JP4309865B2 - 床構造の変更方法 - Google Patents

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本発明は、既存の床構造を暖房機能を具備した床構造に変更する床構造の変更方法に関するものである。
近年、居住快適性の向上のため床暖房装置を設置する住まいやオフィス等が増加している。
図6,7は、従来の床暖房装置の一例であり、例えば土台12,大引1の上部に配設される根太2の上に、熱源パイプ4の径を考慮した間隙を介在せしめた合板13を所定間隔を置いて並設し、この合板13同志の間隙に加熱流体が通過する熱源パイプ4を配設し、この合板13及び熱源パイプ4の上に適宜なフローリング材3を積層せしめたものである。尚、本実施例と同一部分には同一符号を付した。
ところで、上記図6,7の床暖房装置は、新築用としては適するが、既存の住まいやオフィス等の床構造を上記図6,7の床暖房装置を設けた床構造に変更しようとする場合には種々の問題が生じてしまう。
即ち、この従来の床暖房装置を既存の住まいやオフィス等に施工する場合、先ず、フローリング材3の上部に配される全ての家具を移動させ、続いて、フローリング材3を剥がし、続いて、根太2を取り替え、続いて、この新たな根太2の上に合板13を載置し、続いて、この合板13の間に熱源パイプ4を配設し、続いて、この合板13の上に新たにフローリング材3を敷設して、前述した家具を戻すことになる。尚、上記工程で根太2を取り替えるのは、該根太2の上に合板13を載置することで施工前よりも床面が上昇してしまうのを防止するためであり、高さの低い根太2に取り替えている(場合によっては土台12や大引1にも手を加える場合もある。)。
従って、既存の住まいやオフィス等の床構造を上記図6,7の床暖房装置を設けた床構造に変更しようとする場合には、フローリング材3の上部に配される全ての家具を移動させる必要があり、また、フローリング材3を剥がして合板13と熱源パイプ4を配設したり、根太2等を取り替えたりしなければならず、人手や時間を掛けた大掛かりな大工工事が必要となり、更に、工事期間が長く、工事中はその施工場所は使えず、施工コストが高く、厄介であった。
本願発明は、上述の問題点に鑑みこれを解決するもので、フローリング上の家具等の移動や大掛かりな大工工事を不要として、人手と施工期間とを省略することで施工コストを大幅に低減でき、しかも施工期間中も普段同様に施工場所を利用することができる画期的な床構造の変更方法を提供するものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
フローリング材3が配設された床構造を該フローリング材3を剥がすことなく暖房機能を具備した床構造に変更する床構造の変更方法であって、前記床構造は、大引や根太受けなどの第一水平材1の上に所定間隔で複数の第二水平材2が架設され、この第二水平材2の上に前記フローリング材3が配設された床構造であり、所定区域の前記フローリング材3の裏面に、所定長さを有する発熱体4が配設される凹溝7が形成された伝熱板6が該発熱体4の長さ方向にスライド自在となるように重ね合わせられて成る伝熱体を、この伝熱体の両側縁が夫々前記第二水平材2と前記フローリング材3の裏面との間隙に嵌入される状態で配設する工程と、前記伝熱体を前記伝熱板6をスライドさせて伸長させる工程と、前記各伝熱板6の前記凹溝7に前記発熱体4を配設する工程と、前記発熱体4に熱源5を連結する工程とを有することを特徴とする床構造の変更方法に係るものである。
また、請求項1記載の床構造の変更方法において、前記第二水平材2間の区域が複数集合して前記所定区域となることを特徴とする床構造の変更方法に係るものである。
また、請求項2記載の床構造の変更方法において、前記第二水平材2間の各区域に配設される前記発熱体4同志は連設されていることを特徴とする床構造の変更方法に係るものである。
また、請求項1〜3いずれか1項記載の床構造の変更方法において、前記発熱体4は前記伝熱板6と前記フローリング材3の裏面とで挟持されることを特徴とする床構造の変更方法に係るものである。
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の床構造の変更方法において、前記伝熱板6は、適度な弾性を有し、更に、前記第二水平材2間の区域幅より幅広であり、更に、両縁が前記フローリング材3と前記第二水平材2との間に嵌入されるものであることを特徴とする床構造の変更方法に係るものである。
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の床構造の変更方法において、前記伝熱板6の下方に断熱材11が設けられることを特徴とする床構造の変更方法に係るものである。
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の床構造の変更方法において、前記発熱体4は熱源流体が流通する発熱管体であり、前記熱源5は熱源流体供給部5であることを特徴とする床構造の変更方法に係るものである。
また、請求項1〜6いずれか1項に記載の床構造の変更方法において、前記発熱体4は通電により発熱する発熱体4であり、前記熱源5は電気供給装置5であることを特徴とする床構造の変更方法に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、前述した従来から提案される床暖房装置と異なり、例えばフローリング上の家具等の移動や大掛かりな大工工事が不要となるから、人手と施工期間を省略でき、よって施工コストを大幅に低減できる上、施工期間中も普段同様に施工場所を利用することができる画期的な床構造の変更方法となる。
フローリング材3が配設された床構造を暖房機能を具備した床構造に変更するに際し、例えば、フローリング材3の裏面に位置する空間(所謂床下)に入り込み、所定区域のフローリング材3の裏面に、該フローリング材3を剥がすことなく、発熱体4を配設し、該発熱体4に熱源5を連結する。
従って、前述した従来から提案される床暖房装置と異なり、床下から施工することになるから、フローリング材3を剥がさずとも、簡易且つ確実に暖房機能を具備した床構造が得られることになる。
本発明の具体的な実施例について図1〜図3に基づいて説明する。
本実施例は、大引や根太受けなどの第一水平材1の上に所定間隔で第二水平材2が架設され、この第二水平材2の上にフローリング材3が配設された床構造を、暖房機能を具備した床構造に変更する床構造の変更方法である。
尚、本実施例は、第一水平材1を土台の上に周設される大引とし、建物の一階の床構造を暖房機能を具備した床構造に変更する場合で説明しているが、例えば第一水平材1を根太受けや根太掛けとし、建物の2階より上の階における床構造を暖房機能を具備した床構造に変更する場合でも良く、同様の作用効果を発揮する。
本実施例では、床暖房装置として、熱源流体供給装置5から供給される熱源流体(湯)をフローリング材3の裏面に配設される発熱体4に通過させて、該発熱体4から放熱することでフローリング材3を暖める構造の床暖房装置を採用している。
発熱体4は、図1に図示したように可撓性を有する1本ものの発熱管体を採用する。具体的には、架橋ポリエチレンパイプを採用している。尚、発熱体4は1本もののタイプに限らず、短い発熱体4同志を接続する接続タイプでも良い。また、この発熱体4は、伝熱板6上に設けられ、この伝熱板6がフローリング材3の裏面に配設される。
伝熱板6は、図1,2に図示したような薄板状の金属板材である。
伝熱板6は、具体的には、アルミ板を採用している。尚、伝熱板6は、目的に合わせてアルミ板以外の、例えば、錫板、銅板、ステンレス鋼板なども適宜採用できる。
また、伝熱板6には凹溝7が設けられている。
この凹溝7は、逆Ω字状の凹溝7であり、発熱体4を配設するためのガイドとなるものである。この凹溝7に発熱体4を配した状態で伝熱板6をフローリング材3の裏面に配することにより、発熱体4はフローリング材3の裏面に添設されることになる。
また、この凹溝7は、発熱体4に熱源流体(湯)が通過した際に生じる、該発熱体4の径の膨張を考慮した凹み度合いに設定されている。従って、この凹溝7に配設された発熱体4が膨張しても、フローリング材3の裏面と伝熱板6の当接状態が保たれる。
尚、この凹溝7は現場で伝熱板6を手で押圧して形成しても良いし、予め工場等でプレス加工により形成しても良い。
また、伝熱板6は、適度な弾性を有し、前記第二水平材2間の区域幅より幅広に設けられている。
本実施例の伝熱板6は、第二水平材2の長さ方向に端部を重ねて複数枚スライド可能に連設したものであるが、一枚ものの伝熱板6を採用しても良い。
伝熱板6はフローリング材3の下側に持ち込まれるものであるため、伝熱板6が長すぎると作業者がフローリング材3の下側に持ち込み難く、また、フローリング材3の下側における作業性が低下する場合がある為、長さ方向に複数枚連設した構成が望ましい。
図中符号10は添木であり、フローリング材3に打ち込まれる釘止めにより伝熱板6の裏面に固定されている。従って、伝熱板6がフローリング材3の裏面に確実に固定される。
また、図中符号11は断熱材であり、この断熱材も同様、フローリング材3に打ち込まれる釘止めにより伝熱板6の下側に固定されている。従って、発熱体4から伝熱板6の下側、即ちフローリング材3とは反対側への無駄な放熱が防止される。
次に、本実施例の伝熱板6及び発熱体4の施工方法について説明する。
本実施例は、フローリング材3を剥がさずに、床下にて施工を行う。例えば、床下収納庫が設けられている場合、フローリング材3の一部に設けられた床下収納庫の扉を開け、収納部から床下に入って施工を行ったり、フローリング材3が敷設された部屋に隣接する畳の部屋の畳及び床板を剥がして当該床暖房機能を具備せしめたい部屋の床下に入って施工を行う。
床下に入ったら先ず、伝熱板6の両縁部を前記フローリング材3と第二水平材2との間に嵌合する。
伝熱板6は、凹溝7の溝幅を狭めたり、伝熱板6を略U字状に撓めることにより、幅方向に撓ませる。
尚、伝熱板6は、フローリング材3の下側で撓ませても良く、ロープ等で縛ってあらかじめ撓ませた状態のものをフローリング材3の下側に持ち込んで、このロープを切断することにより撓み状態を解除しても良い。
続いて、この伝熱板6の表面(凹溝7が設けられた面)を第二水平材2間の区域のフローリング材3の裏面に当接させ、この伝熱板6の撓みを解除すると、伝熱板6は上述したように、適度な弾性を有し、前記第二水平材2間の区域幅より幅広に設けられているから、伝熱板6の両縁部が前記フローリング材3と第二水平材2との間に嵌入し、伝熱板6がフローリング材3の裏面に添設状態で固定される。
同様の方法を前記第二水平材2間の全ての区域に施す。
続いて、図1に図示したように、一本ものの発熱体4を伝熱板6Aの凹溝7の一開口端7aから他開口端7bに向けて嵌挿し、第二水平材2bの下側をくぐらせるようにして蛇行状態に隣接する伝熱板6Bの凹溝7の一開口端7cから他開口端7dに向けて発熱体4を嵌挿してフローリング材3の裏面全面に発熱体4を蛇行配設する。
続いて、前記発熱体4と熱源流体供給部5を連結して発熱体4の内部に熱源流体(湯)を流通させる。
尚、フローリング材3の下側に持ち込み易いように短い伝熱板6とし、この短い伝熱板6を複数枚直列に配設することも考えられるが、このように複数枚直列に配設した伝熱板6同士には段差が生じ易く、よって、各伝熱板6を直列に配設した際に形成された凹溝7にズレが生じ、発熱体4を嵌挿する際に引っかかってスムーズに嵌挿できない問題があったり、凹溝7のズレによる間隙から無駄な放熱が起きて熱効率が低下しやすい。
そこで、伝熱板6を、複数枚(図3中においては2枚)重ねてスライドさせて伸縮できるような伝熱板6とすると、フローリング材3の下側にこの伝熱板6を持ち込み易く、施工を妨げることがなく、また、複数枚重ねてスライドさせた伝熱板6同士には段差の影響がなく(発熱体4の挿入方向が、段差が下がる方向のとき)、発熱体4の嵌挿がスムーズで、無駄な放熱の原因となる間隙も生じない。
本実施例は上述のように構成したから、フローリング材3を剥がさずともフローリング材3の裏面に発熱体4を配設できることとなり、フローリング上の家具等の移動や大掛かりな大工工事が不要となるから、人手と施工期間を省略でき、よって従来から提案される床暖房装置と比して施工コストがおよそ1/3に大幅に低減できる上、施工期間中も普段同様に施工場所を利用することができる画期的な床構造の変更方法となる。
また、本実施例は、前記フローリング材3の裏面とで発熱体4を挟持する伝熱板6としたから、極めて簡易且つ効率的に管体4をフローリング材3の裏面に配設できる床構造の変更方法となる。
また、本実施例は、伝熱板6に設ける凹溝7を、発熱体4に熱源流体(湯)が通過した際に生じる該発熱体4の径の膨張を考慮した凹み度合いに設定するから、この凹溝7に配設された発熱体4が膨張しても、フローリング材3の裏面と伝熱板6との当接状態を保つことができる。
また、本実施例は、適度な弾性を有し、前記第二水平材2間の区域幅より幅広に設けられた伝熱板6を撓ませて前記フローリング材3の下側においてこの伝熱板6の撓み状態を解除することで、この伝熱板6をフローリング材3の裏面に添設状態で固定する構成としたから、伝熱板6をフローリング材3の裏面に付設する場合の施工が極めて容易で、施工期間も極めて短期に行うことができ、よって、一層の施工コストの低減化を達成できる。
また、本実施例は、可撓性を有する1本ものの発熱管体を採用したから、複数の発熱管体を繋ぎ合せた際の熱源流体の漏れなどの心配がない床構造の変更方法となる。
また、本実施例は、伝熱板6を、複数枚スライドさせて伸縮できるような伝熱板6としたから、フローリング材3の下側にこの伝熱板6を持ち込み易く、施工を妨げることがなく、また、複数枚重ねてスライドさせた伝熱板6同士には段差の影響がなく発熱体4の嵌挿がスムーズで、無駄な放熱の原因となる間隙も生じない。
本発明の具体的な実施例について図4,図5に基づいて説明する。
本実施例では、床暖房装置として、電気供給装置5から供給される電気をフローリング材3の裏面に配設される発熱体4に供給し、該発熱体4から放熱することでフローリング材3を暖める構造の床暖房装置を採用している。
発熱体4は、図5に図示したように可撓性を有する1本ものを採用する。具体的には、電熱線を採用している。尚、発熱体4は1本もののタイプに限らず、短い発熱体4同士を接続する接続タイプでも良い。
また、発熱体4として、本実施例以外に面状発熱体を採用しても良い。
本実施例の発熱体4は、第二水平材2間の幅より小さい幅の板状の伝熱板6(実施例1の伝熱板6と異なり、凹溝7が存しないもの)とフローリング材3の裏面との間に配設される。
具体的には、発熱体4は、フローリング材3を剥がすことなく、あらかじめフローリング材3の裏面の所定位置に仮止め状態で配設し、続いて、この発熱体4に伝熱板6を重ねて該発熱体4をフローリング材3の裏面に固定させる。
尚、フローリング材3と伝熱板6とは接着剤を用いたり、伝熱板6をフローリング材3に釘打ちしたりする。
また、本実施例の発熱体4は、実施例1の発熱体4とは異なり、径小であって且つ膨張することがないため、凹溝7は必要がない。
本実施例は伝熱板6を用いず、断熱材11をフローリング材3の裏面に設け、この断熱材11とフローリング材3とで発熱体4を挟持する構成である。
尚、断熱材11も、フローリング材3の裏面に接着剤により貼着しても良いし、釘止めしても良い。
本実施例は、上述のように構成したから、発熱体4などをフローリング材3の裏面に簡易且つ確実に配設できる。
また、本実施例は、発熱体4として通電により発熱する発熱体4を採用したから、通水する発熱管体に比し、施工作業が容易となると共に、メンテナンスが容易となる。
その余は実施例1と同様である。
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
実施例1の平面図である。 実施例1の断面図である。 実施例1の伝熱板の斜視図である。 実施例2の平面図である。 実施例2の断面図である。 従来例の平面図である。 従来例の断面図である。
1 第一水平材
2 第二水平材
3 フローリング材
4 発熱体
5 熱源,熱源流体供給部,電気供給装置
6 伝熱板
7 凹溝
11 断熱材

Claims (8)

  1. フローリング材が配設された床構造を該フローリング材を剥がすことなく暖房機能を具備した床構造に変更する床構造の変更方法であって、前記床構造は、大引や根太受けなどの第一水平材の上に所定間隔で複数の第二水平材が架設され、この第二水平材の上に前記フローリング材が配設された床構造であり、所定区域の前記フローリング材の裏面に、所定長さを有する発熱体が配設される凹溝が形成された伝熱板が該発熱体の長さ方向にスライド自在となるように重ね合わせられて成る伝熱体を、この伝熱体の両側縁が夫々前記第二水平材と前記フローリング材の裏面との間隙に嵌入される状態で配設する工程と、前記伝熱体を前記伝熱板をスライドさせて伸長させる工程と、前記各伝熱板の前記凹溝に前記発熱体を配設する工程と、前記発熱体に熱源を連結する工程とを有することを特徴とする床構造の変更方法。
  2. 請求項1記載の床構造の変更方法において、前記第二水平材間の区域が複数集合して前記所定区域となることを特徴とする床構造の変更方法。
  3. 請求項2記載の床構造の変更方法において、前記第二水平材間の各区域に配設される前記発熱体同志は連設されていることを特徴とする床構造の変更方法。
  4. 請求項1〜3いずれか1項記載の床構造の変更方法において、前記発熱体は前記伝熱板と前記フローリング材の裏面とで挟持されることを特徴とする床構造の変更方法。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載の床構造の変更方法において、前記伝熱板は、適度な弾性を有し、更に、前記第二水平材間の区域幅より幅広であり、更に、両縁が前記フローリング材と前記第二水平材との間に嵌入されるものであることを特徴とする床構造の変更方法。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の床構造の変更方法において、前記伝熱板の下方に断熱材が設けられることを特徴とする床構造の変更方法。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の床構造の変更方法において、前記発熱体は熱源流体が流通する発熱管体であり、前記熱源は熱源流体供給部であることを特徴とする床構造の変更方法。
  8. 請求項1〜6いずれか1項に記載の床構造の変更方法において、前記発熱体は通電により発熱する発熱体であり、前記熱源は電気供給装置であることを特徴とする床構造の変更方法。
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