JP4302642B2 - 光学ヘッドおよびディスク再生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学ヘッドおよびディスク再生装置に関する。
ディスク再生装置には、物理フォーマットの異なる複数種類の光磁気記録媒体、たとえばMD(Mini Disc:登録商標)およびHi−MD(登録商標)の記録および/または再生を行うことができるものがある。この複数種類の光磁気記録媒体の記録再生を行うディスク再生装置に備えられる光学ヘッドには、レーザ光を出射する光源、光源から出射されたレーザ光を光磁気記録媒体の情報記録面に集光する対物レンズ、光磁気記録媒体の情報記録面で反射された戻り光であるレーザ光を分離する光学系および光学系によって分離されたレーザ光を電気信号に変換する信号変換手段が含まれる。
MD、Hi−MDなどの光磁気記録媒体には、その情報記録面にグルーブと呼ばれる案内溝が設けられる。光磁気記録媒体を再生する場合、ディスク再生装置は、光源から出射されたレーザ光でグルーブを照射し、該照射された光の反射光によってグルーブに記録された情報を読み出す。近年では、できるだけ多くの情報信号を光磁気記録媒体に記録できるようにトラックピッチが狭められ、光磁気記録媒体の高密度化が進められている。
従来用いられるMDのトラックピッチは1.6μmであり、近年開発された高密度記録を実現できるHi−MDのトラックピッチは1.25μmである。またMDのグルーブには、EFM(Eight to Fourteen Modulation)変調されたデータが記録されており、Hi−MDのグルーブには、MDよりも高密度記録用の物理フォーマットであるRLL(1−7)PP(RLL:Run Length Limited、PP:Party preserve/Prohibit rmtr(
Repeated Minimum Transition Runlength))変調されたデータが記録されている。このように物理フォーマットの異なるMDとHi−MDとで互換性を有するような光学ヘッドとして、光源から出射されるレーザ光の波長が780nmであり、対物レンズの開口数NAが0.45であるものが用いられる。
このような光学ヘッドを用いる場合、光源から出射されるレーザ光のスポット径が大きくなり、レーザ光のスポット径がトラックピッチよりも大きくなって、グルーブからスポット径がはみ出してしまうことがある。このようなグルーブからはみ出した光は、光が照射されるグルーブに隣接するランドの表面で反射して、グルーブで反射され電気信号に変換される光に混入してしまう。このような現象はクロストークと呼ばれ、電気信号に変換される光に他の光が混入することによって、変換された電気信号、たとえば情報記録再生信号(RF信号)にエラーを多く発生し、記録再生特性を低下させる原因となる。
そこで、光磁気記録媒体からの反射光の光路中に位相補償素子を挿入することによって、ランドからのクロストーク成分を制限してエラーを低減し、記録再生特性の低下を防止する光学ヘッドが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
図12は、特許文献1に開示の光学ヘッド1の構成を概略的に示す断面図である。ディスクリート光学系である光学ヘッド1は、レーザ光を出射する半導体レーザ素子2と、半導体レーザ素子2から出射される光を分離するグレーティング3と、入射光を透過または反射する偏光ビームスプリッタ4と、入射光を平行光とするコリメートレンズ5と、入射光の位相を調節する位相補償素子6と、光磁気記録媒体10にレーザ光を集光する対物レンズ7と、入射光を分離するウォラストンプリズム8と、入射した光を電気信号に変換するフォトディテクタ9とを含んで構成される。
光を出射する光源である半導体レーザ素子2は、たとえば、光磁気記録媒体10がMDおよびHi−MDであるときは波長780nmのレーザ光を出射する。半導体レーザ素子2は、不図示の駆動電流を供給する外部回路と接続され、該外部回路からの電流量によってレーザ光の強度を変えることができる。
グレーティング3は、半導体レーザ素子2から出射される光を0次回折光と−1次回折光および+1次回折光とに分離する回折格子である。偏光ビームスプリッタ4は、半導体レーザ素子2から出射され光磁気記録媒体10に向かう往路光を透過し、光磁気記録媒体10で反射された光を反射する。コリメートレンズ5は、半導体レーザ素子2から出射され入射する拡散光を平行光にして出射する。
位相補償素子6は、光磁気記録媒体10がMDの場合とHi−MDの場合とのそれぞれにおいて良好な記録再生特性が得られるような位相補償量を入射光に付与する。
対物レンズ7は、たとえば開口数NAが0.45であり、入射する光の光軸に平行な方向であるフォーカス方向および光磁気記録媒体10の半径方向に直交する方向であるトラック方向に対物レンズ7を移動可能に保持する不図示のアクチュエータに搭載される。対物レンズ7は、半導体レーザ素子2から出射された往路光を光記録媒体10の情報記録面に集光し、光スポットを形成する。ウォラストンプリズム8は、光磁気記録媒体10で反射され、偏光ビームスプリッタ4で反射されて入射する光を分離し、該分離した光をフォトディテクタ9に入射させる。フォトディテクタ9は、入射したレーザ光を電気信号に変換し、演算を施すことによってフォーカスエラー信号(FE信号)、トラッキングエラー信号(TE信号)およびRF信号を出力する信号変換手段である。
半導体レーザ素子2から出射されたレーザ光は、グレーティング3、偏光ビームスプリッタ4、コリメートレンズ5および位相補償素子6を透過して対物レンズ7に入射し、光磁気記録媒体10の情報記録面に集光される。また光磁気記録媒体10の情報記録面に集光されたレーザ光は、光磁気記録媒体10の反射面において反射され、対物レンズ7、位相補償素子6およびコリメートレンズ5を透過して偏光ビームスプリッタ4で反射され、ウォラストンプリズム8で分離されてフォトディテクタ9で受光され、前記各信号が出力される。
特許文献1に開示の光学ヘッド1では、光磁気記録媒体10で反射された光の位相が位相補償素子6によって好適に調整されるので、ランドで反射された光についての位相が調整されてクロストークが低減され、MDおよびHi−MDの記録再生特性の低下をともに防止することができるとされている。
しかしながら、MDを記録再生する場合と、Hi−MDを記録再生する場合とでは、それぞれの光磁気記録媒体のトラックピッチが異なるので、それぞれについて最適な位相補償量が付与される必要がある。このように、光磁気記録媒体10には、その物理フォーマットによってそれぞれ最適な位相補償量に違いがあるけれども、特許文献1に開示の光学ヘッド1では、MDの記録再生とHi−MDの記録再生とで同一の位相補償素子6が用いられる。
このような光学ヘッド1では、MDとHi−MDとのいずれの光磁気記録媒体10についても、できるだけ記録再生を良好に行える位相補償量を選択しているけれども、MDとHi−MDとのいずれについても最適な位相補償量とすることは困難である。
したがって、複数種類の光磁気記録媒体の記録再生時にそれぞれ最適な位相補償量を付与し、光磁気記録媒体の記録再生特性をさらに向上させることができる光学ヘッドが求められている。そしてこのような要求に応える光学ヘッドとして、位相補償素子に液晶素子を用いるものが提案されている。液晶素子は、印加電圧に応じて液晶の屈折率を変化させ、入射光に位相変化を付与する。このような液晶素子は、印加電圧に応じて位相補償量を最適な値とすることができる。このような液晶素子を位相補償素子に用いることによって、MDの記録再生時、Hi−MDの記録再生時のそれぞれにおいて最適な位相補償量を付与することができる。
ここで、光学ヘッドにおける対物レンズに光を入射させるレンズとして、入射光を平行光とするコリメートレンズが従来汎用されているけれども、最近では、光学ヘッドの出射光光軸方向および対物レンズフォーカス方向についての小型化、対物レンズからの出射光の強度向上などを目的として、入射光の拡がり角度を変えて平行光でない光を対物レンズに入射させるカップリングレンズが用いられることが多くなってきている。
しかしながら、このようなカップリングレンズを用いると、次のような問題が生じる。液晶素子は入射光の入射角が変化すると、その入射光に対する液晶の屈折率も変化してしまう。このように液晶の入射光に対する屈折率が異なると、同じ位相補償量を付与しても、入射光の入射角によって位相変化量が異なってしまい、光軸付近の光と光スポット周縁部の光とで位相変化量に差が生じてしまう。
したがって、光学ヘッドにカップリングレンズを用いると、液晶素子に入射する光が拡散光となり、拡散光の光スポット中心付近の光と光スポット周縁部の光とで入射角が異なってしまう。その結果、光軸付近の光に対する屈折率と、光軸から離れた光スポット周縁部の光に対する屈折率とが異なってしまう。このように光軸付近の光と光軸から離れた光スポット周縁部とに対する屈折率が異なると、カップリングレンズを用いて液晶素子に拡散光が入射する場合、MDの記録再生時、Hi−MDの記録再生時のそれぞれにおいて光スポットの中心付近において最適な位相補償量を付与したとしても、光スポット周縁部における実際の位相変化量は最適な位相補償量と異なる値となり、光スポット内において位相変化量にばらつきが生じるという問題がある。
特開2003−296960号公報(第14−15頁、第16図)
本発明の目的は、光の入射角に起因する光スポット内における位相変化量の差を低減し、光記録媒体の記録再生特性をさらに向上させることができる光学ヘッドおよびディスク再生装置を提供することである。
本発明は、光記録媒体に光を照射して情報を記録および/または再生する光学ヘッドにおいて、
光を出射する光源と、
光源から出射された平行でない光を光記録媒体に集光する対物レンズと、
光源と対物レンズとの間に配置され、光源から出射された光の拡散角度を調整する拡散角度調整素子と、
拡散角度調整素子と対物レンズとの間の拡散光の光路上に設けられる液晶素子であって、複数に分割された分割領域を有し、複数の光記録媒体に対応し、位相補償量が可変である液晶素子と、
液晶素子の複数の分割領域に対して異なる電圧を印加して分割領域の屈折率を変化させる電圧印加手段と、
液晶素子の分割領域へ入射する光の入射角応じて分割領域ごとに位相補償量を変えるように、液晶素子の分割領域に電圧を印加する電圧印加手段の動作を制御する制御手段とを含むことを特徴とする光学ヘッドである。
また本発明は、前記液晶素子は、分割領域ごとに透明電極を備え、
前記制御手段は、液晶素子の分割領域の位相補償量を変化させるために透明電極に印加される電圧値を格納するメモリを備えることを特徴とする。
また本発明は、液晶素子および拡散角度調整素子は、
一体的に設けられることを特徴とする。
また本発明は、拡散角度調整素子は、フレネルレンズであることを特徴とする。
また本発明は、液晶素子の複数の分割領域が配列される方向は、記録または再生状態にある光記録媒体の半径方向に平行であることを特徴とする。
また本発明は、光源は、波長が780nmのレーザ光を出射し、対物レンズは、開口数NAが0.45であることを特徴とする。
また本発明は、前記のいずれか1つに記載の光学ヘッドを備えることを特徴とするディスク再生装置である。
本発明によれば、拡散角度調整素子と対物レンズとの間の拡散光の光路上に設けられ、複数の光記録媒体に対応し、位相補償量が可変である液晶素子であって、複数に分割された分割領域を有する液晶素子と、液晶素子の複数の分割領域に対して電圧を印加して分割領域の屈折率を変化させる電圧印加手段と、液晶素子の分割領域へ入射する光に対して分割領域ごとに与える位相補償量を調整する制御手段とを含み、制御手段は、液晶素子を透過した光のスポットが該スポット内で一様な位相変化を付与されるように、液晶素子の分割領域に電圧を印加する電圧印加手段の動作を制御することが可能となるので、液晶素子に入射する光の入射角に起因する光スポット内における位相変化量の差を低減することができ、光記録媒体の記録再生特性を向上させることができる。
た、液晶素子に入射する光の拡散角度を調整する拡散角度調整素子を含むので、光学ヘッドにカップリングレンズなどの拡散角度調整素子を使用することができ、光学ヘッドの小型化および結合効率の向上を図ることができる。また、前記のような液晶素子および制御手段を含むので、液晶素子に入射する光の光スポット内において、位相変化量を一様にすることができ、良好な記録再生を行うことができる。
た、液晶素子が拡散角度調整素子と対物レンズとの間に配置されて液晶素子に入射する光が拡散光となっても、液晶素子に入射する光スポット内における位相変化量の差を低減させることができる。
また本発明によれば、液晶素子に電圧を印加するための電極として分割領域ごとに備えられる透明電極が用いられるので、光を電極で遮ることによって生じる光強度の低下が生じない。また、予め試験などによって求められた電圧値をメモリに格納しておき、その値の電圧を透明電極に印加するように電圧印加手段の動作を制御することができる。
また本発明によれば、液晶素子と拡散角度調整素子とが一体的に設けられるので、光学ヘッドとして小型化を図ることができる。
また本発明によれば、拡散角度調整素子はフレネルレンズであるので、光学ヘッドとしてさらに小型化を図ることができる。
また本発明によれば、液晶素子の複数の分割領域が配列される方向は、記録または再生状態にある光記録媒体の半径方向に平行である。液晶素子に入射する光の光スポットは、光スポットの半径方向の周縁部には情報再生信号が含まれない。したがって光スポットの半径方向において情報再生信号が含まれる部分と含まれない部分との臨界部の入射角は、半径方向に垂直なトラック方向における周縁部の入射角よりも小さいので、トラック方向に位相変化を付与するよりも、半径方向に位相変化を付与する方が、光スポット内で一様な位相変化をさせるために付与する位相補償量の差違が小さくなる。このことから、半径方向について位相変化を付与することが好ましく、分割領域が配列される方向が光記録媒体の半径方向に平行とすることによって、光スポット内において付与する位相補償量の差違を低減し、一層容易に光スポットの位相変化を一様にすることができる。
また本発明によれば、光記録媒体として、MDおよびHi−MDを用いる場合、波長が780nmのレーザ光を出射する光源と、開口数NAが0.45である対物レンズとを備える光学ヘッドを用いることによって、MDおよびHi−MDのいずれについても良好な記録再生信号を得ることができる。
また本発明によれば、前記のいずれかに記載の光学ヘッドを備えるので、入射角に起因する光スポット内における位相変化量の差を低減して光記録媒体の記録再生特性をさらに向上させることができ、ディスク再生装置としても良好な記録および再生を行うことができる。
図1は、本発明の実施の第1形態である光学ヘッド21の構成を簡略化して示す断面図である。光学ヘッド21は、光を出射する光源である半導体レーザ素子22と、半導体レーザ素子22から出射された光を光記録媒体23に集光する対物レンズ24と、光記録媒体23で反射された光を受光し、受光した光を電気信号に変換するフォトディテクタ25と、半導体レーザ素子22から出射される光を対物レンズ24に導き、光記録媒体23で反射される光をフォトディテクタ25に導く光学系26と、半導体レーザ素子22と対物レンズ24との間の拡散光の光路上に設けられる液晶素子であって、複数に分割された分割領域を有する液晶素子27と、液晶素子27に電圧を印加する電圧印加手段28と、液晶素子27の分割領域へ入射する光に対して分割領域ごとに与える位相補償量を調整し、液晶素子27を透過した光のスポットが該スポット内で一様な位相変化を付与されるように、液晶素子27の分割領域に電圧を印加する電圧印加手段28の動作を制御する制御手29とを含むことを特徴とする。
なお本発明において、「位相補償量」とは、液晶素子が入射光に対して付与する位相変化の量のことであり、「位相変化量」とは、液晶素子によって位相補償量が付与された光が変化する位相量のことである。
また光学ヘッド21は、対物レンズ24と光学系26との間に、液晶素子27に入射する光の拡散角度を調整する拡散角度調整素子であるカップリングレンズ30を含み、液晶素子27は、カップリングレンズ30と対物レンズ24との間に配置されることを特徴とする。
半導体レーザ素子22は、たとえば、光記録媒体23がMD、Hi−MDなどの光磁気記録媒体であるとき、波長が780nmのレーザ光を出射する。半導体レーザ素子22は、不図示の駆動電流を供給する外部回路と接続され、該外部回路からの電流量によってレーザ光の強度を変えることができる。半導体レーザ素子22から出射された光は、グレーティング31に入射する。
グレーティング31は、半導体レーザ素子22から出射される光を0次回折光と−1次回折光および+1次回折光とに分離する回折格子である。グレーティング31を透過したレーザ光は、光学系26によって対物レンズ24に導かれる。
光学系26は、入射光を透過または反射する偏光ビームスプリッタ32と、入射光を複数に分離するウォラストンプリズム33とを含む。偏光ビームスプリッタ32は、半導体レーザ素子22から出射される往路光を透過して対物レンズ24に導き、光記録媒体23で反射される復路光を反射してフォトディテクタ25に導く。ウォラストンプリズム33は、光記録媒体23で反射され、偏光ビームスプリッタ32で反射されて入射する光を複数に分離し、該分離した複数の光をフォトディテクタ25に入射させる。
カップリングレンズ30は、半導体レーザ素子22から出射されグレーティング31および偏光ビームスプリッタ32を透過して入射する光の拡がり角度を、たとえば小さくして出射する。カップリングレンズ30を透過した光は、液晶素子27に入射する。このようなカップリングレンズ30を用いると、光学ヘッド21の出射光光軸方向についての小型化および対物レンズ24フォーカス方向についての小型化が図れるとともに、対物レンズ24からの出射光の強度向上を図ることができる。
図2は、光記録媒体23の情報記録面に光スポット41が照射される様子を示す概略平面図である。光記録媒体23の情報記録面には、情報記録再生信号が記録される案内溝状のグルーブ42が設けられる。光記録媒体23に記録されている情報を再生する場合、光学ヘッド21は、半導体レーザ素子22から出射されたレーザ光の光スポット41でグルーブ42の内部を照射し、該照射されたレーザ光の反射光によってグルーブ42に記録された情報を読み出す。
光記録媒体23がMDの場合、トラックピッチ44は1.6μmであり、高密度記録が実現されるHi−MDの場合、トラックピッチ44は1.25μmである。光学ヘッド21によって光記録媒体23に対する情報の記録再生を行うとき、半導体レーザ素子22から出射され光記録媒体23に照射されるレーザ光の光スポットは、たとえば直径1.6μmであり、このような場合グルーブ42から光スポット41がはみ出してしまう。このようなグルーブ42からはみ出した部分の光スポット領域41aは、光が照射されるグルーブ42に隣接するランド43の表面で反射して、グルーブ42で反射される光に混入してしまう。このような現象はクロストークと呼ばれ、グルーブ42で反射される光に他の光が混入することによって、該光を受光したフォトディテクタ25で変換された電気信号、たとえば情報記録再生信号(RF信号)にエラーを多く発生し、記録再生特性を低下させる原因となっている。
本実施形態の光学ヘッド21に備えられる液晶素子27は、このような光記録媒体23からの反射光の光路上に設けられ、反射光に位相変化を付与することによって、ランド43からのクロストーク成分を制限してエラーを低減し、記録再生特性の低下を防止する。
図3は、液晶素子27の構成を示す平面図である。本実施形態の光学ヘッド21に備えられる液晶素子27は、記録または再生状態にある光記録媒体23に形成されるトラックの接線方向(以後、トラック方向と呼ぶ)の分割線51,52によって複数(本実施形態においては3つ)の分割領域27a,27b,27cに分割され、複数の分割領域27a,27b,27cが配列される方向が、記録または再生状態にある光記録媒体23の半径方向に平行であることを特徴とする。
液晶素子27は、分割領域27a,27b,27cごとに電圧印加手段28に接続される透明電極と前記電圧印加手段28に接続される透明電極に対向するように配置されるもう1つの透明電極とからなる1対の透明電極および1対の透明電極の間に配置される液晶層を備える。このような液晶層および透明電極は、ガラス基板によって封止される。
液晶素子27は、分割領域27a,27b,27cのそれぞれに備えられる透明電極を介して電圧印加手段28から電圧が印加される。液晶素子27が複数に分割され、それぞれの分割領域が透明電極を備えると、電圧印加手段28は、分割領域27a,27b,27cにそれぞれ異なる電圧値を印加させることができる。ここで、液晶素子27の複数の分割領域に備えられる電極として透明電極を用いると、光を電極で遮ることによって生じる光強度の低下が生じない。液晶素子27は、1対の透明電極間に電圧が印加されることによって液晶層の屈折率が変化し、入射光に位相変化を付与する。
液晶素子27は、温度変化によってその光学的特性などの諸特性が変化するという問題があるけれども、本実施形態の光学ヘッド21では、液晶素子27付近に液晶素子27の表面温度を測定する不図示の温度センサを設け、予めLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)に組み込んだ温度と電圧とを関連づけたテーブルデータを用いて、液晶素子27の温度変化に伴う諸特性の変化を補正する。
電圧印加手段28によって電圧が印加される液晶素子27は、入射光に位相変化を付与し、入射光をほぼ直線偏光に偏光させる。分割領域を有する液晶素子27の各透明電極に電圧を印加する電圧印加手段は、不図示の電源と、PWM(Pulse With Modulation)とを備える。電圧印加手段28の動作は、制御手段29によって制御される。
制御手段29は、液晶素子27の分割領域27a,27b,27cへ入射する光に対して分割領域ごとに与える位相補償量を調整し、液晶素子27を透過した光のスポットが該スポット内で一様な位相変化を付与されるように、液晶素子27の分割領域27a,27b,27cに電圧を印加する電圧印加手段28の動作を制御する。液晶素子27に入射する拡散光の光スポット内において位相変化量に差が生じる理由およびその位相変化量の差を低減するように位相補償量を調整する方法については後述する。
また制御手段29は、光スポット内における位相変化量の差を低減するように電圧印加手段28の動作を制御するだけでなく、光記録媒体23の種類に応じて液晶素子27の位相補償量を調整するように電圧印加手段28の動作を制御する。制御手段29は、光記録媒体23の種類を検出し、光記録媒体23の種類に応じて、たとえば、予め試験などで求められた値を制御手段29に含まれるメモリに格納しておき、その値の電圧を印加するように電圧印加手段28の動作を制御する。
制御手段29は、たとえば、光記録媒体23に予め記録されるTOC(Table Of
Contents)情報、フォトディテクタ25によって得られる電気信号などに基づいて光記録媒体23の種類の判別を行う。
対物レンズ24は、たとえば、光記録媒体23がMD、Hi−MDなどの光磁気記録媒体であるとき、開口数NAが0.45であるものが用いられる。対物レンズ24は、入射する光の光軸方向であるフォーカス方向および光記録媒体23の半径方向に直交する方向であるトラック方向に対物レンズ7を移動可能に保持する不図示のアクチュエータに搭載され、半導体レーザ素子22から出射された往路光を光記録媒体23の情報記録面に集光し、情報記録面上に光スポットを形成する。光記録媒体23に集光された光は、液晶素子27によって位相変化を付与され、カップリングレンズ30を透過し、偏光ビームスプリッタ32で反射されてウォラストンプリズム33に入射する。
ウォラストンプリズム33は、入射する光を、たとえば、FE信号およびTE信号を検出するためのサーボ系に使用されるメイン信号と、MO(Magneto-Optical)信号(RF信号)に使用されるI,J信号とに分離し、フォトディテクタ25の各信号の受光領域に入射させる。
フォトディテクタ25は、入射したレーザ光を電気信号に変換し、演算を施すことによってFE信号、TE信号およびRF信号を出力する信号変換手段である。フォトディテクタ25には、複数の受光領域が設けられる。
フォトディテクタ25は、たとえば、4個の等面積の矩形に4分割される受光領域が2行2列の行列状に配置される受光領域A,B,C,Dと、受光領域A〜Dの両側にトラック方向に配置される矩形状の2つの受光領域E,Fと、受光領域A〜Dの両側に半径方向に配置される矩形状の2つの受光領域I,Jとを備える。受光領域A〜Dでは、グレーティング31によって分離された0次回折光であって、ウォラストンプリズム33によって分離されたメイン信号に使用される光を受光し、FE信号を出力する。受光領域E,Fでは、グレーティング31によって分離された−1次回折光および+1次回折光であって、ウォラストンプリズム33によって分離されたメイン信号に使用される光を受光し、TE信号を検出する。受光領域I,Jでは、グレーティング31によって分離された0次回折光であって、ウォラストンプリズム33によって分離されたI,J信号に使用される光を受光し、RF信号を検出する。
フォトディテクタ25は、各受光領域A〜Jに入射した光を受光し、下記式に示すように各電気信号を出力する。なお、下記式中において、各受光領域から検出される信号が表す値を、各受光領域を表すアルファベットの頭に「S」を付して表す。
FE信号=(SA+SC)−(SB+SD)
TE信号=SE−SF
RF信号=SI−SJ
次に、液晶素子27に入射する拡散光の光スポット内において位相変化量に差が生じる理由および本発明で最も特徴とする液晶素子27によって、その位相変化量の差を低減するように位相補償量を調整する方法について説明する。
図4は、液晶素子27に拡散光が入射する様子を模式的に示す断面図である。図4(a)では、拡散光である入射光のスポットの周縁部における光61aが液晶素子27に入射する状態を模式的に示す。図4(b)では、入射光のスポットの図4(a)で示すものと反対側の周縁部における光61bが液晶素子27に入射する状態を模式的に示す。
液晶素子27は、不図示の1対の透明電極および1対の透明電極の間に配置される液晶層を備える。液晶層を形成する液晶62および1対の透明電極は、ガラス基板63によって封止される。電圧印加手段28によって電圧が印加される液晶素子27は、入射光に位相変化を付与し、入射光をほぼ直線偏光に偏光させる。
このような液晶素子27に光が入射するとき、入射光の入射角によって液晶62の入射光に対する屈折率が変化する。また入射角が変化してしまうと、入射光に対して入射角変化前と同一の位相変化量とするために、液晶素子27に同一の電圧を印加しても、入射光の位相変化量が所望のものと変化してしまう。
このような屈折率の変化に伴う位相変化量の変化は、入射角が異なる複数の光の間について問題となるだけでなく、入射する光が拡散光である場合、光スポット周縁部付近における光と、前記周縁部付近における光と光軸を中心として反対側の周縁部付近の光との間でも問題となる。また、光スポット中心付近での液晶の屈折率と光スポット周縁部付近での液晶の屈折率との差によって、光スポット中心付近での位相変化量と光スポット周縁部付近での位相変化量との差が生じる。
ここで、光スポット中心の位相変化量と光スポット周縁部の位相変化量との差は、下記式(1)のように表される。ただし、「屈折率の差」とは、光スポット中心の屈折率と光スポット周縁部の屈折率との差である。
(位相変化量の差)=(屈折率の差)×(液晶の厚み)×360
/(入射光の波長) …(1)
式(1)に示すように、同一の光スポット内において位相変化量にばらつきが生じると、拡散光である入射光に対して、光スポット中心付近において最適な位相補償量を付与したとしても、光スポット周縁部における位相変化量は最適な値とは異なる位相変化量となってしまう。
図5は、分割されていない液晶素子に入射した拡散光に対して光軸中心において最適な位相補償量を入射光全体に一様に付与したときの光スポット半径方向の各位置における位相変化量を示す図である。液晶素子は、拡散光である入射光の光軸中心(光スポット中心)において最適な位相補償量を、光スポット全体に付与する。このことによって、入射光の光スポット中心付近においては、入射光をほぼ直線偏光にすることができる。
しかしながら前述のように、拡散光である入射光の光スポット周縁部においては、光スポット中心と同様の最適な位相補償量を付与したとしても、入射光の入射角度が光軸中心部分とは異なるので、最適な位相変化量から外れた値となる。このように位相変化量が最適値から外れると、光スポット周縁部付近の光は、偏光状態が直線偏光から楕円偏光へと推移してしまう。
このような光の入射角の違いに起因する屈折率の差によって生じる光スポット内における位相変化量の差を低減するために、本実施形態の光学ヘッド21では、前述の図3に示すような複数に分割された分割領域27a,27b,27cを有する液晶素子27が用いられる。図3に示すような分割領域27a,27b,27cを有する液晶素子27は、分割領域27a,27b,27cのそれぞれに備えられる透明電極に印加される電圧値を異なる値とすることによって、各分割領域27a,27b,27cごとに入射光に対する屈折率を異なる値に設定することができ、それぞれの分割領域27a,27b,27cに入射する光に付与する位相補償量を変えることができる。
図6は、図3に示す複数の分割領域を有する液晶素子27が拡散光である入射光に対して付与する位相補償量を示す図である。図6では、各分割領域27a,27b,27cで入射光に付与する位相補償量を実線で示す。なお図6中、二点鎖線で示すライン54は、前述の複数に分割されない液晶素子に入射する拡散光に対して光スポット内で一様な位相補償量を付与したときの位相変化量を示す。
分割領域27aでは、実際の位相変化量が最適値よりも小さくなる光スポット周縁部の一端側に、光スポット中心付近に付与する位相補償量よりも大きい位相補償量を付与する。分割領域27bでは、実際の位相変化量と最適な位相変化量との差が小さいので、位相補償量を変化させない。分割領域27cでは、実際の位相変化量が最適値よりも大きくなる光スポット周縁部の他端側に、光スポット中心付近に付与する位相補償量よりも小さい位相補償量を付与する。
なお、このように液晶素子27の分割領域27a,27b,27cでの位相補償量を変化させるために分割領域27a,27b,27cに備えられる透明電極に印加される電圧値は、たとえば、予め試験などによって求められ、制御手段29に備わるメモリに格納される値を用いることができる。
図7は、複数に分割された分割領域を有する液晶素子27に入射する拡散光に対して、分割領域ごとに異なる位相補償量を付与したときの位相変化量55を示す図である。液晶素子27を複数に分割し、光スポットの中心付近と周縁部付近とで電圧印加手段28からの印加電圧値を変化させて位相補償量を変えることによって、光スポット内における位相変化量の最適値との差を小さくでき、光スポット内における位相変化量の差を低減することができる。
図8は、複数に分割されない液晶素子によって位相補償が付与された場合における光記録媒体23再生時のエラーレートと、複数の分割領域を有する液晶素子27によって位相補償が付与された場合における光記録媒体23再生時のエラーレートとを示す図である。複数に分割されない液晶素子によって位相補償が付与された場合(従来)におけるエラーレートを白丸で、本発明の光学ヘッド21に備えられる複数の分割領域を有する液晶素子27によって位相補償が付与された場合(本発明)におけるエラーレートを黒丸で示す。なお、複数の分割領域を有する液晶素子27を用いる場合の横軸で示す位相補償量は、分割領域27bで付与した位相補償量を示す。なおエラーレートは、単位時間に発生したエラーの数を測定したものである。エラーレートの測定には光記録媒体23としてMDを使用した。
図8に示すように、位相補償量が一定の範囲(約90°〜120°)以外の大部分においては、複数の分割領域を有する液晶素子27によって位相変化が付与された場合におけるエラーレートが、複数に分割されない液晶素子によって位相変化が付与された場合におけるエラーレートよりも大幅に低減された。このように、液晶素子を複数に分割して光スポットの中心付近と周縁部付近とで液晶素子へ印加する電圧値を適宜選択することによって各分割領域における位相補償量を変化させ、光スポット内における位相変化量の差を低減することができ、光記録媒体の記録再生特性を向上させることができることが判る。
また液晶素子27は、直線偏光に調整された光の偏光軸が、記録または再生状態にある光記録媒体23の半径方向と平行になるように位相変化を付与することが好ましい。以下その理由について説明する。
液晶素子27は、前述の図2で示すように、グルーブ42に隣接するランド43の表面で反射された光によるクロストーク成分を制限するために用いられる。ここで、グルーブ42の情報記録再生信号を得るとき、光スポット41について見てみると、光スポット41のトラック方向については光スポット41の周縁部までグルーブ42に記録される情報記録再生信号が含まれる。一方、光スポット42の半径方向については、光スポット41の周縁部付近である光スポット領域41aはランド43に照射され、情報記録再生信号が含まれない。すなわち、光スポット41を半径方向について見てみると、情報記録再生信号が光スポット41の中心付近にのみ存在する。
ここで、位相とは波であるので、半径方向の波であるP波と、トラック方向の波であるS波とに分割して考える。光記録媒体23がMDである場合、光記録媒体23からの反射光の位相はP波、S波ともにほぼそろった状態(S−P=0°)となっている。しかしながら光記録媒体23がHi−MDである場合、光記録媒体23からの反射光は、P波がS波よりもδ°だけ遅れた状態(S−P=δ°)となっている。
液晶素子27によってδ=0とできたとき、光記録媒体23がHi−MDであるときでも最適な記録再生特性を得ることができる。このようにδ=0とする方法は2つあり、トラック方向の波であるS波をδ°だけ遅らせる方法と、半径方向の波であるP波をδ°だけ進ませる方法、すなわち半径方向の波であるP波を2π−δ°だけ遅らせる方法とがある。
前述のように、光スポット41のトラック方向については光スポット41の周縁部にまでグルーブ42に記録される情報記録再生信号が含まれる。したがって、トラック方向の波であるS波をδ°だけ遅らせる方法では、液晶素子27に入射する周縁部の光についても位相変化を付与する必要があり、本実施形態の光学ヘッド21に備えられる液晶27を用いても光スポット内における位相変化量の差がわずかに生じる。
一方、光スポット41の半径方向については光スポット41の周縁部にはグルーブ42に記録される情報再生信号が含まれない。したがって、半径方向の波であるP波をδ°だけ進ませる方法では、液晶素子27に入射する光の周縁部については情報再生信号が含まれないので、光スポット内における位相変化量の差がわずかに生じても、光スポットの半径方向において情報再生信号が含まれる部分と含まれない部分との臨界部の入射角は、光スポット周縁部の入射角よりも小さく、得られる情報再生信号としてはほとんど位相変化量の差のないものとなる。
以上をまとめると、光スポットの半径方向において情報再生信号が含まれる部分と含まれない部分との臨界部の入射角は、半径方向に垂直なトラック方向における周縁部の入射角よりも小さい。したがって、トラック方向に位相変化を付与するよりも、半径方向に位相変化を付与する方が、光スポット内で一様な位相変化をさせるために付与する位相補償量の差違が小さくなる。このことから、光記録媒体23の半径方向について位相変化を付与することが好ましく、液晶素子27の分割領域27a,27b,27cが配列される方向を光記録媒体23の半径方向に平行とすることによって、光スポット内において付与する位相補償量の差違を低減し、一層容易に光スポットの位相変化を一様にすることができる。
以下光学ヘッド21の動作について説明する。半導体レーザ素子22から出射されたレーザ光は、グレーティング31を通過して0次回折光、+1次回折光および−1次回折光に分離され、偏光ビームスプリッタ32を透過する。偏光ビームスプリッタ32を透過したレーザ光は、カップリングレンズ30を通って拡がり角度が変えられた後、液晶素子27を透過し、対物レンズ24によって光記録媒体23の情報記録面に集光される。光記録媒体23に集光された光は、光記録媒体23によって反射され、対物レンズ24を通過し、液晶素子27に入射する。
液晶素子27に光が入射すると、光記録媒体23の種類に応じて定められる電圧を電圧印加手段28によって液晶素子27の透明電極に印加し、液晶素子27の位相補償量を調整する。ここで、液晶素子27は、図3に示すように透明電極51が複数に分割されるので、光の入射角に起因する光スポット内における位相変化量の差を低減することができる。
液晶素子27によって位相変化が付与されたレーザ光は、カップリングレンズ30を透過して偏光ビームスプリッタ32で反射され、ウォラストンプリズム33によって分離されてフォトディテクタ25の所定の位置に受光される。フォトディテクタ25は、受光したレーザ光を用いてFE信号、TE信号およびRF信号の各電気信号を出力する。
以上のように、本実施形態の光学ヘッド21は、液晶素子27が、複数の領域27a,7b,27cに分割されることによって、光スポットの中心付近と周縁部付近とで液晶素子27へ印加する電圧値を適宜選択して入射光に付与する位相補償量を調整することができるので、光スポット内における位相変化量の差を低減することができ、光記録媒体23の記録再生特性を向上させることができる。
また光学ヘッド21で記録再生が行われる光記録媒体23としては、MD、Hi−MDなどの光磁気記録媒体のみに限定されることなく、CD(Compact Disc)、DVD(
Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu−rayディスク:登録商標)などの光記録媒体を用いることもできる。
図9は、本発明の実施の第2形態の光学ヘッド71の構成を簡略化して示す断面図である。本実施形態の光学ヘッド71は、前述の第1実施形態の光学ヘッド21に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。第2の実施形態の光学ヘッド71は、液晶素子72がカップリングレンズ30と光学系26との間に配置されることを特徴とする。
液晶素子72としては、液晶素子27と同様に複数に分割されるものが用いられる。したがって、本実施形態の光学ヘッド71では、拡散角度調整素子であるカップリングレンズ30を透過した光であって、光スポット周縁部付近と中心付近との入射角の差が大きい拡散光であっても、光スポット内での位相変化量の差を低減することができ、光記録媒体23の記録再生特性をさらに向上させることができる。
図10は、本発明の実施の第3形態の光学ヘッド81の構成を簡略化して示す断面図である。本実施形態の光学ヘッド81は、前述の第2実施形態の光学ヘッド71に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。第3の実施形態の光学ヘッド81は、液晶素子82aとカップリングレンズ82bとが一体的に設けられる位相補償付与手段82であることを特徴とする。
位相補償付与手段82に含まれる液晶素子82aとしては、液晶素子27と同様に複数に分割されるものが用いられ、光スポット内での位相変化量の差を低減することができる。また位相補償付与手段82に含まれる拡散角度調整素子であるカップリングレンズ82bは、前述の実施の第1形態の光学ヘッド21に用いられるカップリングレンズ30と同様に、入射光の拡がり角度を調整するレンズである。
本実施形態の光学ヘッド81では、液晶素子82aがカップリングレンズ82bと一体的に設けられる位相補償付与手段82が用いられるので、光学ヘッド81を小型化することができる。
図11は、本発明の実施の第4形態の光学ヘッド91の構成を簡略化して示す断面図である。本実施形態の光学ヘッド91は、前述の第3実施形態の光学ヘッド81に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。第4の実施形態の光学ヘッド91は、カップリングレンズ92bがフレネルレンズであることを特徴とする。
位相補償付与手段92に含まれる液晶素子92aは、前述の実施の第3形態の光学ヘッド81に備えられる液晶素子82aと同じものであるので説明を省略する。また位相補償付与手段92に含まれる拡散角度調整素子であるカップリングレンズ92bは、前述の実施の第3形態のカップリングレンズ82bと同様に、入射光の拡がり角度を調整するレンズであるけれども、そのレンズ面はフレネル面となっている。
本実施形態の光学ヘッド91に備えられる位相補償付与手段92のカップリングレンズ92bは、フレネル面を有するフレネルレンズであるので、レンズを薄型化することができ、さらに光学ヘッド91を小型化することができる。
また、以上のような本発明の光学ヘッドを備えるディスク再生装置は、光の入射角に起因する光スポット内における位相変化量の差を低減し、光記録媒体の記録再生特性をさらに向上させることができる。
本発明の実施の第1形態である光学ヘッド21の構成を簡略化して示す断面図である。 光記録媒体23の情報記録面に光スポット41が照射される様子を示す概略平面図である。 液晶素子27の構成を示す平面図である。 液晶素子27に拡散光が入射する様子を模式的に示す断面図である。 分割されていない液晶素子に入射した拡散光に対して光軸中心において最適な位相補償量を入射光全体に一様に付与したときの光スポット半径方向の各位置における位相変化量を示す図である。 図3に示す複数の分割領域を有する液晶素子27が拡散光である入射光に対して付与する位相補償量を示す図である。 複数に分割された分割領域を有する液晶素子27に入射する拡散光に対して、分割領域ごとに異なる位相補償量を付与したときの位相変化量55を示す図である。 複数に分割されない液晶素子によって位相補償が付与された場合における光記録媒体23再生時のエラーレートと、複数の分割領域を有する液晶素子27によって位相補償が付与された場合における光記録媒体23再生時のエラーレートとを示す図である。 本発明の実施の第2形態の光学ヘッド71の構成を簡略化して示す断面図である。 本発明の実施の第3形態の光学ヘッド81の構成を簡略化して示す断面図である。 本発明の実施の第4形態の光学ヘッド91の構成を簡略化して示す断面図である。 特許文献1に開示の光学ヘッド1の構成を概略的に示す断面図である。
符号の説明
21,71,81,91 光学ヘッド
22 半導体レーザ素子
23 光記録媒体
24 対物レンズ
25 フォトディテクタ
26 光学系
27,72,82a,92a 液晶素子
28 電圧印加手段
29 制御手段
30,82b,92b カップリグレンズ
31 グレーティング
32 偏光ビームスプリッタ
33 ウォラストンプリズム
82,92 位相補償付与手段

Claims (7)

  1. 光記録媒体に光を照射して情報を記録および/または再生する光学ヘッドにおいて、
    光を出射する光源と、
    光源から出射された平行でない光を光記録媒体に集光する対物レンズと、
    光源と対物レンズとの間に配置され、光源から出射された光の拡散角度を調整する拡散角度調整素子と、
    拡散角度調整素子と対物レンズとの間の拡散光の光路上に設けられる液晶素子であって、複数に分割された分割領域を有し、複数の光記録媒体に対応し、位相補償量が可変である液晶素子と、
    液晶素子の複数の分割領域に対して異なる電圧を印加して分割領域の屈折率を変化させる電圧印加手段と、
    液晶素子の分割領域へ入射する光の入射角応じて分割領域ごとに位相補償量を変えるように、液晶素子の分割領域に電圧を印加する電圧印加手段の動作を制御する制御手段とを含むことを特徴とする光学ヘッド。
  2. 前記液晶素子は、分割領域ごとに透明電極を備え、
    前記制御手段は、液晶素子の分割領域の位相補償量を変化させるために透明電極に印加される電圧値を格納するメモリを備えることを特徴とする請求項1記載の光学ヘッド。
  3. 液晶素子および拡散角度調整素子は、
    一体的に設けられることを特徴とする請求項または記載の光学ヘッド。
  4. 拡散角度調整素子は、フレネルレンズであることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の光学ヘッド。
  5. 液晶素子の複数の分割領域が配列される方向は、記録または再生状態にある光記録媒体の半径方向に平行であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の光学ヘッド。
  6. 光源は、波長が780nmのレーザ光を出射し、対物レンズは、開口数NAが0.45であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の光学ヘッド。
  7. 請求項1〜のいずれか1つに記載の光学ヘッドを備えることを特徴とするディスク再生装置。
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