JP4310498B2 - HIV感染細胞にアポトーシスを誘導するヒトIgM抗体及びHIV感染症治療剤 - Google Patents

HIV感染細胞にアポトーシスを誘導するヒトIgM抗体及びHIV感染症治療剤 Download PDF

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Description

本発明は、HIV感染細胞に特異的に反応し、HIV感染細胞にアポトーシスを誘導するヒトIgMモノクローナル抗体及びかかる抗体を有効成分として含有するHIV感染症治療剤に関する。
HIV感染症に対しては、逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼインヒビターとして種々の薬剤が開発されている。これらの薬剤を3種類ないし4種類を併用する多剤併用療法(HAART:Highly Active Anti−Retroviral Therapy)がHIV感染患者に有効性を発揮し、血中HIV量の激減やCD4リンパ球量の改善などをもたらすことが出来るようになった。しかし、多剤併用療法によっても潜伏感染細胞は排除することはできず、HIV感染患者を完全に治癒させることは難しく、HIVが潜伏感染した細胞は、薬剤投与を中止するとHIVは再燃して増殖するという問題があった。
多剤併用療法を間欠的に中断再開を繰り返すとHIVに対する免疫応答が効率良く誘導される場合のあることが報告されているが、確実な治療法とはなっていない。これは、HIVに対する免疫反応の重要性を示している知見である。
HIV感染細胞に特異的に反応するヒト(型)モノクローナル抗体は、遺伝子組換によりヒト型化した抗体が作成されているが、それらはIgGタイプの抗体である。それらは、HIVの感染を阻害する中和抗体であるが、感染細胞を傷害することは出来ない。
ヒトの細胞膜の上には、種特異的補体制御膜因子群(DAF,Decay accelerating factor;MCP,Membrane cofactor protein;HRF20,20kDa Homologous restriction factorなど)が存在するが、同種のヒト補体の反応を防ぐために、補体反応を介した細胞溶解反応は起こらない。
一方、HIV感染細胞に反応するヒト血清中のIgM抗体は、HIV感染細胞を補体制御膜因子群に打ち勝ってヒト補体を介した細胞溶解反応を起こせることが発見された。HIV感染によって発現が高まるGM2やGg4などのガングリオシドに対してIgM抗体がそのような作用を発揮することを知った(特開平9−227409(第2頁段落「0009」))。
前記ガングリオシドのGM2に対するヒトIgMモノクローナル抗体としてEBウイルスで不死化したヒトBリンパ芽球株が産生するL55が報告されている。このヒトIgMモノクローナル抗体を作用させたHIV感染細胞はヒト補体の反応を介して細胞溶解を起こすことがわかった。しかし、L55抗体はHIV感染細胞に特異的なわけではないので、HIV感染細胞以外の正常細胞にも反応する可能性がある。
本発明は、HIV感染細胞に特異的に反応し、感染細胞にアポトーシスを誘導して破壊に導くヒトIgM抗体を有効成分とするHIV感染患者治療剤等を提供することにある。
上記の課題を解決するための本発明の第1の解決手段として、HIV感染細胞を特異的に認識しアポトーシスを誘導するヒトIgMに属することを特徴とするモノクローナル抗体を提供する。
また、本発明の第2の解決手段は、HIV感染細胞を特異的に認識し、HIV感染細胞にアポトーシスを誘導ヒトIgM抗体を有効成分として含有することを特徴とするHIV感染症治療剤を提供する。
本発明の第3の解決手段は、AIDSの発症を防止するためのものである請求項2記載の治療剤を提供する。
本発明の第4の解決手段は、HIV感染細胞に反応するヒトIgMモノクローナル抗体がH鎖の可変領域の核酸配列が配列番号1の核酸配列を有する2G9抗体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のヒトIgMモノクローナル抗体を提供する。
さらに、本発明の第5の解決手段は、HIV感染細胞に反応するヒトIgMモノクローナル抗体のL鎖の可変領域の核酸配列が配列番号2の核酸配列を有する2G9抗体であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のヒトIgMモノクローナル抗体を提供する。
図1は2G9抗体の特異性を示す図面である。
フローサイトメトリー法で解析した結果、非感染細胞は2G9抗体で染色されずHIV感染細胞が染色されていることを示す(PBMC:末梢血リンパ球;IIIB,primary isolate及びMNはHIV名)。
図2はHIV潜伏感染細胞にも2G9抗体が反応することを示す図面である。
潜伏感染細胞であるOM10.1細胞は、HIV膜蛋白抗原であるgp120に対する抗体(0.5β)は反応しないが2G9抗体は反応することを示す。
図3は2G9抗体によるHIV感染細胞のアポトーシスを示す図面である。
HIVを感染させたMOLT−4/IIIB細胞に2G9抗体を50μg/mlの濃度で添加し2日間培養すると、TUNEL法によるアポトーシス検出試薬で完全に染色されるようになることを示す。非感染MOLT−4細胞には全く影響を与えない。
図4は2G9抗体によるHIV潜伏感染細胞のアポトーシスを示す図面である。
HIVを感染させたOM10.1細胞に2G9抗体を12.5μg/mlの濃度で添加し、2日間培養すると、アポトーシス検出試薬Annexin V反応細胞が非添加時の5.5%から、21.2%に増加することを示す。
図5は2G9μ鎖発現プラスミド構築模式図を示す。
発明を実施するための形態
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はかかる実施例により何ら制限されるものではない。
本発明者らは、上記課題を解決するために、ヒトの免疫グロブリンに関する遺伝子を含む染色体を導入したキリンビール社製のマウス(TCマウス:trans−chromosome mouse)にHIV感染細胞を免疫して、HIV感染細胞に特異的に反応するヒト抗体を産生するマウスをえた。この免疫マウスの脾細胞をマウス骨髄腫細胞株と融合させてハイブリドーマを定法に従って作成した。得られたハイブリドーマの中からHIV感染細胞に反応するモノクローナル抗体を産生するクローンを選び出し、そのハイブリドーマクローンを2G9細胞株と命名した。2G9細胞株が産生するモノクローナル抗体である2G9抗体はヒトμ鎖とヒトκ鎖から成るヒトIgMモノクローナル抗体である。2G9抗体はHIV感染細胞に特異的に反応するが、潜伏感染細胞株のOM10.1にも反応でき、これらの細胞にアポトーシスを誘導して破壊することができることを確認し、本発明を完成するに至った。本発明2G9抗体を産生する細胞株2G9は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1中央第6)に2003年5月8日に国際寄託し、寄託番号FERM BP−8378が付与された。
2G9抗体と反応する抗原(2G9抗原)は、SDS処理により2G9抗体との反応性を失うと考えられる。
2G9抗体をコードするκ鎖及びμ鎖それぞれにおける可変領域の遺伝子の塩基配列についての解析結果は、表1に示すごとくである。定常領域については、既報の塩基配列とほぼ同様である。
Figure 0004310498
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OM10.1細胞を含め、HIV感染細胞に対して請求項1に記載の抗体、たとえば2G9抗体はアポトーシスを惹起させる特徴を有している。すなわち、これはHIV感染細胞を特異的にアポトーシスに陥らせることが出来るヒトIgMモノクローナル抗体であり、OM10.1細胞等のHIV潜伏感染細胞などに対してもアポトーシスを誘導することができるので、化学療法剤が効果を発揮することが出来ないHIV感染患者の体内に潜むHIV潜伏感染を排除するための治療剤としても使用することが出来る。
本発明のHIV感染細胞に特異的に反応し、HIV感染細胞にアポトーシスを誘導して破壊に導く、ヒトIgM抗体を有効成分とするHIV感染患者治療剤等に利用するための治療剤は、生理学的なキャリアと組み合わせることによって得ることができる。生理学的に受容可能なキャリアは当該分野で周知であり、そして生理学的緩衝化食塩水もしくは他の緩衝作用を有する水溶液、又は溶媒、あるいはグリコール、グリセロール、油(例えば、オリーブ油)、又は注射可能な有機エステルのような溶剤を含む。生理学的に受容可能なキャリアはIgM抗体を安定化させるか、吸収を増大させる化合物をも含む。このような生理学的に受容可能な化合物は、例えば、グルコース、スクロース、又はデキストラン等の糖類、アスコルビン酸、又はグルタチオン等の抗酸化剤、キレート剤、あるいはアルブミン等のタンパク質、または他の安定化剤、賦形剤を含む。さらに、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤等の他の生理活性物質を添加することも可能である。生理学的に受容可能なキャリアの選択は、投与経路、対象疾患によりそれぞれに組み合わせることができる。
実施例1.2G9抗体の特異性
2G9抗体による、HIV感染細胞に対する反応性をフローサイトメトリー法で解析した。培養細胞株であるU937細胞、MOLT−4細胞およびCEM細胞を被験細胞として用いた。HIV感染細胞としては、U937細胞にHIV−1のIIIB株を感染させたU937/IIIB、臨床分離株(primary isolate)のmomo株を感染させたU937/primary isolate、MN株を感染させたU937/MNおよび、MOLT−4にIIIB株を感染させたMOLT−4/IIIBなどを用いた。それぞれの細胞に2G9抗体を作用させて洗浄後、蛍光色素で標識した抗ヒトIgM抗体で染色し、細胞の蛍光強度をフローサイトメトリーで解析した。その結果、2G9抗体はHIV感染細胞のU937/IIIB、U937/primary isolate、U937/MNおよびMOLT−4/IIIBを強く染色したが、非感染のU937細胞、MOLT−4細胞およびCEM細胞に対しては全く染色性を示さなかった。さらに、正常人の末梢血リンパ球および末梢血リンパ球をフィトヘモアグルチニン(PHA)で刺激して3日間培養した活性化リンパ球などについても解析を行ったが、これらも2G9抗体とは反応しなかった。したがって、2G9抗体はHIV感染細胞に特異的に反応するが、正常細胞には反応しないことが明らかとなった(図1)。さらに、OM10.1細胞はHIV潜伏感染細胞株とされ、gp120などのHIVの抗原は通常は発現していない。ところが、2G9抗体はOM10.1細胞に対して反応したので、潜伏感染状態の細胞に対しても、2G9抗体が反応しうることが明らかになった(図2)。
実施例2.2G9抗体によるHIV感染細胞のアポトーシス
HIV−1を感染させたMOLT−4/IIIB細胞を20%非働化ヒト血清を添加したRPMI1640培地に5x10/mlに調製し、これに100μg/mlの2G9抗体を等容量加えて2日間5%炭酸ガス培養器(37度C)中で培養した。培養後、アポトーシスの指標であるDNAフラグメンテーションをTUNEL法を用いて染色した後、1%パラフォルムアルデヒドで細胞を固定してフローサイトメトリーで解析した。図3に示すように、2G9抗体を作用させてないときには染色されないが、2G9抗体の存在下で培養した時には完全染色され、2G9抗体には、感染細胞に対してアポトーシスを誘導する作用があることが認められた。非感染細胞のMOLT−4細胞に対してはこのような傷害作用を示さなかった(図3)。
実施例3.2G9抗体によるHIV潜伏感染細胞のアポトーシス
HIV−1潜伏感染細胞株であるOM10.1細胞を20%非働化ヒト血清を含む細胞培養液(RPMI1640培地)中に1x10/mlに調製し、これに12.5μg/mlの2G9抗体を等容量加えて2日間37度で培養した。培養後、アポトーシス検出試薬であるAnnexin Vで染色したあと、1%パラフォルムアルデヒドで細胞を固定してフローサイトメトリーで解析した。その結果、図4に示すように、2G9抗体を作用させてないときには5.5%の染色度であったものが、2G9抗体の存在下で培養した時には21.2%の染色度を示し、2G9抗体には、HIV−1潜伏感染細胞のOM10.1細胞に対してもアポトーシスを誘導する作用があることが認められた(図4)。
実施例4.抗体の遺伝子工学的手法を用いた再構築
表1に示した2G9抗体可変領域の塩基配列を基にして2G9抗体を再構築する方法は、以下に示すshot−gun ligation method(Grundstrom,T.et al.NucleicAcid Res.13,3305−3316(1985))等の遺伝子工学的手法を用いて2G9抗体を産生する細胞株を樹立する方法を例示する。
表記の塩基配列を翻訳し、2G9抗体の可変領域のアミノ酸配列を得る。2G9抗体の可変領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列はオリジナルの2G9抗体可変領域の塩基配列に加えて、さらにその使用コドンを変化させることにより表2に示すように多種存在する。それらの中からオリゴヌクレオチドとして化学合成可能な適当な長さ毎に、ある種の制限酵素認識断片を持つものを選び出した(表2)。
Figure 0004310498
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制限酵素認識断片ごとに区切られた塩基配列を基にオリゴヌクレオチドを化学合成した。合成したオリゴヌクレオチドを順次それぞれの制限酵素で消化後、ライゲーションしていくことにより2G9抗体可変領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列の全長を得た。H鎖、L鎖とも同様に得られた2G9抗体可変領域のcDNA断片(それぞれrVμ2G9,rVκ2G9)をキメラ抗体作成法と同様にヒトIgM抗体H鎖、L鎖の定常領域遺伝子配列(Cμ,Cκ)を有するベクターに組み込み、リコンビナント2G9μ鎖,κ鎖発現プラスミド(それぞれrVμ2G9−Cμ,rVκ2G9−Cκ)を得た(図5)。
実施例5. リコンビナント抗体の発現
この再構成2G9抗体遺伝子発現プラスミドによって得られる抗体活性をCOS7細胞(ATCC CRL 1651)における一時発現系で検討した。これら2種のプラスミド(rVμ2G9−Cμ,rVκ2G9−Cκ)とヒトIgM抗体J鎖発現プラスミド(Cj)の混合物をGIBCO社製のプロトコールどおりに、リポフェクトアミン試薬を用いて遺伝子を導入した。その後、通常培養条件下で2日間培養を続け、遺伝子導入細胞の培養上清を回収した。得られた培養上清を抗ヒトμ抗体、抗ヒトκ抗体を用いたサンドイッチELISA法によるアッセイ系により、培養上清中に存在するリコンビナント2G9抗体を確認した。また、この培養上清を用いてU937細胞、MOLT−4細胞およびU937細胞にHIV−1のIIIB株を感染させたU937/IIIB、MOLT−4/IIIBなどを用いてFACS解析を行って、前記した特異性を有する抗体であることを確認した。更に、蛍光標識したもとの2G9抗体とこの培養上清を同時にU937/IIIB、MOLT−4/IIIBに作用させる競合阻害試験によりリコンビナント2G9抗体の活性を確認した。
したがって、表1に示された2G9抗体のμ鎖、κ鎖可変領域の塩基配列が抗HIV活性を担う極めて重要な領域であることが確認された。
この結果から、これらのμ鎖可変領域の塩基配列、及びκ鎖可変領域の塩基配列をコードする遺伝子はリコンビナント抗HIV抗体を作成するにあたり極めて有用な遺伝子であることが確認された。
本発明により得られた2G9抗体は、潜伏感染細胞のOM10.1細胞に対してもアポトーシスを誘導する作用があることが認められた。感染細胞に対してアポトーシスを誘導する作用が2G9抗体にあることが認められた。これに対し、非感染細胞のU937やMOLT−4細胞に対してはこのような傷害作用を示さなかった。この結果、潜伏感染細胞などに対してもアポトーシスを誘導できることから、化学療法剤が効果を発揮することが出来ない感染患者の体内に潜む潜伏感染を排除するための治療剤としても使用しうる。また、リコンビナント抗HIV抗体を作成するにあたり極めて有用なμ鎖可変領域の塩基配列、及びκ鎖可変領域の塩基配列をコードする遺伝子を提供する。

Claims (4)

  1. 腫瘍細胞や正常細胞に発現が認められず、HIV感染細胞に特異的に発現する抗原を認識し、アポトーシスを誘導するヒトIgMに属するモノクローナル抗体であって、該モノクローナル抗体をコードする遺伝子のH鎖の可変領域に配列番号1の核酸配列を含み、L鎖の可変領域に配列番号2の核酸配列を有することを特徴とするモノクローナル抗体。
  2. 腫瘍細胞や正常細胞に発現が認められず、HIV感染細胞に発現する抗原を認識し、HIV感染細胞にアポトーシスを誘導するヒトIgMに属する請求項1に記載のモノクローナル抗体を有効成分として含有することを特徴とするHIV感染症治療剤。
  3. 腫瘍細胞や正常細胞に発現が認められずHIV感染細胞に発現する抗原を識し、HIV感染細胞にアポトーシスを誘導するヒトIgMに属する請求項1に記載のモノクローナル抗体を有効成分として含有することを特徴とするAIDS発症を防止するためのものである請求項2記載の治療剤。
  4. 腫瘍細胞や正常細胞に発現が認められず、HIV感染細胞に特異的に発現する抗原を認識し、HIV感染細胞にアポトーシスを誘導するヒトIgMに属する請求項1に記載のモノクローナル抗体を産生することを特徴とする 寄託番号FERM BP−8378である細胞株。
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