JP4300651B2 - 復調装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ディジタル衛星放送に使用される復調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、映像の映像のディジタル化が進み、衛星、CATV、地上波のそれぞれの放送メディアにおいてディジタル放送が各国で行われようとしている。その伝送方式として、衛星放送では、その伝送路の非直線性により位相変調が主に用いられる。
【0003】
特に4相位相変調(QPSK)は、欧州のDigital Video Broadcasting(DVB−S)をはじめ、米州、更には日本でも通信衛星を利用したCSディジタル放送で用いられている変調方式である。また、国内の衛星放送(BS)のディジタル化も2000年に放送予定であり、1つの衛星中継器あたり高精細映像の2番組伝送と、降雨減衰でも視聴可能なように、8相位相変調(8PSK)、QPSK及び2相位相変調(BPSK)の時分割多重を用いた伝送方式が用いられる。
このような時分割多重した位相変調を用いた伝送方法および、その復調装置の従来例は特願平10−259732号公報に記載されたものがある。以下、時分割多重した位相変調を用いた伝送方法および、それを受信するための従来の復調装置を図45から図50を用いて簡単に説明する。
図45は変調される元信号のデータ構造、および時分割多重された位相変調信号で構成される通信フレームの構造を示したものである。まず、図45により時分割多重した位相変調を用いた伝送方法について説明する。
元信号のフレームは、誤り訂正符号の一つであるリードソロモン符号(RS(204,188))を施したMPEG2−TSパケット(204バイト)を合成して、低階層信号のパケット群と高階層信号のパケット群とから構成され、総パケット数が一定値となるようにデータフレームが構成される(図45(a))。 データフレームの内、主信号(MPEG2−TSパケットの内、同期信号(1バイト)を除いた信号(203バイト))は、高階層パケット群および低階層パケット群に分けて高階層パケット群は伝送効率の高い8PSK変調(図46(c))を施し、低階層パケット群は伝送信頼性がより高いQPSK(図46(b))またはBPSK変調(図46(a))を施す。
MPEG2−TSパケットの同期信号(1バイト)は、フレーム同期信号及びフレーム内の各階層の区切りと各階層の変調モードを表す伝送多重制御信号(TMCC信号:Transmission Multiplexing Configuration Control Signal)に置き換え、最も伝送信頼性の高いBPSK変調を施す。それぞれ変調された信号は、図45(b)に示すように、フレーム同期信号およびTMCC信号期間BPSK変調信号、高階層パケット群期間8PSK変調信号、低階層パケット群期間QPSKまたはBPSK変調信号の順に時分割多重される。
更に、主信号(高階層・低階層)の変調期間において、復調装置が低C/N時でも安定に復調が可能なように、伝送路の品質劣化に対して最も強いBPSK変調を施したキャリア同期補助信号を分散させて設置して、図45(b)に示すような通信フレームが形成される。
このような時分割多重された位相変調信号を復調するための従来例の復調装置を図47および図49に示す。
図47は第1の従来例の復調装置の構成を示したブロック図である。図47において、第1の従来例の復調装置は、直交検波部11と、周波数補正部12と、帯域制限フィルタ13と、位相補正部15と、フレーム同期検出部16と、タイミング生成部17と、第1の誤り訂正部32と、第2の誤り訂正部33と、ビデオデコーダ34と、TMCCデコーダ35と、BER測定部31とを備える。
【0004】
また、周波数補正部12は、周波数誤差検出部12aと、ループフィルタ12bと、数値制御発振部12cと、複素乗算部12dとを備える。位相補正部15は、位相誤差検出部15aと、ループフィルタ15bと、数値制御発振部15cと、複素乗算部15dとを備える。
【0005】
なお、図47において、太線かつ“/2”で示している信号線は、複素表現される信号の信号線を示している(以下、各図面において同様とする)。
【0006】
直交検波部11は、入力する通信フレーム内の各PSK変調信号を固定周波数の局部発振信号を用いて直交検波により復調し、同相成分(I),直交成分(Q)の等化低域信号を出力する。周波数補正部12は、直交検波部11が出力する信号を入力し、衛星アンテナにおける周波数変換器(図示せず)等の周波数ずれに起因する周波数ずれを、周波数誤差検出部12aから受ける周波数誤差信号に基づいて補正する。
【0007】
この周波数補正部12の各構成について簡単に説明する。周波数誤差検出部12aは、帯域制限フィルタ13が出力する信号を入力し、遅延検波を行って周波数誤差を検出する。ループフィルタ12bは、タイミング生成部17からの出力信号に従って、周波数誤差検出部12aが検出した周波数誤差のうちBPSK期間における周波数誤差の平均化を行う。数値制御発振部12cは、ループフィルタ12bが出力する平均化信号に対し、数値演算を行い発振信号を出力する。複素乗算部12dは、直交検波部11が出力する信号と数値制御発振部12cが出力する信号とを複素乗算して周波数誤差を打ち消す。
【0008】
帯域制限フィルタ13は、周波数補正部12が出力する信号を入力し、各PSK信号のスペクトル整形を行う。フレーム同期検出部16は、帯域制限フィルタ13が出力する信号を入力し、遅延検波によってBPSK変調されたフレーム同期信号、すなわち通信フレームの先頭を検出する。タイミング生成部17は、フレーム同期検出部16で検出されたフレーム先頭の情報に基づいて、1通信フレーム内のフレーム同期信号/TMCC信号の期間およびキャリア同期補助信号の期間を検出し、その期間に応じたタイミング信号を生成する。位相補正部15は、帯域制限フィルタ13が出力する信号を入力し、その位相ずれを位相誤差検出部15aから受ける位相誤差信号に基づいて補正する。
【0009】
この位相補正部15の各構成について簡単に説明する。位相誤差検出部15aは、帯域制限フィルタ13が出力する信号を複素乗算部15aを介して入力し、予め定めた基準位相に対する位相差を検出する。ループフィルタ15bは、タイミング生成部17からの出力信号に従って、位相誤差検出部15aが検出した位相誤差のうちBPSK期間における位相誤差の平均化を行う。数値制御発振部15cは、ループフィルタ15bが出力する平均化信号に対し、数値演算を行い発振信号を出力する。複素乗算部15dは、帯域制限フィルタ13が出力する信号と数値制御発振部15cが出力する信号とを複素乗算して位相誤差を打ち消す。第1の誤り訂正部32は、位相補正部15から出力される信号を入力し、変調装置において高階層パケット群および低階層パケット群に個別に誤り訂正符号化された主信号を、パケット単位で誤り訂正を施し、また時分割多重伝送のために時間軸上で並び替えたパケットの順番を元に戻す作業を行う。この出力は、ビデオデコーダ34へ出力される。第2の誤り訂正部33は、位相補正部15から出力される信号を入力し、変調装置において誤り訂正符号化されたTMCC信号の誤り訂正を施す。この出力は、TMCCデコーダ35に出力される。
TMCCデコーダ35は、フレーム内の各階層の区切りと各階層の変調モードを表すTMCC情報を検出する。BER(ビット誤り率)測定部31は、誤り訂正符号化の一種であるトレリス符号化が施されいる復調した8PSK信号に対し、トレリス復号を行って得た信号に再度トレリス符号化を施して、復調した8PSK信号と比較することにより高階層信号のBER(ビット誤り率)をモニタする。その結果、高階層の復号映像の品質が許容値を下回ったと判断された場合には、BER測定部31は、伝送路の品質劣化に対して高耐性の低階層の映像信号を出力するようにビデオデコーダ34を制御する。
【0010】
次に、第1の従来例の復調装置について、フローチャートを用いて、その処理の流れに従って説明する。図48は、第1の従来例の復調装置が行う動作を示すフローチャートである。
【0011】
復調装置は、チューナ(図示せず)を介して直交検波部11に入力される信号に対し、まずフレーム同期検出部16においてフレーム同期信号の検出を行う(ステップS10)。この検出により、図3(a)に示すように、通信フレームの先頭、すなわちフレーム同期信号/TMCC信号の先頭を検出することができる。
【0012】
フレーム同期検出ができれば、フレーム同期検出部16が検出したフレーム先頭信号は、タイミング生成部17に入力される。タイミング生成部17は、フレーム同期検出部16で検出されたフレーム先頭信号に基づいて、1通信フレーム内のフレーム同期信号/TMCC信号の期間およびキャリア同期補助信号の期間を検出し、図3(b)に示すような当該期間に応じたBPSKタイミング信号を生成する(ステップS11)。
なお、このタイミング信号は図3(c)に示すようなキャリア同期補助信号の期間のみに応じたBPSKタイミング信号であってもよい。
【0013】
そして、タイミング生成部17は、生成したBPSKタイミング信号(図3(b)または図3(c))を、周波数補正部12のループフィルタ12aおよび位相補正部15のループフィルタ15aへそれぞれ出力する。
【0014】
このBPSKタイミング信号に基づいて、周波数補正部12はBPSK変調期間の周波数誤差を検出して周波数誤差を補正し(ステップS12)、位相補正部15は、BPSK変調期間の位相誤差を検出して位相誤差を補正して(ステップS12)、通常の復調処理に移行する(ステップS13)。
【0015】
以上のような処理より、第1の従来例の復調装置によれば、時分割多重される位相変調信号のうち、パケット内に分散配置されたキャリヤ同期補助信号を含むBPSKを用いて搬送波再生を行うことにより、低C/N状態においても高速かつ安定にキャリア同期を行うことができるようにしている。
ところで、第1の従来例の復調装置のようにキャリア同期補助信号を用いて、位相補正を行った場合、特にキャリア同期補助信号の挿入周期が一定であった場合、疑似同期が発生する。そこで、BPSK変調されたキャリア同期補助信号を用いて位相補正する場合の疑似同期について、まず説明する。
【0016】
疑似同期とは、変調装置におけるキャリア同期補助信号の挿入周期が一定で(図45(b)を参照)、位相補正部15への入力周波数誤差が、キャリア同期補助信号の挿入周期で位相が180度×m(mは0以外の任意の整数)回転する周波数であった場合、位相補正部15がキャリア同期補助信号周期で本来の位相誤差を識別できなくなるため、異なった位相で同期してしまうというものである。
【0017】
例えば、図36に示すように、周波数ずれによってキャリア同期補助信号挿入周期(図中▲1▼→▲2▼)で位相が180度回転している場合(図中A)、位相補正部15における位相誤差検出では、キャリア同期補助信号挿入周期(図中▲1▼→▲2▼)での位相の変化を検出することができず、この場合、それぞれの時刻(図中▲1▼,▲2▼)で角度βの位相誤差を検出するだけとなる(図中B)。
【0018】
このように検出された位相誤差信号に基づいて位相補正を行うことにより、周波数誤差があるもにも関わらず疑似的にキャリア同期になる。その疑似同期となる周波数Δfは、下記の式1に示すようになる。
【0019】
【数1】
Figure 0004300651
【0020】
例えば、シンボル周波数が20Mbaud、周期が207シンボルの場合、図37に示すように、各周波数で疑似同期となりうる。
【0021】
このような、疑似同期による誤動作を回避するための、第2の従来例の復調装置について説明する。
【0022】
図49は、第2の従来例の復調装置の構成を示すブロック図である。図49において、第2の従来例の復調装置は、直交検波部11と、周波数補正部12と、帯域制限フィルタ13と、位相補正部15Aと、フレーム同期検出部16と、タイミング生成部17と、周波数引き込み検出部18と、第1の誤り訂正部32と、第2の誤り訂正部33と、ビデオデコーダ34と、TMCCデコーダ35と、BER測定部31とを備える。
【0023】
図50は、第2の従来例の復調装置が行う動作を示すフローチャートである。図49に示すように、第2の従来例の復調装置は、上記第1の従来例の復調装置に、周波数補正部12における周波数引き込み状態を検出する周波数引き込み検出部18をさらに加え、位相補正部15を位相補正部15Aに代えた構成である。
【0024】
なお、第2の従来例の復調装置のその他の構成は、上記第1の従来例の復調装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
また、フローチャート図50において図48と同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。以下、図49、50を用いて第2の従来例の復調装置について説明する。
【0025】
タイミング生成部17は、生成したBPSKタイミング信号(図3(b)または図3(c))を、周波数補正部12のループフィルタ12a、位相補正部15Aのループフィルタ15a、および周波数引き込み検出部18へそれぞれ出力する。
【0026】
このBPSKタイミング信号に基づいて、周波数補正部12はBPSK変調期間の周波数誤差を検出して周波数誤差を補正する(ステップS12)。周波数引き込み検出部18は、帯域制限フィルタ13の出力信号を入力として、BPSKタイミング信号に基づいて、BPSK変調期間の周波数誤差を検出して、周波数補正部12が位相補正部15Aにおいて疑似同期しない周波数にまで周波数補正したかを判断する(ステップS20)。
【0027】
そして、判断の結果、位相補正部15Aが疑似同期しない周波数にまで、周波数が補正されていれば、位相補正部15Aへリセット信号を出力する。位相補正部15Aは、リセット信号により初期化された後、再びBPSK変調期間の位相誤差を検出して位相誤差を補正して(ステップS21)、通常の復調処理に移行する(ステップS13)。
【0028】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る復調装置は、周波数引き込み検出部18を設け、周波数補正部12において位相補正部15Aが疑似同期しない周波数まで周波数補正が行われてから、位相補正部15Aをリセットして再動作させる。
【0029】
これにより、周波数補正部12による周波数引き込み過程等において、位相補正部15Aにおける疑似同期の回避が可能になるようにしている。
【0030】
ところで、本来衛星放送では地上放送とは異なり信号の反射が起こらない伝送システムであるが、各家庭の衛星放送受信設備としてある、マンション等の共同受信システムや、家庭内の各部屋で視聴可能な信号分配設備のもとでは、機器の未接続等の原因により反射波が存在する。反射波を有する伝送路のモデルとしては、図43に示すようにt時間遅延素子502、減衰素子503、移相素子504、及び直接波と反射波との加算素子505で構成される。
【0031】
反射波を有する伝送路では直接波より、遅れ時間t、位相オフセットθ、及びk倍の大きさを有する反射波が直接波に加算されて受信器に入力されことになる。なお、このモデルは反射波が1波の場合を示しているが、複数の反射波に対しては、遅延素子、減衰素子、位相回転素子の経路が複数になる。図43で示した反射を有する伝送路の伝達関数は式2で表され、
【0032】
【数2】
Figure 0004300651
【0033】
また、式2より振幅の周波数特性|H(ω)|は式3で表される。
【0034】
【数3】
Figure 0004300651
【0035】
この式3に基づいて、伝送路の周波数特性を示したものが図44である。図44のように最大値(1+k)、最小値(1−k)で、遅れ時間tの逆数を周期とした周波数特性となることが確認できる。
このように反射波を有する伝送路の場合、反射波により符号間干渉が発生するため受信性能が劣化する。この反射波による受信性能の劣化は、反射波の遅れ時間及び、大きさが影響し、特に遅れ時間が変調周期の整数倍になった場合、受信性能の劣化が顕著になる。
【0036】
図38は反射波がない場合の8PSK復調信号の符号配置を示し、図39は反射波の遅れ時間が変調周期の整数倍で、直接波電力と反射波電力のD/U(希望波電力/妨害波電力)が10dB時の8PSK復調信号の符号配置を示したものであり、復調信号に反射波の影響が顕著に現れている。このように復調信号の各符号点が広がるということは、符号を識別する際、本来送られている符号点を他の符号点と誤って識別してビット誤り引き起し、更にD/Uが小さくなると各符号点も更に広がり、周波数補正および位相補正の復調動作に不具合が生じる。
【0037】
図42は8PSKのC/N(搬送波電力/雑音電力)対ビット誤り率特性であり、直接波電力と反射波電力のD/U(希望波電力/妨害波電力)が19dB確保されていても、受信限界C/N(誤り訂正後の誤り率が0となる8PSKの誤り率である5×10-2時のC/N)の劣化量が、反射波なしの時と比較して約1dB劣化してしまう。
【0038】
また、反射波による復調動作がの不具合に関しては、特に遅延検波により行う周波数補正に機能的な問題が発生する。遅延検波による周波数補正は1シンボル間の位相の変化を観測して周波数ずれを補正するのであり、そのための遅延検波は、現在のPSK信号と、1シンボル前のPSK信号の複素共役信号とを複素乗算することによって実現できる。BPSKの場合、これを式で表すと式4のようになる。
【0039】
【数4】
Figure 0004300651
【0040】
この式4より、BPSK信号に周波数ずれが無ければ遅延検波出力の位相状態は図7に示すように、●で示すπ・n(n=0〜1)にある。しかし、周波数ずれΔfがあると×印に示すように、2π・Δf・Tsの分、位相が●よりずれることになる。そして、このずれを求めて周波数誤差を算出している。
【0041】
さて、反射波を有する時分割多重した位相変調信号を遅延検波した場合、周波数補正を行うフレーム同期信号、TMCC信号およびキャリア同期補助信号期間における遅延検波後の信号の符号配置を図41に示す。この図より、反射波のある信号の遅延検波出力の位相状態は、図40で示す反射波がない場合と比較すると、1点で表されるそれぞれの位相状態が複数の点に分散すると共に、反射波がない場合0を中心とした円周上に存在するのに対し、0からずれた点を中心とする円周上に存在する。このことは式の上からでも確認できる。式5は遅れ時間が1シンボル周期である反射波を有する信号の遅延検波を表した式であり、
【0042】
【数5】
Figure 0004300651
【0043】
右辺第1項が直接波の1シンボル間の遅延検波を表しており、反射波がない場合はこの項のみが存在する。第2項から第4項が反射波による遅延検波への影響を表している。
【0044】
反射波がない場合1点で表されるそれぞれの位相状態が複数の点に分散するのは、第2項が存在するためであり、また位相状態が、反射波がない場合0を中心とした円周上に存在するのに対し、0からずれた点を中心とする円周上に存在するのは第3項が存在するためである。このように、反射波が存在する状況下で遅延検波による周波数補正を行った場合、反射波により遅延検波出力が歪み、周波数補正部における周波数誤差検出部が正しい周波数誤差が検出できなくなるために、十分な周波数補正が不可能になる。
そうした場合、位相補正部15へは周波数誤差が残留することになり、位相補正部15は位相同期引き込みが出来ない、という問題が発生する。
また、上記第2の従来例の復調装置で示したように、疑似同期回避のために周波数引き込み検出部18を設けたとしても、周波数引き込み検出部18における周波数誤差検出に遅延検波を用いると、正しい周波数誤差が検出できなくなる。
そうした場合、周波数引き込みが行われていないのにも関わらず、周波数補正が完了したと判断し、位相補正部15をリセットして再動作させるため、疑似同期回避が不可能になる。
このように従来例における復調装置では、既存の各家庭の衛星放送受信設備では、そこで発生する反射波により、特に高階層パケット群を伝送する8PSKに受信性能の劣化が現れる。また、復調動作についても、遅延検波を用いた周波数補正の誤動作により、位相補正部が位相同期引き込み不能や、疑似同期する、といった問題があった。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】
2000年をめどに打ち上げられるBS(放送衛星)−4後発機の放送方式として、1つの衛星中継器あたり高精細映像の2番組伝送と、降雨減衰でも視聴可能なように、8相位相変調(8PSK)、QPSK及び2相位相変調(BPSK)の時分割多重を用いた伝送方式が用いられる。
また、現在行われているBSによる衛星放送(アナログ)の普及数は1000万世帯を超えており、各家庭の衛星放送受信設備としては、マンション等の共同受信システムや、家庭内の各部屋で視聴可能な信号分配設備が整っている。このようなアナログBS放送を受信するための既存の受信設備および、受信端末に、低廉化なアダプタを着けることによって、ディジタルBS放送を受信できることが必須となる。
本来衛星放送では、地上放送とは異なり、信号の反射が起こらない伝送システムであるが、前述のような共同受信システムのもとでは、機器の未接続等の原因により反射波が存在する。
前述の従来の技術における復調装置で、この時分割多重した位相変調信号を受信する場合、既存の各家庭の衛星放送受信設備では、そこで発生する反射波により、特に8PSK期間の受信性能の劣化が顕著に現れると共に、復調動作についても周波数補正部が誤動作することにより、位相補正部が疑似同期などに陥り、位相同期が出来なくなるといった課題があった。
それ故、本発明の目的は、反射を有する伝送路からの時分割多重した位相変調信号を入力しても、受信性能を良好にするとともに、周波数補正の誤動作を無くして、安定に位相同期がとることが可能な復調装置を提供することである。
【0046】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
第1の発明は、複数の位相変調信号と共に、通信フレーム内において位相数が最も少ない位相変調(以下、最小位相変調という)を用いて位相変調を施されたキャリア同期補助信号が等時間間隔に分散するように、時分割多重された当該通信フレームを受信する復調装置であって、
前記通信フレーム内の予め定めた信号期間の周波数誤差を検出して周波数ずれの補正を行う周波数補正手段と、
前記通信フレーム内の予め定めた信号期間の推定誤差を検出して波形等化を行う波形等化手段と、
前記通信フレーム内の予め定めた信号期間の位相誤差を検出して位相ずれの補正を行う位相補正手段と、
前記波形等化手段で波形等化処理を行ったあとの信号を入力し、遅延検波を用いて前記通信フレームの同期信号を検出することでフレーム先頭位置を検出するフレーム同期検出手段と、
前記フレーム同期検出手段で検出した前記フレーム先頭位置に基づいて、前記キャリア同期補助信号の期間を検出し、当該キャリア同期補助信号期間を与えるタイミング信号を生成するタイミング生成手段とを備え、
前記周波数補正手段における周波数誤差検出は、前記波形等化手段で波形等化処理を行ったあとの信号から行い、
前記周波数補正手段、波形等化手段および前記位相補正手段は、前記タイミング信号が与える前記キャリア同期補助信号において、前記最小位相変調に従った補正動作および波形等化の動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うことを特徴とする。
上記のように、第1の発明によれば、反射を有する伝送路からの時分割多重した位相変調信号を入力しても、受信性能を良好にするとともに、周波数補正の誤動作を無くして、安定に位相同期をとることが出来る。
【0047】
第2の発明は、第1の発明において、前記波形等化手段で波形等化処理を行ったあとの信号を入力し、周波数引き込み状態を検出して、擬似同期が発生する周波数か否かを判断する周波数引き込み検出手段と、
前記周波数引き込み検出手段の判断の結果、疑似同期に陥ることがない周波数にまで周波数補正が完了した場合は、前記位相補正手段を初期化する位相補正リセット手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0048】
上記のように、第2の発明によれば、第1の発明において、周波数引き込み検出手段を設け、周波数補正手段において位相補正手段が疑似同期しない周波数まで周波数補正が行われてから、位相補正手段を初期化して再動作させる。これにより、周波数補正手段による周波数引き込み過程等において、位相補正手段における疑似同期の回避が可能になる。
【0049】
また、周波数引き込み検出手段および周波数補正手段の周波数誤差検出を前記波形等化手段で波形等化処理を行ったあとの信号によって行うことにより、反射による、周波数補正手段および周波数引き込み手段の誤動作を回避することが可能になる。
【0050】
第3の発明は、第1の発明および第2の発明において、前記位相補正手段の出力信号を入力し、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するC/N検出手段と、
前記C/N検出手段の検出結果、および前記タイミング信号に基づき、予め定めたしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を生成し、それ以外の場合は、前記キャリア同期補助信号期間を与えるゲート信号を生成するゲート信号生成手段とをさらに備え、
前記波形等化手段は、前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うことを特徴とする。
【0051】
上記のように、第3の発明によれば、第1の発明および第2の発明において、最小位相変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/Nが予め定めたレベルである場合、通信フレームの主信号期間に対しても波形等化の動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行う。これにより、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
【0052】
第4の発明は、第1の発明および第2の発明において、前記位相補正手段の出力信号を入力し、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するC/N検出手段と、
前記フレーム同期信号に含まれる伝送制御信号(TMCC信号)の誤り訂正処理後の訂正状態を検出する誤り訂正検出手段と、
前記通信フレームにおいて、前記キャリア同期補助信号以外の各位相変調信号の期間を与える信号を出力する信号期間付与手段と、
前記C/N検出手段および前記誤り訂正検出手段の検出結果、並びに前記信号期間付与手段が出力する信号と前記タイミング信号に基づき、
誤り訂正が完了した場合であって、
予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記最小位相変調が施されている信号の期間を与えるゲート信号を、
それ以外の場合は、前記最小位相変調期間および予め定めた変調信号期間を与えるゲート信号を生成し、
誤り訂正が完了した場合以外は、前記キャリア同期補助信号を与えるゲート信号を生成するゲート信号生成手段とをさらに備え、
前記波形等化手段は、前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うことを特徴とする。
【0053】
上記のように、第4の発明によれば、第1の発明および第2の発明において、最小位相変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/N状態に従って、キャリア同期補助信号期間以外の主信号の変調期間においても波形等化(すなわち波形等化手段の係数更新)を行う。これにより、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
【0054】
第5の発明は、第1の発明および第2の発明において、前記位相補正手段の出力信号を入力し、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するC/N検出手段と、
前記フレーム同期信号に含まれる伝送制御信号(TMCC信号)の誤り訂正処理後の訂正状態を検出する誤り訂正検出手段と、
前記通信フレームにおいて、前記キャリア同期補助信号以外の各位相変調信号の期間を与える信号を出力する信号期間付与手段と、
前記C/N検出手段および前記誤り訂正検出手段の検出結果、並びに前記信号期間付与手段が出力する信号と前記タイミング信号に基づき、
誤り訂正が完了した場合であって、
予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記最小位相変調が施されている信号の期間を与えるゲート信号を、
それ以外の場合は、前記最小位相変調期間および予め定めた変調信号期間を与えるゲート信号を生成し、
誤り訂正が完了していない場合であって、
予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
それ以外の場合は、前記キャリア同期補助信号を与えるゲート信号を生成するゲート信号生成手段とをさらに備え、
前記波形等化手段は、前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うことを特徴とする。
【0055】
上記のように、第5の発明によれば、第1の発明および第2の発明において、最小位相変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、最小位相変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/N状態に従って、キャリア同期補助信号期間以外の主信号の変調期間においても波形等化(すなわち波形等化手段の係数更新)を行う。これにより、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
【0056】
第6の発明は、複数の位相変調信号と共に、通信フレーム内において位相数が最も少ない位相変調(以下、最小位相変調という)を用いて位相変調を施されたキャリア同期補助信号が等時間間隔に分散するように、時分割多重された当該通信フレームの復調方法であって、
前記通信フレームの同期信号を検出することでフレーム先頭位置を検出するステップと、
検出した前記フレーム先頭位置に基づいて、前記キャリア同期補助信号の期間を検出し、当該キャリア同期補助信号期間を与えるタイミング信号を生成するステップと、
前記タイミング信号が与える前記キャリア同期補助信号において、前記最小位相変調に従った周波数の補正動作、位相の補正動作、および波形等化の動作を行うステップとを備えることを特徴とする。
上記のように、第6の発明によれば、反射を有する伝送路からの時分割多重した位相変調信号を入力しても、受信性能を良好にするとともに、周波数補正の誤動作を無くして、安定に位相同期をとることが出来る。
【0057】
第7の発明は、第6の発明において、周波数引き込み状態を検出して擬似同期に落ちる周波数か否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおける判断の結果、疑似同期に陥らない周波数である場合は、位相補正動作を初期化するステップとをさらに備えることを特徴とする。上記のように、第7の発明によれば、第6の発明において、周波数引き込み判定をして、位相補正手段が疑似同期しない周波数まで周波数補正が行われてから、位相補正動作を初期化して再動作させる。これにより、周波数補正手段による周波数引き込み過程等において、位相補正手段における疑似同期の回避が可能になる。
【0058】
また、周波数引き込み検出手段および周波数補正手段の周波数誤差検出を波形等化手段の出力信号より行うことにより、反射による、周波数補正手段および周波数引き込み手段の誤動作を回避することが可能になる。
【0059】
第8の発明は、第6の発明および第7の発明において、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するステップと、
前記キャリア同期補助信号期間における位相同期の状態とC/Nの状態、および前記タイミング信号に基づき、予め定めたしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を生成し、それ以外の場合は、前記キャリア同期補助信号期間を与えるゲート信号を生成するステップと、
前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化の動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0060】
上記のように、第8の発明によれば、第6の発明および第7の発明において、最小位相変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/Nが予め定めたレベルである場合、通信フレームの主信号期間に対しても最大位相変調がされているとみなして波形等化の動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行う。これにより、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
【0061】
第9の発明は、第6の発明および第7の発明において、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するステップと、
前記フレーム同期信号に含まれる伝送制御信号(TMCC信号)の誤り訂正処理の訂正状態を検出するステップと、
前記通信フレームにおいて、前記キャリア同期補助信号期間以外の各位相変調信号の期間を与える信号を出力するステップと、
前記キャリア同期補助信号期間におけるC/Nの状態、前記TMCC信号期間における誤り訂正の状態、前記出力するステップが出力する信号および前記タイミング信号に基づき、
誤り訂正が完了した場合であって、
予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記最小位相変調が施されている信号の期間を与えるゲート信号を、
それ以外の場合は、前記最小位相変調期間および予め定めた変調信号期間を与えるゲート信号を生成し、
誤り訂正が完了した場合以外は、前記キャリア同期補助信号期間を与えるゲート信号を生成するステップと、
前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0062】
上記のように、第9の発明によれば、第6の発明および第7の発明において、最小位相変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/N状態に従って、キャリア同期補助信号期間以外の主信号の変調期間においても波形等化(すなわち波形等化手段の係数更新)を行う。これにより、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
【0063】
第10の発明は、第6の発明および第7の発明において、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するステップと、
前記フレーム同期信号に含まれる伝送制御信号(TMCC信号)の誤り訂正処理後の訂正状態を検出するステップと、
前記通信フレームにおいて、前記キャリア同期補助信号期間以外の各位相変調信号の期間を与える信号を出力するステップと、
前記キャリア同期補助信号期間における位相同期の状態とC/Nの状態、前記TMCC信号期間における誤り訂正の状態、前記出力するステップが出力する信号および前記タイミング信号に基づき、
誤り訂正が完了した場合であって、
予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記最小位相変調が施されている信号の期間を与えるゲート信号を、
それ以外の場合は、前記最小位相変調期間および予め定めた変調信号期間を与えるゲート信号を生成し、
誤り訂正が完了していない場合であって、
予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記キャリア同期補助信号を与えるゲート信号を生成するステップと、
前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0064】
上記のように、第10の発明によれば、第6の発明および第7の発明において、最小位相変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/N状態に従って、キャリア同期補助信号期間以外の主信号の変調期間においても波形等化(すなわち波形等化手段の係数更新)を行う。これにより、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
本発明は、時分割多重される位相変調信号を復調する復調装置であり、パケット内に分散配置されたキャリヤ同期補助信号を含むBPSKを用いて、波形等化部を動作させ、反射を有する時分割多重した位相変調信号を入力しても、受信性能を良好にするとともに、周波数補正の誤動作を無くして、安定なキャリア同期を可能とする復調装置である。
【0066】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図35を用いて説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態が基本となる復調装置であり、第2の実施形態は、第1の実施形態に対しさらに擬似同期の回避を可能にした復調装置、第3〜第5の実施形態は、第1の実施形態に対しさらに波形等化性能を改善した復調装置である。
【0067】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図1において、第1の実施形態に係る復調装置は、直交検波部11と、周波数補正部12と、帯域制限フィルタ13と、波形等化部14と、位相補正部15と、フレーム同期検出部16と、タイミング生成部17と、第1の誤り訂正部32と、第2の誤り訂正部33と、ビデオデコーダ34と、TMCCデコーダ35と、BER測定部31とを備える。
【0068】
また、周波数補正部12は、周波数誤差検出部12aと、ループフィルタ12bと、数値制御発振部12cと、複素乗算部12dとを備える。波形等化部14は波形等化フィルタ14aと、波形等化制御部14bとを備える。位相補正部15は、位相誤差検出部15aと、ループフィルタ15bと、数値制御発振部15cと、複素乗算部15dとを備える。
【0069】
なお、図1において、太線かつ“/2”で示している信号線は、複素表現される信号の信号線を示している(以下、各図面において同様とする)。
【0070】
まず、第1の実施形態に係る復調装置の概略を説明する。直交検波部11は、入力する通信フレーム内の各PSK変調信号を固定周波数の局部発振信号を用いて直交検波し、同相成分(I),直交成分(Q)の等化低域信号を出力する。周波数補正部12は、直交検波部11が出力する信号を入力し、衛星アンテナにおける周波数変換器(図示せず)等の周波数ずれに起因する周波数ずれを、周波数誤差検出部12aから受ける周波数誤差信号に基づいて補正する。
【0071】
この周波数補正部12の各構成について簡単に説明する。周波数誤差検出部12aは、波形等化部14が出力する信号を入力し、遅延検波を行って周波数誤差を検出する。ループフィルタ12bは、タイミング生成部17からの出力信号に従って、周波数誤差検出部12aが検出した周波数誤差のうちBPSK期間における周波数誤差の平均化を行う。数値制御発振部12cは、ループフィルタ12bが出力する平均化信号に対し、数値演算を行い発振信号を出力する。複素乗算部12dは、直交検波部11が出力する信号と数値制御発振部12cが出力する信号とを複素乗算して周波数誤差を打ち消す。
帯域制限フィルタ13は、周波数補正部12が出力する信号を入力し、各PSK信号のスペクトル整形を行う。
位相補正部15は、帯域制限フィルタ13が出力する信号を入力し、その位相ずれを位相誤差検出部15aから受ける位相誤差信号に基づいて補正する。
この位相補正部15の各構成について簡単に説明する。位相誤差検出部15aは、帯域制限フィルタ13が出力する信号を複素乗算部15aと波形等化部14とを介して入力し、予め定めた基準位相に対する位相差を検出する。ループフィルタ15bは、タイミング生成部17からの出力信号に従って、位相誤差検出部15aが検出した位相誤差のうちBPSK期間における位相誤差の平均化を行う。数値制御発振部15cは、ループフィルタ15bが出力する平均化信号に対し、数値演算を行い発振信号を出力する。複素乗算部15dは、帯域制限フィルタ13が出力する信号と数値制御発振部15cが出力する信号とを複素乗算して位相誤差を打ち消す。
波形等価部14は、複素乗算部15dが出力する信号を入力し、受信機にいたる伝送路で発生する反射波を、タイミング生成部17から受けるタイミング信号に基づいて推定してそれを除去する。
この波形等価部14の各構成について簡単に説明する。波形等化部14は波形等化フィルタ14aと波形等化制御手段14bとで構成される。波形等化制御部14bは、波形等化フィルタ14aの出力を入力し、それを判定した結果を所望信号とし、さらにタイミング生成部17からの出力信号に従って、BPSK期間におけるその所望信号と波形等化フィルタ14aの出力との平均自乗誤差が最小になるように制御(Least Mean Square(LMS)制御:最小平均自乗制御)され、波形等化フィルタ14aにおけるタップ係数が算出される。波形等化フィルタ14aは、複素FIRフィルタで構成され、入力信号と波形等化制御部14bから出力されるタップ係数とを複素乗算することによって、反射波を除去する。
フレーム同期検出部16は、波形等化部14が出力する信号を入力し、遅延検波によってBPSK変調されたフレーム同期信号、すなわち通信フレームの先頭を検出する。タイミング生成部17は、フレーム同期検出部16で検出されたフレーム先頭の情報に基づいて、1通信フレーム内のフレーム同期信号/TMCC信号の期間およびキャリア同期補助信号の期間を検出し、その期間に応じたタイミング信号を生成する。
第1の誤り訂正部32は、波形等化部14から出力される信号を入力し、変調装置において高階層パケット群および低階層パケット群に個別に誤り訂正符号化された主信号を、パケット単位で誤り訂正を施し、また時分割多重伝送のために時間軸上で並び替えたパケットの順番を元に戻す作業を行う。この出力は、ビデオデコーダ34へ出力される。第2の誤り訂正部33は、波形等化部14から出力される信号を入力し、変調装置において誤り訂正符号化されたTMCC信号の誤り訂正を施す。
この出力は、TMCCデコーダ35に出力される。TMCCデコーダ35は、フレーム内の各階層の区切りと各階層の変調モードを表すTMCC情報を検出する。BER測定部31は、誤り訂正符号化の一種であるトレリス符号化が施されいる復調した8PSK信号に対し、トレリス復号を行って得た信号に再度トレリス符号化を施して、復調した8PSK信号と比較することにより高階層信号のBERをモニタする。その結果、高階層の復号映像の品質が許容値を下回ったと判断された場合には、BER測定部31は、伝送路の品質劣化に対して高耐性の低階層の映像信号を出力するようにビデオデコーダ34を制御する。
【0072】
次に、第1の実施形態に係る復調装置が行う動作を、処理の流れに沿って図2〜図14をさらに参照して詳細に説明する。
【0073】
図2は、第1の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャートである。図3は、フレーム同期検出部16が検出する信号およびタイミング生成部17が生成するタイミング信号を示す図である。図4は、フレーム同期検出部16の構成を示すブロック図である。図5は、フレーム同期検出部16における位相識別を説明する図である。
【0074】
図6は、周波数補正部12のさらに詳細な構成を示すブロック図である。図7は、周波数補正部12における周波数誤差検出を説明する図である。図8、9は、波形等化部14のさらに詳細な構成を示すブロック図である。図10は、波形等化部14における誤差信号検出を説明する図である。図11は波形等化制御部14bにおける複素積分部の詳細構成を示すブロック図である。図12は反射波の発生する要因を説明する図である。図13は、位相補正部のさらに詳細な構成を示すブロック図である。図14は、位相補正部の位相誤差検出を説明する図である。
【0075】
図2を参照して、復調装置は、チューナ(図示せず)を介して直交検波部11に入力される信号に対し、まずフレーム同期検出部16においてフレーム同期信号の検出を行う(ステップS101)。この検出により、図3(a)に示すように、通信フレームの先頭、すなわちフレーム同期信号/TMCC信号の先頭を検出することができる。
【0076】
ここで、このようなフレーム先頭の検出を実現するフレーム同期検出部16としては、図4に示すような構成となる。
図4は、フレーム同期検出部16の構成を示すブロック図である。図4において、フレーム同期検出部16は、遅延検波部16aと、位相識別部16bと、照合部16cとを備える。
【0077】
遅延検波部16aは、波形等化部14からの信号を入力し、現在の位相変調信号と1シンボル前の位相変調信号の複素共役信号との複素乗算を行う。位相識別部16bは、遅延検波部16aが出力する信号の位相を識別してデータを復号する。ここで、位相識別部16bは、検出対象であるフレーム同期信号がBPSK変調信号であるため、図5に示すように、遅延検波部16aの出力信号の位相が−90度以上90度以下(A領域)にある場合は「0」を出力し、90度以上180度以下若しくは−180度以上−90度以下(B領域)にある場合は「1」を出力するように動作する。照合部16cは、位相識別部16bが出力する信号と予め定まっているフレーム同期信号との照合を行い、フレームの先頭位置を検出する。ここで、照合部16cにおいて参照する基準信号は、フレーム同期信号を差動復号したものになる。
【0078】
なお、上記のフレーム同期検出部16は、遅延検波を用いているため、キャリア再生がされていなくてもフレーム同期信号を検出することができ、その設置位置としては、周波数補正部12以降であれば、周波数補正部12の出力、帯域制限フィルタ13の出力、波形等化部14の出力、または位相補正部15の出力であれば、特に制限するものではない。しかし、反射波により遅延検波後の符号点が本来の符号点から大きくずれると、位相識別部16bの出力に誤りが生じることになり、フレーム同期検出が出来ないことが生じるため、波形等化部14以降に設置することが望ましい。また、周波数補正部12においても遅延検波を用いているので、フレーム同期検出部16における遅延検波部16aを周波数補正部12の遅延検波部と共用化することにより、回路規模の削減が可能になる。
【0079】
再び図2を参照して、フレーム同期検出部16が検出したフレーム先頭信号は、タイミング生成部17に入力される。タイミング生成部17は、フレーム同期検出部16で検出されたフレーム先頭信号に基づいて、1通信フレーム内のフレーム同期信号/TMCC信号の期間およびキャリア同期補助信号の期間を検出し、図3(b)に示すような当該期間に応じたBPSKタイミング信号を生成する(ステップS102)。
【0080】
なお、図3(c)に示すようなキャリア同期補助信号の期間のみに応じたBPSKタイミング信号であっても、本発明の有用な効果を奏することはもちろん可能である。
【0081】
そして、タイミング生成部17は、生成したBPSKタイミング信号(図3(b)または図3(c))を、周波数補正部12のループフィルタ12b、波形等化部14の波形等化制御部14b、および位相補正部15のループフィルタ15bへそれぞれ出力する(図1を参照)。
【0082】
次に、図6を参照して、周波数補正部12の動作を説明する。
図6において、周波数補正部12は、遅延検波部12a1と位相誤差検出部12a2とで構成される周波数誤差検出部12aと、切替部12b1と定数発生部12b2と加算器12b3と遅延部12b4とで構成されるループフィルタ12bと、加算器12c1と遅延部12c2とコサイン波発生部12c3とサイン波発生部12c4とで構成される数値制御発振部12cと、複素乗算部12dとを備える。
直交検波部11が出力する信号は、複素乗算部12d、帯域制限フィルタ13、複素乗算部15d、および波形等化部14を介して、周波数誤差検出部12aの遅延検波部12a1に入力される。遅延検波部12a1は、現在のn相PSK変調信号(n=21 ,22 ,23 …、以下同じ)と、その1シンボル前のn相PSK変調信号の複素共役信号との複素乗算を行い、遅延検波信号を出力する。
【0083】
この遅延検波出力の算出式は、式6に示すことができる。
【0084】
【数6】
Figure 0004300651
【0085】
ところで、この遅延検波部12aへの入力は波形等化部14の出力であるため、反射波の有する信号を受信しても波形等化部14が反射波を除去しているので、遅延検波部12aの出力の符号配置は、図7に示すように0を中心とした円周上に存在し、それぞれの符号点は1点に集中している(図7では、BPSKにおける遅延検波信号の符号配置を示している)。
【0086】
そこで、位相誤差検出部12a2では、このような遅延検波部12a1の出力信号から、周波数ずれが無い場合の●印を受信側の基準として、周波数ずれのある場合の遅延検波部12aの出力×印との位相差を周波数誤差として検出する。なお、直交座標系で処理しているので、位相差を検出するには本来arctan(y/x)により算出することになるが、簡略化して周波数誤差と比例する量として、BPSKの場合、遅延検波信号のうち直交成分の誤差Δyを周波数誤差として出力してもよい。
【0087】
この周波数誤差検出部12aで検出した周波数誤差は、ループフィルタ12bに入力され、周波数誤差の平均化がなされる。ここで、ループフィルタ12bは、1通信フレーム内のBPSK変調がされているフレーム同期信号/TMCC信号の期間およびキャリア同期補助信号の期間のみに得られる周波数誤差に関して平均化を行うため、タイミング生成部17が出力するタイミング信号を用いて切替部12b1の切換えを行う。この切替部12b1は、タイミング信号のBPSK変調信号の期間(図3(b)または(c)においてHiレベル期間)に周波数誤差検出部12aが出力する周波数誤差をループフィルタに入力し、それ以外の期間には、定数発生部12b2が発生する「定数0」をループフィルタに入力するように切替えを行う。
【0088】
そして、ループフィルタ12bの出力信号により制御された数値演算発振部(NCO)12cの出力信号により、複素乗算部12dで周波数誤差が打ち消される。これにより、周波数誤差が補正される(ステップS103)。
【0089】
上記のように、周波数誤差検出部12aの入力信号を、反射波が除去されている波形等化部14の出力信号とすることにより、反射波により遅延検波後の符号点が本来の符号点から大きくずれて(図41参照)、周波数誤差検出部12aので検出された周波数誤差が本来の周波数誤差と異なることに起因する、周波数補正部12の誤動作を防ぐことが可能になる。
【0090】
次に、図8,9を参照して、波形等化部14の動作を説明する。
【0091】
波形等化部14は波形等化フィルタ14aと波形等化制御部14bとから構成される。図8は波形等化フィルタ14a、図9は波形等化制御部14bの構成を示したブロック図である。
【0092】
図8において、波形等化フィルタ14aは、1シンボル遅延部14a1、14a2、14a3、14a4、14a5、14a6、14a7と、複素乗算部14a8、14a9、14a10、14a11、14a12、14a13、14a14、14a15と、複素加算部14a16とを備える。
【0093】
図9において、波形等化制御部14bは、シンボル判定部14b1と、複素減算部14b2と、誤差評価部14b3と、切り替え部14b4と、ゲイン設定部14b5と、ゲート信号入力端子14b6と、フィルタ係数更新部14b7とを備える。
【0094】
波形等化フィルタ14aは複素FIRフィルタであり、1シンボルずつ遅延量が異なる複素乗算部15dの出力信号とそれぞれのフィルタ係数(C0からC7)とを複素乗算して得た信号を複素加算することにより、反射波を除去するものである。C0からC7までのタップ係数は、波形等化制御部14bで反射を有する伝送路の伝達関数の逆特性になるように算出され、反射が除去される。
以下にフィルタ係数を算出する波形等化制御部14bの動作を説明する。
nサンプル目のnPSKの送信シンボルx(n)に反射波が重畳した信号を入力信号u(n)とし、波形等化フィルタ入力端子に入力される。入力信号u(n)はCk(n)を係数とする複素FIRフィルタに入力され波形等化され、出力信号としてy(n)を得る。y(n)を式で表すと式7で表される。
【0095】
【数7】
Figure 0004300651
【0096】
波形等化された信号y(n)は、波形等化制御部14bにおける判定部14b1に入力され、y(n)に最も近い送信シンボル点を判定して、判定信号d(n)を出力する。LMS制御では、波形等化された信号y(n)を送信シンボルx(n)に近づけるため、この判定信号d(n)を所望信号とみなして、波形等化フィルタ14aの出力y(n)と判定信号d(n)との推定誤差e(n)を最小にするようにフィルタ係数Ck(n)を更新する。推定誤差e(n)を式で表すと式8に示すようになり、
【0097】
【数8】
Figure 0004300651
【0098】
判定部14b1の出力であるd(n)と、波形等化フィルタ14aの出力であるy(n)とが複素減算部14b2に入力されて検出される。
【0099】
図10はBPSKの推定誤差e(n)の検出動作を示したものであり、波形等化フィルタ14aから出力された受信信号y(n)が×印であった場合、判定部14b1は○、◎印で示した送信されたBPSKのシンボルの内、近い方のシンボル点(○印)を判定し、判定信号d(n)(○印のシンボル点を表す信号)を出力する。複素減算部14b2は、受信信号と判定信号との誤差(Ei(n)+jEq(n)=e(n))を検出する。
【0100】
この推定誤差e(n)の評価量として、平均自乗誤差(MSE:Mean Square Error)を用られ、これを式で表すと、式9に示すようになる。
【0101】
【数9】
Figure 0004300651
【0102】
この式9より、平均自乗誤差(MSE)はフィルタ係数Ck(n)の2次関数となり、最小値がただ一つ存在する。このMSEの最小値を与えるCk(n)が最適なフィルタ係数となる。LMS制御は推定誤差e(n)の自乗値のCk(n)に対する勾配を求め、その勾配の逆方向に微量ずつフィルタ係数Ckを更新する。勾配gk(n)は推定誤差e(n)の自乗をCk(n)で偏微分することによって求められ、式10で表される。
【0103】
【数10】
Figure 0004300651
【0104】
これにより、LMS制御によるフィルタ係数Ck(n)の更新式は式11で表される。
【0105】
【数11】
Figure 0004300651
【0106】
波形等化制御部14bはこの式11に基づいて動作することになる。複素減算部14b2の出力は、誤差評価部14b3と、切り替え部14b4に入力される。誤差評価部14b3は、複素減算部14b2の出力である推定誤差e(n)が信頼できるものか判断するもので、誤差評価関数に基づいて切り替え部14b4を制御して、信頼のできる推定誤差のみ出力する。この誤差評価部14b3と、切り替え部14b4により波形等化の収束特性が改善できる。
【0107】
切り替え部14b4の出力信号はゲイン設定部14b5でステップサイズvが乗算された後、フィルタ係数更新部14b7に入力される。フィルタ係数更新部14b7は、1通信フレーム内のBPSK変調がされているフレーム同期信号/TMCC信号の期間およびキャリア同期補助信号期間において、式11に基づいてフィルタ係数Ckを更新する。フィルタ係数更新部14b7では、複素乗算部14b10から14b17は、ゲイン設定部14b7から出力される推定誤差e(n)と、複素共役化部14b20から14b27で複素共役化を行った1シンボルずつ遅延量が異なる複素乗算部15dの出力信号のそれぞれとを入力として、複素乗算を行う。
【0108】
積分部14b30から14b37は、複素乗算部14b10から14b17のそれぞれの出力信号を入力として、ゲート信号入力端子14b6から入力されるタイミング生成部17の出力信号に基づいて、BPSK期間の複素乗算部14b10から14b17のそれぞれの出力信号を積分する。
図11は積分部14b30から14b37の具体的な構成を表した図であり、切り替え部141と、定数発生部142と、複素加算部143と、遅延部144とを備える。この切替え部141の制御は、タイミング信号のBPSK変調信号の期間(図3(b)または(c)においてHiレベル期間)に、複素乗算部14b10から14b17のそれぞれの出力信号を複素加算部143と、遅延部144とで構成される積分部に入力するように行う。切り替え部141はタイミング生成部17の出力がHiのとき(BPSKの期間)は、複素乗算部14b10から14b17のそれぞれの出力信号を、複素加算部143に出力し、Loの時は定数「0+j0」を複素加算部143に出力することで、BPSKの期間のみのフィルタ係数Ckの係数更新を行っている。
【0109】
波形等化フィルタ14aは、このように選られたC0からC7までのフィルタ係数を入力し、1シンボルずつ遅延が異なる複素乗算器15dの出力信号のそれぞれとを複素乗算して得た信号を複素加算することにより、反射波を除去する(S103)。
【0110】
さて、波形等化手段の能力としては、直接波に対する反射波の大きさ及び遅延時間に対してどれだけ反射波の除去が可能かという点である。反射波の大きさに対しては、前記誤差評価部における誤差評価関数によって決まり、遅延時間に対しては波形等化フィルタを構成するタップ数によって決まる。特に、タップ数に関しては、多くなればそれだけ複素乗算器が増えることになり回路規模の増大を招くことになるため、適切なタップ数を見積もる必要がある。本来衛星放送は地上放送とは異なり、信号の反射が起こらない伝送システムであるため、反射妨害については各家庭の衛星放送受信設備としてある、マンション等の共同受信システムや、家庭内の信号分配設備から発生するもののみを考慮すればよい。そこで、各家庭の衛星放送受信設備の基本構成を考慮すると図12のようになり、1GHz帯の分配器とケーブルで構成されると考えられる。
【0111】
図12において、衛星放送用アンテナからのBS−IF信号は分配器入力端子601に入力されて、分配器602により受信機A603、受信機B604、にそれぞれ分配される。反射波の発生の様子としては、たとえば受信機A603が接続されていない場合、発生した反射波はケーブルA605及び、分配器601を経て、受信機B604に入力される。ケーブルの長さによる反射波影響としては、ケーブルの長さが長くなるほど遅延時間が大きくなる一方、ケーブルにおける減衰量が大きくなるため反射波の電力は小さくなる。
【0112】
このケーブルについては、「衛星放送受信機(その1 目標定格)」(財団法人 電波技術協会発行)によると、同軸ケーブル(TVEFCX)を用い、その減衰量としては4dB/10mから5dB/10mである。また、分配器に関しては一般に市販されているものは、端子間結合損失は13dBから20dBとされている。図12に示した衛星放送受信設備の基本構成において、前記のケーブル並びに分配器の性能より波形等化が必要な反射波の遅延時間を式12により見積もることができる。
【0113】
【数12】
Figure 0004300651
【0114】
この式12において、分配器の端子間結合損失Yを13dB、波形等化手段がないときの復調装置の動作限界DU比Zを19dB、1m当たりのケーブルの減衰量aを0.4dBとすると、波形等化すべき反射波の遅延時間Xは75n秒となる。また、波形等化フィルタは変調シンボル周期で動作すると、変調シンボルレートを20Mシンボル/秒とすればその動作周期は50n秒となり、75n秒の遅延時間を有する反射波の補償には前反射及び後反射のそれぞれに対して2タップ必要で、合計4タップの波形等化フィルタが最低必要になる。実際の各家庭における衛星放送受信設備の構成はもっと複雑であり、またケーブルも減衰量が少ないものがあると考えられるため、これより十分余裕を見て波形等化フィルタのタップ数を決定しなければならないのは言うまでもない。
【0115】
次に、図13を参照して、位相補正部15の動作を説明する。
図13において、位相補正部15は、位相誤差検出部15aと、切替部15b1と定数発生部15b2と加算器15b3,15b5と遅延部15b4と保持部15b6と増幅器15b7とで構成されるループフィルタ15bと、加算器15c1と遅延部15c2とコサイン波発生部15c3とサイン波発生部15c4とで構成される数値制御発振部15cと、複素乗算部15dとを備える。
【0116】
位相補正部15の動作初期の時点では、帯域制限フィルタ13の出力信号は、周波数補正部12で周波数誤差の大部分は打ち消されたものの、数値制御発振部15cの出力信号とは位相が異なっているため、複素乗算部15dの出力は位相誤差および小さな周波数誤差を含んでいる。位相誤差を含んだ複素乗算部15dの出力は、波形等化フィルタ14aを介して、位相誤差検出部15aに入力される。位相誤差検出部15aにおける位相誤差検出は、図14に示すように、○印で示した受信側の基準位相に対し、位相ずれΔΦがある受信信号×印との位相差を検出する。なお、直交座標系(I,Q平面)で処理しているので、位相誤差を検出するには本来arctan(Q/I)により算出することになるが、簡略化して位相誤差と比例する量として、BPSKの場合、直交成分の誤差ΔQを位相誤差として出力してもよい。
【0117】
位相誤差検出部15aで検出した位相誤差は、ループフィルタ15bに入力され、位相誤差信号の平均化がなされる。ループフィルタ15bは、増幅部15b7を介して加算器15b5に入る直接系と、加算器15b3および遅延部15b4を介して入る積分系からなり、直接系は位相誤差の補正のため用い、積分系は周波数補正部12で取り除けなかった小さい周波数ずれを補正するために用いる。増幅器15b7は、直接系と積分系の利得配分を決定する。
【0118】
ここで、ループフィルタ15bは、1通信フレーム内のBPSK変調がされているフレーム同期信号/TMCC信号の期間およびキャリア同期補助信号の期間のみに得られる位相誤差に関して平均化を行うため、タイミング生成部17が出力するタイミング信号を用いて切替部15b1の切換えおよび保持部15b6の制御を行う。この切替えおよび制御は、タイミング信号のBPSK変調信号の期間(図3(b)または(c)においてHiレベル期間)に、位相誤差検出部15aが出力する位相誤差をループフィルタに入力するように行う。
【0119】
ループフィルタの積分系においては、BPSK変調信号期間は、位相誤差検出部15aの出力信号を加算器15b3に入力し、それ以外の期間には、定数発生部15b2が発生する「定数0」を入力するように切替部15b1を切替える。また、ループフィルタの直接系においては、BPSK変調信号期間は、位相誤差検出部15aの出力信号を増幅器15b7を介して加算器15b5に出力し、それ以外の期間には、以前のBPSK変調信号期間の位相誤差検出部15aの出力信号を保持して加算器15b5に出力するように保持部15b6を制御する。
【0120】
そして、ループフィルタ15bの出力信号は、数値演算発振部(NCO)15cを制御して得られる発振信号により、複素乗算器15dで位相誤差が打ち消される。これにより、位相誤差が補正される(ステップS103)。その後、通常の復調処理に移行する(ステップS104)。
【0121】
なお、波形等化部14の波形等化フィルタ14aは8タップのFIRフィルタを用いているが、タップ数、フィルタ形式を特に制限しているものではなく、IIRフィルタ用いても同様の効果が得られる。
【0122】
また、本発明の第1の実施の形態では、波形等化部14を、位相補正部15のループ内に構成する形態で説明したが、これは本発明の効果を得ることに対して特に制限する必要がなく、周波数補正部12における周波数誤差検出を波形等化処理を行った後の信号で行うようにする、つまり周波数補正部12における周波数誤差検出部12aを波形等化部14以降に設置すれば、波形等化部14を位相補正部15の前段、若しくは後段にループを分離して設置しても、同様の効果が得られる。
また、直交検波部11における局部発振信号の周波数を周波数補正部12のループフィルタ12cの出力信号によって可変できるようにし、上記構成の周波数補正部12の複素乗算部12dの変わりに、直交検波部11により、周波数誤差を補正しても同様の効果が得られる。
【0123】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る復調装置によれば、周波数補正部における周波数誤差検出を波形等化部の出力信号から行い、時分割多重される位相変調信号のうち、パケット内に分散配置されたキャリヤ同期補助信号を含むBPSKを用いて少なくとも波形等化部と、周波数補正とを同時に動作させることにより、受信機へ伝送する経路で反射波が発生しても、周波数補正部が誤動作することを防ぐことが出来るとともに、良好な受信特性が得られることが出来る。
【0124】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る復調装置は、上記第1の実施形態に係る復調装置において、位相補正部15における疑似同期の回避を可能にするものである。
【0125】
以下、本発明の第2の実施形態に係る復調装置について説明する。
【0126】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図15において、第2の実施形態に係る復調装置は、直交検波部11と、周波数補正部12と、帯域制限フィルタ13と、波形等化部14と、位相補正部15Aと、フレーム同期検出部16、タイミング生成部17と、周波数引き込み検出部18と、第1の誤り訂正部32と、第2の誤り訂正部33と、ビデオデコーダ34と、TMCCデコーダ35と、BER測定部31とを備える。
【0127】
図16は、第2の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャートである。
【0128】
図15に示すように、第2の実施形態に係る復調装置は、上記第1の実施形態に係る復調装置に、周波数補正部12における周波数引き込み状態を検出する周波数引き込み検出部18をさらに加え、位相補正部15を位相補正部15Aに代えた構成である。
【0129】
なお、第2の実施形態に係る復調装置のその他の構成は、上記第1の実施形態に係る復調装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0130】
また、図16において図2と同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0131】
まず、図17を参照して、周波数引き込み検出部18の動作を説明する。
図17は、図15の周波数引き込み検出部18のさらに詳細な構成を示すブロック図である。図17において、周波数引き込み検出部18は、遅延検波部18a1と位相誤差検出部18a2とで構成される周波数誤差検出部18aと、切替部18bと、定数発生部18cと、加算器18d1と遅延部18d2と切替部18d3と定数発生部18d4とで構成される積分部18dと、タイミング発生部18eと、周波数引き込み判定部18fとを備える。
【0132】
波形等化部14が出力する信号は、遅延検波部18a1に入力される。遅延検波部18a1は、他の遅延検波部と同様、現在のn相PSK変調信号と、その1シンボル前のn相PSK変調信号の複素共役信号との複素乗算を行い、遅延検波出力を算出する。この遅延検波出力の算出式は、上記(数6)に示したとおりである。
【0133】
さて、この遅延検波部18a1への入力は波形等化部14の出力であるため、反射波の有する信号を受信しても波形等化部14が反射波を除去しているので、遅延検波部18a1の出力の符号配置は、図7に示すように0を中心とした円周上に存在し、それぞれの符号点は1点に集中している。
【0134】
そして、位相誤差検出部18a2は、上述したように、周波数ずれが無い場合の●印を受信側の基準として、周波数ずれのある場合の遅延検波部18a1の出力の×印との位相差を周波数誤差として検出する(図7を参照)。
【0135】
この周波数誤差検出部18aで検出した周波数誤差は、切替部18bを介して加算器18d1に入力され、ある一定期間毎に周波数誤差の平均化がなされる。ここで、1通信フレーム内のBPSK変調がされているフレーム同期信号/TMCC信号の期間およびキャリア同期補助信号の期間における周波数補正部12での周波数引き込み検出を行うため、タイミング生成部17が出力するタイミング信号(図3(b)または(c))を用いて切替部18bの切替えを行う。この切替部18bは、タイミング信号のBPSK変調信号の期間(図3(b)または(c)においてHiレベル期間)に周波数誤差検出部18aが出力する周波数誤差を積分部18dに入力し、それ以外の期間には、定数発生部18cが発生する「定数0」を積分部18dに入力するように切替えを行う。
【0136】
タイミング発生部18eは、一定周期のタイミングパルスを発生し、切替部18d3を制御する。積分部18dは、タイミング発生部18eが発生するタイミングパルスに従って、加算器18d1の入力を遅延部18d2のフィードバック出力または定数発生部18d4が発生する「定数0」のいずれかに切替えることで、一定期間毎の平均化した周波数誤差を出力する。周波数引き込み判定部18fは、積分部18dが出力する平均化周波数誤差を入力し、タイミング発生部18eがパルスを発生したとき、当該平均化周波数誤差が予め定めたしきい値を下回るか否かによって周波数引き込みを判定する(ステップS201)。
【0137】
そして、この判定の結果、平均化周波数誤差が予め定めたしきい値を下回った場合、周波数引き込み判定部18fは、周波数引き込みがされた、すなわち周波数補正部12が位相補正部15において疑似同期しない周波数まで周波数補正されたと判断し、そのときに位相補正部15を動作させるように、位相補正部15をリセットする信号を出力する。
【0138】
ここで、周波数引き込み判定部18fにおけるしきい値については、位相補正部15が疑似同期しない周波数まで周波数補正部12が周波数補正できたかどうかを判定できるように予め設定すればよい。なお、疑似同期となる周波数は、上記、式1に示したとおりである。
例えば、シンボル周波数が20Mbaud,周期が207シンボルである場合、図37に示すように疑似同期周波数があり、また、それぞれの擬似同期周波数を中心に位相補正部15の引き込み周波数範囲が存在するため、周波数引き込み判定部18fにおけるしきい値としては、下記、式13で表す周波数Δf以下に設定することが望ましい。
【0139】
【数13】
Figure 0004300651
【0140】
次に、図18を参照して、位相補正部15Aの動作を説明する。
図18は、位相補正部15Aのさらに詳細な構成の一例を示すブロック図である。図18に示すように、位相補正部15Aは、位相補正部15の構成に、ループフィルタ15bにおいて切替部15b8と定数発生部15b9とをさらに加えた構成である。
【0141】
なお、図18において、図13と同一の参照番号を付してある構成部分は、同一の動作を行う構成部分であるため、その説明を省略する。
【0142】
周波数引き込み判定部18fが出力するリセット信号は、ループフィルタ15bの保持部15b6および切替部15b8に入力される。保持部15b6は、リセット信号に基づいて、直接系における位相誤差信号を初期化する。切替部15b8は、リセット信号に基づいて、加算器15b3へのフィードバック信号を定数発生部15b9が出力する「定数0」に切り替えることで、積分系における位相誤差信号を初期化する。
【0143】
これにより、位相補正部15Aにおいて、リセット動作後にループフィルタ15bへ入力される位相誤差信号に対して、すなわち、疑似同期が発生しない周波数にまで周波数補正がなされた周波数補正部12の出力信号において、新たに位相補正が行われる(ステップS202)。その後、通常の復調処理に移行する(ステップS104)。
【0144】
なお、図19に示すように、数値制御発振部15cにおいても切替部15c5と定数発生部15c6とを設け、上記切替部15b8および定数発生部15b9と同様の動作を並行して行ってもよい。このように並行してリセット動作を行うことで、より確実に初期化を行うことができる。
【0145】
また、本発明の第2の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャート(図6)では、位相補正部15Aが擬似同期しない周波数にまで、周波数補正部12が周波数引き込みを完了した後、位相補正部15Aを動作させるようにしているが、位相補正部15Aを周波数補正部12および波形等化部14と同様にBPSKタイミング信号(図3(b)または(c))が得られた後動作させ、周波数補正部12が周波数引き込みを完了すれば、位相補正部12Aをリセットして再動作させるようにしても同様の効果が得られる。
【0146】
また、波形等化部14の波形等化フィルタ14aは8タップのFIRフィルタを用いているが、タップ数、フィルタ形式を特に制限しているものではなく、IIRフィルタ用いても同様の効果が得られる。
【0147】
また、本発明の第2の実施の形態では、波形等化部14を、位相補正部15Aのループ内に構成する形態で説明したが、これは本発明の効果を得ることに対して特に制限する必要がなく、周波数補正部12および周波数引き込み検出部18における周波数誤差検出を波形等化処理を行った後の信号で行うようにする、つまり周波数補正部12における周波数誤差検出部12a、および周波数引き込み検出部18を波形等化部14以降に設置すれば、波形等化部14を位相補正部15Aの前段、若しくは後段にループを分離して設置しても、同様の効果が得られる。
【0148】
また、周波数引き込み検出部18の周波数誤差検出部18aは、周波数補正部12の周波数誤差検出部12aと同様の機能を有しているので、双方の周波数誤差検出部を共用化することも可能である。共用化した場合、回路規模の削減を図ることができる。
【0149】
また、直交検波部11における局部発振信号の周波数を周波数補正部12のループフィルタ12bの出力信号によって可変できるようにし、上記構成の周波数補正部12の複素乗算部12dの変わりに、直交検波部11により、周波数誤差を補正しても同様の効果が得られる。
【0150】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る復調装置は、周波数引き込み検出部18を設け、周波数補正部正部12において位相補正部15Aが疑似同期しない周波数まで周波数補正が行われてから、位相補正部15Aを動作させることにより、周波数補正部32による周波数引き込み過程等において、位相補正部15Aにおける疑似同期の回避が可能になる。
【0151】
また、周波数引き込み検出部18および周波数補正部12の周波数誤差検出を波形等化部14の出力信号より行うことにより、反射による、周波数補正部12および周波数引き込み検出部18の誤動作を回避することが可能になる。
【0152】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施形態に係る復調装置は、上記第1の実施形態に係る復調装置において、波形等化性能を向上させるものである。
【0153】
ところで、変調装置から送信されてくる通信フレームは、図3に示したように、BPSK変調されるフレーム同期信号/TMCC信号およびキャリア同期補助信号が分散して存在する。復調装置において、このBPSK変調されるフレーム同期信号/TMCC信号およびキャリア同期補助信号の期間で波形等化の係数更新を行う場合では、主信号の期間を含む全ての期間で係数更新を行う場合と比較して、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)が悪くなる。
以下、上述した反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上する本発明の第3の実施形態に係る復調装置について説明する。図20は、本発明の第3の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図20において、第3の実施形態に係る復調装置は、直交検波部11と、周波数補正部12と、帯域制限フィルタ13と、波形等化部14Aと、位相補正部15と、フレーム同期検出部16、タイミング生成部17と、C/N検出部19と、ゲート信号選択部20と、波形等化モード切り替え部21と、誤り訂正検出部22と、第1の誤り訂正部32と、第2の誤り訂正部33と、ビデオデコーダ34と、TMCCデコーダ35と、BER測定部31とを備える。
【0154】
図21は、第3の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャートである。
図20に示すように、第3の実施形態に係る復調装置は、上記第1の実施形態に係る復調装置に、C/N検出部19と、ゲート信号選択部20と、波形等化モード切り替え部21と、誤り訂正検出部22と、をさらに加え、波形等化部14を波形等化部14Aに代えた構成である。
【0155】
なお、第3の実施形態に係る復調装置のその他の構成は、上記第1の実施形態に係る復調装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0156】
また、図21において図2と同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0157】
まず、図22を参照して、C/N検出部19の動作を説明する。
【0158】
図22は、C/N検出部19の構成を示すブロック図であり、位相誤差により等価的にC/Nを検出するものである。図22において、C/N検出部19は、位相誤差検出部19aと、絶対値化部19bと、切替部19cと、定数発生部19dと、加算器19e1と遅延部19e2と切替部19e3と定数発生部19e4とで構成される積分部19eと、タイミング発生部19fと、C/N高レベル判定部19gとを備える。
【0159】
チューナ(図示せず)を介して入力される信号は、上記第1の実施形態で述べたように周波数補正、波形等化および位相補正がされた後(ステップS103)、波形等化部14Aから位相誤差検出19aへ入力される。位相誤差検出部19aは、図14に示したように、位相ずれが無い場合の○印を受信側の基準として、位相ずれのある場合の×印との位相差を位相誤差ΔΦ[度]として検出する。位相誤差検出部19aで検出した位相誤差ΔΦは、絶対値化部19bにおいて正の値|ΔΦ|に変換される。そして、絶対値化部19bが出力する位相誤差|ΔΦ|は、切替部19cを介して加算器19e1に入力され、ある一定期間毎に位相誤差|ΔΦ|の平均化がなされる。
【0160】
ここで、1通信フレーム内のBPSK変調がされているキャリア同期補助信号の期間のみにおいて位相誤差検出を行うため、タイミング生成部17が出力するタイミング信号(図3(c))を用いて切替部19cの切替えを行う。この切替部19cは、タイミング信号のBPSK変調信号の期間(図3(c)においてHiレベル期間)に絶対値部19bが出力する位相誤差|ΔΦ|を積分部19eに入力し、それ以外の期間には、定数発生部19dが発生する「定数0」を積分部19eに入力するように切替えを行う。
【0161】
タイミング発生部19fは、一定周期のタイミングパルスを発生し、切替部19e3を制御する。積分部19eは、タイミング発生部19fが発生するタイミングパルスに従って、加算器19e1の入力を遅延部19e2のフィードバック出力または定数発生部19e4が発生する「定数0」のいずれかに切替えることで、一定期間毎の平均化した位相誤差|ΔΦ|を出力する。C/N高レベル判定部19gは、積分部19eが出力する平均化位相誤差を入力し、タイミング発生部19fがタイミングパルスを発生したとき、当該平均化位相誤差が予め定めたしきい値を下回るか否かによってC/Nが高いか低いかを判定する(ステップS301)。そして、この判定の結果、平均化位相誤差が予め定めたしきい値を下回った場合、C/N高レベル判定部19gは、C/Nが高いと判断し、当該結果をゲート信号選択部20に対して出力する。
【0162】
ここで、C/N高レベル判定部19gにおけるしきい値については、低C/N時に位相数の多い変調方式を波形等化に用いることにより、波形等化部14Aの波形等化制御部14bにおいて、誤った推定誤差を算出することがないように、決定しなければならない。
例えば、n相PSK符号間距離Dは、n相PSK信号の振幅をAとすると、下記、式14のように示される。
【0163】
【数14】
Figure 0004300651
【0164】
この式14に基づくと、n相PSK符号間距離Dは、BPSK変調ではD=2Aと、QPSK変調ではD=√2Aと、8PSK変調ではD=2Asin(π/8)となる。一般的に、図23に示すように、雑音の実効振幅値が符号間距離Dの1/2以下であれば、波形等化制御部14bにおいて、誤った推定誤差を出力しないと考えられるので、その時のC/Nは、式15で表される。
【0165】
【数15】
Figure 0004300651
【0166】
C/N高レベルのしきい値は、8PSK期間で波形等化を行うかどうかを決定するするものである。そこで、式15においてDに8PSKの符号間距離を代入して求まった、8.3dBがC/N高レベルしきい値の目安となるものである。さて、図22におけるC/N検出部19は位相誤差を絶対値化して、等価的にC/Nを求めているものであり、この8.3dBに相当するC/N高レベル判定部19gにおけるしきい値は、8PSKの符号点において、隣り合う位相識別境界線(図23における点線)の角度差の1/2、すなわち11.25[度]となる。
【0167】
次に、図24を参照して、ゲート信号選択部20の動作を説明する。
図24は、ゲート信号選択部20の構成を示すブロック図である。図24において、ゲート信号選択部20は、切替部20cと、定数発生部20bとを備える。
【0168】
切替部20cは、BPSK変調信号期間のタイミング信号と、定数発生部20bが発生する「定数1(Hiレベル)」とを入力し、C/N検出部19が出力する検出結果に基づいて切り替える。ここで、切替部20cは、C/N検出部19が出力する検出結果が「C/Nが高い」である場合に「定数1」、すなわち、通信フレームの全期間において波形等化部14Aを動作、つまり波形等化部14Aの係数更新の実施を指示するゲート信号を出力し(ステップS303)、それ以外の結果の場合にはBPSKタイミング信号(図3(b)または(c)においてHiレベル期間)、すなわち、BPSK変調信号期間のみで波形等化部14Aの係数更新の実施を指示するゲート信号を出力する(ステップS302)ように切り替える。
このゲート信号は、波形等化制御部14bの積分部14b30から14b37のそれぞれへ出力される(図9及び図11を参照)。
【0169】
次に、図25及び図26を参照して、波形等化モード切替部21の動作を説明する。
図25は、波形等化モード切替部21の構成を示すブロック図であり、図26は、波形等化モード切替部21が入力する各タイミング信号と出力する波形等化モード信号とを示す図である。
波形等化モード切替部21は、タイミング生成部17からフレーム同期信号/TMCC信号期間およびキャリア同期補助信号期間のタイミング信号(図26(a))と、TMCCデコーダ35において、フレーム内の各階層の区切りと各階層の変調モードを表すTMCC情報を検出することによって得られる、主信号QPSKタイミング信号(図26(b))および主信号BPSKタイミング信号(図26(c))と、誤り訂正検出部22が出力する検出結果とを入力する。
誤り訂正検出部22は、第2の誤り訂正部33が出力する訂正後の信号に、誤りが残留をしているか否かを検出して、その結果を出力する。つまり、誤り訂正検出部22が出力する検出結果はTMCCデコーダー35から出力される、主信号QPSKタイミング信号,および主信号BPSKタイミング信号が信頼性のあるものかどうかを示す信号となる。
【0170】
図25において、波形等化モード切替部21は、AND回路21a、21bと、OR回路21cとを備える。AND回路21aは、TMCCデコーダ35から出力される主信号BPSKタイミング信号(図26(c))と誤り訂正検出部22が出力する検出結果とを入力する。AND回路21bは、TMCCデコーダ35から出力される主信号QPSKタイミング信号(図26(b))と誤り訂正検出部22が出力する検出結果とを入力し、論理結果を第2の波形等化モード信号として出力する。OR回路21cは、フレーム同期信号/TMCC信号期間およびキャリア同期補助信号期間のタイミング信号(図26(a))とAND回路21aの出力とを入力し、論理結果を第1の波形等化モード信号として出力する。このように、波形等化モード切替部21は、誤り訂正検出部22が出力する検出結果により、
第2の誤り訂正部33が出力するTMCC信号に誤りが無ければ、TMCCデコーダ35から出力される主信号BPSKタイミング信号と主信号QPSKタイミング信号、及びタイミング生成部17から出力されるフレーム同期信号/TMCC信号期間とキャリア同期補助信号期間のタイミング信号により、BPSK変調信号の期間を示す第1の波形等化モード信号(図26(d))と、QPSK変調信号の期間を示す第2の波形等化モード信号(図26(e))とを生成し、
一方、第2の誤り訂正部33が出力するTMCC信号に誤りが残留していれば、タイミング生成部17から出力されるフレーム同期信号/TMCC信号期間とキャリア同期補助信号期間のタイミング信号により、BPSK変調信号の期間を示す第1の波形等化モード信号(図26(f))と、QPSK変調信号の期間を示す第2の波形等化モード信号(図26(g))とを生成し、波形等化制御部14bへ出力する。そして、この第1および第2の波形等化モード信号は、波形等化制御部14bの判定部14b1を各変調方式に対応したものに切り替えるのに用いられる。
【0171】
次に、波形等化部14Aの動作を説明する。
【0172】
この波形等化部14Aは、上記第1の実施形態に係る復調装置の波形等化部14に対し、波形等化制御部14bにおける判定部14b1の構成のみが異なる。従って、以下、図27および図28を参照して、判定部14b1の動作を説明する。
【0173】
図27は判定部14b1の構成を示すブロック図である。図27において、判定部14b1は、BPSKシンボル判定部14b1aと、8PSKシンボル判定部14b1bと、QPSKシンボル判定部14b1dと、切替部14b1c、14b1eとを備える。図28は、BPSKシンボル判定部14b1a、8PSKシンボル判定部14b1bおよびQPSKシンボル判定部14b1dで行うシンボル判定の動作を説明する図である。
波形等化フィルタ14aの出力は、BPSKシンボル判定部14b1a、8PSKシンボル判定部14b1bおよびQPSKシンボル判定部14b1dに入力される。BPSKシンボル判定部14b1aは、波形等化フィルタ14aの出力が、BPSKシンボル判定境界線(図28(a)において、Q軸)に基づいて、0度,180度にある2つのBPSKシンボルの内、近いシンボルを判定して、そのシンボルを表す信号を出力する。8PSKシンボル判定部14b1bは、波形等化フィルタ14aの出力が、8PSKシンボル判定境界線(図28(c)において、m×45度+22.5度(m=0から7)上にある線:図中点線で示している)に基づいて、0度,45度,90度,135度,180度,225度,270度,315度にある8つの8PSKシンボルの内、近いシンボルを判定して、そのシンボルを表す信号を出力する。QPSKシンボル判定部14b1dは、波形等化フィルタ14aの出力が、QPSKシンボル判定境界線(図28(b)において、I軸およびQ軸)に基づいて、45度,135度,225度,315度にある4つのQPSKシンボルの内、近いシンボルを判定して、そのシンボルを表す信号を出力する。
【0174】
切替部14b1eは、波形等化モード切替部21が出力する第2の波形等化モード信号を用いて、第2の波形等化モード信号がHi期間は、QPSKシンボル判定部14b1dが判定したシンボルを、それ以外の期間は、8PSKシンボル判定部14b1bが判定したシンボルを切替部14b1cへ出力するように切り替える。切替部14b1cは、波形等化モード切替部21が出力する第1の波形等化モード信号を用いて、第1の波形等化モード信号がHi期間は、BPSKシンボル判定部14b1aが判定したシンボルを、それ以外の期間は、切替部14b1eが出力するシンボルを複素減算部14b2へ出力するように切り替える。すなわち、BPSK>QPSK>8PSKの優先順位で、波形等化制御部14bの波形等化モードの切替が行われる。これにより、複素減算部14b2はBPSK、QPSK、および8PSKにそれぞれに応じた推定誤差e(n)を算出する(図9を参照)。
なお、図9に示した波形等化制御部14bにおける判定部14b1以降の動作は、上記第1の実施形態において説明したのと同様であるが、積分部14b30から14b37を制御する信号として、タイミング生成部17からのタイミング信号ではなくゲート信号選択部20が出力するゲート信号を用いる(図20及び図24を参照)。
【0175】
これにより、波形等化部14Aは、ゲート信号選択部20が出力するゲート信号に従って、C/Nの状態に基づいた係数更新を行うことができる(ステップS301〜S304)。
【0176】
その内容を下記表1に示す。
【0177】
【表1】
Figure 0004300651
【0178】
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る復調装置は、初期動作はBPSK変調信号期間で周波数補正部、波形等化部および位相補正部を動作させ、BPSK変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/Nが予め定めたレベルである場合、通信フレームの主信号期間に対しても8PSK変調がされているとみなして波形等化を行う。
【0179】
なお、波形等化部14Aの波形等化フィルタ14aは8タップのFIRフィルタを用いているが、タップ数、フィルタ形式を特に制限しているものではなく、IIRフィルタ用いても同様の効果が得られる。
【0180】
また、本発明の第3の実施の形態では、波形等化部14Aを、位相補正部15のループ内に構成する形態で説明したが、これは本発明の効果を得ることに対して特に制限する必要がなく、周波数補正部12における周波数誤差検出を波形等化処理を行った後の信号で行うようにする、つまり周波数補正部12における周波数誤差検出部12aを波形等化部14A以降に設置すれば、波形等化部14を位相補正部15の前段、若しくは後段にループを分離して設置しても、同様の効果が得られる。
【0181】
また、直交検波部11における局部発振信号の周波数を周波数補正部12のループフィルタ12cの出力信号によって可変できるようにし、上記構成の周波数補正部12の複素乗算部12dの変わりに、直交検波部11により、周波数誤差を補正しても同様の効果が得られる。
以上により、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
なお、本発明の第3の実施形態に係る復調装置は、第1の実施形態に係る復調装置において波形等化性能を向上させるものと説明したが、第2の実施形態に係る復調装置においても、同様の効果が得られる。
【0182】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施形態に係る復調装置は、上述した第3の実施形態と同様、上記第1の実施形態に係る復調装置において、波形等化性能を向上させるものである。
【0183】
以下、上述した反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上する本発明の第4の実施形態に係る復調装置について説明する。
【0184】
図29は、本発明の第4の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図29において、第4の実施形態に係る復調装置は、直交検波部11と、周波数補正部12と、帯域制限フィルタ13と、波形等化部14Aと、位相補正部15と、フレーム同期検出部16、タイミング生成部17と、C/N検出部19Aと、ゲート信号選択部20Aと、波形等化モード切り替え部21と、誤り訂正検出部22と、第1の誤り訂正部32と、第2の誤り訂正部33と、ビデオデコーダ34と、TMCCデコーダ35と、BER測定部31とを備える。
【0185】
図30は、第4の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャートである。
図29に示すように、第4の実施形態に係る復調装置は、上記第1の実施形態に係る復調装置に、C/N検出部19Aとゲート信号選択部20Aと、波形等化モード切り替え部21と、誤り訂正検出部22と、をさらに加え、波形等化部14を波形等化部14Aに代えた構成である。また、上記第3の実施形態に係る復調装置に対して、C/N検出部19をC/N検出部19Aに、ゲート信号選択部20をゲート信号選択部20Aに代えた構成となる。
【0186】
なお、第4の実施形態に係る復調装置のその他の構成は、上記第1の実施形態および第3の実施の形態に係る復調装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
また、図30において図2および図21と同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0187】
まず、誤り訂正検出部22の動作について説明する。
誤り訂正検出部22は、第2の誤り訂正部33が出力する訂正後の信号に、誤りが残留をしているか否かを検出して、その結果を出力する。そして、誤り訂正検出部22は、TMCC信号に対して正しい誤り訂正が施されているか否か、つまり、TMCCデコーダー35において、フレーム内の各階層の区切りと各階層の変調モードを表すTMCC情報を検出することによって得られる、主信号QPSKタイミング信号,および主信号BPSKタイミング信号が信頼性のあるかどうかを検出し、この検出の結果をゲート信号選択部20Aに対して出力する(ステップS401)。
【0188】
次に、図31を参照して、C/N検出部19Aの動作を説明する。
図31は、C/N検出部19Aの構成を示すブロック図であり、位相誤差により等価的にC/Nを検出するものである。図31において、C/N検出部19Aは、位相誤差検出部19aと、絶対値化部19bと、切替部19cと、定数発生部19dと、加算器19e1と遅延部19e2と切替部19e3と定数発生部19e4とで構成される積分部19eと、タイミング発生部19fと、C/N高レベル判定部19gと、C/N低レベル判定部19hと、を備える。
【0189】
図31に示すように、C/N検出部19Aは、上記第3の実施形態のC/N検出部19の構成に、C/N低レベル判定部19hをさらに加えた構成である。
【0190】
C/N高レベル判定部19gは、積分部19eが出力する平均化位相誤差を入力し、当該平均化位相誤差が予め定めた第1のしきい値を下回るか否かによってC/Nが高いかを判定する(ステップS404)。そして、この判定の結果、平均化位相誤差が予め定めたしきい値を下回った場合、C/N高レベル判定部19gは、C/Nが高いと判断し、当該結果をゲート信号選択部20Aに対して出力する。一方、C/N低レベル判定部19hは、積分部19eが出力する平均化位相誤差を入力し、当該平均化位相誤差が予め定めた第2のしきい値を上回るか否かによってC/Nが低いかを判定する(ステップS402)。そして、この判定の結果、平均化位相誤差が予め定めた第2のしきい値を上回った場合、C/N低レベル判定部19hは、C/Nが低いと判断し、当該結果をゲート信号選択部20Aに対して出力する。
【0191】
ここで、例えば、C/N高レベル判定部19gにおける第1のしきい値については、上述したように11.25[deg]を目安にして決定すればよい。
【0192】
また、C/N低レベル判定部19hにおける第2のしきい値は、BPSK期間のみで波形等化を行うかどうかを決定するするものである。そこで、式15においてDにQPSKの符号間距離を代入して求まった、3dBがC/N低レベルしきい値の目安となるものである。この3dBに相当するC/N低レベル判定部19hにおけるしきい値は、QPSKの符号点において、隣り合う位相識別境界線の角度差の1/2、すなわち22.5[度]となる。従って、この場合、C/N検出部19Aの判定結果は、下記表2のようになる。
【0193】
【表2】
Figure 0004300651
【0194】
次に、図32を参照して、ゲート信号選択部20Aの動作を説明する。
図32は、ゲート信号選択部20Aの構成を示すブロック図である。図32において、ゲート信号選択部20Aは、OR回路20a,20f、AND回路20eと、定数発生部20bと、切替部20c,20dとを備える。
【0195】
OR回路20aには、TMCCデコーダ35から出力される、主信号のQPSK変調期間のタイミング信号、および主信号のBPSK変調期間のタイミング信号(図26(d)〜(g))が入力される。
【0196】
切替部20cは、OR回路20aの出力信号と、定数発生部20bが発生する「定数1」とを入力し、C/N検出部19AのC/N高レベル判定部19gが出力する判定結果に基づいて出力を切り替える。切替部20dは、主信号のBPSK変調期間のタイミング信号と切替部20cが出力する信号とを入力し、C/N検出部19AのC/N低レベル判定部19hが出力する判定結果に基づいて出力を切り替える。ここで、切替部20cおよび20dは、C/N判定が「高」である場合は「定数1」すなわち、通信フレームの全期間において波形等化部の係数更新の実施を指示するゲート信号を(ステップS406)、C/N判定が「中」である場合は主信号のBPSK及びQPSK変調期間のタイミング信号を(ステップS405)、C/N判定が「低」である場合は主信号のBPSK変調期間のタイミング信号(ステップS403)を出力するように切り替える。
【0197】
一方、誤り訂正検出部22が出力する検出結果は、上記切替部20dが出力する信号とともにAND回路20eに入力される。また、OR回路20fは、AND回路20eの出力とタイミング生成部17が出力するBPSKタイミング信号(図3(b)または(c))とを入力する。従って、AND回路20eおよびOR回路20fによって、正しいTMCCが得られた場合だけ、切替部20dの出力信号がゲート信号として出力され、それ以外の場合には、今までどおりBPSKタイミング信号がゲート信号として出力される。
このゲート信号は、波形等化制御部14bの積分部14b30から14b37のそれぞれへ出力される(図9及び図11参照)。
【0198】
これにより、波形等化部14Aは、ゲート信号選択部20Aが出力するゲート信号に従って、C/Nの状態に基づいた係数更新を行うことができる(ステップS402〜S406およびS304)。
【0199】
その内容を下記表3に示す。
【0200】
【表3】
Figure 0004300651
【0201】
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る復調装置は、初期動作はBPSK変調信号期間で周波数補正部、波形等化部および位相補正部を動作させ、BPSK変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/Nレベルおよび、TMCCデコーダから得られる1通信フレーム内の主信号の各変調方式に従って、波形等化制御部14bは複数の位相変調方式に対応する推定誤差e(n)を算出して、波形等化(フィルタ係数の更新)を行う。
【0202】
なお、波形等化部14Aの波形等化フィルタ14aは8タップのFIRフィルタを用いているが、タップ数、フィルタ形式を特に制限しているものではなく、IIRフィルタ用いても同様の効果が得られる。
【0203】
また、本発明の第4の実施の形態では、波形等化部14Aを、位相補正部15のループ内に構成する形態で説明したが、これは本発明の効果を得ることに対して特に制限する必要がなく、周波数補正部12における周波数誤差検出を波形等化処理を行った後の信号で行うようにする、つまり周波数補正部12における周波数誤差検出部12aを波形等化部14A以降に設置すれば、波形等化部14を位相補正部15の前段、若しくは後段にループを分離して設置しても、同様の効果が得られる。
【0204】
また、直交検波部11における局部発振信号の周波数を周波数補正部12のループフィルタ12cの出力信号によって可変できるようにし、上記構成の周波数補正部12の複素乗算部12dの変わりに、直交検波部11により、周波数誤差を補正しても同様の効果が得られる。
【0205】
以上により、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
なお、本発明の第4の実施形態に係る復調装置は、第1の実施形態に係る復調装置において波形等化性能を向上させるものと説明したが、第2の実施形態に係る復調装置においても、同様の効果が得られる。
【0206】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る復調装置は、上述した第3および第4の実施形態と同様、上記第1の実施形態に係る復調装置において、波形等化性能を向上させるものである。
【0207】
以下、上述した反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上する本発明の第5の実施形態に係る復調装置について説明する。
【0208】
図33は、本発明の第5の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図33において、第5の実施形態に係る復調装置は、直交検波部11と、周波数補正部12と、帯域制限フィルタ13と、波形等化部14Aと、位相補正部15と、フレーム同期検出部16、タイミング生成部17と、C/N検出部19Aと、ゲート信号選択部20Bと、波形等化モード切り替え部21と、誤り訂正検出部22と、第1の誤り訂正部32と、第2の誤り訂正部33と、ビデオデコーダ34と、TMCCデコーダ35と、BER測定部31とを備える。
【0209】
図34は、第5の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャートである。
図33に示すように、第5の実施形態に係る復調装置は、上記第1の実施形態に係る復調装置に、C/N検出部19Aとゲート信号選択部20Bと、波形等化モード切り替え部21と、誤り訂正検出部22と、をさらに加え、波形等化部14を波形等化部14Aに代えた構成である。また、上記第4の実施形態に係る復調装置に対して、ゲート信号選択部20Aをゲート信号選択部20Bに代えた構成となる。
【0210】
なお、第5の実施形態に係る復調装置のその他の構成は、上記第1の実施形態および第3、第4の実施の形態に係る復調装置の構成と同様であり、当該構成部分については同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0211】
また、図34において図2、図21および図30と同一の処理を行うステップについては、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0212】
まず、図35を参照して、ゲート信号選択部20Bの動作を説明する。
図35は、ゲート信号選択部20Bの構成を示すブロック図である。図35において、ゲート信号選択部20Bは、OR回路20a,20fと、AND回路20e,20jと、定数発生部20b,20hと、切替部20c、20d、20g、論理反転回路20iとを備える。
【0213】
ゲート信号選択部20Bにおいて、OR回路20fの出力までは上記第4の実施形態で説明したとおりであり、AND回路20eおよびOR回路20fによって、TMCC信号が正しく誤り訂正された場合だけ、切替部20dの出力信号がゲート信号として出力され、それ以外の場合には、今までどおりBPSKタイミング信号がゲート信号として出力される。
【0214】
一方、AND回路20jには、C/N高レベル判定部19gが出力する判定結果と論理反転回路20iが出力する誤り訂正検出信号の逆論理の信号が入力される。切替部20gは、OR回路20fの出力と、定数発生部20hが発生する「定数1」とを入力し、AND回路20jの出力に基づいて出力を切替える。ここで、切替部20gはTMCC信号が正しく誤り訂正されておらず、かつ、高C/N状態である場合には、定数発生部20hが発生する「定数1」を、それ以外の場合には、OR回路20fが出力する信号をゲート信号として出力するように切替える(ステップS501)。これにより、TMCC信号が正しく誤り訂正されていない、(つまりTMCCデコーダ35から生成される、主信号の各変調方式のタイミングを表す信号が信頼できない場合)でも、高C/N状態である場合には、通信フレームの全期間において波形等化動作(係数更新を行う動作)の実施を指示する「定数1」がゲート信号として出力される(ステップS502)。なお、低C/N状態である場合には、BPSK期間の信号がゲート信号として出力される(ステップS503)。
このゲート信号は、波形等化制御部14bの積分部14b30から14b37のそれぞれへ出力される(図9及び図11参照)。
これにより、波形等化部14Aは、ゲート信号選択部20Bが出力するゲート信号に従って、TMCC信号が正しく復号される前に、高C/N状態である場合には、主信号の期間を8PSKとみなして波形等化を行い(ステップS501からS504)、TMCCが正しく復号された後は、上記第4の実施形態で説明したのと同様に、C/Nの状態に基づいて各変調方式に対応して係数更新を行うことができる(ステップS402〜S406,S304)。
【0215】
その内容を下記表4に示す。
【0216】
【表4】
Figure 0004300651
【0217】
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る復調装置は、初期動作はBPSK変調信号期間で周波数補正部、波形等化部および位相補正部を動作させ、BPSK変調信号期間で位相同期がされているときのC/N状態をキャリア同期補助信号期間の位相誤差に基づいて検出し、当該C/Nレベルおよび、TMCCデコーダから得られる1通信フレーム内の主信号の各変調方式に従って、波形等化制御部14bは複数の位相変調方式に対応する推定誤差e(n)を算出して、波形等化(フィルタ係数の更新)を行う。また、正しくTMCC復号されていない場合でも、当該C/Nが予め定めたレベルである場合、通信フレームの主信号期間に対しても8PSK変調がされているとみなして波形等化を行う。
【0218】
なお、波形等化部14Aの波形等化フィルタ14aは8タップのFIRフィルタを用いているが、タップ数、フィルタ形式を特に制限しているものではなく、IIRフィルタ用いても同様の効果が得られる。
【0219】
また、本発明の第5の実施の形態では、波形等化部14Aを、位相補正部15のループ内に構成する形態で説明したが、これは本発明の効果を得ることに対して特に制限する必要がなく、周波数補正部12における周波数誤差検出を波形等化処理を行った後の信号で行うようにする、つまり周波数補正部12における周波数誤差検出部12aを波形等化部14A以降に設置すれば、波形等化部14を位相補正部15の前段、若しくは後段にループを分離して設置しても、同様の効果が得られる。
【0220】
また、直交検波部11における局部発振信号の周波数を周波数補正部12のループフィルタ12cの出力信号によって可変できるようにし、上記構成の周波数補正部12の複素乗算部12dの変わりに、直交検波部11により、周波数誤差を補正しても同様の効果が得られる。
【0221】
以上により、反射の状況の変化に対する応答性や、波形等化能力(符号点の収束特性)を向上するすることが出来、受信信号に反射を有する場合の受信性能を向上することができる。
【0222】
なお、本発明の第5の実施形態に係る復調装置は、第1の実施形態に係る復調装置において波形等化性能を向上させるものと説明したが、第2の実施形態に係る復調装置においても、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャート
【図3】フレーム同期検出部16が検出する信号およびタイミング生成部17が生成するタイミング信号を示す図
【図4】フレーム同期検出部16の構成を示すブロック図
【図5】フレーム同期検出における位相関係を説明する図
【図6】周波数補正部12のさらに詳細な構成を示すブロック図
【図7】周波数補正における周波数ずれを説明する図
【図8】波形等化フィルタ14aのさらに詳細な構成を示すブロック図
【図9】波形等化制御部14bのさらに詳細な構成を示すブロック図
【図10】波形等化における推定誤差の検出を説明する図
【図11】波形等化制御部14bにおける積分部14b30から14b37のさらに詳細な構成を示すブロック図
【図12】家庭内の衛星放送受信設備の基本構成図
【図13】位相補正部15のさらに詳細な構成を示すブロック図
【図14】位相補正における位相ずれを説明する図
【図15】本発明の第2の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図
【図16】本発明の第2の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャート
【図17】周波数引き込み判定部18のさらに詳細な構成を示すブロック図
【図18】位相補正部15Aのさらに詳細な構成の一例を示すブロック図
【図19】位相補正部15Aのさらに詳細な構成の一例を示すブロック図
【図20】本発明の第3の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図
【図21】本発明の第3の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャート
【図22】C/N検出部19のさらに詳細な構成を示すブロック図
【図23】C/N検出部19において設定するしきい値の一例を説明する図
【図24】ゲート信号選択部20のさらに詳細な構成を示すブロック図
【図25】波形等化モード切り替え部21のさらに詳細な構成を示すブロック図
【図26】タイミング生成部17の出力信号、TMCCデコーダー35の出力信号、及び波形等化モード切り替え部21の出力信号を示す図
【図27】波形等化部14Aにおける判定部14b1のさらに詳細な構成を示すブロック図
【図28】波形等化部14Aにおける判定部14b1の動作を説明する図
【図29】本発明の第4の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図
【図30】本発明の第4の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャート
【図31】C/N検出部19Aのさらに詳細な構成を示すブロック図
【図32】ゲート信号選択部20Aのさらに詳細な構成を示すブロック図
【図33】本発明の第5の実施形態に係る復調装置の構成を示すブロック図
【図34】本発明の第5の実施形態に係る復調装置が行う動作を示すフローチャート
【図35】ゲート信号選択部20Bのさらに詳細な構成を示すブロック図
【図36】位相補正部15で生じる疑似同期発生のメカニズムを説明する図
【図37】位相補正部15で生じる疑似同期を説明する図
【図38】反射がない場合の復調装置における復調信号の符号点配置を示した図
【図39】反射がある場合の従来例の復調装置における復調信号の符号点配置を示した図
【図40】反射がない場合の復調装置における遅延検波信号の位相配置を示した図
【図41】反射がある場合の従来例の復調装置における遅延検波信号の位相配置を示した図
【図42】反射がある場合の従来例の復調装置におけるCN比対ビット誤り率特性を示した図
【図43】反射波を有する伝送路のモデルを示した図
【図44】反射がある伝送路の周波数特性を示した図
【図45】時分割多重した位相変調を用いた伝送方法における、変調される元信号のデータ構造、および時分割多重された位相変調信号で構成される通信フレームの構造を示した図
【図46】BPSK、QPSKおよび8PSKのシンボル点配置を示した図
【図47】第1の従来例に係る復調装置の構成を示すブロック図
【図48】第1の従来例に係る復調装置が行う動作を示すフローチャート
【図49】第2の従来例に係る復調装置の構成を示すブロック図
【図50】第2の従来例に係る復調装置が行う動作を示すフローチャート
【符号の説明】
10 時分割多重位相変調信号入力端子
11 直交検波部
12 周波数補正部
13 帯域制限フィルタ、
14,14A 波形等化部
15,15A 位相補正部
16 フレーム同期検出部
17 タイミング生成部
18 周波数引き込み検出部
19,19A C/N検出部
20,20A,20B ゲート信号選択部
21 波形等化モード切り替え部
22 誤り訂正検出部
32 第1の誤り訂正部
33 第2の誤り訂正部
34 ビデオデコーダ
35 TMCCデコーダ
31 BER測定部
12a、18a 周波数誤差検出部
12b、15b ループフィルタ
12c、15c 数値制御発振部
12d、14a8、14a9、14a10、14a11、14a12、
14a13、14a14、14a15、14b10、14b11、
14b12、14b13、14b14、14b15、14b16、
14b17、15d 複素乗算部
12a1、16a、18a1 遅延検波部
12a2、15a、18a2、19a 位相誤差検出部
12b1、14b4、141、15b1、18b、18d3、15b8、
15c5、19c、19e3、20c、14b1c、14b1e、20d、
20g 切替部
12b2、142、15b2、18c、18d4、15b9、15c6、
19d、19e4、20b、20h 定数発生部
12b3、12c1、15b3、15b5、15c1、18d1、
19e1 加算部
12b4、12c2、14a1,14a2、14a3、14a4、14a5、
14a614a7、14b40、14b41、14b42、14b43、
14b44、14b45、14b46、144、15b4、15c2、
18d2、19e2 遅延部
12c3、15c3 コサイン波発生部
12c4、15c4 サイン波発生部
16b 位相識別部
16c 照合部
14a16、143、 複素加算部
14b1 シンボル判定部
14b2 複素減算部
14b3 誤差評価部
14b5、15b7 ゲイン設定部
14b6 ゲート信号入力端子
14b7 フィルタ係数更新部
14b30、14b31、14b32、14b33、14b34、14b35、
14b36、14b37、18d、19e 積分部
14b20、14b21、14b22、14b23、14b24、14b25、
14b26、14b27 複素共役化部
601 信号入力端子
602 分配器
603 受信機A
604 受信機B
605 ケーブルA
606 ケーブルB
15b6 保持部
18e、19f タイミング発生部
18f 周波数引き込み判定部
19b 絶対値化部
19g C/N高レベル判定部
21a、21b、20e、20j and回路
21c、20a、20f or回路
14b1a BPSKシンボル判定部
14b1b 8PSKシンボル判定部
14b1d QPSKシンボル判定部
19h C/N低レベル判定部
20i 論理反転回路

Claims (10)

  1. 複数の位相変調信号と共に、通信フレーム内において位相数が最も少ない位相変調(以下、最小位相変調という)を用いて位相変調を施されたキャリア同期補助信号が等時間間隔に分散するように、時分割多重された当該通信フレームを受信する復調装置であって、
    前記通信フレーム内の予め定めた信号期間の周波数誤差を検出して周波数ずれの補正を行う周波数補正手段と、
    前記通信フレーム内の予め定めた信号期間の推定誤差を検出して波形等化を行う波形等化手段と、
    前記通信フレーム内の予め定めた信号期間の位相誤差を検出して位相ずれの補正を行う位相補正手段と、
    前記波形等化手段で波形等化処理を行ったあとの信号を入力し、遅延検波を用いて前記通信フレームの同期信号を検出することでフレーム先頭位置を検出するフレーム同期検出手段と、
    前記フレーム同期検出手段で検出した前記フレーム先頭位置に基づいて、前記キャリア同期補助信号の期間を検出し、当該キャリア同期補助信号期間を与えるタイミング信号を生成するタイミング生成手段とを備え、
    前記周波数補正手段における周波数誤差検出は、前記波形等化手段で波形等化処理を行ったあとの信号から行い、
    前記周波数補正手段、波形等化手段および前記位相補正手段は、前記タイミング生成手段から入力する前記タイミング信号に基づいて同時に、前記最小位相変調に従った補正動作および波形等化の動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うことを特徴とする、復調装置。
  2. 前記波形等化手段で波形等化処理を行ったあとの信号を入力し、周波数引き込み状態を検出して、擬似同期が発生する周波数か否かを判断する周波数引き込み検出手段と、
    前記周波数引き込み検出手段の判断の結果、疑似同期に陥ることがない周波数にまで周波数補正が完了した場合は、前記位相補正手段を初期化する位相補正リセット手段とをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の復調装置。
  3. 前記位相補正手段の出力信号を入力し、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するC/N検出手段と、
    前記C/N検出手段の検出結果、および前記タイミング信号に基づき、予め定めたしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を生成し、それ以外の場合は、前記キャリア同期補助信号期間を与えるゲート信号を生成するゲート信号生成手段とをさらに備え、
    前記波形等化手段は、前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うことを特徴とする、請求項1および請求項2のいずれかに記載の復調装置。
  4. 前記位相補正手段の出力信号を入力し、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するC/N検出手段と、
    前記フレーム同期信号に含まれる伝送制御信号(TMCC信号)の誤り訂正処理後の訂正状態を検出する誤り訂正検出手段と、
    前記通信フレームにおいて、前記キャリア同期補助信号以外の各位相変調信号の期間を与える信号を出力する信号期間付与手段と、
    前記C/N検出手段および前記誤り訂正検出手段の検出結果、並びに前記信号期間付与手段が出力する信号と前記タイミング信号に基づき、
    誤り訂正が完了した場合であって、
    予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
    予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記最小位相変調が施されている信号の期間を与えるゲート信号を、
    それ以外の場合は、前記最小位相変調期間および予め定めた変調信号期間を与えるゲート信号を生成し、
    誤り訂正が完了した場合以外は、前記キャリア同期補助信号を与えるゲート信号を生成するゲート信号生成手段とをさらに備え、
    前記波形等化手段は、前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うことを特徴とする、請求項1および請求項2のいずれかに記載の復調装置。
  5. 前記位相補正手段の出力信号を入力し、前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するC/N検出手段と、
    前記フレーム同期信号に含まれる伝送制御信号(TMCC信号)の誤り訂正処理後の訂正状態を検出する誤り訂正検出手段と、
    前記通信フレームにおいて、前記キャリア同期補助信号以外の各位相変調信号の期間を与える信号を出力する信号期間付与手段と、
    前記C/N検出手段および前記誤り訂正検出手段の検出結果、並びに前記信号期間付与手段が出力する信号と前記タイミング信号に基づき、
    誤り訂正が完了した場合であって、
    予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
    予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記最小位相変調が施されている信号の期間を与えるゲート信号を、
    それ以外の場合は、前記最小位相変調期間および予め定めた変調信号期間を与えるゲート信号を生成し、
    誤り訂正が完了していない場合であって、
    予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
    それ以外の場合は、前記キャリア同期補助信号を与えるゲート信号を生成するゲート信号生成手段とをさらに備え、
    前記波形等化手段は、前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うことを特徴とする、請求項1および請求項2のいずれかに記載の復調装置。
  6. 複数の位相変調信号と共に、通信フレーム内において位相数が最も少ない位相変調(以下、最小位相変調という)を用いて位相変調を施されたキャリア同期補助信号が等時間間隔に分散するように、時分割多重された当該通信フレームの復調方法であって、
    前記通信フレームの同期信号を検出することでフレーム先頭位置を検出するステップと、
    検出した前記フレーム先頭位置に基づいて、前記キャリア同期補助信号の期間を検出し、当該キャリア同期補助信号期間を与えるタイミング信号を生成するステップと、
    前記タイミング信号が与える前記キャリア同期補助信号に基づいて同時に、前記最小位相変調に従った周波数の補正動作、位相の補正動作、および波形等化の動作を行うステップとを備える、復調方法。
  7. 周波数引き込み状態を検出して擬似同期に落ちる周波数か否かを判定するステップと、
    前記判定するステップにおける判断の結果、疑似同期に陥らない周波数である場合は、位相補正動作を初期化するステップとをさらに備える、請求項6に記載の復調方法。
  8. 前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するステップと、
    前記キャリア同期補助信号期間における位相同期の状態とC/Nの状態、および前記タイミング信号に基づき、予め定めたしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を生成し、それ以外の場合は、前記キャリア同期補助信号期間を与えるゲート信号を生成するステップと、
    前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化の動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うステップとをさらに備える、請求項6および請求項7のいずれかに記載の復調方法。
  9. 前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するステップと、
    前記フレーム同期信号に含まれる伝送制御信号(TMCC信号)の誤り訂正処理の訂正状態を検出するステップと、
    前記通信フレームにおいて、前記キャリア同期補助信号期間以外の各位相変調信号の期間を与える信号を出力するステップと、
    前記キャリア同期補助信号期間におけるC/Nの状態、前記TMCC信号期間における誤り訂正の状態、前記出力するステップが出力する信号および前記タイミング信号に基づき、
    誤り訂正が完了した場合であって、
    予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
    予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記最小位相変調が施されている信号の期間を与えるゲート信号を、
    それ以外の場合は、前記最小位相変調期間および予め定めた変調信号期間を与えるゲート信号を生成し、
    誤り訂正が完了した場合以外は、前記キャリア同期補助信号期間を与えるゲート信号を生成するステップと、
    前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うステップとをさらに備える、請求項6および請求項7のいずれかに記載の復調方法。
  10. 前記キャリア同期補助信号の期間におけるC/N(搬送波電力/雑音電力)の状態を検出するステップと、
    前記フレーム同期信号に含まれる伝送制御信号(TMCC信号)の誤り訂正処理後の訂正状態を検出するステップと、
    前記通信フレームにおいて、前記キャリア同期補助信号期間以外の各位相変調信号の期間を与える信号を出力するステップと、
    前記キャリア同期補助信号期間における位相同期の状態とC/Nの状態、前記TMCC信号期間における誤り訂正の状態、前記出力するステップが出力する信号および前記タイミング信号に基づき、
    誤り訂正が完了した場合であって、
    予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
    予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記最小位相変調が施されている信号の期間を与えるゲート信号を、
    それ以外の場合は、前記最小位相変調期間および予め定めた変調信号期間を与えるゲート信号を生成し、
    誤り訂正が完了していない場合であって、
    予め定めた第1のしきい値に対しC/Nが高い場合は、前記通信フレームの全期間を与えるゲート信号を、
    予め定めた第2のしきい値に対しC/Nが低い場合は、前記キャリア同期補助信号を与えるゲート信号を生成するステップと、
    前記ゲート信号が与える期間に従って波形等化動作(すなわち波形等化手段の係数更新)を行うステップとをさらに備える、請求項6および請求項7のいずれかに記載の復調方法。
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