JP4305948B2 - 構造物用制振装置 - Google Patents

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本発明は、木造住宅等の低層建物などの構造物に用いる構造物用制振装置に関するものである。
従来、この種のものとして、上部構造体側から下向きに突出させた荷重支持部材の下面を下部構造体側に固定された受け台の上面に面接触させて、常時は上部構造体の荷重を荷重支持部材を介して受け台に伝達して下部構造体で支持させ、かつ、下部構造体に地震による水平変位力が作用した時は上記荷重支持部材の下面と受け台の上面との水平方向の摺動摩擦抵抗により上部構造体への水平変位力の伝達を減衰させるように構成してなる軽量構造物用免震装置(例えば特許文献1,2)がある。
これらの免震装置は、上部構造体と基礎等の下部構造体との間に介在されて通常は上部構造体の荷重を下部構造体で支持させているから、荷重支持部材の下面と受け台の上面との摩擦抵抗を所望の値に設定することが難しく、また、構造が比較的複雑になる問題があり、さらに、上部構造体を支持する構造であるから、既設の構造体への対応が困難である。
そして、木造住宅等の低層建物は、一般に固有振動数が小さく、地震動の周期と共振し易い傾向がある。
特開平11−311294号公報(段落0001段) 特開2001−263417号公報
そこで、本発明は、低層建物などにおいて、上部構造体と下部構造体との横方向の摩擦により上部構造体の横方向変位力を減衰させることができ、構造簡易な構造物用制振装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、上記構造体と下部構造体との間に設けられ、一方の構造体との横方向の摩擦により上部構造体の横方向変位力を減衰させるようにした構造物用制振装置において、
前記一方の構造体の摺動面に摺動する摺動体と、
前記摺動体を前記摺動面に押し付ける引張弾性体と、
他方の前記構造体と前記摺動体とを前記摺動面と交差方向に移動可能に連結する連結手段と
前記引張弾性体の一端を横方向移動可能に連結する移動連結手段と、
を備え
前記引張弾性体の一端を前記移動連結手段により前記摺動体に横方向移動可能に連結する と共に、他端を前記一方の構造体に連結したものである。
また、請求項の発明は、前記移動連結手段は、前記引張弾性体の一端を横方向揺動可能に連結したものである。
また、請求項の発明は、前記連結手段は、前記他方の構造体と前記摺動体との間に枢軸部を備えるものである。
また、請求項4の発明は、前記引張弾性体は、コイルばね、又はゴムである
請求項1の発明によれば、他方の構造体と摺動体とが摺動面の交差方向に移動可能に連結されているから、構造体間で摺動面交差方向の力が加わらず、押圧手段により摺動体と摺動面との摩擦係数を設定することができ、摩擦係数を設定することにより、可動時における上部構造体の固有振動数を変えることができる。そして、地震などにより上部構造体に振動が発生すると、この振動を前記摺動体と摺動面との摩擦により減衰することができる。
また、装置が上部構造物を支持する構造ではないから、既設の建物への取り付けも容易となる。
また、引張弾性体を用いるから構造簡易にして信頼性に優れたものとなる。
また、引張弾性体の一端が横方向移動可能に連結されているから、一方の構造体に対して摺動体が変位しても、一方の構造体に対して引張弾性体の位置が変わることはなく、 張弾性体による押付力がほぼ一定に摺動体に働く。
また、請求項の発明によれば、横方向揺動可能に連結したことにより、一方の構造体に対して360度方向に摺動体が変位しても一方の構造体に対して引張弾性体の位置が変わることはなく、装置を取り付ける際、向きに制限を受けることがなく、上部構造体の360度方向への変位振動に対応可能となる。
また、請求項の発明によれば、摺動体の移動時に連結手段に無理な力が加わることがない。
また、請求項4の発明によれば、引張弾性体にコイルばね、又はゴムを用いるから構造簡 易にして安価なものとなる。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な装置を採用することにより、木造住宅等の低層建物などの構造物に適した制振装置を夫々記述する。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1〜図4は本発明の第1実施例を示し、同図に示すように、制振装置1は、木造建物,鉄筋造りやプレハブ式建築物などの低層建物の上部構造体101と下部構造体102との間に設けられる。下部構造体102には角型の木製からなる土台2を備え、この例では前記土台2の上に制振装置1を設けており、土台2上に補強部材たる基板3を固設し、この基板3は土台2の上面上に配置されている。前記基板3の上に摺動体の一部を構成する受け板4を摺動自在に設け、この摺動板たる受け板4は木製などからなり、また、前記基板3の露出面である上面が摺動面5となり、この摺動面5に前記受け板4の下面たる摺動面7が摺動する。尚、土台2は木製に限らず鉄製など各種材質のものを用いることができる。また、前記摺動面5を土台2の上面と面一に配置してもよい。
このように土台2には摺動面5が設けられ、この摺動面5に沿って摩擦摺動する摺動体6を用い、この摺動体6は木製などからなる箱型をなし、下部に前記受け板4を一体に備え、この受け板4の下面の摺動面7が前記摺動面5に摺動する平面状に形成されている。この例では前記摺動体6,受け板6及び基板3は図1中左右方向に長く形成され、基板3に対して摺動体6がほぼ左右方向に往復移動する。
前記受け板4及び摺動体6には左右方向に長い貫通孔4A,6Aを形成し、これら貫通孔4A,6Aに押圧手段たるコイルばね8を縦設し、このコイルばね8の下端8Sを前記土台2に連結し、具体的には基板3部分の土台にフック9に固定し、このフック9にコイルばね8の下端8Sのリング部を係止している。一方、前記コイルばね8の上端8Uを移動連結手段10により摺動体6の上部に横方向移動可能に連結している。尚、前記コイルばね8が引張弾性体であり、この引張弾性体は弾性復元力により引張力を発生するものであり、ばね以外にもゴムなどの弾性体が例示される。
前記移動連結手段10は、図2に示すように、前後一対で左右方向のレール11,11を摺動体6の上面に設け、それらレール11,11に沿って移動するスラーダ12,12を設け、これらスライダ12,12を連結部材13により連結し、この連結部材13に前記コイルばね8の上端8Uを連結している。図4に示すように、前記レール11とスライダ12との間には、転動体として複数の球14が介在し、スライダ12の移動により球14が循環移動する。スライダ12はレール11の上部を覆う凹部15を有し、凹部15の2つの角部位置でレール11との間に循環路16,17が設けられ、凹部15の開口側でレール11との間に順管路16A,17Aが設けられ、前記循環路16,16Aにおいて球14が循環し、循環路17,17Aにおいて球14が循環する。また、循環路16,16A,17,17Aにおいて、レール11及びスライダ12には球14に対応する円弧面11M,12Mがそれぞれ形成されている。尚、球14の代わりにコロを用いて、円弧面をコロが線接触する平面にしてもよい。
したがって、球14は円弧面11M,12Mに接触して移動するため、レール11に沿ってスライダ12が安定して移動することができる。
前記上部構造体101に連結体20を設ける。この例では連結体20は、2つの連結部材21,21を備え、土台2の上に柱103,103を立設し、これら柱103,103に支持された横梁や天井部材などに前記連結部材21,21の上端を固定し、上部構造体101に一体に設けられている。また、連結体20の下端と下部構造物102との間には隙間Sを設ける。前記摺動体6の左右に、連結手段22,22により前記連結部材21,21が連結されている。前記連結手段22は前記レール11とスライダ12とを備え、上下方向のレール11を前記摺動体6に固定し、レール11に沿ってスライダ12が摺動面7と交差方向である上下方向に移動し、このスライダ12と前記連結部材21とを枢軸部23により回転可能に連結している。
次に、前記構成につき、その作用を説明する。地震などによる上部構造体101に左右方向の振動が発生すると、土台2に対して連結部材21,21が左右方向に移動し、摺動体6の摺動面7と摺動面5との間に動摩擦が発生し、前記振動エネルギーを吸収して減衰効果が得られる。そして、低層建物では、一般的に固有振動数が小さく、その固有振動数と地震の振動とが近いと、共振により大きな振動を発生するのに対して、コイルばね8の張力を調整することにより、摺動体6と摺動面7との間の動摩擦力を設定することができ、これにより可動時の上部構造体101の固有振動数を下げて、地震との共振を防止することができる。したがって、本制振装置1を取り付けた建物は、制振構造となり、大地震時における変形を小さくすることができ、特に地震周期と共振し易い、中低層建物に適したものとなる。また、連結体20の下端は下部構造物102に対してフリーな構造であるから、既設建物への取付も容易である。
このように本実施形態では、請求項1に対応して、上部構造体101と下部構造体102との間に設けられ、一方の構造体である下部構造体102との横方向の摺動摩擦抵抗により上部構造体101の横方向変位力を減衰させるようにした構造物用制振装置において、前記一方の構造体たる下部構造体102の摺動面5に摺動する摺動体6と、この摺動体6を摺動面5に押付ける押圧手段たるコイルばね8と、他方の構造体たる上部構造体101と摺動体6とを摺動面5と交差方向に移動可能に連結する連結手段22とを備えるから、上部構造体101と摺動体6とが摺動面5の交差方向に移動可能に連結されているので、構造体101,102間で摺動面5交差方向の力が加わらず、コイルばね8により摺動体6と摺動面5との摩擦係数を設定することができ、摩擦係数を設定することにより上部構造体101の固有振動数を変えることができる。そして、地震などにより上部構造体101に振動が発生すると、この振動を摺動体6と摺動面5との摩擦により減衰することができる。また、装置が上部構造物101を支持する構造ではないから、既設の建物への取り付けも容易となる。
また、このように本実施例では、請求項に対応して、引張弾性体がコイルばね8であるから、構造簡易にして信頼性に優れたものとなる。
また、このように本実施例では、請求項1、4に対応して、前記引張弾性体がコイルばね8であり、該コイルばね8の一端たる上端8Uを移動連結手段10により摺動体6に横方向移動可能に連結すると共に、他端たる下端8Sを一方の構造体たる下部構造体102に連結したから、下部構造体102に対して摺動体6が変位しても、下部構造体102に対してコイルばね8の位置が変わることはなく、コイルばね8による押付力がほぼ一定に摺動体6に働き、ほぼ一定の摩擦力を得ることができ、また、コイルばね8を用いるから構造簡易にして安価なものとなる。
また、このように本実施例では、請求項に対応して、連結手段22は他方の構造体たる上部構造体101と摺動体6との間に枢軸部23を備えるから、摺動体6の移動時に連結手段22に無理な力が加わることがなく、一定の摩擦抵抗を得ることができる。
図5〜図7は本発明の第2実施例を示し、上記第1実施と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、移動連結手段10Aは、前記摺動体6の上面に前後一対の前記レール11,11を設け、これらレール11,11にスライド可能に設けたスライダ12,12,12,12に、左右一対で前後方向のレール11A,11Aを設け、この左右一対のレール11A,11Aにスライダ12,12を設け、これらスライダ12,12を連結部材13により連結し、この連結部材13に前記コイルばね8の上端8Uを連結している。尚、前記レール11Aは前記レール11と同一構成のものを用い、レール11とレール11Aとは交差方向に配置されている。
したがって、連結部材13はレール11A,11Aに沿って前後方向に移動可能で、且つレール11,11に沿って左右方向に移動可能となり、コイルばね8に対して摺動体6が前後左右の360度方向に移動可能となり、これに対応して摺動体6,基板3及び摺動体6の一部を構成する受け板4は平面略長方形形状に形成され、また、貫通孔4A,6Aをほぼ円形に形成している。
この例では、摺動体6が360度移動できる横方向揺動可能であるから、図7に示すように、両側に柱103,103を有する建物の開口部104の中央に、角筒型や円筒型の連結体20Aを設け、この連結体20Aと摺動体6とを前記連結手段22により連結する。
このように本実施例では、請求項1、3及び4に対応して、上記第1実施例と同様な作用・効果を奏する。
また、このように本実施例では、請求項2、4に対応して、移動連結手段10Aはコイルばね8の一端たる上端8Uを横方向揺動可能に連結したから、下部構造体102に対して360度方向に摺動体6が変位しても、下部構造体102に対してコイルばね8の位置が変わることはなく、装置1を取り付ける際、向きに制限を受けることがなく、上部構造体101の360度方向への変位振動に対応可能となる。
図8は本発明の第3実施例を示し、上記第1実施と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、上部構造体101が一方の構造体、下部構造体102が他方の構造物であり、前記上部構造体101の下面に前記摺動面5を設け、この摺動面5に前記摺動体6の上面が摺動し、下部構造体102の土台2などに前記連結体20の下端を固定し、連結体20の上端を前記摺動体6に連結している。尚、コイルばね8の上端8Uが上部構造体101に連結され、下端8Sが移動連結手段10により摺動体6の下部に横方向移動可能に連結されている。
このように本実施形態では、請求項1に対応して、上部構造体101と下部構造体102との間に設けられ、一方の構造体である上部構造体101との横方向の摺動摩擦抵抗により上部構造体101の横方向変位力を減衰させるようにした構造物用制振装置において、前記一方の構造体たる上部構造体101の摺動面5に摺動する摺動体6と、この摺動体6を摺動面5に押付ける押圧手段たるコイルばね8と、他方の構造体たる下部構造体102と摺動体6とを摺動面5と交差方向に移動可能に連結する連結手段22とを備えるから、下部構造体102と摺動体6とが摺動面5の交差方向に移動可能に連結されているので、構造体101,102間で摺動面5交差方向の力が加わらず、コイルばね8により摺動体6と摺動面5との摩擦係数を設定することができ、摩擦係数を設定することにより上部構造体101の固有振動数を変えることができ、また、コイルばね8の一端たる下端8Sを移動連結手段10により摺動体6に横方向移動可能に連結すると共に、他端たる上端8Uを一方の構造体たる下部構造体102に連結したから、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
図9〜図10は本発明の第4実施例を示し、上記第1実施と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、建物に装置を設ける一例を示し、特に既設の建物に簡便に取り付けるため、制振装置1に取付構造を組み込んでユニット化したパネル状のユニット体31を形成している。このユニット体31は上下に取付部材32,33を設け、一方の取付部材33の上面に前記受け板4を固設して前記摺動面5を設け、この摺動面5に前記摺動体6を前記コイルばね8に押圧し、前記連結体20を他方の取付部材32に固定し、それら上下の取付部材32,32の側部を側板34,34により塞ぎ、上下の取付部材32,32の前面側を前板35により塞ぎ、これによりユニット体31の内部に制振装置1を内蔵する。また、ユニット体31には、取付部材32,33とを分割する分割部37が設けられ、この分割部37は、ユニット体31の前記側板34,34及び前板35を上下で分割しており、一方の取付部材33に対して他方の取付部材32の移動を可能とする。すなわち、上下に取付部材32,33は制振装置1により連結されている。
図10は建物とユニット体31の取付構造を説明するものであり、建物としては既設のものを例示し、土台2に柱103を立設し、この柱103の上には横梁部材105が横設され、建物の外周は柱103と横梁部材105の外側に外壁部材106が設けられている。このような建物において、前記ユニット体31を建物の外側に取り付け、前記取付部材32を上部構造体101の横梁部材105の側面に固定手段36により固定し、前記取付部材33を土台2の側面に固定手段36により固定する。その固定手段36としてはアンカーボルトなどが例示される。尚、図とは上下逆に、前記取付部材33を上部構造体101の横梁部材105の側面に固定手段36により固定し、前記取付部材32を土台2の側面に固定手段36により固定するようにして使用してもよい。
したがって、地震などにより上部構造物101に振動が発生すると、これに対して制振装置1の動摩擦により減衰することができる。
また、本実施例では、制振装置1を内蔵したユニット体31を形成し、このユニット体31が構造物101,102に取付固定する取付部材32,33を備え、取付部材32,33の一方に摺動面5を設け、この摺動面5に摺動する摺動体6を備え、取付部材32,33の他方に連結体を固定し、この連結体を連結手段により前記摺動体6に摺動面5と交差方向移動可能に連結したから、構造物101,102の所定箇所にそれら取付部材32,33を固定することにより、既設の建物にも簡便に制振装置1を設けることができ、特にユニット体31は建物と外側に取り付けるものであるから、建物の外部だけで作業が済み、極めて利便性に優れたものとなる。また、ユニット体31には、取付部材32,33とを分割する分割部37が設けられているから、取付部材32,33間の振動を制振装置1に伝達して構造体101,102間の振動を効果的に減衰することができる。
この場合、既設の建物の固有周期を測定し、固有周期が一般的な地震の振動周期から外れるように制振装置1における摺動面5,7の動摩擦力を調整し、この調整はコイルばね8の引張強さを変えることにより行われる。実際に既設の建物の固有周期を測定するには、建物を複数の人力などにより押して振動を与え、建物をビデオで撮影し、その画像から固有周期を測定する。そして、コイルばね8の張力を制御することにより、所定以上の大きさの激震時には摺動体6が摺動面5に摺動して振動エネルギーを吸収し、所定未満の大きさの中小地震、或いは建物の固有周期から離れた卓越周期をもつ地震動に対しては、前記摺動を発生せずに小さな変形に留めるように設定することが可能である。
実験例
以下に、図11及び図12を用いて実験例を説明する。図11に示すように、第1実施例で示した制振装置1を試験装置に組み込んで試験を行い、前記土台2を一定長さに形成し、この土台2を起振器41の上に据付けた。上部構造体101として、連結部材21の外側に柱に相当するアルミ製の縦材42を立設し、両側の縦材42,42の上部にアルミ製の梁材43を固定し、この梁材43に前記連結体20の上端を固定した。また、梁材43にはウエート44が取り付けられる。このように縦材42,42と梁材43からなる門形構造45にウエート44を設けたものが試験における上部構造体101である。
前記起振器41は、振幅が10mmで一定、振動周波数が0.1〜1.2秒まで可変なものを用いた。そして、前記コイルばね8の長さを調整することにより摺動面5,7における動摩擦力による減衰効果を可変させることができる。また、前記移動連結手段10は、摺動体6の移動時にコイルばね8の張力を一定に保つ作用をなす。実験における変数は、前記ウエート44による上部構造体101の固有周期、制振装置1の可動・固定、及び加振周期数とする。時刻歴の変位測定は、土台2,梁材43,受け板4の各部にスケールを張り付け、それぞれの応答変位を2台のビデオで同時に撮影し、1/30秒ごとの静止画像から土台2,梁材43,摺動体6の変位を読み取った。実験結果から復元力特性図を作成し、等価減衰定数・等価剛性を求め、変位応答倍率を算出し、計算結果と実験結果を比較検討して、制振効果を確認した。
まず、振動実験を行う前に、静加力におる上部構造体101の剛性測定と、制振装置1を土台2に固定した自由振動実験により減衰定数を固有周期を求めた。その結果を表1に示す。 尚、表1中「M40」の「40」は、上部構造体101の自由振動実験結果から計算で求めた固有周期(T1)0.40秒を示す。
また、制振装置1を可動とした場合の自由振動実験により、上部構造体101の層せん断力と、梁材43と土台2の相対変位を求め、減衰定数と等価剛性を算出した。
これらの値から調和外力を受ける下記の数1の振動方程式に代入し、応答変位の計算値Aを求めた。
下記の表2は、共振点近傍の結果を示したもので、表2中、B/Aは、実験結果の応答変位Bと上記計算値Aとの比である。このB/Aをみると、実験値は計算値となっているが、等価減衰の評価などに若干の問題がある。
添付の図12は、応答倍率と振動数比(p/ω)との関係を示す共振曲線上に、計算値Aと実験値Bとを示したグラフ図であり、同図において、h=0.003の曲線は、制振装置1を土台2に固定したとこの減衰係数h=0.026〜0.034に近い曲線となり、同グラフ図から、共振点近傍で、大きな減衰効果のあることが分る。
以上の実験により、以下のことが明らかになった。まず、実験に用いた門形構造45の自由振動から求める固有周期0.2秒,0.4秒,0.54秒の固定時の理論応答倍率に対して、実験値は26〜69%であり、共振点近傍での制振効果が確認できた。また、等価減衰定数は、共振点に近いほど高い値を示し、ほぼ0.06〜0.08となった。また、応答変位の実験値は、計算値に対して0.68〜1.13(装置可動時)の範囲に収まった。
そして、本制振装置1の特徴として、まず、安価な点が挙げられ、パネルに組み込むことが可能で、新設・既設の建物を問わず、特別な取付空間を要せず、壁体として建物に取り付けることが可能である。また、この制振装置1では、建物の上部構造体101と下部構造体102との間の変位差を用いているが、上層から下層に架けられたパネルを高剛性とすれば、大きな変異差となる層間変位を用いることが可能である。本制振装置1では、層剛性の比較的小さい鉄骨系や木質系建物に最も適したものである。
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、摺動体と連結体とを2箇所で連結したが、1箇所或いは3箇所以上でもよく、連結箇所も適宜選定可能である。また、連結手段及び移動連結手段は、実施例で示したレールとスライダとを組み合わせたものが好適であるが、これに限定される各種の機構構造のものを用いることができる。
以上のように、本発明のかかる制振装置は、中,低層の建物における制振装置として優れた作用効果を奏し、既設の建物への適用にも優れたものとなる。
本発明の第1実施例を示す一部を断面にした制振装置の正面図である。 同上、制振装置の一部を断面にした平面図である。 同上、建物の断面図である。 同上、レールとスライダの断面図である。 本発明の第2実施例を示す一部を断面にした制振装置の正面図である。 同上、制振装置の一部を断面にした平面図である。 同上、建物の断面図である。 本発明の第3実施例を示す一部を断面にした制振装置の正面図である。 本発明の第4実施例を示すユニット体の一部切欠き正面図である。 同上、取付状態を示すユニット体と建物の断面図である。 実験例に用いた実験装置の正面図である。 実験例における共振曲線と応答結果の関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1 制振装置
2 土台
5 摺動面
6 摺動体
8 コイルばね(押圧手段・引張弾性体)
8S 下端(一端・他端)
8U 上端(他端・一端)
10 移動連結手段
22 連結手段
23 枢軸部
101 上部構造体
102 下部構造体

Claims (4)

  1. 上記構造体と下部構造体との間に設けられ、一方の構造体との横方向の摩擦により上部構造体の横方向変位力を減衰させるようにした構造物用制振装置において、
    前記一方の構造体の摺動面に摺動する摺動体と、
    前記摺動体を前記摺動面に押付ける引張弾性体と、
    他方の前記構造体と前記摺動体とを前記摺動面と交差方向に移動可能に連結する連結手段と
    前記引張弾性体の一端を横方向移動可能に連結する移動連結手段と、
    を備え
    前記引張弾性体の一端を前記移動連結手段により前記摺動体に横方向移動可能に連結する と共に、他端を前記一方の構造体に連結したことを特徴とする構造物用制振装置。
  2. 前記移動連結手段は、前記引張弾性体の一端を横方向揺動可能に連結したことを特徴とする請求項記載の構造物用制振装置。
  3. 前記連結手段は、前記他方の構造体と前記摺動体との間に枢軸部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物用制振装置。
  4. 前記引張弾性体は、コイルばね、又はゴムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造物用制振装置。
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