JP4303502B2 - 直線加速度刺激装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特にヒトの耳石器の左右卵形嚢に異なった刺激を与え、その刺激に伴う耳石器−眼反射による代償性眼球運動を測定することにより左右個別に卵形嚢の機能を測定することができる新規な直線加速度刺激装置に関する。
【0002】
本明細書において、「主に」なる用語は、耳石器はヒトの場合、球形嚢斑と卵形嚢斑からなっており、左右の内耳に一対ずつ存在するため、その内の一つの耳石器に直線加速度刺激が加えられることを意味する。
【0003】
【従来の技術】
ヒトの耳は耳介や外耳道から構成される外耳、鼓膜、耳小骨、耳管から構成される中耳と蝸牛と前庭から構成される内耳に分かれる。内耳は外界からの物理的刺激を電気信号に変換する機能を有している。内耳には聴覚を司る蝸牛とは別に、平衡覚を司る前庭が存在する。前庭には回転加速度(回転感)を感知する半規管と直線加速度を感知する耳石器が存在する。耳石器は主に上下方向の直線加速度を感知する球形嚢と主に水平方向の直線加速度を感知する卵形嚢で構成されている。
【0004】
耳石器は側頭骨という骨の中に蝸牛、半規管と共に存在しており、耳石器の一つ卵形嚢を例にとって直線加速度を感知するためのメカニズムを説明する。卵形嚢は一つの袋(嚢)状の組織で嚢の中には内リンパ液で満たされている。また、その袋の壁(膜)が底部で厚くなっており、その中に感覚細胞である有毛細胞、支持細胞、神経終末などが存在し、その部分を斑(卵形嚢斑)という。有毛細胞の上部には耳石膜が存在する。耳石膜はゼラチン層と耳石で構成され、耳石は炭酸カルシウムの結晶で作られ、その比重は内リンパ液に比して重い。
【0005】
頭部に直線加速度が加わると、つまり頭部が外力により移動すると、有毛細胞は頭部に固定されているために同様に移動するが、その上部に存在する耳石膜は慣性でその場にとどまろうとするため、毛は加速度の方向とは反対の方向にたわむことになる。このたわみにより有毛細胞が脱分極を起し(興奮し)、結果的に電気信号を神経に送ることとなり中枢では頭部に加速度が加わっことを認知される。このようにして、卵形嚢は主に水平方向の直線加速度を感知することが出来るのである。同様に球形嚢では斑(球形嚢斑)は嚢の側方に存在するため上下方向の直線加速度を感知することが出来ると考えられている。
【0006】
卵形嚢斑、球形嚢斑は面状の構造物であり、その面の接線方向の直線加速度をもっとも感知しやすいと考えられている(Precht W.The physiology of the vestibular nuclei.Part1.In:Kornhuber HH,ed.Vestibular system.Berlin,Germany:Springer−Verlag,1974:353−416(Handbook of sensory physiology;vol 6)。ヒトでは左右合計4つの斑により頭部の傾斜を重力加速度(直線加速度)の方向を介して感知している。
【0007】
従来から耳石器の機能検査を行うための刺激法としては、数多く研究レベルで試みられており、その代表例として例えば直線加速度刺激法、パラレルスイング刺激法、傾斜刺激法、眼球反射回旋刺激法、Off−vertical axis rotation刺激法、偏中心性回転刺激法などが提案されているので、以下これらの刺激法の概略を述べる。
【0008】
(1)直線加速度刺激法
正面位で頭部に対して左右方向の十分な(正弦波)直線加速度を加えると、主に前述の左右両側耳の卵形嚢斑に刺激が加わることにより眼球には水平方向の代償性眼球運動が生じることが報告されている(藤野明人:正弦波直線加速度刺激による代償性眼球運動の研究−健康人耳石器眼反射の周波数特性と耳石器の機能的極性−.日耳鼻90:335−347、1987)。この方法では加速度刺激が左右両側耳に加わることになり、左右別々に卵形嚢機能を測定することができない。
【0009】
(2)パラレルスイング刺激法
パラレルスイングは上下方向の動きを少なく、水平方向に大きな運動を与えることができる。ヒトまたは実験動物を用いて、体軸方向(head−to−tail)又は左右方向にパラレルスイング刺激を加え、代償性眼球運動を測定することによって耳石器機能を測定しようと試みられている(Scholtz HJ:Kompensatorische Angenbewegungen und der parallerschwingenden Horizontalschaukel bei Gesunden und Vestibulariskranken.Z.Laryng Shinol 51:46−57、1972)。この方法においても左右両側耳の球形嚢、卵形嚢に加速度が加わることになる。
【0010】
一方、二木、川端ら(二木隆、川端五十鈴:モルモットにおけるパラレルスイングと耳石の形態、耳鼻臨床75:増5;2468−2476、1982)は、正頭位で頭足方向45°のスイングをモルモットに加え、眼球運動を計測しているが、スイングを加えることにより、結果的に両側耳の卵形嚢を刺激することになり、一側耳の卵形嚢のみを主に刺激させることはできないと考えられていた。
【0011】
(3)傾斜刺激法
この刺激法は、傾斜時における前庭反射(labyrinthine righting reflex)や頚反射(righting neck reflex)を観察するものであるが前庭に対しては、頭部を傾斜させることにより耳石器を刺激するものであるため、一側の耳石器を主に刺激することはできなかった(Kitahara M:Acceleration registrography.Ann Otol 74:203−215、1965)。
【0012】
(4)眼球反対回旋刺激法
この刺激法は、頭位を傾斜させることによる眼球の回旋を測定する方法であるが、この場合も両側耳の球形嚢、卵形嚢を同時に刺激することになる(Diamond SG:Binocular counterrolling in humans during dynamic rotation.Acta Otolaryngol 87:490−498、1979)。
【0013】
(5)Off−vertical axis rotation;OVAR(偏垂直回転軸回転)刺激法
回転椅子を垂直軸回転(Earth Vertical Axis Rotation;EVAR)させ、定常状態になってから回転軸を傾斜させて回転を続ける回転後傾斜回転法(rotation then tilt method)と、重力方向軸に対して回転椅子を最初から傾斜させる傾斜回転法(tiltthen rotation method)がある。どちらにしても、回転に応じて被検者頭部に加わる重力加速度の方向が頭部に対して変化し、耳石器が刺激され、耳石−眼反射により眼振が解発される。
【0014】
従って、本刺激法でもこれまでと同様に両側耳の球形嚢、卵形嚢を同時に刺激することになる(Darlot C,Denise P,Droulez J,Cohen B,Berthoz A:Eye movements induced by off−vertical axis rotation(OVAR)at small angles of tilt.Exp Brain
Res 73:91−105、1988)。
【0015】
(6)偏中心性回転刺激検査(eccentric VOR)
回転検査を行う場合は、一般的には被検者を回転椅子の回転軸中心上で外側半規管が地面と水平になるような位置(earth vertical axis;EVA)に座らせて回転刺激を加える(Centric VOR)。これにより、半規管−眼反射による代償性眼球運動が生じる。一方、被検者を回転軸中心からずらした位置に座らせて同様に回転刺激を加えると、回転角加速度に加えて、直線加速度(接線および法線加速度)が加わる。
【0016】
直線加速度により耳石器を刺激され、半規管−眼反射による眼球運動に耳石器−眼反射に眼球運動が、加わった眼球運動が解発される。EVAの位置で解発される眼球運動と、回転中心より離れた位置で解発される眼球運動を比較することにより耳石機能を知ることができる。本刺激法では両側耳の半規管と両側耳の耳石器を同時に刺激することになる(Koizuka I,Takeda N,Sato S,Kubo T,Matsunaga T:Nystagmus responses in normal subjects during eccentric sinusoidal rotation.Acta Otolaryngol(Stockh)Suppl 501:34−37,1993)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は臨床分野において耳石器の機能検査及び研究を永年にわたり行ってきた。ヒト耳石器形態の基礎的研究においてはこれまでヒト耳石器形態の3次元解析はあまり行われておらず、図1(A)に示すように球形嚢斑は垂直に位置し、卵形嚢班は水平に位置する程度の認識が一般的であった(新耳科学アトラス 形態と計測値 p176 著者:野村恭也/平出文久/原田勇彦 三松堂印刷株式会社)。
【0018】
ヒト耳石器形態に関する報告では、佐々木は、球形嚢斑は主要面、前面、背面の3つの平面により構成され、各平面とドイツ水平面(両側の外耳道上端と、一側の眼窩下端を含む平面)と矢状面との関係を示した。又卵形嚢斑は、前面、主要面、内面の3つの平面により構成されるとし、主要面の前側はドイツ水平面より約12°上方にあがっており、矢状面より約90°内方にむかい、外側はドイツ平面より約10°さがっていると報告している(佐々木寛:耳石器官の基礎と臨床.耳鼻と臨床 60 補冊2:73−123、1970)。
【0019】
本発明者は近年ヒト耳石器形態の詳細な3次元解析の鋭意研究を行い、ヒト球形嚢斑については2001年に報告した。その結果、Reid stereotaxic cordinate systemにおける基準面を計算によって求め、それを用いて、ヒト頭部の前後軸、左右軸、上下軸に対する球形嚢斑の各部位(球形嚢斑を数百もの小三角形の平面に分けた)の角度を明らかにした。加えて球形嚢斑は全体像は曲面であり、楕円体面(数個の平面の構成ではなく)の一部であることを報告した(Naganuma H,Tokumasu K,Okamoto M,Hashimoto S and Yamashina S:Three−Dimensional Analysis of Morphological Apects of The Human SaccularMacula Annals of Oto.Rhino Lryngol 110:1017−1024、2001)。
【0020】
又、ヒト卵形嚢斑についても、本発明者は前記と同様の方法を用いて永年の間、鋭意検討の結果、ヒト卵形嚢斑も、球形嚢斑と同様に数個の平面の構成ではなく、全体像は曲面であり、楕円体面の一部であることを解明した。又、Reidstereotaxic cordinate systemによる頭部の水平面(両側の外耳道中心と一側の眼窩下端の合計3点を通る平面)に対し外側下方約10°傾斜していることを解明した[図1(B)参照]。この結果は、佐々木の報告(佐々木寛:耳石器官の基礎と臨床.耳鼻と臨床 60 補冊2:73−123、1970)と一致することが確認された。
【0021】
以上の解明法によりヒト卵形嚢斑は、Reid stereotaxic cordinate systemによる頭部の水平面(両側の外耳道中心と一側の眼窩下端の合計3点を通る平面)[Blanks RHI,CurthoysIS,Markham CH.Planar relationships of the semicircular canals in man.Acta Otolaryngol(Stockh)1975:80:185−196]に対して外側下方約10°傾斜していることがわかった。
【0022】
本発明は上記のような知見に基づく解剖学的(3次元)形態の解明により完成されたものであって、一側耳の卵形嚢のみを主に刺激することを可能としたものである。即ち、頭部に対して単に左右方向に加速度を加えると左右の卵形嚢を同様に刺激することになるが、例えば、左耳下10°傾斜した状態では右耳の卵形嚢斑はほぼ水平となり、これに対して左耳の卵形嚢斑は水平面に対して20°傾斜していることになる[図1(C)参照]。
【0023】
この状態で、左右方向に直線加速度を頭部に加えると左耳の卵形嚢斑に比して右耳の卵形嚢斑を主に刺激することができ、このときに計測された眼球運動は主に右耳の卵形嚢に由来した代償性眼球運動ということになり、この眼球運動を解析することにより、結果的に右耳の卵形嚢の機能を測定することができる。即ち、左右方向に直線加速度を頭部に加えると卵形嚢斑の耳石膜の接線(面)方向に加えられる加速度が左右耳で異なるように頭部に直線加速度を加えることができる。従って、左右の卵形嚢斑に対して異なった刺激を加えることができる。右耳下10°傾斜させた時と、左耳下10°傾斜させた時、また傾斜させない時、それぞれの代償性眼球運動を正確に測定することにより、左右各々の卵形嚢機能を測定することができる。従って、本発明は、従来の刺激方法及び装置とは全く異なり、この種の臨床分野における画期的な刺激法と位置ずけることができる。
【0024】
本発明の目的は、ヒト耳石器の機能測定に際して一側耳の卵形嚢または球形嚢を別々に刺激して、耳石器機能を個別に測定し得るようにした直線加速度刺激方法及びその装置を提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、直線加速度を加えることによって眼球に代償性眼球運動を生じさせる刺激法であって、被検者の頭部を傾斜させ、左右の耳石器に異なった直線加速度刺激が主に加えられるようにした方法である。この刺激方法は、当該装置を傾斜手段により所望の角度傾斜させることによって達成される。
【0026】
具体的には、直線加速度を加えることによって眼球に代償性眼球運動を生じさせる直線加速度刺激装置において、当該装置を任意の角度傾斜させ、被験者の一つの耳石器に主に直線加速度が加えられるように構成したものであり、より具体的には、直線加速度源を有するベースセクションと、ベースセクション上に360°回転可能に支承されかつ上記の直線加速度源により往復動される旋回セクションと、旋回セクション上に傾斜可能に支承された傾斜セクションと、傾斜セクション上に支承された座席セクションと、座席セクションに固定された肩固定部と後頭固定部及び側頭固定部からなる固定セクションとを備えた直線加速度刺激装置である。
【0027】
【実施例】
卵形嚢の面接線方向の解剖学的(3次元)形態の解明に基づく本発明装置の実施例について以下に図面を参照して詳しく説明するが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
本発明の直線加速度刺激方法は、被検者の頭部に左右方向の直線加速度を加えることによって眼球に代償性眼球運動を生じさせる刺激法であって、被検者の頭部を所望の角度傾斜させ、一つの耳石器に直線加速度刺激が主に加えられるようにしたものである。
【0028】
本刺激法を実施するための装置は、ベースセクションAと、該ベースセクションA上に支承されて支柱のまわりに360°回転する旋回セクションBと、この旋回セクションB上に配置されかつグラウンド面Gに対し最大45°傾斜する傾斜セクションCと、この傾斜セクションC上に支承されかつグラウンド面Gに対し水平な着座シートを中心に垂直及び水平方向に変位動される背もたれ及び踏台を有する着座セクションDと、着座セクションDに配置され被検者の肩部、後頭部および側頭部を固定する固定セクションEとを備えている。そして、これらの各セクションは有機的にかつ全体が椅子状(図2参照)に構成してある。以下、各セクションA〜Eについて詳細に説明するが、各セクションはその主要骨格部のみを図示しかつ説明することにした。
【0029】
ベースセクションA:
ベースセクションAの詳細は図6に一部分を切り欠いて内部構造が分かるように示してある。ベースセクションAは平面が長方形でかつ断面が凹形に成形された本体カバー10を有する。本体カバー10の天板11には左右方向に2つのガイド溝12、12が並行して形成してある(図2及び図5参照)。本体カバー10の開口面には複数のレベリングフット13が取り付けてあり、それによってベースセクションAのグラウンド面Gに対する水平レベル出しが例えば水準器などを併用して簡単に行える。
【0030】
ボールねじ14が本体カバー10内の左右方向に配置され、ボールねじ14の一端は軸受15に軸支され、該軸受15は本体カバー10に固定したブラケット16に固定してある。ボールねじ14の他端はブラケットに固定した軸受17に軸支され、更に公知のサーボフレックスカップリング18を介して直線加速度源であるサーボモータ19に連動してある。サーボモータ19のスイッチ・オンによりボールねじ14を回転させると、該ボールねじ14に結合したボールナット20が軸線方向に沿って左右方向に直線運動する(図6参照)。
【0031】
上記ボールナット20はナットブロック21に固定され、ナットブロック21はスライドブロックキーベース22を介してスライドブロックベース23に固定してある。スライドブロックベース23はハウジング固定フレーム24に固定され、該ハウジング固定フレーム24にはガイドハウジング25が固定され、ガイドハウジング25は本体カバー10に固定したリニアガイドレール26に摺動可能に案内されている。従って、ボールナット20と共にハウジング固定フレーム24が左右方向に直線運動され、それによってハウジング固定フレーム24に固定したスライド側板26が前記のガイド溝12、12に案内される。このスライド側板26上に旋回セクションBが固定される。
【0032】
旋回セクションB:
旋回セクションBは図7に詳細に示してある。旋回セクションBは支柱30を備え、該支柱30は断面がほぼ筒状に成形してある。支柱30はその下端から先端に沿って大径の下部筒31、中間筒32及び小径の上部筒33を有し、全体として外径の異なる筒状をしている。支柱30の下端には連結ブラケット34が固定してあり、連結ブラケット34はベースセクションAのスライド側板26にボルト及びナット等の固定手段により固定してある。
【0033】
下部筒31は環状凹所を有し、これに公知の回転機構である円錐コロ35を持った下部円錐コロ軸受36が固定してある。下部円錐コロ軸受36は支持フレーム37の下端にボルトによって固定される。上部筒33には公知の回転機構である円錐コロ38を持った上部円錐コロ軸受39が固定してあり、上部円錐コロ軸受39は支持フレーム37に固定してある。上部筒33にはナット43が締め付けられ、上部円錐コロ軸受39の脱落を防止している。支持フレーム37は上下の回転機構(35、36、38、39)を介して支柱30のまわりを360°旋回することができる。
【0034】
下部筒31はその下端部の全周面に例えば5〜15°の間隔を保って旋回調節孔40が形成してある。旋回調節孔40は支柱30に対する支持フレーム37の回転角度を決定して固定するためのものであり、クランプピン41、41が対向した位置から出没可能に嵌め込まれる。クランプピン41、41は支持フレーム37と下部筒31との間に対向して配置したブレーキ金具42にクランプ結合され、支持フレーム37外からクランプレバー43、43によってブレーキ金具42、42をクランプし、支持フレーム37のロック及びロック解除が行える。上部円錐コロ軸受39を挟んで傾斜軸受44、44とナット45、45が設けられ、支持フレーム37の先端に傾斜セクションCが支承される。
【0035】
傾斜セクションC:
傾斜セクション(傾斜手段)Cは図8及び図9に詳細に示してあるが、傾斜するための機構は一方側のものしか図示してない。傾斜セクションCは旋回セクションB上にグラウンド面Gに対し最大45°まで傾斜可能に取り付けられる。回転機構である円錐コロ47を持った円錐コロ軸受48が支持フレーム37のリセス46、46にそれぞれ固定され、円錐コロ軸受48に傾斜セクションCの主軸49(傾斜軸)が軸支してある。主軸49の両端には歯車取付フランジ50が固定され、歯車取付フランジ50は歯車取付板51に固定してある。歯車取付板51は主軸49にナット52で固定され、主軸49、歯車取付フランジ50、歯車取付板51は一体に回動する。傾斜セクションCのフレーム53、53には着座セクションDが固定される。
【0036】
歯車取付板51は全体が逆凸形状に成形され、その凸部の円弧面に沿って歯を形成した傾斜歯車54が複数のボルト55により固定してある。傾斜歯車54は全体が扇形状に形成され、その軸芯側には円弧状のガイド溝56が形成してある。ガイド溝56にはクランプピン57が挿入され、その端部は支持フレーム37を介して公知のクランプレバー58でクランプ結合され、傾斜歯車54のロック及びロック解除ができる。この機構と全く同じ機構が上記とは反対側にも配置されている。
【0037】
傾斜歯車54は平歯車60にかみ合わされ、平歯車60は傾斜軸61の一端に軸支してある。傾斜軸61は支持フレーム37に固定した軸受44に軸支してある。平歯車60は傾斜軸61にナット62によって固定され、かつまた、傾斜軸61の他端には大径の平歯車63がナット64で固定してある。大径の平歯車63はピニオン軸65(図8参照)の両端に固定したピニオン66にかみ合わせてある。ピニオン軸65の一端にハンドル67が固定してあって、傾斜セクションCをグラウンド面Gに対して任意の角度傾斜させることができる。
【0038】
傾斜の際は、正確な傾斜角度を得るため分度計あるいはその他これに代わる手段を併用して行えばよい。ハンドル67を除き上記の歯車伝達機構と全く同じ伝達機構が上記とは反対側にも配置されている。従って、左右均等に傾斜セクションを傾斜せしめることができる。図8においてハンドル67を時計まわり又は反時計まわりに操作することにより、傾斜セクションCをグラウンド面Gに対し任意の角度たとえば最大45°傾斜させることができる。
【0039】
着座セクションD:
着座セクションDは図10に詳細に示してある。対向配置の座席フレーム69の内側にそれぞれ固定フレーム70が配置され、固定フレーム70に前記の旋回セクションCからのフレーム53、53を固定して、旋回セクションC上に着座セクションDが固定される。着座セクションDは座席フレーム69と背もたれフレーム73及び踏台フレーム78により構成してある。座席フレーム69の両端には背もたれ回動軸71と踏台回動軸72がそれぞれ設けてある。
【0040】
背もたれ回動軸71には背もたれフレーム73の下端が軸支され、踏台回動軸72には踏台支持フレーム74の上端が軸支してある。座席フレーム69上には座席シート75が配置され、背もたれフレーム72の内側には背もたれシート76が配置してある。踏台支持フレーム74には軸77を介して踏台フレーム78が取り付けてあり、踏台フレーム78上には踏台79が設けてある。座席フレーム53の両サイドには弓状のガイド機構80がそれぞれ設けてある。
【0041】
ガイド機構80は背もたれフレーム73、踏台支持フレーム74、踏台フレーム78をグラウンド面Gに対し垂直及び水平方向に変位動するためのものである。ガイド機構80は外ガイド板81(図2及び図3参照)と内ガイド板82(図10参照)とからなり、内ガイド板82は外ガイド板81に沿って摺動可能に案内させてある。外ガイド板81の一端は前記の座席フレーム69に固定され(図2及び図3参照)、他端は背もたれフレーム76からさらに外方へ延出させてある(図2及び図3参照)。内ガイド板82は外ガイド板81内を円弧運動(図10参照)し、最終的に外ガイド板81の延出端からさらに外方へ突出され、背もたれフレーム73が水平にされる(図10参照)。
【0042】
外ガイド板81には円弧状のガイド溝83が形成され、ガイド溝83には内ガイド板82に固定した公知の弛緩手段であるクランプピン84が嵌め込まれ、クランプピン84はクランプレバー85により内ガイド板82を外ガイド板81に対してロック及びロック解除が行えるようになっている。内ガイド板82の一端には把手86が固定してあり、他端は背もたれフレーム73に軸支してある。把手86は内ガイド板82を摺動させるとき、或いは背もたれフレーム73と踏台支持フレーム74、踏台フレーム78を変位動せしめるとき、更に被検者が着座した際に把持するために使用される。上記と全く同じ機構が反対側にも配置されている。
【0043】
背もたれ回動軸71の両端にはブラケット87が軸支してあり、同様に踏台回動軸72の両端にもブラケット88が軸支してある。ブラケット87と88には連結ロッド89の両端が軸90により連結してある。従って、回動軸71、72及び軸90を中心にして両側の座席フレーム69とブラケット87、88と連結ロッド89とが平行運動し、背もたれフレーム73が背もたれ回動軸71を中心にしてグラウンド面Gに対し、垂直方向から水平方向または逆方向に変位動される(図10参照)。
【0044】
座席フレーム69の両端部にはブラケット91がそれぞれ固定してある。踏台フレーム78にはブラケット92が固定してあり、上記のブラケット91とブラケット92とは連結ロッド93の両端が軸94で軸支してある。従って、回動軸72、軸77、軸94を中心にしてブラケット88、踏台支持フレーム74、ブラケット92、連結ロッド93、ブラケット91とが平行運動し、踏台支持フレーム74及び踏台フレーム78はグラウンド面Gに対して垂直方向から水平方向または逆方向に変位動される(図10参照)。上記の平行運動は内ガイド板82に固定したハンドル86を可動させることにより座席フレーム69を中心に背もたれフレーム73と踏台支持フレーム74及び踏台フレーム78を同時に変位動させることができる。
【0045】
固定セクションE:
固定セクションEは図11及び図12に詳細に示してある。固定セクションEは被検者の肩部を固定する肩固定部95(図2及び3参照)と後頭部を固定する後頭固定部96及び側頭部を固定する側頭固定部97とからなる。肩固定部95は背もたれフレーム73の外面にブラケット97を介して固定した肩アーム98を有する。肩アーム98は公知のクランプレバー99により肩アーム101にクランプ結合され、肩アーム101には肩パッド100が保持してある。クランプレバー99によってロック及びロック解除が行え、肩パッド100を被検者の肩部に微調整して密接させることができる。
【0046】
後頭固定部96及び側頭固定部97は共通の上下軸102を備えている。上下軸102は背もたれフレーム73に固定したガイド金具103に上下動可能に案内され、固定ねじ104で任意の位置に固定される(図3参照)。上下軸102には公知の弛緩手段であるクランプレバー105を有する第1クランプアーム106と第2クランプアーム107とが設けてある。クランプレバー105の弛緩操作により第1及び第2クランプアーム106、107を被検者の頭部に対して上下方向及び前後方向に作動させることができる。第2クランプアーム107は固定ブラケット108に公知のクランプレバー109を介してクランプ結合され、クランプレバー109の弛緩操作により後頭部パッド110を被検者の後頭部に対し上下方向に微調整し密接させることができる。
【0047】
固定ブラケット108の両端には開閉アーム111の一端が軸112で回動可能に支持され、他端は互いに重ね合わせてある。この重ね合わせた部分の開閉アーム111にはそれぞれ長孔113が設けられ、これらの長孔113も互いに重ね合わされ、その交叉部に公知のクランプレバー114のクランプ114aが配置してある。クランプレバー114の弛緩操作によクランプ115と長孔113が相対的に滑動し得る状態となり、開閉アーム111は軸112を中心にして可動される。
【0048】
開閉アーム111の端部にはブラケット115が固定してある。ブラケット115には側頭アーム116の一端が固定され、他端にはストッパー117が設けてある。側頭アーム116には側頭ホルダー118が摺動可能に嵌め込んであり、固定ねじ119により側頭アーム116の任意の位置に固定される。側頭ホルダー118には側頭パッド120が設けてあり、クランプレバー114の弛緩操作により側頭パッド120を実線の位置から二点鎖線の位置又はそれとは逆方向へ可動させ(図11及び12参照)、被検者の側頭部に対し微調整して密接させることができる。前記の座席フレーム69にクランプレバー121が設けてあり、クランプレバー121の弛緩操作により前述と同様に固定パッド122が被検者の両側の腰部を固定する。
【0049】
次に、本発明の装置をReid stereotaxic cordinate systemによる頭部の水平面に対して例えば10°傾斜させた状態で耳石器の機能測定を行う場合を説明する。この際において、本装置に被検者を不動の状態に固定するシーケンスは検査者が最良と考える順序に従って行えばよく、特に制約を受けるものではない。
先ず、装置の設置に際して、当該装置の座席シート75のグラウンド面Gに対する水平レベルはレベリングフット13の調節により行えばよい。そこで、被検者を座席シート75上に着座させ、被検者の背部を背もたれシート76に接触させ、被検者の足を踏台79上にのせる。背部は背もたれシート76に固定バンド(図示せず)により固定し、足は踏台85に固定バンド(図示せず)により固定する。次に被検者の肩部、後頭部及び側頭部を当該装置の肩固定部95と後頭固定部96及び側頭固定部97のところに位置させる。
【0050】
被検者の肩部を肩固定部95で固定するには、クランプレバー99の弛緩操作によりロック解除し、肩アーム101を可動し微調整し、被検者の肩部に肩パッド100を密接させ、クランプレバー99を再び操作して肩パッド100を固定し、体幹の肩部を固定する。続いて、被検者の後頭部に後頭部ヘッド110を密接させるには、クランプレバー105の弛緩操作により第1クランプアーム106と第2クランプアーム107を上下及び前後に作動させ、被検者の後頭部に近接させた状態でクランプレバー105を再び操作し、第1クランプアーム106と第2クランプアーム107をロックする。次にクランプレバー109の弛緩操作により後頭部の固定ブラケット108を微調整し、固定パッド110を被験者の後頭部に微調整して密接させ、クランプレバー109の操作により再びロックする。
【0051】
次に、クランプレバー114の弛緩操作により交叉する開閉アーム111のロックを解除し、長孔113の相対的なスライドにより、開閉アーム111を軸112を中心に回動させ、固定ブラケット115を介して側頭アーム116を被検者の側頭部方向に微調整する。そして、側頭パッド120を被検者の側頭部に密接させ、クランプレバー114を再び操作して開閉アーム111をロックする。被検者の頭部は後頭部および両側頭部の3箇所で固定され、更に被検者の顎部は固定バンド(図示せず)を締め、頭部を完全に固定する。同様に、腰部はクランプレバー121と固定パッド122により固定する。従って、被検者は不動の状態に維持されているため、頭部に加速度負荷が加えられても頸部(頸椎や頸部の筋)には負荷がかかることはない。
【0052】
本発明装置を用いて被検者の一側耳の卵形嚢たとえば右側の卵形嚢の機能測定を行う場合を説明する。
本発明の装置を図2においては右側に、図4においては左側に10°(Reid stereotaxic cordinate systemよりの頭部の水平面に対して)傾斜させればよい。即ち、傾斜セクションCに設けてあるクランプレバー58をそれぞれ緩め、ハンドル67を図8において反時計まわりに回転する。すると、ピニオン軸65の両端に固定したピニオン66がそれと同じ方向に回転され、それぞれのピニオン66とかみ合うそれぞれの平歯車63が図8において時計方向に回転される。平歯車63の回転によりそれと同軸61の平歯車60もそれぞれ同じ方向に回転され、平歯車60にかみ合うそれぞれの傾斜歯車54が図8において反時計方向に回転される。
【0053】
上記の傾斜歯車54はそれぞれの歯車取付板51を回転し、更に円錐コロ47、円錐コロ軸受48を介して主軸49を回転する。従って、当該装置を分度器等の指示に従い図4において左方向に10°傾斜させ、その位置にそれぞれのクランプレバー58によりロックすればよい。この状態は右側の卵形嚢斑はReidstereotaxic cordinate systemによる頭部の水平面上にあり、左側の卵形嚢斑は前記の水平面からさらに10°傾いて20°傾斜された状態となり、被検者の両側耳の卵形嚢斑は図1(c)に示したと同じ状態となる。
【0054】
そこで、直線加速度源をスイッチ・オンし、サーボフレックスカップリング18を介してボールねじ14を回転する。ボールねじ14はボールナット20を軸線方向に沿って往復動する。ボールナット20によりナットブロック21を介してスライドブロックキーベース22が往復動される。スライドブロックキーベース22はスライドブロックベース23を同時に往復動させ、リニアガイドレール26に案内された固定フレーム24が往復動され、該固定フレーム24に固定したスライド側板26がガイド溝12、12に沿って往復動される。
【0055】
本装置上に不動の状態で固定した被検者は水平面より10°傾斜され、上記の直線加速度が加えられる。すなわち、傾斜させた方向とは反対側の卵系嚢斑がReid stereotaxic cordinate systemによる頭部の水平面上に存在することから該卵形嚢斑は直線加速度、すなわち直線加速度刺激を受けることになる。この刺激は非減衰性の加速度刺激であり、それによって生じた代償性眼球運動などの眼球運動を電気眼振計(ENG)、Electrooculography(EOG)又は赤外線CCDカメラを用いた3次元眼球運動解析装置を用いて測定する。
【0056】
本発明の装置によりヒト耳石器の卵形嚢の機能測定を行った実験例について説明する。
実験例
成人健常者7名に対する卵形嚢機能の測定は以下の条件で行った。
(1):被検者を座位で傾斜させずに、グラウンド面に対し左右水平方向に0.7Hz、最大加速度0.25Gの直線加速度刺激を加え行った場合、
(2):被検者を座位で右耳下傾斜10°で上記と同様の刺激を加えて行った場合、
(3):被検者を座位で左耳下傾斜10°で上記と同様の刺激を加えて行った場合、
の3通りの刺激方法で、EOGにて代償性眼球運動を測定した。各刺激による代償性眼球運動は左右方向の正弦波運動であり、その振幅結果は下記に示す通りであった。
【0057】
Figure 0004303502
刺激(2)及び(3)の各例における代償性眼球運動の振幅において、有意差を認めた(p<0.01有意差有り)。
【0058】
上記の振幅結果から明らかなように、刺激方法(1)では耳石器の両側の卵形嚢刺激であり、刺激方法(2)、(3)では左右の卵形嚢に対して異なった直線加速度刺激を加えているが、(2)と(3)との間で代償性眼球運動の振幅に有意に差が認められ、左右の卵形嚢機能に差が存在するという結果が得られた。
【0059】
これは、これまでの左右の耳石器の機能には生理的に左右差が存在すると考えられているという報告(Diamond SG,Markham CH.:Ocular torsion as a test of the asymmetry hypothesis of space motion sickness.Acta Astronaut July;27:11〜17,1992)に一致する。従って、刺激方法(1)における両側耳の卵形嚢刺激の代償性眼球運動の振幅は、優位側刺激の眼球運動の振幅に近い値になることがわかる。すなわち、刺激方法(1)では優位側の卵形嚢機能を主に測定していると考えられる。刺激方法(2)、(3)では一側耳の卵形嚢機能を測定していることになる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、直線加速度を加えることによって眼球に代償性眼球運動を生じさせる刺激装置及び方法であって、被検者の左右の耳石器に異なった直線加速度刺激が加えられる。耳石器への異なった直線加速度刺激は当該装置の傾斜のみの簡単な操作で、左右個別に耳石器機能測定が行え、広範な臨床検査が可能となる。
【0061】
なお、本実施例では、耳石器の卵形嚢の刺激法について図示しかつ説明したが、本発明はそれのみに限定されることはなく、例えば以下に説明する機能測定に用いることができる。
【0062】
1)球形嚢刺激
頭部に対して与える直線加速度の方向を変化させることにより、球形嚢に対して主に刺激を与えることができる。例えば、側臥位で頭部の前後方向の直線加速度刺激、又、斜め下に約10〜15°傾斜させることにより、耳石器の一側の球形嚢に主に直線加速度刺激を加えることが可能となる。
【0063】
2)前庭誘発筋電位の測定
本装置は、直線加速度刺激を頭部に対して加えることができるが、その刺激周波数は2Hzまで可能である。各耳石器を刺激するとともに出力を代償性眼球運動ではなく、頸部の筋(胸鎖乳突筋など)、四肢の筋(ヒラメ筋など)の筋電位を測定し、加算処理することにより、前庭誘発筋電位による耳石器機能検査も可能である。
【0064】
3)卵形嚢斑、球形嚢斑の頭部における方向が個々の例で異なった場合
卵形嚢斑を例にとり説明すると、多くの場合、卵形嚢斑は外側下方に、水平面(Reid stereotaxic cordinate systemによる頭部の水平面)に対して約10°傾斜しているが、それより傾斜角が大きい場合、あるいは小さい場合が存在する可能性があり、その場合は直線加速度を変化させるか、頭部の傾斜角を変化させることで対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はヒトの頭部を正常位においた場合における耳石器の左右卵形嚢と左右球形嚢との関係を説明するための概略説明図、(b)は(a)の状態において左右卵形嚢斑がReid stereotaxic cordinate systemによる頭部の水平面に対して10°傾いた状態を説明するための左右卵形嚢の概略説明図、(c)は(b)の状態から更に10°傾けた状態の左右卵形嚢の概略説明図である。
【図2】本発明の直線加速度刺激装置をグラウンド面に対し垂直(椅子の形態)状態にした全体の概略斜視図である。
【図3】本発明の直線加速度刺激装置を図2の右側から見てその骨組みを概略的に示した側面図である。
【図4】本発明の直線加速度刺激装置を図2において背面側から見てその骨組みを概略的に示した背面図である。
【図5】本発明の直線加速度刺激装置を図2の上から見てその骨組みを概略的に示した平面図である。
【図6】本発明の直線加速度刺激装置におけるベースセクションの一部分を切り欠きかつ直線加速度源の伝達系および旋回セクションとの結合部を一部分断面で示した説明図である。
【図7】本発明の直線加速度刺激装置における旋回セクションを垂直方向の沿って切断し拡大して示した説明図である。
【図8】本発明の直線加速度刺激装置における傾斜セクションを図2の背面側から見て拡大して示した説明図である。
【図9】本発明の直線加速度刺激装置における傾斜セクションの片方の傾斜動力の伝達機構を断面にし拡大して示した説明図である。
【図10】本発明の直線加速度刺激装置における座席セクションをグラウンド面に対し垂直方向(実線)及び水平方向(二点鎖線)に変位動させた状態を側面から見て拡大して示した説明図である。
【図11】本発明の直線加速度刺激装置における固定セクションの後頭固定部及び側頭固定部の可動調整(実線及び二点鎖線)を側面から見て拡大して示した説明図である。
【図12】本発明の直線加速度刺激装置における固定セクションの後頭固定部及び側頭固定部の可動調整(実線及び二点鎖線)を平面から見て拡大して示した説明図である。
【符号の説明】
A ベースセクション
B 旋回セクション
C 傾斜セクション
D 座席セクション
E 固定セクション
G グラウンド面
14 ボールねじ
19 直線加速度源
26 スライド側板
30 支柱
49 主軸(又は傾斜軸)
70 座席フレーム
73 背もたれフレーム
78 踏台フレーム
96 後頭固定部
97 側頭固定部
35、36、38、39 回転機構
50、51、52 歯車取付機構
54、60、63、66歯車伝達機構である。

Claims (1)

  1. 直線加速度を加えることによって代償性眼球運動を生じさせる直線加速度刺激装置において、
    (a)直線加速度刺激装置を往復動させるための直線加速度源19を有するベースセクションAと、
    (b)ベースセクションAにより支持された旋回セクションBと、旋回セクションBはベースセクションAにスライド可能に取り付けられ、かつ、直線加速度源により往復動できるように直線加速度源19に連結されており、
    (c)Reid stereotaxic cordinate system による頭部の水平面から傾斜するように、旋回セクションBにより支持された傾斜セクションCと、傾斜セクションCは主軸49と、歯車取付板51を介して、主軸49と協働する一対の歯車伝達機構54、60、63、66と、歯車伝達機構を動作させるハンドル67と、主軸49をハンドル67を用いて歯車伝達機構により、所望の角度だけ回転させて、ロックまたはアンロックする手段58とを有し、
    (d)傾斜セクションCにより支持された着座セクションDと、
    (e)被検者を、着座セクションDに対し、上下方向及び前後方向に調節可能な後頭固定部96及び側頭固定部97を有する、着座セクションDに配置された固定セクションEとを備えている、直線加速度刺激装置。
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