JP4306432B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
このような燃料電池の開発においては、軽薄・短小化を実現するために、薄膜の集電電極や電解質膜などを積層し、平板構造の燃料電池セルとし、さらに電圧の確保のために、複数の上記燃料電池セルを用い、電気的に独立した集電電極をリード線などにより電気的に直列に接続する方法などが提案されている。また、上記燃料電池セルの積層構造を固定化する方法としては、ボルトやカシメを用いて固定する、あるいは積層構造を覆うケースを用いて固定する方法が開示されていた(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、積層構造を覆うケースを用いて固定する場合には、強度の問題から筐体(ケース)が重くなる傾向になり、ケース重量が軽量化のための問題となった。
以下、本発明の燃料電池を図に基づき説明する。図1は本発明の実施の形態1による燃料電池を示す断面構成図である。図2は本発明の実施の形態1による燃料電池を製造する工程を示す図である。
図1において、燃料電池は複数の燃料電池セル10を同一面上に配列して構成されている。電解質膜1と、この電解質膜1を挟む水素電極(負極)2および酸素電極(正極)3とから発電セル4が構成され、上記発電セル4と、発電セル4を挟む水素極集電板(負極集電板)5および酸素極集電板(正極集電板)6とで燃料電池セル10が構成される。また、複数の燃料電池セル10は、隣り合う集電板間を電気的に絶縁する絶縁層7a、7bで位置決めをされている。さらに、隣り合う水素極集電板5と酸素極集電板6とは、金属接合による金属接合部8により電気的に接続されており、複数の燃料電池セル10は直列接続されている。また、上記金属接合部8により、上記水素極集電板5と上記酸素極集電板6とは機械的に接続されている。また、水素極集電板5に設けられた絶縁層7aと酸素極集電板に設けられた絶縁層7bとは接着層9により接着されている。また、水素極集電板5及び絶縁層7aには水素導入孔11が設けられ、酸素極集電板6及び絶縁層7bには大気(酸素)導入孔12が設けられている。
平面状に配置された複数のステンレス板13a、13bの所定箇所に絶縁層7bを形成し、さらに金メッキを施して酸素極集電板6としたものを図2(a)に示す。水素極集電板5も同様にして形成する。金メッキの厚みは特に限定されるものではないが、後述するバンプによる金属接合で強固な接合を作るためには、2〜10μm程度の膜厚が好ましい。膜厚は金属接合の強度などに応じて適宜決めればよい。また、ステンレス基板上に金メッキだけでなく、他の金属との多層メッキ、あるいはスパッタなどの成膜方法を用いた膜を形成しても良く、特に限定されない。
絶縁層7は、樹脂あるいは樹脂と強化剤との複合材料を用いることが可能であるが、プリント基板などに用いられるガラスエポキシ基材などが好適である。
スタッドバンプ14は、多段のスタッドバンブとし、図3に示すように、直径約130μm、高さ150μmの金スタッドバンプを得た。バンプの直径や高さは、特に限定されるものではなく、必要とされるセル構造などに応じて適宜最適化すればよい。ただし、形成するスタッドバンプの断面形状は、図3に示すように側壁面に凹凸があることが重要である。凹凸の個数やその寸法は、後述する接着剤との組み合わせにより最適化すればよいが、好ましくは、一段以上の凹凸があることが望ましい。
また、金属接合部8は、金属のみで構成されなくても良い。例えば、樹脂あるいは樹脂に金属やセラミックなどの充填剤を混合した樹脂複合材料を印刷などで金メッキ前のステンレス基材上に凸状に形成し、その後にメッキやスパッタ等で金などの導電層を形成しても良い。金属接合が実現できる範囲であれば特に限定されない。ただし、このような方法でバンプを形成する場合にもバンプの側壁面には一段以上の凹凸が形成されていることが必要である。
さらに、図2(d)に示すように、超音波接合装置(フリップチップボンダー:松下電工社製)の超音波接合ヘッド16を水素極集電板5側に当接して、集電板5、6の金メッキ層と金バンブ14とを金属接合し、金属接合部8を形成する。
さらに、100℃で30分間加熱し接着剤15を硬化させて図2(e)に示すような燃料電池を作製する。
また、ここで用いる電解質膜1としては、プロトン伝導性高分子膜として、Nafionナフィオン(デュポン社製)、Flemionフレミオン(旭硝子社製)、Aciplexアシプレックス(旭化成社製)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜などを用いればよいが、これらに限定されるものではない。
また、電極2、3として、触媒付カーボンペーパ(電解質膜1に接する面にPt触媒を塗布したもの)を用いるが、これに限定されるものではなく、導電性の良いカーボンフェルトを複合成形したものや、さらに導電性を向上するために、ポーラスあるいは網状の耐食性金属を使用することでも良い。
なお、集電板へのバンプの接合は超音波接合に限定するものではなく、電解質膜1の劣化が進行しない範囲で、例えば超音波の無い単純な加熱圧着で接合しても良い。
本発明の具体的な実施例を説明する。
本発明の実施例1による燃料電池の構成は図1に示すものと同様のものである。実施例1による燃料電池の製造工程を図2〜図6を用いて詳細に説明する。
まず、30mm×60mm、膜厚100μmのステンレス板13を図4に示すように加工する。加工後のステンレス板はそれぞれ独立した金属片であることから、それぞれの集電板がばらばらにならないように、図示していないが、プレス成型後まで回りに支持体を付けている。0.6mmのガラスエポキシプリプレグ(日立化成工業社製・FR4ガラスエポキシプリプレグ679F)7bを図5に示すように加工し、大気導入孔12を開けると共に、バンプ14を形成する部分として直径200μmの穴(バンブ形成部)17を開ける。図4に示したステンレス板13を、図5に示した2枚のプリプレグ間に挟み(ただし、外側になる方のプリプレグには穴(バンブ形成部)17を開けていないものを用いる)、これを真空加熱プレスにて3℃/minで180℃まで昇温したのち、1時間加熱する。次に、金メッキでステンレス板13の金属露出部分に金メッキを膜厚10μmで形成する(図2(a))。
次に、金ワイアを用いてワイアボンディング装置により金のスタッドバンプ14を形成する。なお、ワイアボンディングのステージ温度は150℃で実施した(図2(b))。
三段スタッドバンブで形成したところ、図3に示すバンプ主柱の高さが130μm、バンプ高さが200μm、直径が120μmの金バンプを得た。得られた酸素極集電板6を図7に示す。
同様にしてバンプ14を形成していない水素極集電板5を作製する。
水素電極2および酸素電極3となるPt触媒つきのカーボンペーパーを、それぞれ集電板5および集電板6に図2(c)のようにはめ込み、さらにバンプ14を形成した集電板6上に接着剤(Three−bond社製TB1153)15を塗布する。接着剤15は、バンプ14の周りと、電極部分および電解質膜部分の周囲を取り囲むように、絶縁層7b上に塗布する。このようにして得られた酸素極集電板6と水素極集電板5との間に、電解質膜(旭化成工業社製Aciplex、膜厚150μm)を図2(c)に示すように挟み込み、さらに、図2(d)に示すようにフリップチップボンダー(松下電工社製)を用いて、ステージ温度80℃で、集電板5、6の金メッキ層と金バンブ14とを金属接合する。
さらに、循環オーブン中で、100℃で30分間熱処理を行い、接着剤15を硬化させ、図2(d)に示す燃料電池セルを得た。
本発明の実施例2による燃料電池の製造工程を図7および図8を用いて説明する。
実施例1では、金のスタッドバンプ14により金属接合部8を形成したが、本実施例2では、導電性樹脂ペーストをスクリーン印刷することにより印刷バンプ18を形成する。なお、印刷バンブ18は実施例1と同様、その側壁面に凹凸が設けられている。
まず、実施例1と同様にして、絶縁層7を形成したステンレス板13にスクリーン印刷で導電性ペーストを凸状に形成し(印刷方法は図示しない)、バンブ18を形成する。印刷により形成された印刷バンブ18の断面形状を図8に示す。続く加熱処理(150℃−60分)によりバンプ18中の樹脂を硬化させる。さらに、電解金メッキにより、ステンレス上の金属露出部およびバンプ18上に、膜厚10μmの金を成膜し、図7(b)に示す集電板を得る。
さらに、実施例1と同様にして、電極および電解質膜を積層し(図7(c))、超音波接合によりバンプ18を集電板に金属接合し(図7(d))、燃料電池セルを得る(図7(e))。その結果、厚みが0.7mmの、非常に薄い燃料電池が得られた。
発電性能の評価試験としては、60分発電させた後、ガス供給を60分間停止する発電サイクルを繰り返して実施し、発電性能の経時安定性について出力電圧を測定することにより確認した。
比較例1として、バンプの代わりにネジにより燃料電池セルの積層物を固定すると共に、隣接する燃料電池セルを直列接続した燃料電池を用いて同様な試験を実施した。ネジ止めした燃料電池の製造プロセスは説明しないが、図9に示すように、絶縁層7の10箇所に設けた穴(ネジ接合部)19に、直径0.5mmのネジを通し、ネジにより燃料電池セルを固定化した。このようにして得られた燃料電池を用いて、同様に経時安定性を測定した結果を表1に示す。
発電性能の評価試験としては、20分発電させた後、ガス供給を20分間停止する発電サイクルを繰り返して実施し、発電性能の経時安定性について出力電圧を測定することにより確認した。
比較例2として、ワイアボンダーで形成する金バンプ14を、凹凸の無い平滑な側壁面を持つ一段スタッドバンプで作製した場合、比較例3として、印刷により形成する印刷バンプ18を、凹凸の無い平滑な側壁面で作製した場合のそれぞれに対し、以下、実施例と同様の方法で燃料電池セルを固定化した。このようにして得られた燃料電池を用いて、同様な試験を実施した。経時安定性を測定した結果を表2に示す。
このことから、金属接合部8は、側壁面の凹凸形成の有無で信頼性に有意差があることが確認され、凹凸を形成した場合の方が、信頼性で有利であることが判った。
Claims (2)
- 電解質膜と、上記電解質膜を挟む正極及び負極と、上記正極の上記電解質膜とは反対側の面に設けられ、上記正極と電気的に接続された正極集電板と、上記負極の上記電解質膜とは反対側の面に設けられ、上記負極と電気的に接続された負極集電板とを備えた燃料電池セルを、絶縁層を介して同一面上に複数配列した燃料電池であって、隣接する燃料電池セルの正極集電板と負極集電板とを、上記各燃料電池セルが直列接続されるように金属接合により電気的に接合すると共に、上記正極集電板と上記負極集電板とを上記金属接合により機械的に接合し、かつ上記金属接合部の側壁面に凹凸を設け、上記金属接合部と上記絶縁層とが密着するようにしたことを特徴とする燃料電池。
- 金属接合部は、多段のバンプで構成されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
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