以下、本発明の実施の形態のマイクロフォン装置について、図面を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係るマイクロフォン装置(以下、単にマイクという)を図1に示す。図1はマイクを背面から見た斜視図であり、クリップが閉じた状態と開いた状態を示している。
図1において、マイク1は、概略的には、マイク本体2と、マイク本体2を使用者の首に掛けるためのストラップループを形成するネックストラップ3と、マイク本体2の背面に設けられたクリップ機構4とを備えている。前述したように、本明細書では、ネックストラップ3において、マイク本体2で両端が終わる環状の部分を、ストラップループといい、ストラップループの長さをストラップ長という。クリップ機構4は本発明の挟持手段の一形態であり、下端の挟持箇所11にて対象物を挟持する。このクリップ機構4は、マイク本体2を使用者の被固定部に固定するために用いられる。被固定部は典型的には使用者の衣服であり、例えば襟元やポケットなどである。クリップ機構4は、さらに、ネックストラップ3をマイク本体2に対して固定する機能も有する。このように、本実施の形態では、クリップ機構4が、マイク本体2の固定と、ネックストラップ3の固定とに兼用される。
図2は、マイク1の分解斜視図であり、図3は側面図であり、図4は背面図である。図5は、図4のマイク1をラインA−Aに沿って切断した図であり、図6は、図4のマイク1をラインB−Bに沿って切断した図である。図5及び図6は、クリップ機構が閉じた状態と開いた状態を示している。これらの図を用いてマイク1の構成の詳細について、特に、クリップ機構4の詳細について説明する。
以下の説明において、上、下、左、右は、図2に示されるように、マイク本体2を背面(後ろ側)からみたときの方向を指すものとする。上下方向は、ネックストラップ3でマイク本体2を吊り下げたときの方向に相当する。
マイク本体2は、例えば、赤外線タイプの小型マイクである。マイク本体2は、全体としては卵形の形状を有しており、上端21から下方に向けて、適当な高さまで幅が拡大し、その後は幅が縮小し、下端22に至る。このようなマイク本体2の形状を考慮し、マイク1をティアドロップ型マイク又はペンダント型マイクということもできる。
マイク本体2は、上端21に音孔23を有しており、音孔23の内側には例えばECM(electret condenser microphone)が配置されている。また、マイク本体2の背面には、クリップ機構4を取り付けるためのボス24が設けられている。
クリップ機構4は、クリップベース5と、クリップ片6と、スプリング7で構成されている。クリップベース5は、スプリング7とともに取付ネジ8でマイク本体2の背面のボス24に固定されている。クリップ片6は、クリップベース5に回動可能に支持されている。スプリング7は、本発明の弾性部材の一形態であり、クリップ片6の下方の部分をクリップベース5に向けて付勢して、クリップ機構4を閉じさせる。
クリップベース5及びクリップ片6は樹脂製であり、左右対称の形状を有する。クリップ片6は、マイク本体2の形状に対応して上端から下端に向けて幅が拡大する幅拡大形状を有しており、全体としては略3角形である。クリップベース5は、クリップ片6の約下半部と対応して左右に延びる形状を有している。クリップベース5の中央にはリング部51が設けられており、リング部51から上方へ上アーム52が延びている。
クリップベース5及びクリップ片6は、クリップ機構4の挟持箇所11に対応する領域に、当接部53及び当接部61をそれぞれ有している。挟持箇所11は、図1に示される通り、クリップ片6の下端付近の領域である。当接部53はクリップベース5上でクリップ片61を向いた面に設けられ、当接部61はクリップ片6上でクリップベース5を向いた面に設けられ、当接部53、61は互いに向き合うように配置されている。クリップベース5の当接部53は、複数の円弧状の細長い突起で構成されており、それら複数の突起が同心円を描いている。クリップ片6の当接部61も、複数の円弧状の細長い突起で構成されており、それら複数の突起が同心円を描いている。当接部53の突起と当接部61の突起とは互い違いに配置されている。
クリップ片6は、中央上部に2つの壁部62を有している。これら壁部62は、クリップベース5に向けて突出しており、互いに間隔を開けて上下方向に延びている。両壁部62の内側には支点突起63がクリップベース5へ向けて突出するように設けられている。一方、クリップベース5の上アーム52の両側には壁部54が設けられており、各壁部54には支点溝55が設けられている。支点突起63が支点溝55に嵌まっており、これにより、クリップ片6は、支点突起63及び支点溝55からなる支点を中心として、クリップベース5に対して回動(揺動)可能である。クリップ片6の両側の壁部62は、クリップベース5の両壁部54の外側に位置しており、クリップ片6の回動動作を案内する。
スプリング7は、細長い板バネであり、基端側に円板部71を有しており、円板部71から上方に帯部72が延びている。帯部72は、折り曲げられた形状を有し、前帯部73と後帯部74で構成される。円板部71から上方に前帯部73が延び、前帯部73の上端が後方に曲げられており、後帯部74が下方に延びており、後帯部74は先端に係合部75を有している。係合部75は、組付状態でクリップ片6へ向けて屈曲した部分である。
スプリング7は、円板部71がクリップベース5のリング部51の後面に重なるように配置されている。円板部71の中央の開口に取付ネジ8が通されており、円板部71がクリップベース5とともにマイク本体2のボス24に締結されている。
また、円板部71の両側の切欠き76がリング部51の両側の突起56と係合することにより、スプリング7が位置決めされている。そして、スプリング7の帯部72は、クリップベース5の上アーム52に設けられた両壁部54の間に位置している。
帯部72の先端の係合部75は、クリップ片6の後面に係合している。これにより、スプリング7は、前帯部73及び後帯部74が閉じる方向にクリップ片6を付勢している。係合部75が支点より下方に位置するので、クリップ片6の下端の当接部61が、クリップベース5に向けて付勢される。
また、図2に示されるように、クリップベース5は、さらに、左右の案内スリット57を有している。左右の案内スリット57は対称であり、横方向に延びている。そして、左右の案内スリット57は、リング部51の下端の両側であって、挟持箇所11に設けられた当接部53の上方に位置している。
案内スリット57にはネックストラップ3が通されている。図2ではネックストラップ3の一部が想像線で示されているが、ネックストラップ3は首掛けのためのストラップループを形成している。ストラップループの両端部分は、まず、マイク本体2とクリップベース5の間を通る。クリップベース5の両端は図2に示されるようにマイク本体2に向けて突き出している。ネックストラップ3は、クリップベース5とマイク本体3の間で、両端の突出部分の内側であって、リング部51の両側を通る。そして、ネックストラップ3は、左右の案内スリット57に通されて、クリップベース5とクリップ片6の隙間に入り、下方へ垂れ下がり、当接部53、61の間に達しており、当接部53、61に挟まれている。このような構成により、クリップ機構4の挟持箇所11を、案内スリット57により案内されたネックストラップ3が通る経路上に配置することができる。ネックストラップ3の左右の部分は、図示されないが、挟持箇所11の下方で結合されている。
上記構成により、図3に示すように、クリップ片6は、支点突起63を中心として約20°の範囲で回動可能であり、クリップ片6の回動によってクリップ機構4を開閉可能である。
図5及び図6に示すように、クリップ片6に外力が加えられないときは(無負荷状態)、クリップ片6にスプリング7のテンションが加わり、クリップ機構4の下端が閉じている。そして、ネックストラップ3は、クリップベース5の当接部53とクリップ片6の当接部61に挟まれ、マイク本体2に対して固定されている。
クリップ片6に開放操作力が加えられると、クリップ機構4の下端が開く(クリップ開放)。開放操作力は、図示のように、クリップ片6の上部をマイク本体2に向けて押すように、使用者の指で加えられる。クリップ開放により、ネックストラップ3は当接部53、61に挟まれなくなり、案内スリット57内を自在に移動可能になり、そして、ストラップ長を任意の長さに変更可能になる。
また、クリップ機構4が開くと、クリップ片6とクリップベース5の間に使用者の衣服を挿入可能になる。そして、当接部53、61の間に衣服を挿入し、操作力を取り除くと、衣服が当接部53、61に挟まれ、マイク本体2が衣服に固定される。このとき、衣服とネックストラップ3が重なった状態で当接部53、61に挟まれる。こうして、クリップ機構4は、マイク本体2の固定とネックストラップ3の固定に兼用される。
図4には、挿入領域41が斜線で示されている。挿入領域41は、クリップ機構4を開いたときに衣服等を挿入可能な隙間が形成される領域である。挿入領域41は、クリップ片6の中央上部の細長い領域42を除いた広い範囲である。領域42は、取付ネジ8とその上方のスプリング7の周辺部分である。また、本実施の形態では、クリップ機構4の挟持箇所11(当接部53、61の領域)がクリップ機構4の下端にそって左右に広がっている。このような構成により、図7に示されるように、衣服のいろいろな向きの縁部をクリップ機構4で挟むことができ、したがって、マイク1を衣服のいろいろな場所に固定できる。
図7には、2つの例が示されている。一例では、マイク1が襟元に固定されている。襟元の縁部が縦方向に延びているので、クリップ機構4の片側の領域に襟元が挿入され、固定されている。もう一つの例では、マイク1がポケットに固定されている。ポケットの縁部が横方向に延びているので、クリップ機構4の下方領域にポケットが挿入され、固定されている。図7では、ネックストラップ3が省略されている。
以上に、本実施の形態に係るマイク1の構成について説明した。次に、マイク1の動作を説明する。ここでは、マイク1を使用者に装着するときの動作を説明する。
装着前、ネックストラップ3に使用者の頭部を通せるように、ストラップ長が十分に確保される。ストラップ長が短い場合には、クリップ機構4を開放し、ネックストラップ3がマイク本体2に対して動かされ、ストラップ長が増大される。
マイク1を装着するときは、ネックストラップ3に使用者の頭部が通される。そして、クリップ機構4を開放し、ストラップ長が短くなるように、マイク本体2がネックストラップ3に沿って上方に動かされる。マイク本体2を適当な高さまで動かすと、ストラップ長が適当になる。そして、衣服の適当な被固定部を、クリップ機構4の当接部53、61の隙間に挿入し、クリップ機構4を閉じる。その結果、マイク本体2が衣服に固定され、同時に、ネックストラップ3がマイク本体2に対して固定される。
上記の動作では、クリップ機構4を利用してマイク1が衣服に固定された。しかし、マイク1は、衣服に固定することなく使用されてもよい。この場合は、ストラップ長が適当になったときにクリップ機構4が閉じられる。ネックストラップ3はクリップ機構4により自動的にマイク本体2に対して固定される。
次に、本実施の形態の好適な変形例について説明する。図8及び図9を参照すると、この変形例では、ネックストラップ3の途中にバックル機構81が設けられている。バックル機構81は、マイク1を装着した時にマイク本体2と使用者の肩との間に位置するように設けられている。バックル機構81は、2つの部品83、85で構成されており、指先で容易に分離及び結合できる。バックル機構81を分離すると、ネックストラップ3が分断される。
この構成によれば、ストラップ長を一旦最適値に調整した後は、バックル機構81を分離及び結合することにより、マイク1を脱着できる。したがって、ストラップ長の再調整が不要になり、脱着時の使用者のストレスを軽減できる。
次に、本実施の形態のもう一つの好適な変形例を説明する。以下の説明において、図1の実施の形態と共通する事項の説明は省略する。図10及び図11を参照すると、この変形例では、マイク本体2とクリップ機構4との角度を調整する角度調整機構91が設けられている。角度調整機構91は、クリップ機構4による挟持方向と交差した面上でマイク本体2をクリップ機構4に対して相対的に回動可能とし、かつ、回動後の角度でマイク本体2を停止させる。角度調整機構91は、例えば、回転ラチェット装置又は回転トルクヒンジ装置によって実現される。角度調整機構91を設けることにより、マイク本体2をクリップ機構4で衣服に固定した後でも、マイク本体2の角度を自由に調整できる。したがって、使用者の口の方向を向くようにマイク本体2の音孔の向きを適切に調整できる。
図12及び図13は、角度調整機構91の構成例を示している。この例では、角度調整機構91が回転ラチェット装置である。図示のように、マイク本体2の背面からは、軸受92が突出している。軸受92の下方には、軸受92と間隔をあけて歯止めばね93が設けられている。歯止めばね93は下方向に弾性変形可能である。
クリップ機構4側では、クリップベース5のリング部94の外周にピニオン95が設けられている。ピニオン95の外周には複数の凹部が等間隔で設けられている。リング部94が軸受92に嵌められており、取付ネジ96が、クリップ片6、スプリング7及びクリップベース5を通して軸受92の中央のネジ穴97に締め付けられており、これによりクリップ機構4がマイク本体2に取り付けられている。クリップ機構4は、取付ネジ96によって軸方向には拘束されているが、軸回りの方向には拘束されていない。またクリップ機構4は上述の実施の形態と同様にして開閉可能であり、ネックストラップ3を固定し、また、マイク本体2を衣服に固定するために用いられる。
図13に示されるように、クリップベース5のピニオン95は、マイク本体2の歯止めばね93と嵌合している。そのため、所定の回転トルクが加えられない限りは、クリップ機構4は回転しない。所定の回転トルクが加わると、歯止めばね93が下方に弾性変形し、ピニオン95の拘束が解除され、クリップ機構4とマイク本体2が相対的に回動可能になる。そして、ピニオン95の外周の任意の凹部が歯止めばね93と係合する位置で、マイク本体2とクリップ機構4を固定可能である。
上記の角度調整機構91を利用するときは、マイク本体2が上述の実施の形態と同様に、使用者の衣服に取り付けられる。そして、マイク本体2が使用者の手で回動される。所定のトルクが加わると、上記のように歯止めばね93が変形し、マイク本体2が回動する。マイク本体2は、音穴が使用者の口を向く適当な位置まで回される。例えば、図11に示されるように、マイク本体2が襟元に斜めに取り付けられた場合、マイク本体2の上端の音穴は使用者の口を向いていない。しかし、マイク本体2の角度を調整することにより、音穴を使用者の口へ適切に向けることができる。
次に、本実施の形態のもう一つの好適な変形例を説明する。この実施の形態では、ネックストラップが容易に着脱可能なようにマイクが構成される。以下の説明において、図1の実施の形態と共通する事項の説明は省略する。
夏場や部屋の暑さなどによる発汗で、ネックストラップに汗が浸み込み、濡れることがある。マイクが複数の使用者により共用される場合、汗の浸み込んだネックストラップは、使用者に不快感を与えると共に、衛生管理の観点からも好ましくはない。このような問題を解決するため、本実施の形態は、以下に説明するように、ネックストラップを容易に着脱可能にマイクが構成される。
図14〜図16は、本実施の形態のマイクを示している。図14及び図15は斜視図であり、図16は図15をラインC−Cで切断した図であって、ネックストラップの脱着動作を示している。マイク101は、マイク本体102、ネックストラップ103及びクリップ機構104で構成されており、クリップ機構104は、クリップベース105、クリップ片106及び弾性部材107を有する。
図15に示されるように、クリップベース105は、図2に示されたクリップベース5と比べて左右方向の幅が小さく構成される。左右の案内スリット111は、クリップベース105の左右両端まで続いており、端部が開いている。言い換えれば、左右の案内スリット111は、両端から中央のリング部112付近まで続く細くて深い切欠き溝で構成される。これにより、クリップベース105は、案内スリット111で上部と下部に分けられる。下部には、前述の実施の形態と同様に当接部113が設けられる。
また、クリップベース105は、弾性ストッパー121を有している。弾性ストッパー121は、通常はネックストラップ103が横方向にずれて案内スリット111から抜けるのを防止する構成であって、ストラップ脱着時には拘束を解除してネックストラップ103を移動可能にする機能を持つ。
本実施の形態では、案内スリット111の上側の部分が、弾性ストッパー121に相当する。弾性ストッパー121は、横方向に外側へ向けて延びた比較的細い部分であり、弾性変形して撓むことができる。弾性ストッパー121は先端に突起122を有している。突起122は、マイク本体102に向けて突出しており、マイク本体102と小さい隙間123を隔てて離れており、突起122がストッパー機能を提供する。ストラップ脱着時には、弾性ストッパー121が弾性変形して撓み、突起122がマイク本体102から離れ、隙間123が大きくなる。
また、本実施の形態では、クリップ片106が、左右の端部にストッパーフック131を有している。ストッパーフック131は、マイク本体102に向かって突出し、マイク本体102の背面両端部の近傍まで達している。ストッパーフック131は、クリップベース105の横端部分に対応する位置に設けられており、クリップベース105の外側を覆っている。
ストッパーフック131は、先端に装着ガイド面132を有する。装着ガイド面132は、図16に示されるように、ストッパーフック131の外側の傾斜面である。ストッパーフック131の先端部が、先細り形状を有しており、先細り形状の外側面が装着ガイド面132である。
次に、本実施の形態に係るマイク101の動作を説明する。ストラップ装着状態では、ネックストラップ103は、クリップベース105とマイク本体102の隙間であって、弾性ストッパー121の突起122の内側を通っている。そして、ネックストラップ103は、案内スリット111を通り、下方へ延びている。ネックストラップ103の横方向の移動は、弾性ストッパー121により規制されており、さらに、クリップ片106のストッパーフック131によっても規制される。したがって、通常使用時、ネックストラップ103は容易には外れ難い。
ネックストラップ103をマイク101から外すときは、クリップ機構104が開かれる。そして、図15及び図16に矢印で示されるように、ネックストラップ103が横方向に外側へ向けて引っ張られる。取り外しに必要な所定の力が加えられると、弾性ストッパー121が弾性変形し、突起122とマイク本体102の隙間123が大きくなる。ネックストラップ103は、案内スリット111に対して横方向に移動し、隙間123を通過し、マイク本体102から離脱する。こうして、本実施の形態によれば、工具等を用いることなく、容易にネックストラップ103を取り外せる。
ネックストラップ103をマイク101に取り付けるときは、ネックストラップ103の端面が、クリップ片106の装着ガイド面132に突き当てられ、押しつけられる。図15及び図16に矢印で示されるように、装着に必要な所定の力が加えられると、クリップ機構104が開き、ネックストラップ103がクリップベース105に達する。そして、ネックストラップ103から与えられる荷重により、弾性ストッパー121が弾性変形し、弾性ストッパー121の突起122とマイク本体102の隙間123が拡大する。そして、ネックストラップ103は隙間123を通り、案内スリット111に横方向から挿入される。ネックストラップ103が案内スリット111に入ると、クリップ機構104は弾性力で閉じる。また、弾性ストッパー121の形状も復元し、隙間123が小さくなる。こうして、ネックストラップ103の装着も、工具等を用いることなく容易に行える。
図14において、ネックストラップ103は、マイク101の専用の部品である。これに対し、ネックストラップ109は、市販のネックストラップであるとする。案内スリット111を通過する必要があるのでネックストラップ109の紐形状の幅と厚さがある程度制限されるものの、ネックストラップ103に代えてネックストラップ109を装着することができる。この場合でも、上述した実施の形態と同様に、クリップ機構104を使用することができ、着衣へのマイク本体の固定、ストラップ長さの調節、ストラップ固定といった機能を利用できる。
以上に説明したように、図14〜図16の構成では、マイク101が弾性ストッパー121を有する。弾性ストッパー121は、ストラップ装着状態ではネックストラップ103が横にずれて案内スリット111から抜けるのを防止する機能を提供し、かつ、ストラップ脱着時には弾性変形することにより拘束を解除してネックストラップ103を移動可能にする。弾性ストッパー121を設けることにより、ネックストラップ103を容易に交換することができる。したがって、複数の使用者でマイク101を利用する場合に、個々人で別々のネックストラップ103を使用することができる。更に、市販のネックストラップ109も使用可能であり、このことも、個々人での別々のネックストラップの使用を容易にする。こうして、他人の汗の浸み込んだネックストラップの使用を回避可能にして、使用者の不快感を低減できる。
以上に、本発明の実施の形態に係るマイク1について説明した。上記の実施の形態では、クリップ機構4が本発明の挟持手段に相当し、案内スリット57が本発明のストラップ案内手段に相当する。本実施の形態によれば、ネックストラップ3のストラップループの両端部分が、ストラップ案内手段によってマイク本体2に沿うように案内される。そして、挟持手段の挟持箇所11が、ストラップ案内手段により案内されたネックストラップ3が通る経路上に配置されている。このような構成により、挟持手段が使用者の被固定部と共にネックストラップをも挟持する。したがって、挟持手段が、使用者の被固定部へのマイク本体2の固定と、ネックストラップ3の固定とに兼用される。
上記構成により、挟持手段にてマイク本体2を被固定部に固定でき、かつ、接触衝撃音の原因になる従来のストラップ固定部品も不要になる。したがって、マイク本体2の揺動による接触衝撃音の発生を防止できる。
また、ストラップ長の調整作業において、従来のストラップ固定部品を使用しないでも、ネックストラップ3とマイク本体2が挟持手段により自動的に固定される。したがって、ストラップ長の調整作業が簡単になり、ネックストラップ3が確実に固定される。ネックストラップ3が固定されないことによるマイク本体2のずれ落ちを防止できる。
さらに、ストラップ長の調整作業が容易なので、使用者は着脱の度にストラップ長を調整しても煩わしさを感じないで済む。上記の例でいえば、マイク本体2をネックストラップ3に対して移動してから衣服の適当な場所にクリップ機構4で固定すると、ストラップ長の調整が終了する。したがって、ネックストラップ3が長すぎる状態で使用される可能性も低減できる。そして、使用者の口からマイク本体2が遠すぎて入力音圧が不足する可能性も低減できる。
このようにして、本実施の形態によれば、マイク本体の揺動による接触衝撃音の発生を防止でき、ストラップ長の調整作業を簡単にしてネックストラップが確実に固定されるようにでき、ネックストラップが長すぎる状態で使用される可能性を低減できる。
また、本実施の形態では、挟持手段がクリップ機構4であり、マイク本体2の背面に設けられたクリップベース5と、クリップベース5に対して回動可能なクリップ片6と、クリップ片6をクリップベース5に付勢する弾性部材とで構成される。挟持手段が弾性的に開閉するクリップ機構4で実現され、操作が容易である。
また、本実施の形態では、ストラップ案内手段が、クリップベース5に設けられた左右の案内スリット57であり、案内スリット57は、クリップ機構4の挟持箇所11の上方に配置されている。そして、ネックストラップ3が案内スリット57を通過してクリップベース5とクリップ片6の隙間に入り、下方の挟持箇所11へと至っている。このような構成を設けることにより、ネックストラップ3をクリップ機構4の挟持箇所11へと簡単な構成により案内することができる。
また、本実施の形態では、マイク本体2が、上端から下方に向けて幅が拡大する形状をマイク本体2の全体形状の少なくとも一部として有している。クリップ片6は、マイク本体2の形状に対応してクリップ上端からクリップ下端に向けて幅が拡大する幅拡大形状を有している。そして、幅拡大形状の幅方向の中央部の取付箇所にてクリップ機構4がマイク本体2に取り付けられており、クリップ機構4は、挟持箇所11が取付箇所より下方で取付箇所の左右の領域を含むように構成されている。このような構成により、クリップ片6の左右両側の領域の少なくとも一方を使用して、操作者の被固定部を挟持することができ、使用者のいろいろな部位を被固定部として使用可能であり、利便性を増大できる。
また、本実施の形態では、図10〜図13を用いて説明したように、角度調整機構91が設けられる。角度調整機構91は、クリップ機構4による挟持方向と交差した面上でマイク本体2をクリップ機構4に対して回動可能に保持し、かつ、回動後の角度でマイク本体2を停止させることにより、マイク本体2とクリップ機構4との角度を調整する。このような構成により、マイク本体2を被固定部に固定した後でも、マイク本体2の角度を自由に調整でき、使用者の口の方向を向くようにマイク音孔の向きを適切に調整できる。
また、本実施の形態では、図14〜図16を用いて説明したように、クリップベース105が弾性ストッパー121を有する。この構成により、弾性ストッパー121による拘束を解除することで、ネックストラップ103を容易に交換することができる。例えば、複数の使用者でマイク101を利用する場合に、個々人で別々のネックストラップ103、109を使用することができ、使用者の不快感を低減できる。
また、本実施の形態では、図8及び図9を用いて説明したように、ネックストラップ3を途中で分断可能に連結するバックル機構81が設けられる。これにより、ストラップ長さを一旦調整した後に、再調整が不要になる。したがって、脱着時の使用者のストレスを低減できる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。