JP4314111B2 - 導電性ローラの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いる帯電・転写ローラ、現像ローラ、あるいは搬送ローラ、定着ローラ、中間転写体等に用いる導電性ローラの製造方法に関する
従来、電子写真プロセスにおいて、帯電・転写プロセスはコロナ放電を利用して行ってきた。しかし、コロナ放電時にオゾンが発生すること、又、オゾン等は感光体表面の劣化を進行させてしまうこと、コロナ放電用ワイヤーの汚れが画像に影響し、画像白抜けや黒スジを生じる等の問題があった。
そのため、こうした欠点のない、接触帯電・転写の手法が多く研究され、実用化されている。まず、接触帯電・転写部材を用いた電子写真装置について説明する。
図2は、接触帯電・転写部材を用いた電子写真装置の構成を模式的に示した図である。図において、1は被帯電体としての像担持体であり、アルミニウム等を用いた導電性の基体層とその外周面に形成した光導電層の二層からなるドラム型の電子写真プロセスに用いる感光体である。2はこの感光体1に接し、感光体面を所定の電位に一様に帯電させる帯電部材であり、本例ではローラ形状の帯電ローラを示した。
この帯電ローラ2は、芯金、その外周に形成した導電性の弾性体層(ゴム層)と必要により設けられる被覆層からなる。この帯電ローラ2はバネ等の圧接手段で感光体1に所定の圧接力をもって圧接され、感光体1の回転にともない従動回転する。また、この芯金部に直流+交流(又は、直流のみ)バイアスを印加することで感光体1を所定の電位に接触帯電する。つまり、良好なコピー画像を得るためには、均一な接触状態と、導電性が必要になる。帯電部材2で所定の電位に帯電された感光体1の表面が、レーザー、LED等の露光手段3によって画像情報を露光されることによって、目的の画像情報に対応した静電潜像が感光体1表面に形成される。
次いで、その潜像を現像手段4によってトナー画像として可視像化する。このトナー画像は、転写部材6によって転写材5の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで感光体1の表面のトナー画像が転写材5の表面側に転写される。トナー画像の転写を受けた転写材5は感光体1から分離され、定着部材7によって熱、圧力で固着される。また、像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段8で転写時における残留トナー等の付着物の除去を受けて清浄面化され、くり返し作像に供される。
こうした帯電、転写、現像部材等に用いられるローラは、両端において回転可能に支持される芯金と、芯金の周囲に円柱状に設けられた導電性のゴム層によって構成される。
その製造方法としては、ポリマー原料と発泡剤と各種添加剤を配合し混練された原料組成物をチューブ状に押し出した物を加硫させた後に、あらかじめ接着剤を塗布した芯金に圧入し、円筒研磨機などを用いて研磨して外径を整える方法や、あらかじめ接着剤を塗布した芯金を原料組成物と共にクロスヘッドを有する押し出し機にて押出し、加硫させた後に、研磨によって外形を整える方法が知られている。
また、これらの導電性ローラは感光体等の被当接物を傷つけることがないように、硬度が小さい発泡体を用いることもある。その場合には、前記原料組成物をあらかじめ接着剤を塗布された芯金の周囲に円筒状に押出した後に、成形金型の内部に配置し、成形金型を加熱することによって加硫・発泡を行い、芯金の周囲に発泡弾性体を円筒状に形成することで、発泡体ローラを得る。
しかし、未加硫組成物と共に芯金を押出した場合には、押し出す原料組成物の組成によっては、押出した直後から未加硫組成物のダイスウェルや温度降下による収縮が生じ、端部で芯金と未加硫組成物の間に剥がれや浮きが生じる。それをそのまま加硫するとローラ端部の外周面に凹みが生じたり、ゴムと芯金の間が浮いてしまったりして、外径精度の悪化や、接触状態の不安定さを招く。さらに、その欠陥により、導電性が不均一になることがあり、好ましくない。
そこで、従来は、押し出した直後に、端部にテープ等を巻いて浮きを抑えることが可能であるが、テープ巻き自体がコスト的に好ましくなく、さらに、そのまま加硫する場合に加硫後にテープを除去する必要があり、また、金型で成形する場合は、テープ等の付加物を加硫前に除去しておく必要があるなど、問題が多かった。
一方、ローラのゴム層部分を円筒状に加硫物として先に成形した後に、あらかじめ導電性フィラー(導電性カーボンなど)が分散された熱可塑性エラストマーをバインダーとして用いた接着剤を塗布した芯金を挿入して熱処理する方法が知られている(特許文献1)が、芯金への接着剤塗布は圧入時のゴム長と同じか、それよりも狭い領域にしかされていなかった。しかしながら、特許文献1に開示された導電ローラの製造方法では、芯金とともに押出して未加硫のゴム層を形成した後に加硫行なう製造方法とは異なるものである。
特開平8−234544公報
従って、本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、外径精度およびゴム層と芯金との接着状態が良い電子写真装置等に用いる導電性ローラを、低コストでかつ安定して製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、芯金と、該芯金の周面を被覆している接着層と、該接着層を介して該芯金の周面を被覆している導電性のゴム層とを具備し、該ゴム層が、該芯金の軸方向に幅A1を有している導電性ローラの製造方法であって、
(i)軸方向に前記幅A1よりも大きい幅B1で接着剤を周面に塗布した芯金を、導電性フィラーを含有している未加硫のゴム組成物と共に押し出して、該芯金の周面を、該芯金周面上の該接着剤を覆うように該未加硫のゴム組成物で被覆する工程、
(ii)該芯金周面を被覆している未加硫のゴム組成物を加熱し、該ゴム組成物中のゴムを加硫してゴム層を形成する工程、及び
(iii)前記工程(ii)により得られた芯金周面のゴム層の両端部を、前記幅A1で切断する工程
を有していることを特徴とする導電性ローラの製造方法である。
本発明によれば、外径精度も良く、安定した接触状態を得られる導電性ローラを安定して製造することが可能となり、接着剤も導電化することが可能であるので、得られた導電性ローラはその導電性の均一性も向上しており、製品として安定性が良好であるので、画像形成装置に組み込む各種ローラに有用である。
本発明が対象とする導電性ローラについて説明する。
図1は本発明が対象とする導電性ローラの軸方向断面図とAA断面図である。
本発明の導電性ローラ10は、導電性の芯金11、その上に接着剤層12、および必要により設けられる表面層を有してもよい導電性のゴム層13が設けられている。
芯金の材質としては、鉄、ステンレス等の金属や、導電性のあるプラスチック等、導電性と強度、耐熱性があるものなら、いずれでも良いが、コストの面から快削鋼(SUM24Lなど)が良く用いられる。また、芯金には防錆や滑り性などの目的で無電解ニッケルメッキ、クロームメッキ等の表面処理を施してもよく、鉄の芯金の場合には無電解ニッケルメッキ等が良く用いられる。
接着剤層は、ゴム層がしっかりと芯金に固定されるために設けられる層であり、通常、導電性カーボン等を含む熱可塑性エラストマーが用いられる。ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系、及びブタジエン−アクリロニトリル系などのエラストマーが好ましい。特に、ゴム弾性に富み、耐熱性に優れていること、また耐オゾン、耐候性に優れているのでスチレン−ブチレン共重合体エラストマーを主成分とするのが良い。接着剤が導電性でないと、接着層の厚さムラなどがローラ抵抗に大きく影響して抵抗ムラを生じてしまうため、好ましくは導電性とする。また、導電剤としては、導電性カーボン(例えば、ケッチェンブラック(三菱化学社製)、コンダクテックス(コロンビアカーボン社製)、ファーネスブラック、アセチレンブラック等やグラファイトが好ましいものとして挙げられる。
導電性のゴム層は、導電性フィラーを含むポリマーからなり、発泡していてもよい。また、表面には導電性調節、表面保護、表面汚れ防止等のための保護層が形成されていてもよい。なお、芯金と弾性体表面の間に103〜1011Ω位の電導度があると好ましい。
ここで用いるポリマーとしては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッソゴム、塩素ゴム等を挙げることができ、いずれでも良い。
前記ポリマー中に分散させる導電性フィラーとしては導電性カーボン、グラファイト等のカーボン類、TiO2、SnO2、ZnOなどの金属酸化物、SnO2とSb23の固溶体、ZnOとAl23の固溶体などの複合酸化物、Cu、Agなどの金属粉、導電性の繊維等が挙げられる。なお、その添加量は、前記ポリマー原料100質量部に対して5〜200質量部が適当である。
該ゴム層は発泡体でもよい。発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)系、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)系、p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)系、オキシビスベンゼンスルフェニルヒドラジド(OBSH)系等の有機発泡剤をポリマー中に添加することで発泡体とすることができる。発泡剤の添加量は前記ポリマー原料100質量部に対して2〜30質量部である。また、無機発泡剤として、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等を用いることができる。これら発泡剤を混合して用いてもよいし、発泡助剤等を適宜添加してもよい。
加硫剤としては硫黄、金属酸化物、有機酸化物などが挙げられ、ゴム層の原料ポリマーにより適宜選択される。また、その使用量は前記ポリマー原料100質量部に対して0.1〜10質量が適当である。
さらに、無機充填剤としてカーボンブラック、タルク、クレーなどが添加され、その他公知の加硫促進剤、プロセスオイルなどが適宜添加される。
本発明の導電性ローラの製造方法は、接着剤を塗布した芯金をゴム層原料(未加硫組成物)とともに一体に押し出し、未加硫のローラを得、次いで、この未加硫のローラを金型中で加硫してゴム層を加硫し(必要により発泡し)、その後、ゴム層の端部を切断除去する。
未加硫のローラの加熱は、熱風炉、加硫缶、熱盤、遠・近赤外線、誘導加熱などいずれの手法でも良く、130〜250℃で5〜120分間、好ましくは140〜220℃で10〜40分間行われる。この後、必要に応じて2次加硫することもできる。
本発明で使用する未加硫のローラを加熱加硫する金型に、未加硫のローラを組み込んだ状態の模式断面図を図3に示す。なお、右の図は蓋体側から見た側面図であり、左の図はAA断面図である。
図3において、芯金11の外面に接着剤層12があり、その外面に未加硫のゴム層13aからなる未加硫のローラが金型本体21中に芯金11を保持する孔を有する蓋体22に同心軸上に保持され、該蓋体22には通気孔23が設けられている。なお、金型本体21と未加硫のローラ間には空間24があり、これは未加硫のローラを挿入するときの余裕であり、ゴム層13aを発泡させるときの発泡規制空間となる。
熱盤としては図4に示すようなものを示すことができる。
図4において、31は熱盤であり、該熱盤31は円筒状の金型の最大外径と略同一の内径であって、かつ軸方向の長さは金型と略同一長さである空孔部32を有し、円筒状の成形金型の軸方向に平行に分割される。芯金と共に原料組成物を配置した金型を加熱することによって加硫と発泡を同時に行なえるものである。
図5に芯金と未加硫組成物を共に押し出すための押出し機を模式的に示す。
クロスヘッド41を備えた押出し機42のクロスヘッド41の後方から接着剤が塗布された芯金(11+12)を挿入し、クロスヘッド41に備わるダイスから芯金の周囲に同心円筒状に未加硫組成物(未加硫のゴム層)を押出して、未加硫のローラ10aを形成するものである。なお、原料の未加硫組成物は投入口43より押出し機に供給される。また、芯金への接着剤の塗布は、ロールコーター、ディップ、スプレー、刷毛塗りなどいずれの方法であっても良い。
加硫後にゴム層の端部を切除するのに用いる装置(端部切断処理装置)としては、図6に示すようなものを例示できる。
図6に模式的に示す端部切断処理装置は、加硫したローラ10bを両側から加圧して保持する手段52を備え、加硫後のゴム層13bの両端部を切断するために所定の位置で回転する切断用丸刃51、51に矢印の方向Xから平行に押し付けられ、芯金11に切断用丸刃51、51があたるまで切り込みをいれるものである。なお、切断用丸刃51、51は導電性ローラのゴム層の長さに当たる間隔A1にある。また、切断される加硫したローラ10bは例えば芯金11に示した矢印のように回転しながら切断刃51、51に押し当てられる。
本発明において、重要なのはゴム層原料とともに押出される芯金にあらかじめ接着剤が塗布されていることであり、さらに重要なのはその接着剤の塗布幅が切断除去された後のゴム層の接触範囲より広いことである。なお、端部切断除去する前のゴム層の接触範囲より狭くすることが好ましい。
図7に本発明の未加硫のローラの例の模式図を示す。
芯金11の周りに接着剤12が幅B1であらかじめ塗布されており、図5に示すクロスヘッド付の押出し機により未加硫組成物とともに押出され、未加硫のゴム層13aを有する未加硫のローラとなる。ここにおいて、接着剤12の塗布範囲B1は導電性ローラのゴム層の幅A1よりも大きいことが必須であり、端部切断処理前のゴム層の幅よりも小さいことが好ましい。
未加硫組成物を芯金と共に押出した場合には、接着剤があらかじめ塗布されていると、金属の芯金上に直にゴム層を形成するよりも剥がれづらく、また、接着剤を端部切断処理前のゴム層と同じ、もしくはそれよりも短く、かつ端部切断処理後のゴム長よりも広い幅に、接着剤を塗布することによって、押出し後の収縮時にも弾性体が芯金から剥離することがない。
さらに、芯金の周囲に形成されるゴム層が加硫後において、導電性ローラの弾性体として必要な範囲A1の部分には凹みや、芯金との間の隙間などがないなど外径精度も良くなり、加硫後に端部切断処理して得られた導電性ローラは、感光体等との安定した接触状態を得ることができる。
なお、端部切断処理は、バリ等で荒れた端面を整えると共に、加硫後にローラとして用いる幅に調整するために行うものである。
図3に示す加硫用金型に未加硫組成物を芯金と共に押出した成形物を仕込むためには、蓋体22で保持できるように芯金が露出している部分がなくてはならない。そのため、従来は押出した後に仮端部切断処理を行い、芯金面が蓋体22に保持される長さに渡って未加硫組成物、接着剤等の付着物がなきように金属面を露出させることが行われてきた。そこで、仮端部切断処理を行う長さよりも広い領域に接着剤を塗布していると、芯金上に形成された未加硫組成物を剥離することが煩雑になるため、仮端部切断処理時の未加硫組成物の長さ、つまり端部切断処理前の長さと同じか、それよりも小さいことが好ましい。しかし、端部処理後の長さ、つまり製品として使用するゴム長よりも短く接着剤を塗布した場合には、ローラ端部に凹みあるいは芯金とゴム部の間に隙間が生じて問題となる。
また、剥離を生じる部分が広範囲におよぶ場合には、収縮に伴って外径が大きく膨れ、型の中に挿入することが難しくなったり、型内面に接触し加熱時の温度ムラを招いたりするため、好ましくない。
従って、接着剤の塗布範囲としては、端部切断処理後の長さよりも広く、かつ端部切断処理前、つまり仮端部切断処理後の長さよりも狭くすることによって、外径精度良くローラを成形することができる。
なお、ここで用いる接着剤としては、上述のように熱可塑性エラストマーである。例えば、加硫接着する接着剤などを用いた場合、加硫後の端部を切断して除去したのち、芯金に残存する接着剤を除くには溶剤などを用いる必要があり、煩雑なものになる。すなわち、熱可塑性エラストマーを用いることによって、加熱することで、容易に接着部を剥がすことができるので好ましい。
従って、加硫処理した後に製造した端部未切断処理のローラの芯金を再度加熱し、端部切断処理することが好ましい。なお、端部の切断は加熱しながら行なっても、芯金が暖かいうちに図6のような端部切断処理装置にて行なってもよい。
図8に芯金を再度加熱して切断に供する様子を模式図として示す。
未加硫のローラの芯金11の接着剤の塗布されていない部分を覆うように形成された芯金保持部材61には加熱手段が組み込まれており、図6の芯金保持部材52に代わり使用される。
なお、芯金を加熱しながら、あるいは暖かいうちに両端部を切断すると接着剤が軟化してゴム層をしっかりと固定することができないことがあるので、図9に示すように接着剤層の端部(切断部近傍)12xと接着剤層の中央部分12yで塗布される接着剤を異ならせ、端部12xに塗布する接着剤の方の耐熱温度を低くすることである。すなわち、端部切断処理後の長さA1よりも狭い領域12yには、耐熱温度が高いバインダーを用いた接着剤を塗布し、その外側の領域12xには、耐熱温度が低いバインダーを用いた接着剤を塗布することによって、端部切断前の加熱時に、端側に塗布した接着剤の耐熱温度よりも高く、内側にある接着剤の耐熱温度よりも低い温度になるようにして、端部切断処理を行えば、端部切断処理した部分をより剥がしやすく、また端部切断処理時に剥離しては困る部分に剥がれが生じることがないので、安定した生産が可能になる。
以下、実施例により本発明を説明する。実施例、比較例で特に断らない限り「部」は質量部を表す。
実施例1
ゴム層用原料として、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(商品名:CG102、ダイソー社製)100部、イオン導電剤としてテトラブチルアンモニウムパークロレート1部、炭酸カルシウム(商品名:シルバーW、白石工業社製)60部、加工助剤としてステアリン酸1部、可塑剤としてアジピン酸エステル(商品名:W305ELS、大日本インキ化学工業社製)20部、加硫剤として硫黄0.5部、加硫助剤としてジペンタメチレンチウラムテトラスルフイド1.5部をオープンロールにて混合した物を用いた。
一方、接着剤として、導電性フィラーとしてカーボンブラック(商品名:コンダクテックス975、コロンビアカーボン社製)20部とグラファイト(10〜20μm径のもの)30部、バインダーとしてスチレン−ブチレン共重合体エラストマー(軟化点145℃、商品名:ラバロン、三菱油化社製)10部およびマイクロクリスタリンワックス10部をトルエン500部中にボールミルにより溶解分散させた物を用いた。
接着剤をロールコーターにて図7に示す芯金11の領域12に塗布し、指触乾燥させた。図7において、A1が端部切断処理後のローラゴム部の長さ、つまりローラとして必要なゴム長であり、B1が押出し前に接着剤を塗布した長さである。なお、本実施例ではA1:224mm、B1:234mmであった。
未硬化のゴム層を芯金の周囲に成形するために、図5に模式的に示す押出し機にφ13.0mmであるダイをセットし、ヘッドを50℃に温調した。あらかじめ接着剤を塗布した芯金(φ6mm、長さ252mm、材質:SUM24L、表面処理:無電解ニッケルメッキ)を、上記のゴム層原料と共に押し出して、芯金の周囲に円筒上のゴム層を形成した未加硫のローラ10aを得た。なお、冷却中に接着剤を塗布してない領域は、図7に示すように芯金からの剥離を生じた。
その後、得られた未加硫のローラを熱風炉内で加硫させた(160℃/30分)後に、円筒研磨機を用いて、外径をφ12mmに加工した。
次に、図6に模式的に示す端部切断処理装置を用いて切込みを入れ、加硫ゴム組成物を強制的に除去した。さらに、芯金の露出部分をトルエンにて未剥離の接着剤等を拭き取った。
以上のようにして得られた導電性ローラは、芯金とゴム層間の剥離などによる外径不良など無く、外径精度は安定していた。
実施例2
端部切断処理として芯金を加熱しながら行なう以外は実施例1と同様に導電性ローラを作成した。すなわち、図6に示す端部切断処理装置の加圧保持手段52の代わりに、図8に示すように芯金両端部を加熱する芯金保持部材61を用いた。芯金保持部材61は、あらかじめ200℃に熱し、2分間保持した後に実施例1と同様に切断処理を行った。切断後の両端部を除去したところ、芯金の露出部は溶剤などで後処理する必要はなかった。
以上のようにして得られた導電性ローラは、実施例1と同様に芯金とゴム層間の剥離などによる外径不良など無く、外径精度は安定していた。
実施例3
接着剤の塗布領域の両端部の接着剤として、バインダーを軟化点125℃のスチレン−ブチレン共重合体エラストマー(商品名:ラバロン、三菱油化社製)としたもの用い、両端部の切断前の保持時間を1分とした以外は実施例2と同様に導電性ローラを作成した。なお、図9に模式的に示した接着剤層12xは各7mmであり、接着剤の耐熱温度(バインダーの軟化点で)125℃であり、接着剤層12yに塗布した接着剤の耐熱温度は145℃であった。切断した両端部は実施例2と同様に簡単に除去することができた。また、芯金とゴム層との剥離などによる外径不良など無く、外径精度は安定していた。
実施例4
本実施例ではゴム層を発泡体とした導電性ローラを製造した。
ゴム層原料として、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(商品名:EPT4045、三井化学社製)100部、導電剤としてケッチェンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC、三菱化学社製)6部とSRFカーボンブラック(商品名:旭#35、旭カーボン社製)50部、軟化剤としてパラフィンオイル40部、加硫促進助剤として、酸化亜鉛5部とステアリン酸1部、加硫剤として硫黄2部、加硫促進剤としてメルカプトベンゾチアゾール2部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛1部およびテトラメチルチウラムジスルフィド1部、発泡剤としてADCA5部とOBSH5部をオープンロールにて混合した物を用いた。また、接着剤としては実施例1と同じものを用いた。
未発泡のゴム層を芯金の周囲に成形するために、図5に模式的に示す押出し機にφ9.6mmであるダイをセットし、ヘッドを50℃に調温した。一方、実施例1と同様に接着剤をあらかじめ塗布した芯金(φ6mm、長さ252mm、材質:SUM24L、表面処理:無電解ニッケルメッキ、接着剤塗布幅B1:234mm)を用意し、未発泡ローラの成形を行った。その後、未発泡のゴム層の長さを加熱処理用金型内の空孔部の長さと略同一長さになるように余分な未発泡ゴム層部分を仮端部切断処理で除去し、図10に長さC1で示すように接着剤塗布領域とほぼ同じか若干長く未発泡のゴム層部分を調整した。なお、本実施例ではC1:236mmとした。
次に、図3に示すように、得られた未発泡ローラを金型筒内に挿入し、金型両端に設けられている蓋体で固定した。これを、あらかじめ180℃に熱した熱盤(図4)に挿入し、15分間加熱して、加硫・発泡を行い、直径φ6mmの芯金上にゴム層の長さ238mmである導電性発泡ローラを得た。その後、実施例1と同様に、端部切断処理を行い、ゴム層が所定長さA1(224mm)である導電性ローラを得た。
以上のようにして得られた導電性ローラの端部は、接着剤の剥離などによる外径不良など無く、外径精度は安定していた。また、加硫・発泡用金型に挿入する時に内周面に接触することなどもなかった。
比較例1
図11に示すように、接着剤塗布領域B2を両端切断領域A1(224mm)より狭く210mmとする以外は、実施例1と同様に導電性ローラを作成した。
ゴム層を加硫処理した後の冷却時に、芯金からゴム層が接着剤塗布領域端部まで剥離が進行してしまい、その後の研磨工程時に、ビビリ等を生じて凹みや膨らみなどの端部の外形精度が不良となった。また、端部切断処理後に芯金へ接着剤の残存は見られず、溶媒等での拭き取り処理は不要であったが、芯金とゴム層との間に隙間が見られるものもあり、接触状態が不安定になった。
比較例2
図11に示すように、接着剤塗布領域B2を両端切断領域A1(224mm)より狭く210mmする以外は、実施例4と同様に導電性ローラを作成した。
未発泡のゴム層を芯金との共押出しで形成した後に次の加硫発泡処理のために保管時に、接着剤塗布領域末端まで未発泡ゴム層が剥離すると共に、外径も大きく膨れてしまうものがあり、未発泡のローラが加硫・発泡用金型の内面に接触してしまったり、型の内径より大きくなって挿入できなくなってしまったりした場合があった。また、未発泡のローラを金型に挿入して加硫・発泡したが、ローラ端部に凹みの発生による外形不良や、芯金とゴム層の間に隙間が見られるものもあり、接触状態が不安定になった。
導電性ローラの一例の断面図である。なお、左図はAA断面図である。 導電性ローラを組み込んだ電子写真装置の一例の模式図である。 未加硫のローラを組み込んだ加硫用金型の一例を示す断面図、AA断面図および側面図である。 熱盤の例を示す図である。 未加硫のローラを押出し成型する押出し機の例を示す模式図である。 加硫後のローラのゴム層の両端を切断除去する端部切断処理装置の例を示す模式図である。 未加硫のローラの例を示す断面図である。 加硫後のゴム層端部を処理する際の加熱芯金保持装置をセットした例を示す断面図である。 未加硫のローラの他の例を示す断面図である。 加硫処理前に未加硫のゴム層を切断することを説明するために示した図である。 比較例の未加硫のローラを示す断面図である。
符号の説明
1 像担持体としての電子写真装置に用いる感光体
2 帯電ローラ
3 露光手段
4 現像手段
5 転写材
6 転写部材
7 定着部材
8 クリーニング部材
9 トナー
10 導電性ローラ
10a 未加硫のローラ
10b 加硫後のローラ
11 芯金
12 接着剤層
12x 接着剤層(低耐熱温度)
12y 接着剤層(高耐熱温度)
13 ゴム層
13a 未加硫のゴム層
13b 加硫後のゴム層
21 加硫・発泡金型本体
22 蓋体(芯金保持部材)
23 通気孔
24 金型内空間
31 熱盤(上下に分割可)
32 加硫金型を挿入する空間
41 クロスヘッド
42 押出し機
43 ゴム層原料供給口
51 切断用丸刃
52 芯金保持手段
61 芯金保持手段(芯金加熱手段)
A1 帯電性ローラのゴム層範囲(切断残り範囲、切断刃間隔)
B1 接着剤塗布範囲(>A1)
B2 接着剤塗布範囲(<A1)
C1 未加硫のローラを加硫処理前に両端を切断する際の残り範囲
X 加硫後のローラを切断刃の付勢する方向。

Claims (1)

  1. 芯金と、該芯金の周面を被覆している接着層と、該接着層を介して該芯金の周面を被覆している導電性のゴム層とを具備し、該ゴム層が、該芯金の軸方向に幅A1を有している導電性ローラの製造方法であって、
    (i)軸方向に前記幅A1よりも大きい幅B1で接着剤を周面に塗布した芯金を、導電性フィラーを含有している未加硫のゴム組成物と共に押し出して、該芯金の周面を、該芯金周面上の該接着剤を覆うように該未加硫のゴム組成物で被覆する工程、
    (ii)該芯金周面を被覆している未加硫のゴム組成物を加熱し、該ゴム組成物中のゴムを加硫してゴム層を形成する工程、及び
    (iii)前記工程(ii)により得られた芯金周面のゴム層の両端部を、前記幅A1で切断する工程
    を有していることを特徴とする導電性ローラの製造方法。
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