JP4306523B2 - フグの加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、養殖トラフグの食味を天然トラフグの食味に近づけるための養殖トラフグの冷凍方法、輸送及び保管方法、解凍方法、並びに加工方法に関する。
フグ料理は日本の食文化を代表する料理として美食家によって愛好されてきた。しかし、フグ料理の中でも最も美味といわれるトラフグの漁獲高は昭和63年をピークとして減少傾向にあり、それを補うものとして養殖トラフグの飼育が盛んとなり、平成元年以降は養殖トラフグの取扱い高が天然トラフグの漁獲高を上回り、その傾向は現在も続いている(例えば、非特許文献1を参照。)。トラフグの養殖は日本国内において、海面養殖が主流であり、活魚を使い、その食味を天然トラフグに遜色なく維持することにより、事業を展開してきたが、そのための水槽施設や水を運搬することによるコスト高を避けることができなかった。しかし、約10年程前より中国や韓国においてもトラフグの養殖が行われるようになり、最近では日本への輸出が本格的に行われるようになってきた(例えば、非特許文献1及び2を参照。)。
フグを輸入する場合、その種類が明らかになるような状態で、且つ内臓の変質・腐敗を防ぐために、フグの頭部を首部から切断しないで、首部で腹側の皮を残す形で、胴体から切り離す、内臓を除去する方法が提案された(例えば、特許文献10及び11を参照。)。魚介類を保存するための方法として、魚やエビ、ウニのような生鮮食品を水分と接触しない状態で断熱材で作った第1の断熱容器内に収納して密閉し、この第1の密閉容器を底部に氷を張った同じく断熱材で作った第2の断熱容器内に周囲に所定間隔を空けて収納して密閉し、全体を氷点以下の温度に冷却させる方法(例えば、特許文献5を参照。)、魚類あるいは甲殻類を−3〜10℃まで緩慢に冷却し、冬眠状態にした後低温貯蔵する方法(例えば、特許文献6を参照。)、臓器及び皮などを取り除いた新鮮なフグを高バリヤー性フィルムで包装し、凡そ−1.0℃の品温で非凍結状態で貯蔵する方法(例えば、特許文献8及び9を参照。)、などが提案されている。また、冷凍保存する方法としては、フグ刺身を−50℃以下の雰囲気下で急速凍結した後、防湿性フィルムで包装する方法(例えば、特許文献2を参照。)、活魚体を−25〜35℃に直接冷却したアルコールブライン液中に浸漬して凍結したものを−50〜55℃に冷却する方法(例えば、特許文献3を参照。)、魚介類を水洗すると共に調理目的に応じて前処理加工し、この前処理加工した魚介類を冷凍離水分解しない耐冷コロイド状の低温ゲル化剤で包み冷凍する方法(例えば、特許文献4を参照。)、活魚を洗浄、生じめした後にエラ及び内臓などを除去し、真空パック後に−45℃以下の温度に急速冷凍する方法(例えば、特許文献7を参照。)などが提案されている。さらには、冷凍魚介類を解凍した後、酵素を含む溶液で処理し、品質を改良する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特公昭50−38695号公報 特公昭60−6612号公報 特開昭61−124340号公報 特開昭62−6630号公報 特開平4−278071号公報 特開平5−49369号公報 特開平6−209694号公報 特開平9−271317号公報 特開平10−4869号公報 特開2002−153204号公報 特開2003−299436号公報 多部田修編、水産学シリーズ111、「トラフグの漁業と資源管理」、株式会社恒星社厚生閣、平成9年3月30日発行、10〜11頁 青木義男著、「ふぐの文化」、株式会社成山堂書店、平成15年5月18日改訂初版発行、127頁及び145頁
トラフグの料理を提供する場合、コスト面から養殖トラフグを使用することは避けられず、さらには中国あるいは韓国における養殖トラフグを輸入することも考慮に入れざるを得ない状況にある。しかし、養殖トラフグを輸入するに際しては、活魚として輸入する場合、秋口に活魚船により養殖トラフグの活魚を輸入し、冬のシーズンまで生簀で蓄養するのが、一般的であり、国産の養殖トラフグと比較して必ずしもコスト的に有利とはいい難く、鮮魚あるいは冷凍魚として輸入されているのが現状である。従って、養殖トラフグを一旦冷凍魚とした場合でも、天然トラフグの食味を維持することが養殖トラフグを使用する上での課題である。
本発明者らは、これらの課題を解決するために種々の検討を行った結果、養殖トラフグの輸送方法、凍結方法、解凍方法並びに加工及び保管方法を提供するに至った。
すなわち、養殖場に付属した水槽に収容されている養殖トラフグを水槽より採り上げ、該養殖トラフグの魚体を計量及び検査した後、輸送用車両に積み込み、凍結処理場まで輸送し、凍結処理場に設けられた水槽に収容した後、凍結処理する毎に、該水槽に収容されている養殖トラフグを水槽より採り上げ、該養殖トラフグを〆た後、養殖トラフグの魚体を5℃〜10℃の海水に浸漬し、血抜きを行った後、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去し、該魚体を塩水で洗浄し、表面の水分を除去した後、真空パックし、真空パックされた状態の魚体を急速凍結し、該魚体の中心温度を−30℃以下にした後、−30℃以下で該魚体を輸送し、保管した後、真空パックされた養殖トラフグの魚体を解凍し、該養殖トラフグの魚体の温度が氷結点を超えたことを確認した後、真空パックより養殖トラフグの魚体を取り出し、該養殖トラフグの魚体を解体し、得られた身(以下、丸太という。)及びアラを塩水で洗浄し、丸太を氷温に保った後、氷温に保存した状態で丸太を割くり、テッサを引いて、該テッサを氷温で保管することを特徴とする養殖トラフグの加工及び保管方法である。
養殖場の水槽より凍結処理場の水槽への養殖トラフグの輸送において、養殖トラフグを海水が通過できる箱に入れ、箱に入れた状態の養殖トラフグを、5℃〜15℃の海水を張った輸送用車両に積載された海水中に積み込み、該海水を通気しながら凍結処理場まで輸送した後、該養殖トラフグを凍結処理場に設けられた水槽に収容することを特徴とする養殖トラフグの輸送方法である。
養殖トラフグの凍結処理において、凍結処理場の水槽に収容されている養殖トラフグを水槽より採り上げ、該養殖トラフグを〆た後、トラフグの魚体を5℃〜10℃の海水に浸漬し、5分〜10分間血抜きを行った後、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去し、該養殖トラフグの魚体を0.5重量%〜3.0重量%の塩水で洗浄し、表面の水分を除去した後、真空パックし、真空パックされた状態の養殖トラフグの魚体を3℃以下の海水に20分〜40分間浸漬し、該魚体の温度が5℃以下になった後、急速凍結し、該魚体の中心温度を−30℃以下にすることを特徴とする養殖トラフグの凍結方法である。
真空パックされた−30℃以下の養殖トラフグの魚体を、温度が18℃〜25℃である0.5重量%〜3.0重量%の天日塩水中に浸漬し、その温度を維持した状態で45分〜75分間保持した後、天日塩水の温度を12℃〜18℃に下げ、25分〜40分間維持し、養殖トラフグの魚体の温度が氷結点を超えたことを確認した後、真空パックより魚体を取り出すことを特徴とする養殖トラフグの解凍方法である。
解凍された養殖トラフグの魚体を0℃以下の氷温に保ちながら解体し、得られた身(以下、丸太という。)及びアラを0.5重量%〜3.0重量%の天日塩水で洗浄し、丸太を30分〜60分間氷温に保った後、0.5重量%〜3.0重量%天日塩、0.05重量%〜0.10重量%炭酸水素ナトリウムおよび0.01重量%〜0.10重量%焼明礬からなる水溶液に1分〜3分間漬け込み、該水溶液から丸太を取り上げた後、付着した該水溶液を拭き取り、次いで0.5重量%〜3.0重量%天日塩および0.5重量%〜3.0重量%二糖類からなる水溶液に30秒〜90秒間漬け込んだ後、氷温に保存した状態で丸太を割くり、テッサを引いて、該テッサを氷温で保管することを特徴とする養殖トラフグの加工及び保管方法である。
本発明の養殖トラフグの加工及び保管方法は、国内はもとより中国あるいは韓国において養殖されたトラフグであっても、現地で凍結し、日本に輸入した後、解凍し、加工しても天然のトラフグに匹敵する鮮度、旨味及び食感を保持することができる。
本発明にいう養殖トラフグとは、トラフグの稚魚を海水面の網生け簀、養魚池あるいは陸上の水槽において、成魚になるまで飼育したものをいい、その飼育の仕方により得られる養殖トラフグの食味はおおいに異なる。例えば、日本では一般に飼育密度が高く、餌料も人工餌料が使用されているが、中国では、飼育密度が低く、餌料も天然の甲殻類、小魚などが使用されている。
本発明にいう天然トラフグとは、西日本沿岸で網漁法、釣り漁法などによって獲られたトラフグであって、その食味が優れているところから最も高級な食材とされており、本願発明の目標としているものである。天然トラフグは活トラフグとして流通しており、まず鮮度がよいことが挙げられ、そのため食感すなわちテクスチャーに優れている。また、天然トラフグは旨味にも優れているが、その旨味成分はアミノ酸及び核酸であるといわれている。
トラフグに限らず動物は、代謝により核酸関連物質がエネルギーの産生に伴い、乳酸が蓄積して、旨味成分が減少するので、その輸送あるいは保管に際しては代謝を低下させることが重要となってくる。従って、その劣化の程度を評価するため、乳酸含有量及びアデノシン三リン酸(ATP)含有量を測定することが行われている。また、劣化の程度を表す指標として、核酸関連物質の含有量から式1により算出するK値があり、魚肉の活きのよさを評価する指標として利用されている。一方、歯ごたえについては、破断強度を測定することにより、推定することができる。
トラフグの旨味は、核酸関連物質及びアミノ酸の含有量が関係するといわれ、核酸関連物質としてはイノシン酸含有量が高い程、アミノ酸としてはグルタミン酸及びグリシンの含有量が高い程、旨味が増す。従って、これらの含有量を測定することにより、旨味を評価することができる。また、アミノ酸含有量と核酸関連物質含有量との相乗効果により旨味を増すといわれており、山口等によってグルタミン酸含有量とイノシン酸含有量から式2により算出するYが旨味の強さを表すとして提案されている。
本発明において、養殖トラフグを養殖場より凍結処理場まで輸送するに際しては、通常養殖トラフグの魚体を計量及び検査し、出荷するのが不適当であると判断した魚体は排除し、出荷に適した養殖トラフグを輸送用車両に積み込む。
本発明において、養殖トラフグを養殖場より凍結処理場まで輸送するために、海水が通過できる箱に入れ、5℃〜15℃の海水中に積み込むのは、養殖トラフグの魚体を損なわず、しかも基礎代謝を低くすることにより、体力の消耗を避け、その鮮度を維持するためである。また、養殖トラフグを〆るとは、第一乃至第三脊髄部を切開することであって、その後に血抜きを行い、内蔵を摘出するが、魚体の消耗を抑制するために行うものである。
本発明にいう塩水とは、精製塩もしくは天日塩の水溶液または殺菌した海水をいう。また、天日塩とはオーストラリア、メキシコ、中国、韓国などの乾燥した地域で1年〜2年間海水を貯水池に引き、風と日光のみで水分を蒸発させる方法により得られた塩のことをいう。
本発明において、養殖トラフグの魚体あるいは丸太もしくはアラを洗浄するには、0.5重量%〜3.0重量%の塩水、0.5重量%〜3.0重量%の天日塩水、または殺菌した海水を使用するのが好ましく、その塩分濃度が0.5重量%未満であればトラフグの体細胞に対して悪影響を及ぼし、その食味が損なわれ、また3.0重量%を超えると塩味が付き、やはり食味が損なわれる。
本発明において、真空パックされた養殖トラフグの魚体を凍結するためには、真空パックされた状態で急速凍結し、さらに魚体の温度を下げ、−50℃にするのが好ましい。急速凍結の方法については、特に限定されないが、通常トンネルフリ−ザーにより凍結するが、トンネルフリ−ザーについては特にその型式を問わない。また、養殖トラフグの魚体の温度をさらに低下させるためには、エアーブラストを利用することができる。
本発明にいう氷温とは、0℃乃至5℃の低温域をいい、通常庫内温度を0℃に設定した氷温庫で保管すればよい。
本発明におけるテッサの加工は、解凍された養殖トラフグの魚体を0℃以下の氷温に保ちながら解体し、得られた丸太及びアラを0.5重量%〜3.0重量%の天日塩水で洗浄し、丸太を30分〜60分間氷温に保った後、0.5重量%〜3.0重量%天日塩、0.05重量%〜0.10重量%炭酸水素ナトリウム及び0.01重量%〜0.10重量%焼明礬からなる水溶液に1分〜3分間漬け込み、水溶液から丸太を取り上げた後、付着した水溶液を拭き取り、次いで0.5重量%〜3.0重量%天日塩及び0.5重量%〜3.0重量%二糖類からなる水溶液に30秒〜90秒間漬け込んだ後、氷温に保存した状態で丸太を割くり、テッサを引くという方法であって、保管は氷温で行い、二糖類としては通常トレハロースが使用される。
本発明の詳細を実施例に基づいて説明するが、本発明の主旨はこれに限定されるものではない。実施例及び比較例において供試した養殖トラフグは長崎県産の約900gのトラフグである。また、参考例1の天然トラフグは下関産の約900gの活トラフグである。
(実施例1)
長崎県産の養殖トラフグを海水が通過できる箱に入れ、箱に入れた状態の養殖トラフグを、10℃の海水を張った水槽に入れ、海水に通気しながら通常の輸送時間である12時間保持した。その後、養殖トラフグを採取し、表面の水分を除去して試験試料とした。
(比較例1)
長崎県産の養殖トラフグを海水が通過できる箱に入れ、箱に入れた状態の養殖トラフグを、20℃の海水を張った水槽に入れ、海水に通気しながら通常の輸送時間である12時間保持した。その後、養殖トラフグを採取し、表面の水分を除去して試験試料とした。
(参考例1)
下関産の天然トラフグを〆た後、トラフグの魚体を10℃の海水に浸漬し、10分間血抜きを行った後、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去した魚体を1.0重量%の塩水で洗浄し、表面の水分を除去して試験試料とした。
(試験例1)
実施例1、比較例1及び参考例1の各試験試料をYokoyamaらの方法に従って、背部普通筋から10%過塩素酸によりエキスを抽出し、これより安藤らの方法に従って、高速液体クロマトグラフ法により、核酸関連物質の含有量を測定し、K値を算出した。その結果は表1に示したように、比較例1の通常の輸送方法による場合には、K値が最も高く鮮度が落ちているが、実施例1の本発明の輸送方法では、K値が低く鮮度を維持していることが明らかであった。なお、今回の試験では参考例1の天然トラフグは両者の中間の値を示した。
(試験例2)
実施例1及び比較例1の各試験試料を試験例1の2段階の抽出方法により抽出した試料により、安藤らの方法に従って、高速液体クロマトグラフ法により、乳酸含有量の測定を行った。その結果、比較例1の通常の輸送方法による場合の乳酸含有量は、0.039μmol/gであったのに対し、実施例1の本発明の輸送方法では、0.023μmol/gであり、鮮度を維持していることが明らかであった。
(実施例2)
長崎県産の養殖トラフグを〆た後、血抜きを行い、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去した魚体を1.0重量%の塩水で洗浄し、表面の水分を除去した後、真空パックし、真空パックした状態の養殖トラフグの魚体を急速凍結し、−30℃以下に10日間保った後、−30℃以下の養殖トラフグの魚体を、温度が20℃である1.0重量%の天日塩水中に浸漬し、その温度を維持した状態で60分間保持した後、天日塩水の温度を15℃に下げ、30分間維持し、養殖トラフグの魚体の温度が氷結点を超えたことを確認した後、真空パックより魚体を取り出して試験試料とした。
(実施例3)
長崎県産の養殖トラフグを〆た後、トラフグの魚体を10℃の海水に浸漬し、10分間血抜きを行った後、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去した魚体を1.0重量%の塩水で洗浄し、表面の水分を除去した後、真空パックし、真空パックした状態の養殖トラフグの魚体を3℃以下の海水に30分間浸漬し、魚体の温度が5℃以下になった後、トンネルフリーザーにおいて凍結し、冷凍庫に移した後エアーブラストにより魚体の温度を−30℃以下にして、10日間保った後、−30℃以下の養殖トラフグの魚体を、18℃以下の流速2〜5m/sの流水中に浸漬し、養殖トラフグの魚体が氷結点を超えたことを確認した後、真空パックより魚体を取り出して試験試料とした。
(実施例4)
長崎県産の養殖トラフグを〆た後、トラフグの魚体を10℃の海水に浸漬し、10分間血抜きを行った後、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去した魚体を1.0重量%の塩水で洗浄し、表面の水分を除去した後、真空パックし、真空パックした状態の養殖トラフグの魚体を3℃以下の海水に30分間浸漬し、魚体の温度が5℃以下になった後、トンネルフリーザーにおいて凍結し、冷凍庫に移した後エアーブラストにより魚体の温度を−30℃以下にして、10日間保った後、−30℃以下の養殖トラフグの魚体を、温度が20℃である1.0重量%の天日塩水中に浸漬し、その温度を維持した状態で60分間保持した後、天日塩水の温度を15℃に下げ、30分間維持し、養殖トラフグの魚体の温度が氷結点を超えたことを確認した後、真空パックより魚体を取り出して試験試料とした。
(比較例2)
養殖槽より採り上げた養殖トラフグを〆た後、血抜きを行い、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去した魚体を1.0重量%の塩水で洗浄し、表面の水分を除去した後、真空パックし、真空パックした状態の養殖トラフグの魚体を急速冷凍し、−30℃以下に10日間保った後、−30℃以下の養殖トラフグの魚体を、18℃以下の流速2〜5m/sの流水中に浸漬し、養殖トラフグの魚体の温度が氷結点を超えたことを確認した後、真空パックより魚体を取り出して試験試料とした。
(試験例3)
実施例2〜4並びに比較例2及び参考例1で得られた各試験試料をYokoyamaらの方法に従って、背部普通筋から10%過塩素酸によりエキスを抽出し、アミノ酸分析システム(日立製作所製、L−7000)により分析することにより、筋肉中の遊離アミノ酸含有量を測定し、表2に示した。表2から明らかなように、味に関係するアミノ酸含有量については、参考例1すなわち天然トラフグのアミノ酸総含有量、グルタミン酸含有量などは養殖トラフグよりも可成り高いが、養殖トラフグにおいては、実施例2〜4の本発明の加工方法は比較例2の従来の加工方法よりもアミノ酸総含有量、グルタミン酸含有量などは高い値を示した。また、旨味の強さを算出し、表3に示したが、アミノ酸含有量の場合と同じく、参考例1すなわち天然トラフグの旨味の強さは養殖トラフグよりも可成り高い値を示しているが、養殖トラフグにおいては、実施例2〜4の本発明の加工方法は比較例2の従来の加工方法よりも旨味の強さにおいても高い値を示した。すなわち、本発明の養殖トラフグの加工及び保管方法は、旨味において従来の加工及び保管方法よりも天然トラフグに近く改善されていることを示した。
(試験例4)
実施例2〜4並びに比較例2で得られた試験試料について、背部普通筋から体軸方向に対して垂直に10mm×10mm×30mmの棒状の筋肉を切りだし、次にカッターの替え刃を筋細胞の方向に対して平行に筋肉を切断するように装着したレオメーター(山電製、RE−3305S)により、1mm/秒のテーブル速度で筋肉に加重し、その際に生じた最大荷重を剪断力とした。破断歪率を測定し図1に示した。図1より養殖トラフグにおいては、実施例2〜4の本発明の加工方法は比較例2の従来の加工方法よりも破断歪率が小さく、噛み応えのあることを示した。すなわち、本発明の養殖トラフグの加工及び保管方法は、食感において従来の加工及び保管方法よりも天然トラフグに近く改善されていることを示した。
(試験例5)
実施例2〜4並びに比較例2で得られた試験試料について、背部普通筋から体軸方向に対して垂直に5mm×5mm×10mmの棒状の筋肉を切り出し、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.2)に1日以上浸漬して固定した。固定した試料より5mm×5mm×2mmの小片を切り出し、50%〜100%エタノールによる脱水を行い、100%エタノールとテクノビット7100等量の予備浸漬液で予備浸漬を行った後、テクノビット包埋液で包埋した。次にミトクローム(サクラファインテック社製、IVS−410)を用いて厚さ1μm〜2μmの切片を作製し、トルイジンブルーで染色を行い、光学顕微鏡(オリンパス社製、BX51)により400倍で観察した。観察結果は図2に示したとおり、養殖トラフグの筋肉では、比較例2の従来の加工方法による解凍後の組織は、細胞間の結合組織が脆弱化しており、大きな隙間となっているが、実施例2〜4の本発明の本発明の加工方法では、細胞間の隙間が殆ど開いていない状態が観察され、天然トラフグの食感に近づいていることを示した。
本発明に利用した技術は、天然あるいは養殖を問わずタイ、ヒラメ、エビなどの白身の魚や甲殻類を遠隔地に輸送したり、長期間保存したりした上、しかも本来の食味を維持するために、利用することができる。
養殖トラフグの破断歪率を示した図 (a)実施例2の筋肉組織 (b)実施例3の筋肉組織 (c)実施例4の筋肉組織 (d)比較例2の筋肉組織
符号の説明
1.筋細胞
2.筋細胞間結合組織

Claims (5)

  1. 養殖場に付属した水槽に収容されている養殖トラフグを水槽より採り上げ、該養殖トラフグの魚体を計量及び検査した後、輸送用車両に積み込み、凍結処理場まで輸送し、凍結処理場に設けられた水槽に収容した後、凍結処理する毎に、該水槽に収容されている養殖トラフグを水槽より採り上げ、該養殖トラフグを〆た後、養殖トラフグの魚体を5℃〜10℃の海水に浸漬し、血抜きを行った後、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去し、該魚体を塩水で洗浄し、表面の水分を除去した後、真空パックし、真空パックされた状態の魚体を急速凍結し、該魚体の中心温度を−30℃以下にした後、−30℃以下で該魚体を輸送し、保管した後、真空パックされた養殖トラフグの魚体を解凍し、該養殖トラフグの魚体の温度が氷結点を超えたことを確認した後、真空パックより養殖トラフグの魚体を取り出し、該養殖トラフグの魚体を解体し、得られた身(以下、丸太という。)及びアラを塩水で洗浄し、丸太を氷温に保った後、氷温に保存した状態で丸太を割くり、テッサを引いて、該テッサを氷温で保管することを特徴とする養殖トラフグの加工及び保管方法。
  2. 請求項1に記載の養殖場の水槽より凍結処理場の水槽への養殖トラフグの輸送において、養殖トラフグを海水が通過できる箱に入れ、箱に入れた状態の養殖トラフグを、5℃〜15℃の海水を張った輸送用車両に積載された海水中に積み込み、該海水を通気しながら凍結処理場まで輸送した後、該養殖トラフグを凍結処理場に設けられた水槽に収容することを特徴とする養殖トラフグの輸送方法。
  3. 請求項1に記載の養殖トラフグの凍結処理において、凍結処理場の水槽に収容されている養殖トラフグを水槽より採り上げ、該養殖トラフグを〆た後、トラフグの魚体を5℃〜10℃の海水に浸漬し、5分〜10分間血抜きを行った後、腹を裂き、内蔵を摘出し、さらに腎臓を除去し、該養殖トラフグの魚体を0.5重量%〜3.0重量%の塩水で洗浄し、表面の水分を除去した後、真空パックし、真空パックされた状態の養殖トラフグの魚体を3℃以下の海水に20分〜40分間浸漬し、該魚体の温度が5℃以下になった後、急速凍結し、該魚体の中心温度を−30℃以下にすることを特徴とする養殖トラフグの凍結方法。
  4. 請求項1に記載の真空パックされた−30℃以下の養殖トラフグの魚体を、温度が18℃〜25℃である0.5重量%〜3.0重量%の天日塩水中に浸漬し、その温度を維持した状態で45分〜75分間保持した後、天日塩水の温度を12℃〜18℃に下げ、25分〜40分間維持し、養殖トラフグの魚体の温度が氷結点を超えたことを確認した後、真空パックより魚体を取り出すことを特徴とする養殖トラフグの解凍方法。
  5. 請求項1に記載の解凍された養殖トラフグの魚体を0℃以下の氷温に保ちながら解体し、得られた身(以下、丸太という。)及びアラを0.5重量%〜3.0重量%の天日塩水で洗浄し、丸太を30分〜60分間氷温に保った後、0.5重量%〜3.0重量%天日塩、0.05重量%〜0.10重量%炭酸水素ナトリウムおよび0.01重量%〜0.10重量%焼明礬からなる水溶液に1分〜3分間漬け込み、該水溶液から丸太を取り上げた後、付着した該水溶液を拭き取り、次いで0.5重量%〜3.0重量%天日塩および0.5重量%〜3.0重量%二糖類からなる水溶液に30秒〜90秒間漬け込んだ後、氷温に保存した状態で丸太を割くり、テッサを引いて、該テッサを氷温で保管することを特徴とする養殖トラフグの加工及び保管方法。
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