JP4302261B2 - リサイクル性に優れた硬質ポリウレタンフォーム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリサイクル性に優れた硬質ポリウレタンフォーム組成物及び硬質ポリウレタンフォーム原料の回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時資源保護の立場からプラスチック材料(高分子物質)の再使用技術−リサイクル化技術が求められて来ている。このリサイクル技術にはマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクル等の方法が提唱されているが、サーマルリサイクルはプラスチック材料を燃料として熱(蒸気、電力)を回収する方法であり、資源の再利用と言う見地からは他のリサイクル法が適用できない場合に最終的に選択されるべき手段である。また、マテリアルリサイクルも用途が限定され、また、リサイクルの繰り返しはほとんど期待できないし、できたとしても劣化、物性の低下等により、最終的には焼却や、ケミカルリサイクルに頼らざるを得ない。言葉を変えればマテリアルリサイクルは単に寿命延命手段に過ぎず将来的には再生品の処理と言う問題が派生してくる。
【0003】
この様な背景、資源の損失回避と言う立場からケミカルリサイクルがプラスチック原料もしくは有用な化合物の回収をなしえる技術として求められて来ている。このケミカルリサイクル法にも熱分解油化法やアルカリ分解、酸分解法等々種々の方法が提唱され、あるいは実用化されて来ているが熱分解では得られる分解物は燃料、灯油としての利用であり、サーマルリサイクルと大差がないし、また、他の化学反応を用いて分解する方法も特殊な溶媒や、触媒を用いる必要がありこれ等の回収等の問題、収率や反応時間の問題等まだまだ課題を抱えている。最近、このケミカルリサイクルの一法として超臨界水や高温高圧状態の水を用いてプラスチック材料を分解する技術が環境に優しい分解技術、特殊な溶媒や触媒(分解剤)を使わず、かつ反応時間も短く、分解収率も高い等々優れた分解技術として脚光を浴びて来ている。
【0004】
ポリウレタン樹脂は自動車のシートや家具・ベッドのクッション材や冷蔵庫や住宅の断熱材として広く身近に使われているプラスチック材料であるが、これ等についてもリサイクル法が求められて来ている。この、ポリウレタン樹脂に対しては前述の高温高圧水による分解技術が適用可能なことが分かって来ており、特許等も公開されるようになって来ている。この方法を用いて、自動車のシートや家具・ベッドのクッション材等に用いられるポリウレタン樹脂を、その原料であるポリオールとポリイソシアネートの中間体であるポリアミンに分解することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
いわゆる軟質ポリウレタンフォームから原料であるポリオール(ポリオキシアルキレンポリオール)ともう一方の原料であるトリレンジイソシアネート(TDI)の中間体であるトリレンジアミン(TDA)を分離回収することは可能である。他方、冷蔵庫や住宅の断熱材用途等に使われる硬質ポリウレタンフォームについてはこの高温高圧水を用いて分解はされるものの、ポリオールと分解で生成する原料ポリメリックMDI(P−MDI)に由来するポリアミン体を分離することが難しく、且つ分離できる技術が見出されたとしてもポリアミン体を原料であるポリメリックMDIに戻すことは現状の技術では不可能であり、リサイクル技術がなりたたない。
【0006】
一方、家庭用冷蔵庫は実施の決まっている家電リサイクル法等の規制対象物であり、近い将来断熱材として使われている硬質ポリウレタンフォームの利用法−リサイクル技術が要求されるのは必至であり、種々検討もされて来ている。このような状況下、硬質ポリウレタンフォーム自体を将来容易にリサイクル可能な組成物とする方法の開発が望まれる。
【0007】
硬質ポリウレタンのケミカルリサイクル法としては以下のような方法が知られる。
グリコリシス法
硬質ポリウレタンフォームをジエチレングリコール等の低分子グリコールを用い加熱分解する方法であり、フォーム中のウレタン結合や尿素結合を低分子グリコールとの交換反応により低分子化する方法である。一部一級アミン末端も生成するため、通常アルキレンオキサイド等で処理し水酸基末端とし、生成物全体をポリオール成分として利用する方法である。この方法ではフォーム原料として使われたポリオールやイソシアネート成分に基くアミン化合物を回収することはできない。
【0008】
アミノリシス法
硬質ポリウレタンフォームをアミノ化合物を用いて分解する方法であるが、通常はモノエタノールアミンが分解剤として利用される。この場合も基本的にはウレタン結合や尿素結合を交換反応によって切断、低分子化する方法であり、グリコリシス同様に一級アミノ基が生成するのと、元々分解剤自体がアミノ基含有化合物であるためこのままではウレタン原料には利用できず、通常アルキレンオキサイドで処理してアミノ基を水酸基に替えポリオールとして再利用する方法である。この方法でもフォーム原料として使われたポリオールやイソシアネート成分に基くアミン化合物を回収することはできない
【0009】
アルカリ分解法
上述のグリコリシス法で苛性ソーダ水溶液等を併用することで、硬質ポリウレタンフォーム中のウレタン結合や尿素結合をアルカリ分解する方法である。この方法を用いればフォーム自体は原料として使われたポリオールやイソシアネート成分に基くアミン化合物を回収することができるが、溶媒として用いたグリコールの除去、さらには用いたアルカリとウレタン結合成分との反応により生成した炭酸塩の除去工程等が煩雑となるため、工業的には実施されていない。
【0010】
高温高圧水分解(加水分解)法
ポリウレタンフォームは通常水には不溶性であり、常圧下で加水分解されることはないが、高温高圧状態の水で加水分解され、原料ポリオールとイソシアネート成分に基くアミン化合物に分解されることが報告されている。この方法は、特殊な溶媒や、分解触媒を使わず、しかも元の原料に分解できるという点では有効な手段であり、軟質ポリウレタンフォームにおいては原料の回収手段としての報告はなされている。しかしながら硬質ポリウレタンフォームについて本法を適用した例を見ない。この原因は恐らく原料として用いられるポリオールやイソシアネート成分の違いによると考えられる。軟質フォームの原料は長鎖のポリオールとTDIを用いて製造され、分解物の分離は比較的容易であるが、硬質フォームでは一般に鎖長の短いポリオールとポリメリックMDIを用いて製造され、ポリメリックMDI自体の加水分解が難しいのと、例え分解されたとしてもポリオールとアミン化合物の分離が困難であるためと考えられる。分解が可能であってもポリオールとアミン化合物に分離できなければ原料としての再使用は達成できないわけである。
【0011】
以上列記して来たように、現状では硬質ポリウレタンフォームの原料ないし中間体への回収リサイクルシステムは存在しないが、設計段階でリサイクル可能な組成物へ変換して行くことは非常に意義があり、且つ社会的にも求められる技術である。
本発明の課題は従来不可能であった硬質ポリウレタンフォームのリサイクルを可能にした、リサイクル性に優れた硬質ポリウレタンフォーム組成物及び硬質ポリウレタンフォーム原料の回収方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はイソシアネート、ポリオール、発泡剤、整泡剤、触媒等から製造される硬質ポリウレタンフォームにおいて
1.イソシアネート成分がトリレンジイソシアネート系であり、
2.ポリオール成分が実質的に糖類(蔗糖)を開始剤とするポリエーテルポリオールを含まないポリエーテルポリオールである
ことを特徴とするリサイクル性に優れた硬質ポリウレタンフォーム組成物に係る。
【0013】
また本発明は硬質ポリウレタンフォームを高温高圧状態の水で加水分解し、原料ポリオールとイソシアネート成分に基くアミン化合物に分離回収可能であることを特徴とするリサイクル性に優れた硬質ポリウレタンフォーム組成物に係る。また本発明はポリオール成分がトリレンジアミンを開始剤とするポリエーテルポリオールを含むポリエーテルポリオールであるリサイクル性に優れた硬質ポリウレタンフォーム組成物に係る。
また本発明は発泡剤が炭化水素系、HFC系もしくは/および、HFE系発泡剤であるリサイクル性に優れた硬質ポリウレタンフォーム組成物に係る。
また本発明は上記硬質ポリウレタンフォーム組成物より得られた硬質ポリウレタンフォームを高温高圧状態の水で加水分解し、原料ポリオールとイソシアネート成分に基くアミン化合物に分解し、これらの一方または両方を回収することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム原料の回収方法に係る。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるポリイソシアネート成分としては2,4−TDI,2,6−TDIの100/0−65/35(重量比)の混合物、及びこれらTDI混合物をポリオール類と反応させて得られるアミン等量100−150のプレポリマー及びクルードTDI等を例示できる。特に好ましいポリイソシアネート成分はTDIプレポリマーである。
【0015】
ポリオール成分としては官能基数が2〜6のポリオール、ポリアミン、アミノアルコールなどを開始剤としてアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど単独または2種以上を付加重合して得られる水酸基価200〜1000mgKOH/g、好ましくは水酸基価250〜800mgKOH/gのポリエーテルポリオールがあげられる。開始剤である官能基数が2〜6のポリオールの例として水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、メチルグリコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトールなどが挙げられる。またポリアミンの例としてエチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルアミノメタン、シクロヘキシルアミン、ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。アミノアルコールの例としてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミンなどが挙げられる。
【0016】
より好ましいのはトリレンジアミンにアルキレンオキサイドを付加重合して得られるOH価250〜500mgKOH/gのポリエーテルポリオール、及びこれらと官能基数が2〜6、OH価が250〜800mgKOH/gのポリエーテルポリオールの混合物が挙げられる。
なお、本発明では蔗糖系のポリオールは使うことは好ましくない。この理由は高温高圧水によるウレタン結合や尿素結合の加水分解時に蔗糖骨格内のエーテル結合が加水分解を受け、フラクト―ス環とグルコ−ス環に開裂し、低分子化されるためである。
【0017】
本発明に使用できる発泡剤としては、水、n−、iso−、cyclo−ペンタン、n−ブタン等の炭化水素化合物、HFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfc等のハイドロフルオロカーボン類、HFE−245fa、HFE−7100、HFE−7200等のハイドロフルオロエーテル類を使用することができる。これらは混合して使用できる。
【0018】
本発明に使用される触媒としてはプロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルへキサンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのアミン類、またスタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクチル酸鉛などの有機金属化合物などを挙げることができる。触媒は通常ポリオール100重量部に対して0.1〜10重量部用いられる。
【0019】
本発明に使用される整泡剤としては、例えばシリコン系界面活性剤として知られる、ジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンオキサイドブロック共重合体(シリコン系整泡剤)を用いることができる。例えばゴールドシュミット社製B−8462、B−8404など、日本ユニカー社製L−501、L−520など、東レシリコーン社製SH−190、SH−193、信越シリコーン社製F−114、F−317などが挙げられる。整泡剤は通常ポリオール100重量部に対して0.2〜10重量部程度用いられる。
【0020】
また、これら原料を用いて製造された硬質ポリウレタンフォームは高温高圧状態の水で加水分解し、原料ポリオールとイソシアネートの原料であるアミン化合物に分解し、これらの一方または両方を回収することができる。加水分解の具体的な方法としては、フォームを150〜200℃に加熱したプレスで圧縮減容化し、オートクレーブ中で温度250〜300℃、圧力3〜30MPaの高温高圧水と接触分解させる方法をとることができる。また、実際の冷蔵庫の解体の様な工業的な方法では硬質フォームは軽質のシュレッダーダストとして回収される。この種のシュレッダーダスト中には当然のことながら、紙、アルミテープ片、ポリスチレンフォーム等の異物が混入してくることが考えられる。これらの異物は通常、上記の加水分解条件では分解されることはないので、分解液を濾別することで容易に分離できる。なお、加水分解を連続装置を用いて行う場合は、加水分解に先立ちアミン、低分子グリコール及び低分子アミノアルコールの少なくとも1種を含む可溶化剤に溶解し、必要により濾過により不溶物を除去した後に連続分解装置へ挿入する方法が選択される。
【0021】
高温高圧状態の水で加水分解前に溶解に用いられるアミン及び/または低分子グリコール及び/または低分子アミノアルコールの具体例として、アミンについては例えばトリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチルポリフェニルポリアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等またはこれらの混合物があげられる。また低分子グリコールの具体例としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなど、分子量200以下、好ましくは150以下の低分子ポリオールがあげられる。また低分子アミノアルコールの具体例としてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミンなど分子量200以下、好ましくは150以下の低分子アミノアルコールがあげられる。もっとも好ましい溶解剤はトリレンジアミンである。
【0022】
加水分解液から水を蒸発除去後、例えば減圧下、薄膜蒸留設備を用いて大部分のアミンを回収できる。蒸留残液中には少量(蒸留設備の能力にもよるが通常5%以下)のアミンが残存する場合があるが、これらはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドで処理することで容易にポリオールとして回収できる。得られたアミンがトリレンジアミンの場合はTDIの中間原料であり、工程へ戻すことで再利用される。また、回収されたポリオールも硬質ポリウレタンフォーム原料として再使用可能である。
【0023】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、何らこれらに限定されるものではない。実験に使用したポリオール及びイソシアネート祖生物の内容は以下の通りである。
【0024】
ポリオール A:トリレンジアミンとジエタノールアミンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加し得られたポリエーテルポリオール OH価450mgKOH/g、粘度5500mPa・s(25℃)
ポリオール B:ソルビトールとグリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合して得たポリエーテルポリオール OH価400mgKOH/g、粘度3000mPa・s(25℃)
ポリオールC:蔗糖とグリセリンにプロピレンオキサイドを付加して得られたポリエーテルポリオール OH値450 mgKOH/g、粘度6000mPa・(25℃)
ポリオールD:トリメチロールプロパンにエチレンオキサイドを付加して得られたポリエーテルトリオール OH価550mgKOH/g、粘度480mPa・s(25℃)
P−MDI:ミリオネート MR−200S(日本ポリウレタン製ポリメリックMDI)、アミン等量134、粘度180mPa・s(25℃)
プレポリマーA:タケネート80(武田薬品製 トリレンジイソシアネート)とポリオールBから得たプレポリマー アミン等量125、粘度450mPa・s(25℃)
プレポリマーB:タケネート80とポリオールDから得られたプレポリマー アミン等量130、粘度500mPa・s(25℃)
【0025】
実施例1 加水分解性試験
ハンドバッチ発泡により、下記の処方で表1の組成の硬質ポリウレタンフォームを作成した。部とあるのは重量部を示す。
発泡処方
ポリオール成分 100部
水 1.5部
整泡剤(TEGOSTAB B−8462) 1.5部
テトラメチルへキサンジアミン(TMHDA) 1.5部
ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA) 0.3部
シクロペンタン 15部
ポリイソシアネートINDEX(NCO/OH比)=1.10
【0026】
【表1】
【0027】
フォームの加水分解条件及び結果
内容積200mlのオートクレーブ中に純水75mlと熱圧縮したフォーム片(密度500kg/m3)15gを仕込み、外部加熱により290℃まで昇温し、その温度に30分保った。その後室温まで冷却し内容物を調べた。その結果フォーム1,2,3からは黒褐色均一な溶液が得られたが、フォーム4では黒色の固体が残存した。フォーム4についてはさらに320℃に温度を上げ分解を試みたが均一な溶液は得られなかった。また、生成した固体物質はメタノールにも溶けなかった。
【0028】
さらに、フォーム1,2,3より得られた分解液をゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で調べた結果フォーム1,2からの分解液ではトリレンジアミン(TDIの加水分解生成物に相当)に相当するピークと原料ポリオールに基づくピークとプレポリマーに使ったポリオールに基づくピーク以外には観測されなかった。これに対し、フォーム3の分解液の分析結果では、トリレンジアミンに基づくピークは観測されたものの、ポリオール部の蔗糖系ポリオールに基づくピークは消失し新たに低分子側にピークが現れることが分かった。
【0029】
以上の結果から、イソシアネート成分として、TDIプレポリマーを使ったフォームは容易に加水分解されるがP−MDI系のフォームは加水分解が困難であること、通常のポリエーテルポリオールは加水分解を受けることはないが、蔗糖系のポリエーテルポリオールは加水分解を受け低分子化することが分かった。
【0030】
実施例2 ポリオールの回収例
下記処方で硬質ポリウレタンフォームを製造した。
参考データー:CT8秒、GT55秒、RT80秒、自由発泡密度25.7kg/m3
【0031】
フォームの加水分解(連続設備の使用)
攪拌機、温度計を付したフラスコ中にトリレンジアミン 800gを仕込み170℃に加熱し、2時間かけて、上記で得られたフォームを減容化のため熱圧縮したもの(密度500kg/m3)500gを加えた。フォーム片の添加終了後さらに1時間攪拌して均一な液体を得た。この溶液を予め20MPa,280℃に調整した連続分解設備に加熱水と共に送入し加水分解を行った。分解液/加熱水比=1/3、分解装置滞留時間25分後、分解液に加熱下窒素ガスを吹き込んで水を除いた。得られた分解液はGPC分析の結果原料ポリオールとTDAに分解されていることが確認された。
【0032】
次いで、分解液を280℃、5torrに調整された薄膜蒸留設備を用いて処理し大部分のTDAを回収した。蒸留機のボトムから得られた液のアミン価を測定した結果は、30mgKOH/gの値であった。この液に110℃でプロピレンオキサイドを反応させた結果、OH価442mgKOH/g、アミン価0.3mgKOH/gのポリエーテルポリオールが得られた。なお、薄膜蒸留装置の蒸発物として回収されたものは常温では固体、融点が97〜98℃でありガスクロマトグラフィーでの分析の結果、99.5%が2,4−及び2,6−トリレンジアミンであることが確認された。上記で得られたポリオールを上記の発泡処方と同一処方、同一条件で硬質ポリウレタンフォームを作成した結果は反応性でGTで3秒、RTで5秒程度はやくなる程度、密度も25.3kg/m3と殆どかわらないものであることが確認された。
【0033】
【発明の効果】
本発明はこれまで不可能であった硬質ポリウレタンフォームのリサイクルを可能にした、リサイクル性に優れた硬質ポリウレタンフォーム組成物及び、該組成物を原料ポリオールとイソシアネート成分に基くアミン化合物に分解し、これらの一方または両方を回収する、硬質ポリウレタンフォーム原料の回収方法を提供することができる。
Claims (3)
- イソシアネート、ポリオール、発泡剤、整泡剤、触媒から製造される硬質ポリウレタンフォームにおいて、イソシアネート成分がトリレンジイソシアネート系であり、ポリオール成分が官能基数が2〜6のポリオール、ポリアミン及びアミノアルコールから選ばれる少なくとも1種を開始剤としてアルキレンオキシドを付加重合して得られる水酸基価200〜1000mgKOH/gのポリエーテルポリオールである硬質ポリウレタンフォーム組成物より得られた硬質ポリウレタンフォームを温度250〜300℃、圧力3〜30MPaの高温高圧状態の水で加水分解し、原料ポリオールとイソシアネート成分に基くアミン化合物に分解し、これらの一方または両方を回収することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム原料の回収方法。
- 高温高圧状態の水で加水分解する前に、アミン、分子量200以下の低分子グリコール及び分子量200以下の低分子アミノアルコールの少なくとも1種を含む可溶化剤に溶解し、必要により濾過により不溶物を除去する請求項1記載の回収方法。
- 加水分解物からイソシアネート成分に基くアミン化合物を回収した後の原料ポリオールに、アルキレンオキサイドを反応させてアルキレンオキサイド付加ポリオールとし、これをポリオール成分として回収する請求項1記載の回収方法。
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