JP4309056B2 - 無線受信器 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯型及びそれに類する無線受信器への電力供給に関連し、特に、受信器を配置することが可能な、あるいは、受信器が入ることが可能なエリアをカバーする送信器から、特定の受信器に向けて送信される信号をモニタする場合に、一定周期で起動と停止を繰り返す受信器の節電に関する。
[発明の背景]
電池などの使い捨て型電源の如き携帯型またはこれに類する受信器の電源の問題は、当該技術分野において近年かなり注目されてきている。特に、携帯電話やページャー(例えばポケットベル)などに関してはそうであり、受信器の機能を長時間維持するための電源やバッテリーの節電に関するたくさんの特許が発行されている。携帯電話及び移動体通信システムの分野におけるかかるアプローチの典型的なものは、例えば、以下に示す米国特許に開示されている(以下、米国特許番号で示す)。4,860,005、4,961,073、4,987,317、5,023,932、5,031,231、5,054,052、5,5,089,813、5,095,308、5,128,938、5,140,698、5,150,364、5,175,870、5,230,084、5,237,603、5,293,639、5,301,225、5,376,975、5,384,564、5,392,287、5,392,457、5,392,462、5,404,578、5,406,613、5,428,638、5,440,229、5,440,650、5,448,756、5,465,392、5,465,394、5,471,655、5,475,374、5,483,672、5,487,181、5,507,039、5,507,040、5,517,679、5,519,762、5,530,911、5,541,976、5,541,929、5,542,116、5,542,117、5,561,693、5,568,513、5,570,025、5,590,396、5,594,951、5,606,313、5,606,728、5,606,739、5,613,235、5,627,833、5,628,054、及び、5,640,441。無線式ページャー(例えばポケットベル)の節電の問題に関して典型的な例としては、米国特許第4,652,875、4,691,382、4,745,408、4,755,816、4,779,091、4,940,975、5,001,471、5,025,251、5,150,954、5,193,211-2、5,274,843、5,420,576、5,459,457、5,508,688、5,556,081、5,625,884、及び、5,649,314号がある。他の通信機器のより一般的な節電または電力制御回路に関しては、例えば、米国特許第4,821,309、4,893,094、4,903,335、4,905,271、4,977,611、4,996,526、5,027,428、5,101,510、5,103,192、5,109,530、5,111,201、5,204,986、5,222,245、5,421,691、5,251,325、5,265,270、5,278,521、5,299,117、5,327,172、5,357,245、5,359,594、5,361,397、5,389,930、5,422,681、5,423,057、5,423,077、5,430,441、5,438,696、5,438,701、5,440,556、5,463,382、5,465,400、5,513,385、5,524,021、5,525,992、5,533,058、及び、5,592,171号がある。
【0001】
後述するように、本発明は、携帯型及びページャ型通信システムとは明確に異なる送信−受信器環境に主に関連しており、米国特許第4,818,998号及び4,908,629号に記載されたタイプの、現在、商標「LoJack」(「LoJack Stolen Vehicle Police Recovery Network」と題した譲受人による1989年発行のパンフレットにも記載されている)を付して稼働中の車両回収システムに関連する。車両に搭載された中継受信器は、車両が自身の位置を見失ったことを知らせたときに、エリア内の1つまたは複数の送信器からその受信器に送られる活性信号を受信することができるだけであり、この場合、前記1つまたは複数の送信器は、そのような活性信号を送信するように変更される。現行のかかる車両回収システムの場合、車両の受信器には、車両のバッテリーから連続して電力が供給されたままであるが、本発明によれば、受信器を、車両内に隠すことができる程に小型化し、かつ、車両のバッテリーとは無関係なものとすることができる。本発明による受信器は、有限寿命の小型消耗バッテリーを内蔵しており、それから取り出される電力を温存して、その受信器を特定して送られる活性送信信号を探すべく、通常は活動していない受信器を起動するため、及び、盗難または行方不明車両の活性信号が送信されている場合にのみ、(適切に応答器が応答可能な状態で)起動状態を維持するためだけにその電力を配分し、そうでなければ、休止状態(非活動状態)に戻る。
【0002】
従って、これは、上述の携帯電話やポケベルの環境における節電に関する問題とは明確に異なる問題を含む明確に異なる環境である。すなわち、後者の場合に提案されている、上述の一群の特許に記載されたものを含むエネルギー(ここでは電力)節約技法は、本発明の目的とするところに対しては適用できず、また、不十分である。実際、かかる車両回収システムの異なる環境は、同じメッセージを同時に送信する同期式ページャ用(またはページング)送信器や、2方式セルシステムコントロール型携帯電話と異なり、車両回収システムが地理上のエリアにある一連の送信器を使用する点にある。例えば、一連の送信器とは、コントロールセンター毎に8つの送信器であり、その各々が、(車両が盗難にあったことを通知したときに)それぞれのタイムスロットで連続的に送信し、各タイムスロットは、WWV(コロラド州ボールダーの基準局)から受信した時間基準、または、衛星航法システム(GPS)の時間基準のいずれかにより時間的に正確に制御される。
【0003】
ページャ(または、ページング受信器)は、身につけて持ち運ばれることが非常に多いので、小型軽量であることが市場における重要な考慮事項であり、そのため、バッテリーサイズを小さくすること、及び、バッテリーの動作寿命を長くすることが大きな関心事である。いくつかの2方式システムがあるけれども、ページャ(またはページング)は、主として1つの方式で動作する。かかる方式は、本発明の車両回収システムとは2つの主要な機能において異なる。第1に、多くの送信器からなるページングネットワークには、その有効エリアにおいて、送信器のシームレスなネットワークが本質的に存在し、送信器は、全ての送信器が同時に同じメッセージを送信するように同期化される。送信システムは、受信器(ページャ)がメッセージを受信する有効エリアのどこかにある限り、ページャがどこにあるかを知る必要はない。これにより、ページングネットワークにおいてかなりの節電の可能性と利点がもたらされる。送信器は、タイミングを設定することができる。すなわち、受信器が自身を特定の時間にオフにし、復帰させるようにすることができる。また、いつメッセージを送信すべきかを受信器が正確に知ることができるように時間を設定することができる。さらに、受信器は、受信すべき時間を知るためにそれがどこにあるかを知る必要はない。
【0004】
一方、車両回収システムでは、同じメッセージは地理的に配置された送信器ネットワーク上を同時には送信されない。主要なモードが車両内で使用されるので、車両があるエリアから別のエリアに移動するであろうと推測するに足る理由がある。上述したように、車両回収用送信器は、同期式ページングシステムとは対照的に、順次方式で動作し、受信器は、信号を受け取るときに自身がどこにいるかを知る手段を持たないので、ページャ及びその動作とは全く関係ない、極めて新規なアルゴリズムの支援を必要とする。車両回収システムに対するページャの他の利点は、当然ながら、周囲に多くの同期した送信器があり、このため、ページング信号が、車両回収システムの信号環境よりも何倍も多いということである。
【0005】
あるエリアから別のエリアに持ち運ばれる携帯電話では、電話のエネルギー節約システムに幾分違ったアプローチを取っている。携帯電話は、そのパラメータを知っており、かつ、受信側の携帯電話に通知することができるセルステーションと通信する能力を有する。セルシステムは、携帯電話を制御し、セルからセルにそれを通過させので、受信するときに適切なパラメータを渡すことができる。前述したように、本発明による車両回収システムは、2方式システムを採用しておらず、ネットワーク内に分け入る手段、及び必要な情報を要求する手段をもたない。受信器のバッテリー電力を節約するという問題の取り扱いは非常に困難なものである。なぜなら、受信器は、任意の時間に自身がどこに位置しているのか分からず、また、受信すべき時間を正確には知り得ないからである。さらに、受信器が位相すなわち同期からはずれると、制御環境にメッセージを返して、取るべき行為に関する情報を要求する携帯電話システムの能力を失う。
【0006】
車両が盗まれると、車両受信器は任意の場所に存在しうる。実際、こうした事態では、通常、受信器はあるエリアから別のエリアに移動中である。受信器が常に起動状態にあればかかる事態が生じても問題はないが、このように動作させると、バッテリーが常時消耗し、本発明に関する節電問題を解決することはできない。すなわち、本発明は、基本的に、受信器に対する送信信号がないときには、受信器をオフにし、かかる送信信号をモニタするためのオン状態すなわち起動状態を最小限にする。実際には、受信器がオフになると、受信器に向けて送られる次のメッセージ信号を探すために、オンになるべき時間を知らなければならない。受信器が、ある地理上のエリアから別の地理上のエリアに移動した場合は、受信器がそれ自身を起動しなければならない時間も変わり、その間中常に、その新たな時間がいつであるか、あるいは、受信器の位置がどこであるかについて知る必要はない。
【0007】
本発明は、これらの問題をみごとに解決するが、そのための技法として、本発明は、(1)実際に送信されている情報がないときには、受信に使用可能な電力をむやみに使用しないように、いつ受信器を起動すべきかを知ること、及び(2)受信器が起動して活動状態にあるときには、信号メッセージが受信器に向けて送られていないことを迅速に判定し、それに従い、パワー(電力または電源)をオフにして、受信器に向けて送られていないメッセージを復号化するための電力をむやみに浪費しないようにする高度に知的な手法を用いて電力を使用すること、に関する高度に新規な技法を提供する。
[本発明の目的]
従って、本発明の第一の目的は、携帯型無線受信器及びそれに類する無線受信器などにおけるバッテリー及びそれに類する電源の電力を節約するための新規で改良された方法及び装置を提供することにある。この方法及び装置は、上述した携帯電話やページングシステムおよびそれに関連したシステムの環境のいずれにも存在しない車両回収システム独自の問題に特に適するものである。
【0008】
本発明の他の目的は、送信信号を受信する(または、送信信号があるか否かを確認する)ための起動時間を最小限にするよう消耗型バッテリーの電力配分(または、電力予算)を制御するための新規な技法を具現化する装置を提供することである。かかる装置は、送信信号が実際に当該受信器に向けて送られているか否かを確認するために起動時に電力を知的に使用し、モニタ時間間隔をスキップすることにより、及び、車両が盗まれた後に受信器に向けた送られる送信信号を最大限受け取るために十分な電力があることを保証するために計算された一定の停止(非活動)期間を設けることにより、使用される電力を補償する。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、より一般的に受信器や電子装置のバッテリー等の電源の電力を節約するための新規な技法を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的については後述することにするが、それらは特許請求の範囲により具体的に記載している。
[概要]
本発明の重要な観点の1つから要約すると、本発明は、無線受信器に向けて時折送られる無線送信信号、及び、場合によっては所定の全送信タイムスケジュール中において生じる無線送信信号のみを受信するように構成された無線受信器に対するエネルギー源使用率及び節約に関する方法を含む。この方法は、合計すると受信器のエネルギー源の目的とする寿命分のエネルギー配分容量となる、受信器によるエネルギー利用度が可能性として同じであり得る連続した短い時間期間を割り当てるステップと、受信器に向けて送られた無線送信信号が存在するか否かを当該受信器が判定するのに十分なだけ、その短い時間期間の間、当該受信器にエネルギーを供給することによって当該受信器をごく短時間だけ起動状態にするステップと、その後すぐに、受信器に向けて送られたそのような送信信号を受信していない状態で、当該受信器へのエネルギーの供給を終了することによって当該受信器を非起動(非活動)状態にするステップと、前記エネルギー配分(または、エネルギー予算)に全体的に適合することを保証するために、そのような送信信号の存在を発見しなかったときに、少なくとも前記判定に使用される時間期間に対応した、次の可能性ある起動時間期間をスキップするステップと、所定の送信スケジュール内のある時刻において受信器が起動することを保証するためにかかるスキップを調整するステップと、これによって、受信器が、適正な時刻においてのみ、及び短い時間期間中においてのみ、当該受信器に向けて送られる送信信号を適切な判断の下に探すことができるようにすると共に、残りの時間をエネルギー節約非起動モードで使用することができるようにするステップ、からなる。
【0011】
好適かつ最良モードの構成及び技法については後で詳述する。
【0012】
以下に、添付図面を参照して本発明を説明する。
[本発明の好適な実施態様]
本発明の技法及び装置の好適な実施態様の詳細を説明する前に、本発明の装置の全体的な仕様だけでなく、交換が必要となるまで、例えば、何年間(例えば、3年から5年以上)にもわたって動作可能に設計された実際の車両回収システムの送信環境について整理しておくのが良いであろう。
【0013】
前述したように、従前及び現在の車両回収システムでは、見えないところに配置された車両応答器(車両トランスポンダーまたは車両中継器)の受信器は、常にオン状態で、その活性識別コードすなわちIDを有する送信信号を探査していた。このアプローチは、非常に効果的なものであることが実証済みであるが、3年間でかなりの量の電力を消費する。実際、保管された車両の場合、カーバッテリーの電力を完全に使い果たしたとしても、数ヶ月以上もカーバッテリーによっては動作することはできないであろう。
【0014】
前述の「LoJack」タイプのシステムでは、例えば、連続的にタイムスロット化された8つの送信器を使用して、少なくとも16分おきに1回送信するように構成されている。本発明の好適な技法によれば、各車両受信器は、8秒おきに電力供給を受けて起動され、最後には、休止状態に移行、すなわち活動停止状態になり、これによって、送信信号が4つの16分インターバル内(すなわち、約1時間以内であって、これは、車両がコントロールエリア内にある場合に、少なくとも1つの送信信号を受信するのを保証するのに十分な時間である)で受信されなかった場合に3時間の間の電力を節約する。
【0015】
前述したように、2つの主な問題がある。1つは、送信情報がないときに探査に利用可能な電力を使用しないようにするために、受信器がいつ起動すべきかを知ることである。もう一つは、知的な方法で電力を使用するために、起動した際に、受信した送信信号が、当該受信器に向けて送られたメッセージでなないことを迅速に判定し、その場合に、当該受信器に向けて送られていないメッセージを復号するための電力を浪費することなくオフ(活動停止状態)にすることである。
【0016】
8秒起動時間中に16分の間送信信号が受信されず、かつ、送信器が16分毎に少なくとも1回送信することをシステムが保証している場合は、受信器は数時間の間電源を切る。この数時間は、例えば3時間であって、電力配分に戻って、電力を使い切ることなく、バッテリの目標とする数年間の寿命期間(例えば3年間)動作可能であることを保証するのに十分な時間である。この例の場合は、16分間起動して、3時間休止する。
【0017】
一方、受信器が起動して送信信号を受信すると、受信器は、その送信信号が注意を払うべき価値のあるものであるかどうか、すなわち、当該受信器IDに対して実際に送信されたものであるかどうかを即座に分析しなければならない。
【0018】
しかしながら、これについては2つの可能性だけがある。送信信号がこの特定の受信器ユニットに向けて送信されたか、あるいは、そうでないかのいずれかである。送信信号が特定の受信器ユニットに向けて送信された場合は、信号は復号化され、応答器は、警察官が車両を追跡することを許可する応答を行う。これは、電力配分がもはや関係しないプロセスである。しかしながら、送信信号が特定の受信器ユニットに向けて送信されていない場合は、前述したように、ある送信器(そのエリアに1つの送信器がある場合)が8秒毎に送信する機会を有するので、基本的に受信器は8秒毎に(送信信号があるかどうかを)探査する。
【0019】
受信器が信号を受信すると、受信器は、その信号が当該受信器に向けておくられたものであるか否かを即座に判定しなければならない。当該受信器に向けておくられたものでない場合は、電力を節約するために、当該受信器は、(送信信号の)探査を終了してオフ状態にならなければならない。このプロセスから電力配分に復帰するために、後述するように、いくつのメッセージを検査したかに基づいて、複数の8秒スキップを実行することができる。送信信号が当該受信器に向けて送信されていない場合は、後述するように、受信器は、タイミングウィンドウをリセットするように機能することができる。
【0020】
しかしながら、8秒チャンネル探査には誤差が存在し、その8秒のポイントの周りのウィンドウが、そのような誤差を吸収できることが要求される。ウィンドウはクロックが正確でないために増大し、受信器がメッセージを受け取らない時間が長くなればなるほど、クロックが速くなるかまたは遅くなるためにウィンドウは大きくなる。
【0021】
1時間内に信号を受信しなかった場合に最も起こりうるシナリオは、車両が(休暇や旅行のために)システムの範囲からはずれているか、車両が地下駐車場にあるかのいずれかであろう。地下駐車場に車両があるのは、繁華街で起こり得、終日等の長時間にわたってそこにある場合が多い。もちろん、かかる状況のために、多くのバッテリー容量を消費することは望ましくない。
【0022】
上述の例において、システムが3時間の間休止状態に移行した後は、システムは起動して上述したのと同じプロセスを繰り返す。しかしながら、受信器が自身を起動したときには、受信器は、完全に同期からはずれており、送信信号を見つけるための初期プロセスを必要とする。
【0023】
前述したように、受信器は周期的に16分間起動して、任意の送信が起こった場合に、送信信号を受信するのに十分なだけ何度も探査を行う。受信器は送信信号を復号できることは必ずしも必要ではないが、受信は行う。受信器がある送信信号を受信すると、受信器は、本発明に従って、タイムウィンドウを設定し、送信信号の受信後、64秒毎に同じ送信信号を探査する。詳細に後述するように、受信器がその同じ送信信号を受信した場合は、受信器は、同期モードに移行する準備が整う。最小のメッセージサイズは、例えば、100ミリ秒に設定され、このため、受信器は80ミリ秒毎に起動する。なんらかの送信メッセージがある場合は、受信器は、起動時間をカバーしなければならない。受信器が、例えば、送信器のタイムスロット1からのメッセージを「確認」すると、受信器は、おそらく、タイムスロット2または3をスキップするであろう。スキップするタイムスロットの数は、電力配分内で保持するために受信器が必要とする数であり、一度には8以下であって、次のタイムスロット1を探査しないほど多くはないものである。
【0024】
メッセージをスキップするとき、システムは、最後のメッセージを受信したタイムスロットに優先権を付与する。今の例における本発明の構成では、最大11のメッセージが可能である。受信器が、存在することが想定される11のメッセージを確認すると、受信器は、6つより多くのスロット、すなわち、他の送信器(例えば、送信器2〜7)からのタイムスロットをスキップしない。基本的に、受信器は、2つのメッセージ毎に、他の送信器のタイムスロットをスキップする。車両が新たなエリアに移動しても、受信器は、依然として8秒毎に探査を行う。受信器は、依然としてタイムスロットを探査しているので、メッセージを受信するチャンスがある。すなわち、64秒毎に元の状態に戻るので、8秒探査のいずれかにおいて、実際に他のタイムスロットの1つにおけるメッセージを捕らえる可能性がある。受信器が他の8つのタイムスロットのうちの1つのメッセージを捕らえた場合は、受信器は動作を継続する。そうではなく、かつ、新たな送信器が、電力配分の範囲に維持するためにスキップされたそれらのタイムスロットのうちの1つにある場合は、そのメッセージは、受信器がその程度の数のタイムスロットをスキップするだけなので次の機会で捕らえられ、その後、スキップを停止して、再び8秒毎に探査する。送信器の有効エリア(範囲)には隙間があってはならない。全てのタイムスロットの時間同期は固定されており、同じクロックによって設定されるので、受信器はタイムスロット1に同期し、次に、タイムスロット2等に同期した状態を維持する。車両が同期から外れるのに十分なだけ長い時間にわたって、すべての送信器の範囲外に移動しない限り問題はない。すなわち、タイムスロット1及びタイムスロット2が8秒だけしか離れていないため、完全にシームレスなシステムが提供される。車両が複数の送信器の範囲内にある状況では、受信器は、それらすべてを探査し、冗長な情報を提供するが、これは、受信器が常に探査を行う現行の車両回収処理の状況と同じである。
【0025】
図1に送信スケジュールを示す。この送信スケジュールは、64秒間隔で分割されており、前述したように、エリア内にある(ここでは例として)8つの送信器の各々が64秒毎に送信をし、先行する送信器と8秒だけずれて、他の各送信器が連続的に送信を行う。前述したように、全体のサイクルは、基準局の基準WWV無線信号、またはGPSの絶対時刻によって決定される特定の時刻にスタートし、全ての送信器は同じクロックで動作する。個々の送信器は互いに通信し合わないので、時間基準は、相対的な時間基準ではなくて、絶対的なものでなければならない。A、B、Cは、地理的に順次配置された送信器を表しており、それらの送信の機会は8秒間だけ離れている。送信を行う場合、送信器BはAの8秒後にスタートし、CはBの8秒後にスタートする。図1において秒の軸が2つに分割されているが、これは、実際の送信器は、そのスロットへの送信機会をその各々の期間毎に有するということを示している。
【0026】
図2に、データフレーム内のメッセージのバーストを示す。前述したように、メッセージは、11までのメッセージのバーストに組み立てられる。送信するメッセージの最小サイズは、例えば、124ビット程度にすることができ、11の全てのメッセージが存在する場合、約800程度にすることができる。従って、メッセージの幅は可変である。バーストは常に、図2に示す「LEADER」と呼ばれる24ミリ秒の変調されていない信号で始まる。次に、図示のように、0と1が交番する48ビットのプリアンブルが始まり、約40ミリ秒継続する。受信器がウィンドウをサーチし、探査のために30秒毎に起動するので、受信器は、プリアンブルのどこかでバーストを捕捉することになる。実際、残りの10ミリ秒は、起こりうる種々のタイミングエラーを吸収するのに十分である。各個別のメッセージの開始時に、データフレームがどこから始まるかを受信器に知らしめるFLAGパターンが設けられる。FLAGパターンは、4つの0の後に4つの1が続くものとして図示されている。
【0027】
各フレームの後の、次のフレームとそれに先行するフレームの前において、次のFLAGカウンタの前に、8ビットのSHORT PREAMBLEがさらに設けられる。前述したように、このようにして、メッセージは11のメッセージまで続く。最初に、受信器ユニットは、48ビットのプリアンブルにおいて起動し、FLAGキャラクタを見つけるまで探査を続ける。次に、受信器は、それがデータを見つけたことを知り、メッセージが自分宛てのものである場合は、そのデータを、当該受信器が受信することを期待していたデータと、一定の相違が見つかるまでビット毎に比較し始める。そのような相違が(例えば、VRCまたはLRCビットにおいて)検出されたときは、受信器は、休止(スリープ)状態に戻り、メッセージの復号化を続行せず、次のメッセージのSHORT PREAMBLEにおいて再度起動する。すなわち、受信器は、例えばVRCビットを見つけて、このメッセージは自分宛てのものではないと判定する。その後すぐに休止状態に移行し、SHORT PREAMBLEの前に起動して、FLAGと次のメッセージを受け付け、以後このプロセスを繰り返す。特定アドレス宛ての情報があり、その情報がそのアドレスに先行するリーディング(先行)ビットに含まれる全メッセージを反映している場合(または、その情報が、全メッセージを反映しており、その特定アドレスに先行するリーディングビットに含まれている場合)、送信信号が当該受信器宛てであるか否かについての判定が即座になされ、これによって、アドレスビットを復号するためのエネルギー(または電力)の浪費が回避される。
【0028】
メッセージの中間部分(機能コードFCN及びADDRESS)は、特定の受信器宛ての情報を運ぶ部分である。ADDRESSビットは、その特定の受信器ユニット(ID)を識別する。機能コードFCNは、(LoJack特許に記載されているように)応答器に対する命令の活性化(すなわち有効化)/非活性化(非有効化)、送信のスピードアップを制御し、受信器がなすべきことを命令する。しかしながら、本発明の目的に照らせば、興味ある唯一の機能は、受信器ユニットの応答器が応答する活性モードである。
【0029】
しかしながら、(アドレスポートについてチェックする)CRCビット及び(コンピュータ制御による)LRCビットに、受信器が自分宛のメッセージを受信しているか否かに関する情報がある。このため、受信器は、64ビットのメッセージのすべてのビットを探査する必要はなく、従って、電力を節約するためにシャットオフ(電源オフまたは休止)する機会をさらに得る。これらのチェックビットにより、メッセージが当該受信器宛てのものであるか否かについての判定を迅速に行うことができ、従って、電力を節約するために、メッセージの残りの部分の探査が不要となる。
【0030】
受信器に所定の時刻に起動するよう命令するアラームクロックチェックは、図3にCLOCKで示すように、1分あたり50ミリ秒(50 milliseconds per minute)で、水晶発振器制御によるものであるのが好ましい。図は、アラームクロックが起動信号をチェックするときに、受信器RXに通知することを示しているが、このチェックは、準備のための大部分の時間を必要とする。マイクロプロセッサMPを起動する前に1.5ミリ秒を経過せしめ、次に、他のミリ秒単位の時間で、マイクロプロセッサが受信器RXに命令を与え始める前に、マイクロプロセッサを起動するジョブを完了して、受信器に適切なデータを送るメカニズムが設けられる。こうして、マイクロプロセッサMPが取り出す1.5ミリ秒の全電力量が、同時に受信器RXに電力を供給することによって消費されたであろう電力量に対して節約され、各起動による電力の消費を可能な限り少なくすることが保証される。
【0031】
MUX(マルチプレクサ)は、この機能と図4を参照して後述する他の機能の割り当てを可能にする。
【0032】
前述したように、マイクロプロセッサMPは、水晶発振器の制御下で正確にオンにされる。図の右側に実際の受信器RXをオンにするために受信器RXに向かう信号RXDISが示されている。図示した制御により、プロセスをリセットして再度始動し、適切な時刻に、受信器をオフにし、再びそれをオンにすることが可能である。
【0033】
送信器チャンネル検出及び復号化アーキテクチャを図4に例示する。チャンネル検出は、送信信号が実際に存在するか否かを判定する。送信器は、8秒間隔で送信する義務はない(車両盗難の報告がない場合)ので、信号が存在する場合もあれば、存在しない場合もある。信号が存在しない場合は、起動している受信器は、図2のメッセージを復号しようとするための電力を浪費しないように、できるだけ早急にそのことを知ることを望む。システムは到来信号の2つの側面を確認する。信号は先ず、DEMODで復調され、次に、RFからオーディオ信号にステップダウン(逓減)されてコードを提供する。このコードにより、2つのオーディオ周波数が切り換えられる。このオーディオ周波数は、例えば、1200Hzと1800Hzであり、1方の周波数がディジタル「1」を表し、他方の周波数がディジタル「0」を表す。これらの連続する周波数は、それぞれ840ミリ秒の期間を有し、図4の左側に示すように、その周波数に応じて、「1」または「0」として復号される。下部の信号経路は、周波数を分離して、プロセッサが使用可能なディジタル1及び0の信号を形成する2つのレベルのうちの一方の信号を生成するためにバンドパスフィルタBPFを通過させる経路である。マイクロプロセッサMPは、これらの1から0への、及び、0から1への遷移を見つけて、それらの遷移が、1秒あたり1200または1800で到来して実際のデータになる、対象とするデータを表す周波数で生じているか否かについての判定を行うことを試みる。
【0034】
この決定に関与する別の要因は、実質的にデータが送られる範囲より上にある周波数を拾い上げる補助のバンドパスフィルタAUX BPF(図4の上部の経路)をさらに介して、復調された信号を通過させることによって生じる。信号が存在する場合は、この上部信号経路には何らの信号も存在することは期待されず、このため、ウィンドウコンパレータを通過するものによって生成される電圧は0のままである。これは、ラインにノイズがない状態であり、QUIETで示されている。一方、信号が存在しない場合はノイズが発生するが、かかるノイズにより、ときおり、電圧(NOISY)がウィンドウからはみ出し、その電圧がマイクロプロセッサMPに送られる。本発明に従って、マイクロプロセッサは、かかる電圧がウィンドウの外側にある時間の割合を測定し、信号に対してどの程度のノイズがあり、それによって、最大の信号対ノイズ比が生成されたときに、その復号能力にどの程度の影響を与えるかを判定するための測定基準としてそれを使用する。従って、この手順では、信号対ノイズ比の大まかな測定基準が得られ、この測定基準が十分良好なものでない場合は、受信器は、復号化を試みることをせず、再び電力保存状態に戻る。
【0035】
MUX(マルチプレクサ)は、図3の起動信号、または図4のデータを選択して、マイクロプロセッサMPのINT0と表示されたポートに送ることができる。受信器が休止状態のときは、図3の起動信号の入力が許可され、起動しているときは、図4のデータの入力が許可される。MUXを無視した場合は、図3は、受信器が休止状態のときの状況を示しており、受信器が起動している図4のCTLラインは、制御を表している。
【0036】
前述した同期(化)プロセスについて説明するために、図5のシンボル同期を参照する。図5は、送信メッセージデータを受け取ったと想定した場合に、交番するコード0と1が伝送されるメッセージ(図2の8ビット0101等のプリアンブル)の間、マイクロプロセッサにとってデータ波形がどのように見えるかを示している。0(S)は、840マイクロ(μ)秒の期間にわたって図4の1800Hz波形で符号化される。図5の波形の最初の3つは0である。840マイクロ秒の間、電圧は上昇下降を行い、あるいは、下降、上昇、下降を行いうる。シンボルSは、インターバルの短い1800Hzコード(「0」)を表す。電圧レベルの遷移間のインターバルは、各々280マイクロ秒の3つの短いインターバルである。前述したように1200Hzで符号化され、Lで表される「1」に注目すると、遷移間に各々420マイクロ秒の2つのインターバルだけが見られる。これらを識別することによって、復号化が実行される。唯一可能性のある困難さは、開始が図5に示す箇所で生じる必要はなく、図2の0101のプリアンブル信号期間の任意の時間で生じうるということである。シンボル同期の問題は、開始が実際にどこで生じるかをつきとめて、長い時間(及びエネルギー)を費やすことなくそれを実行することである。
【0037】
本発明によるこの問題の解決策は、送信間の測定を行うことである。受信器の起動が図5に示すようなものである場合は、SSSLLのシーケンスが現れる。しかし、起動が560マイクロ秒後である場合は、シーケンスはSLLSSである。これらを区別することが必要である。本発明の技法は、5つのタイムインターバルを測定することと、1つおきの「1」の和(図5に示すt1+t3、t2+t4、t3+t5、t4+t1及びt5+t2)を調べることを含む。これらの和のうち最小となるものの最初の数(番号)が最初のSに対応する。従って、起動が図5に示す時間(START)で起こる場合は、t1+t3のみが560マイクロ秒であり、t2+t4、t3+t5、t4+t1、t5+t2はいずれも700マイクロ秒である。起動が500マイクロ秒後に起こった場合、すなわち、STARTの矢印がt3が記載されている3番目のSを指し示している場合は、これがt1となり、和が最小となるのはt4+t1である。これらの測定に基づいて、サンプル時間がどこであるか、すなわち、最後のLが終わり、最初のSが始まる箇所を推定することができる。好適な技法は、サンプル時間のシンボル中に5/6だけ進行することである。これは、その進行ポイントが、何が「1」で、どれが「0」であるかを決定する決定ポイントとなるからである。1が選択されると、これらの5つの測定の平均が計算される。これらの見積もり値を平均することによって、さらに、個々のエラーを相殺することができる。その後、システムは、「0」と「1」を復号する。それが変化するときは3つのSであり、変化しないときは2つのLである。5/6だけ進行する理由は、1が遷移時間から得ることができ、かつ、最大のマージンを有することができる限りそれが合理的であるからである。
【0038】
図6は、前述した起動ウィンドウに関する図であり、例示的な8つの送信器チャンネルの1つのサーチ(探査)パターンを示している。通常の動作において、システムに同期しているときは、実際には、同時動作時に8つの図6のパターンが8秒離れて存在する。図6では、1つの送信器が所定のタイムウィンドウにおいて開始し、送信信号が64秒毎に(または、すべての64秒間に)受信されない場合は、タイムウィンドウは30ミリ秒拡張される。64秒間に(または、すべての64秒間に)受信器が信号を確認できなかった場合は、送信器からどれだけの距離にあるかについてある不確実性が追加されるので、システムは、ウィンドウの両側に30ミリ秒だけ9つのすべての期間、ウィンドウを拡張する。図6の「k」チャンネル検出は、k個のチャンネルセンサを有するウィンドウで開始し、それをj回繰り返す例示的な8つの送信器を表している。次に、m個の64秒毎に2が追加され、これがn番目の64秒インターバルまで行われる。m×k=2、または、m×k=4等の積が、電力コストを決定するための計算に必要なチャンネルセンサの数であり、いくつのチャンネルセンサが64秒間にカウントされるかを示している。これは、受信器の同期がはずれ、同期をとろうとして接続状態に復帰して、最初の信号「hit」を受信し、1を確認するために探査している場合を意図したものであり、トンネルを通過中のように、受信器の同期ははずれていないが、なんらの信号も受信していない場合には適用できない。
【0039】
前述した典型的な受信器の3時間の休止後、及び、同期化が必要とされる状況の例を図7に示す。3時間休止後、受信器は16分間起動し、80ミリ秒ごとに送信器チャンネル検出を呼び出す。前述したように、最小のメッセージが100ミリ秒の場合、受信器は、80ミリ秒以内にメッセージを受信することができ、これらのサーチパターンのうちの1つを生成して、信号を確認するために探査することができる。信号が存在する場合は、サーチパターンは16間分継続する。図7のかっこ内のパターン番号13、2、15及び9は、上述した図6の拡張ウィンドウのサーチパターンのアルファベット文字k、j、n、及び、mに対応する。これは、13のチャンネルセンサで開始し、それを2回実行し、次に、全体のシーケンスが15回繰り返されるまで2だけ増分して、ウィンドウを9スキャンすなわち9ウィンドウごとに増加することを意味している。図7に示す「12,000回」は、16分の期間内における回数である。これにより、各チャンネル検出の電力コストがどれだけかかるかが計算され、電力配分を超えるのが防止される。
【0040】
図8に、配分電力を回復するための前述したスロットのスキップ、または、ギャップ(隙間)を埋める様子を示すが、これは、バーストが受信されたとき、チャンネルが、電力配分内に維持された状態で、すべてのそれらのスロットによって同調(同期化)されるまで、8秒スロットをスキップする方法を決定することによってなされる。図示のように、バッテリーの寿命期間にわたってスロット毎に一定の割合で配分される電力配分は、スロット毎に143ナノウェーブ(nanowave)の時間(または143ナノ秒)である。これは、いくつのメッセージがバースト内にあるかによって、所定の適正な数のスロットを単にスキップするという問題である。電力配分に戻ると、受信器は、図6及び7のウィンドウ内の7つのチャンネルセンサで開始して、8つのサーチパターンを続行する。図8の番号(7、3、57、9。これらは、図6のk、j、n、mに対応する)のパターンは、メッセージが図8の最も左側の8秒スロットで受信された場合、続く複数のスロットをスキップする方法を示しているが、その数は、バーストの最初のスロットを含むこれらのスロットから使用される稼働中のタイムスロットの全数が、スロット毎に143ナノ秒の電力を節約して、電力配分にもどるのに十分なものにされる。こうして、図6を参照して説明したように、受信器は、各タイムスロットにおいて、N×64秒間維持されるウィンドウ内の7つのチャンネルセンサで開始するサーチパターンを実行し、次に、そのポイントで64秒間ごとに2だけチャンネルセンサの数を増やし、その後、全部で57回の試行を行うまで繰り返す。この例の場合、全プロセスには60分と48秒かかる。受信器がこの60分と48秒が経過する前にメッセージを首尾良く受信すると、このプロセスは、再び開始する。
【0041】
これは、従来技術による受信器のエネルギー節約技法とは全く異なるアプローチである。前述した一群の従来技術の特許の概念は、エネルギー消費を最小限にすることを試みるこであるが、受信器が電力切れを起こしているときは、バッテリーが任意の時間期間の間持ちこたえるという保証はない。一方、本発明によれば、エネルギーの使用は、送信が起こっていない(すなわち、送信信号がない)とき、及び、送信信号が、当該受信器に向けて送られていないときに、シャットダウンすることによって最小化される。本発明では、受信器による受信とサーチ期間を適切にスキップして、システムをエネルギー配分内に維持し、同時に、十分な受信モニタを確保し、かつ、所定のバッテリーの電力寿命を保証する。
【0042】
本発明の上述の技法を、盗難車両回収用の自立型車両応答器に適用する1例を示すと、それは、3年(またはそれ以上)の寿命を有するエネルギー配分(大部分は、車両が盗まれるの待ち受けるためのものである)を意図した一体型バッテリーを具備する小型応答器であり、これは、送信器アレイの有効エリアに入った後の3時間以内に送信信号を受信することができ(図7)、最後のコンタクトの後1時間まで受信することができる。送信器(上述した「LoJack」タイプの動作の場合8つ)は、盗難車両の通知があると、一定時刻にのみ活性化メッセージを送信する(図2)。この場合、各送信器は、活性化メッセージの送信の際に予め用意されたチェックリストと共にデータフレームを使用して、少なくとも16分毎に送信を行う。
【0043】
前述したように、受信器は、メッセージの復号化の前に、起動時に記録された送信チャンネル検出を実行し、3ミリ秒(ms)のチャンネル検出期間に、受信した送信信号の信号対ノイズ比(図4)と変調の有無を評価する(図4)。シンボル同期は、図5に示したように、メッセージのシンボル境界を迅速につきとめ、既知のプリアンブルパターンを使用して実行される。データ同期は、チャンネル上の送信器を示すものとして取得される受信メッセージ内のフラグパターンを探査することによって実現される。全メッセージを反映する情報を含む先行ビットにおいてミスマッチが生じると(すなわち、受信メッセージが当該受信器に宛てたものではない場合)、バースト内のメッセージ間で電力が切られる。システムは、前述した拡張ウィンドウを使用し(図6)、起動とチャンネル検出を30ミリ秒(ms)毎に行う。最初の時間期間により、送信時間に関する不確実さが吸収される。すなわち、その拡張により、クロックのディジット(clock digit)が調整される。
【0044】
8秒スロット毎に143nAhr/スロットの量の電力配分を割り当てるのが、最も適切であり、この場合、前述したように、受信後にスロットをスキップして電力配分に戻る。全体の総受信電力配分は、前述した3時間「休止」、16分送信探査で、送信チャンネル検出間が80ミリ秒の場合、1753mAhrである。前述したギャップの埋め合わせの場合、1454mAhrの電力配分が、各送信器の例示的なサーチパターンに対して適切であり、それによって確率的平均を調べる。
【0045】
適切な装置アーキテクチャは、低電力「スリープ(休止)」モードとエッジキャプチャ機能を有するフィリップス社の83L51FBマイクロプロセッサ(図3及び図4)、設定可能なアラーム機能、及び、起動パルスをトリガするアラーム出力機能を有するPCF8593リアルタイムクロック(図3)を使用する。
【0046】
消耗型(あるいは使い捨て)バッテリーの容量は、3.48mAの電流を取り出す受信器の場合2200mAhrとすることができる。適切なプロセッサ電流(図3の12MHz水晶)は、アクティブモードで6.21mA、アイドリングモードで2.1mA、パワーダウン時は、クロック及び他のチップのスタンバイ電流を含み、3.36MA、水晶始動で1.0mA、及びクロックに200MAである。受信器の典型的な始動時間は、2.5msのオーダーであり、プロセッサは、1.0ms、応答器が送信器に応答するのに20msである。
【0047】
上述の値は、首尾良くテストされたシステムに対して好適な値であるが、もちろん、本発明の原理の範囲内で変更することができる。本発明の技法は、より一般的に、本発明の電力節約能力が所望される他の受信器や電子装置にも同様に適用することができる。当業者は他の変更態様を発見するであろうが、そのようなものも、特許請求項の範囲に規定された本発明の思想及び範囲内に入るべきものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 好適なタイプの車両回収送信器システム、具体的には、「LoJack」タイプの構成についての送信器のシーケンスのタイミング図である。
【図2】 本発明で使用される、送信された各メッセージの好適なデータフレームを示す図である。
【図3】 受信器のマイクロプロセッサによる受信器の起動(オン)及び非起動(オフ)の制御のタイミングを示す図である。
【図4】 本発明のチャンネル信号検出及び復号アーキテクチャを示す図である。
【図5】 受信されたメッセージのプリアンブル期間におけるマイクロプロセッサへの(マイクロプロセッサがデータを受信した場合の)データ波形を示す図である。
【図6】 上記システムの8つの車両回収送信器のうちの1つの探索パターンを示す図である。
【図7】 本発明に従い、図4のチャンネル検出を使用した、受信器が3時間動作を休止した後の同期化サイクルを示す図である。
【図8】 メッセージ信号のバーストを受信した後にスロットをスキップして電力消費割り当てに戻る様子を示す図である。

Claims (28)

  1. 無線受信器のエネルギー源の使用率及び節約に関する方法であって、前記無線受信器は、当該無線受信器に向けてときおり送られ、かつ、所定の全送信タイムスケジュール中に生じる無線送信信号のみを受信するように構成されており、
    連続した短い時間期間を割り当てるステップであって、それぞれの前記短い時間期間に前記受信器によって利用されるエネルギーを合計すると前記受信器のエネルギー源の予定された寿命分のエネルギー配分容量となり、前記それぞれの短い時間期間において前記受信器によって利用されるエネルギーを互いに等しくすることが可能である、ステップと、
    前記受信器用のアドレスを含む無線送信信号が存在するか否かを該受信器が判定するのに十分なエネルギーを、前記短い時間期間中のみ前記受信器に供給することによって前記受信器をごく短時間だけ起動するステップと、
    そのような受信器宛ての送信信号を受信しなかったときには、その後すぐ、前記受信器へのエネルギーの供給を終了することによって前記受信器を非起動状態にするステップと、
    前記エネルギー配分に全体として合致するようにするために、そのような送信信号の存在を発見しなかったときに、少なくとも前記判定に使用される時間期間に対応する、予定されたの起動時間期間をスキップするステップと、
    前記所定の送信スケジュール内のある時刻において前記受信器が起動することを保証するためにかかるスキップを調整するステップと、
    前記受信器が、適正な時刻においてのみ、及び短い時間期間中においてのみ、前記受信器に向けて送られる送信信号を適切な判断の下に探すことができるようにすると共に、残りの時間をエネルギー節約非起動モードで使用することができるようにするステップ
    を含み、
    前記受信器宛ての送信信号が受信されないときは、前記受信器が送信信号を探査するためのウィンドウが拡張される、方法。
  2. 前記短い時間期間が約8秒のオーダーであり、前記所定の送信スケジュールが約16分のオーダーである、請求項1の方法。
  3. 受信器の起動時に、任意の受信した送信信号を最初に検出して、アドレスの復号化の前に、当該送信信号の妥当性と変調の有無を評価し、当該送信信号が妥当であり、かつ、変調を含んでいる場合は、当該送信信号が実際に前記受信器に向けて送られたものであるか否かを判定するために、当該送信信号の少なくとも一部分を復号する、請求項1の方法。
  4. 前記検出が、約3ミリ秒のオーダーの時間で実行される請求項3の方法。
  5. 前記送信信号内のメッセージの変調が、アドレスビットに先行する先行プリアンブル及びフラグビットの形式で提供される、請求項3の方法。
  6. 前記アドレスビットがVRC、LRC、及びFCNコードのうちの1つ以上の後にあり、該アドレスビットの後にCRCビットがある、請求項5の方法。
  7. アドレスを特定し、かつ、全メッセージを反映している情報が、前記アドレスに先行するリーディングビットに含まれており、送信信号が前記受信器宛てであるか否かについての判定が即座に可能であり、これによって、前記メッセージが前記受信器宛てでない場合に、アドレスビットの復号を続行するためのエネルギーの浪費を回避する、請求項5の方法。
  8. 受信した前記送信信号の検出評価が、信号対ノイズ比を評価することによって実行される、請求項5の方法。
  9. 任意のメッセージの復号の前に、前記プリアンブルの高速探査によってシンボル同期を実行し、前記フラグビットパターンを決定することによってデータ同期を実行する、請求項7の方法。
  10. ある設定時間の間、受信器宛ての送信信号が受信されない場合、エネルギー活性ポテンシャルを、数時間の間活動停止状態にする、請求項1の方法。
  11. 前記数時間が経過した後、前記送信スケジュール内に対応する時間期間の間、受信器が送信信号の受信を検出することにより、前記エネルギー活性ポテンシャルを元に戻す、請求項10の方法。
  12. 前記設定時間が、約1時間のオーダーに調整される、請求項11の方法。
  13. 拡張可能なエネルギー源によって電力が供給される無線受信器装置であって、無線受信器は、当該無線受信器に向けてときおり送られ、かつ、所定の全送信タイムスケジュール中に生じる無線送信信号のみを受信するように構成されており、
    連続した短い時間期間を割り当てるためのマイクロプロセッサにより制御される手段であって、それぞれの前記短い時間期間に前記受信器によって利用されるエネルギーを合計すると前記受信器の拡張可能なエネルギー源の予定された寿命分のエネルギー配分容量となり、前記それぞれの短い時間期間において前記受信器によって利用されるエネルギーを互いに等しくすることが可能である、手段と、
    前記受信器用のアドレスを含む無線送信信号が存在するか否かを当該受信器が判定するのに十分なエネルギーを、前記短い時間期間中のみ、当該受信器に供給することによって当該受信器をごく短時間だけ起動状態にするための手段と、
    そのような受信器宛ての送信信号を受信しなかったときには、その後すぐ、前記受信器へのエネルギーの供給を終了することによって当該受信器を非起動状態にするための手段と、
    前記エネルギー配分に全体として合致するようにするために、そのような送信信号の存在を発見しなかったときに、少なくとも前記判定に使用される時間期間に対応した、予定されたの起動時間期間をスキップするための手段であって、所定の送信スケジュール内のある時刻において受信器が起動することを保証するためにかかるスキップを調整し、それによって、前記受信器が、適正な時刻においてのみ、及び短い時間期間中においてのみ、当該受信器に向けて送られる送信信号を適切な判断の下に探すことができるようにすると共に、残りの時間をエネルギー節約非起動モードで使用することができるようにする、手段と、
    前記受信器宛ての送信信号が受信されないときは、前記受信器が送信信号を探査するためのウィンドウを拡張するように動作可能な手段
    を備える、装置。
  14. 前記短い時間期間が約8秒のオーダーであり、前記所定の送信スケジュールが約16分のオーダーである、請求項13の装置。
  15. 受信器の起動時に、任意の受信した送信信号を最初に検出して、アドレスの復号化の前に、当該送信信号の妥当性と変調の有無を評価し、当該送信信号が妥当であり、かつ、変調を含んでいる場合は、当該送信信号が実際に前記受信器に向けて送られたものであるか否かを判定するために、当該送信信号の少なくとも一部分を復号するための手段を備える、請求項14の装置。
  16. 前記検出が、約3ミリ秒のオーダーの時間で実行される、請求項15の装置。
  17. 前記送信信号内のメッセージの変調が、アドレスビットに先行する先行プリアンブル及びフラグビットの形式で提供される、請求項15の装置。
  18. 前記アドレスビットがVRC、LRC、及びFCNコードのうちの1つ以上の後にあり、該アドレスビットの後にCRCビットがある、請求項17の装置。
  19. アドレスを特定し、かつ、全メッセージを反映している情報が、前記アドレスに先行するリーディングビットに含まれており、送信信号が前記受信器宛てであるか否かについての判定が即座に可能であり、これによって、前記メッセージが前記受信器宛てでない場合に、アドレスビットの復号を続行するためのエネルギーの浪費を回避する、請求項17の装置。
  20. 前記受信した送信信号の検出評価が、信号対ノイズ比を決定し及び評価するための手段によって実行される、請求項19の装置。
  21. シンボル同期手段とフラグビットパターンを決定するための手段を備え、任意のメッセージの復号の前に、前記シンボル同期手段が、前記プリアンブルを高速探査し、前記フラグビットパターンを決定するための手段によってデータの同期化が実行される、請求項19の装置。
  22. ある設定時間の間、受信器宛ての送信信号が受信されない場合、エネルギー活性を数時間の間活動停止状態にするよう動作可能な手段を備える、請求項13の装置。
  23. 前記数時間が経過した後、前記送信スケジュール内に対応する時間期間の間、受信器が送信信号の受信を検出できるようにするために、エネルギー活性ポテンシャルを元に戻すよう動作可能な手段を備える、請求項22の装置。
  24. 前記設定時間が、約1時間のオーダーに調整される、請求項23の装置。
  25. 所定のタイムインターバルにわたる連続する時間期間に送信信号を受信しなかった場合に、前記拡張手段によって連続的に除々に拡張を行うための手段を備える、請求項13の装置。
  26. 0及び1のビットを生成する受信信号の一方の経路に沿って送られる2レベルのオーディオ周波数成分を、信号が存在しない場合のノイズを示す他方の経路に沿ってモニタされるより高い周波数と比較することにより、信号対ノイズ比を測定するための手段を備える、請求項20の装置。
  27. 0及び1に対応する複数の連続する送信タイムインターバルを測定することによって、エネルギー活性を元に戻すときに受信器を同期させ、平均をとることにより、かかるエネルギー活性に関する起動時間の見積もり値を決定するための手段を備える、請求項23の装置。
  28. 一つおきにタイムインターバル1の和を計算し、最小の和を見つけるための手段を備える、請求項27の装置。
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