JP4300895B2 - 内装用表皮材およびこれを用いた自動車または車両の内装材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炎天下駐車時にフロントウインドウ、サイドウインドウ、リアウインドウ等の窓から太陽光線が車内に侵入した際、内装シート表面温度や内装トリム表面温度を下げることを目的とした内装シート用表皮材及び内装トリム用表皮材に関する。
【0002】
【従来の技術】
炎天下に駐車した自動車の内装シートや内装トリム等の内装部品の表面が非常に高温になることは周知である。特に、夏場に炎天下に駐車した車両の室内温度は約70℃にも達し、こうした状況下で乗車した場合、乗員の背中や脚裏が暑く、強い不快感を覚えるという問題点があった。これは従来の布地、不織布、合成皮革等の自動車内装シート用表皮材や内装トリム用表皮材では、フロントウインドウ、リアウインドウ、サイドウインドウから車内に侵入した太陽光線が表皮材表層で熱に変わり、その熱が放熱されずに表皮材の表面や内部に蓄積される為である。
【0003】
そこで、内装部品表面や内部に蓄積する熱を車外に放熱する方法として、炎天下駐車中にエアコンを作動させておいて車内温度の上昇を防ぐ方法が考えられる。
【0004】
また、車内温度を下げる方法として、乗車直前にエアコンを大負荷で作動させ車内温度を急激に下げる方法が考えられる。
【0005】
また、大きな動力を使用せずに内装部品の表面や内部に蓄積する熱を車外に放熱する方法として、太陽電池で駆動する小型の送風機を使用して駐車中に車内を換気する方法がある。
【0006】
また、内装部品表面にアルミニウム蒸着樹脂フィルムのような太陽光線を反射する素材を使用する方法も考えられる。
【0007】
更に、内装部品表面に、アパレルにおいて用いられている、反射フィルム上にビーズを塗布した再帰反射材を用いるという方法も考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、炎天下駐車中にエアコンを作動させておいて車内温度の上昇を防ぐ方法は、バッテリーへの負荷が大きく、また、省エネルギーの点からも非現実的である。
【0009】
また、乗車直前にエアコンを大負荷で作動させ車内温度を急激に下げる方法は、バッテリーへの負荷の大きさ、省エネルギーの点及びエアコンの最大駆動時負荷が大きくなり無駄が増えることから、非現実的である。
【0010】
また、太陽電池で駆動する小型の送風機を使用して駐車中に車内を換気する方法は、太陽光線による内装部品への入熱速度に比べて内装部品表面から車内空気への熱伝達速度が遅く、乗車時に背中や脚裏が暑くない程度まで内装部品の表面や内部温度を下げることは難しい。
【0011】
また、内装部品表面にアルミニウム蒸着樹脂フィルムのような太陽光線を反射する素材を使用する方法は、窓から内装部品の表面に入射した太陽光線の大部分は他の内装部品に向けて反射するので、車外への大きな放熱効果は期待できない。
【0012】
また、アパレルにおいて用いられている反射フィルム上にビーズを塗布した再帰反射材を用いる方法は、再帰反射材が交通事故防止の為に夜間の視認性を向上する為のものであり、エネルギーの再帰反射性は低いので、自動車内装用表皮材として用いる場合には太陽光線のエネルギーの車外への放熱は期待できない。また、磨耗耐久性が低い点からも、自動車内装用表皮材としての使用には適さない。
【0013】
本発明は、上述の従来技術の問題点に着目して成されたもので、太陽光を効果的に反射可能な内装表皮材を提供することを目的とする。また、炎天下駐車時にフロントウインドウ、サイドウインドウ、リアウインドウ等の窓から車内のシートやトリム等の内装部品に太陽光線が入射したとしても、乗車時の背中や脚裏の暑さを緩和する自動車または車両の内装材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、車両の内装用表皮材を、太陽光線透過性の丸断面の樹脂繊維を並列し、丸断面繊維の太陽光線入射面の裏面に太陽光線を反射する層を配置した構成とし、樹脂繊維に入射した太陽光線を車両の窓の方向へ反射することにした。
【0015】
これにより、内装部品に入射した太陽光線の熱を車外へ放熱することが可能となり、内装部品の表面や内部が高温となるのを防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における内装用表皮材を実現する実施の形態を説明する。
【0017】
(実施の形態)
図1に本発明の実施の形態である内装用表皮材の基本構成を示す。この内装用表皮材は、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を並列し、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の裏面に太陽光線反射層4を配置した構成である。
【0018】
図1に記載したように、本実施の形態の表皮材に入射する太陽光1のエネルギーは、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の表面で屈折し、太陽光線反射層4で反射され、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3と空気との界面で再び屈折して、入射した窓の方向へ再帰反射光2として再帰反射される。よって、例えば、車両内に窓から入射した太陽光線のエネルギーは、車外へ放熱される(請求項1に対応)。
【0019】
図2及び図3は太陽光がフロントウインドウ5から入射する位置と再帰反射して出ていく位置との関係を示している。図2において、太陽光線が入射する位置Aと再帰反射して出ていく位置Aは同一である。これは太陽光線の入射方向と表皮材の太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の長さ方向との成す角度θが直角の場合である。太陽光線が入射する位置Aから表皮材に入射した太陽光線は太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の表面で屈折し、太陽光線反射層4で反射され、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3と空気との界面で再び屈折して、入射した位置のAへ正確に再帰反射される。
【0020】
一方、図3においては、太陽光線が入射する位置Aと再帰反射して出ていく位置Bは異なる。これは太陽光線の入射方向と表皮材の太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の長さ方向との成す角度θが直角でない場合である。フロントウインドウ5における位置Aから表皮材に入射した太陽光線は太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の表面で屈折し、太陽光線反射層4で反射され、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3と空気との界面で再び屈折して、フロントウインドウ5のBの方向へ再帰反射され、太陽光線のエネルギーは車外へ放熱される。尚、図3に示すように、必ずしも入射した太陽光線が再帰反射される訳ではないが、太陽光線が入射する位置は、サイドウィンドウ等の他のウィンドウから放熱されるため、十分に入射した太陽光線を反射することができる。
【0021】
以上のように、本実施の形態を車両内装部品の表皮材として使用した場合、車両の窓ガラスから車内に入射し、表皮材に照射された太陽光線のエネルギーは入射した窓ガラスの方向に再帰反射され、車外に光エネルギーの形で放熱される為に表皮材の表面温度の上昇が抑制される。特に自動車内装シートの表皮材として用いた場合、炎天下駐車した自動車の内装シートの表面が非常に高温になり乗車時に背中や脚裏が暑いという問題点を解決することが出来る。
【0022】
図4は、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を2層に積層した場合の概略図である。本発明は、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を1層または2層または3層に並列したことを特徴とする車両内装用表皮材であり、その一例として図4に太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を2層に積層したものを記載した(請求項2に対応)。
【0023】
図4に記載の内装用表皮材において、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3は2層から成り、車両の窓方向から入射した太陽光線のエネルギーは表面側の第1層の太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の表面及び裏面側の第2層の太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の表面で屈折を繰り返し、太陽光線反射層4で反射され、第2層及び第1層の太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の表面で再び屈折を繰り返して入射した窓の方向へ再帰反射される。
【0024】
車両の窓方向から入射した太陽光線は第1層及び第2層の太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の表面で屈折を繰り返し、その大部分は太陽光線反射層4に届く。が、一部分は散乱する。また、太陽光線反射層4で反射した光の大部分は第2層及び第1層の太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の表面で屈折を繰り返して入射した窓の方向へ再帰反射されるが、一部分は散乱し、入射した窓の方向へ再帰反射されない。太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の積層数が大きくなるに従い、再帰反射されない太陽光線の割合は大きくなる傾向があるので太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の積層数は3層以下が適当である(請求項2に対応)。
【0025】
また、本発明品の内装用表皮材は繊維直径が30〜500[μm]であり、太陽光線透過率が50%以上である丸断面のブライト繊維を少なくとも60重量%以上用いる。
【0026】
丸断面繊維を1層〜3層に積層した表皮材では内装用表皮材としての強度を確保するには繊維直径が30[μm]以上であることが望ましい。また、内装用表皮材としての風合いを確保する為には太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の直径は500[μm]以下であることが望ましい(請求項3に対応)。
【0027】
また、炎天下駐車した自動車に乗車した時に背中や脚裏が暑くて耐えられない状況を緩和するには、窓から車内に入射した太陽光線のエネルギーを再帰反射して光の形で車外に放熱することが必要であり、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の太陽光線透過率は50%以上であることが望ましい(請求項3に対応)。
【0028】
本実施の形態で使用する繊維の断面形状は完全な円である必要はなく、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが0.7以上であることが望ましい。
【0029】
繊維の断面形状が完全な円形に近い程、再帰反射される太陽光線のエネルギーは大きくなり、繊維の断面形状が円形から外れて楕円形状となり、楕円形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが小さくなる程、再帰反射される太陽光線のエネルギーは小さくなる傾向がある。炎天下(特に夏場)駐車した自動車に乗車した時に背中や脚裏が暑くて耐えられない状況を緩和するには、窓から車内に入射した太陽光線のエネルギーの内、十分な量を再帰反射して光の形で車外に放熱することが必要である。よって、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが0.7以上であることが望ましい(請求項4に対応)。
【0030】
図5は、横糸を平板状の太陽光線透過性樹脂繊維6とし、縦糸として太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を並列した場合の概略図である。横糸として平板状の太陽光線透過性樹脂繊維6を使用することによって、縦糸の並列した太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3と太陽光線反射層4による太陽光線の再帰反射性を損なうことなく、高い強度を実現することが出来る。高い磨耗耐久性が要求される自動車内装シート用表皮材では図5のような構成であることが望ましい(請求項5に対応)。
【0031】
図6は、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を配置する別の方法として、横糸を細径の繊維(又は糸)7とし、縦糸として太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を並列した場合の概略図である。図6のように横糸として細径の繊維(又は糸)7を使用することによって、縦糸の並列した太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3と太陽光線反射層4による太陽光線の再帰反射性を損なうことなく、高い強度を実現することが出来るので、高い磨耗耐久性が要求される自動車内装シート用表皮材として望ましい(請求項6に対応)。
【0032】
図7は、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を配置する別の方法として、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を並列した繊維束の裏面に太陽光線反射層4を配置した平板状の糸を用いて平織物にした場合の概略図である。図7のような平織物とすることによって、太陽光線の再帰反射性を損なうことなく、高い強度を実現することが出来るので、高い磨耗耐久性が要求される自動車内装シート用表皮材として望ましい(請求項7に対応)。
【0033】
図1または図4に示したように本実施の形態の内装用表皮材は、並列した太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の裏面に太陽光線反射層4を配置したことを特徴とする内装用表皮材であるが、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の裏面の太陽光線反射層4としては、アルミニウム又は銀又は銅の蒸着樹脂フィルムを配置する方法がある(請求項8に対応)。
【0034】
また、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の裏面に太陽光線反射層4を配置する方法としては、アルミニウム又は銀又は銅の反射性微粉末を練りこんだ樹脂層を塗布する方法がある(請求項9に対応)。
【0035】
太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の裏面に太陽光線反射層4を配置する別の方法としては、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を並列した層の裏面にアルミニウム又は銀又は銅を蒸着する方法がある(請求項10に対応)。
【0036】
太陽光線反射層4として上記のいずれの材料を用いた場合でも、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を並列し、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の裏面に太陽光線反射層4を配置することによって、車両の窓ガラスから車内に入射し、表皮材に照射された太陽光線のエネルギーは入射した窓ガラスの方向に再帰反射され、車外に光エネルギーの形で放熱され、表皮材の表面温度の上昇が抑制される。特に自動車内装シートの表皮材として用いた場合、炎天下駐車した自動車の内装シートの表面が非常な高温になり乗車時に背中や脚裏が暑いという問題点を解決することが出来る(請求項1から10に対応)。
【0037】
図8は、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3を並列した層の表面に太陽光線透過性樹脂フィルム8を配置したものを用いた場合の概略図である。太陽光線透過性樹脂フィルム8を表層に配置しても、表皮材に照射された太陽光線のエネルギーは十分に再帰反射され、表皮材表面の温度上昇を抑えることができる。また、太陽光線透過性樹脂フィルム8を表層に配置することによって、耐水性や磨耗耐久性が向上する(請求項11に対応)。
【0038】
太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の材質としては、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維を用いることが望ましい(請求項12に対応)。
【0039】
また、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3として、請求項12に記載の樹脂繊維を染色したものを用いることも出来る。染色した樹脂繊維を用いることによって、多様な意匠性を持たせることが可能となる(請求項13に対応)。
【0040】
太陽光線反射層4の厚さは、0.5[mm]〜3.0[mm]であることが望ましい。高い強度が要求される内装用表皮材として用いる場合には、太陽光線反射層4の厚さは0.5[mm]以上であることが望ましく、また、内装用表皮材としての風合いを確保する為には太陽光線反射層4の厚さは3.0[mm]以下であることが望ましい(請求項14に対応)。
【0041】
本実施の形態の適用先としては、本発明の動機となった炎天下駐車した車に乗車した時に背中及び脚裏等の乗員が内装と接触する部位が暑くて耐えられないことを緩和するという目的からも明らかなように、車両や自動車の内装材の表皮として用いられる。炎天下駐車においては太陽光線が直接照射される内装はいずれも高温となるので、本発明の内装表皮材が適用される内装部品の種類を限定するものではないが、本発明の目的と構成から自ずと更に好適な部品はある。
【0042】
例えば、乗員が接触する内装シートは炎天下駐車時にフロントウインドウ、サイドウインドウ、リアウインドウから入射した太陽光線によって加熱され高温となり、乗車時の不快感の主原因となっており、本発明の格好の適用先と言える。また、サイドウインドウから入射する太陽光線が直接照射され、高温となるドアトリムも、乗員の接触や熱線放射によって乗車時の不快感の原因となっており、本発明の適用先として好適であるといえる。更にリアパーセルも日射を直接受けて多量の熱をその内部に保持し、車内空気を暖めることから、本実施の形態が有効に寄与する部品といえる。
【0043】
(実施例)
これより上記実施の形態を実際に試作実験し、従来の表皮材と比較しながら検討した例を用いて具体的に説明していく。ここでは本発明の効果が最もわかりやすい自動車内装シート用表皮材に適用する例を取り上げて説明するが、本発明の適用範囲を限定するものではない。
【0044】
また、実施例では、従来表皮材との比較において性能の差異要因が理解しやすい織物を中心に取り上げて説明しているが、これも本発明の範囲を限定するものではない。
【0045】
(実施例1)
図9のように、直径50[μm]の糸を横糸とし、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが1.0で、繊維径が300[μm]である太陽光線透過率87[%]の丸断面無色のポリエステル単繊維のみを縦糸として1層に並列した織物の裏面にアルミニウムを蒸着したアルミ蒸着樹脂フィルム層(太陽光線反射層)10を形成した。
【0046】
(実施例2)
実施例1と同様に、直径50[μm]の糸を横糸とし、太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維3の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが1.0で、繊維径が300[μm]である太陽光線透過率87[%]の丸断面無色のポリエステル単繊維11のみを縦糸として2層に並列した織物の裏面にアルミニウムを蒸着したアルミ蒸着太陽光線反射層9を形成した。
【0047】
(実施例3)
実施例1と同様に、直径50[μm]の糸を横糸とし、縦糸として、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが0.7で、繊維径が500[μm]である太陽光線透過率50[%]の丸断面無色のポリエステル単繊維60[%]と、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが0.7で繊維径が500[μm]である太陽光線透過率20[%]の丸断面の茶色原着のポリエステル単繊維40[%]とを3層に並列した織物の裏面にアルミ蒸着した厚さ0.5[mm]の樹脂フィルムをウレタン系接着材で接着してアルミ蒸着太陽光線反射層9を形成した。
【0048】
(実施例4)
縦糸を4層とした以外は実施例3と同様の構成の内装表皮材とした。
【0049】
(実施例5)
丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが1.0で、繊維径が30[μm]である太陽光線透過率72[%]のベージュ色に染色した丸断面のポリエステル単繊維10本を1層に並列したものの裏面にアルミ蒸着した厚さ100[μm]の樹脂フィルムをウレタン系接着剤で接着した構造の扁平形状の糸を用いて図10のような織物を構成した。
【0050】
(実施例6)
実施例1と同様に、直径100[μm]の糸を横糸とし、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが1.0で、繊維径が1000[μm]である太陽光線透過率87[%]の丸断面無色のポリアミド単繊維のみを縦糸として1層に並列した織物の裏面に反射性のアルミニウム微粉末を30[重量%]を含有するウレタン系塗料を塗布して太陽光線反射層4を形成した。
【0051】
(実施例7)
図11のように、幅300[μm]、厚さ30[μm]の扁平形状で、太陽光線透過率87[%]である無色のポリエステル単繊維11を横糸とし、縦糸として、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが1.0で繊維径が500[μm]である太陽光線透過率40[%]の丸断面無色のポリプロピレン単繊維のみを1層に並列した織物の裏面にアルミニウムを蒸着し、アルミ蒸着樹脂フィルム層(太陽光線反射層)10を形成した。
【0052】
(実施例8)
実施例7と同様に、幅300[μm]、厚さ30[μm]の扁平形状で、太陽光線透過率87[%]である無色のポリエステル単繊維を横糸とし、縦糸として、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが1.0で繊維径が300[μm]である太陽光線透過率87[%]の丸断面無色のポリプロピレン単繊維40[%]と、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが1.0で繊維径が300[μm]である太陽光線透過率20[%]の丸断面の茶色原着のポリエステル単繊維60[%]とを1層に並列した織物の裏面にアルミニウムを蒸着し、アルミ蒸着太陽光線反射層9を形成した。
【0053】
(実施例9)
実施例1と同様に、直径50[μm]の糸を横糸とし、丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが0.5で、繊維径が300[μm]である太陽光線透過率87[%]の丸断面無色のポリエステル単繊維のみを縦糸として1層に並列した織物の裏面にアルミニウムを蒸着し、アルミ蒸着太陽光線反射層9を形成した。
【0054】
(比較例1)
従来、自動車内装シート用に多用されている表皮材の例として、トリコットを用いた。これは、ベージュに染色した直径15[μm]の丸断面フルダルのポリエステル繊維36本を束にした糸をパイル部に使用した厚み2[mm]の立毛タイプの布地である。
【0055】
(比較例2)
自動車内装シート用に多用されている表皮材の例として、平織物を用いた。これは茶色に染色した直径10[μm]の丸断面フルダルのポリエステル繊維50本を束にした糸を用いて織られた布地である。
【0056】
(比較例3)
夜間に車からの視認性を向上する目的でアパレル用途に使用されている従来の再帰反射性布地を用いた。これは直径100[μm]の透明なガラス球50[重量%]を含有するクリア塗料をアルミニウム蒸着した灰色の平織物の上に塗布したタイプの布地である。
【0057】
(比較例4)
厚さ200[μm]のポリエステル樹脂フィルムの表面にアルミニウムを蒸着させた反射性フィルムを用いた。
【0058】
(評価方法)
図12に評価装置の概要を記した。キセノンランプ12から太陽光線に相当するエネルギー強度1000[W/m2]の光がガラス14を通過して、サンプルの表皮材15に照射される。サンプルの表皮材15は入射光に対して45°の角度に設置する。サンプルを設置した容器は断熱材13で覆われており、熱の出入がガラス14を介して行われるようにする。光を照射後、2時間経過時のサンプルの表皮材15の表面温度T1と表皮材15近傍の空気温度T2を計測する。また、表皮材15の風合いを官能評価によって検査した。
【0059】
表1に評価結果を示した。
【0060】
表1から分かるように、比較例1〜3では、風合いを確保しつつも、空気温度に対する表皮材表面温度の上昇が大きく、不快感を与える。また、比較例4では、表皮材表面温度の上昇は小さいものの、風合いが非常に硬く、車両用の内装材、特にシート等には適さないことが分かる。
【0061】
これに対し、実施例1〜9にあっては、実施例6が若干風合いとして硬めであるが、他の実施例では風合いを確保している。また、空気温度に対する表皮材表面温度の上昇幅は非常に小さく、自動車の内装シートの表面が非常な高温になり乗車時に背中や脚裏が暑いという問題点を解決していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内装用表皮材の基本構成である。
【図2】フロントウインドウにおいて太陽光線が入射する位置と再帰反射する位置が同じ場合を表す図である。
【図3】フロントウインドウにおいて太陽光線が入射する位置と再帰反射する位置が異なる場合を表す図である。
【図4】太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維を2層に積層した場合の断面図である。
【図5】横糸を太陽光線透過性の平板状の繊維とし、縦糸として太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維を並列した場合を表す図である。
【図6】横糸を細径の繊維または糸とし、縦糸として太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維を並列した場合を表す図である。
【図7】太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維を並列した繊維束の裏面に太陽光線を反射する層を配置した平板状の糸を用いて平織物にした場合を表す図である。
【図8】太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維を並列した層の表面に太陽透過性の樹脂フィルムを配置した場合を表す図である。
【図9】横糸を糸とし、縦糸を太陽光線透過性の丸断面無色のポリエステル単繊維のみとして1層に並列した織物の裏面にアルミニウムを蒸着し、太陽光線反射層を形成した場合を表す図である。
【図10】太陽光線透過性の丸断面ポリエステル繊維を1層に並列したものの裏面に、アルミニウム蒸着した樹脂フィルム層を接着して太陽光線反射層を形成した場合を表す図である。
【図11】横糸を太陽光線透過性の扁平形状の無色ポリエステル単繊維とし、縦糸を太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維として1層に並列した織物の裏面にアルミニウムを蒸着し、太陽光線反射層を形成した場合を表す図である。
【図12】表皮材の温度評価装置の概要である。
【符号の説明】
1 入射太陽光
2 再帰反射光
3 太陽光線透過性の丸断面樹脂繊維
4 太陽光線反射層
5 フロントウインドウ
6 平板状の太陽光線透過性樹脂繊維
7 繊維(又は糸)
8 太陽光線透過性の樹脂フィルム
9 アルミ蒸着太陽光線反射層
10 アルミ蒸着樹脂フィルム層
11 ポリエステル単繊維
12 キセノンランプ
13 断熱材
14 ガラス
15 表皮材
Claims (14)
- 車両の内装用表皮材であって、
太陽光線透過性の丸断面の樹脂繊維を並列し、
丸断面繊維の太陽光線入射面の裏面に光線を反射する層を配置して成ると共に、
樹脂繊維に入射した太陽光線を車両の窓の方向へ反射することを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1に記載の内装用表皮材において、
太陽光線透過性の丸断面の樹脂繊維を1層または2層または3層に並列したことを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1または2に記載の内装用表皮材において、
繊維直径が30〜500μmであり、太陽光線透過率が50%以上である丸断面のブライト繊維を少なくとも60重量%以上用いたことを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし3いずれかに記載の内装用表皮材において、
丸断面繊維の断面形状の長径Aに対する短径Bの比率B/Aが0.7以上であることを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし4いずれかに記載の内装用表皮材において、
横糸を太陽光線透過性の平板状の繊維とし、縦糸として太陽光線透過性の丸断面の樹脂繊維を並列したことを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし4いずれかに記載の内装用表皮材において、
横糸を細径の繊維又は糸とし、縦糸として太陽光線透過性の丸断面の樹脂繊維を並列したことを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし4いずれかに記載の内装用表皮材において、
太陽光線透過性の丸断面の樹脂繊維を並列した繊維束の裏面に太陽光線を反射する層を配置した平板状の糸を用いた平織物であることを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし7いずれかに記載の内装用表皮材において、
丸断面樹脂繊維の裏面の太陽光線反射層がアルミニウム又は銀又は銅の蒸着樹脂フィルムであることを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし7いずれかに記載の内装用表皮材において、
丸断面樹脂繊維の裏面の太陽光線反射層がアルミニウム又は銀又は銅の反射性微粉末を練りこんだ樹脂であることを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし7いずれかに記載の内装用表皮材において、
太陽光線透過性の丸断面の樹脂繊維を並列した層の裏面にアルミニウム又は銀又は銅を蒸着したことを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし10いずれかに記載の内装用表皮材において、
太陽光線透過性の丸断面の樹脂繊維を並列した層の表面に太陽光線透過性の樹脂フィルムを配置したことを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし11いずれかに記載の内装用表皮材において、
丸断面の樹脂繊維として、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維を用いることを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項12に記載の内装用表皮材において、
樹脂繊維を染色したことを特徴とする内装用表皮材。 - 請求項1ないし13のいずれか1つに記載の内装用表皮材を用いた自動車。
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