JP4313024B2 - カップ部を有する衣類 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラジャー等のカップ部下縁湾曲部にワイヤーが配設されたカップ部を有する衣類に関し、特に、バストの造形性に優れたカップ部を有する衣類に関する。
【0002】
【従来の技術】
乳房の寄せ効果に優れたブラジャーとして、左右一対のカップ部の下部にそれぞれ備えた左右バンドを左右カップ間においてクロスさせて反対側のカップ部の内側方部位に接合させ、かつ、クロス部分における左右バンドを相互にフリーとしたブラジャーが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平12−034605号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、左右バンドのクロス部分をフリーとするタイプのブラジャーは、製作が困難で、製品にばらつきが生じやすく、着用感がよくないといった問題点があった。また、上記特許文献1の図3及び5に示されるように、左右バンドをそれぞれ反対側のカップ部の内側方部位に接合させても、バストの造形性(乳房の寄せ効果)を十分に発現することができなかった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を解決し、製作が容易で、安定した製品を提供することができ、着用感に優れるとともに、バストの造形性に優れたカップ部を有する衣類を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、左右一対のカップ部と、該カップ部の下部に設けられる土台部と、左右一対の脇部とを備え、少なくとも該カップ部の下縁部にテープ材を有し、該カップ部の下縁湾曲部にワイヤーが配設されたカップ部を有する衣類であって、
該土台部が非伸縮性の素材からなり、
該テープ材が、該カップ部の連結部付近で交差して互いに固着され、かつ該土台部にも固着され、さらに、カップ部の連結部側で、該テープ材が配設されたカップ部の反対側のカップ部下縁湾曲部に位置するワイヤー上端部に連結されていることを特徴とするカップ部を有する衣類である。
【0007】
本発明のカップ部を有する衣類は、左右一対のテープ材を、カップ部の連結部付近で交差して互いに固着し、かつ非伸縮性の土台部にも固着し、さらに、カップ部の連結部側で、テープ材が配設されたカップ部と反対側のカップ部下縁湾曲部に位置するワイヤー上端部に連結することにより、着用した際に、左のテープ材が右カップ部のワイヤーのカップ部連結部における上端部を左斜め下へ、右テープ材が左カップのワイヤーのカップ部連結部における上端部を右斜め下へそれぞれ引き寄せる力が働き、左右のカップ部が中心付近へ引き寄せる力が働く。また、左右のカップ部の下縁湾曲部には剛性を有するワイヤーが設けられているため、左右のカップ部は、カップ部連結部におけるワイヤー上端部を支点として、回転するように中心部へ引き寄せる力が働く。このように、左右のカップ部が、着用時の身体中心付近へと回転することにより、カップ部が中心方向に引き寄せる力が働くとともに、特にカップ部の脇部側が上方向に持ち上げられ、バストをカップ部全体で中心方向に引き寄せる力が働き、上方向に持ち上げることができ、バストの造形性に優れたカップ部を有する衣類となる。また、テープ材を交差させることにより、左右のカップ部に対して、対向する方向から相互に力が働くため、左右のカップ部に対してより均一に安定して力が働く。
【0008】
また、本発明のカップ部を有する衣類において、土台部が非伸縮性であるため、土台部に固着されたテープ材は伸縮性を有さない。従って、本発明のカップ部を有する衣類は、上記のようにして得られるバストの造形効果が安定して得られ、日常の身体の動き等によって低減することなく、着崩れを防止することができる。
【0009】
さらに、本発明のカップ部を有する衣類は、左右一対のテープ材を、カップ部の連結部付近で交差して互いに固着され、かつ非伸縮性の土台部にも固着されており、製作が容易で、安定した製品を提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態の一例であるブラジャーを着用時に身体側となる方向から見た部分正面図である。図2は、本発明の作用を説明する部分拡大図、図3は、本発明の作用を説明する模式図である。図3においては、着用前のブラジャーの状態を実線で示し、着用時のブラジャーの状態を破線で示す。
【0011】
図1に示すように、本実施形態におけるブラジャー1は、主として、左右一対のカップ部2,2、カップ部の下部に設けられた土台部3、テープ材4,4、左右一対の脇部5,5、ストラップ部6,6からなり、カップ部2,2の下縁湾曲部2a,2aにはワイヤー7,7が配設されている。土台部3は、非伸縮性の素材からなり、テープ材4,4は、カップ部2,2及び脇部4,4の下縁部に設けられている。また、テープ材4,4は、カップ部2,2の連結部付近(着用時の身体中央部付近)で交差して互いに固着され、かつ土台部3にも固着されている。また、テープ材4,4の先端は、テープ材4,4が配設されたカップ部2,2と反対側のカップ部下縁湾曲部に位置するワイヤー7,7のカップ部連結部における上端部8,8に連結されている。
【0012】
土台部3を構成する素材は、非伸縮性の素材であれば、特に限定されず、通常一般のものが用いられる。また、カップ部2、脇部5、ワイヤー7の素材、形状、製造方法等は特に限定されない。ワイヤー7のカップ部下縁湾曲部への配設方法も、特に限定されず、図1に示すように、袋状のカップ部への連結部材の中に配設することができる。
【0013】
テープ材4,4を構成する素材は、特に限定されず、伸縮性を有するものであっても非伸縮性のものであってもよいが、脇部5,5に固着される部分は、伸縮性を有するものであることが好ましい。尚、土台部3が非伸縮性の素材からなるため、土台部3に固着されたテープ材4,4は、その素材が伸縮性を有するものであっても、実質的には伸縮性を有しない。従って、テープ材4,4は、土台部3と脇部5,5との間で、それぞれ非伸縮性の素材と伸縮性を有する素材とを切り替えて固着しても、伸縮性を有する素材を土台部3及び脇部5,5に一連に固着しても、実質的に、土台部3に固着されたテープ材4,4が非伸縮性であり、脇部5,5に固着されたテープ材4,4が伸縮性を有する点で差はない。製作の容易性の点から、後者の伸縮性を有するテープ材4,4を一連に土台部3及び脇部5,5に固着する方法が好ましい。テープ材4,4の固着方法は、その素材に応じて種々選択可能であり、例えば、縫合、接着によって行われる。
【0014】
カップ部2,2の連結部付近で交差して互いに固着され、かつ土台部3にも固着されたテープ部4,4のカップ部側の先端は、テープ材4,4が配設されたカップ部2,2と反対側のカップ部下縁湾曲部に位置するワイヤー7、7のカップ部連結部における上端部8,8に連結され、上述のとおり、実質的に土台部3に固着されたテープ材4,4は伸縮性を有しないため、ブラジャー1を着用した際、テープ材4,4によって、それぞれ図2の矢印に示す方向にワイヤーのカップ部連結部における上端部8,8を引き寄せる力が働く。
【0015】
つまり、左のテープ材4が、カップ部2,2の連結部付近(着用時の身体中央部付近)で右のテープ材4と交差して、右カップ部2の下縁湾曲部2aに位置するワイヤー7の右カップ部連結部における上端部8に連結されることにより、右カップ部連結部上端部8を左斜め下に引く力が発生し、右カップ部が着用者の身体中心部へ引き寄せる力が働く。また、右カップ部2の下縁湾曲部には、剛性を有するワイヤー7が配設されているため、右カップ部2全体が、図3に示すように、右カップ部連結部上端部8を支点として、反時計回りに回転するように中心部へ引き寄せる力が働く。右テープ材4も、左テープ材4と左右対称である以外同様に、左カップ部連結部上端部8を右斜め下に引く力が発生し、左カップ部が着用者の身体中心部へ引き寄せる力が働くとともに、左カップ部2全体が、左カップ部連結部における上端部8を支点として、時計回りに回転するように中心部へ引き寄せる力が働く。このように、図3において矢印で示すように、左右のカップ部2,2が、着用時の身体中心付近へと回転することにより、カップ部2,2が中心方向に引き寄せる力が働くとともに、特にカップ部2,2の脇部側が上方向に持ち上げられ、バストをカップ部全体で中心方向に引き寄せて、上方向に持ち上げることができる。
【0016】
また、上述のように、土台部に固着されたテープ材は伸縮性を有さないため、上記で得られたバストの造形効果が安定して得られ、日常の身体の動き等によって低減することなく、着崩れを防止することができる。
【0017】
本発明において、上記以外のカップ部を有する衣類の構成、例えば、カップ布やパッド、ストラップ部、繋止部などの部分の構成は特に限定されず、その素材、形状、製造方法等は本発明の作用を阻害しない範囲で通常一般のものが使用できる。
【0018】
具体的に、本発明のカップ部を有する衣類としては、上記実施形態のようなブラジャーの他に、水着、スポーツ用ブラジャー、レオタード、トップス、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツ等が挙げられる。
【0019】
【発明の効果】
本発明のカップ部を有する衣類は、左右一対のテープ材が、カップ部の連結部付近で交差して互いに固着され、かつ非伸縮性の土台部にも固着され、さらに、、カップ部の連結部側で、テープ材が配設されたカップ部と反対側のカップ部下縁湾曲部に位置するワイヤー上端部に連結されるため、着用した際に、左右のテープ材が、それぞれ相対するカップ部のワイヤーのカップ部連結部における上端部をクロス方向(X字型)下方に引き寄せる力が働き、左右のカップ部が中心付近へ引き寄せられる力が働くとともに、左右のカップ部が、カップ部連結部におけるワイヤー上端部を支点として回転するように中心方向へ引き寄せられる力が働く。これにより、カップ部が中心方向に引き寄せられる力が働くとともに、特にカップ部の脇部側が上方向に持ち上げられ、バストをカップ部全体で中心方向に引き寄せて、上方向に持ち上げることができ、バストの造形性に優れたカップ部を有する衣類を提供することができる。また、テープ材を交差させるため、左右のカップ部に対して、対向する方向から相互に力が働き、左右のカップ部に対してより均一に安定して力が作用するカップ部を有する衣類となる。
【0020】
また、本発明のカップ部を有する衣類において、土台部が非伸縮性であるため、土台部に固着されたテープ材は伸縮性を有さない。従って、本発明のカップ部を有する衣類は、上記のバストの造形効果を安定して得ることができ、日常の身体の動き等によってバストの造形効果が低減することなく、着崩れを防止することができる。
【0021】
さらに、本発明のカップ部を有する衣類は、左右一対のテープ材を、カップ部の連結部付近で交差して互いに固着され、かつ非伸縮性の土台部にも固着されており、製作が容易で、安定した製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態の一例であるブラジャーを着用時に身体側となる方向から見た部分正面図である。
【図2】図2は、本発明の作用を説明する部分拡大図である。
【図3】図3は、本発明の作用を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 ブラジャー
2 カップ部
3 土台部
4 テープ材
5 脇部
6 ストラップ部
7 ワイヤー
8 ワイヤーのカップ部連結部における上端部

Claims (2)

  1. 左右一対のカップ部と、該カップ部の下部に設けられる土台部と、左右一対の脇部とを備え、少なくとも該カップ部の下縁部にテープ材を有し、該カップ部の下縁湾曲部にワイヤーが配設されたカップ部を有する衣類であって、
    該土台部が非伸縮性の素材からなり、
    該テープ材が、該カップ部の連結部付近で交差して互いに固着され、かつ該土台部にも固着され、さらに、カップ部の連結部側で、該テープ材の先端は、該テープ材が配設されたカップ部の反対側のカップ部下縁湾曲部に位置するワイヤー上端部に連結されていることを特徴とするカップ部を有する衣類。
  2. ブラジャー、水着、スポーツ用ブラジャー、レオタード、トップス、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツから選ばれることを特徴とする請求項1記載のカップ部を有する衣類。
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