JP4312164B2 - ノック検出装置 - Google Patents
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Description
また、従来では、エンジン回転数と吸気管圧力とにのみ応じて更新ガード値(上限値)を変更し、ノイズを除く他の要素においてピーク値が急変しても上限値を変更しないため
、その場合はしきい値の収束が遅いという問題点があった。
さらに、本発明は、スロットル開度にも応じて上限値を変更することにより、しきい値の収束性を高めたノック検出装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明では、検出した内燃機関のノック信号に基づいてノック判定のためのしきい値を算出するノック検出装置であって、複数個のノック信号に基づいて前回のしきい値を更新して新たな算出をするしきい値算出手段と、前記しきい値算出手段によるしきい値の更新量に上限値を設けるしきい値更新制限手段と、前記上限値を前記内燃機関のスロットル開度に応じて変更する上限値変更手段と、を有することを特徴とするノック検出装置が提供される。
さらに、本発明のノック検出装置では、内燃機関のスロットル開度にも応じてしきい値
の変化量の上限値を変更するようにしたので、しきい値の収束性を高めることができる。
図1は、ノック検出装置の概要を示した図である。図に示すようにノック検出装置1は、ピーク値取得手段1a、バックグランド算出手段1b、ノック判定手段1c、バックグランド設定手段1d、およびバックグランド記憶手段1eを有している。ノック検出装置1は、内燃機関2の点火時期を制御してノッキングのフィードバック制御を行っている。
このように、内燃機関2を始動するとき、バックグランド算出手段1bがバックグランドを算出するのに用いる前回のバックグランドに、前回内燃機関2が稼動していたときに記憶していたバックグランドを設定するようにしたので、エンジン始動時のバックグランドの収束性を高めることができる。
図2は、ノック検出装置のブロック構成図である。図に示すようにノック検出装置10は、CPU11、BPF12、ピークホールドアンプ13、入力インターフェース14、RAM15、ROM16、および出力インターフェース17を有している。ノック検出装置10には、ノックセンサ21、水温センサ22、油温センサ23、および吸気温センサ24が接続されている。また、点火プラグ32が接続されたイグナイタ31が接続されている。
センサ21は、例えば、圧電素子であり、エンジンのシリンダブロックなどに固定されている。
図3は、ノッキング判定を説明するための波形図である。図の(a)は、ピークホールドアンプ13に入力される波形を示している。図の(b)は、図2では示してないが、エンジンのクランク角センサから出力される波形を示している。クランク角センサから出力されるパルスは、点火行程に入ろうとする気筒のピストンがTDCに到達するたびに出力され、例えば、4気筒4サイクルエンジンであるときには、図の(b)に示すように、180°CA(クランク角)ごとに出力される。図の(c)は、CPU11のCNT端子から出力されるゲート制御信号の波形を示している。
バックグランドは、式(1)に示すようにピーク値を平均化したものである。CPU11は、今回アナログ−デジタル変換されたピーク値が、式(1)で求まるバックグランドに対して所定のレベルを超えているか否かを判断し、ノッキングの有無を判定する。ノッキングの有無を判定する式は、例えば、次の式(2)で示される。式(2)のKは、エンジンの回転数や負荷に応じて変更される値である。
CPU11は、今回アナログ−デジタル変換されたピーク値がバックグランドをK倍した値Yを超えている場合、ノッキングが発生したと判断する。そして、進角させていた点火プラグ32の点火タイミングを遅角するようにフィードバック制御する。このようにして、ノッキングのフィードバック制御を行っている。
図4は、エンジン始動時のバッグランドの収束を説明する図である。図にはエンジン始動時のバックグランドとピーク値が示してある。CPU11は、エンジンが始動されたとき、前回エンジンが稼動していたときに学習したバックグランドを、式(1)に示す前回のBGにセットする。これにより、バックグランドは速やかにピーク値に収束することができる。図4を図22と比較すると、エンジン始動時において、ピーク値とバックグランドの差は小さく、バックグランドの収束を速くすることができる。
習値[A3]には、エンジンの水温が30℃以上から60℃未満において算出されたバックグランドが記憶される。水温学習値[A4]には、エンジンの水温が60℃以上から90℃未満において算出されたバックグランドが記憶される。水温学習値[A5]には、エンジンの水温が90℃以上において算出されたバックグランドが記憶される。
バックグランドは、ピーク値を平均化したものであるので、エンジン始動後、ピーク値に収束していく。図に示すようにピーク値とバックグランドの差が所定値内になったとき、バックグランドの学習の処理を開始する。
図9は、バックグランドの設定の処理の流れを示したフローチャートである。CPU1
1は、例えば、イニシャルルーチンにおいて以下のステップに従った処理を実行する。なお、フローチャート中のnは、エンジンの気筒数を表し、そのフローの処理は各気筒において行われることを示す。
ステップS2においてCPU11は、エンジン始動時に、式(1)で示した前回のBGに、水温学習値(水温において学習したバックグランド)をセットするか否か判断する。この判断は、例えば、プログラムにおいて水温学習値を用いるか否か設定され、その設定に基づいて判断される。水温学習値を前回のBGにセットすると判断した場合、CPU11はステップS3において、現在のエンジンの水温を水温センサ22で検出し、この水温に対応する水温学習値を、図5で示した水温学習テーブル41を参照して取得する。そして、前回のBGに取得した水温学習値をセットする。これによって、バックグランドは速やかに適正なピーク値に収束することができる。なお、ステップS2において前回のBGに水温学習値をセットしないと判断した場合、ステップS4へ進む。
図10は、バックグランドの学習の処理の流れを示したフローチャートである。CPU11は、所定の周期ごとに以下のステップに従った処理を実行する。なお、フローチャート中のnは、エンジンの気筒数を表し、そのフローの処理は各気筒において行われることを示す。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態で説明した式(1)は、ノイズによるバックグランドの急変を防止するため、更新ガード値を設けることができる。つまり、バックグランドを更新ガード値以上更新しないようにすることができる。例えば、更新ガード値を2とすると、バックグランドの値が式(1)に従って5変化しても、この場合は、バックグランドは2しか更新されない。
更新ガード値は変更されず、バックグランドがノイズに反応することを抑制できる。
図13は、更新ガード値の算出の流れを示したフローチャートである。CPU11は、以下のステップに従って処理を実行する。
ステップS36においてCPU11は、バックグランドの更新量をステップS35で算出した最大の更新ガード値でガードする。すなわち、CPU11は、バックグランドの更新量が更新ガード値を超える場合、更新ガード値分だけバックグランドを更新するようにする。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。前述したようにバックグランドは、ピーク値を平均化したものであるため、エンジン始動時には、一定の値に収束するまでに時間を要する。そのため、バックグランドがピーク値に収束しきる前にノッキング判定を行うと、ピーク値がバックグランドに対し、所定のレベルを超えていると判定する恐れがあり、ノッキングが発生したと誤判定してしまう。よって、従来では、バックグランドが収束する時間を考慮して、一定時間経過してから、ノッキングのフィードバック制御を開始し、ノッキングの制御範囲を狭めていた。そこで、第3の実施の形態では、ノッキングの誤判定をしないようにノック判定の開始時期を適正に変化させ、ノッキングの制御範囲を広める。なお、ノック検出装置のブロック構成図は、図2と同様であり、その詳細な説明は省略する。
図14は、バックグランドの収束時間を説明する図である。図の(a),(b)には、バックグランドとピーク値が示してある。図の(a)のピーク値は、図の(b)のピーク値より大きい値となっている。
始時間の算出方法と同じであり、その詳細な説明は省略する。
図18は、フィードバック制御開始時間を算出する処理を示したフローチャートである。CPU11は、以下のステップに従って処理を実行する。
ステップS43においてCPU11は、水温テーブル51を参照し、ステップS42で取得した水温に対するノッキングのフィードバック制御(F/B)の開始時間aを算出する。ステップS44においてCPU11は、油温テーブル52を参照し、ステップS42で取得した油温に対するノッキングのフィードバック制御の開始時間bを算出する。ステップS45においてCPU11は、吸気温テーブル53を参照し、ステップS42で取得した吸気温に対するノッキングのフィードバック制御の開始時間cを算出する。ステップS46においてCPU11は、ステップS43〜S45で算出した開始時間a〜cの最大値dを算出する。
図19は、フィードバック制御開始時間を算出する制御チャートを示した図である。図の(a)にはスタータのオン・オフタイミングを示した波形が示してある。図の(b)にはスタータがオンされた後、ノッキングのフィードバック制御の開始時間をカウントするためのタイミングを示した波形が示してある。図の(c)にはバックグランドの波形が示してある。図の(d)には水温、油温、および吸気温に基づいて算出された、ノッキングのフィードバック制御を開始するカウント値が示されている。図の(e)には、時間をカウントするカウンタ値が示してある。
、および吸気温に対するノッキングのフィードバック制御の開始時間(カウント値)を算出する。なお、水温、油温、および吸気温に対するノッキングのフィードバック制御を開始するためのカウント値は、図の(d)に示すように水温>油温>吸気温の関係を有し、水温が最大値であるとする。
さらに、水温、油温、および吸気温で求まった収束時間の最大値を使用することにより、より安全にノッキングのフィードバック処理を開始して、誤遅角を防止することができる。
4の実施の形態では、適正なバックグランドに収束するために必要なピーク値のサンプル数を、エンジン始動後のピーク値に基づいて算出し、ピーク値を、算出したサンプル数取得してから、ノッキングのフィードバック制御を開始する。
図21は、フィードバック制御を開始するためのピーク値のサンプル数を算出する処理を示したフローチャートである。CPU11は、所定の周期にごとに以下のステップに従った処理を実行する。
得したピーク値によりバックグランドを更新する。ステップS57においてCPU11は、変数αに1を加算する。
すなわち、ノッキングのフィードバック制御を開始するためのサンプル数は、ピーク値に比例する。ピーク値が大きいほど、ノッキングのフィードバック制御を開始するためのサンプル数が多くなる。また、ノッキングのフィードバック制御を開始するためのサンプル数は、なまし率に逆比例する。なまし率が小さければ、バックグランドのピーク値に収束するためのサンプル数も多く必要となるからである。
このように、バックグランドを算出するためのピーク値の必要なサンプル数をピーク値の大きさに基づいて算出し、エンジン始動後、ピーク値を、算出したサンプル数取得してから、ノッキングのフィードバック制御を開始するようにした。これによって、ノッキングの誤判定をしないように適正にノッキングの制御開始時間を変化させることができ、ノッキングの制御範囲を広めることができる。
なお、上記で説明した第1〜第4の実施の形態は、組み合わせて実施することができる。例えば、エンジン始動時には、第1の実施の形態により、前回のバックグランドに学習したバックグランドを設定し、エンジン始動後においては、第2の実施の形態により、更新ガード値を変更することができる。同様に、エンジン始動時には、第3、第4の実施の形態により、ノッキングの制御開始時間を変化させ、エンジン始動後においては、第2の実施の形態により、更新ガード値を変更することができる。また、エンジン始動時、第1の実施の形態により、前回のバックグランドに学習したバックグランドを設定し、第3、第4の実施の形態により、ノッキングの制御開始時間を変化させることができる。この場合、ノッキングの制御開始時間は、前回のバックグランドに学習したバックグランドを設定した場合を考慮し、決定する。
チャートのステップS42以下の処理を実行する。
1a ピーク値取得手段
1b バックグランド算出手段
1c ノック判定手段
1d バックグランド設定手段
1e バックグランド記憶手段
2 内燃機関
Claims (7)
- 検出した内燃機関のノック信号に基づいてノック判定のためのしきい値を算出するノック検出装置であって、
複数個のノック信号に基づいてしきい値を算出するしきい値算出手段と、
前記しきい値算出手段が算出したしきい値に基づいてしきい値を学習記憶するしきい値学習記憶手段と、
前記内燃機関の始動時、前記しきい値学習記憶手段が学習記憶していたしきい値に基づいてしきい値を設定するしきい値設定手段と、を備え、
前記しきい値学習記憶手段は、前記内燃機関の所定の温度ごとに、しきい値とノック信号との差が所定範囲内であるときしきい値を学習記憶することを特徴とするノック検出装置。 - 前記しきい値学習記憶手段は、複数個のしきい値を移動平均して算出したしきい値に基づいて学習記憶することを特徴とする請求項1記載のノック検出装置。
- 前記しきい値学習記憶手段は、前記内燃機関の気筒ごとにしきい値を学習記憶することを特徴とする請求項1記載のノック検出装置。
- 検出した内燃機関のノック信号に基づいてノック判定のためのしきい値を算出するノック検出装置であって、
複数個のノック信号に基づいて前回のしきい値を更新して新たな算出をするしきい値算出手段と、
前記しきい値算出手段によるしきい値の更新量に上限値を設けるしきい値更新制限手段と、
前記上限値を前記内燃機関の燃料の噴射量に応じて変更する上限値変更手段と、
を有することを特徴とするノック検出装置。 - 前記上限値変更手段は、エンジン回転数および吸気管圧力にも応じて前記上限値を算出し、前記噴射量、前記エンジン回転数、および前記吸気管圧力による前記上限値の最大値を採用することを特徴とする請求項4記載のノック検出装置。
- 検出した内燃機関のノック信号に基づいてノック判定のためのしきい値を算出するノック検出装置であって、
複数個のノック信号に基づいて前回のしきい値を更新して新たな算出をするしきい値算出手段と、
前記しきい値算出手段によるしきい値の更新量に上限値を設けるしきい値更新制限手段と、
前記上限値を前記内燃機関のスロットル開度に応じて変更する上限値変更手段と、
を有することを特徴とするノック検出装置。 - 前記上限値変更手段は、エンジン回転数および吸気管圧力にも応じて前記上限値を算出し、前記スロットル開度、前記エンジン回転数、および前記吸気管圧力による前記上限値の最大値を採用することを特徴とする請求項6記載のノック検出装置。
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