JP4314012B2 - ブラスト加工条件の検査方法及び検査システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ショットやグリッド等の研磨材を被加工物に対して投射する所謂「ブラスト加工」において、被加工物に対して行われるブラスト加工条件が適切な範囲内で行われているか否かを検査するブラスト加工条件の検査方法及びブラスト加工条件の検査システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
研磨材を被加工物の表面に投射する所謂「ブラスト加工」は、現在広く一般に用いられており、その用途は、バリ取り、下地処理、クリーニング、梨地加工、彫刻、ピーニング等、多岐に渡っている。
【0003】
生産ライン等においては、これらの効果を目的として複数の成品に連続してブラスト加工を施すことも多く、このような連続加工において成品のブラスト加工状態を均一化するためには、ショットの大きさや形状、噴射量、噴射圧力、加工時間等の加工条件を統一する必要がある。
【0004】
しかし、前記ブラスト加工を連続して行なう場合、初期の設定段階における加工条件は統一されていても、経時的に加工条件が変化して被加工物に対して均一の加工を行うことができない場合が発生する。
【0005】
例えば、研磨材に関する加工条件の変化としては、循環して研磨材を使用する場合には研磨材が破砕して細かくなり、また、異物が混入することによる経時的な変化や、研磨材の追加等において種類の異なる研磨材を追加することによる人的なミスに基づく加工条件の変化があり、また、投射条件の変化としては、部品の摩耗、例えばエア式のブラスト加工装置にあってはブラストガンのノズル孔径が研磨材により摩耗して拡大することにより研磨材の噴射量が増減したり加工圧力が変化する場合や、被加工物を移動・運搬等するコンベアや回転テーブルの搬送装置の故障等による加工時間の変化、複数の被加工物の加工を同時に行うブラスト加工装置にあっては、各被加工物を担当する前述のブラストガンや搬送装置間の精度の相違による加工条件の変化等、各種の要因により加工条件が変化し、各被加工物に対して行われるブラスト加工にばらつきが生じ、被加工物に対して行われるブラスト加工が加工条件の許容誤差を超えると、このような加工条件において加工された成品は不良品となる。
【0006】
前記加工不良は、加工効率の低下や成品の歩留りの低下を引き起こすため、できる限り早い段階でこれを発見すると共に、その原因を早期に解明し、これを改善する必要がある。
【0007】
このような加工不良を発見する方法としては、作業者が各成品の加工状態を順次確認する方法や、一定数の被加工物を加工した後、ダミーワークに対してブラスト加工を行うと共に、このブラスト加工後のダミーワークを検査することによりブラスト加工条件が初期に設定された条件に対して所定の誤差の範囲内で行われているか否かを検査する方法、及び、ブラスト加工装置等の点検を直接行い、加工条件が所定条件に保たれているかを定期的に確認する方法等がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
成品に対して行われるブラスト加工が、成品を1つずつ作業者が着脱するような加工状況で行われる場合には、前述の方法のうち作業者が各成品の加工状態を順次確認する方法によっても加工不良の発見がある程度は可能であるといえるが、作業者による確認には多くの時間を要するため、機械による自動的な加工や、流れ作業等、時間に余裕のない加工状況である場合には加工不良を見落としてしまうおそれも高く、また、前記ブラスト加工に作業者を付けない場合には前記確認を行なうことができず、加工不良が後工程において発見されるという問題があった。
【0009】
また、目視によりブラスト加工後の被加工物の色や形状を確認するのみでは適正な加工であるかどうかを判断することが困難な場合も多く、さらに、加工条件の変化は僅かずつ進行することからその変化に気付かない場合も多く、精度の面でも問題があり、加工不良を確実に発見できるとは言い難かった。
【0010】
また、前述の検査方法のうち、ブラスト加工されたダミーワークを検査することにより加工不良を発見する方法にあっては、成品の加工状態を間接的にしか確認することができない他、加工不良の早期発見のため、生産ラインにのせるダミーワークの数を増やせば、その分成品の加工効率が低下するという問題があった。
【0011】
さらに、ブラスト加工装置等の点検を直接行い、加工条件が所定条件に保たれているかを定期的に確認することにより加工不良の原因を発見することも考えられるが、前記加工不良を早期に発見すべく点検間隔を短くすると、前記点検のたびに生産ラインが停止され、ブラスト加工装置の使用が制限されることとなるため、前記ダミーワークによる検査の場合と同様、加工効率が低下してしまうという問題があった。
【0012】
なお、上記いずれの方法により検査する場合にも、経時的に変化するブラスト加工条件の一時期を抽出して検査するものであるために、検査において加工条件の誤差が許容範囲を越えて生じていることが確認された場合には、それ以前においてブラスト加工された成品についても一定量、不良品等として廃棄等する必要が生じ、また、これらの各方法により検査する場合には、検査を自動化するに適した基準を備えていない。
【0013】
ところで、投射する研磨材が同一であって、この研磨材が成品に衝突する速度が同一であれば、個々の研磨材がこの成品の表面に対して及ぼす変化は同一であるといえ、従って、加工条件を同一としてブラスト加工を行った場合、所定面積あたりに投射されたショットの数量が同一であれば、このブラスト加工された各被加工物の表面は、個々のショットにより与えられた変化の集合として同様の変化が与えられるものであり、逆に、加工条件のいずれかが異なれば、この条件の相違に応じてブラスト加工後の変化の状態にも差異が生じるものといえ、このブラスト加工後の変化の状態はブラスト加工条件が所定の範囲内で行われているかを検査する際の基準とすることができることを見出した。
【0014】
そこで本発明は、加工条件の相違により被加工物の表面に現れる相違を、被加工物の表面粗さを基準とした比較を行うことにより高い精度で経時的に変化するブラスト加工条件の変化を検査することにより、加工効率の低下や、成品の歩留りの低下等を引き起こすことなく、事前に加工不良の発生を防止することができるブラスト加工条件の検査方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明の別の目的は、被加工物の表面粗さを基準として前記加工条件の変化を検査することで、前述のブラスト加工条件の経時的な変化を自動で検査することのできるブラスト加工条件の検査システムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のブラスト加工条件の検査方法は、予めブラスト加工条件である単位面積あたりの研磨材の投射量、研磨材の形状、研磨材の粒径、研磨材の投射速度変化に対する許容誤差の範囲それぞれ設定し、前記各ブラスト加工条件の許容誤差の限界となる加工条件において検査対象である被加工物に対してブラスト加工した場合に得られる表面粗さを
(1) 単位面積あたりの研磨材の投射量の限界で得られる表面粗さについてはカバレージ100%迄を振幅分布に関する表面粗さパラメータであるゆがみRskにより、カバレージ100%を越える場合を振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
(2) 研磨材の形状の限界で得られる表面粗さについては傾斜に関する表面粗さパラメータにより、
(3) 研磨材の粒径の限界で得られる表面粗さについては振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
(4) 投射速度の限界で得られる表面粗さについては振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
それぞれ限界表面粗さとして前記各表面粗さパラメータを用いて特定すると共に、
検査対象となるブラスト加工後の被加工物の表面形状を測定してゆがみRsk、振幅、波長、傾斜に関する各表面粗さパラメータを得、この検査対象の表面粗さと前記限界表面粗さとを前記各表面粗さパラメータ又はこれらの組合せをもとにそれぞれ比較して、前記検査対象に対して行われたブラスト加工の加工条件のそれぞれが許容誤差の範囲内において行われたものであるか否かを検査することを特徴とする(請求項1)。
【0017】
前述のブラスト加工条件の検査方法において、検査対象とする被加工物と同一の硬度及び材質から成る基準材に対して前記各ブラスト加工条件を変化させてブラスト加工を行うことにより、前記各ブラスト加工条件の変化と、これらのブラスト加工条件の変化に対応して変化する表面粗さの変化との対応関係を前記各表面粗さパラメータの変化又はこれらの変化の組合せとして予め求めておき、
この求められた対応関係に基づき、予め設定されたブラスト加工条件の許容誤差に対応する前記各表面粗さパラメータの変化分を求めると共に、
ブラスト加工の開始時に設定された初期の加工条件において加工された被加工物の表面形状を測定することにより得られた標準表面粗さの各表面粗さパラメータに対し、前記求められた変化分を加味した各表面粗さパラメータにより前記限界表面粗さを特定することもできる(請求項2)。
【0018】
また、検査対象とする被加工物と同一の硬度及び材質から成る基準材に対してそれぞれ前記各ブラスト加工条件の許容誤差の限界となる加工条件において予めブラスト加工を行うと共に、このブラスト加工された基準材の表面形状を測定して得られた表面粗さを、前記限界表面粗さとしても良い(請求項3)。
0019
また、本発明のブラスト加工条件の検査システム1は、コンピュータシステムにより構成されるものであり、
ブラスト加工条件である単位面積あたりの研磨材の投射量、研磨材の形状、研磨材の粒径、研磨材の投射速度変化に対する許容誤差をそれぞれ入力するための入力手段10と、
前記入力された許容誤差の限界となる各ブラスト加工条件において検査対象である被加工物に対してブラスト加工した場合に得られる限界表面粗さにおける表面粗さパラメータを、
(1) 単位面積あたりの研磨材の投射量の限界で得られる表面粗さについてはカバレージ100%迄を振幅分布に関する表面粗さパラメータであるゆがみRskにより、カバレージ100%を越える場合を振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
(2) 研磨材の形状の限界で得られる表面粗さについては傾斜に関する表面粗さパラメータにより、
(3) 研磨材の粒径の限界で得られる表面粗さについては振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
(4) 投射速度の限界で得られる表面粗さについては振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
それぞれ限界表面粗さデータとして記憶する記憶手段40と、
検査対象となる被加工物の表面粗さのゆがみRsk、振幅、波長、傾斜に関する各表面粗さパラメータが入力されたとき、この入力された前記検査対象の表面粗さパラメータ又はこれらの組合せを、記憶手段40に記憶された限界表面粗さデータと比較して、該入力された表面粗さパラメータから、検査対象の被加工物に対して行われたブラスト加工条件のそれぞれが許容範囲内か否かを検査する比較・判定手段22と、
前記比較・判定手段22により行われた検査の結果に基づき、この検査結果に対応した電気信号を出力する出力手段23を備えることを特徴とする(請求項)。
0020
また、前述の構成のブラスト加工条件の検査システム1において、前記記憶手段40は、前記限界表面粗さデータに代えて
検査対象とする被加工物と同一の硬度及び材質を有する基準材に対して前記各ブラスト加工条件を変化させてブラスト加工を行うことによりそれぞれ得られた、前記各ブラスト加工条件の変化と、このブラスト加工条件の変化に対応して変化する表面粗さパラメータの変化の対応関係を示す換算データと、
ブラスト加工の開始時に設定された初期の加工条件において加工された被加工物の表面形状を測定することにより得られた標準表面粗さの各表面粗さパラメータから成る標準表面粗さデータを記憶しており、
前記記憶手段40に記憶された換算データに基づいて前記入力されたブラスト加工条件の許容誤差に対応する前記各表面粗さパラメータの変化分に換算する換算手段21を設け、
前記標準表面粗さの各表面粗さパラメータに前記求められた変化分をそれぞれ加算することで、前記限界表面粗さの各表面粗さパラメータを算出可能としても良い(請求項)。
0021
さらに、前記検査対象となる被加工物の表面粗さパラメータが、前記限界表面粗さの各表面粗さパラメータに対して予め前記記憶手段40に記憶された所定の数値範囲内にあると前記比較・判定手段22が判定したとき、前記出力手段23が前記検査対象となる被加工物をブラスト加工するブラスト加工装置の停止信号を出力するよう構成しても良い(請求項
【0022】
また、前記出力手段23による出力に基づき前記比較・判定手段22による検査結果を表示する表示手段30を備える構成とすることもできる(請求項)。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のブラスト加工条件の検査方法につき以下説明する。
【0024】
本発明のブラスト加工条件の検査方法は、同一の加工条件においてブラスト加工された被加工物の表面形状は、略同様の変化を示すものであるという点を前提とし、検査対象となる被加工物(以下、単に「検査対象」という。)の表面形状を、許容誤差の限界にあるブラスト加工条件にてブラスト加工を行った場合に得られる表面形状と比較することにより、検査対象が許容誤差の範囲内の加工条件でブラスト加工されたものであるか否かを検査するもので、この表面形状を比較する基準として、表面粗さ、具体的には表面粗さに関する各種のパラメータ(表面粗さパラメータ)を使用する。
【0025】
このように、検査の際に基準とする表面形状、すなわち許容誤差の限界にあるブラスト加工条件にてブラスト加工を行った場合に得られる表面形状は、実際に被加工物のうちの一又は数個、被加工物と同一硬度、同一材質から成る試験片等の成品に対して許容誤差の限界となるブラスト加工条件においてブラスト加工を施し、このブラスト加工された成品の表面形状を測定して得られた表面粗さ(本明細書において、許容誤差の限界となるブラスト加工条件においてブラスト加工された被加工物の表面粗さを「限界表面粗さ」という。)を検査の基準とする表面粗さとし、検査対象の表面粗さをこれと比較して、検査対象に対して行われたブラスト加工が許容範囲内の誤差の加工条件において行われたものであるか否かを検査するものとしても良いが、本実施形態にあっては、前述の限界表面粗さは、予め前述の試験片等に対してブラスト加工条件を変化させてブラスト加工を行うことにより、各ブラスト加工条件の変化と、この各ブラスト加工条件の変化に対応して変化する表面粗さの各表面粗さパラメータの対応関係を、例えば数式やグラフ等のデータ(本明細書において、「換算データ」という。)の形で取得しておき、ブラスト加工条件の許容誤差を設定すると、この換算データに基づいて設定されたブラスト加工条件の許容誤差に対応した表面粗さパラメータの変化分が算出可能となっている。
【0026】
従って、例えば製品等の製造ライン中に設けられたブラスト加工のラインにおいて加工条件の初期においてブラスト加工された検査対象の表面粗さを、ブラスト加工条件に誤差が生じていない状態で加工された検査対象の表面粗さ(本明細書において「標準表面粗さ」という。)として測定し、これにより得られた標準表面粗さの各表面粗さパラメータに対して、前記換算データに基づいて算出された各表面粗さパラメータの変化分を加算した表面粗さパラメータを、限界表面粗さの表面粗さパラメータとして前述の検査を行うよう構成している。
【0027】
なお、本実施形態にあっては、各ブラスト加工条件の変化に対応して変化する、表面粗さパラメータをそれぞれ比較することにより、各表面粗さパラメータのいずれにずれが生じているか、したがって、加工条件のうちのいずれが変化しているかを特定することが可能であり、また、ブラスト加工条件の変化は、これを引き起こす原因となる事象と所定の関係にあり、例えば、研磨材が破砕して細かくなってきたり、研磨材に異物が混入すること、追加する研磨材の種類や粒径を間違えることにより研磨材の形状や粒径の変化が生じ、部品の摩耗、例えばエア式のブラスト加工装置にあってはブラストガンのノズルが摩耗して穴径が拡大したり、複数あるブラストガンの一部が故障した場合や、加工位置がずれていることにより生じる研磨材の噴射量の増減や噴射圧力(噴射速度)の変化、被加工物を移動するコンベアや回転テーブル等の駆動機器にトラブルが生じることにより加工時間の変化が生じることから、本実施形態にあってはブラスト加工条件に所定の変化が生じている場合には、その原因となる事象をも特定可能である。
【0028】
以上の検査を実現するために、本発明のブラスト加工条件の検査方法は、以下の各工程より構成されている。
【0029】
〔換算データの取得〕
本工程において、まず検査を行うに先だって、各ブラスト加工条件の変化に対応して変化する表面粗さパラメータの変化の対応関係を数式やグラフ等の換算データとして取得する。
【0030】
この換算データの取得に際しては、検査対象と同一材質、同一硬度を有する基準材に対して、加工条件を変化させながらブラスト加工を行うことにより、各ブラスト加工条件下で加工された基準材の表面形状を測定して表面粗さパラメータを取得することにより両者の対応関係を求めることができる。
【0031】
この換算データを取得する際に使用する前述の基準材としては、検査対象となる多数の被加工物の中の1又は数個を予め抜き出しておきこれを基準材としても良く、また、検査対象と同一の材質、硬度から成る試験片を別途準備し、これを基準材として使用しても良い。
【0032】
この対応関係の取得に際し、基準材の表面粗さの測定は表面粗さパラメータを用いて行い、各ブラスト加工条件毎に許容範囲内の誤差で加工が行われているか否かを検査可能とした本実施形態にあっては、各ブラスト加工条件と、このブラスト加工条件の変化に対応して変化する各表面粗さパラメータのそれぞれについて前述の対応関係が取得されている。
【0033】
ここで、表面粗さパラメータとは、例えばJISの表面粗さパラメータにあっては、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)等である。
【0034】
この表面粗さパラメータとしては、前述のJISの表面粗さパラメータの他、例えばISO(国際基準化機構)や日本以外の国において使用されている表面粗さパラメータ、規格準備中の表面粗さパラメータ等、表面粗さを示すものであれば特に限定されることなく各種のものを使用することができる。
【0035】
一例として、本実施形態において利用可能な表面粗さパラメータを示せば下記の表1に示す通りである。
【0036】
【表1】
表面粗さの評価に用いる表面粗さパラメータの例
Figure 0004314012
【0037】
これらの表面粗さパラメータの種類は、表1に示すように「振幅に関する表面粗さパラメータ」「波長に関する表面粗さパラメータ」「傾斜に関する表面粗さパラメータ」「負荷曲線に関する表面粗さパラメータ」「振幅分布に関する表面粗さパラメータ」に大別することができ、これらの各表面粗さパラメータのうち、検査する各加工条件の変化に対応して変化する表面粗さパラメータをそれぞれ抽出して、本発明の検査の際に比較の基準とする表面粗さパラメータとして使用する。
【0038】
なお、「振幅に関する表面粗さパラメータ」は、ブラスト加工により被加工物の表面に形成された凹凸形状における山の高さを表すもので、研磨材の衝突により形成された凹凸形状の縦方向における大きさを表している。
【0039】
また、「波長に関する表面粗さパラメータ」とは、研磨材の衝突により形成された被加工物の表面凹凸形状における山の凹凸の間隔を示すものであり、この凹凸形状の横方向の大きさを表している。
【0040】
さらに、「傾斜に関する表面粗さパラメータ」は、山の凹凸の険しさ(傾斜)を表したものであり、被加工物の材質や硬度の特性と研磨材の特性により決まる。
【0041】
「負荷曲線に関する表面粗さパラメータ」は、後述する振幅分布に関する表面粗さパラメータを算出する際の基準となるもので、その種類にはJISにおける「負荷長さ率(tp)」と、「負荷曲線(BAC)」があり、「負荷長さ率(tp)」は、被加工物の表面より抽出された凹凸形状を示す曲線(抽出曲線)からある基準長さLを抜き取り、その平行線に平行で、かつ最高山頂から切断レベルCだけ下側にある直線で切断される表面の切断部分の長さを全長Lに対する%で表したものであり、「負荷曲線(BAC)」は、後述するように前述の抽出曲線における全ての切断レベルCと前述の負荷長さ率をグラフにしたものである。
【0042】
「振幅分布に関する表面粗さパラメータ」は、前述した抽出曲線における全ての切断レベルCと抽出曲線が等しくなる確率をグラフにしたもので、測定された被加工物の表面形状からカバレージを算出する際に有用な表面粗さパラメータである。
【0043】
なお上記の表において、JIS(B0601−1994)にて規定されている表面粗さパラメータについては説明を省略し、その他の表面粗さパラメータにつき簡単に説明すれば、それぞれ以下の通りである。
【0044】
二乗平均粗さ(RMS)
平均線から抽出曲線までの偏差の二乗を平均した値の平方根であり、粗さ曲線から求める(図6参照)。
【0045】
【式1】
Figure 0004314012
平均凹凸高さ(Rc)
ISO4287/1に規定されており、山頂、谷底の平均線からの偏差をYp及びYvとし、すべてのYpの平均とすべてのYvの平均の和により求められる。
【0046】
【式2】
Figure 0004314012
最大山高さ(Rpm)
図7に示すように、抽出曲線を基準長さ毎に区切り、各基準長さにおいて、平均線から最も高い山頂までの高さをRpiとし、ここで、各基準長さにおいて求めた高さRpiの平均値をRpmという。
【0047】
【式3】
Figure 0004314012
最大谷深さ(Rvm)
図8に示すように、抽出曲線を基準長さ毎に区切り、各基準長さにおいて、平均線から最も深い谷底までの深さをRviとし、各基準長さにおいて求めたRviの深さの平均値をRvmという。
【0048】
【式4】
Figure 0004314012
ピークカウント(Pc)
単位長さ当たりの山の数を示す(図9参照)。
【0049】
【式5】
Figure 0004314012
算術平均傾斜(Δa)
図10に示すように、抽出曲線を一定間隔ΔXで横方向に区切り、各区間内における抽出曲線の終始点を結ぶ線分の傾き(角度)(tan−1・ΔYi/ΔX)の絶対値を求め、その値を平均したものをΔaという。
【0050】
【式6】
Figure 0004314012
二乗平均傾斜(Δq)
図10に示すように、抽出曲線を一定間隔ΔXで横方向に区切り、各区間内における抽出曲線の終始点を結ぶ線分の角度に二乗値の平均を求め、その値の平方根をΔqという。
【0051】
【式7】
Figure 0004314012
負荷曲線(BAC)
図11に示すように、負荷長さ率(tp)の値を横軸に、抽出曲線の高さ(切断する高さ)の方向を縦軸にとってプロットしたグラフである。
【0052】
ゆがみ(Rsk)
振幅分布曲線の中心線に対する対称性を示すパラメータを数値で示したものである。
【0053】
なお、振幅分布曲線とは、図12に示すように抽出曲線の最も高い山頂と最も深い谷底との間を等間隔に分割し、2本の平行線内の領域に存在するデータの数nと全データNとの比を横軸に、抽出曲線の高さ方向を縦軸にとってプロットしたグラフである。
【0054】
【式8】
Figure 0004314012
【0055】
以上のような表面粗さパラメータを使用して、本実施形態にあってはブラスト加工条件のうち、
単位面積あたりに所定量の研磨材が投射されているか、
所定の研磨材の形状が保たれているか、
所定の研磨材の粒径が保たれているか、
所定の研磨材の投射速度が保たれているか、
の4つの加工条件がそれぞれ許容範囲内の加工条件で行われているか否かの検査を可能としており、本工程において、下記に示すように検査をする上記各ブラスト加工条件の変化に対応して下記の表面粗さパラメータの変化の関係をそれぞれ例えば数式やグラフ等の換算データとして取得する。
【0056】
(1) 研磨材の粒径の変化及び圧力の変化1
ブラスト加工の際に圧痕が被処理成品の表面に形成されることにより生じる表面凹凸形状における山の高さは、使用する研磨材の粒径によって変化すると共に、噴射速度でも変わる。
【0057】
しかし、粒径が小さい場合には、噴射速度(エア式の場合には噴射圧力)を上げると振幅は噴射速度の上昇に伴って大きくなるが、波長は大きくなり難い。
【0058】
このことから、被加工物の表面凹凸形状を、振幅と波長の面から合わせて評価することで、研磨材の粒径の変化を判断することができ、加工条件中、研磨材の粒径の変化に対応して上記振幅に関する表面粗さパラメータに属する表面粗さパラメータと、前記波長に関する表面粗さパラメータに属する表面粗さパラメータの変化の関係を取得する。
【0059】
この研磨材の粒径変化と、前記各表面粗さパラメータの変化の関係は、本実施形態にあっては、他の条件を同一とし、使用する研磨材の粒径を、一例として♯46、♯60、♯80、♯100、♯120、♯150と変化させたブラスト加工を行い、各研磨材によるブラスト加工により形成された被加工物の表面形状を測定して、前記波長に関する表面粗さパラメータと振幅に関する表面粗さパラメータをそれぞれ取得し、研磨材の粒径変化と各表面粗さパラメータの変化の関係を取得する。
【0060】
また、前記各粒径のブラスト加工において、一例として噴射圧力を2kg/cm(約196kPa)、3kg/cm(約294kPa)、4kg/cm(約392kPa)、5kg/cm(約490kPa)としたブラスト加工を行い、噴射速度(噴射圧力)が変化した場合における波長と振幅の変化の関係を、前述の表面粗さパラメータの変化として取得する。
【0061】
(2) 研磨材の粒径の変化及び圧力の変化2
研磨材を循環して使用することにより、研磨材が破砕等して生じる粒径の変化は、すべての研磨材が同時に破砕して生じるのではなく、もとの粒径の研磨材中に破砕により粒径が減少した研磨材が混合する割合が徐々に増えていくことにより生じる。
【0062】
そのため、前述の(1)の表面粗さパラメータの変化を取得する場合と同様の条件において、粒径の異なる複数の研磨材を混入した場合の前記表面粗さパラメータの変化の関係を取得する。
【0063】
一例として、下記複数種類の研磨材を、好ましくはそれぞれの配合割合を変化させ、この粒径の変化に対する表面粗さパラメータの変化の関係を取得する。
♯46と♯80の混合研磨材
♯46と♯80と♯100の混合研磨材
♯46と♯80と♯100と♯150の混合研磨材
【0064】
(3) カバレージの変化と表面粗さの変化の関係
ブラスト加工条件のうち、単位面積あたりに所定数の研磨材が投射されているか、各被加工物に対する加工時間が一定か否か等の加工条件の変化は、被加工物の表面に形成された圧痕によるカバレージ(被加工材への加工全面積中に含まれる圧痕面積の割合)により確認することができることから、このカバレージの変化を、表面粗さを示す表面粗さパラメータの変化との関係で認識すべく、カバレージの変化に対する表面粗さパラメータの変化の関係を取得する。
【0065】
カバレージは、100%となる迄は、振幅分布に関する表面粗さパラメータ中の「ゆがみRsk」と一定の関係で変化することから、カバレージの変化とこの表面粗さパラメータの変化の関係を予め取得しておくことによりカバレージを算出することができる。
【0066】
カバレージが100%を越える場合には、振幅に関する表面粗さパラメータは減少し、波長に関する表面粗さパラメータは増加することから、カバレージの変化と振幅及び波長に関する表面粗さパラメータの関係を予め取得しておくことにより、両表面粗さパラメータの相関関係においてカバレージの算出が可能となる。
【0067】
具体的には、被加工物の表面粗さを示す表面粗さパラメータのうち、振幅分布に関する表面粗さパラメータを算出する基準となる負荷曲線、振幅分布曲線、波長に関する表面粗さパラメータであるピークカウント及び局部山頂の平均間隔が、カバレージの変化によりどのように変化するかの関係を実験により取得する。
【0068】
カバレージの変化は、一例として被加工物の表面を例えば顕微鏡写真等で確認しつつ、カバレージが100%となる状態を作り出し、このカバレージ100%を基準に、このカバレージ100%を得るために要した時間を100%として、加工時間をそれぞれ20%、40%、60%、80%、100%、120%、150%、200%、250%、300%としたサンプルを取得する。そして、取得されたサンプルの表面形状を測定して各サンプルの表面形状を前記表面粗さパラメータの形で取得すると共に、この得られた表面粗さパラメータに基づいて各表面粗さパラメータがカバレージの変化に対してどのように変化するかの関係を取得する。
【0069】
(4) 研磨材の形状の変化と、表面粗さとの関係
山の凹凸の険しさは、ワークの材質や硬度の特性と研磨材の特性で決まり、研磨材の粒形状の変化は傾斜に関する表面粗さパラメータの変化として現れる。
【0070】
本実施形態にあっては、一例としてガラスビーズ♯80、♯120、アランダム♯80、♯120の研磨材をそれぞれ使用してサンプルを取得し、これらの研磨材の相違による表面粗さパラメータの変化の関係を取得する。
【0071】
〔標準表面粗さの取得〕
以上のようにして、各ブラスト加工条件の変化と、これに対する表面粗さパラメータの変化との対応関係を取得した後、加工条件の変化が生じていない状態においてブラスト加工された被加工物の表面形状を測定することにより標準表面粗さの表面粗さパラメータを取得する。
【0072】
本実施形態のブラスト加工条件の検査方法は、同一規格の複数の成品に対して順次連続してブラスト加工する際に、初期に設定されたブラスト加工条件が時間の経過と共に変化することを検査するものであることから、この標準表面粗さの表面粗さパラメータは、例えばこのような加工ライン等におけるブラスト加工開始直後、すなわち、加工条件の設定初期において加工された被加工物の表面形状をサンプリングすることにより取得することが可能である。
【0073】
〔被加工物の表面形状の測定〕
以上のように、例えばブラスト加工のライン等においてブラスト加工された被加工物は、例えばこのライン中に設けられた測定手段によりその表面形状が測定される。
【0074】
このブラスト加工後の被加工物の表面形状の測定方法としては、例えばプローブ(探針)等を被加工物のブラスト加工面上に接触移動させることにより、このプローブの進退移動により被加工物の表面形状を測定することにより行っても良いが、本実施形態にあっては測定対象と成る被加工物に対してレーザ光を照射してその表面形状を測定する非接触式の測定装置を使用し、測定時間の短縮を図ると共に、加工ライン等において順次連続してブラスト加工された被加工物の全てを容易に測定可能としている。
【0075】
〔比較・判定〕
以上のようにして測定された検査対象の表面形状は、ブラスト加工の許容誤差の限界において得られる表面形状と比較され、検査対象の表面形状が、設定されたブラスト加工条件の許容誤差の範囲において行われたものであるか否かが判定される。
【0076】
許容誤差の限界のブラスト加工条件で加工された場合に得られることが予想される被加工物の表面形状は、前述のようにして初期設定後に最初にブラスト加工された被加工物の表面形状を測定することにより得られた表面粗さ(標準表面粗さ)の表面粗さパラメータに、前述の換算データに基づいて設定された加工条件の許容誤差より求められたパラメータの変化分を加算することにより求めることができ、本実施形態にあっては、測定された検査対象の表面粗さパラメータと前述の標準表面粗さの表面粗さパラメータを比較して、その誤差が前記算出された表面粗さパラメータの変化分の範囲内にあるか否かに基づいて判定が行われる。
【0077】
なお、この比較・判定は、検査対象の被加工物に対するブラスト加工が、単に許容範囲の限界となる加工条件の範囲内において行われたか否かを検査するものとしても良いが、例えば標準表面粗さの各表面粗さパラメータに対して検査対象を測定することにより得られた表面粗さパラメータが所定値以上相違した場合、又は、限界表面粗さに対して所定の範囲で検査対象を測定することにより得られた表面粗さパラメータが近似した数値となったとき、検査対象に対するブラスト加工条件が限界に近付いたことを検査可能として、許容誤差の範囲外のブラスト加工条件により加工される被加工物の発生、すなわち不良品の発生を未然に防止するものとしても良い。
【0078】
なお、本実施形態にあっては、各ブラスト加工条件の変化に対応して変化する各表面粗さパラメータ毎に標準表面粗さと検査対象の表面粗さとを比較することにより、加工条件のうちのいずれの誤差が許容範囲の限界に近付いているかを確認できるよう構成しても良く、さらには、各ブラスト加工条件と、このブラスト加工条件の変化の原因となる事象との関連を予め把握しておくことにより、許容誤差の限界に近付いている加工条件の変化の原因を特定可能としており、一例として以下の手順により各ブラスト加工条件の検査を行っている。
【0079】
検査対象の被加工物の表面粗さを測定することにより得られた表面粗さパラメータに基づいて、先ず、検査対象の被加工物の表面に形成された圧痕のカバレージを算出する。
【0080】
この検査対象の被加工物に形成された圧痕によるカバレージの算出は、前述の「換算データの取得」工程において取得されたカバレージの変化に対する振幅分布に関する表面粗さパラメータ、振幅分布曲線、波長に関する表面粗さパラメータであるピークカウント及び局部山頂の平均間隔の変化の関係を規定する数式やグラフ等に基づき、検査対象の被加工物の表面粗さを測定することにより得られた振幅分布に関する表面粗さパラメータ、振幅分布曲線、波長に関する表面粗さパラメータであるピークカウント及び局部山頂の平均間隔から、検査対象に形成された圧痕のカバレージを算出する。
【0081】
被加工物のカバレージが、許容範囲の下限となるカバレージに近付いている場合には、ブラスト加工条件のうち研磨材の噴射量が少なくなっているか、又は加工時間が短くなっているいことを確認することができ、使用するブラスト加工装置がエア式の場合、例えばブラストガンのノズル形状が摩耗により変化していること、又は、コンベアやターンテーブルなどの搬送装置に不良が生じていることなどの、装置の不良を判定することができる。
【0082】
また、前述した振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの変化と研磨材の粒径との関係から、ブラスト加工条件中、研磨材の粒径の変化が生じていることを確認することができ、循環して使用することにより研磨材の粒径が変化していること、及び研磨材中に不純物が混入していること等の加工不良の発生を確認することができる。
【0083】
さらに、前述の傾斜に関する表面粗さパラメータと、使用する研磨材の形状、材質の変化との関係に基づき、研磨材の形状や材質が変化していることを確認することができ、これにより例えば研磨材が循環使用により摩耗乃至は破砕して形状が変化していること、又は、研磨材を追加等する際に、種類の異なる研磨材を追加したこと等の加工不良の原因を認識することができる。
【0084】
〔ブラスト加工条件の検査システム〕
前述のブラスト加工条件の検査方法は、これをコンピュータシステムにより構成される本発明のブラスト加工条件の検査システムにより実行させることができ、これにより前述した内容の加工条件の変化を自動で行うことができる。
【0085】
図1に示す本発明のブラスト加工条件の検査システムは前述したブラスト加工条件の検査方法を実行させるためのシステムであり、ブラスト加工条件の許容誤差を入力する入力手段10、前記入力手段10により入力されたブラスト加工条件の許容誤差に基づき、加工条件の許容誤差を表面粗さの許容誤差に換算する換算手段21、測定装置により測定された検査対象の表面粗さと、標準の表面粗さとを比較し、検査対象が許容誤差の範囲内のブラスト加工条件においてブラスト加工されたか否かを検査する比較・判定手段22、前記比較・判定手段22による判定の結果を受け、判定結果に対応した電気信号、例えばブラスト加工装置の停止信号や後述の表示手段に対する表示内容を出力する出力手段23、及び前記出力手段からの出力を受け、比較・判定手段による判定結果を表示する表示手段30、及び前記各部の動作を規定するプログラム、前記換算手段による換算に際して使用される換算データ、前記比較手段による比較の基準となる標準表面粗さ、及び前記換算手段により換算された表面粗さの許容誤差を記憶する記憶手段40を備えている。
【0086】
(入力手段)
前述の入力手段10は、ブラスト加工条件の許容誤差の入力、その他各種動作の指示等を入力するためのもので、これらの入力が可能なものであれば既知のキーボードやマウス、タッチパネル等の各種の入力手段を使用することができる。
【0087】
この入力手段10を介して入力される許容誤差としては、研磨材の粒径、形状、噴射速度(噴射圧力)、噴射量、噴射時間等、検査対象となる各ブラスト加工条件に対応してそれぞれの許容誤差を入力する。
【0088】
なお、本検査システムにより行われる検査が、前述したように検査対象に対するブラスト加工条件が許容誤差の限界に近付いていることを判定できるように構成した場合には、許容誤差の限界値に対し、どの程度近付いたときこれを判定するかの基準となる数値等を入力可能としても良い。
【0089】
(記憶手段)
前述の記憶手段40は、換算手段21により、入力されたブラスト加工条件の許容誤差を表面粗さの各表面粗さパラメータに換算するための換算データ、前記換算手段により換算された表面粗さパラメータの変化分を示す許容誤差データ、比較・判定手段により検査対象の表面粗さと比較される標準表面粗さをそれぞれ記憶する領域を備え、これらの各データが各部の動作に対応して読み出し可能に記憶されている。この記憶手段の形式としては、RAM、ROM、ハードディスク等のいずれの形態によるものであっても良いが、標準表面粗さや許容誤差データ等、検査対象を変更する度にデータの更新を必要とするデータの存在を考慮し、データの追加、削除、変更等を可能とするRAM等のデータの保存、書き換えが可能である記憶手段であることが好ましい。
【0090】
前述の標準面粗さは、本実施形態にあってはブラスト加工装置の加工条件を初期設定した後に最初に加工された被加工物を得、この被加工物の表面形状を測定することにより得られた表面粗さパラメータである。
【0091】
また、換算データとは、検査対象と同一硬度、同一材質の基準材に対して加工条件を変化させてブラスト加工を行い、この基準材の表面形状を測定することにより得られた各ブラスト加工条件の変化と、この加工条件の変化に対応して変化する表面粗さパラメータとの対応関係を、例えば数式やグラフ等の形で取得したものであり、また、許容誤差データとは、後述する換算手段が前記入力手段を介して入力されたブラスト加工条件の許容誤差を前記換算データに基づいて表面粗さパラメータの許容誤差に変換したものであり、前述本判定システムが検査対象に対するブラスト加工条件が許容誤差の限界に近付いていることを判定できるように構成し、前述の入力手段により許容誤差の限界値に対し、どの程度近付いたときこれを判定するかの基準となる数値が入力されている場合には、この入力された数値に対応するデータを記憶するよう構成しても良い。
【0092】
なお、各ブラスト加工条件毎に加工条件の変化を検査可能とする本実施形態にあっては、前記許容誤差データ、標準表面粗さ、換算データはそれぞれ各加工条件の変化に対応して変化する表面粗さパラメータ毎に記憶されており、各データは各表面粗さパラメータ毎に相互に関連付けて記憶するものとしても良い。
【0093】
また、比較・判定の結果から各ブラスト加工条件の変化の原因となる事象を特定可能とするためには、各ブラスト加工条件と、このブラスト加工条件の変化の原因となる事象を相互に関連付けて記憶する。
【0094】
なお、ブラスト加工において使用する研磨材は、使用につれて破砕されその粒径が経時的に小さくなることはあっても、経時的に拡大することはないので、このような加工条件に対応する許容誤差データにあってはその上限又は下限の一方は、必ずしも設定する必要がなく、また、これを標準表面粗さの表面粗さパラメータとしても良い。
【0095】
なお、本実施形態にあっては、この記憶手段は、必要に応じて本システムを実現させるためのプログラムを格納するプログラムファイル等を備えているが、これらをそれぞれ別個の記憶手段に記憶するものとしても良く、その構成は図示の例に限定されない。
【0096】
(換算手段)
換算手段は、コンピュータシステムを構成するCPU20が、前記記憶手段40に記憶されたプログラムを実行することにより実現される手段であり、前述の入力手段10を介して入力されたブラスト加工条件の許容誤差を、前記記憶手段40に記憶された換算データに基づいて表面粗さパラメータに換算するもので、この換算により得られた許容誤差データは、前述の記憶手段40の所定の領域に記憶される。
【0097】
また、本検査システムにより行われる検査が、検査対象に対するブラスト加工条件が許容誤差の限界に近付いていることを判定できるものである場合、許容誤差の限界値に対し、どの程度近付いたときこれを判定するかの基準となる数値等が前述の入力手段10を介して入力されている場合には、この入力された数値を表面粗さパラメータに換算して前述の記憶手段40に記憶するものとしても良い。
【0098】
(比較・判定手段)
比較・判定手段22は、測定装置50を介して入力された検査対象の表面粗さパラメータを、記憶手段40に標準面粗さとして記憶された表面粗さパラメータと比較し、この比較の結果得られた両表面粗さパラメータ間のずれが、同様に記憶手段に記憶された前記許容誤差データの範囲内であるか否かを判定する。そして、両表面粗さパラメータのずれが、許容誤差データの示す範囲内であれば検査対象に対する各ブラスト加工条件が所定の許容範囲内において行われたものであることを判定するもので、コンピュータシステムを構成するCPU20が、前記記憶手段40に記憶されたプログラムを実行することにより実現されている。
【0099】
本検査システムにより行われる検査が、前述したように検査対象に対するブラスト加工条件が許容誤差の限界に近付いていることを判定(警告)できるように構成した場合には、比較・判定手段において前述の比較の結果得られた検査対象の表面粗さと標準表面粗さとの間のずれが、許容誤差データと共に記憶された警告の対象となる数値の範囲に属するか否かについても判定する。
【0100】
(出力手段)
出力手段は、前記比較・判定手段22による判定結果に従い所定の電気信号を出力するもので、この出力された信号によりCRT、液晶等の表示手段に検査結果を表示し、及び/又はブラスト加工装置の停止信号、その他の制御信号等を出力する。
【0101】
〔使用方法及び動作〕
以上のように構成された本発明の検査システム1の使用方法及び動作について説明する。
【0102】
このブラスト加工条件の検査システム1による検査の大まかな流れは、図2に示すように、「許容誤差の設定」、「標準表面粗さの取得」、「検査対象の測定」、「比較・判定」、及び、「表示及び制御」の各工程から成る。
【0103】
このうち、「許容誤差の設定」、「標準表面粗さの取得」の各工程は、その後に続く「比較・判定工程」において比較・判定の基準となるデータを得るための工程であり、それぞれ以下のように行われる。
【0104】
(許容誤差の設定)
前述の許容誤差の設定工程は、さらに図3に示すように「入力」、「換算」及び「記憶」の各工程から成り、先ず、前述の入力手段10を介してブラスト加工条件の許容誤差が入力される。
【0105】
この入力されたブラスト加工条件の許容誤差は、前述の換算手段21により記憶手段40に記憶された換算データに基づいて表面粗さパラメータに換算される。
【0106】
このようにして表面粗さパラメータに換算された許容誤差は、後述する比較・判定工程において判定の基準となるデータとして記憶手段40に記憶される。
【0107】
(標準表面粗さの取得)
この工程は、検査対象の表面粗さと比較する対象としての標準表面粗さを取得する工程であり、図4に示すようにブラスト加工装置の加工条件を初期設定した後に例えば最初に加工された被加工物等、誤差の生じていないブラスト加工条件において加工された被加工物の表面形状を測定することにより、標準の表面粗さの各表面粗さパラメータを取得し、この取得された標準表面粗さを前記記憶手段に記憶する。
【0108】
(検査対象の測定及び比較・判定)
以上のようにして、許容誤差の設定及び標準表面粗さの取得が終了すると、この設定された許容誤差及び取得された標準表面粗さに基づく比較・判定により、検査対象に対するブラスト加工条件の検査が可能となる。
【0109】
検査対象に対してブラスト加工を行う、例えばブラスト加工のライン中に設けられたブラスト加工装置60により、検査対象に対するブラスト加工が終了すると、このようにしてブラスト加工がされた検査対象は、例えばベルトコンベアやターンテーブル等の搬送手段によって搬送され、この搬送方向前方に配置された測定装置50によりその表面形状の測定が行われ、この測定により検査対象の表面粗さがこの表面粗さを示す各種の表面粗さパラメータとして取得される(検査対象の測定)。
【0110】
このようにして測定装置50により測定された検査対象の表面粗さパラメータは、本発明の検査システム1に入力され、必要に応じてデータの変換等が成された後、比較・判定手段22に入力される。
【0111】
比較・判定手段22に入力される検査対象の表面粗さパラメータとしては、前述の記憶手段に標準表面粗さデータとして記憶されている表面粗さパラメータに対応したパラメータが入力され、本実施形態にあってはカバレージの確認に関する表面粗さパラメータとして振幅分布に関する表面粗さパラメータの中の「ゆがみRsk」及び「振幅及び波長に関する表面粗さパラメータ」、所定の研磨材の形状が保たれているかを検査する基準として、「傾斜に関する表面粗さパラメータ」、所定の研磨材の粒径が保たれているかどうか、研磨材の速度が所定の速度かどうかを検査する基準とするパラメータとして、「振幅に関する表面粗さパラメータ」及び「波長に関する表面粗さパラメータ」が入力される。
【0112】
検査対象を測定することにより得られた各種表面粗さパラメータの入力を受けた比較・判定手段22は、この入力されたパラメータをもとに検査対象に対するブラスト加工条件が所望の許容範囲内において行われたものであるか否かを判定する。
【0113】
判定に際し、比較・判定手段は先ず、図5に示すように前述の標準表面粗さの取得工程において取得され、記憶手段40に記憶された標準表面粗さと、検査対象の表面粗さとを各パラメータ毎に比較し、検査対象に対するブラスト加工が予め設定された許容誤差の範囲内の加工条件において行われているか否かを判定する。
【0114】
一例として、本実施形態にあっては各表面粗さパラメータの比較は下記の手順により行われる。
【0115】
加工条件の検査は、先ず、カバレージにもとづき検査対象に対する加工条件中、投射される研磨材量及び加工時間が適正な範囲内で行われたか否かについて行われる。
【0116】
加工条件等から、標準表面粗さを取得するために使用されたサンプル等から、検査対象に形成される圧痕のカバレージが100%未満であることが推定される場合には、記憶手段に記憶されている換算データ中、振幅分布に関する表面粗さパラメータのうちの「ゆがみRsk」の変化とカバレージの変化の関係を示す換算データを使用してカバレージを算出し、また、カバレージが100%を越えることを推定可能な場合には、この振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータとの相関関係とカバレージの変化の関係より求められた換算データに基づき検査対象のカバレージを算出し、検査対象のカバレージが設定された加工限界の範囲内における加工であるか否かを判定する。
【0117】
算出されたカバレージが、予め設定された許容範囲内である場合には、比較・判定手段は検査対象に対して行われたブラスト加工条件のうち、研磨材の噴射量や加工時間が適正であることを判定し、また、加工限界範囲内のカバレージであっても許容範囲の限界に近いカバレージである場合には、ブラスト加工条件のうち、研磨材の噴射量が多くなっていること、又は加工時間が長くなっていることを判定し、さらに加工限界範囲内のカバレージであっても許容範囲の下限に近いカバレージである場合には、研磨材の噴射量が少ない、又は加工時間が短いことを判定する。
【0118】
同様の方法により、他の加工条件についても、傾斜に関する表面粗さパラメータを使用して検査対象に対して行われたブラスト加工条件中、使用する研磨材の形状が所望の加工限界範囲内で行われたか否か、また、振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータと組み合わせて使用し、検査対象に対する加工条件が所定の研磨材の粒径範囲内で行われているか否か、又は研磨材の噴射速度が所定の範囲内で行われているか否かが検査される。
【0119】
(検査結果の出力)
以上の比較・判定手段による検査結果に従い、出力手段23より所定の電気信号が出力され、この出力信号に従って例えばCRTや液晶画面等の表示手段30に対しては所定の検査結果が表示され、また、検査結果がブラスト加工条件が許容範囲の限界に近付いているとの結果である場合には、その旨の警告やブラスト加工装置60の停止等が行われる。
【0120】
表示手段において行われる表示としては、例えば使用するブラスト加工装置の構成等との関係において、また、検査するブラスト加工条件等との関係において種々の表示が可能であるが、一例として、カバレージに基づいて検査対象の加工条件が許容範囲の限界に近付いていることが確認された場合には、ブラスト加工条件が「加工時間が短い(又は長い)」「移動速度が速い(又は遅い)」「ブラストガンの本数が不十分」「ブラストガンの方向設定が不適当」「ブラストガンの噴射(圧力)が不適当」等のうち該当する原因のいずれか又は全てを表示する。
【0121】
傾斜に関する表面粗さパラメータに基づいて、使用する研磨材の形状変化が許容範囲の加工条件の限界に近付いていることが確認された場合には、「研磨材が破砕してきたか、異物が混入しています。」のようなコメントを表示することができ、さらに、負荷曲線に関する表面粗さパラメータと振幅分布に関する表面粗さパラメータ、特に「ゆがみ」から、研磨材の粒径が加工条件の限界を超えて変化したことが認識された場合には、「研磨材が摩耗しています。」等のコメントを表示することができ、さらに、研磨材の噴射速度が低下した場合には、「ブラストガンが摩耗しているか、加工圧力が低下しているか、ガン角度が変化しています。」等のコメントを表示することが可能である。
【0122】
【発明の効果】
以上説明した本発明の構成により、被加工物の表面粗さを基準とした比較を行うことにより高い精度で経時的に変化するブラスト加工条件の変化を検査することができ、また、加工効率の低下や、成品の歩留りの低下等を引き起こすことなく、事前に加工不良の発生を防止することができるブラスト加工条件の検査方法及び検査システムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブラスト加工条件の検査システムの機能ブロック図。
【図2】ブラスト加工条件の検査システムの動作フロー。
【図3】図2の許容誤差の設定工程の詳細を示すフロー。
【図4】図2の標準表面粗さの取得工程の詳細を示すフロー。
【図5】図2の比較・判定工程及び表示・制御工程の詳細を示すフロー。
【図6】二乗平均粗さ(Rq)の説明図。
【図7】最大山高さ(Rpm)の説明図。
【図8】最大谷深さ(Rvm)の説明図。
【図9】ピークカウント(Pc)の説明図。
【図10】算術平均傾斜(Δa)及び二乗平均傾斜(Δq)の説明図。
【図11】負荷曲線(BAC)の説明図。
【図12】振幅分布曲線(ADC)の説明図。
【符号の説明】
1 ブラスト加工条件の検査システム
10 入力手段
20 CPU
21 換算手段
22 比較・判定手段
23 出力手段
30 表示手段
40 記憶手段
50 測定装置
60 ブラスト装置

Claims (7)

  1. 予めブラスト加工条件である単位面積あたりの研磨材の投射量、研磨材の形状、研磨材の粒径、研磨材の投射速度変化に対する許容誤差の範囲をそれぞれ設定し、前記各ブラスト加工条件の許容誤差の限界となる加工条件において検査対象である被加工物に対してブラスト加工した場合に得られる表面粗さを
    (1) 単位面積あたりの研磨材の投射量の限界で得られる表面粗さについてはカバレージ100%迄を振幅分布に関する表面粗さパラメータであるゆがみRskにより、カバレージ100%を越える場合を振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
    (2) 研磨材の形状の限界で得られる表面粗さについては傾斜に関する表面粗さパラメータにより、
    (3) 研磨材の粒径の限界で得られる表面粗さについては振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
    (4) 投射速度の限界で得られる表面粗さについては振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
    それぞれ限界表面粗さとして前記各表面粗さパラメータを用いて特定すると共に、
    検査対象となるブラスト加工後の被加工物の表面形状を測定してゆがみRsk、振幅、波長、傾斜に関する各表面粗さパラメータを得、この検査対象の表面粗さと前記限界表面粗さとを前記各表面粗さパラメータ又はこれらの組合せをもとにそれぞれ比較して、前記検査対象に対して行われたブラスト加工条件のそれぞれが許容誤差の範囲内において行われたものであるか否かを検査することを特徴とするブラスト加工条件の検査方法。
  2. 検査対象とする被加工物と同一の硬度及び材質から成る基準材に対して前記各ブラスト加工条件を変化させてブラスト加工を行うことにより、前記各ブラスト加工条件の変化と、これらのブラスト加工条件の変化に対応して変化する表面粗さの変化との対応関係を前記各表面粗さパラメータの変化又はこれらの変化の組合せとして予め求めておき、
    この求められた対応関係に基づき、予め設定されたブラスト加工条件の許容誤差に対応する前記各表面粗さパラメータの変化分を求めると共に、
    ブラスト加工の開始時に設定された初期の加工条件において加工された被加工物の表面形状を測定することにより得られた標準表面粗さの各表面粗さパラメータに対し、前記求められた変化分を加味した各表面粗さパラメータにより前記限界表面粗さを特定することを特徴とする請求項1記載のブラスト加工条件の検査方法。
  3. 検査対象とする被加工物と同一の硬度及び材質から成る基準材に対してそれぞれ前記各ブラスト加工条件の許容誤差の限界となる加工条件において予めブラスト加工を行うと共に、このブラスト加工された基準材の表面形状を測定して得られた表面粗さを前記限界表面粗さとすることを特徴とする請求項1記載のブラスト加工条件の検査方法。
  4. ブラスト加工条件である単位面積あたりの研磨材の投射量、研磨材の形状、研磨材の粒径、研磨材の投射速度変化に対する許容誤差をそれぞれ入力するための入力手段と、
    前記入力された許容誤差の限界となる各ブラスト加工条件において検査対象である被加工物に対してブラスト加工した場合に得られる限界表面粗さにおける表面粗さパラメータを、
    (1) 単位面積あたりの研磨材の投射量の限界で得られる表面粗さについてはカバレージ100%迄を振幅分布に関する表面粗さパラメータであるゆがみRskにより、カバレージ100%を越える場合を振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
    (2) 研磨材の形状の限界で得られる表面粗さについては傾斜に関する表面粗さパラメータにより、
    (3) 研磨材の粒径の限界で得られる表面粗さについては振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
    (4) 投射速度の限界で得られる表面粗さについては振幅に関する表面粗さパラメータと波長に関する表面粗さパラメータの組合せにより、
    それぞれ限界表面粗さデータとして記憶する記憶手段と、
    検査対象となる被加工物の表面粗さのゆがみRsk、振幅、波長、傾斜に関する各表面粗さパラメータが入力されたとき、この入力された前記検査対象の表面粗さパラメータ又はこれらの組合せを、記憶手段に記憶された限界表面粗さデータと比較して、該入力された表面粗さパラメータから、検査対象の被加工物に対して行われたブラスト加工条件のそれぞれが許容範囲内か否かを検査する比較・判定手段と、
    前記比較・判定手段により行われた検査の結果に基づき、この検査結果に対応した電気信号を出力する出力手段を備えることを特徴とするコンピュータシステムにより構成されたブラスト加工条件の検査システム。
  5. 前記記憶手段は、前記限界表面粗さデータに代えて
    検査対象とする被加工物と同一の硬度及び材質を有する基準材に対して前記各ブラスト加工条件を変化させてブラスト加工を行うことによりそれぞれ得られた、前記各ブラスト加工条件の変化と、このブラスト加工条件の変化に対応して変化する表面粗さパラメータの変化の対応関係を示す換算データと、
    ブラスト加工の開始時に設定された初期の加工条件において加工された被加工物の表面形状を測定することにより得られた標準表面粗さの各表面粗さパラメータから成る標準表面粗さデータを記憶しており、
    前記記憶手段に記憶された換算データに基づいて前記入力されたブラスト加工条件の許容誤差に対応する前記各表面粗さパラメータの変化分に換算する換算手段を設け、前記標準表面粗さの各表面粗さパラメータに前記求められた変化分をそれぞれ加算することで、前記限界表面粗さの各表面粗さパラメータを算出可能としたことを特徴とする請求項記載のブラスト加工条件の検査システム。
  6. 前記検査対象となる被加工物の表面粗さパラメータが、前記限界表面粗さの各表面粗さパラメータに対して予め前記記憶手段に記憶された所定の数値範囲内にあると前記比較・判定手段が判定したとき、前記出力手段が前記検査対象となる被加工物をブラスト加工するブラスト加工装置の停止信号を出力する請求項4又は5記載のブラスト加工条件の検査システム。
  7. 前記出力手段による出力に基づき前記比較・判定手段による検査結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項4〜6いずれか1項記載のブラスト加工条件の検査システム。
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