JP4313276B2 - 金属板の板継ぎ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属板の板継ぎ方法に係り、特に、巻回形成されたコイルから取り出される金属板の始端部位を、かかる金属板に先立って連続的に板長方向に走行せしめられる別の金属板の終端部位に連結することからなる金属板の板継ぎ方法に関するものである。
よく知られているように、圧延加工や塗装処理、熱処理、表面処理等の量産ラインでは、多くの場合、被加工乃至は被処理素材として、金属板が巻回形成されたコイルが、用いられる。そして、かかるコイルから徐々に取り出された金属板に対して、各種の加工や処理等が実施されることにより、所望の製品が得られるようになっている。
ところで、そのような量産ラインにおいて、大量の金属板に対して、上述の如き各種の加工や処理等を連続的に行う際や、品種の異なる金属板を新たにラインに導入する際、或いはメンテナンス等のために非製品を一時的に導入する際等、複数のコイルがラインに連続的に導入される場合には、先に、ライン上を板長方向に走行せしめられる金属板の走行方向後方側の端部、つまり終端部位と、新たにラインに導入されるコイルから取り出された金属板のライン上での走行方向前方側の端部、つまり始端部位とを連結して、板継ぎを行う必要がある。
そこで、従来では、そのような巻回形成されたコイルから取り出される金属板の始端部位と、かかる金属板に先立って連続的に板長方向に走行せしめられる別の金属板の終端部位とを板継ぎする方法として、例えば、(1)各金属板の始端部位と終端部位とを互いに重ね合わせた状態で、それらの重合せ部分に貫通孔を形成すると共に、この貫通孔内に鉄線等を挿通せしめて、かかる鉄線等により、重合せ部分を連結する方法や、(2)各金属板の始端部位と終端部位とを互いに重ね合わせた状態下において、かかる重合せ部分を部分的に凹陥させることにより、それら各金属板の始端部位と終端部位とを凹凸嵌合させて、連結する方法、(3)超音波接合法を利用して、各金属板の始端部位と終端部位の重合せ接合する方法、(4)各金属板の始端部位と終端部位とを互いに重ね合わせて、それらの重合せ部分を両面接着テープで接着する方法等、様々な手法が採用されている。
ところが、それら各種の板継ぎ方法のうち、(1)〜(3)の方法では、各金属板の始端部位と終端部位の重合せ部分に貫通孔を設けたり、かかる重合せ部分を凹陥させる際に、切り屑や切粉が発生し、また、超音波接合時において摩耗粉が不可避的に生ずるため、それら切り屑や切粉、摩耗粉等が金属板に付着し、それによって、金属板の損傷が惹起されるといった不具合があった。更に、(4)の方法においては、金属板の損傷は解消され得るものの、接着テープが高温に耐えられず、また、高張力に耐え得る程の連結強度を得ることが出来ないため、量産ラインにおいて実施される加工や処理の種類によっては採用が不可能となるといった問題が内在していた。
なお、それらの不具合や問題を一挙に解消し得る方法として、スポット溶接やシーム溶接等の抵抗溶接手法を利用して、金属板同士の板継ぎを行うことが、容易に考えられる。しかしながら、例えば、抵抗溶接の一種たる、電極円盤を用いたマッシュシーム溶接を実施した場合、電極円盤の電極部が、金属板の溶接部位に付着したり、潰れたりすることがあり、そうなると、金属板同士の連結強度が不可避的に低下してしまうこととなる。また、特に、アルミニウム板又はアルミニウム合金板と鋼鈑とを連結する場合には、溶融したアルミニウムと鉄との間で脆い金属間化合物が生成せしめられるため、高い連結強度を得ることが困難であった。
従って、このような抵抗溶接手法にて、上記の如き各金属板の終端部位と始端部位とを板継ぎする場合にあっても、それら金属板同士の連結強度が、採用される溶接手法の種類や連結されるべき金属板の種類等によって大きく左右されることとなり、高い連結強度を安定的に得ることが容易ではなかったのである。
かかる状況下、本願出願人は、特願2004−144272において、固相接合の一種たる電磁圧接手法を利用して、各金属板の終端部位と始端部位とを板継ぎする方法を提案した。即ち、この方法は、巻回形成されたコイルから取り出される第一の金属板の始端部位と、この第一の金属板に先立って連続的に板長方向に走行せしめられる第二の金属板の終端部位とを、所定の隙間を介して重ね合わせる一方、かかる第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位との重合せ部分の互いの重合せ面側とは反対側に、圧接用コイルを、重合せ部分に対して間隔を開けて対応位置せしめた後、圧接用コイルに瞬間大電流を流して、重合せ部分を相互に電磁圧接する操作を行うことにより、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とを相互に連結するようにしたものである。
このような手法においては、圧接用コイルへの瞬間大電流の通電により、圧接用コイルに高密度の磁束が急激に発生せしめられるようになる。そして、例えば、そのような圧接用コイルが、第一の金属板の始端部位における第二の金属板の終端部位との重合せ面側とは反対側に配置されている場合、圧接用コイルにおいて発生せしめられた高密度の磁束が、圧接用コイルに対向位置せしめられる第一の金属板の始端部位に交差すると、かかる第一の金属板の始端部位の内部に、磁束の浸透を妨げる方向に渦電流が発生せしめられて、第一の金属板の始端部位に対して、それと所定の隙間を介して重ね合わされる第二の金属板の終端部位側に向かう方向に作用する電磁力が瞬間的に発生する。その結果、第一の金属板の始端部位が、第二の金属板の終端部位に対して高速で衝突せしめられ、以て、その衝突の効果により、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とが、瞬間的に圧接されて、連結されるのである。
このように、かくの如き電磁圧接を利用した板継ぎ方法によれば、圧接用コイルが非接触の状態で、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とが、加熱溶融せしめられることなく連結されるものであるところから、各金属板の始端部位と終端部位とを電極円盤を用いて抵抗溶接する場合とは異なって、電極円板の電極部が金属板の溶接部位に付着するようなことがなく、また、連結(板継ぎ)されるべき第一及び第二の金属板が、アルミニウム板又はアルミニウム合金板と鋼板であっても、アルミニウムと鉄との間で、脆い金属間化合物が生成せしめられるようなこともない。従って、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とを、それら各金属板の種類等に拘わらず、十分な連結強度をもって連結せしめることが出来るのである。また、勿論、前記せる(1)〜(4)の方法において惹起される問題も、悉く解消され得ることとなる。
ところが、本発明者等が、かくの如き優れた特徴を発揮する金属板の板継ぎ方法について、更に鋭意研究を重ねたところ、連結されるべき第一の金属板と第二の金属板のそれぞれの板厚が厚い場合や導電率が低い場合には、連結された各金属板同士の連結部分において十分に満足し得る程の連結強度を得ることが困難となってしまうことが明らかとなった。そして、特に、連結されるべき各金属板の板厚が3mm越えるか、或いはそれらの導電率が20%IACS未満となると、上記の連結強度の低下がより顕著なものとなることも、判明したのである。これは、連結されるべき各金属板の板厚が厚いか又は導電率が低いと、圧接用コイルに瞬間大電流を流した際に、かかる圧接用コイルと対応(対向)位置する金属板に対して作用せしめられる電磁力が小さくなる等して、十分な衝突効果を得ることが困難となるためと考えられる。
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、板長方向に走行せしめられる金属板の終端部位と、巻回形成されたコイルから取り出される金属板の始端部位とを連結して、板継ぎする際に、それら各金属板の板厚が厚い場合にあっても、或いはそれらの導電率が低い場合にあっても、各金属板を、より十分な連結強度をもって安定的に且つ確実に連結し得る金属板の板継ぎ方法を提供することにある。
そして、かかる課題の解決のために、本発明の第一の態様とするところは、巻回形成されたコイルから取り出される第一の金属板の始端部位を、該第一の金属板に先立って連続的に板長方向に走行せしめられる第二の金属板の終端部位に連結することからなる板継ぎ方法において、(a)前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位とを、それら各金属板の板長方向に所定距離を隔てて離間位置せしめる工程と、(b)板厚が3mm以下か又は導電率が20%IACS以上であり、且つ前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位との離間距離よりも所定寸法長い長さを有する金属平板からなる継ぎ板を、その長さ方向の一端部において、該第一の金属板の始端部位に対して所定の隙間を介して重ね合わせて、第一の重合せ部分を形成する一方、長さ方向の他端部において、該第二の金属板の終端部位に対して所定の隙間を介して重ね合わせて、第二の重合せ部分を形成する工程と、(c)前記第一の重合せ部分における前記継ぎ板の前記第一の金属板に対する重合せ面側とは反対側に、圧接用コイルを、該第一の重合せ部分に対して該継ぎ板の板厚方向に間隔を開けて対応位置せしめた後、該圧接用コイルに瞬間大電流を流して、該第一の重合せ部分を相互に電磁圧接する工程と、(d)前記第二の重合せ部分における前記継ぎ板の前記第二の金属板に対する重合せ面側とは反対側に、圧接用コイルを、該第二の重合せ部分に対して該継ぎ板の板厚方向に間隔を開けて対応位置せしめた後、該圧接用コイルに瞬間大電流を流すことにより、該第二の重合せ部分を相互に電磁圧接する工程とを含み、前記第一の重合せ部分と前記第二の重合せ部分とに対する電磁圧接操作により、前記継ぎ板を前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位とに対してそれぞれ連結することによって、該第一の金属板の始端部位と該第二の金属板の終端部位とを、該板継ぎ板を介して相互に連結するようにしたことを特徴とする金属板の板継ぎ方法にある。
要するに、このような本態様にあっては、継ぎ板の第一及び第二の金属板との重合せ面側とは反対側に位置せしめられた圧接用コイルに瞬間大電流が流されることにより、継ぎ板に対して、第一の金属板の始端部位側や第二の金属板の終端部位側に向かう方向に電磁力が作用せしめられて、継ぎ板が、それら第一の金属板の始端部位や第二の金属板の終端部位に衝突せしめられ、その衝突効果によって、継ぎ板が、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とに対して瞬間的に圧接されて、連結されるようになっている。
そして、本態様においては、特に、かかる継ぎ板が、3mm以下の薄い板厚か、若しくは20%IACS以上の十分に高い導電率を有しているところから、圧接用コイルへの瞬間大電流の通電によって、継ぎ板に対して十分に大きな電磁力が作用せしめられ、以て、継ぎ板と第一の金属板の始端部位及び第二の金属板の終端部位との間において、十分な衝突効果が発揮され得るといった優れた特徴が発揮され得る。
また、このような本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第二の態様においては、前記第一の金属板と前記第二の金属板とが、何れも、3mmを越える板厚を有するか又は20%IACS未満の導電率を有するように構成される。
さらに、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第三の態様においては、前記継ぎ板を、前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位のそれぞれにおける板厚方向の同一側の片方の面に、所定の隙間を介して重ねせて、前記圧接用コイルを、それら各金属板の片方の面側に、該継ぎ板を間に挟んで位置せしめるように構成される。
更にまた、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第四の態様では、前記継ぎ板を二枚用いて、それら二枚の継ぎ板のうちの一方を、前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位のそれぞれにおける板厚方向の同一側の一方の面に対して、所定の隙間を介して重ね合わせる一方、それらのうちの他方の継ぎ板を、該第一の金属板の始端部位と該第二の金属板の終端部位のそれぞれにおける板厚方向の他方の面に対して、所定の隙間を介して重ね合わせて、前記圧接用コイルを、それら各金属板の両方の面側に、該継ぎ板を間に挟んでそれぞれ位置せしめるようにされる。
更にまた、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第五の態様においては、前記圧接用コイルを少なくとも二つ用いて、かかる少なくとも二つの圧接用コイルのうちの一つを、前記第一の重合せ部分における前記継ぎ板の前記第一の金属板に対する重合せ面側とは反対側に配置する一方、該少なくとも二つの圧接用コイルのうちの別の一つを、前記第二の重合せ部分における前記継ぎ板の前記第二の金属板に対する重合せ面側とは反対側に配置した状態下で、それら各圧接用コイルに瞬間大電流を同時に流すことにより、該第一の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作と、該第二の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作とを、同時に行うように構成されることとなる。
また、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第六の態様では、前記圧接用コイルを前記第一の重合せ部分と前記第二の重合せ部分のうちの何れか一方の重合せ部分に対応位置せしめて、該一方の重合せ部分を相互に電磁圧接した後、かかる電磁圧接された一方の重合せ部分を、該第一の重合せ部分と該第二の重合せ部分のうちの何れか他方の重合せ部分側とは反対側に相対移動させる操作と、該圧接用コイルを、該他方の重合せ部分側に相対移動させる操作のうちの少なくとも何れか一方の操作を行うことにより、該圧接用コイルを該他方の重合せ部分に対応位置せしめて、該他方の重合せ部分を相互に電磁圧接するようにされる。
さらに、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第七の態様にあっては、前記第一の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作と、前記第二の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作とを、それら各重合せ部分における前記第一の金属板と前記第二の金属板のそれぞれの長さ方向に所定距離を隔てた複数個所に対して行うことにより、前記継ぎ板を、該第一の金属板の前記始端部位と該第二の金属板の前記終端部位とに対して、各金属板の長さ方向の複数個所においてそれぞれ連結するようにされる。
このような本態様にあっては、第一の重ね合せ部分と第二の重合せ部分とを、各金属板の長さ方向の一個所において、それぞれ相互に連結する場合に比して、第一及び第二の金属板と継ぎ板との連結個所が有利に増加せしめられ、以て、それら第一及び第二の金属板と継ぎ板との連結強度が、更に一層有利に高められ得るといった特徴が発揮されるようになる。
しかも、かかる本態様では、例えば、第一の重合せ部分を第一の金属板の長さ方向に所定距離を隔てた少なくとも二個所において相互に連結すると共に、第二の重合せ部分を第二の金属板の長さ方向に所定距離を隔てた少なくとも二個所において相互に連結すれば、第一の金属板の始端部位と継ぎ板の一端部の各先端縁から、それらに最も近い連結個所までの部分の長さと、第二の金属板の始端部位と継ぎ板の他端部の各先端縁から、それらに最も近い連結個所までの部分の長さとを、それぞれ、可及的に小さく為すことが出来る。
また、それにより、例えば、第一及び第二の金属板が量産ライン上等を走行せしめられる際において、相互に連結された各金属板と継ぎ板との第一及び第二の重合せ部分が、各金属板を走行させるための走行装置の一部として、或いは各金属板の量産ライン上での走行方向を変更するため等、種々の目的で量産ライン上に設置されるローラ等にて湾曲せしめられつつ、ローラの設置個所を通過するときに、各金属板と継ぎ板のうち、ローラ側とは反対側に位置するものの連結個所から先端縁までの部分が、湾曲せしめられずに、ローラ側に位置するものから浮き上がったり(跳ね上がったり)するようなことや、かかる部分が、ローラ設置個所の通過の前後において、自重により垂れ下がったりするようなことが、有利に解消乃至は抑制され得るようになる。
そして、その結果として、量産ライン上でのローラ設置個所の通過時における各金属板若しくは継ぎ板の部分的な浮き上がりによって、それら各金属板と継ぎ板との連結が解消されたり、或いはそれら各金属板若しくは継ぎ板の浮上部分や前記垂下り部分が、ローラの周辺部品等に接触したり、引っ掛かったりして、各金属板が損傷せしめられたりするようなことが効果的に防止され得るといった特徴をも、発揮されることとなる。
更にまた、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第八の態様では、前記第一の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作と、前記第二の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作とを、それら各重合せ部分における前記第一の金属板と前記第二の金属板のそれぞれの幅方向に所定距離を隔てた複数個所に対して行うことにより、前記継ぎ板を、該第一の金属板の前記始端部位と該第二の金属板の前記終端部位とに対して、各金属板の幅方向の複数個所においてそれぞれ連結するようにされる。
また、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第九の態様においては、前記継ぎ板が、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板にて構成される。
さらに、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第十の態様では、前記第一の金属板の始端部位と前記継ぎ板の長さ方向一端部との間の前記隙間と、前記前記第二の金属板の終端部位と前記継ぎ板の長さ方向他端部との間の前記隙間のそれぞれの大きさが、0.5〜10mmとされる。
更にまた、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第十一の態様にあっては、前記第一の金属板と前記第二の金属板の両方が、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板にて構成される。
また、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第十二の態様では、前記第一の金属板と前記第二の金属板のうちの何れか一方が、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板にて構成され、且つそれらのうちの何れか他方が、鋼板にて構成される。
さらに、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第十三の態様では、前記第一の金属板と前記第二の金属板のうちの何れか一方が、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板にて構成され、且つそれらのうちの何れか他方が、ステンレス鋼板にて構成される。
そして、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第一の態様にあっては、前述せる如き優れた特徴が発揮されることにより、継ぎ板が、その長さ方向の両端部において、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とに対して、十分な連結強度をもって確実に連結され得る。
従って、かくの如き本発明に従う金属板の板継ぎ方法によれば、巻回形成されたコイルから取り出される第一の金属板と、それに先立って連続的に板長方向に走行せしめられる第二の金属板とが、それらを直接に相互に電磁圧接した場合において十分な連結強度の確保が困難な程の厚い板厚か又は低い導電率を有する場合にあっても、そのような第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とを、継ぎ板を介して、より十分な連結強度をもって安定的に且つ確実に連結することが出来る。そして、その結果として、圧延加工や塗装処理、熱処理、表面処理等の量産ラインへの複数のコイルの連続的な導入と、それら複数のコイルを形成する金属板に対する各種の加工や処理とを、よりスムーズに且つ安定的に実施することが可能となるのである。
また、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第二の態様によれば、直接に相互に電磁圧接した場合には、十分な連結強度を得ることが困難な第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とが、継ぎ板を介して、十分な連結強度をもって、極めて安定的に且つ確実に連結され得ることとなる。
さらに、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第三の態様では、例えば、第一の金属板の始端部位における一方の側の面と、第二の金属板の終端部位における、かかる一方とは反対側の面とに対して、継ぎ板の一端部と他端部とを、所定の隙間を介して重ね合わせる場合に比して、継ぎ板の配置作業や圧接用コイルの設置作業が容易となる。
更にまた、本発明手法の第四の態様によれば、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とが、二枚の継ぎ板にて、板厚方向の両側から挟まれた状態で、それら二枚の継ぎ板を介して相互に連結されるようになるため、例えば、一枚の継ぎ板を介して、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とを連結する場合に比して、継ぎ板との連結個所が有利に増やされ得、それによって、それら第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とが、より大きな連結強度をもって連結され得ることとなる。
また、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第五の態様によれば、継ぎ板の両端部が、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とに対して、同時に且つ一挙に連結され得、それによって、そのような第一及ぶ第二の金属板に対する継ぎ板の連結操作、ひいては第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位との板継ぎ操作に要される時間の短縮化が、極めて有利に実現され得る。
さらに、本発明手法における第六の態様では、圧接用コイルとそれに瞬間大電流を流すための装備を、それぞれ可及的に少ない数だけ用いて、継ぎ板の長さ方向の一端部と他端部とを、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とにそれぞれ連結することが出来る。これによって、それら第一及び第二の金属板に対する継ぎ板の連結作業に要される設備費が効果的に抑制され得、以て、第一の金属板の始端部位と第二の金属板の終端部位とが、継ぎ板を介して、経済的に有利に板継ぎされ得ることとなる。
更にまた、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第七の態様にあっては、前述せる如き優れた特徴が発揮されることによって、第一の金属板の終端部位と第二の金属板の始端部位とが、継ぎ板を介して、更に一層確実に且つより安定的に連結され得るのであり、その上、例えば、量産ライン上を走行せしめられる金属板同士の板継ぎに対しても、極めて有利に適用され得ることとなる。
また、本発明手法の第八の態様によれば、継ぎ板が、第一の金属板の終端部位と第二の金属板の始端部位とに対して、それら各金属板の幅方向の複数個所において連結されるようになるため、第一の金属板の終端部位と第二の金属板の始端部位とが、継ぎ板を介して、より十分な連結強度をもって確実に連結され得る。
さらに、本発明手法の第九の態様においては、導電率の高いアルミニウム板若しくはアルミニウム合金板が継ぎ板として使用されるため、そのような継ぎ板を介して、第一の金属板の終端部位と第二の金属板の始端部位とが、より確実に連結され得ることとなる。
更にまた、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第十の態様によれば、第一の金属板の終端部位及び第二の金属板の始端部位と継ぎ板との電磁圧接が、より確実に且つ安定的に実施され得る。
また、本発明に従う金属板の板継ぎ方法の第十一乃至第十三の態様によれば、アルミニウム板又はアルミニウム合金板同士や、アルミニウム板又はアルミニウム合金板と鋼板、或いはアルミニウム板又はアルミニウム合金板とステンレス鋼板が、それら各金属板の有する板厚や導電率に拘わらず、継ぎ板を介して、優れた強度をもって確実に連結され得ることとなる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る金属板の板継ぎ方法の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明手法に従って金属板を板継ぎする板継ぎ装置の一例として、比較的に厚肉のアルミニウム合金製の板材同士を連結する板継ぎ装置が、連続式冷間圧延ラインに組み込まれた状態下において、概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、板継ぎ装置10が組み込まれる連続式冷間圧延ライン12は、長さ方向に並べられて配置された第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16とを有している。
また、かかるライン12においては、第一ローラコンベヤ14の第二ローラコンベヤ16側とは反対側に、巻出機18が設置されており、この巻出機18に対して、アルミニウム合金からなる、長尺で、3mmを越える比較的に板厚の厚い、圧延されるべきアルミニウム板20aが巻回されて形成された被圧延コイル22が、支持されている。更に、このような巻出機18と第一ローラコンベヤ14との間には、一対の取出ローラ23,23が、被圧延コイル22から取り出されるアルミニウム板20aを逆S字状に湾曲させて、テンションを掛けながら挟持して、設置されている。
一方、第二ローラコンベヤ16の途中には、上記取出ローラ23,23と同様な構造を有する複数対(図1には、一対のみを示す)の走行ローラ24,24が、第二ローラコンベヤ16の長手方向に互いに所定距離を隔てて配設されている。また、図示されてはいないものの、かかる第二ローラコンベヤ16上には、複数の冷間圧延機が、第二ローラコンベヤ16の長手方向に沿って、順に配設されている。
そして、このような第二ローラコンベヤ16の搬送面上には、被圧延コイル22から取り出されるアルミニウム板20aに先立って、ライン12上を走行せしめられるアルミニウム板20bが、板長方向の複数の中間部分において、複数対の走行ローラ24,24のそれぞれにて挟持された状態で、位置せしめられている。なお、ここでは、この第二ローラコンベヤ16上のアルミニウム板20bも、長尺で、被圧延コイル22から取り出されるアルミニウム板20aと略同じ3mmを越える比較的に厚い板厚を有している。
かくして、かかる連続式冷間圧延ライン12においては、従来と同様に、例えば、第一ローラコンベヤ14の手前に設置される取出ローラ23,23が、図示しない駆動装置によって回転駆動せしめられることにより、巻出機18に支持された被圧延コイル22のアルミニウム板20aが、引張せしめられ、被圧延コイル22から徐々に取り出されて、第一ローラコンベヤ14上を、第二ローラコンベヤ16に向かって、板長方向に走行せしめられつつ、搬送されるようになっている。また、第二ローラコンベヤ16上のアルミニウム板20bも、第二ローラコンベヤ16に設置される複数対の走行ローラ24,24が、図示しない駆動装置にて回転駆動せしめられることにより、板長方向の連続して走行せしめられるようになっている。そして、かかるアルミニウム板20bは、その走行途中で、複数の冷間圧延機に順にパスせしめられることによって、圧延加工され、その後、最後に、巻取機(図示せず)にて巻回されて、再びコイルとされるようになっているのである。
なお、このようなライン12には、各ローラコンベヤ14,16上に配置された取出ローラ23,23と走行ローラ24,24のそれぞれの回転駆動を制御するコントローラ25が設けられており、このコントローラ25による各ローラ23,24の回転駆動制御によって、第一及び第二ローラコンベヤ14,16上を走行せしめられるアルミニウム板20a,20bの走行速度が制御されるようになっている。
すなわち、ここでは、ライン12上を先に走行せしめられるアルミニウム板20bの走行方向後方側端部、つまり終端部位26が、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間に位置せしめられているときに、取出ローラ23,23が高速で回転駆動せしめられて、巻出機18に支持された被圧延コイル22から、アルミニウム20aが高速で取り出される。これにより、走行ローラ24,24の定速度回転にて第二ローラコンベヤ16上を一定の速度で走行せしめられるアルミニウム板20bの走行速度よりも速い速度で、アルミニウム20aが第一ローラコンベヤ14上を走行せしめられて、かかるアルミニウム板20aのうち、最初に取り出される、第一ローラコンベヤ14上での走行方向前方側端部、つまり始端部位27が、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間に位置せしめられるようになっている。
そして、アルミニウム板20aの始端部位27の先端が、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間の所定位置に達した時点で、取出ローラ23,23の回転が減速せしめられて、第一ローラコンベヤ14上を走行せしめられるアルミニウム板20aの走行速度が、第二ローラコンベヤ16上を走行せしめられるアルミニウム板20bの走行速度と同一速度とされる。その後、取出及び走行ローラ23,24が互いに同じ速度で回転駆動せしめられて、各アルミニウム板20a,20bが、同一速度で、ライン12上を連続して走行せしめられるようになっている。また、それら取出ローラ23,23と走行ローラ24,24は、各アルミニウム板20a,20bが第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間を同時に走行せしめられている最中に、コントローラ25にて、所望のタイミングで同時に且つ同じ時間だけ、一時停止せしめられ得るようにもなっている。
かくして、ここでは、巻出機18に支持された被圧延コイル22から取り出されるアルミニウム板20aの始端部位27と、それよりも先にライン12上を走行せしめられるアルミニウム板20bの終端部位26とが、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間において、各アルミニウム板20a,20bの長さ方向に所定距離を隔てて離間位置せしめられるようになっている。そして、それらアルミニウム板20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26との間の離間距離が一定に保持せしめられつつ、各アルミニウム板20a,20bがライン12上を走行せしめられるようになっている。また、そのような状態での各アルミニウム板20a,20bのライン12上での走行が、任意のタイミングで、或いは所定の時間の経過毎に、一時的に停止せしめられ得るように構成されているのである。
而して、ここでは、特に、アルミニウム板20aの始端部位とアルミニウム板20bの終端部位26とが離間位置せしめられる第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間に、前記板継ぎ装置10が配設されており、この板継ぎ装置10にて、アルミニウム板20bの終端部位26とアルミニウム板20aの始端部位27とが、かかる板継ぎ装置10にセットされる、後述する継ぎ板28を介して連結されて、板継ぎされるようになっているのである。
より詳細には、板継ぎ装置10は、図1乃至図3に示されるように、四つの脚部29と、それら四つの脚部29にて支持された天板30とからなる、位置固定の裏当て台31と、この裏当て台31の下方に位置せしめられた基台32と、かかる基台32の上面に固設された三つの圧接用コイル34,34,34と、それら各圧接用コイル34にそれぞれ対応するコンデンサ:C及び放電スイッチ:Gとを備えた、高密度の磁束を発生させるための放電回路と、かかる放電回路上のコンデンサ:Cに電荷を供給する、電荷供給手段としての電源装置36を備えた充電回路とを含んで構成されている。
そして、このような板継ぎ装置10を構成する裏当て台31にあっては、その天板30の下面が、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間の距離よりも僅かに短い長さと、それら各ローラコンベヤ14,16上を走行せしめられるアルミニウム板20a,20の幅よりも所定寸法大きな幅とを有する平坦な裏当て面38とされている。また、この裏当て面30の高さ位置が、第一及び第二ローラコンベヤ14,16上を搬送される各アルミニウム板20a,20bの上面の高さ位置と略同じか若しくはそれよりも若干高くされている。これにより、前述せる如くして、アルミニウム板20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26とが、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間に位置せしめられたときに、それら各アルミニウム板20a,20bの始端部位27と終端部位26のそれぞれの上面が、その略全面において、裏当て台31の裏当て面38に接触乃至は極僅かな間隙を開けて対向位置せしめられるようになっている。
一方、基台32は、その上面が、各アルミニウム板20よりも所定寸法大きな幅と、裏当て台31の裏当て面38よりも多少短い長さを有して、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間に広がる平坦な支持面40とされており、この支持面40において、裏当て台31の裏当て面38に対して、その下方に所定距離を隔てて対向せしめられた状態で、位置固定に配設されている。
また、かかる基台32の支持面40の長さ方向における第二ローラコンベヤ16側の端部には、一段低くされた段差面42が、全幅に亘って延びるように設けられており、この段差面42上に、三つの圧接用コイル34,34,34が、基台32の幅方向に一列に並んで、固設されている。
そして、ここでは、そのような基台32に対して、継ぎ板28がセットされるようになっている。即ち、継ぎ板28は、図1、図2及び図4から明らかな如く、アルミニウム板20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26とが第一及び第二ローラコンベヤ14,16の間に位置せしめられたときのそれら各アルミニウム板20a,20bの離間距離よりも所定寸法長い長さと、各アルミニウム板20の幅と略同じ幅とを有するアルミニウム合金製の矩形平板からなっている。また、この継ぎ板28にあっては、特に、全長に亘って一定の板厚を有し、その大きさが、各アルミニウム板20よりも十分に薄い3mm以下とされている。そして、このような継ぎ板28が、基台32の支持面40上に載置されることにより、長さ方向の一端部を、支持面40の段差面42に対して対向せしめつつ、上方への移動が許容される状態で、基台32に支持されて、セットされるようになっている。
これによって、第一ローラコンベヤ14上を走行せしめられるアルミニウム板20aの始端部位27と、第二ローラコンベヤ16上を走行せしめられるアルミニウム板20bの終端部位26とが、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間に位置せしめられたときに、基台32にセットされた薄肉の継ぎ板28が、その長さ方向の両側端部において、それら各アルミニウム板20a,20bの始端部位27と終端部位26とに対して、その下方側に、小さなギャップ(隙間)44を介してそれぞれ重ね合わされ、以て、継ぎ板28とアルミニウム板20aの始端部位27との重合せ部分たる第一の重合せ部分46と、継ぎ板28とアルミニウム板20bの終端部位26との重合せ部分たる第二の重ね合せ部分48とが、各々形成されるようになっている。
また、それら第一の重合せ部分46と第二の重合せ部分48とが形成された時点においては、先ず、第二の重合せ部分48における各アルミニウム板20a,20bの走行方向前方側の端部が、基台32の段差面42上に設けられた三つの圧接用コイル34,34,34に対して対応位置せしめられるようになっている。
そして、後述する電磁圧接にて、各圧接用コイル34に対応位置せしめられた第二の重合せ部分48が相互に連結された後、各アルミニウム板20a,20bが第一及び第二ローラコンベヤ14,16上を板長方向に走行せしめられると、第一の重合せ部分46と第二の重合せ部分48のそれぞれの長さが不変の状態で、継ぎ板28も、各アルミニウム板20a,20bと共に、基台32の支持面40上を長さ方向に移動せしめられるようになっている。
しかも、前述せるように、各アルミニウム板20a,20bの第一及び第二ローラコンベヤ14,16上での走行は、コントローラ25により、任意の走行位置で停止せしめられるようになっている。
かくして、本実施形態においては、下記に詳述する如く、電磁圧接操作の実施時における各アルミニウム板20a,20bのコントローラ25による走行制御に基づいて、第二の重合せ部分48と第一の重合せ部分46とが、ぞれぞれのものにおける各アルミニウム板20a,20bの走行方向前方側の端部(以下、前端部という)とその走行方向後方側の端部(以下、後端部という)とにおいて、基台32に設けられた各圧接用コイル34に対して、対応位置せしめられるように構成されている(図4乃至図6参照)。また、それら第一及び第二の重合せ部分46,48が各圧接用コイル34と対応位置せしめられた、何れの状態においても、継ぎ板28が、各アルミニウム板20a,20bとの重合せ面とは反対側の面において、各圧接用コイル34に対して所定間隔を開けて、対向せしめられるようになっているのである。
ところで、基台32に設けられる各圧接用コイル34は、図2及び図3に示される如く、薄肉の矩形平板からなり、その長さ方向(図3中、上下方向)の中央部の二個所に、比較的に狭い幅と矩形平板の幅よりも少しだけ短い長さと有するスリット50が、矩形平板の幅方向(図3中、左右方向)に延びるようにそれぞれ形成されてなる、全体として、略E字形状を呈するワンターンコイル形態をもって構成されている。そして、この圧接用コイル34にあっては、二つのスリット50,50に挟まれた部分が、狭幅のコイル中間部52とされる一方、各スリット50を挟んで、コイル中間部52とは反対側に位置する部分が、それぞれコイル端部54,54とされている。
また、このような圧接用コイル34を三つ有する放電回路上において、それら各圧接用コイル34に対応して設けられる各放電スイッチ:Gには、前記各アルミニウム板20a,20bのライン12上での走行を制御するコントローラ25が、電気的に接続されており、更に、かかるコントローラ25は、電源装置36に対しても電気的に接続されている。そして、それら各放電スイッチ:Gの開閉と、電源装置36から各コンデンサ:Cへの電荷の供給とが、コントローラ25により制御されるようになっている。
すなわち、ここでは、コンデンサ:Cに所定量の電荷を充電させた状態下において、各放電スイッチ:Gを閉作動せしめる閉作動信号が、コントローラ25から各放電スイッチ:Gに出力されると、それら各放電スイッチ:Gが閉作動せしめられて、各圧接用コイル34にパルス大電流(瞬間大電流)が流される。そして、それにより、各圧接用コイル34において電流が集中する狭幅のコイル中間部52に沿って、高密度の磁束が急激に発生せしめられるようになっている。
また、コントローラ25から出力される前記閉作動信号は、各圧接用コイル34にそれぞれ対応した各放電スイッチ:Gの全てに対して同時に、或いはそれらのうちの何れか一つ又は二つのみに対して出力されるようになっており、以て、パルス大電流が、三つの圧接用コイル34,34,34のうちの少なくとも一つに対して選択的に流されるようになっている。また、コントローラ25からは、各放電スイッチ:Gに対する閉作動信号と共に、電源装置36に対して、各コンデンサ:Cへの充電を開始させる信号が出力されるようになっており、それによって、放電せしめられた各コンデンサ:Cが、再び自動的に充電せしめられるようになっている。そして、本実施形態では、このようなコントローラ25による各放電スイッチ:Gと電源装置36の作動制御が、後述する如く、各アルミニウム板20a,20bの走行状態に基づいて、行われるように構成されているのである。
而して、かくの如き構造とされた板継ぎ装置10が組み込まれた連続式冷間圧延ライン12上において、被圧延コイル22から取り出されるアルミニウム板20aと、それに先立って、連続式冷間圧延ライン12上を走行せしめられるアルミニウム板20bとを、板継ぎ装置10により、継ぎ板28を介して連結する際には、例えば、以下のようにして、その作業が進められる。
すなわち、先ず、図1及び図4に示されるように、全長に亘って3mm以下の一定の板厚を有する薄肉のアルミニウム合金製の継ぎ板28が、基台32の支持面40上に対して、前記せる如き状態でセットされる。そして、かかる継ぎ板28の基台32へのセット状態下で、コントローラ25による前記取出及び走行ローラ23,24の回転駆動制御により、第一ローラコンベヤ14上を走行せしめられるアルミニウム板20aの始端部位27と、第二ローラコンベヤ16上を走行せしめられるアルミニウム板20bの終端部位26とが、それら第一及び第二ローラコンベヤ14,16の間に、予め設定された距離をおいて互いに離間位置せしめられたときに、取出及び走行ローラ23,24の回転が停止せしめられて、各アルミニウム板20a,20bの走行が停止される。
かくして、継ぎ板28の第一ローラコンベヤ14側の端部とアルミニウム板20aの始端部位27とが、ギャップ44aを介して重ね合わされて、前記第一の重合せ部分46が形成されると共に、継ぎ板28の第二ローラコンベヤ16側の端部とアルミニウム板20bの終端部位26とが、ギャップ44bを介して重ね合わされて、第二の重合せ部分48が形成される。
また、このとき、第二の重合せ部分48におけるアルミニウム板20bの継ぎ板28との重合せ面側とは反対側の面が、裏当て台31の裏当て面38に接触乃至は対向位置せしめられる一方、第二の重合せ部分48における継ぎ板28のアルミニウム板20bとの重合せ面側とは反対側に、各圧接用コイル34が、適度な間隔を開けて対向(対応)位置せしめられる。なお、本工程では、特に、第二の重合せ部分48の前端部が、各圧接用コイル34のコイル中間部54に対して対応位置せしめられるようにされる。
そして、そのようにして、第二の重合せ部分48の前端部が、各圧接用コイル34のコイル中間部54に対応位置せしめられた時点で、コントローラ25から前記放電回路上の各放電スイッチ:Gに対して閉作動信号が出力される。これにより、各放電スイッチ:Gが閉作動せしめられて、各圧接用コイル34にパルス大電流(瞬間大電流)が流され、以て、各圧接用コイル34のコイル中間部52に沿って、高密度の磁束が急激に発生せしめられる。なお、ここでは、各圧接用コイル34にパルス大電流が流される前に、必要に応じて、継ぎ板28と各圧接用コイル34との間に、公知の絶縁シート(図示せず)が介装されることとなる。
また、そのような高密度の磁束が、第二の重合せ部分48の前端部において各圧接用コイル34に対向する継ぎ板28に交差すると、継ぎ板28の内部に、磁束の浸透を妨げる方向に渦電流が発生せしめられて、継ぎ板28に対して上向きに作用する電磁力が瞬間的に発生する。これにより、アルミニウム板20bの終端部位26にギャップ44bを介して重ね合わされて第二の重合せ部分48を形成する繋ぎ板28の第二ローラコンベヤ16側端部が、アルミニウム板20bの終端部位26に対して高速で衝突せしめられる。
その際、アルミニウム板20bの終端部位26は、継ぎ板28との重合せ面とは反対側面において接触乃至は対向位置せしめられた裏当て台31の裏当て面38によって、上方への変位が阻止される。また、ここでは、特に、前述せる如く、継ぎ板28が、全長に亘って、3mm未満の十分に薄い一定の厚さを有しているため、各圧接用コイル34へのパルス大電流の通電に伴って、継ぎ板28に対して、十分に大きな電磁力が作用せしめられ、それによって、かかる継ぎ板28が、アルミニウム板20bの終端部位26に対して、より大きな速度で衝突せしめられるようになる。
かくして、本工程にあっては、アルミニウム板20bの終端部位26に対する継ぎ板28の十分に大きな衝突効果によって、第二の重合せ部分48の前端部が、加熱溶融せしめられることなく、瞬間的に圧接されて、略全幅に亘って相互に且つ確実に連結せしめられることとなる。
なお、このような本電磁圧接工程において、更には本工程に引き続いて繰り返し実施される、後述する電磁圧接工程において、第一の重合せ部分46と第二の重合せ部分48とが、ぞれぞれ、確実に圧接されるように為す上で、それら第一及び第二の重合せ部分46,48におけるギャップ44a,44bのそれぞれの大きさ(継ぎ板28と各アルミニウム板20a,20bとの対向面間の距離)が、例えば0.5〜10mm程度とされることが、望ましい。
そして、前述せる如く、ここでは、第二の重合せ部分48の前端部が、各圧接用コイル34に対応位置せしめられた時点で、コントローラ25から放電回路上の各放電スイッチ:Gに対して閉作動信号が出力されるが、この閉作動信号の出力操作は、オペレータ等が、第二の重合せ部分48における前端部の位置を視認しながら、手動で行うようにしても良い。また、例えば、裏当て台31に対して、各アルミニウム板20a,20bの走行位置を検出する公知のセンサ等を設置し、このセンサによる検出信号に基づいて、コントローラ25から、前記閉作動信号を自動的に出力させるように為すことも、可能である。
さらに、本工程では、コントローラ25から放電回路上の各放電スイッチ:Gに対して閉作動信号が出力されると、電源装置36に対しても、コントローラ25から充電開始信号が出力され、それによって、各圧接用コイル34においてパルス大電流が流された後、放電回路上のコンデンサ:Cが、直ちに充電せしめられる。
更にまた、本工程においては、必要に応じて、パルス大電流が流される圧接用コイル34が任意に選択されて、三つの圧接用コイル34,34,34の全てか、若しくはそれらのうちの何れか一つ又は二つのみにおいてパルス大電流が流される。即ち、例えば、第二の重合せ部分48の幅(アルミニウム板20bの終端部位26の幅や継ぎ板28の幅)が狭い場合や、第二の重合せ部分48を幅方向の所望の位置で連結する必要がある場合等にあっては、三つの圧接用コイル34,34,34のうちの何れか一つ又は二つのみにおいてパルス大電流を流すようにしても良いのである。なお、三つの圧接用コイル34,34,34のうちの何れか一つ又は二つのみにおいてパルス大電流を流すようにすれば、コンデンサ:Cの容量を小さく出来るといったメリットが得られる。
次に、第二の重合せ部分48の前端部に対する上述の如き圧接操作したら、コントローラ25によるの回転駆動制御の下で、取出及び走行ローラ23,24の回転が再開されて、各アルミニウム板20a,20bが、第一及び第二ローラコンベヤ14,16上を、再び、同一速度で走行せしめられる。その際、前記圧接工程により、継ぎ板28が、第二ローラコンベヤ16側端部において、アルミニウム板20bの終端部位26に連結されているため、各アルミニウム板20a,20bの走行に伴って、継ぎ板28も、第一及び第二の重合せ部分46,48の長さを維持したままで、基台32の支持面40上を移動せしめられる。
そして、図5に示されるように、第二の重合せ部分48の後端部が、各圧接用コイル34に対して対応位置せしめられた時点で、各アルミニウム板20a,20bの走行が再度停止せしめられて、コントローラ25から前記放電回路上の各放電スイッチ:Gに対して閉作動信号が出力される。
これにより、先に圧接された第二の重合せ部分48の前端部と同様に、各圧接用コイル34のコイル中間部52での高密度の磁束の発生に伴って、各圧接用コイル34に対向位置せしめられた薄肉の継ぎ板28に生ずる十分に大きな電磁力にて、第二の重合せ部分48の後端部が、瞬間的に圧接されて、略全幅に亘って相互に且つ確実に連結せしめられる。なお、図5中、56aは、先の圧接工程で、第二の重合せ部分48の前端部に形成された連結部である。
このような本工程においても、オペレータ等の手動操作によって、コントローラ25から各放電スイッチ:Gに閉作動信号を出力させるようにしても良いが、例えば、コントローラ25に公知のタイマ等を内蔵させて、第二の重合せ部分48の前端部が各圧接用コイル34に対応位置せしめられたときにコントローラ25から閉鎖信号を出力されてから所定時間の経過後に、コントローラ25から各放電スイッチ:Gに対して閉作動信号を自動的に出力させるように為すことも、可能である。
また、ここでも、コントローラ25から、各放電スイッチ:Gに閉作動信号が出力されると共に、電源装置36に充電開始信号が出力されて、コンデンサ:Cの充電が開始される。更に、必要に応じて、パルス大電流が流される圧接用コイル34が適宜に選択される。これによって、アルミニウム板20bの終端部位26や継ぎ板28の幅が狭い場合、或いは第二の重合せ部分48を幅方向の所望の位置で連結する必要がある場合等において、第二の重合せ部分48の後端部を、効率的に連結することが出来る。なお、これらのコントローラ25による各放電スイッチ:Gや電源装置36の制御方式は、後述する第一の重合せ部分46の前端部と後端部のそれぞれの圧接工程にも、適宜採用される。
更に引き続いて、第二の重合せ部分48の後端部が圧接されたら、各アルミニウム板20a,20bが、継ぎ板28と共に、第一及び第二の重合せ部分46,48のそれぞれの長さを変更せしめることなく、ライン12上を再び走行せしめられる。そして、図6に示されるように、第一の重合せ部分46の前端部が、各圧接用コイル34に対応位置せしめられた時点で、各アルミニウム板20a,20bの走行が、一時停止せしめられる。
その後、第二の重合せ部分48の前端部や後端部の電磁圧接工程と同じ操作が実施されて、第一の重合せ部分46の前端部が、それら第二の重合せ部分48の前端部や後端部と同様に、加熱溶融せしめられることなく、瞬間的に圧接されて、略全幅に亘って相互に連結せしめられることとなる。そして、この本工程においても、薄肉の継ぎ板28に対して十分に大きな電磁力が作用せしめられ、それによって、第一の重合せ部分46の前端部における相互の連結が、より確実に実施される。なお、図6中、56bは、先の圧接工程で、第二の重合せ部分48の後端部に形成された連結部である。
次に、第一の重合せ部分46の前端部の圧接終了後、図示されてはいないものの、第一の重合せ部分46の後端部が、各圧接用コイル34に対応位置せしめられるまでの間、各アルミニウム板20a,20bのライン12上での走行が再開される。そして、第一の重合せ部分46の後端部が、各圧接用コイル34に対応位置せしめられた時点で、各アルミニウム板20a,20bの走行が、一時停止せしめられた後、第二の重合せ部分48の前端部や後端部、或いは第一の重合せ部分46の前端部に対する電磁圧接操作と同じ操作が実施される。このときも、薄肉の継ぎ板28に対して十分に大きな電磁力が作用せしめられる。これによって、第一の重合せ部分46の後端部が、加熱溶融せしめられることなく、瞬間的に圧接されて、略全幅に亘って相互に且つ確実に連結せしめられることとなる。
かくして、被圧延コイル22から取り出されるアルミニウム板20aの始端部位27と継ぎ板28の第二ローラコンベヤ16側の端部とが重ね合わされた第二の重合せ部分48と、アルミニウム板20aよりも先にライン12上を走行せしめられるアルミニウム板20bの終端部位26と継ぎ板28の第一ローラコンベヤ14側の端部とが重ね合わされた第一の重合せ部分46とにおけるそれぞれの前端部と後端部とが、各アルミニウム板20a,20bの長手方向へのライン12上での走行により、各圧接用コイル34に対して、非接触下で対応位置せしめられる毎に、上述の如き電磁圧接操作が繰り返し行われることで、それら第一の重合せ部分46と第二の重合せ部分48とが、その幅方向の三個所と、長手方向に所定距離を隔てて位置する二個所とにおいて、それぞれ、相互に連結され、以て、アルミニウム20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26とが、継ぎ板28を介して、相互に板継ぎされることとなるのである。
このように、本実施形態においては、各アルミニウム板20a,20bの始端部位27と終端部位26の継ぎ板28との重合せ部分46,48が、それと非接触に対応位置せしめられる各圧接用コイル34による電磁圧接により、相互に連結されるところから、例えば、各アルミニウム板20a,20bの始端部位27と終端部位26とを、電極円盤を用いて、継ぎ板28を介して抵抗溶接する場合とは異なって、電極円盤の電極部が、連結されるべき各アルミニウム板20a,20bと継ぎ板28との第一及び第二の重合せ部分46,48に付着したり、潰れたりすることに起因して、各重合せ部分46,48に形成される連結部56での連結強度が低下せしめられるようなことが、有利に皆無ならしめられ得る。
そして、本実施形態では、特に、各アルミニウム板20a,20bの始端部位27と終端部位26のそれぞれに対して電磁圧接される継ぎ板28が、全長に亘って、3mm未満の十分に薄い一定の厚さを有していることで、第一及び第二の重合せ部分46,48の電磁圧接工程における各圧接用コイル34へのパルス大電流の通電に伴って、継ぎ板28に対して十分に大きな電磁力が作用せしめられ、それによって、各重合せ部分46,48が、強固に且つ確実に連結されるようになっているため、それら各重合せ部分46,48に形成される各連結部56の連結強度が、更に一層有利に高められ得る。また、この連結強度の向上は、連結部56が、各重合せ部分46,48に対して、長手方向の二個所にそれぞれ形成されていることによっても、有利に確保され得る。
従って、かくの如き本実施形態によれば、被圧延コイル22から取り出されるアルミニウム板20aの始端部位27と、それに先だってライン12上を走行せしめられるアルミニウム板20bの終端部位26とが、継ぎ板28を介して、より十分な連結強度をもって安定的に連結され得るのである。そして、その結果として、被圧延コイル22から取り出されるアルミニウム板20aの連続式冷間圧延圧延ライン12へのの連続的な導入と、かかるアルミニウム板20aに対する冷間圧延加工とが、よりスムーズに且つ安定的に実施され得ることとなる。
また、このような本実施形態においては、第一の重合せ部分46と第二の重合せ部分48とが、それぞれの前端部と後端部とにおいて、相互に連結されるようになっているところから、単に、それら各重合せ部分46,48の一個所のみを連結する場合に比して、各連結部56から継ぎ板28の長さ方向先端縁までの非連結部位の長さや、各連結部56から各アルミニウム板20a,20bの始端部位27や終端部位26のそれぞれの先端縁までの非連結部位の長さが、可及的に小さくされ得る。
それ故、例えば、第二ローラコンベヤ16上に配設される走行ローラ24,24や、各アルミニウム板20a,20bの走行方向を変更させるために、第二ローラコンベヤ16に配設されるローラ等に対して、互いに連結された各アルミニウム板20a,20bと継ぎ板28の各重合せ部分46,48が、湾曲せしめられつつ、巻き掛けられて、それらのローラの設置部分を通過するときに、各重合せ部分46,48における各連結部56から継ぎ板28の長さ方向先端縁までの非連結部位や、各連結部56から各アルミニウム板20a,20bの始端部位27や終端部位26のそれぞれの先端縁までの非連結部位が、十分に湾曲されずに浮き上がって(跳ね上がって)しまうようなことや、ローラの設置個所を通過する前や後で、それら各非連結部分が自重により垂れ下がったりするようなことが、有利に解消乃至は抑制され得る。
そして、そのような各重合せ部分46,48の上記非連結部位の浮上により、各重合せ部分46,48のアルミニウム板20a,20bの連結部56が剥がれるようなことが有利に防止され得ると共に、かかる各重合せ部分46,48の浮上部分や前記垂下り部分が、前記ローラの周辺部品等に接触したり、引っ掛かったりして、各アルミニウム板20a,20bの始端部位27や終端部位26が損傷したり、また各重合せ部分46,48の連結部56が剥がれたりするようなことが、効果的に防止され得る。
従って、このような本実施形態によれば、継ぎ板28を介して互いに連結されたアルミニウム板20a,20bとが、ライン12上を、何等の不具合もなく、極めてスムーズに走行せしめられ得ることとなるのである。
また、本実施形態では、第一及び第二の重合せ部分46,48が、その前端部と後端部のそれぞれにおいて、幅方向の三個所に形成された連結部56により、略全幅に亘って連結されているため、より優れた連結強度が得られる。
さらに、本実施形態においては、継ぎ板28が、単に、基台32の支持面40上に載置されるだけで、アルミニウム板20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26のそれぞれの下面に対してギャップ44a,44bを介して重ね合わされるように位置せしめられるようになっているため、継ぎ板28の配置作業が、極めて容易となっている。
更にまた、本実施形態では、基台32の支持面40における長さ方向の一個所のみに設けられた圧接用コイル34にて、第一及び第二の重合せ部分46,48の長さ方向の二個所が、それぞれ相互に連結されるようになっているため、例えば、各重合せ部分46,48の相互に連結されるべき個所のそれぞれに対して、圧接用コイル34を対応位置せしめるように配設する場合に比して、圧接用コイル34とそれを用いた電磁圧接操作に必要な放電回路及び充電回路の配設個数が有利に減らされ得る。これによって、各アルミニウム板20a,20bの始端部位27及び終端部位26に対する継ぎ板28の連結作業に要される設備費が効果的に抑制され得、以て、それらアルミニウム板20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26とが、継ぎ板28を介して、可及的に低コストに連結され得ることとなる。
ところで、前記せる実施形態では、圧接用コイル34が、各アルミニウム板20a,20bの幅方向に三つ並んで配設されていたが、各アルミニウム板20a,20bの幅方向における圧接用コイル34の配設数は、何等これに限定されるものではなく、例えば、圧接用コイル34の大きさや、各アルミニウム板20a,20bの幅に応じて、適宜に決定されるところである。
また、前記実施形態においては、アルミニウム板20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26とが、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間に位置せしめられて、継ぎ板28との間で第一及び第二の重合せ部分46,48が形成された状態下で、圧接用コイル34が、第二の重合せ部分48のみに対応位置せしめられるようになっていたが、圧接用コイル34を、第一の重合せ部分46と第二の重合せ部分48の両方に対して、同時に対応位置せしめるように構成することも可能である。
なお、このような構造は、例えば、図7に示されるように、基台32の支持面40における長さ方向の両側端部に段差面42をそれぞれ設け、それら各段差面42に対して、圧接用コイル34をそれぞれ固設することによって、容易に実現され得る。
かくの如き構造によれば、第一の重合せ部分46と第二の重合せ部分48とが、同時に且つ一挙に電磁圧接されるため、かかる電磁圧接に要する時間が有利に短縮化され得る。その結果として、アルミニウム板20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26との継ぎ板28を介しての連結作業の効率化が、効果的に図られ得ることとなる。
また、圧接用コイル34を、各重合せ部分46,48に対して、各アルミニウム板20a,20bの長さ方向に間隔を開けた状態で、二つ以上、対応位置せしめることも、勿論可能である。なお、その際には、例えば、コントローラ25の通電制御により、長さ方向に所定間隔をおいて位置せしめられた複数の圧接用コイル34の任意のもののみにおいて、パルス大電流が流されるように構成しても良い。
さらに、前記実施形態では、継ぎ板28が、各アルミニウム板20a,20bの始端部位27及び終端部位26に対して、その下方から、所定のギャップ44a,44bを隔てて重ね合わされていたが、例えば、それらの上側から、所定の隙間を隔てて重ね合わせることも可能であり、また、継ぎ板28の長さ方向の一端部を、アルミニウム板20aの始端部位27の上側から重ね合わせる一方、継ぎ板28の他端部を、アルミニウム板20bの終端部位26の下側から重ね合わせたり、或いはそれとは逆の状態で、継ぎ板28を各アルミニウム板20a,20bに重ね合わせたりしても良い。
更にまた、継ぎ板28を二枚用いて、それらのうちの一方の継ぎ板28を、各アルミニウム板20aの始端部位27及び終端部位26に対して、その上側から所定のギャップ44を介して重ね合わせる一方、他方の継ぎ板28を、各アルミニウム板20aの始端部位27及び終端部位26に対して、その下側から所定のギャップ44を介して重ね合わせることも、可能である。
なお、その際には、例えば、図8に示されるように、裏当て台31に代えて、継ぎ板28を、各アルミニウム板20a,20bの始端部位27と終端部位26の上側において支持する支持台58が、配置される。この支持台58は、基台32の支持面40に対して、その上方に所定距離を隔てて対向設置された天板60と、かかる天板60から下方に延びる四つ(ここでは二つのみを示す)脚部61をを有して、構成されている。また、かかる支持台58の天板60の下面(基台32の支持面40との対向面)には、各アルミニウム板20a,20bの走行方向の前方と後方とに開口する縦断面コ字状の支持部62が設けられ、この支持部62に対して、継ぎ板28が、その長さ方向において挿通され、且つ長さ方向の両端部を、支持部62の両開口部から、各アルミニウム板20a,20bの走行方向の前方と後方の両方向にそれぞれ突出させた状態で、支持されるようになっている。更に、この支持台58にあっては、天板60の下面において、基台32の支持面40における圧接用コイル34の形成部位に対向する部位に、圧接用コイル34が、固設されている。
かくして、ここでは、アルミニウム板20aの始端部位27とアルミニウム板20bの終端部位26とが、第一ローラコンベヤ14と第二ローラコンベヤ16との間に位置せしめられたときに、各アルミニウム板20a,20の始端部位27と終端部位26とが、二枚の継ぎ板28,28にて、ギャップ44をそれぞれ介して、上下から重ね合わされて、第一及び第二の重合せ部分が形成されるようになっている。そして、それら各重合せ部分が、基台32と支持台58とにそれぞれ設けられた圧接用コイル34により電磁圧接され、以て、各アルミニウム板20a,20の始端部位27と終端部位26とが、二枚の継ぎ板28,28を介して、相互に連結されるようになっているのである。このような構造によれば、二枚の継ぎ板28,28を介して連結される各アルミニウム20a,20bの始端部位27と終端部位26との連結強度が、より一層有利に高められ得ることとなる。
また、継ぎ板28の支持構造も、前記実施形態や図8に示される例に、特に限定されるものでないことは、勿論である。例えば、継ぎ板28を、各アルミニウム板20a,20bに対して、その上側から、所定のギャップを介して重ね合わせる場合には、各アルミニウム板20a,20と継ぎ板28との間に、適当なスペーサ部材を介在させたり、或いはそれら各アルミニウム板20a,20bと継ぎ板28との間にエア等を吹き込み、その風圧で継ぎ板を浮き上がらせたりすることも、可能である。
さらに、圧接用コイル34も、第一重合せ部分46における継ぎ板28のアルミニウム板20aに対する重合せ面側とは反対側や、第二重合せ部分48における継ぎ板28のアルミニウム板20bに対する重合せ面側とは反対側に、それぞれ、継ぎ板28に対して、その板厚方向にギャップ44a,44bを隔てて対応位置せしめられるようになっておれば、その配置位置や配置構造が、例示のものに、特に限定されるものではないことは、言うまでもないところである。
更にまた、前記実施形態では、継ぎ板28として、3mm以下の薄い板厚を有するアルミニウム合金板が用いられていたが、それに代えて、20%IACS以上の導電率を有するアルミニウム合金板を用いることも、可能である。これによっても、前記実施形態において奏される効果の全てが、有利に達成され得る。
なお、継ぎ板28は、3mm以下の薄い板厚を有するか、又は20%IACS以上の導電率を有する金属材料であれば、その材質が、特に限定されるものではない。
また、本実施形態では、継ぎ板28を介して、アルミニウム合金からなるアルミニウム板20a,20b同士が連結されるようになっていたが、その他、純アルミニウム板同士や、純アルミニウム板とアルミニウム合金板、純アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板と鋼板、純アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板とステンレス鋼板、更にはそれら以外の金属板同士を、継ぎ板28を介して連結することも可能である。
そして、その中でも、特に、継ぎ板28を介して、純アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板と鋼板とを連結する際には、例えば、それら純アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板と鋼板とを抵抗溶接する場合とは異なって、純アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板と鋼板の接合部(連結部)が溶融されるものでないため、アルミニウムと鉄との間で、脆い金属間化合物が生成せしめられるようなことがなく、それ故に、純アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板と鋼板とが、より優れた連結強度をもって、確実に連結され得ることとなる。
さらに、連結に供される金属板としては、冷間及び熱間圧延材の他、鋳造材、溶湯圧延材、押出材等が、適宜に用いられる。
加えて、本実施形態では、連続式冷間圧延ライン上を走行せしめられる金属板(アルミニウム板)の板継ぎに際して、本発明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、洗浄処理ラインや塗装処理ライン、熱処理ライン、表面処理ライン等、連続式冷間圧延ライン以外の量産ラインにおいて、或いはそのような量産ライン以外において、巻回形成されたコイルから取り出される金属板の始端部位を、それに先立って連続的に板長方向に走行せしめられる金属板の終端部位に連結することからなる板継ぎに際しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
その他、本発明は、各種の形態において実施され得るものであって、当業者の知識に基づいて採用される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
<実施例>
先ず、図1乃至図3に示される如き構造を有する板継ぎ装置を用い、これを、アルミニウム板に対する冷間圧延加工を連続的に実施する、公知の冷間圧延加工ラインの途中に設置した。なお、ここで用いられる板継ぎ装置の放電回路上に設けられたコンデンサ:Cの容量は200μFで、その充電エネルギーは4kJとした。
また、下記表1に示される材質及び質別と板厚と板幅と導電率と所定の長さとを有する5種類のアルミニウム合金板:A〜E及び1種類のステンレス鋼板:Fを準備した。そして、それら6種類の金属板:A〜Fの中から3種類のもの:A、C、Fを第一の金属板として選択し、それらをそれぞれ巻回して、互いに種類の異なる第一の金属板からなる3種類のコイル:A、C、Fを得た。一方、残りの3種類の金属板:B、D、Eのうち、金属板:Bを、金属板:Aからなる第一の金属板と板継ぎされるべき第二の金属板として、また、金属板:Dを、金属板:Cからなる第一の金属板と板継ぎされるべき第二の金属板として、更に、金属板:Eを、金属板:Fからなる第一の金属板と板継ぎされる第二の金属板として、それぞれ選択した。そして、それら3種類の金属板:B、D、Eをそれぞれ巻回して、互いに種類の異なる第二の金属板からなる3種類のコイル:B、D、Eを得た。
さらに、それとは別に、下記表1に示される材質及び質別と板厚と板幅と長さと導電率とを有するアルミニウム合金板:G、Hとを準備した。なお、アルミニウム合金板:Gは長さが1.5mのものと、長さが3mのものの2種類を用意した。そして、それら3種類のアルミニウム合金板:G、Hのうち、アルミニウム合金板:Gの長さ1.5mのものを、アルミニウム合金板:Aからなる第一の金属板とアルミニウム合金板:Bからなる第二の金属板との継ぎ板:Gとして、また、アルミニウム合金板:Gの長さ3.0mのものを、アルミニウム合金板:Cからなる第一の金属板とアルミニウム合金板:Dからなる第二の金属板との継ぎ板:Gとして、それぞれ用いる一方、アルミニウム合金板:Hを、ステンレス鋼板:Fからなる第一の金属板とアルミニウム合金板:Eからなる第二の金属板との継ぎ板:Hとして、用いた。なお、アルミニウム合金板:Hは、長さが2mのものを使用した。
Figure 0004313276
そして、先ず、コイル:Bからアルミニウム合金板:Bを全て取り出して、ライン上を、板長方向に連続的に走行せしめ、また、それに引き続いて、コイル:Aからアルミニウム合金板:Aを取り出して、その一部をライン上に走行させた。その後、ラインの途中で、ライン上を先に走行せしめられるアルミニウム合金板:Bの終端部位と、アルミニウム合金板:Aの始端部位とが、それらの板長方向において、予め定められた距離を隔てて相互に離間位置せしめられた時点で、アルミニウム合金板:Aとアルミニウム合金板:Bのライン上での走行を一時停止させた。
一方、それら各アルミニウム合金板:A、Bの走行停止状態下で、1.5mの長さの継ぎ板Gを、その板長方向の両端部において、アルミニウム合金板:Bの終端部位と、アルミニウム合金板:Aの始端部位とに対して、それぞれ、5mmのギャップを介して、重ね合わせた。このとき、継ぎ板Gの板長方向一端部とアルミニウム合金板:Bの終端部位との重合せ部分に対して、各圧接用コイルが対応位置せしめられるようにした。また、継ぎ板:Gの両端部と、アルミニウム合金板:Bの終端部位及びアルミニウム合金板:Aの始端部位との相互の重ね代を、それぞれ300mmとした。そして、かかる状態下において、各圧接用コイルにパルス大電流を流して、継ぎ板Gの板長方向一端部とアルミニウム合金板:Bの終端部位との重合せ部分に対する電磁圧接操作を行った。
引き続き、かかる電磁圧接操作が終了したら、アルミニウム合金板:Aとアルミニウム合金板:Bのライン上での走行を再開させた。そして、継ぎ板Gの板長方向他端部とアルミニウム合金板:Aの始端部位との重合せ部分が、各圧接用コイルが対応せしめられる位置に達したら、再び、各アルミニウム合金板:A、Bのライン上での走行を停止させた後、各圧接用コイルにパルス大電流を流して、継ぎ板Gの板長方向他端部とアルミニウム合金板:Aの始端部位との重合せ部分に対する電磁圧接操作を行った。
その結果、アルミニウム合金板:Bの終端部位とアルミニウム合金板:Aの始端部位とを、継ぎ板:Gを介して、何等の連結(接合)不良もなしに、十分な連結強度をもって確実に連結することが出来た。
次に、コイル:Dからアルミニウム合金板:Dを全て取り出して、ライン上を、板長方向に連続的に走行せしめ、また、それに引き続いて、コイル:Cからアルミニウム合金板:Cを取り出して、その一部をライン上に走行させた。そして、前記せるアルミニウム合金板:Bの終端部位とアルミニウム合金板:Aの始端部位とに対して、継ぎ板:Gの両端部を電磁圧接する操作と同様な操作を行って、アルミニウム合金板:Dの終端部位とアルミニウム合金板:Cの始端部位とに対して、長さが3.0mの継ぎ板:Gの両端部を電磁圧接せしめた。なお、本操作では、継ぎ板:Gの両端部と、アルミニウム合金板:Dの終端部位及びアルミニウム合金板:Cの始端部位との相互の重ね代を、それぞれ400mmとし、また、それらのギャップを1mmとした。
その結果、アルミニウム合金板:Dの終端部位とアルミニウム合金板:Cの始端部位とを、継ぎ板:Gを介して、何等の連結不良もなしに、十分な連結強度をもって確実に連結することが出来た。
引き続き、コイル:Eからアルミニウム合金板:Eを全て取り出して、ライン上を、板長方向に連続的に走行せしめ、また、それに引き続いて、コイル:Fからステンレス鋼板:Fを取り出して、その一部をライン上に走行させた。そして、前記せるアルミニウム合金板:Bの終端部位とアルミニウム合金板:Aの始端部位とに対して、継ぎ板:Gの両端部を電磁圧接する操作と同様な操作を行って、アルミニウム合金板:Eの終端部位とステンレス鋼板:Fの始端部位とに対して、継ぎ板:Hの両端部を電磁圧接せしめた。
なお、本操作では、アルミニウム合金板:Eの終端部位と継ぎ板:Hとの重合せ部分を、その長さ方向に所定距離を隔てた二個所において電磁圧接すると共に、ステンレス鋼板:Fの始端部位と継ぎ板:Hとの重合せ部分も、その長さ方向に所定距離を隔てた二個所において電磁圧接した。また、継ぎ板:Hの両端部と、アルミニウム合金板:Eの終端部位及びステンレス鋼板:Fの始端部位との相互の重ね代を、それぞれ300mmとした。また、それらのギャップを0とした。つまり、継ぎ板:Hの両端部と、アルミニウム合金板:Eの終端部位及びステンレス鋼板:Fの始端部位とを互いに接触させた状態で、重ね合わせた。
その結果、アルミニウム合金板:Eの終端部位とステンレス鋼板:Fの始端部位とを、継ぎ板:Hを介して、何等の連結不良もなしに、十分な連結強度をもって確実に連結することが出来た。
<比較例>
また、比較のために、下記表2に示される材質及び質別と板厚と板幅と導電率と所定の長さとを有する4種類のアルミニウム合金板:I〜Lを準備した。そして、それら4種類のアルミニウム合金板:I〜Lの中から2種類のもの:I、Kを第一の金属板として選択し、それらをそれぞれ巻回して、互いに種類の異なる第一の金属板からなる2種類のコイル:I、Kを得た。一方、残りの2種類の金属板:J、Lのうち、金属板:Jを、金属板:Iからなる第一の金属板と板継ぎされるべき第二の金属板として、また、金属板:Lを、金属板:Kからなる第一の金属板と板継ぎされるべき第二の金属板として、それぞれ選択した。そして、それら2種類の金属板:J、Lをそれぞれ巻回して、互いに種類の異なる第二の金属板からなる2種類のコイル:J、Lを得た。
さらに、それとは別に、下記表2に示される材質及び質別と板厚と板幅と長さと導電率とを有する1種類のアルミニウム合金板:Mと1種類の鋼板:Nとを準備した。そして、それら2種類の金属板:M、Nのうち、アルミニウム合金板:Mを、アルミニウム合金板:Iからなる第一の金属板とアルミニウム合金板:Jからなる第二の金属板との継ぎ板:Mとして用いる一方、鋼板:Nを、アルミニウム合金板:Kからなる第一の金属板とアルミニウム合金板:Lからなる第二の金属板との継ぎ板:Nとして、用いた。なお、継ぎ板:Mの長さは2mで、継ぎ板:Nの長さは3mとした。
Figure 0004313276
そして、前記実施例1で用いられた、板継ぎ装置が組み込まれてなる冷間圧延加工ラインを利用して、コイル:Jからアルミニウム合金板:Jを全て取り出して、ライン上を、板長方向に連続的に走行せしめ、また、それに引き続いて、コイル:Iからアルミニウム合金板:Iを取り出して、その一部をライン上に走行させた。そして、前記せるアルミニウム合金板:Bの終端部位とアルミニウム合金板:Aの始端部位とに対して、継ぎ板:Gの両端部を電磁圧接する操作と同様な操作を行って、アルミニウム合金板:Iの終端部位とアルミニウム合金板:Jの始端部位とに対して、継ぎ板:Mの両端部を電磁圧接せしめた。なお、本操作では、継ぎ板:Mの両端部と、アルミニウム合金板:Jの終端部位及びアルミニウム合金板:Iの始端部位との相互の重ね代を、それぞれ500mmとした。また、それらのギャップを5mmとした。
その結果、アルミニウム合金板:Jの終端部位と継ぎ板:Mとの連結部分に、小さな張力を加えただけで容易に剥離するといった連結不良が認められ、また、アルミニウム合金板:Iの始端部位と継ぎ板:Mとの連結部分にも、それと同様な連結不良が認められた。
次に、コイル:Lからアルミニウム合金板:Lを全て取り出して、ライン上を、板長方向に連続的に走行せしめ、また、それに引き続いて、コイル:Kからアルミニウム合金板:Kを取り出して、その一部をライン上に走行させた。そして、前記せるアルミニウム合金板:Bの終端部位とアルミニウム合金板:Aの始端部位とに対して、継ぎ板:Gの両端部を電磁圧接する操作と同様な操作を行って、アルミニウム合金板:Lの終端部位とアルミニウム合金板:Kの始端部位とに対して、継ぎ板:Nの両端部を電磁圧接せしめた。なお、本操作では、継ぎ板:Nの両端部と、アルミニウム合金板:Lの終端部位及びアルミニウム合金板:Kの始端部位との相互の重ね代を、それぞれ400mmとし、また、それらのギャップを2mmとした。
その結果、アルミニウム合金板:Lの終端部位と継ぎ板:Nとの連結部分に、小さな張力を加えただけで容易に剥離するといったといった連結不良が認められ、また、アルミニウム合金板:Kの始端部位と継ぎ板:Nとの連結部分にも、それと同様な連結不良が認められた。
このように、前記せる実施例の結果と比較例の結果とから、板厚の厚い金属板を相互に連結して、板継ぎする際に、本発明手法に従って、板厚が3mm以下か又は導電率が20%IACS以上の継ぎ板を、各金属板の始端部位と終端部位とに対して電磁圧接することにより、それら各金属板と継ぎ板との間に、連結不良のない健全な連結部が形成され、以て、板厚の厚い金属板同士が、継ぎ板を介して、十分な連結強度をもって有利に連結され得ることが、明確に認識され得るのである。
本発明に従う板継ぎ装置の一例を、連続式冷間圧延ラインに組み込んだ状態において示す説明図である。 図1のII−II断面における要部拡大説明図である。 図2におけるIII−III断面説明図である。 図1に示された板継ぎ装置を用いて、アルミニウム合金板同士を、継ぎ板を介して相互に連結する工程の一例を示す、図1におけるIV−IV断面に相当する説明図であって、ライン上を先に走行せしめられるアルミニウム合金板の終端部位と継ぎ板との重合せ部分におけるライン上での走行方向の前端部を連結している状態を示している。 図4に示されたアルミニウム合金板同士の連結工程に引き続いて実施される工程を示す説明図であって、ライン上を先に走行せしめられるアルミニウム合金板の終端部位と継ぎ板との重合せ部分におけるライン上での走行方向の後端部を連結している状態を示している。 図5に示されたアルミニウム合金板同士の連結工程に引き続いて更に実施される工程を示す説明図であって、新たにラインに導入されるアルミニウム合金板の始端部位と継ぎ板との重合せ部分におけるライン上での走行方向の前端部を連結している状態を示している。 本発明に従う板継ぎ装置の別の例を示す正面説明図である。 本発明に従う板継ぎ装置の更に別の例を示す正面説明図である。
符号の説明
10 板継ぎ装置 12 連続式冷間圧延ライン
14 第一ローラコンベヤ 16 第二ローラコンベヤ
20 アルミニウム板 22 被圧延コイル
26 終端部位 27 始端部位
28 継ぎ板 34 圧接用コイル
44 ギャップ 46 第一の重合せ部分
48 第二の重合せ部分

Claims (13)

  1. 巻回形成されたコイルから取り出される第一の金属板の始端部位を、該第一の金属板に先立って連続的に板長方向に走行せしめられる第二の金属板の終端部位に連結することからなる板継ぎ方法であって、
    前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位とを、それら各金属板の板長方向に所定距離を隔てて離間位置せしめる工程と、
    板厚が3mm以下か又は導電率が20%IACS以上であり、且つ前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位との離間距離よりも所定寸法長い長さを有する金属平板からなる継ぎ板を、その長さ方向の一端部において、該第一の金属板の始端部位に対して所定の隙間を介して重ね合わせて、第一の重合せ部分を形成する一方、長さ方向の他端部において、該第二の金属板の終端部位に対して所定の隙間を介して重ね合わせて、第二の重合せ部分を形成する工程と、
    前記第一の重合せ部分における前記継ぎ板の前記第一の金属板に対する重合せ面側とは反対側に、圧接用コイルを、該第一の重合せ部分に対して該継ぎ板の板厚方向に間隔を開けて対応位置せしめた後、該圧接用コイルに瞬間大電流を流して、該第一の重合せ部分を相互に電磁圧接する工程と、
    前記第二の重合せ部分における前記継ぎ板の前記第二の金属板に対する重合せ面側とは反対側に、圧接用コイルを、該第二の重合せ部分に対して該継ぎ板の板厚方向に間隔を開けて対応位置せしめた後、該圧接用コイルに瞬間大電流を流すことにより、該第二の重合せ部分を相互に電磁圧接する工程と、
    を含み、前記第一の重合せ部分と前記第二の重合せ部分とに対する電磁圧接操作により、前記継ぎ板を前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位とに対してそれぞれ連結することによって、該第一の金属板の始端部位と該第二の金属板の終端部位とを、該板継ぎ板を介して相互に連結するようにしたことを特徴とする金属板の板継ぎ方法。
  2. 前記第一の金属板と前記第二の金属板とが、何れも、3mmを越える板厚を有するか又は20%IACS未満の導電率を有している請求項1に記載の金属板の板継ぎ方法。
  3. 前記継ぎ板を、前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位のそれぞれにおける板厚方向の同一側の片方の面に、所定の隙間を介して重ね合わせて、前記圧接用コイルを、それら各金属板の片方の面側に、該継ぎ板を間に挟んで位置せしめるようにした請求項1又は請求項2に記載の金属板の板継ぎ方法。
  4. 前記継ぎ板を二枚用いて、それら二枚の継ぎ板のうちの一方を、前記第一の金属板の始端部位と前記第二の金属板の終端部位のそれぞれにおける板厚方向の同一側の一方の面に対して、所定の隙間を介して重ね合わせる一方、それらのうちの他方の継ぎ板を、該第一の金属板の始端部位と該第二の金属板の終端部位のそれぞれにおける板厚方向の他方の面に対して、所定の隙間を介して重ね合わせて、前記圧接用コイルを、それら各金属板の両方の面側に、該継ぎ板を間に挟んでそれぞれ位置せしめるようにした請求項1又は請求項2に記載の金属板の板継ぎ方法。
  5. 前記圧接用コイルを少なくとも二つ用いて、かかる少なくとも二つの圧接用コイルのうちの一つを、前記第一の重合せ部分における前記継ぎ板の前記第一の金属板に対する重合せ面側とは反対側に配置する一方、該少なくとも二つの圧接用コイルのうちの別の一つを、前記第二の重合せ部分における前記継ぎ板の前記第二の金属板に対する重合せ面側とは反対側に配置した状態下で、それら各圧接用コイルに瞬間大電流を同時に流すことにより、該第一の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作と、該第二の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作とを、同時に行うようにした請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。
  6. 前記圧接用コイルを前記第一の重合せ部分と前記第二の重合せ部分のうちの何れか一方の重合せ部分に対応位置せしめて、該一方の重合せ部分を相互に電磁圧接した後、かかる電磁圧接された一方の重合せ部分を、該第一の重合せ部分と該第二の重合せ部分のうちの何れか他方の重合せ部分側とは反対側に移動させる操作と、該圧接用コイルを、該他方の重合せ部分側に移動させる操作のうちの少なくとも何れか一方の操作を行うことにより、該圧接用コイルを該他方の重合せ部分に対応位置せしめて、該他方の重合せ部分を相互に電磁圧接するようにした請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。
  7. 前記第一の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作と、前記第二の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作とを、それら各重合せ部分における前記第一の金属板と前記第二の金属板のそれぞれの長さ方向に所定距離を隔てた複数個所に対して行うことにより、前記継ぎ板を、該第一の金属板の前記始端部位と該第二の金属板の前記終端部位とに対して、各金属板の長さ方向の複数個所においてそれぞれ連結するようにした請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。
  8. 前記第一の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作と、前記第二の重合せ部分を相互に電磁圧接する操作とを、それら各重合せ部分における前記第一の金属板と前記第二の金属板のそれぞれの幅方向に所定距離を隔てた複数個所に対して行うことにより、前記継ぎ板を、該第一の金属板の前記始端部位と該第二の金属板の前記終端部位とに対して、各金属板の幅方向の複数個所においてそれぞれ連結するようにした請求項1乃至請求項7のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。
  9. 前記継ぎ板が、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板である請求項1乃至請求項8のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。
  10. 前記第一の金属板の始端部位と前記継ぎ板の長さ方向一端部との間の前記隙間と、前記前記第二の金属板の終端部位と前記継ぎ板の長さ方向他端部との間の前記隙間のそれぞれの大きさが、0.5〜10mmである請求項1乃至請求項9のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。
  11. 前記第一の金属板と前記第二の金属板の両方が、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板である請求項1乃至請求項10のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。
  12. 前記第一の金属板と前記第二の金属板のうちの何れか一方が、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板であり、且つそれらのうちの何れか他方が、鋼板である請求項1乃至請求項10のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。
  13. 前記第一の金属板と前記第二の金属板のうちの何れか一方が、アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板であり、且つそれらのうちの何れか他方が、ステンレス鋼板である請求項1乃至請求項10のうちの何れか1項に記載の金属板の板継ぎ方法。

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