JP4305186B2 - 高耐久固体高分子電解質及び燃料電池 - Google Patents

高耐久固体高分子電解質及び燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、高耐久固体高分子電解質及び燃料電池に関し、さらに詳しくは、固体高分子型燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜、電極材料等として好適な高耐久固体高分子電解質、及びこれを用いた燃料電池に関する。
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料である。固体高分子電解質は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有していることから、粒子、繊維、あるいは膜状に成形され、電気透析、拡散透析、電池隔膜等、各種の用途に利用されている。
例えば、固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボン繊維、カーボンペーパー等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質との複合体からなる。
このような用途に用いられる固体高分子電解質としては、従来から種々の材料が知られている。例えば、過酷な条件下で使用される電気化学デバイスに用いられる電解質膜及び触媒層内電解質には、耐酸化性に優れた全フッ素系電解質膜(例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成(株)製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)等。)を用いるのが一般的である。
また、例えば、特許文献1には、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体にポリスチレンをグラフト重合し、スチレン単位にスルホン酸基を導入した固体高分子電解質が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、ポリクロロトリフルオロエチレンに備えられるクロロ基(−Cl)を亜鉛及び液体亜硫酸ガスにより−SOH基に変換し、さらにこの−SOH基を過酸化水素によりスルホン酸基(−SOH)に変換することにより得られる固体高分子電解質膜が開示されている。
さらに、特許文献3には、クロロトリフルオロエタン若しくはブロモトリフルオロエタンのホモ重合体又は共重合体からなるフルオロ重合体と、SOClからなる変性剤化合物とを反応させることにより、−CF(SOCl)−で表される非末端単位を備えた親水性フルオロ重合体が得られる点、及びこれをさらに飽和塩素水又は水性過酸化水素で処理することにより、硫黄化合物からなる変性剤を使用した際に生ずる基を−SOH基に変換できる点が記載されている。
特表平8−503574号公報(第17頁第1行〜第19行) 特開2002−105216号公報(段落番号「0032」) 特開昭55−129401号公報(第8頁右上欄第5行〜第9頁右上欄第1行)
固体高分子型燃料電池等の各種電気化学デバイスの耐久性を向上させるためには、電解質膜の耐久性を向上させる必要がある。そのためには、膜の機械的強度及び耐熱性、並びに化学的安定性(耐酸化性)の向上が必要である。
上述した各種電解質の中でも、ナフィオン(登録商標)等の全フッ素系電解質は、電気伝導度が高く、しかも高分子鎖内にC−F結合を有しているために、化学的安定性が極めて高いという特徴がある。しかしながら、ナフィオン(登録商標)等は、モノマの合成に多段階の工程を要するため、製造コストが高いという問題がある。また、ナフィオン(登録商標)等は、主鎖に嵩高い側鎖が結合した構造を有しているために、結晶性が十分に高くない。そのため、膜状に成形した場合に、機械的強度及び耐熱性が不十分である。
一方、特許文献1に記載されるように、全フッ素系高分子にポリスチレン鎖を結合させたグラフト電解質は、全フッ素系電解質に比べて低コストである。しかしながら、このグラフト電解質は、炭化水素であるポリスチレン鎖を有するため、電極反応により生成される過酸化物ラジカルに対する耐酸化性が低いという問題がある。
さらに、特許文献2、3に記載されるように、ポリクロロトリフルオロエチレン等のクロロ基をスルホン酸基に変換することにより得られる電解質は、ポリクロロトリフルオロエチレン等を合成するためのモノマが安価であるので、ナフィオン(登録商標)等に比べて低コストである。しかしながら、ポリクロロトリフルオロエチレン等を基材とする電解質は、ナフィオン(登録商標)等と同様、結晶性が不十分であり、機械的強度及び耐熱性が不十分であるという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、機械的強度、耐熱性及び化学的安定性に優れ、しかも低コストな高耐久固体高分子電解質を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、全フッ素系高分子又は部分フッ素系高分子からなる第1の高分子を含む基材と、前記第1の高分子に結合し、かつ、
一般式:−(C(Z)(Z)−C(Z)(Z−Z))−
(但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
は、−F、−Rf5、−O−Rf6、又は−Rf7−O−Rf8
は、−F、−Rf9、−O−Rf10、又は−Rf11−O−Rf12
は、なし、−Rf13、−O−Rf14、又は−Rf15−O−Rf16
は、−PO、又は−SONHSO−Rf17
f1〜Rf17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
で表される構造を備えた第2の高分子とを備えていることを要旨とする。
また、本発明に係る燃料電池は、本発明に係る高耐久固体高分子電解質を用いたことを要旨とする。
さらに、本発明に係る高耐久固体高分子電解質の製造方法は、固体高分子電解質の基材を構成する全フッ素系高分子又は部分フッ素系高分子からなる第1の高分子に、官能基Zを有し、かつ、
一般式:C(Z)(Z)=C(Z)(Z−Z
(但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
は、−F、−Rf5、−O−Rf6、又は−Rf7−O−Rf8
は、−F、−Rf9、−O−Rf10、又は−Rf11−O−Rf12
は、なし、−Rf13、−O−Rf14、又は−Rf15−O−Rf16
は、−SH、又は−SM
f1〜Rf17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。
は、H、又は1価の金属、2価の金属、3価の金属、若しくは遷移金属。)
で表わされる第1のグラフトモノマ1種又は2種以上を含むモノマ成分をグラフト重合する第一工程と、前記グラフト重合後に、前記官能基Zを電解質基に変換する第二工程とを有することを要旨とする。
本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、基材を構成する第1の高分子に、電解質基を導入可能であり、かつ安価なモノマを用いて第2の高分子を結合させているので、ナフィオン等に比べて低コストである。また、第2の高分子は、C−F結合を含む高分子からなるので、ポリスチレン鎖を結合させたグラフト電解質に比べて、化学的安定性が高い。さらに、基材として結晶性の高い材料を用いた場合には、最終的に得られる電解質膜の機械的強度及び耐熱性を確保できる。さらに、本発明に係る高耐久固体高分子電解質を電解質膜、触媒層内電解質等に用いると、低コスト、かつ耐久性に優れた燃料電池が得られる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、第1の高分子を含む基材と、第1の高分子に結合し、かつ所定の構造を備えた第2の高分子とを備えている。
基材を構成する第1の高分子は、全フッ素系高分子又は部分フッ素系高分子からなる。本発明において「全フッ素系高分子」とは、C−F結合を含み、かつC−H結合を含まない高分子をいう。全フッ素系高分子は、C−F結合のみによって構成されていても良く、あるいは、C−F結合の他に、C−Cl結合やその他の結合(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等)が含まれていても良い。
一方、「部分フッ素系高分子」とは、高分子鎖内にC−F結合及びC−H結合の双方を含む高分子をいう。部分フッ素系高分子は、C−F結合及びC−H結合のみによって構成されていても良く、あるいは、C−F結合及びC−H結合の他に、C−Cl結合やその他の結合(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等)が含まれていても良い。
基材を構成する第1の高分子としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、若しくはエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、又はこれらの架橋体が好適な一例として挙げられる。架橋ポリテトラフルオロエチレン膜の作製は、新エネルギー・産業技術総合開発機構、平成13年成果報告書(委託先) 株式会社レイテック)に準じて行うことができる。
また、基材は、これらの第1の高分子のいずれか1種により構成されていても良く、あるいは2種以上の混合物であっても良い。さらに、基材は、1種又は2種以上の第1の高分子のみからなるものであっても良く、あるいは、他の成分との混合物であっても良い。
第2の高分子は、第1の高分子鎖に結合し、かつ、次の(1)式に示す一般式で表される構造を備えたものからなる。
−(C(Z)(Z)−C(Z)(Z−Z))− ・・・(1)式
(但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
は、−F、−Rf5、−O−Rf6、又は−Rf7−O−Rf8
は、−F、−Rf9、−O−Rf10、又は−Rf11−O−Rf12
は、なし、−Rf13、−O−Rf14、又は−Rf15−O−Rf16
は、−SOH、−COOH、−PO、又は−SONHSO−Rf17
f1〜Rf17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
(1)式で表される第2の高分子は、具体的には、以下のような構造を備えたものからなる。
(1) −(CF−C(Z)(Z−Z))−、
(2) −(CF(Rf5)−C(Z)(Z−Z))−、若しくは、
−(CF(Rf1)−C(Z)(Z−Z))−)、
(3) −(CF(−O−Rf6)−C(Z)(Z−Z))−、若しくは、
−(CF(−O−Rf2)−C(Z)(Z−Z))−、
(4) −(CF(Rf7−O−Rf8)−C(Z)(Z−Z))−、若しくは、
−(CF(Rf3−O−Rf4)−C(Z)(Z−Z))−)、
(5) −(C(Rf1)(Rf5)−C(Z)(Z−Z))−、
(6) −(C(Rf1)(−O−Rf6)−C(Z)(Z−Z))−、若しくは、
−(C(Rf5)(−O−Rf2)−C(Z)(Z−Z))−、
(7) −(C(Rf1)(Rf7−O−Rf8)−C(Z)(Z−Z))−、若しくは、
−(C(Rf5)(Rf3−O−Rf4)−C(Z)(Z−Z))−、
(8) −(C(−O−Rf2)(−O−Rf6)−C(Z)(Z−Z))−、
(9) −(C(−O−Rf2)(Rf7−O−Rf8)−C(Z)(Z−Z))−、若しくは、
−(C(−O−Rf6)(Rf3−O−Rf4)−C(Z)(Z−Z))−、又は、
(10)−(C(Rf3−O−Rf4)(Rf7−O−Rf8)−C(Z)(Z−Z))−。
この場合、官能基(Z、Z−Z)の組み合わせは、それぞれ、
(1) (−F、−Z)、(−F、−Rf13−Z)、
(−F、−O−Rf14−Z)、若しくは、
(−F、−Rf15−O−Rf16−Z)、
(2) (−Rf9、−Z)、(−Rf9、−Rf13−Z)、
(−Rf9、−O−Rf14−Z)、若しくは、
(−Rf9、−Rf15−O−Rf16−Z)、
(3) (−O−Rf10、−Z)、(−O−Rf10、−Rf13−Z)、
(−O−Rf10、−O−Rf14−Z)、若しくは、
(−O−Rf10、−Rf15−O−Rf16−Z)、又は、
(4) (−Rf11−O−Rf12、−Z)、
(−Rf11−O−Rf12、−Rf13−Z)、
(−Rf11−O−Rf12、−O−Rf14−Z)、若しくは、
(−Rf11−O−Rf12、−Rf15−O−Rf16−Z)、
のいずれであっても良い。
これらの中でも、第2の高分子は、官能基Z及び官能基Zが「−F」であり、かつ、官能基Zが「なし」であるもの、すなわち、次の(2)式に示す一般式で表されるものが好適である。(2)式で表される第2の高分子は、基材の結晶性を大きく低下させることなく、基材にイオン伝導性を付与できるという利点がある。
−(CFZ−CFZ)− ・・・(2)式
(但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
は、−SOH、−COOH、−PO、又は−SONHSO−Rf17
f1〜Rf4及びRf17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
(2)式で表される第2の高分子は、具体的には、以下のような構造を備えたものからなる。
(1) −(CF−CFSOH)−、
−(CF−CFCOOH)−、
−(CF−CFPO)−、若しくは
−{CF−CF(SONHSO−Rf17)}−、
(2) −(CFRf1−CFSOH)−、
−(CFRf1−CFCOOH)−、
−(CFRf1−CFPO)−、若しくは
−{CFRf1−CF(SONHSO−Rf17)}−、
(3) −{CF(−O−Rf2)−CFSOH}−、
−{CF(−O−Rf2)−CFCOOH}−、
−{CF(−O−Rf2)−CFPO}−、若しくは
−{CF(−O−Rf2)−CF(SONHSO−Rf17)}−、又は
(4) −{CF(−Rf3−O−Rf4)−CFSOH}−、
−{CF(−Rf3−O−Rf4)−CFCOOH}−、
−{CF(−Rf3−O−Rf4)−CFPO}−、若しくは
−{CF(−Rf3−O−Rf4)−CF(SONHSO−Rf17)}−。
これらの中でも、第2の高分子は、官能基Zが−Fであるもの、すなわち、次の(3)式に示す一般式で表される構造を備えたものが好適である。(3)式で表される第2の高分子は、基材の結晶性を大きく低下させることなく、基材にイオン伝導性を付与できるという利点がある。
−(CF−CFZ)− ・・・(3)式
(但し、Zは、−SOH、−COOH、−PO、又は−SONHSO−Rf17
f17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
第2の高分子は、(1)式〜(3)式で表される構造中、いずれか1種を含む単独重合体であっても良く、あるいは、2種以上を含む共重合体であっても良い。また、第2の高分子は、(1)式〜(3)式で表される1種又は2種以上の構造のみを含む単独重合体又は共重合体であっても良く、あるいは、(1)式〜(3)式で表される1種又は2種以上の構造と、他の構造とを含む共重合体であっても良い。
第2の高分子を構成する「他の構造」は、具体的には、次の(4)式に示す一般式で表されるものが好適である。
−(CF−CFZ)− ・・・(4)式
(但し、Zは、−F、−Rf18、−O−Rf19、又は−Rf20−O−Rf21
f18〜Rf21は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
なお、「パーフルオロアルキル基」とは、具体的には、−C2n−(1≦n≦10)、−C2n+1(1≦n≦10)等の一般式で表されるものをいい、分岐構造、環状構造を有していても良い。
また、(1)式〜(4)式において、一般に、パーフルオロアルキル基Rf1〜Rf21の炭素数nが多くなるほど、固体高分子電解質の結晶性が低下し、膜状に成形したときに電解質膜の機械的強度及び/又は耐熱性が低下する傾向がある。従って、機械的強度及び/又は耐熱性に優れた電解質膜を得るためには、パーフルオロアルキル基Rf1〜Rf21の炭素数nは、好ましくは、5以下、さらに好ましくは、3以下である。
第1の高分子からなる高分子鎖(以下、これを「第1の高分子鎖」という。)に結合させる第2の高分子からなる高分子鎖(以下、これを「第2の高分子鎖」という。)の数、第2の高分子鎖の平均分子量、第2の高分子鎖に含まれる官能基Z(電解質基)の量等は、固体高分子電解質に要求される特性、用途、形状等に応じて最適なものを選択する。
一般に、第2の高分子鎖に含まれる官能基Zの量が多くなるほど、高い電気伝導度が得られる。また、基材に導入される官能基Zの量が同一である場合において、相対的に第2の高分子鎖の数を少なくし、かつ第2の高分子鎖の平均分子量を大きくするほど、結晶性の低下が抑制され、機械的強度及び耐熱性に優れた固体高分子電解質が得られる。
基材に導入される官能基Zの量は、電気伝導度に換算して、0.001S/cm以上が好ましい。電気伝導度が0.001S/cm未満であると、各種電気化学デバイスに用いたときに高い出力が得られない。電気伝導度は、好ましくは、0.01S/cm以上である。
また、基材に導入される第2の高分子の量は、グラフト率(基材の重量に対する基材に導入された第2の高分子の重量の割合)に換算して、5%以上200%以下が好ましい。グラフト率が5%未満であると、高い電気伝導度が得られない。一方、グラフト率が200%を越えると、基材の結晶性(すなわち、機械的強度及び/又は耐熱性)が低下する場合がある。グラフト率は、好ましくは、5%以上150%以下、さらに好ましくは、10%以上100%以下である。
次に、本発明に係る高耐久固体高分子電解質の製造方法について説明する。本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、第1の高分子を含む基材を合成し(基材合成工程)、基材を構成する第1の高分子に、所定の官能基Zを有する第1のグラフトモノマを用いて第2の高分子をグラフト重合し(グラフト重合工程)、官能基Zを官能基Zに変換すること(官能基変換工程)により得られる。
初めに、基材合成工程について説明する。全フッ素系高分子からなる第1の高分子を含む基材は、テトラフルオロエチレン(CF=CF)、ヘキサフルオロプロピレン(CFCF=CF)等の全フッ素系モノマを単独重合又は共重合させることにより合成することができる。
また、部分フッ素系高分子からなる第1の高分子を含む基材は、1又は2以上の全フッ素系モノマと、エチレン(CH=CH)、プロピレン(CHCH=CH)等の炭化水素系モノマとを共重合させることにより合成することができる。これらの場合において、重合方法は、特に限定されるものではなく、熱重合法、光重合法、放射線重合法、ラジカル開始剤法等、周知の方法を用いることができる。
さらに、基材が第1の高分子と他の成分との混合物からなる場合には、合成された第1の高分子と他の成分とを混合すればよい。混合方法としては、合成された第1の高分子及び他の成分の双方を熱溶融させて混合する方法、第1の高分子と他の成分とを共通の溶媒に溶解させる方法、他の成分を溶解させた溶液中に第1の高分子を浸漬する方法等、周知の方法を用いることができる。
次に、グラフト重合工程について説明する。第2の高分子は、基材に対してグラフトモノマ(以下、これを「第1のグラフトモノマ」という。)を加え、グラフト重合させることにより、第1の高分子に導入することができる。第1のグラフトモノマには、分子内に不飽和結合を有し、かつ官能基変換によって比較的容易に電解質基(官能基Z)に変換することが可能な官能基(官能基Z)を有するものを用いる必要がある。第1のグラフトモノマは、次の(5)式に示す一般式で表されるものが好適である。
C(Z)(Z)=C(Z)(Z−Z) ・・・(5)式
(但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
は、−F、−Rf5、−O−Rf6、又は−Rf7−O−Rf8
は、−F、−Rf9、−O−Rf10、又は−Rf11−O−Rf12
は、なし、−Rf13、−O−Rf14、又は−Rf15−O−Rf16
は、−Cl、−Br、−I、−SO、−SOX(Xは、Cl、Br、F、若しくはI)、−SH、−SM、又は、−SO
、M、及びMは、それぞれ、H、又は、Na、K、Li等の1価の金属、Ca、Mg等の2価の金属、Al等の3価の金属、若しくは、Fe、Ni、Co等の遷移金属。
f1〜Rf16は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
(5)式で表される第1のグラフトモノマは、具体的には、以下のような構造を備えたものからなる。
(1) CF=C(Z)(Z−Z)、
(2) CF(Rf5)=C(Z)(Z−Z)、若しくは、
CF(Rf1)=C(Z)(Z−Z)、
(3) CF(−O−Rf6)=C(Z)(Z−Z)、若しくは、
CF(−O−Rf2)=C(Z)(Z−Z)、
(4) CF(Rf7−O−Rf8)=C(Z)(Z−Z)、若しくは、
CF(Rf3−O−Rf4)=C(Z)(Z−Z)、
(5) C(Rf1)(Rf5)=C(Z)(Z−Z)、
(6) C(Rf1)(−O−Rf6)=C(Z)(Z−Z)、若しくは、
C(Rf5)(−O−Rf2)=C(Z)(Z−Z)、
(7) C(Rf1)(Rf7−O−Rf8)=C(Z)(Z−Z)、若しくは、
C(Rf5)(Rf3−O−Rf4)=C(Z)(Z−Z)、
(8) C(−O−Rf2)(−O−Rf6)=C(Z)(Z−Z)、
(9) C(−O−Rf2)(Rf7−O−Rf8)=C(Z)(Z−Z)、若しくは、
C(−O−Rf6)(Rf3−O−Rf4)=C(Z)(Z−Z)、又は、
(10)C(Rf3−O−Rf4)(Rf7−O−Rf8)=C(Z)(Z−Z)。
この場合、官能基(Z、Z−Z)の組み合わせは、それぞれ
(1) (−F、−Z)、(−F、−Rf13−Z)、
(−F、−O−Rf14−Z)、若しくは、
(−F、−Rf15−O−Rf16−Z)、
(2) (−Rf9、−Z)、(−Rf9、−Rf13−Z)、
(−Rf9、−O−Rf14−Z)、若しくは、
(−Rf9、−Rf15−O−Rf16−Z)、
(3) (−O−Rf10、−Z)、(−O−Rf10、−Rf13−Z)、
(−O−Rf10、−O−Rf14−Z)、若しくは、
(−O−Rf10、−Rf15−O−Rf16−Z)、又は、
(4) (−Rf11−O−Rf12、−Z)、
(−Rf11−O−Rf12、−Rf13−Z)、
(−Rf11−O−Rf12、−O−Rf14−Z)、若しくは、
(−Rf11−O−Rf12、−Rf15−O−Rf16−Z)、
のいずれであっても良い。
これらの中でも、第1のグラフトモノマは、官能基Z及び官能基Zが「−F」であり、かつ、官能基Zが「なし」であるもの、すなわち、次の(6)式に示す一般式で表されるものが好適である。(6)式で表される第1のグラフトモノマは、安価であり、しかも、グラフト重合により基材の結晶性を大きく低下させることなく、基材にイオン伝導性を付与できるという利点がある。
CFZ=CFZ ・・・(6)式
(但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
は、−Cl、−Br、−I、
−SOH、
−SO(Mは、Na、K、Li等の1価の金属、Ca、Mg等の2価の金属、Al等の3価の金属、若しくは、Fe、Ni、Co等の遷移金属)、
−SOX(Xは、Cl、Br、F、若しくはI)、
−SH、
−SM(Mは、Na、K、Li等の1価の金属、Ca、Mg等の2価の金属、Al等の3価の金属、若しくは、Fe、Ni、Co等の遷移金属)、又は、
−SO(Mは、H、又は、Na、K、Li等の1価の金属、Ca、Mg等の2価の金属、Al等の3価の金属、若しくは、Fe、Ni、Co等の遷移金属)。
f1〜Rf4は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
(6)式で表される第1のグラフトモノマは、具体的には、以下のような構造を備えたものからなる。
(1) CF=CFCl、CF=CFBr、CF=CFI、
CF=CFSOH、CF=CFSO、CF=CFSOX、
CF=CFSH、CF=CFSM、若しくは、CF=CFSO
(2) CFRf1=CFCl、CFRf1=CFBr、CFRf1=CFI、
CFRf1=CFSOH、CFRf1=CFSO
CFRf1=CFSOX、CFRf1=CFSH、CFRf1=CFSM
若しくは、CFRf1=CFSO
(3) CF(−O−Rf2)=CFCl、CF(−O−Rf2)=CFBr、
CF(−O−Rf2)=CFI、CF(−O−Rf2)=CFSOH、
CF(−O−Rf2)=CFSO、CF(−O−Rf2)=CFSOX、
CF(−O−Rf2)=CFSH、CF(−O−Rf2)=CFSM、若しくは、
CF(−O−Rf2)=CFSO、又は
(4) CF(−Rf3−O−Rf4)=CFCl、
CF(−Rf3−O−Rf4)=CFBr、
CF(−Rf3−O−Rf4)=CFI、
CF(−Rf3−O−Rf4)=CFSOH、
CF(−Rf3−O−Rf4)=CFSO
CF(−Rf3−O−Rf4)=CFSOX、
CF(−Rf3−O−Rf4)=CFSH、
CF(−Rf3−O−Rf4)=CFSM、若しくは、
CF(−Rf3−O−Rf4)=CFSO
これらの中でも、第1のグラフトモノマは、官能基Zが−Fであるもの、すなわち、次の(7)式に示す一般式で表されるものが好適である。(7)式で表される第1のグラフトモノマは、安価であり、しかも、グラフト重合により基材の結晶性を大きく低下させることなく、基材にイオン伝導性を付与できるという利点がある。
CF=CFZ ・・・(7)式
(但し、Zは、−Cl、−Br、−I、
−SOH、
−SO(Mは、Na、K、Li等の1価の金属、Ca、Mg等の2価の金属、Al等の3価の金属、若しくは、Fe、Ni、Co等の遷移金属)、
−SOX(Xは、Cl、Br、F、若しくはI)、
−SH、
−SM(Mは、Na、K、Li等の1価の金属、Ca、Mg等の2価の金属、Al等の3価の金属、若しくは、Fe、Ni、Co等の遷移金属)、又は、
−SO(Mは、H、又は、Na、K、Li等の1価の金属、Ca、Mg等の2価の金属、Al等の3価の金属、若しくは、Fe、Ni、Co等の遷移金属)。
第2の高分子は、(5)式〜(7)式で表される第1のグラフトモノマ中、いずれか1種を用いてグラフト重合させた単独重合体であっても良く、あるいは、2種以上を用いてグラフト重合させた共重合体であっても良い。また、第2の高分子は、(5)式〜(7)式で表される1種又は2種以上の第1のグラフトモノマのみを用いてグラフト重合させることにより得られる単独重合体又は共重合体であっても良く、あるいは、(5)式〜(7)式で表される第1のグラフトモノマと、他のグラフトモノマ(以下、これを「第2のグラフトモノマ」という。)との共重合体であっても良い。
第2のグラフトモノマとしては、具体的には、次の(8)式に示す一般式で表されるものが好適である。
CF=CFZ ・・・(8)
(但し、Zは、−F、−Rf18、−O−Rf19、又は−Rf20−O−Rf21
f18〜Rf21は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
なお、上述した種々の第1のグラフトモノマ及び第2のグラフトモノマの内、CF=CFCl、CF=CFBr等は、既に市販されている。また、その他の第1のグラフトモノマ及び第2のグラフトモノマは、比較的単純な構造を有する市販又は公知の第1のグラフトモノマ又は第2のグラフトモノマから、公知の方法を用いて合成することができる。
例えば、官能基Z又はZがパーフルオロアルキル基(−R)であり、かつ官能基(Z−Z)がスルホニルフロライド基(−SOF)である第1のグラフトモノマ、すなわち、フルオロアルケニルスルホニルフロライド(RCF=CFSOF)は、フルオロアルキルスルホニルフルオライド(RCF−CFHSOF)をアルカリ金属塩化物及び酸化クロムの混合物に接触させることにより合成することができる(例えば、米国特許第3,041,317号公報参照)。
また、例えば、官能基Z又はZがパーフルオロアルキル基(−R)であり、かつ官能基(Z−Z)がスルホン酸基(−SOH)である第1のグラフトモノマ、すなわち、フルオロアルケニルスルホン酸(RCF=CFSOH)は、上述の方法により合成されたフルオロアルケニルスルホニルフロライド(RCF=CFSOF)と、水酸化カリウム(KOH)/ジメチルスルホキシド(DMSO)/水(HO)混合溶液とを反応させ、次いで、15wt%硝酸水溶液と反応させることにより得られる。
また、例えば、官能基Z又はZがパーフルオロアルキル基(−R)であり、かつ官能基(Z−Z)がスルホニルクロライド基(−SOCl)である第1のグラフトモノマ、すなわち、フルオロアルケニルスルホニルクロライド(RCF=CFSOCl)は、上述の方法により合成されたフルオロアルケニルスルホン酸(RCF=CFSOH)と、PCl/POCl溶液とを反応させることにより得られる。
また、例えば、官能基Z又はZがパーフルオロアルキル基(−R)であり、かつ官能基(Z−Z)がスルホン酸ナトリウム基(−SONa)である第1のグラフトモノマ、すなわち、フルオロアルケニルスルホン酸ナトリウム(RCF=CFSONa)は、上述の方法により合成されたフルオロアルケニルスルホン酸(RCF=CFSOH)と、1NのNaOH水溶液とを反応させることにより得られる。
第1のグラフトモノマ、及び必要に応じて添加される第2のグラフトモノマのグラフト重合法は、特に限定されるものではなく、連鎖移動法、重合体開始剤法、放射線グラフト法等、周知の方法を用いることができる。また、第1のグラフトモノマ及び/又は第2のグラフトモノマの種類、第1のグラフトモノマ及び第2のグラフトモノマの比率、グラフト重合条件等を最適化すると、導入される第2の高分子鎖の数、第2の高分子鎖の平均分子量、第2の高分子鎖に含まれる官能基Zの量等を制御することができる。
一般に、第1のグラフトモノマの比率が大きくなるほど、高い電気伝導度を有する固体高分子電解質が得られる。また、官能基Zの導入量が一定である場合において、第2の高分子鎖の数が相対的に少なくなり、かつ第2の高分子鎖の平均分子量が相対的に大きくなるようにグラフト重合条件を制御すると、機械的強度及び耐熱性に優れた固体高分子電解質が得られる。
次に、官能基変換工程について説明する。基材に対して第1のグラフトモノマをグラフト重合させると、官能基Zを含む第2の高分子が基材に導入される。この官能基Zは、所定の試薬を用いて官能基Z(電解質基)に変換することができる。官能基変換に用いる試薬は、官能基Z及び官能基Zの種類に応じて最適なものを選択する。
例えば、官能基Zがハロゲン基(−Cl、−Br又は−I)である場合において、基材と、(1)ホスヘートジナトリウム(NaPOH)及びジチオネートジナトリウム(Na)の混合液、(2)過酸化水素水、並びに(3)硝酸水溶液、とを順次反応させると、官能基Zをスルホン酸基(−SOH)に変換することができる。
また、例えば、官能基Zがハロゲン基(−Cl、−Br又は−I)である場合において、基材と、(1)硫化カリウム(KS)、硫黄(S)及びフッ化セシウム(CsF)の混合液、並びに(2)硝酸水溶液、とを順次反応させると、官能基Zをスルホン酸基(−SOH)に変換することができる。
また、例えば、官能基Zがチオール基(−SH)である場合において、基材と、過酸化水素水(H)とを反応させると、官能基Zをスルホン酸基(−SOH)に変換することができる。
また、例えば、官能基Zがスルホニルハライド基(−SOX)である場合において、基材と、(1)アンモニア(NH)ガス又はアンモニア水溶液、及び(2)次の(9)式に示す一般式で表される試薬のガス又はその溶液、とを順次反応させると、官能基Zをパーフルオロアルキルビススルホニルイミド基(−SONHSO−Rf17)に変換することができる。
XSO−Rf17 ・・・(9)式
(但し、Xは、F、Cl、Br、又はI。
f17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
また、例えば、官能基Zが−Cl又は−Brである場合において、基材と、(1)金属Li、Mg等、(2)二酸化炭素、及び(3)酸(HCl、HNO)、とを順次反応させると、官能基Zをカルボン酸基(−COOH)に変換することができる。
また、例えば、官能基Zが−Cl又は−Brである場合において、基材と、(1)金属Li、Mg等、(2)X−PO(OR)(X:ハロゲン、R:−Me、−Et、−Pr)、(3)KOH/HO、及び(4)酸(HCl、HNO)、とを順次反応させると、官能基Zをホスホン酸基(−PO)に変換することができる。
なお、(5)式、(6)式、(8)式又は(9)式において、一般に、パーフルオロアルキル基Rf1〜Rf21の炭素数nが多くなるほど、固体高分子電解質の結晶性が低下し、膜状に成形したときに電解質膜の機械的強度及び/又は耐熱性が低下する傾向がある点、並びに、機械的強度及び/又は耐熱性に優れた電解質膜を得るためには、パーフルオロアルキル基Rf1〜Rf21の炭素数nは、好ましくは、5以下、さらに好ましくは、3以下である点は、上述した通りである。
次に、本発明に係る高耐久固体高分子電解質の作用について説明する。本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、基材を構成する第1の高分子鎖に第2の高分子鎖をグラフト重合により導入し、第2の高分子に含まれる官能基Zを官能基Zに変換することにより得られる。この基材の合成及び第2の高分子鎖の導入には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等の相対的に安価なモノマを用いることができるので、本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、ナフィオン等に比べて、低コストである。
また、ポリスチレン等をグラフト重合した従来のグラフト電解質は、炭化水素であるポリスチレン鎖を有するため、電極反応により生成される過酸化物ラジカルに対する化学的安定性(耐酸化性)が低い。これに対し、本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、電解質基が導入される第2の高分子が、C−F結合を含む高分子からなるので、ポリスチレン鎖を有するグラフト電解質に比べて、過酸化物ラジカルに対する化学的安定性が高い。
さらに、従来のナフィオン等の全フッ素系電解質は、主鎖に対して相対的に嵩の大きな側鎖が結合した構造を有しているために、結晶性が十分に高くない。また、単にポリクロロトリフルオロエチレン等のクロロ基をスルホン酸基に変換することにより得られる従来の電解質は、結晶性の高い高分子を出発基材として用いていないので、得られる電解質の結晶性も不十分である。そのため、膜状に成形した場合に、高い機械的強度及び耐熱性が得られない。
これに対し、本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、基材を構成する第1の高分子に対して、第2の高分子を結合させているので、結合条件を最適化することにより、基材の結晶性を大きく損なうことなく、第2の高分子を導入することができる。また、基材として、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体等の結晶性の高い材料を用いた場合には、最終的に得られる電解質の結晶性も高い。そのため、これを膜状に成形した場合には、高い機械的強度及び耐熱性を示す。また、これを固体高分子型燃料電池用の電解質膜として用いた場合には、燃料電池の耐久性が向上する。
(1) エチレンテトラフルオロエチレン−グラフト−ポリクロロトリフルオロエチレン膜の作製。
周知の方法によって合成された厚さ50μm、70mm×70mmの大きさのエチレンテトラフルオロエチレン共重合体膜(以下、これを「ETFE膜」という。)に、2eV、50kGyの電子線を照射し、ETFE膜内部にラジカルを発生させた。
このETFE膜をアルゴン下、500mlの反応容器に入れた。真空ポンプにより容器内のアルゴンガスを排気した後、クロロトリフルオロエチレン(CF=CFCl)ガスを入れ、容器を60℃に加熱し、5時間反応させた。得られた膜のグラフト率は、40%であった。
(2) クロロ基のスルホン酸化。
ホスヘートジナトリウム(NaPOH、50g)を水(250ml)に溶かし、この水溶液に、ジチオネートジナトリウム(Na、75g)を溶かしたジメチルホルムアミド(HCON(CH)、150g)溶液を加えた。この溶液に、得られたグラフト膜(10枚)を65℃で90分間浸漬し、反応させることにより、クロロ基(−Cl)を−SONa基に変換した。反応後、膜を取り出し、エタノール(500ml)で2回洗浄した。
次に、得られた膜を30%の過酸化水素水(300ml)に5時間浸漬し、−SONa基をスルホン酸ナトリウム基(−SONa)に変換した。次いで、膜を500mlの水で水洗し、10%硝酸水溶液(500ml)でプロトン交換し、さらに、500mlの水で2回水洗することにより、スルホン酸膜を得た。得られた膜の純水中(25℃)での電気伝導度は、0.115S/cmであった。
(1) エチレンテトラフルオロエチレン−グラフト−ポリブロモトリフルオロエチレン膜の作製。
周知の方法によって合成された厚さ50μm、70mm×70mmの大きさのETFE膜に、2eV、50kGyの電子線を照射し、ETFE膜内部にラジカルを発生させた。
このETFE膜をアルゴン下、500mlの反応容器に入れた。真空ポンプにより容器内のアルゴンガスを排気した後、ブロモトリフルオロエチレン(CF=CFBr)ガスを入れ、容器を60℃に加熱し、5時間反応させた。得られた膜のグラフト率は、47%であった。
(2) ブロモ基のスルホン酸化。
ホスヘートジナトリウム(NaPOH、50g)を水(250ml)に溶かし、この水溶液に、ジチオネートジナトリウム(Na、75g)を溶かしたジメチルホルムアミド(HCON(CH)、150g)溶液を加えた。この溶液に、得られたグラフト膜(10枚)を65℃で90分間浸漬し、反応させることにより、ブロモ基(−Br)を−SONa基に変換した。反応後、膜を取り出し、エタノール(500ml)で2回洗浄した。
次に、得られた膜を30%の過酸化水素水(300ml)に5時間浸漬し、−SONa基をスルホン酸ナトリウム基(−SONa)に変換した。次いで、膜を500mlの水で水洗し、10%硝酸水溶液(500ml)でプロトン交換し、さらに、500mlの水で2回水洗することにより、スルホン酸膜を得た。得られた膜の純水中(25℃)での電気伝導度は、0.110S/cmであった。
(1) エチレンテトラフルオロエチレン−グラフト−ポリクロロトリフルオロエチレン膜の作製。
実施例1と同一の手順に従い、エチレンテトラフルオロエチレン−グラフト−ポリクロロトリフルオロエチレン膜を作製した。
(2) クロロ基のスルホン酸化
硫化カリウム(KS)11g、硫黄(S)7g、及びフッ化セシウム(CsF)3gをジメチルアセトアミド(CHCON(CH)、850g)に溶解させた。得られた膜(10枚)をこの溶液に、100℃で4時間浸漬し、反応させた。次いで、膜を500mlの水で水洗し、10%の硝酸水溶液(500ml)に室温で浸漬し、さらに、500mlの水で2回水洗することにより、スルホン酸膜を得た。得られた膜の純水中(25℃)での電気伝導度は、0.116S/cmであった。
(比較例1)
(1) エチレンテトラフルオロエチレン−グラフト−ポリスチレン膜の作製。
周知の方法によって合成された厚さ50μm、70mm×70mmの大きさのETFE膜に、2eV、30kGyの電子線を照射し、ETFE膜内部にラジカルを発生させた。このETFE膜をアルゴンでバブリングしているスチレン溶液に浸漬した後、60℃に加熱し、4時間反応させた。
(2) スチレン単位のスルホン酸化
得られた膜を、クロロスルホン酸(HSOCl)30重量部、テトラクロロエタン(ClHCCHCl)70重量部の混合液に、60℃で1時間浸漬し、スチレン単位にスルホニルクロライド基(−SOCl)を導入した。反応後、膜をエタノール洗浄した。次いで、膜を1Nの塩酸水溶液に浸漬し、スルホニルクロライド基を加水分解した後、500mlの蒸留水で2回洗浄し、スルホン酸膜を得た。得られた膜の純水中(25℃)での電気伝導度は、0.120S/cmであった。
実施例1〜3及び比較例1で得られた膜の両面に電極を接合し、MEAを作製した。得られたMEAをセルに組み込み、OCV耐久試験を行った。試験条件は、セル温度80℃、バブラ温度80℃、ガス 燃料極:純水素、空気極:純酸素とした。図1に、その結果を示す。
比較例1で得られた膜の場合、初期状態のOCVは、約0.94(V)であり、実施例1〜3とほぼ同等であった。しかしながら、7000分後のOCVは、約0.86(V)まで低下した。これに対し、実施例1〜3で得られた膜の場合、初期状態のOCVは、約0.94(V)であった。また、7000分間の耐久試験後も、OCVの低下は、ほとんど認められなかった。これは、スルホン酸基が導入される第2の高分子鎖として、ポリスチレンに代えて全フッ素系高分子(ポリクロロトリフルオロエチレン)を用いたことにより、過酸化物ラジカルによる第2の高分子鎖の酸化が抑制されたためと考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
例えば、上記実施例においては、本発明に係る固体高分子電解質を燃料電池用の電解質膜として用いた例について説明したが、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜、触媒層内電解質等としても使用することができる。
また、例えば、上記実施の形態においては、−SOF基を有する第1のグラフトモノマを用いて基材に第2の高分子をグラフト重合させ、次いで、−SOF基を−SONSO−Rf17基に変換する方法について説明したが、上述と同様の手法を用いて−SONSO−Rf17基又はその誘導体を有する第1のグラフトモノマを合成し、次いでこの第1のグラフトモノマを用いて基材に第2の高分子をグラフト重合させても良い。
本発明に係る高耐久固体高分子電解質は、固体高分子型燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜、電極材料等として用いることができる。また、本発明に係る燃料電池は、車載用動力源、定置型小型発電機等に用いることができる。
実施例1〜3及び比較例1で得られた電解質膜を用いたMEAのOCV耐久試験結果を示す図である。

Claims (6)

  1. 全フッ素系高分子又は部分フッ素系高分子からなる第1の高分子を含む基材と、
    前記第1の高分子に結合し、かつ、
    一般式:−(C(Z)(Z)−C(Z)(Z−Z))−
    (但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
    は、−F、−Rf5、−O−Rf6、又は−Rf7−O−Rf8
    は、−F、−Rf9、−O−Rf10、又は−Rf11−O−Rf12
    は、なし、−Rf13、−O−Rf14、又は−Rf15−O−Rf16
    は、−PO 、又は−SO NHSO −R f17
    f1〜Rf17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
    で表される構造を備えた第2の高分子とを備えた高耐久固体高分子電解質。
  2. 全フッ素系高分子又は部分フッ素系高分子からなる第1の高分子を含む基材と、
    前記第1の高分子に結合し、かつ、
    一般式:−(CFZ−CFZ)−
    (但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
    は、−PO 、又は−SO NHSO −R f17
    f1〜Rf4及びRf17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
    で表される構造を備えた第2の高分子とを備えた高耐久固体高分子電解質。
  3. 前記第2の高分子は、
    一般式:−(CF−CFZ)−
    (但し、 は、−PO 、又は−SO NHSO −R f17
    f17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。)
    で表される構造を備えたものである請求項1又は2に記載の高耐久固体高分子電解質。
  4. 前記第1の高分子は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、及びエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体、並びにこれらの架橋体から選ばれる少なくとも1つである請求項1から3までのいずれかに記載の高耐久固体高分子電解質。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載の高耐久固体高分子電解質を用いた燃料電池。
  6. 固体高分子電解質の基材を構成する全フッ素系高分子又は部分フッ素系高分子からなる第1の高分子に、官能基Zを有し、かつ、
    一般式:C(Z)(Z)=C(Z)(Z−Z
    (但し、Zは、−F、−Rf1、−O−Rf2、又は−Rf3−O−Rf4
    は、−F、−Rf5、−O−Rf6、又は−Rf7−O−Rf8
    は、−F、−Rf9、−O−Rf10、又は−Rf11−O−Rf12
    は、なし、−Rf13、−O−Rf14、又は−Rf15−O−Rf16
    は、−SH、又は−SM
    f1〜Rf17は、炭素数が1以上10以下のパーフルオロアルキル基。
    は、H、又は1価の金属、2価の金属、3価の金属、若しくは遷移金属。)
    で表わされる第1のグラフトモノマ1種又は2種以上を含むモノマ成分をグラフト重合する第一工程と、
    前記グラフト重合後に、前記官能基Zを電解質基に変換する第二工程とを有することを特徴とする高耐久固体高分子電解質の製造方法。
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