JP4310826B2 - パルス駆動半導体レーザの駆動方法 - Google Patents

パルス駆動半導体レーザの駆動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パルス駆動発光素子に関し、例えば、指示装置、照明装置、光電子情報通信装置などに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般の指示装置または建設用などのレベリング装置としてのレーザポインタとしては、赤色発光の半導体レーザを用いたものが実用化されている。この赤色発光のレーザポインタに加えて、オレンジ色、黄色、青色などで発光するレーザポインタが得られれば、多色化を図ることができる。
【0003】
しかしながら、現状では、波長1.3〜1.5μmで発光する半導体レーザ、赤外域で発光する半導体レーザおよび赤色発光の半導体レーザ以外の半導体レーザは連続発振時の寿命が発展途上で、万時間オーダーの寿命が得られていない。あるいは、これらの発光波長の半導体レーザでも、確立した材料以外の材料を用いた半導体レーザの寿命はまだ長くない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、これらの半導体レーザにおいては、端面のCOD(catastrophic optical damage)破壊に対するレベルは、寿命によらず高いものが得られている。
【0005】
そこで、緑色発光の半導体レーザなどの寿命が発展途上の各種の色で発光する半導体レーザであっても、実用化を図ることができる可能性がある。
【0006】
また、半導体レーザの寿命が十分でも、平均出力を一定に保ちつつその耐久時間を長くすることができれば有益である。
【0007】
したがって、この発明の目的は、連続発振時の半導体レーザの寿命を超えて長時間使用することができるパルス駆動発光素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、連続発振時の寿命が短い半導体レーザの有効利用や連続発振時の寿命が十分な半導体レーザのより長寿命化を図るべく、鋭意検討を行った。以下にその概要について説明する。
【0009】
いま、連続発振時の半導体レーザの寿命τの注入電流依存性が、注目している出力領域で
τ(I)=cI-r (1)
と近似することができるとする。ただし、Iは注入電流、cは定数である。ここで、rは注目している出力領域によって異なることがあり、例えば、ある出力領域ではr1 であるが、他のある出力領域ではr2 (≠r1 )となることがある。また、この半導体レーザは、しきい電流I0 およびスロープ効率ηを有し、図1に示すような出力(P)−電流(I)特性を有するとする。
【0010】
図1に示すP−I特性は、
P=0 (I<I0 ) (2)
P=η(I−I0 ) (I≧I0 ) (3)
と表される。
【0011】
(3)式より、
I=I0 +P/η (4)
である。
【0012】
要求される平均出力をP0 、パルス駆動時の出力をPとすると、パルス駆動時のデューティ比βはP0 /Pに等しくなる。すなわち、β=P0 /Pである。ここで、出力がPのときのτをτ(P)、出力がP0 のときのτをτ(P0 )と書く。(4)式を(1)式に代入すると
τ(P)=c(I0 +P/η)-r (5)
となる。
【0013】
いま、パルス駆動時の実効寿命をτ(P)/βと定義し、f(P)=τ(P)/βとおくと、(5)式より
f(P)=τ(P)/β={c(I0 +P/η)-r}/(P0 /P)
=(c/P0 ){P/(I0 +P/η)r } (6)
となる。
【0014】
(6)式を
(P0 /c)f(P)={P/(I0 +P/η)r
と変形し、両辺をPで微分すると
(P0 /c)df(P)/dP
=1/(I0 +P/η)r +P(−r){1/(I0 +P/η)r+1 }(1/η)
={1/(I0 +P/η)r+1 }{I0 +P/η−(P/η)r}
={1/(I0 +P/η)r+1 }{(P/η)(1−r)+I0 }(7)
となる。
【0015】
df(P)/dP=0とおくと、f(P)が最大となるのは
* =(I0 η)/(r−1) (8)
のときであり、そのとき
β=P0 /P* ={(r−1)/I0 η}P0 (9)
である。また、f(P)の最大値は(8)式を(6)式に代入することにより求められる。
【0016】
P=P* のときの連続発振時の寿命に対するパルス発振時の寿命の比(以下「延命比」という。)は
延命比={τ(P* )/β}/τ(P0
=[{c/(I0 +P* /η)r }/{c/(I0 +P0 /η)r }]×(1/β)
={(ηI0 +P0 )/(ηI0 +P* )}r (1/β) (10)
となる。
【0017】
次に、パルス駆動時の実効寿命を連続発振時の寿命τ(P0 )よりも長くするための条件は
τ(P)/β>τ(P0 ) (11)
で表される。(11)式に(5)式を代入すると
{c(I0 +P/η)-r}/(P0 /P)>c(I0 +P0 /η)-r(12)
となる。これより
P/P0 >{(I0 +P/η)/(I0 +P0 /η)}r (13)
となる。
【0018】
(13)式を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比でパルス駆動をすることにより、連続発振時の半導体レーザの寿命に比べて長寿命化を図ることができる。
【0019】
この発明は、本発明者による以上のような検討に基づいて案出されたものである。
【0020】
すなわち、上記課題を解決するために、この発明は、
しきい電流I0 およびスロープ効率ηを有し、かつ、連続発振時の寿命の注入電流依存性が注目する出力領域でτ(I)=cI-r(ただし、Iは注入電流、cは定数)と近似される半導体レーザを用い、
要求される平均出力P0 に対し、
{(I0 +P/η)/(I0 +P0 /η)}r <P/P0
を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザをパルス駆動するようにした
ことを特徴とするパルス駆動発光素子である。
【0021】
この発明において、最も長寿命化を図るためには、P=ηI0 /(r−1)を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザをパルス駆動する。
【0022】
この発明において、典型的には、半導体レーザは紫外から赤外の領域の発振波長を有し、具体的には、紫外、青、緑、赤、赤外の領域の発振波長を有する。
【0023】
この発明において、半導体レーザの具体例をいくつか挙げると、Zn、Be、Mg、CdおよびHgからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のII族元素とSe、S、TeおよびOからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のVI族元素とにより構成されたII−VI族化合物半導体を用いた半導体レーザ、Al、Ga、InおよびBからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のIII族元素とN、PおよびAsからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のV族元素とにより構成されたIII−V族化合物半導体を用いた半導体レーザ、Al、Ga、InおよびBからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のIII族元素とNとにより構成されたIII−V族化合物半導体を用いた半導体レーザ、Al、Ga、InおよびBからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のIII族元素とPおよびAsからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のV族元素とにより構成されたIII−V族化合物半導体を用いた半導体レーザ、有機半導体(有機エレクトロルミネッセンス物質)を用いた半導体レーザなどである。II−VI族化合物半導体を用いた半導体レーザとしては、例えばZnCdSeを活性層の材料として用いた緑色発光の半導体レーザや、BeZnMgSeを活性層の材料として用いた半導体レーザ、さらには赤色、緑色または青色で発光可能なZnMgCdSeを活性層の材料として用いた半導体レーザなどが挙げられる。また、III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザとしては、紫色ないし青色で発光発光可能なInGaNを活性層の材料として用いた半導体レーザ、可視光から赤外の領域で発光可能なGaInNAsを活性層の材料として用いた半導体レーザなどが挙げられる。さらに、有機半導体を用いた半導体レーザとしては、テトラフェニルポルフィリン(TPP)、テトラフェニルクロリン(TPC)、アルミニウムヒドロキシキノリン(Alq3 )、ジアミン誘導体(TPD)、p−sexiphenyl(p−6P)などを活性層の材料として用いた半導体レーザが挙げられる。これらの半導体レーザは、一般に連続発振時の寿命が短いものである。
【0024】
この発明においては、必要に応じて、これらの半導体レーザのうちの一つまたは複数を用いてパルス駆動発光素子が構成される。この場合、互いに発振波長が異なる複数の半導体レーザを用いることにより、互いに異なる二つ以上の発光波長を得ることができる。
【0025】
上述のように構成されたこの発明においては、要求される平均出力P0 に対し、{(I0 +P/η)/(I0 +P0 /η)}r <P/P0 を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザをパルス駆動するようにしていることにより、使用する半導体レーザの連続発振時の寿命よりも長時間使用することができる。特に、P=ηI0 /(r−1)を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザをパルス駆動することにより、寿命の最大化を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
図2はこの発明の一実施形態によるパルス駆動発光素子の全体構成を示し、図3はこのパルス駆動発光素子のヘッダー部分を拡大して示す。図2および図3に示すように、この一実施形態によるパルス駆動発光素子においては、ヘッダー1上に半円柱状のヒートシンク2が設けられ、このヒートシンク2の平坦な側面にチップ状の半導体レーザ3がマウントされている。この場合、この半導体レーザ3はそのp側電極(図示せず)を上にして、すなわちpサイドアップでマウントされている。符号3aはこの半導体レーザ3のストライプを示す。ヘッダー1には3本のリード4、5、6が設けられている。半導体レーザ3のp側電極とリード4の一端とがワイヤー7によりボンディングされている。リード5は接地端子であり、ヒートシンク2を介して半導体レーザ3のn側電極(図示せず)およびヘッダー1上に設けられたモニター用フォトダイオード8のカソードと接続されている。一方、リード6の一端は、ワイヤー9によりモニター用フォトダイオード8のアノードとボンディングされている。半導体レーザ3およびヒートシンク2の全体はヘッダー2上に取り付けられたキャップ10でシールされている。キャップ10の上面には窓10aが設けられ、この窓10aにガラス板11がはめ込まれている。
【0028】
図2および図3において、リード4、5を通じて半導体レーザ3にしきい値電流以上の電流が注入されると、そのフロント側の端面からレーザビーム12が出射される。このレーザビーム12はキャップ10の窓10aのガラス板11を通って外部に出射される。このレーザビーム12は、必要に応じて、外部に設けられたレンズ系(例えば、ビームシフターと集光レンズとからなるものなど)に導かれる。
【0029】
図4に、半導体レーザ3の一例として、II−VI族化合物半導体を用いた緑色発光の半導体レーザを示す。図4に示すように、この半導体レーザにおいては、n型GaAs基板101上に、図示省略したバッファ層(例えば、n型GaAsバッファ層、n型ZnSeバッファ層およびn型ZnSSeバッファ層を順次積層したもの)を介して、n型ZnMgSSeクラッド層102、n型ZnSSe光導波層103、活性層104、p型ZnSSe光導波層105、p型ZnMgSSeクラッド層106、p型ZnSSeキャップ層107、p型ZnSe/ZnTe多重量子井戸(MQW)層108およびp型ZnTeコンタクト層109が順次積層されている。n型GaAs基板101にはn型不純物として例えばSiがドープされ、厚さは例えば350μmである。n型ZnMgSSeクラッド層102およびn型ZnSSe光導波層103にはn型不純物として例えばClがドープされている。また、p型ZnSSe光導波層105、p型ZnMgSSeクラッド層106、p型ZnSSeキャップ層107、p型ZnSe/ZnTeMQW層108およびp型ZnTeコンタクト層109にはp型不純物として例えばNがドープされている。レーザ構造を形成する各層の厚さの一例を挙げると、n型ZnMgSSeクラッド層102は1μm、n型ZnSSe光導波層103およびp型ZnSSe光導波層105はそれぞれ45nm、p型ZnMgSSeクラッド層106は1μm、p型ZnSSeキャップ層107は100nm、p型ZnTeコンタクト層110は70nm、p型ZnSe/ZnTeMQW層108は3nmである。活性層104は例えばZnCdSeからなる単一量子井戸(SQW)構造を有し、そのZnCdSe層の厚さは例えば3.5nm、そのII族元素の組成はZnが65%、Cdが35%であり、その格子定数はn型GaAs基板1の格子定数よりも若干大きくなっている。また、n型ZnSSe光導波層103およびp型ZnSSe光導波層105のVI族元素の組成は例えばSが6%、Seが94%である。
【0030】
p型ZnSSeキャップ層107の上部、p型ZnSe/ZnTeMQW層108およびp型ZnTeコンタクト層109は一方向に延びるストライプ形状を有する。このストライプ部の幅は例えば2〜10μmである。このストライプ部の両側の部分には例えばAl2 3 膜のような絶縁層110が設けられており、これによって電流狭窄構造が形成されている。ストライプ形状のp型ZnTeコンタクト層109および絶縁層110上にはp側電極111が、p型ZnTeコンタクト層109とオーミックコンタクトして設けられている。p側電極111としては、例えば、厚さが10nmのPd膜、厚さが100nmのPt膜および厚さが300nmのAu膜が順次積層されたPd/Pt/Au電極が用いられる。一方、n型GaAs基板101の裏面にはn側電極112がオーミックコンタクトして設けられている。このn側電極112としては例えばIn電極が用いられる。
【0031】
この半導体レーザの共振器長は例えば600μmであり、劈開面からなる共振器端面を有する。
【0032】
図5に、半導体レーザ3の他の例として、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた紫色ないし青色発光の半導体レーザを示す。図5に示すように、この半導体レーザにおいては、例えば(0001)面方位のサファイア基板201上に低温成長によるGaNバッファ層202を介してアンドープGaN層203が積層されている。サファイア基板201の厚さは例えば350μmである。アンドープGaN層203上にストライプ形状のSiO2 膜204が形成されている。そして、アンドープGaN層203上に、このSiO2 膜204を成長マスクとしていわゆるELOG(epitaxial lateral over-growth)法により横方向エピタキシャル成長されたアンドープGaN層205が積層されている。このアンドープGaN層205上にn型GaNコンタクト層206、n型AlGaNクラッド層207、n型GaN光導波層208、活性層209、p型AlGaNキャップ層210、p型GaN光導波層211、p型AlGaNクラッド層212およびp型GaNコンタクト層213が順次積層されている。n型GaNコンタクト層206、n型AlGaNクラッド層207およびn型GaN光導波層208にはn型不純物として例えばSiがドープされている。p型AlGaNキャップ層210、p型GaN光導波層211、p型AlGaNクラッド層212およびp型GaNコンタクト層213にはp型不純物として例えばMgがドープされている。レーザ構造を形成する各層の厚さの一例を挙げると、n型GaNコンタクト層206は4μm、n型AlGaNクラッド層207は1μm、n型GaN光導波層208は100nm、p型AlGaNキャップ層210は20nm、p型GaN光導波層211は100nm、p型AlGaNクラッド層212は1μm、p型GaNコンタクト層213は50nmである。活性層209は、例えば厚さが3.5nmのIn0.15Ga0.85N層と厚さが10.5nmのIn0.02Ga0.98N層とからなる4重量子井戸構造を有する。また、n型AlGaNクラッド層207およびp型AlGaNクラッド層212のIII族元素の組成はAlが14%、Gaが86%である。p型AlGaNキャップ層210のIII族元素の組成はAlが20%、Gaが80%である。
【0033】
n型GaNコンタクト層206の上部、n型AlGaNクラッド層207、n型GaN光導波層208、活性層209、p型AlGaNキャップ層210、p型GaN光導波層211およびp型AlGaNクラッド層212の下部は所定のメサ形状を有する。また、p型AlGaNクラッド層212の上部およびp型GaNコンタクト層213はリッジ形状を有する。このリッジ部の両側面およびこのリッジ部の両側の部分のp型AlGaNクラッド層212上には例えばSiO2 膜のような絶縁膜214が設けられている。この絶縁膜214にはリッジ部の上の部分に開口214aが設けられており、この開口214aを通じてp側電極215がp型GaNコンタクト層213にオーミックコンタクトしている。このp側電極215としては例えばNi/Au電極が用いられる。一方、メサ部の近傍の部分のn型GaNコンタクト層206上にn側電極216がオーミックコンタクトして設けられている。このn側電極216としては例えばTi/Al電極が用いられる。
【0034】
図6は、半導体レーザ3の駆動回路を示す。図6に示すように、半導体レーザ3はパルス電源13により駆動される。半導体レーザ3はその種類に応じた発振波長を有する。このとき、パルス電源13を制御することにより、レーザビーム12の出力を任意に設定することができる。
【0035】
この一実施形態において、半導体レーザ3は、しきい電流I0 およびスロープ効率ηを有し、連続発振時の寿命の注入電流依存性が、注目する出力領域でτ(I)=cI-rと近似されるものである。そして、このような半導体レーザ3を、要求される平均出力P0 に対し、
{(I0 +P/η)/(I0 +P0 /η)}r <P/P0
を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比でパルス駆動する。このときのパルス駆動発光素子の実効寿命は半導体レーザ3の連続発振時の寿命よりも長くすることができる。
【0036】
特に、P=ηI0 /(r−1)を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザをパルス駆動することにより、連続発振時の寿命に対して、
延命比={(ηI0 +P0 )/(ηI0 +P* )}r (1/β)
を得ることができる。言い換えれば、この一実施形態によるパルス駆動発光素子の寿命は、連続発振時の半導体レーザ3の寿命に比べて、この延命比倍だけ長くなる。
【0037】
例えば、図7はII−VI族化合物半導体を用いた半導体レーザの出力と寿命との関係の測定結果の一例を示す。測定温度は40℃である。実線で示す曲線はJ-4理論(Jはしきい電流密度)による理論曲線であり、特に低出力側で測定データと良く一致している。このJ-4に従う変化はτ(I)=cI-rにおいてr=4の場合に相当する。
【0038】
図7より、10mW出力時の寿命は1mW出力時の寿命に比べて約1/2に低下するのに対し、この一実施形態によるパルス駆動発光素子においては、平均出力P0 =1mWに対し、出力P=10mWで、かつ、デューティ比10%でパルス駆動すると、1/β=10であるので、約5倍の寿命向上となる。
【0039】
以上のように、この一実施形態によるパルス駆動発光素子によれば、要求される平均出力P0 に対し、{(I0 +P/η)/(I0 +P0 /η)}r <P/P0 を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザ3をパルス駆動することにより、半導体レーザ3の連続発振時の寿命を超えて長時間使用することができる。特に、P=ηI0 /(r−1)を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザ3をパルス駆動することにより、寿命の最大化を図ることができる。このため、半導体レーザ3として、寿命が発展途上にある図4または図5に示すような緑色または青色発光の半導体レーザを用いて、実用化に耐えられる十分な寿命を有するパルス駆動発光素子を得ることができる。
【0040】
この一実施形態によるパルス駆動発光素子により、緑色または青色発光のレーザポインタを実現することができる。また、そのほかに、このパルス駆動発光素子は、光電子装置、照明装置、光通信装置などの光装置全般に適用することができることは勿論、高温で動作させる必要のある車載用の半導体レーザ装置を有する機器などにも適用可能である。
【0041】
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0042】
例えば、上述の一実施形態において挙げた数値や構造などははあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値や構造などを用いてもよい。
【0043】
具体的には、上述の一実施形態において半導体レーザ3の例として挙げた図4に示す半導体レーザにおいて、n型ZnSSe光導波層103およびp型ZnSSe光導波層105の代わりにアンドープZnSSe光導波層を用いてもよい。同様に、図5に示す半導体レーザにおいて、n型GaN光導波層208およびp型GaN光導波層211の代わりにアンドープGaN光導波層を用いてもよい。さらに、これらの半導体レーザの代わりにレーザ構造が異なる他の半導体レーザを用いてもよい。
【0044】
また、上述の一実施形態においては、半導体レーザ3をpサイドアップでマウントした場合について説明したが、半導体レーザ3はpサイドダウンでマウントしてもよい。このときの半導体レーザ3の駆動回路としては図9に示すものを用いる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によるパルス駆動発光素子によれば、要求される平均出力P0 に対し、{(I0 +P/η)/(I0 +P0 /η)}r <P/P0 を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザをパルス駆動するようにしていることにより、連続発振時の半導体レーザの寿命を超えて長時間使用することができ、特に、P=ηI0 /(r−1)を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で半導体レーザをパルス駆動することにより、寿命の最大化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体レーザの出力−電流特性を示す略線図である。
【図2】この発明の一実施形態によるパルス駆動発光素子の全体構成を示す斜視図である。
【図3】この発明の一実施形態によるパルス駆動発光素子のヘッダー部を拡大して示す略線図である。
【図4】この発明の一実施形態によるパルス駆動発光素子における半導体レーザの具体例を示す断面図である。
【図5】この発明の一実施形態によるパルス駆動発光素子における半導体レーザの他の具体例を示す断面図である。
【図6】この発明の一実施形態によるパルス駆動発光素子における半導体レーザの駆動回路の一例を示す略線図である。
【図7】II−VI族化合物半導体を用いた半導体レーザの寿命と出力との関係を示す略線図である。
【図8】この発明の一実施形態によるパルス駆動発光素子における半導体レーザの駆動回路の他の例を示す略線図である。
【符号の説明】
3・・・半導体レーザ、12・・・レーザビーム、13・・・パルス電源、101・・・n型GaAs基板、102・・・n型ZnMgSSeクラッド層、104・・・活性層、106・・・p型ZnMgSSeクラッド層、111・・・p側電極、112・・・n側電極、201・・・サファイア基板、207・・・n型AlGaNクラッド層、209・・・活性層、212・・・p型AlGaNクラッド層

Claims (7)

  1. しきい電流I0 およびスロープ効率ηを有し、かつ、連続発振時の寿命の注入電流依存性が注目する出力領域でτ(I)=cI -4 (ただし、Iは注入電流、cは定数)と近似される半導体レーザを用い、
    要求される平均出力P0 に対し、
    {(I0 +P/η)/(I0 +P0 /η)} 4 <P/P0
    を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で上記半導体レーザをパルス駆動するようにしたパルス駆動半導体レーザの駆動方法。
  2. P=ηI0 を満たす出力Pで、かつ、β=P0 /Pなるデューティ比で上記半導体レーザをパルス駆動するようにした請求項1記載のパルス駆動半導体レーザの駆動方法。
  3. 上記半導体レーザは、Zn、Be、Mg、CdおよびHgからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のII族元素とSe、S、TeおよびOからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のVI族元素とにより構成されたII−VI族化合物半導体を用いた半導体レーザである請求項1または2記載のパルス駆動半導体レーザの駆動方法。
  4. 上記半導体レーザは、Al、Ga、InおよびBからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のIII族元素とN、PおよびAsからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のV族元素とにより構成されたIII−V族化合物半導体を用いた半導体レーザである請求項1または2記載のパルス駆動半導体レーザの駆動方法。
  5. 上記半導体レーザは、Al、Ga、InおよびBからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のIII族元素とNとにより構成されたIII−V族化合物半導体を用いた半導体レーザである請求項1または2記載のパルス駆動半導体レーザの駆動方法。
  6. 上記半導体レーザは、Al、Ga、InおよびBからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のIII族元素とPおよびAsからなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のV族元素とにより構成されたIII−V族化合物半導体を用いた半導体レーザである請求項1または2記載のパルス駆動半導体レーザの駆動方法。
  7. 上記半導体レーザは有機半導体を用いた半導体レーザである請求項1または2記載のパルス駆動半導体レーザの駆動方法。
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