JP4300174B2 - 土砂流出防止用排水フィルター - Google Patents

Description

本発明は例えばＵ字溝等の側壁等に透設された排水孔に取着される土砂流出防止用排水フィルターに関する。

一般に、法面や道路等に構築される排水路又は側溝には、Ｕ字溝が敷設されることがある。このＵ字溝の左右の側壁には、外側の砂利層に含まれる水をＵ字溝内に導くための円錐台形状の排水孔が複数箇所に設けられたものがある。この排水孔には、外側の土砂が水とともにＵ字溝内部に流出するのを防止するため土砂流出防止用排水フィルターが取り付けられている。このフィルターは、多数の濾過孔が形成された蓋部と、この蓋部の外周から突設したスカート状の挿入部とにより構成されている。（特許文献１参照）
特公昭６２−２３１２７号公報

ところが、従来の土砂流出防止用排水フィルターは、前記蓋部に多数の濾過孔が形成されているが、土砂に含まれる比較的小粒径の土砂が通過して、Ｕ字溝内に侵入するという問題があった。この問題を解消するため、従来は前記排水孔の外側開口部を覆うように不織布よりなる別の濾過部材をＵ字溝の側壁と砂利層との間に配設するようになっている。

しかし、上記の濾過部材の配設方法は、現場での施工作業に手間がかかり、配設作業の能率を向上することができないという問題があった。
本発明の目的は、別体で形成された濾過部材の設置作業の能率を向上することができる土砂流出防止用排水フィルターを提供することにある。

上記問題点を解決するために、請求項１に記載の発明は、複数の濾過孔が形成された蓋部と、前記蓋部の中央部に前記挿入部と同じ側に立設された係止ピンとを備え、該係止ピンの先端部を加熱して鍔部を形成することにより濾過部材を係止するように構成されていることを要旨とする。

本発明によれば、蓋部に設けられた係止ピンによって、前記濾過部材を所定位置に係止するようにしたので、濾過部材の設置作業の能率を向上することができる。

以下、本発明を具体化した土砂流出防止用排水フィルターの一実施形態を図１〜図３に従って説明する。
図２に示す符号「１」は、道路両側、法面等に構築した排水路であって、多数のコンクリート製のＵ字溝２を互いに連結することにより構成されている。前記Ｕ字溝２の左右の両側壁２ａ下部には、それぞれ排水孔３が複数箇所に１列状に透設されている。この排水孔３は図３に示すように側壁２ａの外面から内面に向かって縮径するテーパ状に形成されている。前記Ｕ字溝２の周囲には、砂利層４が配設されている。

次に、前記Ｕ字溝２の排水孔３に取り付けられる有弾性の例えばポリプロピレン樹脂等の合成樹脂からなるフィルター１１について説明する。
このフィルター１１は、前記排水孔３の最小径（側壁２ａの内面に開口する側の径）と同一の径を有する円形の蓋部１２と、この蓋部１２の周縁から前記Ｕ字溝２の排水孔３のテーパ角度よりも大きい傾斜角度の斜状に、かつスカート状に突設した挿入部１３とにより構成され、全体が有蓋円錐台形状に形成されている。

前記蓋部１２には、複数（この実施形態では多数）の濾過孔１２ａが形成されている。又、前記挿入部１３には、適宜の間隔をおいて先端部から蓋部１２に向かう複数のスリット１４が切り込み形成され、前記挿入部１３に弾性的な復元性を持たせている。

なお、前記挿入部１３の蓋部１２から先端までの高さ寸法は、前記排水孔３に取り付けられた際に安定するように、２０〜５０ｍｍ程度に設定されている。又、前記スリット１４の数は、一つ以上あれば良い。

前記蓋部１２の中央部には、前記挿入部１３の内側において、別途用意された濾過部材１５を蓋部１２の片側の面に接触した状態に保持するための係止ピン１６が一体に形成されている。前記濾過部材１５を装着した後に係止ピン１６の先端を例えばハンダコテ等により加熱して潰して鍔部１６ａを形成し、係止ピン１６から濾過部材１５が外れないようにしている。前記濾過部材１５は例えば編み物、織物或いは不織布等により円形マット状に形成されている。

上記のように構成された濾過部材１５を備えたフィルター１１を前記Ｕ字溝２に取り付けるには、排水路１を構築する前に、Ｕ字溝２の排水孔３に対し、その蓋部１２をＵ字溝２の内方に向けて側壁２ａ外面側から蓋部１２が側壁２ａの内面と面一になるまで挿入する。すると、排水孔３がＵ字溝２の内側ほど縮径されているため、フィルター１１の各挿入部１３は、その弾性力に抗して縮径方向に押し込まれることにより、排水孔３内周面に対し、緊密に密着される。

このように緊密にフィルター１１が固定されたＵ字溝２を、図２のように連結して、排水路１を構築した場合、図３に示すように砂利層４を介して水とともに、Ｕ字溝２の排水孔３の内部に流入する土砂は、濾過部材１５及び蓋部１２の濾過孔１２ａにより排水路１内部への流出が防止され、水のみが排水路１内に流出する。

さらに、排水路１内の排水量が多くなって、Ｕ字溝２の排水孔３から排水が逆流した場合にもフィルター１１の挿入部１３が排水孔３の周壁に緊密に固定されているため、排水孔３からフィルター１１が離脱することはなく、排水路１内の排水に含まれる土砂が、排水孔３内に入ることもない。

上記実施形態の土砂流出防止用排水フィルターによれば、以下のような効果を得ることができる。
（１）上記実施形態では、前記蓋部１２に対して、濾過部材１５を係止する係止ピン１６を一体に形成したので、フィルター１１に濾過部材１５を装着することができ、濾過部材１５の設置作業の能率を向上することができる。又、濾過部材１５と蓋部１２の濾過孔１２ａとによって、濾過孔１２ａの外側から側壁２ａを通して、Ｕ字溝２の内部に侵入しようとする土砂を濾過することができる。

なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○前記濾過部材１５として、マット状のもの以外に布状の濾過シートを用いてもよい。この場合には多数の濾過シートを積層するのが望ましい。

この発明のフィルターを具体化した一実施形態を示す断面図。 排水路を示す斜視図。 Ｕ字溝の拡大部分横断面図。

符号の説明

２…Ｕ字溝、３…排水孔、１２…蓋部、１２ａ…濾過孔、１３…挿入部、１４…スリット、１５…濾過部材、１６…係止ピン、１６ａ…鍔部。

Claims (1)

1. 複数の濾過孔が形成された蓋部と、この蓋部の外周縁に連結したスカート状の挿入部と、前記蓋部の中央部に前記挿入部と同じ側に立設された係止ピンとを備え、該係止ピンの先端部を加熱して鍔部を形成することにより濾過部材を係止するように構成されていることを特徴とする土砂流出防止用排水フィルター。

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