JP4311461B2 - NOx検知用酸素センサ - Google Patents
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Description
例えば、自動車エンジンの排気管等には、自動車エンジンから排出された排気ガスの濃度を測定するために配設されるA/Fセンサと、該A/Fセンサの下流において排気ガスを浄化するための触媒コンバータ(三元触媒)と、該触媒コンバータの下流においてNOxガスを検知する酸素センサとが配設されている。
それゆえ、微量なNOxガスであっても、その存在を充分に検知することができる酸素センサが求められていた。
該酸素センサは、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、
該固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、
上記被測定ガス側電極を覆い、被測定ガス中のNOxガスを滞留させると共に上記被測定ガス側電極においてNOxガスを検知するための時間を確保する保護層とを有するガスセンサ素子を備え、
上記保護層は、厚みが270〜500μmであるとともに、気孔率が3〜7%であることを特徴とするNOx検知用酸素センサにある(請求項1)。
上記保護層は、厚みが270〜500μmであるとともに、気孔率が3〜7%である。それゆえ、酸素センサに供給されるNOxガスが微量であっても該NOxガスを充分に検知することができる。すなわち、上記保護層は、厚みが充分に厚く、さらに、充分に緻密に形成されているため、いったん保護層内に取り込まれたNOxガスが保護層から流出することを抑制することができる。それゆえ、NOxガスを保護層の中で充分に滞留させることができ、被測定ガス側電極においてNOxガスを検知するための時間を充分に確保することができる。
その結果、微量なNOxガスであっても、その存在を充分に検知することができる酸素センサを得ることができる(実施例4参照)。
該酸素センサは、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、上記被測定ガス側電極を覆うとともに被測定ガスを透過させる保護層とを有するガスセンサ素子を備え、
NO濃度が400ppmであるガスを、上記保護層を介して上記被測定ガス側電極に供給した状態で所定の電圧を印加したときに生じる限界電流値が0.1〜0.2mAであることを特徴とする酸素センサがある。
その結果、微量なNOxガスであっても、その存在を充分に検知することができる酸素センサを得ることができる(実施例5参照)。
上記酸素センサは、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、該固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、上記被測定ガス側電極を覆うとともに被測定ガスを透過させる保護層とを有するガスセンサ素子を備え、
1000ppm以下の可燃性ガスにNOガスを混合したガスであってそのNO濃度を徐々に変化させた種々のテストガスを、上記酸素センサに供給したとき、該酸素センサが出力するセンサ出力を測定し、該センサ出力が所定電圧となったときに供給していた上記テストガスのNO濃度によって、上記酸素センサのNOxに対する感受性を評価し、
上記所定電圧は、0.50〜0.65Vの範囲における一定値であることを特徴とするNOx感受性評価方法がある。
これにより、例えば、センサ出力が所定電圧となったときに供給していたテストガスのNO濃度を基準値と比較してNOxに対する感受性の良否を判定することも容易に行うことができる。
また、第2参考発明において、酸素センサのNOxに対する感受性を評価するに当たり、NOxの中でもNOの濃度を測定するのは、自動車の排気ガスに含まれるNOxが主にNOだからである。
一方、上記保護層の厚みが270μm未満である場合、又は気孔率が7%を超える場合には、保護層の拡散抵抗が小さくなり過ぎて、被測定ガスが保護層から流出しやすくなり、上記酸素センサのNOxに対する感受性が不充分となるおそれがある。
一方、上記限界電流値が0.20mAを超える場合には、保護層の拡散抵抗が小さくなり過ぎて、被測定ガスが保護層から流出しやすくなり、上記酸素センサのNOxに対する感受性が不充分となるおそれがある。
この場合には、実際の内燃機関の排気系における触媒コンバータ下流のガス雰囲気に近似した測定条件で限界電流値の評価を行うことができる。
この場合には、実際の内燃機関の排気系における触媒コンバータ下流のガス雰囲気に一層近似した測定条件でNOxに対する感受性評価を行うことができる。
この場合には、NOxに対する感受性評価をより高い精度で行うことができる。
この場合には、上記可燃性ガスの濃度を一定に保つことができるため、NOxに対する感受性評価をより一層高い精度で行うことができる。
本発明の実施例に係る酸素センサにつき、図1〜図4を用いて説明する。
本例の酸素センサ1は、図4に示すごとく、内燃機関80の排気管81において排気ガスを浄化する触媒コンバータ82の下流に配置される。
そして、酸素センサ1は、図1、図2に示すごとく、酸素イオン伝導性の固体電解質体21と、固体電解質体21の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けた被測定ガス側電極221及び基準ガス側電極222と、被測定ガス側電極221を覆うとともに被測定ガスを透過させる保護層23とを有するガスセンサ素子2を備える。
上記保護層23は、厚みtが270〜500μmであるとともに、気孔率が3〜7%である。
例えば、図4に示すごとく、自動車エンジン80の排気管81には、自動車エンジン80から排出された排気濃度を測定するために配設されるA/Fセンサ83と、該A/Fセンサ83の下流において排気ガスを浄化するための触媒コンバータ82(三元触媒)と、該触媒コンバータ82の下流においてNOxガスを検知する酸素センサ1とが配設されている。
しかしながら、自動車エンジン80の空燃比が適切な値となっていないと、触媒コンバータ82は浄化機能を充分に発揮することができず上記有害ガスが排出され、排気管81における触媒コンバータ82の下流にも上記有害ガスが排出されることとなる。したがって、上記有害ガスが、排気管81からそのまま外部へと排出されることを抑制する必要がある。そこで、有害ガスが触媒コンバータ82の下流において排出されているか否かを判断するために、図4に示すごとく、触媒コンバータ82の下流に本例の酸素センサ1が配設されている。
一方、被測定ガス側カバー5の導入孔50から導入された被測定ガスは、被毒物質を捕集するための触媒層24、トラップ層25を介して保護層23に達する(図1における符号G参照)。その後、被測定ガスは、保護層23に形成されている気孔230等を通過して、被測定ガス側電極221へと供給される。ここで、被測定ガスが、リッチからリーンに切り替わると、微量のNOxガスが被測定ガス中に含まれるようになる。そして、酸素センサ1は、この微量のNOxガスを検出するよう構成してある。
保護層23は、厚みtが270〜500μmであるとともに、気孔率が3〜7%である。それゆえ、酸素センサ1に供給されるNOxガスが微量であっても該NOxガスを充分に検知することができる。すなわち、保護層23は、厚みtが充分に厚く、さらに、充分に緻密に形成されているため、いったん保護層23内に取り込まれたNOxガスが保護層23から流出することを抑制することができる。それゆえ、NOxガスを保護層23の中で充分に滞留させることができ、被測定ガス側電極221においてNOxガスを検知するための時間を充分に確保することができる。
その結果、微量なNOxガスであっても、その存在を充分に検知することができる酸素センサ1を得ることができる。
本例は、図6に示すごとく、酸素センサのNOx感受性評価方法の例である。
本例のNOx感受性評価方法においては、N2ガス、H2Oガス、COガス、CH4ガス、NOガスを混合したガスであってNO濃度をX〜Y(X<Y)の間で徐々に変化させた種々のテストガスを、酸素センサに供給する。そして、酸素センサが出力するセンサ出力を測定していき、該センサ出力が所定電圧となったときに供給していたテストガスのNO濃度によって、酸素センサのNOxに対する感受性を評価する。
まず、NOxに対する感受性を評価するに当たって、評価対象とする酸素センサを用意する。すなわち、例えば、特性の異なる複数の酸素センサを、試料1、試料2、試料3として作製する。
そして、センサ出力が、0.6VとなるときのNO濃度によってNOxに対する感受性を評価する。
以上のごとく、本例によれば、酸素センサのNOxに対する感受性の良否を容易に判定することができるNOx感受性評価方法を提供することができる。
本例は、図7に示すごとく、実際に本発明の酸素センサのNOxに対する感受性を評価した例である。
本例では、NOxに対する感受性を評価するに当たって、本発明品として、厚みが300μmであるとともに気孔率が5%である保護層を有するガスセンサを作製した。また、比較品として、厚みが100μmであるとともに気孔率が8%である保護層を有するガスセンサを作製した。
そして、センサ出力が0.60VであるときのNO濃度、すなわち、NOx感度を測定することにより、NOxに対する感受性評価を行う。
その他の具体的方法は、実施例2に示した方法に準ずる。
同図からわかるように、本発明品(曲線L4)においては、センサ出力が0.60VであるときのNO濃度が約380ppmである。一方、比較品(曲線L5)においては、センサ出力が0.60VであるときのNO濃度は約460ppmである。すなわち、本発明品の方が、NOx感度の値が小さい。つまり、厚みが300μmであるとともに気孔率が5%である保護層を有する酸素センサ(本発明品)の方が、NOxに対する感受性が良好であることがわかる。
本例は、図8に示すごとく、保護層の厚みと気孔率とを種々変更させて作製した酸素センサについて、NOxに対する感受性を評価した例である。
本例では、NOxに対する感受性を評価するに当たって、保護層の気孔率を、8%、7%、5%、3%と種々変更するとともに、上記種々の気孔率を有する保護層の厚みを、100μm、200μm、300μm、400μm、500μmと種々変更して合計20種類の酸素センサの試料を作製した。次いで、それぞれの酸素センサについて、実施例2と同様の方法により、酸素センサのセンサ出力が0.6VとなるときのNO濃度、すなわち、NOx感度を測定した。
本例は、図9に示すごとく、酸素センサのNOx感度と、NO濃度400ppmのガスに対する限界電流値との関係を調べた例である。
本例では、実施例2の方法によりNOx感度をあらかじめ測定した8個の酸素センサを用意した。そして、該酸素センサのそれぞれについて、流量が40L/分、温度が500℃、NO濃度が400ppmで一定であるガスを、保護層を介して被測定ガス側電極に供給した状態で所定の電圧を印加したときに生じる限界電流値を測定した。
同図からわかるように、400ppm以下のNOx感度を得るためには上記限界電流値が0.2mA以下であることが必要である。
上記結果からわかるように、上記限界電流値が0.2mA以下となるように保護層を形成することにより、NOxに対する感受性が良好な酸素センサを得ることができる。
2 ガスセンサ素子
21 固体電解質体
221 被測定ガス側電極
23 保護層
Claims (1)
- 内燃機関の排気系において排気ガスを浄化する触媒コンバータの下流に配置され、上記触媒コンバータ下流の排気ガス中の微量のNOxガスを検知するための酸素センサであって、
該酸素センサは、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、
該固体電解質体の一方の面と他方の面とにそれぞれ設けた被測定ガス側電極及び基準ガス側電極と、
上記被測定ガス側電極を覆い、被測定ガス中のNOxガスを滞留させると共に上記被測定ガス側電極においてNOxガスを検知するための時間を確保する保護層とを有するガスセンサ素子を備え、
上記保護層は、厚みが270〜500μmであるとともに、気孔率が3〜7%であることを特徴とするNOx検知用酸素センサ。
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