凝集が生じて成分が不均一になったためと推測される。
【0032】
【表1】
【0033】
比較例2
塩化マグネシウム6無水和物20重量部をエタノール100重量部に溶解させたものをスプレー容器に入れ、ニッケルメッキされた真鍮製プレート状トレーに300μl程度噴霧した。エアーブローしたところ、金属トレー表面で不均一に液凝集をおこした。このトレーと市販のペースト状アルジネート印象材「トクソーAP−1」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて通常の印象採得を行い、アルジネート印象材硬化後にトレーと硬化体とを一体として歯牙から外し、口腔外に撤去した。このトレーとアルジネート印象材の硬化体は物理的には接合しているが、引き剥がしてみるとアルジネート印象材の硬化体において一部凝集破壊は見られたのみで、大部分は界面破壊することを確認した。
【0034】
比較例3
無処理のステンレス鋼プレート状トレーと市販のペースト状アルジネート印象材「トクソーAP−1」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて通常の印象採得を行い、アルジネート印象材の硬化後口腔外にトレーを撤去した。このトレーとアルジネート印象材の硬化体は物理的には接合していたが、引き剥がしてみると接着は見られず、両者はシール状に界面破壊をおこすことを確認した。
【0035】
比較例4
無処理の真鍮製及び真鍮にニッケルメッキを施したプレート状トレーの2種のトレーそれぞれにアルジネート印象材「トクソーA−1α」(商品名:株式会社トクヤマ製)を用いて通常の印象採得を行った。アルジネート印象材の硬化後口腔外にトレ一を撤去、それぞれのトレーの状態を確認した。その結果、これらのトレーと印象材の硬化体は物理的には接合していたが、引き剥がしでみると接着は見られず、両者は界面破壊をおこした。
【0036】
【発明の効果】
本発明の接着剤を使用することにより、金属製トレーとアルジネート印象材とが強固に接着する。また、本発明の接着剤は微粒子の存在により、金属表面での液凝集による不均一化が生じにくく、安定した接着力を再現できる。従って、操作上で、印象材硬化体が、金属製トレーから部分的な剥離またはそれに伴う変形をおこすことなく、精度の高い安定した印象採得を行うことができる。
【0037】
また、本発明の接着剤は、懸濁液または溶液であり、塗布あるいは噴霧により、他成分との混合や練和等の作業なしで使用される為、操作性に優れる。更に、各添加成分には、金属製トレーに付着するような粘調物質または硬化性物質や、金属製トレーを侵すような腐蝕性物質または溶解性物質が含まれていない。従って、金属とアルジネート印象材との接着剤自身が金属製トレーに蓄積することや金属製トレーを傷めることはない。
Claims (1)
- (A)水または有機溶剤100重量部に対して、(B)アルカリ土類金属化合物0.1〜30重量部、並びに(C)平均粒子径が1μm以下の微粒子0.05〜5重量部を含んでなることを特徴とする金属トレーとアルジネート印象材との接着材。
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