JP4302236B2 - 環境抗菌剤および抗菌性物質の製造法 - Google Patents

環境抗菌剤および抗菌性物質の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP4302236B2
JP4302236B2 JP16647699A JP16647699A JP4302236B2 JP 4302236 B2 JP4302236 B2 JP 4302236B2 JP 16647699 A JP16647699 A JP 16647699A JP 16647699 A JP16647699 A JP 16647699A JP 4302236 B2 JP4302236 B2 JP 4302236B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solvent
antibacterial
dielectric constant
environmental
relative dielectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP16647699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000355512A (ja
Inventor
啓次 森数
雄一 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ST Corp
Original Assignee
ST Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ST Corp filed Critical ST Corp
Priority to JP16647699A priority Critical patent/JP4302236B2/ja
Publication of JP2000355512A publication Critical patent/JP2000355512A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4302236B2 publication Critical patent/JP4302236B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、台所まわりや冷蔵庫、風呂場、トイレなどの生活環境において使用する抗菌剤または除菌剤(以下、「環境抗菌剤」という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
包丁、まな板、食器、調理台等の台所まわりや冷蔵庫、風呂場、トイレなどの生活環境を快適に維持するためには、菌の繁殖を抑える抗菌や、菌を殺す除菌が重要となる。このような台所まわりや、冷蔵庫、トイレ等の身近な環境における代表的な有害微生物は、大腸菌、ブドウ球菌、緑濃菌等であり、これらに対する抗菌剤や除菌剤が種々提案されている。従来の環境抗菌剤の代表的な抗菌・除菌成分は、エチルアルコール、次亜塩素酸等であり、汎用されている。
【0003】
このうち、エチルアルコールは安全性が高く、瞬間的除菌効果は期待できるものの、効果が一時的であり持続的な抗菌効果は期待できない。また、次亜塩素酸は除菌力は優れているものの、安全性が低く、異臭があるため、処理後は良く洗い流す必要がある。また、他の化学殺菌剤も安全性等の問題から台所周辺の環境抗菌剤としての使用は敬遠されている。
【0004】
最近は、安全性や天然嗜好から、エチルアルコールのような安全性の高い除菌剤に、除菌もしくは抗菌作用を持つ天然成分を組み合わせ、瞬間的除菌と持続的抗菌効果を併せ持った天然成分配合の除菌・抗菌剤が好まれている。
【0005】
天然物より抽出した抗菌成分としては、例えば孟宋竹抽出物、わさび抽出物、グレープフルーツ種子抽出物、キトサン、緑茶カテキン、ヒノキ油等が知られており、これら天然抗菌成分を、フィルター、綿、紙等の担体に担持させ、抗菌効果を付与させた製品も製造されている。
【0006】
しかし、一般にこれら天然成分の抗菌効果は低く、十分な抗菌活性を得るためには使用量を著しく多くする必要がある。このため、製品に原料由来の着色や臭いなどが残るという環境抗菌剤として好ましくない面があり、用途が制約されることが多かった。また、夾雑物を取り除くために複雑な操作を行って分画を行い、活性成分の含有量を高めると価格上昇につながってしまうため、経済性の点で不利益が生じることも多かった。
【0007】
ところで、モクセイ科の植物であるレンギョウ(Forsythia suspensa Vahl)の実は、日本薬局方にあるように熱性疾患や化膿性疾患に対する生薬として古くから用いられてきた。このレンギョウの実の希エタノールエキスは、黄色ブドウ球菌に対し抗菌効果があるとの報告もある(Nishibe,S.,et al.:Chem.Pharm.bull.30,1048,4548,(1982);32,1209(1984))。
【0008】
また、レンギョウの実のエタノール抽出物は、食品の保存料として用いられ、その主成分は、フィリリン(Phillyrin)であるとされている(食品添加物便覧)。しかし、本発明者の研究によれば、フィリリンには、実際の抗菌活性はほとんどないことが判明している。
【0009】
さらに別の報告では、レンギョウの水エキスに抗菌活性があり、それらの有効成分はサスペンササイド(susupensaside)、フォシチアサイド(forsythiaside)、アクテオサイド(acteoside)等のフェニルプロパノイド配糖体であると述べられている[薬学雑誌 107(4)274−278(1987)]。
【0010】
しかし、これらレンギョウの抽出液も濃褐色を呈しており、このままでは環境抗菌剤としての用途には好ましくないという状況にあった。すなわち、レンギョウ果実中に含まれる上記フェニルプロパノイド配糖体は極性が高いため、これらを抽出するために、25℃での比誘電率が23を超える極性溶媒(水、メタノール等)を使用することが必要であるが、同時に濃褐色成分であるリグニン関連物質も抽出されてしまい、抗菌剤としての使用濃度でもかなりの着色が残る。
【0011】
そして、着色している環境抗菌剤の用途が限定されてしまうことは前記の通りであり、更に着色の問題を解決するためにレンギョウ抽出液からリグニン関連物質を取り除くことも考えられるが、このような処理により経済性の点で不利益が生じることも前記の通りである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題のない、人体に安全で、かつ、実際の使用濃度において着色が少ない天然物由来の新しい環境抗菌剤を提供することをその課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、レンギョウ中には上記フィリリンやフェニルプロパノイド配糖体以外にも未知の抗菌成分が含まれているのではないかと考え、レンギョウの種々の部位をいくつかの性質の異なる溶媒で抽出し、その抽出物の抗菌活性を検討した。そしてその結果、レンギョウの実を比誘電率が特定の範囲である低極性の溶媒で抽出することにより得られる抽出物は、高い抗菌・除菌活性を有するとともに、環境抗菌剤として使用する上で問題となる着色や臭気が低いものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、レンギョウの実を、25℃における比誘電率が23以下の溶媒で抽出することにより得られる画分を有効成分として含有する環境抗菌剤を提供するものである。
【0015】
また本発明は、レンギョウの実を、25℃における比誘電率が17〜23の範囲の溶媒で抽出し、次いで25℃における比誘電率が23を超える溶媒で再抽出することにより得られる画分を有効成分として含有する環境抗菌剤を提供するものである。
【0016】
更に本発明は、レンギョウの実を、25℃における比誘電率が23以下の溶媒で抽出することを特徴とする抗菌性物質の製造法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の環境抗菌剤の有効成分は、レンギョウの実を、25℃における比誘電率が23以下の溶媒で抽出することにより得られる画分あるいはレンギョウの実を、25℃における比誘電率が23以下の溶媒で抽出し、次いで25℃における比誘電率が23を越える溶媒で再抽出することにより得られる画分である。
【0018】
これらの有効成分を得るための原料として用いられるレンギョウ(Forsythia suspensa Vahl)は、モクセイ科(Oleaceae)の落葉灌木であり、その果実は生薬として用いられてきたものである。本発明においてはレンギョウの果実を生のまま、あるいは、乾燥、破砕等の処理を施したものの何れを用いても良い。
【0019】
また、レンギョウ果実から抗菌成分を抽出するために使用される25℃における比誘電率が23以下の低極性溶媒(以下、「低極性溶媒」という)の具体例としては、アセトン(比誘電率21)、プロパノール(同22)、イソプロピルアルコールIPA(同18)、ブタノール(同17)、イソブチルアルコール(同18)、ペンタノール(同14)、ヘキサノール(同13)、ジメチルエーテル(同5)等が挙げられる。
【0020】
この低極性溶媒は、単一溶媒に限らず、二以上の溶媒を組み合わせた混合溶媒も利用できる。例えば、比誘電率23を超える溶媒[例えばエタノール(比誘電率24)]と比誘電率の低い溶媒[例えばペンタノール(比誘電率14)]を適宜混合することにより、比誘電率を23以下の範囲にすることができ、このような混合溶媒も低極性溶媒として抽出に用いることができる。
【0021】
上記低極性溶媒の中でも、比誘電率17〜23の範囲の溶媒が好適に用いられる。比誘電率が17より低いと有効成分の抽出効率が悪くなり経済的でないことがあり、比誘電率が23を超えると不純物であるリグニン成分が多く抽出され、濃褐色を呈するため環境抗菌剤として好ましくない。低極性溶媒の中では、経済性、操作の簡便性、有効成分の抽出効率の点でアセトンが特に好ましい。
【0022】
レンギョウ果実からの低極性溶媒による有効成分の抽出は、常法に従って行うことができるが、例えばレンギョウの果実に対し、およそ5倍量の溶媒を用い、約50℃の温度で、約4〜8時間程度撹拌抽出する条件で実施することが好ましい。
【0023】
上記の低極性溶媒を用いる抽出により得られた抽出物を、そのままの状態で環境抗菌剤の有効成分として使用することもできるが、一般的には上記抽出物から一旦溶媒を留去した後、更に25℃における比誘電率が23を超える高極性溶媒(以下、「高極性溶媒」という)を用いた再抽出を行い、これにより得られた抽出物を環境抗菌剤の有効成分として使用することが好ましい。
【0024】
再抽出を行う場合に用いられる、高極性溶媒の具体例としては、メタノール(比誘電率33)、エタノール(同24)、エチレングリコール(同38)等が挙げられる。これらの内、比誘電率が30〜60の範囲にある高極性溶媒を用いることが好ましい。比誘電率が30より低いと不純物であるフィリリンが有効に取り除けない場合があり、使用時にフィリリンが析出して後のこりが多くなることがあり、比誘電率が60を超えると有効成分が抽出されにくくなることがあり、経済的な面で好ましくない場合がある。
【0025】
また、高極性溶媒としては、単一溶媒に限らず、二以上の溶媒を組み合わせた混合溶媒も利用可能である。例えば、比誘電率が23以下の溶媒とこれより比誘電率が高い溶媒を適宜混合することにより、比誘電率を30〜60の範囲にすることができ、このような混合溶媒も高極性溶媒として抽出に用いることができる。特に好ましい混合溶媒の例として、水とエタノールの1:1(重量比)混合溶媒が挙げられる。この水とエタノールの1:1混合溶媒は、25℃の比誘電率が50程度であり、この混合溶媒により抽出したものはそのままで液状環境抗菌剤として使用できる。
【0026】
高極性溶媒による再抽出は、低極性溶媒による抽出物を高極性溶媒に再溶解し、放置することにより生じた沈殿物を濾別し、その濾液を集めることにより行なわれる。例えば高極性溶媒として水とエタノールの混合溶媒を使用する場合には、低極性溶媒による抽出物を、必要に応じ溶媒を留去した後エタノールに溶解せしめ、さらに所定量の水を加えて混合し、不溶物を除去することによって再抽出を行うことができる。
【0027】
上記のようにして得られた抽出物は、そのままの状態で環境抗菌剤の有効成分として使用することもできるが、抽出物から溶媒を実質的に除去して得られる乾燥粉末、任意の溶媒に再溶解させた溶液剤、任意の担体に吸着もしくは担持させた固形剤等の種々の剤形に調製して用いることが好ましい。
【0028】
また、本発明の環境抗菌剤は、例えば濃縮乾固後に粉末を製品に練り込んで抗菌効果を付与したり、ウェットティシュ等に含浸させたりして使用できるほか、適当な溶媒に溶解した抗菌剤組成物をポンプアップスプレーとしたり、噴射剤と調合してエアゾルにする等の手段で用いることができる。さらに、用途に応じて食品添加物として許可されている各種抗菌・除菌成分(例えば、脂肪酸モノグリセリド、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸類、胆汁酸等)と混合して用いる事も可能である。
【0029】
上記任意成分の中でも、特に脂肪酸モノグリセリドは界面活性作用を有しているため、抽出物の高濃度処方において若干発生することがある後のこりの改善に有効であり好ましい。本発明環境抗菌剤中の脂肪酸モノグリセリドの配合量は、0.01〜5重量%程度が好ましい。
【0030】
【作用】
本発明環境抗菌剤の有効成分の単離は、レンギョウ抽出液を乾燥固化した粉状抽出物よりクロロホルム可溶画分を採取し、次いでアルカリ水溶液を用いて酸性成分を集め、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、アセチル化した後に高速液体クロマトグラフィー マイクロボンダスフェアーシリカで流出させることによって行われた。各種分析の結果、この抗菌活性物質は、以下の構造を有するヒドロキシラブダジエノイック酸と同定された。
【0031】
【化1】
Figure 0004302236
(式中、点線は結合の存在または不存在を示す)
【0032】
このヒドロキシラブダジエノイック酸は、点線で表される2重結合の位置、存在、不存在に関係なく活性が発現するものである。
【0033】
なお、ヒドロキシラブダジエノイック酸の抗菌活性については、メタセコイアから単離された同化合物が、カビ(糸状菌)に対する抗菌活性を有するとの報告がされているものの(日本農芸化学会誌,Vol.58,No.9,PP887〜889,1984)、これまで細菌類に対する効果の報告はない。
【0034】
レンギョウ由来の公知の抗菌成分以外に、上記ヒドロキシラブダジエノイック酸が発見されたことにより、従来適切であると考えられていた極性の高い抽出溶媒(25℃での比誘電率が24以上の抽出溶媒)以外の、より低極性の溶媒でも抗菌活性物質が効率よく抽出でき、しかも環境抗菌剤として使用する場合の大きな欠点となっていたリグニン関連物質の抽出を抑制できることが明らかにされた。
【0035】
また、レンギョウからの抗菌成分の抽出に際し、低極性溶媒を使用すると、同時に析出しやすいフィリリンも抽出されてくる。抽出物中にフィリリンが存在しても問題とならない場合もあるが、例えばスプレー等で散布する時に析出したフィリリンが目詰まりの原因となったり、散布、処理面に顕著な後のこりが発生するという問題が生じることもある。
【0036】
しかし、レンギョウの実を低極性溶媒で抽出した後、例えばこの抽出液から一旦溶媒を除去し、例えばエタノール−水の混合溶媒等の高極性溶媒を用いて再抽出することにより、多くのフィリリンが除去され、フィリリン含有率の少ない抗菌成分が得られるため、上記の問題は生じにくい。更に、エタノール−水の混合溶媒を使用することは、再抽出物であるエタノール水溶液自体をそのまま環境抗菌剤として利用でき、製品化しやすいので特に好ましい。
【0037】
【実施例】
次に製造例および実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
【0038】
製 造 例 1
レンギョウ抽出物の調製:
レンギョウの果実の乾燥物10kgをミールにより粉砕し、アセトン50kgを加えた。撹拌を行いながら、50℃で4時間抽出を行い、濾別して粗抽出物を得た。ロータリーエバポレーターを用いて粗抽出液から溶媒を留去し、タール状抽出物を得た。得られたタール状抽出物に、10kgのエタノールを加え、50℃で再溶解した。溶解後、精製水10kgを加え、一昼夜(18時間)放置した。放置後、沈殿物を濾過して除去し、本発明の抽出液20kg(本発明品A)を得た。この抽出液10kgを、スプレードライにより乾燥固化し、本発明の粉状抽出物(225g、本発明品B)を得た。
【0039】
参 考 例 1
レンギョウ抽出物からのヒドロキシラブダジエノイック酸の単離:
上記製造例1で得た本発明品B(粉状抽出物)に、クロロホルムおよび水を加えて撹拌し、クロロホルム可溶画分とその他の画分に分画した。各画分の抗菌活性を調べたところ、抗菌活性はクロロホルム画分に存在した。同画分に5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて撹拌し、クロロホルム層と5%水酸化ナトリウム水溶液層に分離した。
【0040】
この5%水酸化ナトリウム水溶液を中和後、クロロホルムで抽出して酸性画分を得た。両画分の抗菌活性を調べたところ、活性は酸性画分に存在したため、この酸性画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;クロロホルム−アセトン)により分画した。活性は、20%アセトン/クロロホルム流出画分に存在した。
【0041】
一方、同画分の抗菌活性は、アセチル化により消失し、アルカリ加水分解すると再現した。上記の20%アセトン/クロロホルム流出画分を乾固後、ピリジンおよび無水酢酸を加えて油浴中80℃で3時間加熱した。次いで、ロータリーエバボレーターを用いてピリジンと無水酢酸を留去し、アセチル化物を得た。これを高速液体クロマトグラフィー マイクロボンダスフェアーシリカ、45%クロロホルム/へキサンで流出させて分画した。流出時間が11分から23分の間に複数の成分が検出され、これを分取後アルカリ加水分解したところ、4成分に抗菌活性が認められた。
このうち、流出時間が23分に検出された抗菌成分(アルカリ加水分解前)について、質量分析および核磁気共鳴分析を行った。
【0042】
MS m/z:
361(M+−1),346,302,287,203,175,135
13C−NMR:
14.57(q),16.56(q),19.24(q),21.33(q),
21.68(t),23.84(t),24.28(t),28.25(q),
36.75(t),38.00(s),38.06(t),39.28(s),
39.96(t),54.67(d),55.81(d),80.68(d),
107.05(t),114.93(d),147.43(s),163.61(s),
171.03(s),171.73(s)
【0043】
分析の結果、この成分は3−ヒドロキシラブダ−8(20),13−ジエン−15−オイック酸(3-Hydroxylabda-8(20),13-dien-15-oic acid)のアセチル化物であることが判明した。
【0044】
また、上記活性成分をアルカリ加水分解したものについても質量分析を行ったところ、以下のような値を得た。
MS m/z:
320(M+),302,287,203,175,135
【0045】
この質量分析の結果から、アルカリ加水分解後の成分は、3−ヒドロキシラブダ−8(20),13−ジエン−15−オイック酸(3-Hydroxylabda-8(20),13-dien-15-oic acid)であることが判明した。
【0046】
さらに、高速液体クロマトグラフィー マイクロボンダスフェアーシリカ、45%クロロホルム/へキサンで流出させて分画した11分から23分の間の他3成分(アルカリ加水分解前)についても質量分析を行ったところ、以下の値を得た。
MS m/z:
361(M+−1),346,302,287,203,175,135
【0047】
以上の結果から、上記画分には複数のヒドロキシラブダジエノイック酸類縁体が存在し、総合的に一定の抗菌活性を発揮していることが判明した。同画分はレンギョウのアセトン抽出物中、最も高い抗菌活性を示す画分であり、その主成分はヒドロキシラブダジエノイック酸であることが確認された。
【0048】
試 験 例 1
レンギョウ抽出物の抗菌試験:
製造例1で得たレンギョウ抽出物(本発明品AおよびB)を用い、生活環境で問題となる細菌に対する抗菌試験を、下記2つの試験方法で行った。
【0049】
( 試 験 菌 )
Escherichia coli(大腸菌) IFO 3301
Staphylococcus aureus(ブドウ球菌) lFO 14462
Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌) lFO 12689
【0050】
( 試験方法 )
試験方法(1)
本発明品Aを一定量取り、これを少量のエタノールに溶解させて段階希釈したものを試験液とした。標準試験培地(栄研化学製)にて最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。その結果を表1に示す。
【0051】
( 結 果 )
【表1】
Figure 0004302236
【0052】
試験方法(2)
本発明品Bを一定量取り、これを少量のエタノールに溶解させ、段階希釈したものを試験液とした。2×2cmの濾紙に試験液を0.2ml含浸させ、40℃で1時間乾燥させた。この乾燥濾紙に菌数を1×103〜1×104個/mlに調整した試験菌液を滴下し、37℃、24時間保存後に生理食塩水で洗い出し、生菌数の有無を測定した。その結果を表2に示す。
【0053】
( 結 果 )
【表2】
Figure 0004302236
【0054】
試 験 例 2
実 用 抗 菌 試 験 :
下記表3に示す処方で、台所まわり用の除菌・抗菌スプレー用組成物を調製した。この組成物について、試験例1で用いた試験菌を用い、その抗菌効果および後のこり発生の有無を調べた。この結果を表4に示す。
【0055】
( 処 方 )
【表3】
Figure 0004302236
【0056】
( 試 験 法 )
2×2cmの濾紙に上記処方液を0.2ml含浸させ、40℃で1時間乾燥させた。この乾燥濾紙に、試験菌液を滴下して、37℃、24時間保存後に生理食塩水で洗い出し、生菌数の有無を観察した。
【0057】
( 結 果 )
【表4】
Figure 0004302236
【0058】
表4の結果から、本発明品は十分実用的な抗菌作用を有することが明らかとなった。また、本発明品を高濃度に処方した場合(処方例2)には僅かな後のこりが認められるが、脂肪酸モノグリセリドを併用することにより後のこりが改善されることが示された。
【0059】
【発明の効果】
本発明の環境抗菌剤は、高い抗菌効果を発揮するものでありながら、天然物由来であるため安全性が高い。また、実際の使用濃度において着色が少ないため幅広い用途に利用可能である。さらに、本発明の環境抗菌剤の製造には、複雑な分離精製が必要でないため、経済的にも有利である。
以 上

Claims (7)

  1. レンギョウの実を、25℃における比誘電率が17〜23の範囲の溶媒で抽出し、次いで25℃における比誘電率が30〜60の範囲の溶媒で再抽出することにより得られる画分を有効成分として含有する環境抗菌剤。
  2. 25℃における比誘電率が17〜23の範囲の溶媒がアセトンであり、25℃における比誘電率が30〜60の範囲の溶媒がエタノールと水の混合溶媒である請求項1記載の環境抗菌剤
  3. 実質的に溶媒が除去されたものである請求項1または2記載の環境抗菌剤。
  4. さらに脂肪酸モノグリセリドを含有するものである請求項1ないしのいずれかの項記載の環境抗菌剤。
  5. レンギョウの実を、25℃における比誘電率が17〜23の範囲の溶媒で抽出し、次いで25℃における比誘電率が30〜60の範囲の溶媒で再抽出することを特徴とする抗菌性物質の製造法。
  6. 25℃における比誘電率が17〜23の範囲の溶媒がアセトンであり、25℃における比誘電率が30〜60の範囲の溶媒がエタノールと水の混合溶媒である請求項5記載の抗菌性物質の製造法。
  7. 抗菌性物質がヒドロキシラブダジエノイック酸を含むものである請求項5または6記載の抗菌性物質の製造法。
JP16647699A 1999-06-14 1999-06-14 環境抗菌剤および抗菌性物質の製造法 Expired - Fee Related JP4302236B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16647699A JP4302236B2 (ja) 1999-06-14 1999-06-14 環境抗菌剤および抗菌性物質の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16647699A JP4302236B2 (ja) 1999-06-14 1999-06-14 環境抗菌剤および抗菌性物質の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000355512A JP2000355512A (ja) 2000-12-26
JP4302236B2 true JP4302236B2 (ja) 2009-07-22

Family

ID=15832116

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16647699A Expired - Fee Related JP4302236B2 (ja) 1999-06-14 1999-06-14 環境抗菌剤および抗菌性物質の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4302236B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108785296B (zh) * 2018-07-22 2021-07-16 南京中医药大学 二萜类化合物在制备抗病毒药物中的应用
CN114432196A (zh) * 2020-11-06 2022-05-06 上海利康消毒高科技有限公司 一种连翘草本植物抑菌洗手液及其制备方法
WO2023120346A1 (ja) * 2021-12-22 2023-06-29 アース製薬株式会社 抗菌抗カビ組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000355512A (ja) 2000-12-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2153838A1 (en) Anti-norovirus agent, and composition comprising the same
JP2003113013A (ja) 植物性抗菌防腐剤
WO2004076680A2 (en) Process and composition for inhibiting growth of microorganisms
HU184410B (en) Process for producing skin conditioning, regenerating or protecting composition facilitating epithelization
JP2014034552A (ja) バイオフィルム形成抑制剤
JP5602346B2 (ja) ユーカリ抽出物の調製方法
JP4201898B2 (ja) 抗菌製剤
WO2019143882A1 (en) No rinse, single step cleaner disinfectant
JP2007045754A (ja) 抗菌剤、悪臭発生予防剤、口腔衛生品、皮膚衛生品、化粧品及び飲食品
KR102120475B1 (ko) 동애등에 추출물을 포함하는 화장료 조성물
CN110327259B (zh) 儿童湿纸巾
KR101930264B1 (ko) 현호색, 캣츠클로, 센티드제라늄, 아그리모니, 인동덩굴, 개박하 및 솔잣나무 복합추출물을 유효성분으로 함유하는 피지생성 억제 및 여드름 개선용 화장료 조성물
KR102025818B1 (ko) 천연 항균제 및 이의 제조방법
JP4302236B2 (ja) 環境抗菌剤および抗菌性物質の製造法
CN108451799A (zh) 一种洗手液及其制备方法
CN110628517A (zh) 一种天然可食用洗洁精及其制备方法
CN108434042A (zh) 一种新型日化防腐剂及其制备方法
JP2005023000A (ja) 抗菌剤及びその製造方法、並びに食品製剤及び消毒剤
KR20180090916A (ko) 식품 부산물을 이용한 천연 항균 조성물 및 이의 제조 방법
JP2005306779A (ja) 植物由来抗菌剤
CN109674699B (zh) 一种组合物、其制备方法和应用
JP2001048798A (ja) 抗菌剤
KR101442181B1 (ko) 발모제 및 그 제조방법
KR102006978B1 (ko) 와송에서 유래된 물질을 활성성분으로 포함하는 비누
KR101873519B1 (ko) 니파야자 꽃대를 이용한 세제 조성물 및 그 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090304

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090304

TRDD Decision of grant or rejection written
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090304

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090407

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090422

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150501

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees